説明

積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システム、および積層シート状細胞培養物の製造方法

【課題】 簡便かつ確実に細胞層間の接着状態の判定をすることができる、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、複数の細胞層を含んで構成される積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を判定する方法であって、積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、細胞層間に物理的な力を作用させる工程と、再度積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、物理的な力を作用させる工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システム、および積層シート状細胞培養物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、ES細胞等の利用が試みられている。
【0003】
しかしながら、移植細胞を細胞懸濁液の状態で組織へと投与した場合には、移植細胞の注入効率の低さ、レシピエント組織を穿刺により損傷する危険性、広範囲な組織修復の困難性といった問題が指摘されたため、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた。
【0004】
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められている。
【0005】
また、心筋組織に適用可能なシート状細胞培養物については、組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いた3次元組織構造物としてのシート状細胞培養物と、その製造方法が提供された(例えば、特許文献1参照)。
また、播種細胞数のコントロールや、加圧などによって、製造工程由来不純物を含まないシート状細胞培養物およびその製造方法が提供された(特許文献2参照)。
【0006】
このようなシート状細胞培養物を、目的とする患部(移植部位)に移植するには、例えば、シート状細胞培養物の端部を移植デバイス等で把持し、シート状細胞培養物を包装容器から取り出し、患部まで移送し、その患部に移植(貼付)するといった一連の操作が必要となるが、シート状細胞培養物は、絶対的な物理的強度が低く、皺、破れ、破損などが生じ易いことから、この一連の操作には高度な技術が要求され、かつ細心の注意を払う必要がある。
また、シート状細胞培養物の治療への応用を促進するために、このような細胞培養物を用いて、より効率よく組織修復を行ない、治療効果を向上させることが求められている。
【0007】
上記のような問題を解決するための1つの方法として、単層で用いられるシート状細胞培養物を複数積層した積層シート状細胞培養物が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このような積層シート状細胞培養物は、一度に移植できる細胞数が多く治療効果の向上が見込めるとともに、物理的強度が向上している。
【0008】
このような積層シート状細胞培養物については、細胞層が互いに接着されている必要がある。細胞層間の接着状態の確認をする方法としては、例えば、把持具等で直接積層シート状細胞培養物の端部を持ち上げたり、積層シート状細胞培養物についてそれを坦持する支持体ごと持ち上げたりすることにより、行うことが考えられる。しかしながら、上述したようにシート状細胞培養物の取り扱いには高度な技術が要求され、かつ細心の注意を払う必要があることから、より簡便かつ確実に細胞層間の接着状態の確認をする方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2007−528755号公報
【特許文献2】特開2010−81829号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Shimizu, T. et al, Biomaterials 2003 24(13) 2309-2316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記問題を鑑み、本発明は、簡便かつ確実に細胞層間の接着状態の判定をすることができる、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システム、および積層シート状細胞培養物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究をさらに重ねた結果、細胞層間が十分に接着されていない場合には、細胞層間に外力を作用させることにより細胞層間が剥離することに着目し、この外力を作用させる前後での積層シート状細胞培養物の像の情報を比較することにより、簡便かつ確実に細胞層間の接着状態の判定をすることができることを見出し、本発明に至った。
【0013】
したがって、本発明は、以下の(1)〜(8)に示されるものである。
(1) 複数の細胞層を含んで構成される積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を判定する方法であって、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
