説明

穀物粉含有食品の作製方法およびマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地

【課題】電子レンジを使用して未焼成の穀物粉含有生地を焼成して焼成穀物粉含有食品を簡便かつ短時間で作製できる穀物粉含有食品の作製方法、および、マイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地を提供する。
【解決手段】生地原料を混捏して穀物粉含有生地を作製する生地作製工程Aと、穀物粉含有生地を、発熱部によって穀物粉含有生地を囲繞できるマイクロ波発熱容器に充填する充填工程Bと、マイクロ波発熱容器の内部で穀物粉含有生地を発酵させる容器内発酵工程Cと、マイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地を焼成するマイクロ波加熱工程Fと、を有する穀物粉含有食品の作製方法、および、生地原料を混捏して発酵させ、かつ未焼成の穀物粉含有生地を、発熱部を有し、かつ穀物粉含有生地を充填する充填部を設けたマイクロ波発熱容器に充填したマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物由来の粉体を発酵微生物によって発酵させた後に焼成して作製する穀物粉含有食品の作製方法、および、電子レンジから照射されるマイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活の欧米化に伴い、パン類は日本においても主食として重要な地位を占めている。パン類は、例えば小麦粉または他の穀物由来の粉、水、発酵微生物であるイースト菌(パン酵母)、塩、バター、砂糖などの生地原料を適宜加えて混捏(粉体と液体を加えて練ること)することでパン生地を作り、発酵させ、焼成することで作製される。
【0003】
パン生地の調整方法として、一般的にはストレート法(直捏法)および中種法が公知である。例えばストレート法は以下の工程を行なう。
即ち、上述した生地原料を所定量添加して均一に混和する生地作製工程を行い、20〜40℃で30〜150分程度の発酵を行なう(一次発酵工程)。一次発酵が済んだパン生地において二酸化炭素ガス抜きを行い、所定の数に分割して所定の形状に成形し、所定時間のベンチタイムを経た後、20〜40℃で20〜80分程度の発酵を行なう(二次発酵工程)。二次発酵が済んだパン生地を、180〜200℃で15〜30分程度の焼成をオーブンにて行なう(焼成工程)。自宅でパンをオーブンにて焼成すれば、暖かく焼立ての風味に優れた食品を直ちに供することができる。
【0004】
パン生地の流通を鑑みた場合、当該パン生地の品質を長期に亘って保つため、パン生地を冷凍保存している。この場合、冷凍パン生地を店舗などで解凍し、その後、数十分かけてオーブンにて焼成して供している。また、パン生地を冷凍保存する前にオーブンにて半焼成し、冷凍することも行なわれている。この場合、冷凍した半焼成パン生地を店舗などで再度オーブンにて焼成して供している。
【0005】
一方、穀物由来の粉を生地原料に使用するピザなどの冷凍食品においては、電子レンジ加熱用紙製トレーに収納した状態で、電子レンジ内で調理することが行なわれている(例えば特許文献1)。本手法によれば、電子レンジによる加熱調理後、ピザ等の焼成食品を得ることができる。
当該紙製トレー本体の底部には、シート状の基材の表面にマイクロ波発熱層を設け、当該マイクロ波発熱層上に紙基材を積層したサセプターが挿設してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4211543号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パン生地を冷凍保存した場合、解凍したのちオーブンによる数十分の焼成を行なう。仮に解凍せずに冷凍生地の状態でオーブンにて焼成した場合は、冷凍生地の表面から内部に熱が伝わるため、パン生地全体、特に生地の表面および内部、を均一に膨化させることは困難である。そのため、冷凍したパン生地をオーブンにて焼成させる場合は、必ず生地の内部まで確実に解凍させたうえで焼成する必要があるため、時間を要するという問題点があった。このように、冷凍状態で流通しているパン生地をオーブンにて焼成する場合は、解凍および焼成に手間および時間を要するため、例えば忙しい朝食時に自宅で焼立てのパンを供するのは、時間的に困難であった。
また、半焼成パン生地を冷凍する場合は、再度オーブンにて焼成して供することから、パン生地を加熱する手間およびエネルギーが無駄となっていた。
【0008】
近年の電子レンジの普及に伴い、手軽に操作でき、短時間で簡単に加熱調理ができるという電子レンジの利便性に適した調理済みの食品(予備調理済み食品)が数多く出回っている。例えば、特許文献1に記載の電子レンジ加熱用紙製トレーに収納した冷凍食品であるピザは、焼成済みの生地を冷凍したものである。焼成済みの生地を冷凍状態で電子レンジにて加熱できる食品であれば、忙しい朝食時にも時間的に余裕をもって供することができる。このように特許文献1に記載の冷凍食品は、焼成済みの生地を電子レンジにて加熱するだけで焼成食品を簡便に供することができる反面、未焼成の生地原料を焼成する際に得られる焼立ての風味は劣っていた。
