説明

積層されたコンデンサ素子を含むコンデンサユニットおよびデバイス

【課題】複数のコンデンサ素子を重ね合わせたコンデンサユニットおよびそれを有するデバイスを提供する。
【解決手段】複数のコンデンサ素子83a〜83cを積層したコンデンサユニット90を提供する。各々の素子83a〜83cは、弁作用を備えた板状の基体23と、基体23の第1の面23aに順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および電極層26aを含む第1の機能層31と、基体23の第2の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および電極層を含む第2の機能層と、基体の第1の面23aの4隅39a〜39dに設けられた陽極部21とを有する。このコンデンサユニット90は、各々の素子83a〜83cの4隅39a〜39dが他の素子に対し上方に現れ、ボンディングしやすくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層タイプのコンデンサユニットおよびそれを内蔵した実装用のデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面に誘電体酸化皮膜層を有する平板状の弁作用金属板の一方側に陽極部を、他方側に固体電解質層、陰極引出層からなる陰極部を形成したコンデンサ素子基板を複数枚積層する積層型固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子基板の陽極部が陰極部を中心に対向するように交互に積層することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−116064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器の高周波化に伴って電子部品の一つであるコンデンサにも高周波領域でのインピーダンス特性に優れるコンデンサが求められている。特に、パーソナルコンピュータのCPU周り等に固体電解コンデンサが多く用いられている。電子機器のCPU周りに用いられるコンデンサには、小型大容量であることに加え、さらに、高周波化に対応し、ノイズ除去や過渡応答性に優れた性能を得るために、低ESR(等価直列抵抗)および低ESL(等価直列インダクタンス)であることが要求されている。
【0005】
大容量化する1つの方法は、コンデンサ素子の積層枚数を増やすことである。それにより、ESRは低下するものの、ESL特性が悪化しやすい。さらに、積層された複数のコンデンサ素子が基板あるいはリードフレームなどと接続しやすいことも重要である。
【0006】
そこで、本発明の目的の1つは、積層型の大容量、低ESRおよび低ESLで、さらに、基板またはリードフレームとの接続も容易なコンデンサユニットおよびそれを有するデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1の方向に積み重なるように配置された複数のコンデンサ素子を有するコンデンサユニットである。複数のコンデンサ素子の各々の素子は、弁作用を備えた板状の基体と、基体の第1の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および第1の電極層を含む第1の機能層と、基体の第2の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および第2の電極層を含む第2の機能層と、基体の第1の面の4隅を含む部分が現れることにより形成された電極部とを含む。このコンデンサユニットにおいては、さらに、各々の素子の第1の面の4隅が、複数のコンデンサ素子の他の素子に対して、各々の素子を積層した方向、すなわち第1の方向に現れている。
【0008】
このコンデンサユニットにおいては、積層されている各々の素子の第1の面の4隅が他の素子に対して各々の素子を積層した第1の方向に現れ、他の素子の4隅と相互に重ならず、第1の方向からアクセスできる。このため、典型的には陽極部となる、積み重ねられた各々の素子の第1の面の4隅の電極部に対し、第1の方向から、様々な方法により、典型的にはワイヤーボンディングやリードフレームにより容易に接続できる。したがって、複数のコンデンサ素子を積層したコンデンサユニットにおいて、各々の素子と電気的な接続を得やすく、接触不良なども発生しにくく、低コストで信頼性の高い大容量のコンデンサユニットを提供できる。
【0009】
さらに、このコンデンサユニットにおいては、複数の素子のそれぞれの4隅が異なった方向に現れるように積み重ねられる。したがって、各々の素子においては典型的には4方に電流が流れ、コンデンサユニットにおいては、さらに多様な方向に電流が流れる。このため、磁界が打ち消されやすく、低ESLのコンデンサユニットを提供しやすい。
【0010】
また、このコンデンサユニットにおいては、複数の素子のそれぞれの4隅が異なった方向に現れるように積み重ねられる。このため、多種多様の方向にボンディングワイヤーやリードフレームを配置しやすく、このコンデンサユニットを採用することにより多数の接続電極を備えたデバイスを構成しやすい。
【0011】
さらに、このコンデンサユニットにおいては、複数の素子のそれぞれの4隅が異なった方向に現れるように積み重ねられるので、各々の素子の基体のほとんどの部分は相互に積層された状態になる。このため、多数の電極部が周辺に現れたコンデンサユニットであって、スペース効率が高く、第1の方向から見た状態が対称的(回転対称的)な形状の安定したコンデンサユニットを提供できる。したがって、コンパクトで、大容量、低ESRおよび低ESLで、さらに、基板あるいはリードフレームとの接続も容易で、多電極化も容易なコンデンサユニットを提供できる。
【0012】