細胞層間に物理的な力を作用させる工程と、
再度積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
物理的な力を作用させる工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する工程と、を含む前記方法。
(2) 細胞層間に物理的な力を作用させる工程が、液体の存在下において行われる、(1)に記載の方法。
(3) 細胞層間に物理的な力を作用させる工程が、積層シート状細胞培養物が浸漬する程度に液体と積層シート状細胞培養物とを接触させた状態で行われる(2)に記載の方法。
(4) 細胞層間に物理的な力を作用させる工程が、積層シート状細胞培養物を振動させる工程である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 積層シート状細胞培養物の像が、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略平行な方向から観察した際の像である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 物理的な力を与える工程の前後での像についての情報の比較が、細胞層同士のずれの比較である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 複数の細胞層を含んで構成される積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を判定するシステムであって、
細胞層間に物理的な力を作用させる外力付与手段と、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する情報取得手段と、
情報取得手段によって取得された情報に基づいて細胞層間の接着状態を判定する判定手段と、を含む前記システム。
(8) 複数の細胞層を積層して積層シート状細胞培養物を形成する工程と、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
細胞層間に物理的な力を作用させる工程と、
再度積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
物理的な力を作用させる工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する工程と、を含む積層シート状細胞培養物の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法およびシステムにより、簡便かつ確実に積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定を行うことができ、さらに、このような判定を経て製造された積層シート状細胞培養物は、その品質が保証されたものとなり、その信頼性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な実施態様に係る積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、および積層シート状細胞培養物の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の好適な実施態様に係る積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システムの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施態様に基づいて本発明を説明する。
【0017】
まず、本発明の積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システム、および積層シート状細胞培養物の製造方法の説明に先立ち、該方法およびシステムに好適に用いられるシート状細胞培養物の一例について説明する。
【0018】
本明細書において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに接着(連結)してシート状(膜状)となったものである。
【0019】
シート状細胞培養物に含まれる細胞としては、シート状細胞培養物を形成し得る任意の細胞を用いることができる。
かかる細胞の例としては、限定されずに、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞)、心筋細胞、線維芽細胞、滑膜細胞、上皮細胞(例えば、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞)、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、歯根膜細胞などが含まれ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、本発明においては、単層の細胞培養物を形成し、適用時において積層した細胞培養物とすることができるもの、例えば、筋芽細胞が好ましい。
【0020】
また、シート状細胞培養物に含まれる細胞は、細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物としては、特に限定されないが、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、上述したように、シート状細胞培養物に含まれる細胞は、1種類のみであってもよいが、2種類以上であってもよい。