【0009】
パンやピザなどの焼成食品は、通常、その表面に焼き色を有するものであり、当該表面に適度な焼き色があってこそ、見た目、食感、風味に優れた食品となる。
電子レンジによって調理を行なった場合、生地の表面および内部を略均一に加熱することができる。しかし、電子レンジによる調理において、オーブンで調理する場合のように生地の表面に適度な焼き色を付けようとすれば、生地の表面および内部を略均一に加熱してしまうため、内部まで焦げた状態となって内部のやわらか感が失われ、好ましい焼成食品を得るのは困難である。そのため、焼成食品を作製する場合、電子レンジによって未焼成の生地原料から焼成調理することは行なわれていなかった。仮に電子レンジによって未焼成の生地原料を焼成調理した場合は、その内部に焦げ目をつけない程度の加熱しかできないため、焼成食品の表面のみに焼き色(焦げ目)を付けることは困難であった。
【0010】
従って、本発明の目的は、電子レンジを使用して未焼成の穀物粉含有生地を焼成して焼成穀物粉含有食品を簡便かつ短時間で作製できる穀物粉含有食品の作製方法、および、マイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る穀物粉含有食品の作製方法の第一特徴手段は、未焼成の穀物粉含有生地を焼成して焼成穀物粉含有食品を作製するべく、少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して前記穀物粉含有生地を作製する生地作製工程と、作製した穀物粉含有生地を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体を備えた発熱部を有し、かつ当該発熱部によって前記穀物粉含有生地を囲繞できるマイクロ波発熱容器に充填する充填工程と、前記マイクロ波発熱容器の内部で前記穀物粉含有生地を発酵させる容器内発酵工程と、前記穀物粉含有生地を収容した前記マイクロ波発熱容器に対して前記マイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地を焼成するマイクロ波加熱工程と、を有する点にある。
【0012】
マイクロ波発熱体は、例えば電子レンジから照射されるマイクロ波を受けることで渦電流が生じてジュール熱が発生し、発熱する部材である。そのため、発酵後の穀物粉含有生地を、マイクロ波発熱体を備えた発熱部にて囲繞されるようにマイクロ波発熱容器に充填し、この状態で穀物粉含有生地にマイクロ波を照射すれば、未焼成の穀物粉含有生地を効率よく加熱して焼成することができる。
【0013】
穀物粉含有生地をマイクロ波発熱容器に充填したとき、穀物粉含有生地を発熱部に密着させることができる。さらに、マイクロ波発熱容器の内部で穀物粉含有生地を発酵させて膨化させると、より確実に穀物粉含有生地を発熱部に密着させることができる。この状態でマイクロ波を照射して発熱部を発熱させれば、当該発熱部に密着している未焼成の穀物粉含有生地には発熱部の温度が直接伝わるため、未焼成の穀物粉含有生地の表面および内部に効率よく熱を伝えることができる。特に、当該穀物粉含有生地の表面は発熱部によって直接焼成されるため、この表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができ、見た目、食感(クリスピー感)および風味に優れた焼成食品を作製することができる。
【0014】
また、未焼成の穀物粉含有生地の内部は発熱部からの伝熱および照射されるマイクロ波によって加熱して焼成することができるため、生地の表面から内部に熱が伝わるように焼成するオーブンの場合に比べて、焼成に要する時間を大幅に短縮することができる。例えば、当該穀物粉含有生地の内部を焦げ目が着かない程度に加熱して焼成すれば、穀物粉含有生地の内部はふんわりとした状態で焼成でき、かつ穀物粉含有生地の表面に適度な焼き色を付けることができる。
【0015】
このように本発明の穀物粉含有食品の作製方法では、未焼成の穀物粉含有生地の表面に適度な焼き色を付けながらその内部を焦がすことなく、迅速に焼成して穀物粉含有食品を作製することができる。また、本方法では、電子レンジに投入してマイクロ波を照射させるだけで、簡便かつ短時間で焼立ての焼成食品を作製することができるため、例えば忙しい朝食時に自宅で焼立ての焼成食品を供することができる。
【0016】
また、本方法は、電子レンジに投入してマイクロ波を照射させるだけで生地の状態から焼成食品を作製できるため、誰でも手軽に実施できる方法となる。さらに、短時間で生地の状態から焼成食品を作製できるため、その場で必要な分だけ未焼成の穀物粉含有生地をマイクロ波加熱すればよい。よって、例えば、必要数が不明なため予め多数の焼成食品を準備しておく必要がなくなり、余剰の焼成食品を廃棄するという無駄を避けることができる。
【0017】
本発明に係る穀物粉含有食品の作製方法の第二特徴手段は、前記容器内発酵工程の後、前記穀物粉含有生地および前記発熱部が密着するように前記マイクロ波発熱容器を封止する封止工程を行なう点にある。