コンデンサユニットの各素子は、基体を貫通する貫通孔と、貫通孔の内周面に設けられた第3の電極層であって、第1の電極層と、第2の電極層を電気的に接続する第3の電極層とを含むものであってもよい。貫通孔に設けられた第3の電極層(貫通電極)により第1および第2の電極層を電気的に接続でき、積み上げられた複数のコンデンサ素子は、対峙する第1の電極層と第2の電極層とを接続することにより並列に接続できる。
【0013】
さらに、このコンデンサユニットは、貫通孔の内周面に、基体に接する側から順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および電極層を含む第3の機能層が設けられていることが望ましい。複数のコンデンサ素子の基体を貫通する貫通孔の内周面に第3の機能層を設けることにより、貫通孔の内周面を固体電解コンデンサとして機能させることができる。このため、基体に設けられる貫通孔により第1の面および第2の面の面積が低下することによる容量の低下を抑制できる。したがって、上記複数のコンデンサ素子の各々を積層することにより、大容量でかつ低ESRおよび低ESLのコンデンサユニットを提供しやすい。
【0014】
コンデンサユニットの各素子は、電極部が4隅に限らず、基体の第1の面の全周に現れているものであってもよい。そのような素子は、第1の面の全周(典型的には陽極部(陽極))が現れており、第1の機能層の電極層(典型的には陰極部(陰極))を取り囲むように陽極部と陰極部とが対向する位置に配置される。このため、各コンデンサ素子における極間の距離が縮まるのでESRを低減しやすく、各コンデンサ素子における電流の流れる方向を多様化できるのでESLを低減しやすい。したがって、上記複数のコンデンサ素子の各々を積層することにより、さらに低ESRおよび低ESLのコンデンサユニット(素子積層体)を提供しやすい。
【0015】
さらに、複数の素子のそれぞれの4隅を異なった方向に現れるように積み重ねる配置の1つは、各々の素子の第1の面の4隅が第1の円(ある1つの円)の円周にほぼ沿って配置することである。各々の素子が同一形状、たとえば、四角形であれば、それらの素子を、ある1点を中心として積層することにより、それらの素子の4隅(典型的には陽極部)は、上記ある1点のまわりに形成されるある1つの円周に沿って(内接するように)配置される。複数のコンデンサ素子を積層したときの偏りを抑制でき、バランスのよい、形状的に安定したコンデンサユニットを提供しやすい。
【0016】
コンデンサユニットの各素子は、電極部が4隅に加え、基体の第1の面の対峙する2辺に現れているものであってもよい。このコンデンサユニットにおいては、各々の素子の第1の面の対峙する2辺が、複数のコンデンサ素子の他の素子に対して、各々の素子を積層した方向、すなわち第1の方向に現れている。
【0017】
さらに、このコンデンサユニットは、第1の方向に順次積み重なるように配置された第1の素子および第2の素子であって、第2の素子は第1の素子よりも小さく、第2の素子の周縁は第1の素子の周縁よりも内側に配置されているものであってもよい。第2の素子の全体が第1の素子の第1の方向に搭載された状態になるので、第2の素子が電極部を含めて安定しやすい。
【0018】
典型的な各々のコンデンサ素子では、電極部は当該コンデンサ素子の陽極であり、第1の機能層の電極層および第2の機能層の電極層は当該コンデンサ素子の陰極である。なお、典型的には陰極として機能する電極層は、固体電解質層が真の陰極として機能する役割を担っている。
【0019】
本発明の異なる態様の1つは、上記コンデンサユニットと、コンデンサユニットを搭載した基板とを有する表面実装用のデバイスである。基板は、各々の素子の電極部の少なくともいずれかに電気的に接続された第1の接続電極と、複数のコンデンサ素子のうちの基板に面する素子の第2の電極層に電気的に接続された第2の接続電極とを含み、デバイスは、外装用の樹脂によりコンデンサユニットおよび基板を含めて一体に成形されている。
【0020】
このデバイスでは、各々の素子の電極部のいずれかと第1の接続電極とはワイヤーボンディングにより接続できる。また、本発明の異なる態様の1つは、上記デバイスが実装されたプリント配線板、およびそのプリント配線板を有する電子機器である。
【0021】
さらに、本発明の異なる態様の1つは、第1の方向に積み重なるように配置された複数のコンデンサ素子を有するコンデンサユニットを製造する方法である。各素子は上記のように基体と、第1の機能層と、第2の機能層と、電極部とを備えている。この方法は、各々の素子の第1の面の4隅がコンデンサ素子の他の素子に対して第1の方向に現れるように、各々の素子を積層する工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】デバイスの概要を示す斜視図。
【図2】デバイスの実装面を示す図。
【図3】デバイスを、モールド樹脂を除いた状態で示す斜視図。
【図4】デバイスを基板とコンデンサユニットに展開した図。
【図5】デバイスの断面図。
【図6】複数のコンデンサ素子の各々を積層する状態を展開して示す図。
【図7】コンデンサユニットの平面図。
【図8】図7に示すコンデンサユニットの底面図。
【図9】図7に示すコンデンサユニットの断面図。
【図10】デバイスを搭載したプリント配線板の一部を示す断面図。
【図11】異なるコンデンサユニットを搭載したデバイスを、モールド樹脂を除いた状態で示す平面図。
【図12】異なるコンデンサ素子の平面図。
【図13】図12に示すコンデンサ素子の底面図。
【図14】図12に示すコンデンサ素子の断面図。
【図15】さらに異なるコンデンサユニットを搭載したデバイスを、モールド樹脂を除いた状態で示す平面図。
【図16】異なるコンデンサ素子の平面図。
【図17】さらに異なるコンデンサユニットを示す平面図。
【図18】さらに異なるコンデンサユニットを搭載したデバイスを、モールド樹脂を除いた状態で示す平面図。
【図19】異なるコンデンサ素子の平面図。
【図20】さらに異なるコンデンサユニットを搭載したデバイスを、モールド樹脂を除いた状態で示す平面図。