シート状細胞培養物に含まれる細胞が2種類以上存在する場合、最も多い細胞の比率(純度)は、特に限定されないが、シート状細胞培養物中、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上である。
【0022】
シート状細胞培養物に含まれる細胞同士は、直接互いに連結していてもよく、また、介在物質を介して互いに連結していてもよい。
このような介在物質としては、細胞同士を少なくとも機械的に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。
また、シート状細胞培養物中の細胞は少なくとも機械的に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。
【0023】
シート状細胞培養物は、スキャフォールド(支持体)を含んでいてもよい。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られている。好ましくは、シート状細胞培養物は、スキャフォールドを含まない。
【0024】
また、シート状細胞培養物は、1つの細胞層からなるもの、複数すなわち2以上の細胞層を含んで構成された積層シート状細胞培養物が挙げられるが、本発明においては、細胞層間の接着状態を判定することを目的としていることから、後者のものが好適に適用される。
ここで、本明細書において、「1つの細胞層」とは、細胞培養物からなる一枚のシートを意味する。また、「複数の細胞層」とは、細胞培養物からなる一枚のシートが複数積層された積層物を意味する。したがって、「細胞層間」とは、細胞培養物からなるシートとシートとの間を意味する。そして、適切な条件においてシート状細胞培養物を積層し、培養すると、別々のシートとシートとの間に接着状態が生じる。本発明においては、このような細胞培養物からなる独立したシートとシートとの間の接着状態を判定するものである。
【0025】
次に、本発明の本発明の積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、および積層シート状細胞培養物の製造方法について説明する。図1は、本発明の好適な実施態様に係る積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、および積層シート状細胞培養物の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0026】
本発明の積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法は、
複数の細胞層を含んで構成される積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を判定する方法であって、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程(第1の情報取得工程)と、
細胞層間に物理的な力を作用させる工程(外力作用工程)と、
再度積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程(第2の情報取得工程)と、
物理的な力を与える工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する工程(判定工程)と、を含む。
【0027】
また、本発明の積層シート状細胞培養物の製造方法は、
複数の細胞層を積層して積層シート状細胞培養物を形成する工程(積層工程)と、前記第1の情報取得工程と、細胞層間に物理的な力を作用させる工程と、前記第2の情報取得工程と、前記判定工程と、を含む。
【0028】
さらに、本実施態様では、上記各方法において、細胞層間に物理的な力を作用させる工程の前後において、積層シート状細胞培養物を液体と接触させる工程(液体付与工程)と、積層シート状細胞培養物から当該液体を除去する工程(液体除去工程)とをそれぞれ有している。
【0029】
以下、上記各方法の各工程について合わせて説明する。
なお、記載のある場合を除き、以下の各工程は、例えば、10〜40℃、0〜10%COの雰囲気下で行うことができる。
まず、積層シート状細胞培養物を形成するための単層の細胞層(単層のシート状細胞培養物)を準備する。
このような単層のシート状細胞培養物(細胞層)は、例えば、培養基材上で積層シート状細胞培養物を構成するための細胞を培養することにより調製することができ、具体的な方法は、例えば、上述した特許文献1および2に記載されている。
なお、本明細書において、単層の細胞層とは細胞の層自体が1つ存在することを意味する。したがって、細胞が垂直方向に1つしか存在しない状態で平面上に広がった状態のみならず、垂直方向に複数個の細胞が存在するようなある厚みを有するように形成された層を意味する。
【0030】
次に、複数の細胞層を積層して積層シート状細胞培養物を形成する(積層工程)。
細胞層の積層は、いかなる方法によって行われるものであってもよいが、例えば、シート状細胞培養物の積層に際し、まずシート状細胞培養物の周囲に培地等の液体を充填し(S−1)、その後シート状細胞培養物の細胞層の積層を行う(S−2)ことにより、容易かつ精度よく細胞層の積層を行うことができる。充填した液体は、インキュベート前に除去される(S−3)。
【0031】