【0018】
本封止工程によって、穀物粉含有生地の上面・側面・底面の各方向を、確実に発熱部によって囲繞し、かつ当該発熱部に密着させることができる。
また、発酵によって穀物粉含有生地が充填部の上端レベルを超えるまで膨化した場合、充填部を封止する部材によって押さえつけるようにして充填部を封止することができる。このように膨化した穀物粉含有生地を押さえつけて封止することにより、穀物粉含有生地は充填部の各面に形成してある発熱部と殆ど隙間なく密着するようになるため、穀物粉含有生地の焼成効率が向上する。
【0019】
本発明に係る穀物粉含有食品の作製方法の第三特徴手段は、前記マイクロ波加熱工程の前に、前記穀物粉含有生地を収容した前記マイクロ波発熱容器を冷凍する冷凍工程を行なう点にある。
【0020】
本冷凍工程によって発酵微生物の活動を停止させることができるため、発酵が完了する。穀物粉含有生地の流通を鑑みた場合、冷凍工程を行なうことによって穀物粉含有生地の品質を長期に亘って維持することができる。
【0021】
本発明に係るマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地の第一特徴構成は、少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して発酵させ、かつ未焼成の穀物粉含有生地を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体を備えた発熱部を有し、かつ前記穀物粉含有生地を充填する充填部を設けたマイクロ波発熱容器に充填した点にある。
【0022】
本構成によれば、穀物粉含有生地は、マイクロ波発熱容器に収容した状態で流通させることができる。よって、本構成では、マイクロ波発熱容器を、流通時に穀物粉含有生地を収容する収容容器として利用でき、穀物粉含有生地をマイクロ波発熱容器に収容した流通時のそのままの状態でマイクロ波を照射させて焼成することができるため、簡便に扱える。
【0023】
本発明に係るマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地の第二特徴構成は、前記充填部はシート状の基材を立体状に成形してあり、当該充填部の各面に前記発熱部を形成した点にある。
【0024】
本構成によれば、シート状の基材を立体状に成形するだけで容易に充填部を形成することができる。また、充填部の各面に発熱部を形成すれば、充填部に収容した穀物粉含有生地を確実に囲繞した状態で、当該穀物粉含有生地の表面を各方向から確実に加熱することができるため、穀物粉含有生地の焼成効率が向上する。
【0025】
本発明に係るマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地の第三特徴構成は、前記マイクロ波発熱体は、その表面に金属蒸着層を形成した点にある。
【0026】
本構成によれば、比熱容量の大きな金属を使用した蒸着層によってマイクロ波発熱体を構成することができるため、効率よく穀物粉含有生地を焼成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の穀物粉含有食品の作製方法の概要を示す流れ図である。
【図2】マイクロ波発熱容器の概要を示す図である。
【図3】発熱部(マイクロ波発熱体)の概要を示す図である。
【図4】充填工程、容器内発酵工程、封止工程におけるマイクロ波発熱容器の様子を示す断面図である。
【図5】充填工程におけるマイクロ波発熱容器の上面視の写真図である。
【図6】容器内発酵工程におけるマイクロ波発熱容器の上面視の写真図である。
【図7】本発明の方法によって作製された穀物粉含有食品(プレーンタイプのパン)の外観を示す写真図である。
【図8】本発明の方法によって作製された穀物粉含有食品(具入りタイプのパン)の外観を示す写真図である。
【図9】比較例1で作製した穀物粉含有食品(マイクロ波発熱容器未使用)の外観を示す写真図である。
【図10】比較例2で作製した穀物粉含有食品(マイクロ波発熱容器未使用、オーブンにて焼成)の外観を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の穀物粉含有食品の作製方法は、広く普及しており、かつ手軽に操作できる電子レンジを使用して、小麦粉などを生地原料とするパンなどの焼成食品を作製する方法である。特に本発明の方法では、電子レンジを使用して未焼成の穀物粉含有生地を焼成し、焼成穀物粉含有食品を作製する。
【0029】
即ち、本発明の穀物粉含有食品の作製方法は、図1,2に示したように、少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して穀物粉含有生地10を作製する生地作製工程Aと、作製した穀物粉含有生地10を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体22を備えた発熱部21を有し、かつ発熱部21によって穀物粉含有生地10を囲繞できるマイクロ波発熱容器20に充填する充填工程Bと、マイクロ波発熱容器20の内部で穀物粉含有生地10を発酵させる容器内発酵工程Cと、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱容器20に対してマイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地10を焼成するマイクロ波加熱工程Fと、を有する。