【図21】異なるコンデンサ素子の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、本発明に係るコンデンサユニットを含むデバイスの一例を示している。このデバイス1は、基板10と、基板10の搭載側の面11に搭載されたコンデンサユニット90とを有し、外装用の樹脂(モールド樹脂)3により基板10およびコンデンサユニット90を含めて方形または矩形となるように一体に成形された表面実装用のデバイスである。
【0024】
図2に、デバイス1の実装面2を示している。このデバイス1では、基板10の実装側の面12が外装用の樹脂3に覆われておらず、実装面2として現れている。デバイス1の実装面2、すなわち、基板10の実装側の面12には、全周13にわたり、第1の端子電極51と、第2の端子電極52とが近接するように配置されている。このデバイス1の第1の端子電極51は、コンデンサユニット90の陽極に接続された陽極端子である。デバイス1は、12個の陽極端子(端子電極)51を備えており、基板10の実装側の面12の4辺14a〜14dのそれぞれに形成されている。デバイス1の第2の端子電極52は、コンデンサユニット90の陰極に接続された陰極端子であり、基板10の実装側の面12の、陽極端子51を除いた部分に配置されている。陽極端子51および陰極端子(端子電極)52は、絶縁用のギャップ59により区切られている。絶縁用のギャップ59は、0.1mmから2mm程度であり、0.2mmから1mm程度であることが好ましい。ギャップ59は、空間であっても、絶縁用の樹脂により埋められていてもよい。
【0025】
図3にデバイス1のモールド樹脂3を除いた状態を示している。図4に基板10とコンデンサユニット90とを分離した状態を示している。図5にデバイス1の断面図(図1のV-V断面)を示している。
【0026】
このデバイス1のコンデンサユニット90は積層タイプであり、基板10の搭載側の面11の上に基板10の側から3枚のコンデンサ素子83a、83bおよび83cが上方(第1の方向)99に積み重ねられ、それら3つのコンデンサ素子83a、83bおよび83cにより1つのコンデンサユニット90が形成されている。3つのコンデンサ素子83a、83bおよび83cは各々同一の構成である。したがって、以降において、個々のコンデンサ素子の構成については、最も上のコンデンサ素子83cまたは最も下のコンデンサ素子83aを参照して説明する。
【0027】
図6に、複数のコンデンサ素子を積層して(積み重ねて)コンデンサユニット90を形成する様子を示している。図7は、コンデンサユニット90の上方(第1の方向)99から見た平面図を示しており、最も上に重ねられたコンデンサ素子83cの電極層26aが現れている。図8は、コンデンサユニット90を、上方99と逆の下方から見た底面図を示しており、最も下のコンデンサ素子83aの電極層26bが現れている。さらに、図9に、当該コンデンサユニット90の断面図(図4のIX-IX断面)を示している。
【0028】
コンデンサ素子(コンデンサコア)83a〜83cは、固体電解コンデンサ(固体電解コンデンサ素子)である。それぞれのコンデンサ素子83a〜83cは、ほぼ正方形にカットされた板状または薄膜状の弁作用基体23を有する。弁作用基体23はエッチングなどにより多孔質化が施された第1の面23aおよび第2の面23bを含む。この例では、第2の面23bは、基板10の搭載側の面11に面した下側の面(下面)であり、第1の面23aは第2の面23bの反対側の上側の面(上面)である。これらの面23aおよび23bは上下逆転してもよく、左右に面していてもよい。
【0029】
図9に示すように、基体23の第1の面23aには、第1の機能層31が形成されている。第1の機能層31は、第1の面23aに順次積層された誘電体酸化被膜24a、固体電解質層25a、および電極層26aを含む。弁作用基体23としては、エッチドアルミニウム箔、タンタル焼結体、ニオブ焼結体またはチタン焼結体があげられる。本例では、基体23としてエッチドアルミニウム箔が用いられている。誘電体酸化被膜24aは、基体23がエッチドアルミニウム箔であれば、その表面に形成された酸化アルミニウムである。固体電解質層25aは、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子を電解重合などにより誘電体酸化被膜24aの上に積層させることにより形成できる。電極層26aの一例は、固体電解質層25aの上に積層された導電性ペーストであり、陰極部22を構成する。第1の機能層31は、接触抵抗を低減させるために固体電解質層25aと電極層26aの間に積層される高導電性のグラファイト層などを含んでいてもよい。なお、本明細書において陰極部22として機能するように記載している電極層26aは見かけ上の陰極であって、固体電解質層25aが真の陰極として機能する役割を担っている。以下においても同様である。
【0030】
基体23の第2の面23bには、第2の機能層32が形成されている。第2の機能層32は、第2の面23bに順次積層された誘電体酸化被膜24b、固体電解質層25b、および電極層26bを含む。電極層26bはコンデンサ素子83a〜83cの陰極部22となる。
【0031】
基体23の周面(側面)23cには、第4の機能層34が形成されている。第4の機能層34は、周面23cに順次積層された誘電体酸化被膜24d、固体電解質層25dおよび電極層26dを含む。第4の機能層34は、基体23の4隅(4コーナ)39a、39b、39cおよび39dを除く、基体23の周面23cに設けられている。各々の素子83a〜83cにおいては、第4の機能層34により、第1の機能層31および第2の機能層32が接続されている。すなわち、弁作用基体23の第1の面23aの第1の電極層26aおよび第2の面23bの第2の電極層26bは、周面23cに設けられた第4の電極層26dによって電気的に接続されている。また、周面23cに設けられた第4の機能層34により、各々の素子83a〜83cの固体電解コンデンサとしての容量をさらに確保できる。
【0032】