上記シート状細胞培養物の周囲に充填する液体としては、特に限定されず、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液(PBS)、ハンクス平衡塩液、培養液等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
次に、細胞層を積層化した状態で、これをインキュベートすることにより、各細胞層が接着された積層構造を有する積層シート状細胞培養物を調製することができる(S−4)。インキュベートの条件としては、例えば、20〜40℃、0〜10%CO雰囲気下、1分〜24時間とすることができる。
【0033】
また、シート状細胞培養物の積層に際し、シート状細胞培養物の搬送、インキュベートには、該シート状細胞培養物を支持するシート状の支持体を用いることができる。このような支持体を用いることにより、積層作業が容易となる。なお、後述の本実施態様の各工程において、支持体は必要に応じて除去される。
【0034】
次に、積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する(第1の情報取得工程、S−5)。
積層シート状細胞培養物の像についての情報の取得は、いかなる方法を用いて行うものであってもよいが、カメラ等を用いて撮像することにより容易かつ簡便に行うことができる。
【0035】
積層シート状細胞培養物の像としては、特に限定されず、例えば、立体像、平面像のどちらを用いるものであってもよい。上述した中でも、撮像および像の解析が容易かつ簡便になることより、積層シート状細胞培養物の平面像を用いることが好ましい。
【0036】
平面像としては、積層シート状細胞培養物をどのような方向から観察した際の像でもよく、例えば、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略平行な方向から観察した(平面視した)際の像、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略垂直な方向から観察した際の像等が挙げられる。上述した中でも、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略平行な方向から観察した(平面視した)際の像を用いることが好ましい。これにより、積層シート状細胞培養物を撮像するのが容易となるとともに、後述する判定工程において、外力付与工程前後の像についての情報を比較することがより容易となり、判定の確度が向上する。
【0037】
積層シート状細胞培養物の像についての情報としては、特に限定されないが、例えば、当該像の輪郭の形状、透過光、面積、表面積、厚さ、長さ、幅、色等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、情報の取得の容易性、判断工程における確度の高さから、前記情報として面積、輪郭の形状、透過光を用いることが好ましい。
【0038】
また、像の輪郭の形状としては、その形状そのものを用いるものであってもよいが、例えば、真円度等として表すことができ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、真円度は、例えば、像の輪郭を2つの同心の幾何学的円で挟んだとき同心円の間隔が最小となる場合の2円の半径の差を、外側の同心円半径で除した値として表すことができる。
また、透過光は、像を透過する光の強弱(透過光強度)で表すことができる。シート状細胞培養物が重なっている部分の透過光は、シート状細胞培養物がずれて重なっていない部分に比べ、弱く検出される。
【0039】
次に、積層シート状細胞培養物を液体と接触させる(液体付与工程、S−6)。このように、積層シート状細胞培養物を液体と接触させることにより、後述する外力作用工程において、接着が十分でない細胞層同士を比較的容易にずらすことができる。この結果、外力作用工程において、比較的弱い外力を作用させることができるとともに、外力作用工程前後における接着が十分でない細胞層を有するシート状細胞培養物の像の変化がより大きいものとなる。また、外力作用工程において、液体により、積層シート状細胞培養物および場合によっては剥離した細胞層が保護される。
【0040】
本工程において用いることのできる液体としては、特に限定されず、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液(PBS)、ハンクス平衡塩液、培養液等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、シート状細胞培養物の損傷を防止する等の観点から、前記液体として培養液またはハンクス平衡塩液を用いることが好ましい。
本工程は、例えば、積層シート状細胞培養物を坦持する基材(例えばシャーレ)上に、液体を加えることにより行うことができる。
また、本工程は、積層シート状細胞培養物を液体と接触させるものであればよいが、積層シート状細胞培養物が浸漬する程度、すなわち、積層シート状細胞培養物の上端が液体に覆われる程度に、液体を積層シート状細胞培養物と接触させることが好ましい。これにより、積層シート状細胞培養物に、特に積層シート状細胞培養物外縁部の各細胞層間の境界に、液体を接触させることができる。また、外力作用工程において、積層シート状細胞培養物および場合によっては剥離した細胞層がより効果的に保護される。
【0041】