【0030】
容器内発酵工程Cの後には、穀物粉含有生地10および発熱部21が密着するようにマイクロ波発熱容器20を封止する封止工程Dを行なうとよい。
【0031】
さらに、マイクロ波加熱工程Fの前に、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱容器20を冷凍する冷凍工程Eを行なうことが可能である。
【0032】
(穀物粉含有生地)
穀物粉含有生地10は、穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏させた食品の生地のことをいう。当該穀物粉含有生地10を加熱して焼成することにより、焼成穀物粉含有食品を作製することができる。
【0033】
本明細書における「穀物粉」とは、穀物由来の粉体のことをいう。穀物由来の粉体としては、例えば小麦粉・ライ麦粉・トウモロコシ粉・エンバク粉・米粉などが例示されるが、これに限られるものではない。小麦粉としては、例えば強力粉・薄力粉・中力粉・浮き粉・全粒粉・グラハム粉・セモリナ粉など、公知のものが使用できる。
また、本明細書にいう「発酵微生物」とは、穀物粉を発酵基質とする微生物のことであり、例えばパン酵母(イースト)、乳酸菌などが例示されるが、これに限られるものではない。
【0034】
生地原料は、穀物粉および発酵微生物の他に、水、塩、バター、砂糖、蜂蜜、食物繊維、植物油脂(大豆油・パーム油等)、膨張剤(ベーキングパウダー)、澱粉(馬鈴薯澱粉・コーンスターチ等)、調味料(ソース粉末等)、香辛料(カレーパウダー等)、着色料(ビートレッド・アカキャベツ色素・パプリカ色素・クチナシ青色素・クロロフィル等)、牛乳、増粘剤、脱脂粉乳、野菜乾燥粉末、果物乾燥粉末、酸化防止剤(ビタミンE・ビタミンC等)、乾燥肉粉末、胡麻粉末、チップチョコレート、ココアパウダー、クリ、ナッツ類、卵黄粉末などを添加することができるが、さらに他の成分が配合されていてもよい。
また、穀物粉含有生地10を作製した後、穀物粉含有生地10で具材を覆う、或いは、穀物粉含有生地10に具材を載置するようにしてもよい。当該具材としては、ベーコン・ソーセージ等の肉類、チーズ、卵、野菜など、具材として公知のものを使用できる。
【0035】
(マイクロ波発熱容器)
マイクロ波発熱容器20は、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体22を備えた発熱部21を有し、かつ穀物粉含有生地10を充填する充填部23を設ける。
【0036】
マイクロ波発熱体22は、電子レンジから照射されるマイクロ波を受けることで渦電流が生じてジュール熱が発生して発熱する部材であり、穀物粉含有生地10をより高温(100℃以上、好ましくは、150〜250℃)に加熱することができる。マイクロ波発熱体22は、発熱部21の全面又は一部分に存在すればよい。即ち、発熱部21の領域に、単数または複数のマイクロ波発熱体22を有するようにする。発熱部21の一部分にマイクロ波発熱体22が存在する場合は、例えば複数のマイクロ波発熱体22を格子状に配置した領域が発熱部21となる。本実施形態では、発熱部21の全面にマイクロ波発熱体22が存在する場合について説明する。
【0037】
マイクロ波発熱体22は、紙あるいはプラスチックフィルムなどのシート状の基台22aに、電子レンジから放射されるマイクロ波を吸収して熱を発生するマイクロ波吸収材料22bを蒸着などによって付着させたものである。本発明で使用するマイクロ波発熱体22は、電子レンジから放射されるマイクロ波の公知の波長域に対して発熱できるものを使用することができる。尚、本実施形態では調理器具として電子レンジを例示しているが、マイクロ波を未焼成の穀物粉含有生地に照射できる態様の調理器具であれば、使用できる。
【0038】
マイクロ波発熱体22を構成する基台22aとしては、例えば金属蒸着加工適性を有していれば、特に種類を限定する必要はなく、発熱させようとする熱量に応じて選択すればよい。例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル等から成るフィルムやシートが挙げられる。これらフィルムの厚みは特に限定されないが、蒸着加工等の機械加工適性を考慮した場合、5〜100μm程度とするのがよい。
【0039】
当該マイクロ波吸収材料22bとしては、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、コバルト、インジウム−スズ複合酸化物等の金属類の粉体、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸珪素、珪藻土、アルミナ、水酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、フェライト、フェライトシリカ、マグネタイト等の磁性粒子又は焼結体、導電性カーボン(ブラックカーボン)、活性炭などを挙げることができるが、これに限られるものではない。これらの材料から一種又は複数を組み合わせて使用できる。