弁作用基体23の第1の面23aの第1の機能層31の4隅は切り欠かれている。第1の機能層31の切り欠かれた周縁は、第1の絶縁層29aにより覆われている。そして、第1の絶縁層29aにより第1の機能層31および第4の機能層34から隔離されるように弁作用基体23の4隅(4コーナー)39a〜39dが現れて電極(陽極)部21が形成されている。たとえば、第2の面23bの絶縁層29bと同様の絶縁層29aを第1の面23aにも形成し、その絶縁層29aの一部を剥いだり、カットして基体23の表面23aを現すことにより、陽極部21を形成できる。なお、絶縁層29aの一例は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの絶縁性の樹脂からなる膜である。
【0033】
図7に示すように、コンデンサユニット90は、陽極部21が四方(4箇所)のコーナー39a〜39dに断続的に現れている4端子のコンデンサ素子83a〜83cをその中心点100まわりに回転させながら積層した(積み重ねた)ものである。さらに、コンデンサユニット90においては、これらの素子83a〜83cは、各々の素子83a〜83cの第1の面23aの4隅39a〜39dが他の素子、たとえば、素子83aの4隅39a〜39dが他の素子83bおよび83cに対し上方(第1の方向)99から見えるようにしたものである。素子83bおよび83cにおいても同様である。たとえば、素子83a〜83cを相互に30度ずつ角度をずらして積み重ねることにより、すべての素子83a〜83cの4隅39a〜39dが上方99から見えるコンデンサユニット90を製造できる。
【0034】
したがって、それぞれの素子83a〜83cの4隅39a〜39dに設けられた陽極部21は、すべて上方99から容易にアクセスできる。図7に示した例では、それぞれの素子83a〜83cの4隅39a〜39dに設けられた陽極部21は、ボンディングワイヤー62により、基板10の搭載側の面11の12個の陽極接続電極56にそれぞれ接続されている。
【0035】
それぞれの素子83a〜83cの4隅39a〜39dは、それぞれの素子83a〜83cの中心100から等距離にある。したがって、このコンデンサユニット90においては、素子83a〜83cの4隅39a〜39dは中心100から等距離にあり、図7および8に一点鎖線で示した仮想円(第1の円)38の円周にほぼ沿って配置される。したがって、コンデンサユニット90の各部分は基本的に回転対称となり、複数のコンデンサ素子83a〜83cを積層したときの重量、電流、抵抗などの諸物性値に偏りが生ずるのを抑制でき、平面視円形に近いバランスの取れた形状であって電気的な性能の安定したコンデンサユニット90を提供できる。また、図7および図9に示すように、このコンデンサユニット90においては、それぞれの素子83a〜83cの基体23の大部分の面積が重複するように積層される。したがって、多数の陽極部21が分散配置されるコンデンサユニットでありながら、スペース効率が高く、コンパクト、大容量の多端子コンデンサユニットを提供できる。
【0036】
このコンデンサユニット90が搭載される基板10は、図7に示すように、ほぼ正方形にカットされたガラス布・エポキシ樹脂銅張積層板(ガラエポ基板)である。基板10の搭載側の面11および実装側の面12の銅箔がエッチングなどによりパターニングされ、両方の面11および12に同一の電極パターンが形成されている。したがって、基板10の搭載側の面11には、実装側の面12の複数の陽極端子51に対峙する位置に陽極端子51と同じ形状の複数の接続電極が形成されており、コンデンサユニット90の陽極部21に接続するための陽極接続電極56となっている。また、基板10の搭載側の面11には、実装側の面12の陰極端子52に対峙する位置に、陰極端子52と同じ形状の接続電極が形成されており、コンデンサユニット90の陰極部22に接続するための陰極接続電極57となっている。
【0037】
すなわち、基板10の搭載側の面11には、全周13に沿って陽極接続電極56および陰極接続電極57が配置されている。このデバイス1では、コンデンサユニット90の陽極部21と同数となる12個の陽極接続電極56が搭載側の面11の4辺14a〜14dのそれぞれに形成されている。陰極接続電極57は、基板10の搭載側の面11の、陽極接続電極56を除いた部分に配置されている。陽極接続電極56および陰極接続電極57は、実装側の面12と同様に絶縁用のギャップ59により分離されている。
【0038】
それぞれの陽極端子51と陽極接続電極56とは基板10を貫通する貫通電極(スルーホール、ビアホール)55により電気的に接続されている。また、陰極端子52と陰極接続電極57も基板10を貫通する貫通電極55により電気的に接続されている。貫通電極55は、陽極端子51と陽極接続電極56との間、陰極端子52と陰極接続電極57との間の電気抵抗(接続抵抗)を抑制するように適当な数が適当なピッチで設けられている。
【0039】
このデバイス1のコンデンサユニット90は、3つのコンデンサ素子83a〜83cが上方99に積み重ねられ、図9に示すように、上下に対峙する第1の電極層26aおよび第2の電極層26bが直接、または導電性ペーストなどの導電性部材を挟んで電気的に接続されている。たとえば、コンデンサ素子83aおよび83bにおいては、コンデンサ素子83aの第1の機能層31の第1の電極層26aと、コンデンサ素子83bの第2の機能層32の第2の電極層26bとが対峙し、これらが電気的に接続されている。各々の素子83a〜83cにおいては、上述したように第4の機能層34の第4の電極層26dにより第1の機能層31の第1の電極層26aと第2の機能層32の第2の電極層26bとは電気的に接続されている。これらの電極層26aおよび26dは陰極部22となる。したがって、コンデンサ素子83a〜83cを積み重ねることにより、コンデンサ素子83a〜83cの陰極部22が並列に接続される。さらに最下層のコンデンサ素子83aの第2の電極層26bは、図5に示すように導電性ペースト61を介して基板10の陰極接続電極57に電気的に接続される。
【0040】