次に、積層シート状細胞培養物の細胞層間に物理的な力を積層シート状細胞培養物の外部から作用させる(外力作用工程、S−7)。このように、細胞層間に物理的な力を作用させることにより、細胞層間の接着が十分でない場合には、これらが剥離等して細胞層間の接着の状態が変化することにより、積層シート状細胞培養物の像の状態が変化する。特に、本実施態様においては、液体付与工程を含むことにより、液体の存在下で積層シート状細胞培養物の細胞層間に物理的な力を作用させるため、積層シート状細胞培養物の損傷を防止しつつ、積層シート状細胞培養物の細胞層間の状態を大きく変化させることができる。
【0042】
本工程において、力を作用させる方法としては、特に限定されないが、例えば、超音波等や振とうにより積層シート状細胞培養物を振動させる、積層シート状細胞培養物を液体ごと撹拌する等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、積層シート状細胞培養物を振動させた場合、特に、振動機を用いて積層シート状細胞培養物が存在する面に対して平行に(水平方向に)円運動を行うように積層シート状細胞培養物を振動させた場合、比較的均一かつ容易に積層シート状細胞培養物の細胞層間に外力を作用できるとともに、積層シート状細胞培養物が折れ曲がることなく、積層シート状細胞培養物の損傷が極めて小さくなるため好ましい。
また、細胞層間に作用させる力は、積層シート状細胞培養物の各細胞に損傷を与えない程度の強さであることが好ましい。
【0043】
次に、積層シート状細胞培養物から液体を除去する(液体除去工程、S−8)。すなわち、液体付与工程において加えた液体を除去する。
本工程においては、例えば、前記液体を吸引する、積層シート状細胞培養物を坦持する基材ごと傾けて液体を排出する等により、液体の除去を行うことができる。
また、本工程においては、積層シート状細胞培養物が実質的に動かないように、液体の除去を行うことが好ましい。
【0044】
次に、再度、積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する(第2の情報取得工程、S−9)。
積層シート状細胞培養物の像についての情報は、第1の情報取得工程と同様にして取得することができる。
なお、前記情報の取得方法、条件については、第1の情報取得工程と同一であってもよいし、異なっていてもよいが、後述する判定工程での判定の容易化の観点から、同一であることが好ましい。
【0045】
次に、物理的な力を与える工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する(判定工程、S−10)。積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着が十分でない場合、上記の外力作用工程において、これら細胞層の間で、例えば、剥離、ずれ等の状態の変化が生じやすくなっている。このため、本工程では、外力作用工程の前後での像についての情報を比較することにより、このような細胞層間の状態の変化を判定する。
【0046】
細胞層間の接着状態を判定するための外力作用工程前後での上記細胞層間の状態の変化としては、いかなる状態の変化に着目してもよく、例えば、細胞層の剥離、細胞層同士のずれ、細胞層のめくれ、細胞層間の距離等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、細胞層間の状態の変化として細胞層同士のずれに着目して、このずれを比較することが好ましい。このような細胞層同士のずれは、比較的大きな変化であるとともに、特に、積層シート状細胞培養物の平面像を比較することにより容易に解析できる。したがって、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を容易に判断することができる。
【0047】
また、細胞層間の接着状態を判定するための、判定基準は、その判断に用いる像の情報の種類、着目する細胞層間の状態の変化の種類によって異なるが、例えば、積層シート状細胞培養物の像として、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略平行な方向から観察した際の像を用い、細胞層同士のずれに着目した場合には、以下のようにして、判定を行うことができる。
【0048】
例えば、積層シート状細胞培養物の像についての情報が、面積である場合、外力作用工程前の面積S1に対する外力作用工程後の面積S2との比S2/S1が、0.7〜1.4、好ましくは、0.8〜1.2、さらに好ましくは、0.9〜1.1であるときには、積層シート状細胞培養物の細胞層間は十分に接着されていると判定できる。一方、上記面積比が上記範囲外であった場合には、積層シート状細胞培養物の細胞層間(細胞層間が複数ある場合はいずれか)は、十分に接着されていないと判定できる。
【0049】
また、例えば、積層シート状細胞培養物の像についての情報として、当該の像の輪郭の形状、特に真円度を用いた場合、外力作用工程前の真円度C1に対する外力作用工程後の真円度C2との比C2/C1が、0.7〜1.4、好ましくは、0.8〜1.2、さらに好ましくは、0.9〜1.1であるときには、積層シート状細胞培養物の細胞層間は十分に接着されていると判定できる。一方、上記面積比が上記範囲外であった場合には、積層シート状細胞培養物の細胞層間(細胞層間が複数ある場合はいずれか)は、十分に接着されていないと判定できる。
【0050】