当該マイクロ波吸収材料の表面は、プラスチックフィルムなどのシート22cによって被覆してもよい。
【0040】
例えば、マイクロ波吸収材料22bとしてその表面に金属蒸着層を形成したマイクロ波発熱体22として、三層構造(PETシート/アルミニウム蒸着層/紙基台)のサセプターを使用することができ、このようなサセプターにマイクロ波を照射すると、例えば約10秒で180〜250℃まで温度上昇する。
【0041】
充填部23は、穀物粉含有生地10を囲繞できるように立体的に成形すればよく、例えば立方体状、直方体状およびカップ状などが例示される。本実施形態における充填部23は、シート状の基材を折り曲げ加工して容器状に成形する場合を示す。シート状の基材を折り曲げ加工する際の加工容易さなどを鑑みると、立方体状や直方体状にするのが好ましい。充填部23をカップ状に成形するなど、曲線部分を有する形状に成形する場合はシート状の基材を曲げ加工するとよい。しかし、当該充填部23の形状はこれらに限られるものではなく、焼成穀物粉含有食品がとり得る所望の形状に成形すればよい。
また、シート状の基材を折り曲げ加工することなく、複数のシート状の基材を組み合わせて穀物粉含有生地10を囲繞できるようにしてもよい。
充填部23の容積は特に限定されるものではないが、例えば50〜300mL程度とすれば、凡そ一食分以内の焼成食品を作製できる量の生地原料を収容することができる。また、この程度の容積であれば、電子レンジによる加熱調理の時間を数分以内に設定できる。
【0042】
充填部23は、穀物粉含有生地10を収容したのちに封止できる態様とする。例えば、充填部23の上面を開放可能に形成し、上面部材23aによって封止できるように構成する。当該上面部材23aは、穀物粉含有生地10を充填部23に収容した後に穀物粉含有生地10に上方から載置して封止する、或いは、上面部材23aをシャッターのようにスライド移動させて封止できるように構成すればよい。例えば上面部材23aを穀物粉含有生地10に載置するタイミングは、穀物粉含有生地10の発酵の程度によって異ならせてもよい。
【0043】
発酵による穀物粉含有生地10の膨化が充填部23の上端レベルを超えない程度である場合、上面部材23aは、充填部23の内部に落し蓋のように穀物粉含有生地10に載置するだけでよい。穀物粉含有生地10に載置した上面部材23aは、穀物粉含有生地10の膨化に伴い、充填部23の上方に移動する。そのため、例えば充填部23の上端レベルを超えないように上面部材23aの移動範囲を規制する規制部材(図外)を設けるとよい。
【0044】
発酵による穀物粉含有生地10の膨化が充填部23の上端レベルを超えている場合、穀物粉含有生地10を上面部材23aによって充填部23の内部方向に押さえつけるようにして、当該上面部材23aが充填部23の上端レベルに略一致する位置まで移動させて充填部23を封止する。
【0045】
当該充填部23の各面には発熱部21を形成するのがよい。例えば、充填部23を立方体状あるいは直方体状に形成した場合は、六面に発熱部21を形成する。このように発熱部21を形成することで、充填部23に収容した穀物粉含有生地10を確実に囲繞した状態で、当該穀物粉含有生地10の表面を立方体の各方向から確実に加熱することができる。
【0046】
(生地作製工程)
生地作製工程Aでは、穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して穀物粉含有生地10を作製する。
【0047】
穀物粉(例えば小麦粉)および発酵微生物(例えばイースト)などの上述した各生地原料を計量したのち、当該各生地原料を均一に混合する。イーストは温度が低すぎると活性化し難く、高すぎると死滅する。そのため、各生地原料を混合する際には、イーストの活性化温度を考慮して、各生地原料の温度を予め調整しておくとよい。混捏の際にイーストを活性化させたくない場合は各生地原料の温度を低く設定し、混捏の際にイーストを活性化させる場合は、イーストが良好に発酵するように各生地原料の温度を例えば30〜40℃程度に調整しておくとよい。
【0048】
小麦粉に含まれるタンパク質のグリアジン・グルテニンは水分を加えて混捏することによって粘りと弾力に富むグルテンとなり、当該グルテンの膜がイーストの発酵作用によって発生する二酸化炭素ガスを包み込むことで生地原料は膨化する。生地作製工程Aでは、生地からのガス抜き、生地休めのベンチタイムを適宜行なうとよい。
【0049】
(充填工程)
生地作製工程Aで作製したペースト状の穀物粉含有生地10を、所望の大きさ、形状に成形してマイクロ波発熱容器20に充填し、穀物粉含有生地10を発熱部21に密着させる。このとき、例えば充填部23の容積の35〜50%程度を満たすように、ペースト状の穀物粉含有生地10を充填部23に収容するとよい(図4(a))。
【0050】