一方、デバイス1においては、積層された複数のコンデンサ素子83a〜83cの合計12個の陽極部21は、基板10の12個の陽極接続電極56と、金線、銅線、アルミニウム線などの導電性の金属ワイヤー62によりそれぞれボンディングされ、電気的に接続されている。ボンディングワイヤーを含めて、コンデンサユニット90は、外装用の樹脂(モールド樹脂)3により保護される。モールド樹脂3としては、エポキシ樹脂などの封止樹脂があげられる。
【0041】
したがって、コンデンサユニット90を用いることにより、12個という多数の陽極端子51を備えたコンデンサデバイス1を提供できる。これらの陽極端子51は、典型的には並列に接続される。あるいは、各コンデンサ素子83a〜83cの陽極部21に接続された陽極端子51にグルーピングして、多電圧対応のコンデンサデバイス1として提供することも可能である。
【0042】
コンデンサユニット90は、複数(本例では3つ)のコンデンサ素子83a〜83cを積み重ねて並列に接続できるので、さらに大容量のコンデンサデバイス1を提供できる。また、コンデンサユニット90の各素子83a〜83cは、平面的に広がった面積の広い電極層26aおよび26bを介して接続されるので、低ESRのコンデンサデバイス1を提供できる。
【0043】
さらに、このコンデンサユニット90においては、12個の陽極部21が12方向に分散して配置されている。すなわち、各々の素子83a〜83cにおいては、4隅39a〜39dに配置された陽極部21により4方向の電流が流れ、コンデンサユニット90としては、全体として12方向に分散して電流が流れる。したがって、多様な方向に電流が流れることにより磁界が打ち消されるのでコンデンサユニット90のESLは低い。このため、低ESLのコンデンサデバイス1を提供できる。
【0044】
さらに、コンデンサユニット90は、4つの陽極部21を備えたコンデンサ素子83a〜83cを用い、12個の陽極部21が仮想円38の円周に沿って等間隔に(等角度間隔に)設けられたコンデンサユニット90である。したがって、このコンデンサユニット90を基板10に搭載したデバイス1では、多端子の陽極接続電極56および陽極端子51の基板10を採用することが容易であり、さらに、コンデンサユニット90は多数の陽極部21が分散配置されているので、基板10の多端子の陽極接続電極56および陽極端子51の様々配置に対してきわめてフレキシブルに対応できる。したがって、このコンデンサユニット90を用いて、多種多様な電極パターンを備えた表面実装型のデバイス1を提供できる。
【0045】
さらに、このコンデンサユニット90は、典型的には陽極部となる第1の機能層31の4隅39a〜39dの電極(陽極)部21が他の素子に邪魔されずに上方99から見え、上方99から簡単にアクセスできる。すなわち、複数の素子83a〜83cの合計12個の陽極部21が相互に重なり合わず、12個の陽極部21のそれぞれを、上方99から本例のようにワイヤーボンディング62で接続したり、適当なリードフレームにより容易に接続できる。また、12個の陽極部21を相互に(直接)ワイヤーボンディング62やリードフレームにより接続することも可能である。したがって、多数の陽極部21を多種多様な方法で接続することが可能である。
【0046】
特に、このコンデンサユニット90においては、上方99から各陽極部21にアクセスできるので、ワイヤーボンディング62による接続に適しており、リードフレームが曲がったり、リードフレームと陽極部21との間に隙間が生じたりして接続不良が発生するのを未然に防止できる。また、仮想円38の円周に沿って配置される複数の陽極部21は基板10に対する高さが一定ではない。ワイヤーボンディング62を使用することにより、陽極部21と基板10との距離(高さ)の差もフレキシブルに吸収することができ、信頼性の高い多端子のコンデンサデバイス1を提供できる。
【0047】
また、このコンデンサユニット90においては、図5に示すように、最上層に積層されたコンデンサ素子83cは、基体23の第2の面(下面)23bの第2の電極層26bが、下側のコンデンサ素子83bの基体23の第1の面(上面)23aの第1の電極層26aと接触する。同様に、コンデンサ素子83bは、基体23の第2の面(下面)23bの第2の電極層26bが、下側のコンデンサ素子83aの基体23の第1の面(上面)23aの第1の電極層26aと接触する。最下層に積層されたコンデンサ素子83aは、基体23の第2の面(下面)23bの第2の電極層26bが、基板10に搭載側の面11に搭載される。図8に示すように、それぞれの素子83a〜83cの下面(裏面)23bにおいては、4隅39a〜39dを除き、中央部分と各辺102a〜102dに陰極部22が広がっている。しかしながら、基体23の第2の面23bの4隅39a〜39dの陽極部21に相当する部分の裏面は絶縁層29bにより全て覆われている。このため、陽極部21と陰極部22とが短絡する危険はほとんどなく、各素子83a〜83cは、単に、下側の素子に積み重ねたり、基板10に積み重ねたりすることで複数の素子83a〜83cを積層できる。
【0048】
図10に、コンデンサユニット90を含むデバイス1が搭載されたプリント配線板70の一部を断面により示している。プリント配線板(プリント基板)70の上面71にはCPU75が搭載されており、プリント配線板70の下面72の、CPU75の中央部分の電源端子76に対峙する位置に本例のコンデンサデバイス1が搭載されている。CPU75の電源端子76とデバイス1の実装面2の端子電極51および52は、プリント配線板70を貫通する複数の貫通電極79により電気的に接続され、デバイス1はデカップリングコンデンサあるいはバイパスコンデンサとして機能する。
【0049】
デバイス1は、たとえば、1辺の長さが10mm程度、積層される素子の数によるが、たとえば、厚さが4〜10mm程度の、大容量のわりに薄くコンパクトな表面実装用のコンデンサチップである。そして、コンデンサユニット90を内蔵した低ESR、低ESLで大容量の薄くコンパクトなコンデンサデバイスである。さらに、デバイス1は実装面2に複数の端子電極51が設けられた多極化(多端子)デバイスなので、従来多数のコンデンサを搭載していた用途を1つまたは数少ないデバイス1により置き換えることができる。このため、コンパクト化が進んでいるノート型のパーソナルコンピュータなどの情報処理端末や、携帯電話、PDAなどの携帯型の情報処理端末などの電子機器に好適である。