積層シート状細胞培養物の細胞層間が十分に接着されていると判定された場合、本発明の方法を終了し(エンド)、当該積層シート状細胞培養物をそのまま、あるいは、さらなる積層を行って、医療、研究等の各用途に用いることができる。
一方、積層シート状細胞培養物の細胞層間が十分に接着されていないと判定された場合、例えば、そのまま積層化を行ってもよいし、一旦十分に接着されていない細胞層間を剥離して再度積層を行ったうえで医療、研究等の各用途に用いることもできるし、当該積層シート状細胞培養物を用いないこともできる。
【0051】
以上、説明した本発明の積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法により、簡便かつ確実に積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定を行うことができる。また、本発明の積層シート状細胞培養物の製造方法により、その品質が保証された、信頼性の高い積層シート状細胞培養物を製造することができる。
特に、液体の存在下において、外力作用工程を行うことにより、細胞層間の接着状態の判定がより容易となる。
【0052】
また、特に、本発明の前記方法は、どのような分野における積層シート状細胞培養物に用いられるものであってもよいが、シート状細胞培養物を積層体として構成することが求められる分野、例えば、心筋組織、角膜上皮、皮膚、胃、気管、食道等の治療における積層シート状細胞培養物について、特に有効である。
また、本発明の方法は、特に、2〜10層、好ましくは、2〜8層の細胞層を有する積層シート状細胞培養物について好適に適用可能である。
【0053】
次に、上述したような本発明の積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法および積層シート状細胞培養物の製造方法に好適に用いることのできる、本発明の積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システムについて説明する。図2は、本発明の好適な実施態様に係る積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定システムの一例のブロック図である。
判定システム1は、キャビネット2と、トレー3と、情報取得手段4と、液体供給回収手段5と、外力作用手段6と、制御部7とを有している。
【0054】
キャビネット2は、1または複数の積層シート状細胞培養物100とこれを担時する基材101とを収納可能な空間21を有し、かつ、空間2と外部とを遮断して積層シート状培養物100の外部からの汚染を保護するケーシングである。また、キャビネット2は、図示せぬ雰囲気調整手段が備えられており、制御部7の指示に従って、空間21の温度および雰囲気が調整される。
また、キャビネット2は、空間21においてインキュベートを実施することが可能なように構成されている。したがって、判定システム1は、積層化におけるインキュベートを行い、その後、積層シート状細胞培養物を移動させることなく直ちに上述した判定方法を行うことが可能となっている。
【0055】
トレー3は、平板状をなし、キャビネット2の空間21の下方に設けられている。トレー3は、1または複数の積層シート状細胞培養物100および基材101を担持する。また、トレー3は、連結部62を介して、外力作用手段6と連結されており、外力作用手段6の動作に応じて、振動可能である。
また、トレー3は、図示せぬ移動手段により、その水平方向での移動および回転、ならびに垂直方向での移動が可能となっている。これにより、自動的に積層シート状細胞培養物100および基材101の移動が可能となる。
【0056】
情報取得手段4は、撮像手段であり、例えば、CMOS、CCD等の公知の撮像手段である。
情報取得手段4は、キャビネット2の空間21の上方に設けられており、トレー3上に坦持された積層シート状細胞培養物100についての像を撮影し、その像についての情報を取得する。
撮像された像およびそれに関する情報は、制御部7へ送信される。
【0057】
また、情報取得手段4は、移動可能に構成されており、制御部7からの指示により、各シート状細胞培養物の上方に、すなわち、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略平行な方向から撮像できるように移動および配置されることが可能である。これにより、複数の積層シート状細胞培養物がトレー3上に存在した場合でも同時に、本発明の方法が実施可能であるとともに、積層シート状細胞培養物をより精度よく撮像できるように情報取得手段4の位置合わせを行うことが可能となる。
【0058】
液体供給回収手段5は、いわゆるサンプラーであり、制御部7の指示に従って、基材101へ液体を供給する。液体供給回収手段5は、貯留部51と、供給手段52と、回収手段53とを備えている。
【0059】
貯留部51は、基材101へ供給する液体(本実施態様では液体培地)を貯留する。
供給手段52は、貯留部51と連通しており、貯留部51にある液体を基材101上に供給し、積層シート状細胞培養物の周囲に液体を付与する。
回収手段53は、基材101上にある不要となった液体を吸引することにより回収する。回収された液体は、図示せぬ排出手段によって、判定システム1の系外へ排出される。
また、これら供給手段52および回収手段53は、それぞれ、基材101に対し、液体を供給、回収するために、上下方向に移動可能に構成されている。
【0060】
外力作用手段6は、トレー3の下部に設けられ、動力部61と連結部62とを有している。外力作用手段6は、制御部7の指示により、積層シート状細胞培養物100へ外力の作用を行う。