イーストが活動する温度で各生地原料の混捏を行なった場合、ペースト状の穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱容器20に充填する際には、発酵によって発生した二酸化炭素ガスが抜けないように、生地の表面がしっかり張るようにある程度の丸みを帯びた状態とするのがよい。このように生地の表面に張りを持たせた状態で、充填部23に形成してある発熱部21および当該ペースト状の穀物粉含有生地10を接触させる。このとき、生地と充填部23との間はできるだけ隙間ができないように密着させると、発熱部21が発熱した際に、生地に熱が伝わり易くなる。
【0051】
(容器内発酵工程)
充填部23に穀物粉含有生地10を収容した状態を維持し、マイクロ波発熱容器20の内部で穀物粉含有生地10を発酵させる容器内発酵工程Cを行なう。生地作製工程Aにおいて適温で生地原料を混捏および静置している際には、既に発酵微生物による発酵が始まっている場合があるが、本発明では、容器内発酵工程Cの前における穀物粉含有生地10の発酵の有無は問わない。マイクロ波発熱容器20の内部で穀物粉含有生地を発酵させて膨化させると、より確実に穀物粉含有生地10を発熱部21に密着させることができる。
【0052】
本容器内発酵工程Cでは20〜40℃で20〜80分程度の発酵を行なう。発酵に伴う穀物粉含有生地10の膨化によって、充填部23の側方23bの四面および底面23cにおいては、穀物粉含有生地10および充填部23との間に存在する隙間が減少してくる。さらに容器内発酵工程Cにおける発酵が進行すると、穀物粉含有生地10は、充填部23の上端レベルを超えるまで膨化する(図4(b))。このように、容器内発酵工程Cでは、マイクロ波発熱容器の内部で、穀物粉含有生地10の容積が充填部23に収容する前の1.5〜3倍程度に膨化するまで発酵させる。
【0053】
(封止工程)
容器内発酵工程Cの後、穀物粉含有生地10および発熱部21が密着するようにマイクロ波発熱容器20を封止する封止工程Dを行なう。当該封止工程Dによって、穀物粉含有生地10の上面・側面・底面の各方向を確実に発熱部21によって囲繞し、かつ当該発熱部21に密着させることができる。
【0054】
当該封止工程Dでは、充填部23の上端レベルを超えるまで膨化した穀物粉含有生地10を、充填部23を封止する上面部材23aによって上方から押さえつけるようにして充填部23を封止する(図4(c))。当該上面部材23aによって膨化した穀物粉含有生地10を押さえつけることにより、穀物粉含有生地10は充填部23の各面に形成してある発熱部21と殆ど隙間なく密着するようになる。
【0055】
上面部材23aは、充填部23を封止する態様であれば、上方から押さえつける態様に限らず、その他にもシャッターのようにスライド移動させて封止できるように構成してもよい。
【0056】
(冷凍工程)
冷凍工程Eは、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱容器20を冷凍する工程である。当該冷凍工程Eによって発酵微生物の活動を停止させることができるため、発酵が完了する。穀物粉含有生地の流通を鑑みた場合、冷凍工程Eを行なうことによって穀物粉含有生地10の品質を長期に亘って維持することができる。
尚、本冷凍工程Eは省略することが可能であり、封止工程Dの後にマイクロ波加熱工程Fを行なってもよい。
【0057】
(マイクロ波加熱工程)
マイクロ波加熱工程Fは、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱容器20に対してマイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地10を焼成する工程である。本工程は、冷凍工程Eの有無によらず行なえる。
【0058】
電子レンジに投入してマイクロ波発熱容器20にマイクロ波を照射させると、発熱部21が100〜250℃程度まで昇温する。このとき、当該発熱部21に密着している未焼成の穀物粉含有生地10に発熱部21の温度が直接伝わるため、未焼成の穀物粉含有生地10の表面および内部に効率よく熱を伝えることができる。特に、当該穀物粉含有生地10の表面は発熱部21によって直接焼成されるため、この表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができ、見た目、食感および風味に優れた焼成食品を作製することができる。
【0059】
また、未焼成の穀物粉含有生地10の内部は発熱部21からの伝熱および電子レンジより照射されるマイクロ波によって加熱して焼成することができるため、迅速に焼成できる。例えば、当該穀物粉含有生地10の内部を焦げ目が着かない程度の時間(2〜4分程度)で加熱して焼成すればよい。穀物粉含有生地10の内部は100℃程度で焼成が行なわれるように発熱部21の大きさやマイクロ波発熱体22の構成材料を調整するとよい。
【0060】
このように本発明の穀物粉含有食品の作製方法では、未焼成の穀物粉含有生地10の表面に適度な焼き色を付けながらその内部を焦がすことなく、迅速に焼成して穀物粉含有食品を作製することができる。
【0061】