【0050】
図11に、異なるコンデンサユニット91を搭載したデバイス1の上方から見た様子を、モールド樹脂を除いて示している。このコンデンサユニット91は、3つのコンデンサ素子84a、84bおよび84cが等角度で回転させて積み重ねられており、それぞれの素子84a〜84cの4隅39a〜39dが他の素子に対して上方から見えるようになっている。
【0051】
積み重ねられているコンデンサ素子84a〜84cの構成は共通であり、図12にコンデンサ素子84aを上方(上面23aの側)から見た平面図を示している。また、図13に、コンデンサ素子84aを下方(下面23bの側)から見た底面図を示している。図14に、コンデンサ素子84aの断面図(図12のXIV-XIV断面)を示している。
【0052】
コンデンサ素子84aは、正方形の基体23を含み、基体23の第1の面23aには、上記のコンデンサ素子83aと同様の構成の第1の機能層31が形成されている。また、基体23の第2の面23bには、上記のコンデンサ素子83aと同様の構成の第2の機能層32が形成されている。さらに、第1の機能層31の周縁31cを全周にわたり覆うように第1の絶縁層29aが形成され、基体23の第1の面23aの周辺(周縁)23cが第1の絶縁層29aの外側に現れ、コンデンサ素子84aの陽極部21となっている。基体23の第2の面23bには、第2の機能層32の周縁32cを全周にわたり覆うように第2の絶縁層29bが形成されている。
【0053】
コンデンサ素子84aは、さらに、弁作用基体23の中央を貫通する貫通孔(スルーホール)27を含む。この貫通孔27の内周面27aには、第3の機能層33が形成されている。第3の機能層33は、弁作用基体23に接する側から順次積層された誘電体酸化被膜24cおよび固体電解質層25cを含む。さらに、貫通孔27には、銀ペーストなどの導電性ペーストが充填され、貫通電極28が形成されている。したがって、第3の機能層33は、基体23の側から誘電体酸化被膜24c、固体電解質層25cおよび貫通電極28が積層された構成となっている。
【0054】
第3の機能層33の誘電体酸化被膜24cは第1の機能層31の誘電体酸化被膜24aおよび第2の機能層32の誘電体酸化被膜24bと一体で生成されている。第3の機能層33の固体電解質層25cは、第1の機能層31の固体電解質層25aおよび第2の機能層32の固体電解質層25bと一体で生成されている。貫通孔27の内周面27aであっても、電解重合などの方法により、基体23の表面とともに固体電解質層25cを形成できる。さらに、第3の機能層33の貫通電極28は、第1の機能層31の電極層26aおよび第2の機能層32の電極層26bと物理的および電気的に接するように設けられている。
【0055】
また、貫通電極28により第1の電極層26aおよび第2の電極層26bを接続できるので、基体23の周辺(周縁)23cに第4の機能層を設ける必要はない。したがって、基体23の第1の面23aの周縁全周に沿って陽極部21を設けることができる。
【0056】
このコンデンサ素子84aにおいては、弁作用基体23の第1の面23aの内側が第1の電極層26aとなり、その電極層26aの4方の辺および4隅を含む周囲(全周)には絶縁層29aを挟んで弁作用基体23が現れており陽極部21が形成されている。このため、陽極(電極)部21と陰極部22(電極層26a)とが対向した状態でそれらが接近して配置され、全周が陽極部21となり、電極層26aは基体23の中央を貫通する第3の機能層33の貫通電極28を介して反対側の電極層26bと接続されている。したがって、第1の機能層31を流れる電流の向きは多様になり、低ESLのコンデンサ素子84aを提供できる。また、貫通電極28を含めた陰極部22に対する陽極部21の配置が対称的であり、さらに、基体23の中心を貫通する貫通電極28により両面の陰極部22が接続されているので、コンデンサ素子84aは全体として電極間距離が縮まる。したがって、このコンデンサ素子84aは、ESRも低減しやすい。
【0057】
さらに、貫通孔27の内周面27aに第3の機能層33を形成することにより、貫通孔27の内周面27aを固体電解コンデンサとして機能する面積に加えることができる。このため、基体23の中心部あるいはその近傍を貫通するように貫通孔27を配置しても貫通孔27による容量の低下(基体23の表面の利用率の低下)を低減でき、貫通孔27を基体23の所望の場所にフレキシブルに配置できる。また、このコンデンサ素子84aは、陽極部21が電極層26aを取り囲むようにコンデンサ素子84aの全周にわたり形成されているため、様々な個所からの電気的な接続が可能となり、コンデンサ素子84aを搭載する基板10の配線パターンに対するフレキシビリティを向上させることができる。
【0058】
このような全周が陽極部21のコンデンサ素子84aにおいても図11に示すように、貫通孔27を中心に回転させながら積層(積み重ね)することにより、下側のコンデンサ素子84aの陽極部21の4隅39a〜39dの部分を表に出し、ボンディングワイヤー62により基板10と接続したり、他の素子の陽極部21と接続できる。中間のコンデンサ素子84bにおいても同様である。このため、このコンデンサユニット91により、さらに、積層タイプの大容量でかつ低ESRおよび低ESLのコンデンサデバイス1を提供できる。
【0059】
図15に、異なるコンデンサユニット92を搭載したデバイス1の上方から見た様子を、モールド樹脂を除いて示している。このコンデンサユニット92は、2つの平面視長方形のコンデンサ素子85aおよび85bが直交するように積み重ねられており、下側の素子85aの4隅39a〜39dが上側の素子85bに妨げられずに上方から見えるようになっている。
【0060】