動力部61は、積層シート状細胞培養物100へ作用させる外力の発生源(動力源)であり、本実施態様においては、振とうを行うための動力を発生させる。
連結部62は、トレー3と動力部61との間に配置され、これらを連結しており、動力部61で発生した動力をトレー3に伝達させる。動力が伝達したトレー3は、この動力によって振動し、基材101および積層シート状細胞培養物100を振とうする。
制御部7は、判定システム1の各部と接続されており、これら各部の制御を行うものである。
制御部7は、判定手段71と、記憶部72とを有している。
判定手段71は、情報取得手段4において取得した積層シート状細胞培養物100の像について情報を比較し、細胞層間の接着状態を判定する。判定方法としては、上述した判定工程と同様の方法とすることが出来る。
記憶部72は、情報取得手段4において取得された積層シート状細胞培養物100の像についての情報等の情報を蓄積する。また、これらの情報は、必要に応じて、記憶部72から判定手段71等の他の要素へ送信可能である。
このような制御部7は、例えば、公知の中央演算処理装置、内部記憶装置、外部記憶装置等を用いて構成されることが出来る。
【0061】
また、制御部7には、入力手段73と、出力手段74とが接続されている。
入力手段73は、例えば、キーボード、マウス、タブレット等であり、使用者が判定システム1の操作を行う際に、制御部7へ指示を入力、送信することが出来る。
出力手段74は、例えば、ディスプレイ、プリンタ等であり、例えば得られた積層シート状細胞培養物100の像や、像についての情報、判定結果、その他判定に必要な情報、判定システムの操作に必要な情報等を表示することが出来る。
以上のような、判定システムによれば、上述したような積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、積層シート状細胞培養物の製造方法を容易かつ精度良く行うことが出来る。
【0062】
次に、上述した判定システム1を用いた、積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態の判定方法、および積層シート状細胞培養物の製造方法の一例を図1に基づいて説明する。
【0063】
まず、積層されるシート状細胞培養物を準備し、判定システム1のトレー3上にシート状細胞培養物を坦持するシャーレ(基材101)を設置する。各々の(一枚の)シート状細胞培養物は積層されることにより、積層シート状細胞培養物において一つの細胞層を形成する。
次に、液体供給回収手段5の供給手段52により、貯留部51に貯留された培養液(液体培地)を基材101上に供給する(S−1)。これにより、基材101上のシート状細胞培養物の周囲に培養液が供給されて、シート状細胞培養物が培養液中に浮遊した状態となる。
【0064】
次に、シート状細胞培養物を複数積層する(S−2)。
その後、液体供給回収手段5の回収手段53により培養液が回収され、培養液は、基材101上から除去されて図示せぬ排出手段を介して判定システム1の系外に排出される(S−3)。これにより、複数のシート状細胞培養物が密着した状態となる。
【0065】
次に、インキュベートを行う(S−4)。インキュベートは、雰囲気調整手段により、空間21の温度を37℃、5%CO雰囲気下に制御して、その状態を設定時間の間維持することにより行う。これにより、複数のシート状細胞培養物が積層されて複数の細胞層を有する積層シート状細胞培養物100が得られる。
【0066】
次に、CCDカメラ等の撮像手段(情報取得手段4)により、積層シート状細胞培養物100を該積層シート状細胞培養物100の厚さ方向と略平行な方向から撮像して積層シート状細胞培養物100の平面像についての情報を得る(第1の情報取得工程、S−5)。当該情報は、制御部7へ転送されて、記憶部72に蓄積される。
【0067】
次に、液体供給回収手段5の供給手段52により、貯留部51に貯留された培養液(液体培地)を基材101上に供給する(液体付与工程、S−6)。これにより、基材101上の積層シート状細胞培養物100の周囲に培養液が供給されて、積層シート状細胞培養物100が培養液中に浮遊した状態となる。
また、本実施態様においては、積層の際に用いられる培養液と液体付与工程で用いられる培養液とは、同一である。これにより、複数の貯留部51を設置する必要がなくなり、判定システム1が省スペース化される。
【0068】
次に、基材101を振動させることにより、積層シート状細胞培養物100に外力を作用させる(外力付与工程、S−7)。振動は、動力部61で発生した動力を連結部62に介してトレー3に伝えることにより行われる。また、この場合において、外力作用手段6は、積層シート状細胞培養物100が存在する面に対して平行に円運動を行うように振動を発生させる。
【0069】
次に、回収手段53により、基材101上の培養液を吸引して回収し、基材101上から培養液を除去する(液体除去工程、S−8)。
次に、撮像手段(情報取得手段4)により、積層シート状細胞培養物100を該積層シート状細胞培養物100の厚さ方向と略平行な方向から撮像して積層シート状細胞培養物100の平面像についての情報を得る(第2の情報取得工程、S−9)。当該情報は、制御部7へ転送されて、記憶部72に蓄積される。
【0070】