また、本発明の穀物粉含有食品の作製方法では、冷凍工程Eを行なった場合であっても穀物粉含有生地10を解凍することなく、電子レンジによって短時間で焼成して焼成食品を作製することができるため、解凍の手間・時間を省くことができるため、穀物粉含有食品を作製するプロセスを簡略化できる。
【0062】
(マイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地)
上述したように、穀物粉含有生地の流通を鑑みた場合、冷凍工程Eを行なうことによって穀物粉含有生地10の品質を長期に亘って維持することができる。即ち、当該冷凍工程Eを行なった後、穀物粉含有生地は、マイクロ波発熱容器に収容した状態で流通させることができる。このように本態様では、マイクロ波発熱容器を、流通時に穀物粉含有生地を収容する収容容器として利用でき、穀物粉含有生地をマイクロ波発熱容器に収容した流通時のそのままの状態で電子レンジにて焼成することができる。
【実施例】
【0063】
本発明の実施例を以下に説明する。
焼成穀物粉含有食品としてパン(プレーンタイプ、具材入りタイプ)を、本発明の穀物粉含有食品の作製方法によって作製した。穀物粉は強力粉を使用し、発酵微生物はドライイーストを使用した。使用した生地原料の詳細な組成を表1(プレーンタイプ)、および、表2(具材入りタイプ)に示した。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
具材入りタイプのパンの具材はベーコン、チーズを使用した。パン生地はストレート法によって調整した。
【0067】
マイクロ波発熱容器20は、サセプターとしてシート状のQwik Wave(Graphic Packaging International社製)を、80×60×50mmのサイズとなるように直方体状に折り曲げ加工して作製した。
【0068】
生地原料を混捏して穀物粉含有生地10を作製し(生地作製工程A)、マイクロ波発熱容器20に充填した(充填工程B、図5)。このとき、プレーンタイプのパンは、一つのマイクロ波発熱容器20につき100gずつ充填した。一方、具材入りタイプのパンは、ベーコン12g,5mm角チーズ12gを65gの穀物粉含有生地10で包み込み、マイクロ波発熱容器20に充填した。
【0069】
マイクロ波発熱容器20の内部でそれぞれの穀物粉含有生地10を発酵させる容器内発酵工程Cを25℃、40分の条件で行なった(図6)。その後、充填部23を封止する上面部材23aによって膨化した穀物粉含有生地10を押さえつけるようにして充填部23を封止した(封止工程D)。この状態でマイクロ波加熱工程Fが行なわれるまで−20℃で冷凍保存した(冷凍工程E)。
【0070】
プレーンタイプのパン生地について、冷凍状態のマイクロ波発熱容器20入り穀物粉含有生地10を電子レンジに投入し、500W、4分10秒の条件でマイクロ波を照射した(マイクロ波加熱工程F)。焼成して作製した穀物粉含有食品(プレーンタイプのパン)の写真図を図7((a)上面斜視(b)上面視(c)底面視(d)長辺の側面視(e)短辺の側面視(f)断面視)に示した。
その結果、穀物粉含有食品の表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができたと認められた(図7(a)〜(e))。また、穀物粉含有食品の内部は、適度な空隙が認められ、焼きムラや大きな空隙は認められず、焦げ付きも認められなかった(図7(f))。
【0071】
これより、本発明の穀物粉含有食品の作製方法によって作製したプレーンタイプのパンは、短時間で穀物粉含有生地10から穀物粉含有食品になるまでふんわり感を損なうことなく良好な状態で焼成でき、かつ適度な焼き色を付けた状態で作製できるものと認められた。
【0072】
一方、具入りタイプのパン生地について、冷凍状態のマイクロ波発熱容器20入り穀物粉含有生地10を電子レンジに投入し、500W、4分10秒の条件でマイクロ波を照射した(マイクロ波加熱工程F)。焼成して作製した穀物粉含有食品(具入りタイプのパン)の写真図を図8((a)上面斜視(b)断面視)に示した。
その結果、穀物粉含有食品の表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができた(図8(a))。また、穀物粉含有食品の内部は、焼きムラおよび焦げ付きは認められなかった(図8(b))。図8(b)に認められる大きな空隙は、凍結状態でチーズに含まれていた水分が、マイクロ波照射および発熱部21からの伝熱によって急激に温度上昇したことで形成されたと考えられる。しかし、穀物粉含有食品の形状を崩すことなく、大きな空隙以外の部分には適度な空隙が認められたためふんわり感を損なうことなく、良好な状態で焼成できたと認められた。
【0073】
これより、本発明の穀物粉含有食品の作製方法によって作製した具入りタイプのパンは、具材を焦げさせたりすることなく短時間で穀物粉含有生地10から穀物粉含有食品を良好な状態で焼成でき、かつ適度な焼き色を付けた状態で作製できるものと認められた。
【0074】
〔比較例1〕