図16に、コンデンサ素子85aを上方から見た様子を示している。コンデンサ素子85aは、図6〜図9を参照しながら説明したコンデンサ素子83aと共通の構成であり、基体23の外形が長方形であることが異なっている。このように、コンデンサ素子の形状は、正方形に限らず、長方形あるいはその他の平面視多角形であっても、複数の素子を積層し、それぞれの素子のコーナー部分に陽極を配置し、それらのコーナー部分が上から見えるように各々の素子の角度をずらして組み合わせることにより多数の陽極が周囲に分散して配置されたコンデンサユニットであって、ボンディングワイヤーなどにより基板との接続の容易なコンデンサユニットを提供できる。大容量のコンデンサデバイスを提供するためのスペース効率を考慮すると、コンデンサ素子の形状は、平面視がほぼ正方形あるいはほぼ長方形などの四角形であることが望ましい。
【0061】
図17に示すコンデンサユニット92aは7枚のコンデンサ素子85a〜85gを含み、それらの角度をずらして、たとえば、15度ピッチで角度をずらして積み上げて、下側のコンデンサ素子の4隅39a〜39dが上からすべて見えるようにしたものである。本発明のコンデンサユニットを構成する素子の数は2、3枚に限定されることはなく、このコンデンサユニット92aのように7枚あるいはそれ以上の素子を積層することができる。このコンデンサユニット92aにおいては、28個の陽極部21を仮想円38の円周に沿って配置することができ、多端子のコンデンサデバイスを提供できる。
【0062】
図18に、さらに異なるコンデンサユニット93を搭載したデバイス1の上方から見た様子を、モールド樹脂を除いて示している。このコンデンサユニット93は、2つの平面視長方形のコンデンサ素子86aおよび86bが直交するように積み重ねられており、下側の素子86aの4隅39a〜39dが上側の素子86bに妨げられずに上方から見えるように現れている。
【0063】
図19に、コンデンサ素子86aを上方から見た様子を示している。コンデンサ素子86aは、図6〜図9を参照しながら説明したコンデンサ素子83aとほぼ共通の構成であるが、基体23の外形が長辺102aおよび102c(長さW2)と短辺102bおよび102d(長さW1)とから形成される長方形であり、さらに、基体23の第1の面23aの対峙する短辺102bおよび102dにコンデンサ素子86aの陽極部21が現れている点が異なっている。
【0064】
図18に示すように、コンデンサユニット93は、上記の構成のコンデンサ素子86aおよび86bを中心点100まわりに90度回転させて積層した(積み重ねた)ものである。このため、2枚のコンデンサ素子86aおよび86bを積層することによりコンデンサユニット93のほぼ全周にわたり陽極部21を形成することができる。したがって、このコンデンサユニット93は、多種多様な配線パターンの基板10に搭載することができる。
【0065】
図20に、さらに異なるコンデンサユニット94を搭載したデバイス1の上方から見た様子を、モールド樹脂を除いて示している。このコンデンサユニット94は、2つの平面視長方形のコンデンサ素子(第1の素子)86aおよび平面視正方形のコンデンサ素子(第2の素子)87が積み重ねられており、下側の素子86aの対峙する2辺102bおよび102dが上側の素子87に妨げられずに上方から見えるように現れている。上方のコンデンサ素子(第2の素子)87は、下方のコンデンサ素子(第1の素子)86aよりも小さく、上方のコンデンサ素子87の周縁103a〜103dが下方のコンデンサ素子86aの周縁102a〜102dの内側に配置されている。
【0066】
図21に、上側のコンデンサ素子87を上方から見た様子を示している。コンデンサ素子87は、図19に示したコンデンサ素子86aとほぼ共通の構成であるが、基体23の外形が下側のコンデンサ素子86aの短辺102bおよび102dの長さW1と等しい長さW1の4辺103a〜103dを含む正方形である。さらに、上側のコンデンサ素子87は、基体23の第1の面23aの対峙する2辺103aおよび103cが陽極部21となっている。
【0067】
図20に示すように、コンデンサユニット94は、上記の構成の下側のコンデンサ素子86aに上側のコンデンサ素子87を、中心点100を中心に積層した(積み重ねた)ものである。このため、上方のコンデンサ素子87は、下方のコンデンサ素子86aから外側にはみ出ず、上方のコンデンサ素子87の全体が下方のコンデンサ素子86aの上に搭載される。したがって、上側のコンデンサ素子87は全体が下方のコンデンサ素子86aにより支持される状態で積み重ねられている。したがって、上側のコンデンサ素子87は全体が安定して支持され、陽極部21にボンディングしやすく、また、接触不良などの経年劣化や歩留まりの低下がよりいっそう抑制可能な構造となっている。さらに、これら2枚のコンデンサ素子86aおよび87を積層することによりコンデンサユニット94の全周にわたり陽極部21を形成することができる。したがって、このコンデンサユニット94は、多種多様な配線パターンの基板10に搭載することができる。
【0068】
本例の上側のコンデンサ素子87は正方形であるが、上側のコンデンサ素子87の周縁103a〜103dが下側のコンデンサ素子86aの周縁102a〜102dの内側に配置されるサイズであれば、上側のコンデンサ素子87は、長方形あるいは他の多角形であってもよく、一辺が短辺の長さW1より短いものであってもよい。
【0069】
なお、上記に示したコンデンサユニットおよびデバイスは、本発明に含まれるコンデンサユニットおよびデバイスのいくつかの例であり、本発明は上記に限定されない。また、本発明にかかる表面実装用のデバイスは、CPUとの組み合わせだけではなく、他の回路素子と組み合わせて用いることも可能であり、たとえば、DC−DCコンバータの平滑回路などにも適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 表面実装用のデバイス、 2 デバイスの実装面
10 基板、 11 基板の搭載側の面、 12 基板の実装側の面
83、84、85、86、87 コンデンサ素子
21 陽極(電極)部、 22 陰極部