次に、判定手段71により、S−5およびS−9において情報取得手段4を用いた取得した積層シート状細胞培養物100の像について情報を比較し、細胞層間の接着状態を判定する。本実施態様では、S−7前後での細胞層同士のずれの変化を細胞層間の状態の変化として用い、細胞層間の接着状態を判定する。また、細胞層同士のずれの変化として、平面像の面積の変化を用いる。
細胞層同士のずれの変化が、設定された値の範囲内であった場合には、細胞層間の接着が十分であるとして、積層シート状細胞培養物100を完成品として用いる(エンド)。一方、設定された値の範囲外であった場合には、接着が不良であるとして再度S−1を行う。
【0071】
以上、本発明について好適な実施態様に基づき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
また、例えば、上述した実施態様は、液体付与工程と、液体除去工程を備えるものであったが、本発明は、これらの工程を有していなくてもよい。
【0072】
また、例えば、上述した実施態様においては、判定システムは、さらに、シート状細胞培養物(細胞層)の積層を自動的に行う積層装置を備えていてもよい。このような場合、積層、細胞層間の接着状態の判定を1つのシステムにおいて自動的に行うことができ、シート状細胞培養物の積層作業が効率化する。また、一つのキャビネット内に、積層装置と外力作用手段とが配置されていてもよい。
また、例えば、上述した実施態様においては、判定システムは、キャビネットの空間の上方に情報取得手段が配置されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、積層シート状細胞培養物と同程度の高さに配置され、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略垂直な方向から撮像できるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 判定システム
2 キャビネット
21 空間
3 トレー
4 情報取得手段
5 液体供給回収手段
51 貯留部
52 供給手段
53 回収手段
6 外力作用手段
61 動力部
62 連結部
7 制御部
71 判定手段
72 記憶部
73 入力手段
74 出力手段
100 積層シート状細胞培養物
101 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細胞層を含んで構成される積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を判定する方法であって、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
細胞層間に物理的な力を作用させる工程と、
再度積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
物理的な力を作用させる工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する工程と、を含む前記方法。
【請求項2】
細胞層間に物理的な力を作用させる工程が、液体の存在下において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞層間に物理的な力を作用させる工程が、積層シート状細胞培養物が浸漬する程度に液体と積層シート状細胞培養物とを接触させた状態で行われる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞層間に物理的な力を作用させる工程が、積層シート状細胞培養物を振動させる工程である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
積層シート状細胞培養物の像が、積層シート状細胞培養物の厚さ方向と略平行な方向から観察した際の像である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
物理的な力を与える工程の前後での像についての情報の比較が、細胞層同士のずれの比較である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
複数の細胞層を含んで構成される積層シート状細胞培養物の細胞層間の接着状態を判定するシステムであって、
細胞層間に物理的な力を作用させる外力付与手段と、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する情報取得手段と、
情報取得手段によって取得された情報に基づいて細胞層間の接着状態を判定する判定手段と、を含む前記システム。
【請求項8】
複数の細胞層を積層して積層シート状細胞培養物を形成する工程と、
積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
細胞層間に物理的な力を作用させる工程と、
再度積層シート状細胞培養物の像についての情報を取得する工程と、
物理的な力を作用させる工程の前後での像についての情報を比較することにより、細胞層間の接着状態を判定する工程と、を含む積層シート状細胞培養物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−152161(P2012−152161A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15217(P2011−15217)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】