上述した実施例のプレーンタイプのパンで使用した生地原料を用いて、マイクロ波発熱容器20の代わりに透明の耐熱ガラス容器を使用して電子レンジにてプレーンタイプのパンを作製した。マイクロ波加熱工程は、500Wの条件で穀物粉含有食品の表面に焦げ目が付くまで行なった。マイクロ波の照射を始めて9分30秒で焦げ目がつき始めたため、焼成を停止した。
【0075】
焼成して作製した穀物粉含有食品の写真図を図9((a)マイクロ波加熱前上面斜視(b)加熱後上面斜視(c)加熱後断面視)に示した。本比較例1ではマイクロ波発熱容器20を使用していないため、穀物粉含有生地を直接加熱する発熱部21は存在しない。そのため、穀物粉含有食品の表面に焦げ目を付けるのに、上記実施例の場合と比べて2倍以上の時間を要した。また、穀物粉含有食品の表面だけでなく内部にも焦げ目が認められた(図9(c))。
【0076】
〔比較例2〕
上述した実施例のプレーンタイプのパンで使用した生地原料を用いて、マイクロ波発熱容器20の代わりに透明の耐熱ガラス容器を使用してオーブンにてプレーンタイプのパンを作製した。オーブンでの焼成は、180℃で行い、穀物粉含有食品の表面に焦げ目が付くまで行なった。焼成を始めて16分で焦げ目がつき始めたため、焼成を停止した。
【0077】
焼成して作製した穀物粉含有食品の写真図を図10((a)焼成後上面斜視(b)焼成後断面視)に示した。その結果、穀物粉含有食品の表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができたが、焦げ目を付けるのに上記実施例の場合と比べて4倍の時間を要した。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の穀物粉含有食品の作製方法およびマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地は、穀物由来の粉体を発酵微生物によって発酵させた後に焼成して穀物粉含有食品を作製するのに利用できる。
【符号の説明】
【0079】
A 生地作製工程
B 充填工程
C 容器内発酵工程
D 封止工程
E 冷凍工程
F マイクロ波加熱工程
10 穀物粉含有生地
20 マイクロ波発熱容器
21 発熱部
22 マイクロ波発熱体
23 充填部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未焼成の穀物粉含有生地を焼成して焼成穀物粉含有食品を作製するべく、
少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して前記穀物粉含有生地を作製する生地作製工程と、
作製した穀物粉含有生地を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体を備えた発熱部を有し、かつ当該発熱部によって前記穀物粉含有生地を囲繞できるマイクロ波発熱容器に充填する充填工程と、
前記マイクロ波発熱容器の内部で前記穀物粉含有生地を発酵させる容器内発酵工程と、
前記穀物粉含有生地を収容した前記マイクロ波発熱容器に対して前記マイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地を焼成するマイクロ波加熱工程と、
を有する穀物粉含有食品の作製方法。
【請求項2】
前記容器内発酵工程の後、前記穀物粉含有生地および前記発熱部が密着するように前記マイクロ波発熱容器を封止する封止工程を行なう請求項1に記載の穀物粉含有食品の作製方法。
【請求項3】
前記マイクロ波加熱工程の前に、前記穀物粉含有生地を収容した前記マイクロ波発熱容器を冷凍する冷凍工程を行なう請求項1又は2に記載の穀物粉含有食品の作製方法。
【請求項4】
少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して発酵させ、かつ未焼成の穀物粉含有生地を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体を備えた発熱部を有し、かつ前記穀物粉含有生地を充填する充填部を設けたマイクロ波発熱容器に充填したマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地。
【請求項5】
前記充填部はシート状の基材を立体状に成形してあり、当該充填部の各面に前記発熱部を形成してある請求項4に記載のマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地。
【請求項6】
前記マイクロ波発熱体は、その表面に金属蒸着層を形成してある請求項4又は5に記載のマイクロ波発熱容器入り穀物粉含有生地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−125219(P2012−125219A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281813(P2010−281813)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(507152970)公益財団法人東洋食品研究所 (14)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】