23 弁作用基体、 23a 第1の面、 23b 第2の面
24a、24b、24c、24d 誘電体酸化被膜
25a、25b、25c、25d 固体電解質層
26a、26b、26d 電極層
27 貫通孔、 28 貫通電極
29a、29b 絶縁層
31、32、33、34 固体電解コンデンサの機能層
90、91、92、92a、93、94 コンデンサユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に積み重なるように配置された複数のコンデンサ素子を有するコンデンサユニットであって、
前記複数のコンデンサ素子の各々の素子は、弁作用を備えた板状の基体と、
前記基体の第1の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および第1の電極層を含む第1の機能層と、
前記基体の第2の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および第2の電極層を含む第2の機能層と、
前記基体の前記第1の面の4隅を含む部分が現れることにより形成された電極部とを含み、
前記各々の素子の前記第1の面の4隅は前記複数のコンデンサ素子の他の素子に対し前記第1の方向に現れている、コンデンサユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記各々の素子は、さらに、
前記基体を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内周面に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層を電気的に接続する第3の電極層とを含み、
前記複数のコンデンサ素子は、対峙する前記第1の電極層と前記第2の電極層とが電気的に接続されている、コンデンサユニット。
【請求項3】
請求項2において、前記各々の素子は、さらに、前記貫通孔の内周面に沿った第3の機能層を含み、前記第3の機能層は、前記基体に接する側から順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および前記第3の電極層を具備する、コンデンサユニット。
【請求項4】
請求項2または3において、前記各々の素子の前記電極部は、前記基体の前記第1の面の全周に現れている、コンデンサユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記各々の素子の前記第1の面の4隅は、第1の円の円周にほぼ沿って配置されている、コンデンサユニット。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記各々の素子の前記電極部は、前記基体の前記第1の面の対峙する2辺に現れており、
前記各々の素子の前記第1の面の対峙する2辺は前記複数のコンデンサ素子の他の素子に対し前記第1の方向に現れている、コンデンサユニット。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または6において、当該コンデンサユニットは、前記第1の方向に順次積み重なるように配置された第1の素子および第2の素子を有し、
前記第2の素子は前記第1の素子よりも小さく、前記第2の素子の周縁は前記第1の素子の周縁よりも内側に配置されている、コンデンサユニット。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記各々の素子の前記電極部は前記各々の素子の陽極であり、前記各々の素子の前記第1の電極層および前記第2の電極層は前記各々の素子の陰極である、コンデンサユニット。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のコンデンサユニットと、
前記コンデンサユニットを搭載した基板とを有し、
前記基板は、前記各々の素子の前記電極部の少なくともいずれかに電気的に接続された第1の接続電極と、前記複数のコンデンサ素子のうちの前記基板に面する素子の前記第2の電極層に電気的に接続された第2の接続電極とを含み、外装用の樹脂により前記コンデンサユニットおよび前記基板を含めて一体に成形された表面実装用のデバイス。
【請求項10】
請求項9において、前記各々の素子の前記電極部の少なくともいずれかと前記第1の接続電極とはワイヤーボンディングされている、デバイス。
【請求項11】
請求項9または10に記載のデバイスが実装されたプリント配線板。
【請求項12】
請求項11に記載のプリント配線板を有する電子機器。
【請求項13】
第1の方向に積み重なるように配置された複数のコンデンサ素子を有するコンデンサユニットを製造する方法であって、
前記複数のコンデンサ素子の各々の素子は、弁作用を備えた板状の基体と、
前記基体の第1の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および電極層を含む第1の機能層と、
前記基体の第2の面に順次積層された誘電体酸化被膜、固体電解質層および電極層を含む第2の機能層と、
前記基体の前記第1の面の4隅を含む部分が現れることにより形成された電極部とを含み、
当該方法は、前記各々の素子の前記第1の面の4隅が前記複数のコンデンサ素子の他の素子に対して前記第1の方向に現れるように、前記各々の素子を積層する工程を有する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−14589(P2011−14589A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155113(P2009−155113)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000190091)ルビコン株式会社 (38)
【出願人】(509140548)ルビコン・カーリット株式会社 (5)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)