説明

積層体の製造方法

【課題】特性の大きく異なる複数の層を積層した場合であっても、外形形状の揃った積層体を容易に得ることができる積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス製のフレネル基板層111の端面外周を囲むように樹脂製のフレネル枠部材112を配置する。そして、フレネルレンズ層113をフレネル基板層111及びフレネル枠部材112の両方を覆うようにフレネル接着層114を介して接着して、フレネルレンズシート110とする。最後にフレネル枠部材112を切断して、外形形状を所望の形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型スクリーン、飛散防止ガラス、太陽電池モジュール等の複数の層を積層した積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層体の代表例として、透過型スクリーンについて説明する。
従来、この種の透過型スクリーンは、映像光をスクリーンの背後から投射して表示する背面投射型ディスプレイ装置に用いられ、映像光を拡大投影して観察側に表示して使用されている。
この透過型スクリーンは、一般的には、光源(例えば、液晶プロジェクター)から投射された映像光を観察側へ略平行光となるように屈折させるフレネルレンズシートと、この映像光を拡散させるレンチキュラーレンズシート等とを組み合わせて使用されている。
このフレネルレンズシート及びレンチキュラーレンズシートは、押出し成形により一体のシートとして形成されたり、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のプラスティック製の基板に、レンズ等の光学要素を積層することにより形成されている。
【0003】
しかし、プラスティック製の基板は、温度や湿度等、環境の変化によりその厚さや大きさ等が変化することがある。そのため、シートが変形して反り、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとの間に浮きが生じることがあった。そのような状態の透過型スクリーンに映像光を投射すると、焦点ぼけ、色再現性の低下、二重像、画像の歪み等、画質が著しく悪化するという問題があった。
特に、薄型のリアプロジェクションテレビでは、透過型スクリーンヘの映像光の入射角度が大きいため、透過型スクリーンに生じたわずかな反りや浮きは、画質に与える影響が非常に大きいという問題があった。
また、透過型スクリーンは、大型化すると環境の変化によって生じた反りや浮きによる画像の劣化が小型のものに比べて目立ちやすくなるという問題や、自重により撓みやすくなるという問題があった。
【0004】
そこで、温度や湿度の変化に強く、環境の変化により反りが生じることがないガラス製の基板(以下、ガラス基板という)を用いた透過型スクリーンが開発されてきた(例えば、特許文献1)。
特許文献1は、フレネルレンズシート(特許文献1には「フレネルレンズ板」と記載)と、拡散材を混合して拡散効果を持たせたガラス基板に、レンチキュラーレンズ層(特許文献1には「レンチキュラーレンズシート」と記載)が積層されたレンチキュラーレンズシート(特許文献1には「レンチキュラーレンズ板」と記載)とを組み合わせた透過型スクリーンを開示している。
特許文献1の透過型スクリーンによれば、フレネルレンズ板とレンチキュラーレンズ板とを密着して組み合わせて、その密着状態を保持できるので、画質の悪化を防止することができる。
【0005】
ところで、透過型スクリーンに用いられるガラス基板は、一般的には、青板ガラスやアルカリガラス、無アルカリガラス等が使用されており、また、特殊な機能を付加したものとして、耐熱ガラスや強化ガラス、半強化ガラス等がある。
さらに、近年、ディスプレイ製品は、薄型化かつ大型化の傾向にあり、その部品として使用されるガラス基板自体も薄型化、大型化が進んでいる。
このため、ガラス基板には、強化、安全対策を施す必要があり、例えば、その端面に、C面取りやR面取り加工が施されている。
【0006】
しかし、ガラス基板は、たとえ、その端面がC面取りやR面取り加工により強化されていたとしても、取り扱い時に生じる撓みや他の部材との接触等により、端面に傷が発生して、割れることがあるという問題があった。
【0007】
また、ガラス基板を有した透過型スクリーンでは、ガラス基板とフレネルレンズシート又はレンチキュラーレンズシート等、特性の大きく異なる素材が張り合わせられているので、それを必要な大きさに断裁することが困難であった。
ガラス基板のみ、又は、レンズシートのみであれば、それぞれ断裁することは容易である。例えば、ガラス基板は、ダイヤモンドバイトを用い、レンズシートは、刃物等を用いることにより容易に切断できる。しかし、ガラス基板にレンズシートや飛散防止フィルム等を貼り合わせた場合には、それぞれ持っている特性が異なるので断裁方法が限られる。例えば、特許文献2には、ウォータージェットを用いる方法が開示されている。また、ダイヤモンド砥石を使った方法もある。しかし、これらの断裁方法は、多量の水を使うことや研磨屑が多量に発生することにより、レンズシート及びフィルムによっては変質したり、接着不良が発生したりするという問題があった。また、断裁スピードが非常に遅く、生産性が悪いという問題もあった。
【0008】
また、別々に断裁する方法(特許文献3)では、2回目の断裁時に位置あわせを正確に実施する必要があるという問題があった。また、2回断裁するため生産性が悪いという問題があった。
なお、飛散防止ガラス、太陽電池モジュール等の積層体においても、断裁に関して同様な問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2002−357868号公報
【特許文献2】特開昭60−180942号公報
【特許文献3】特開平7-291648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、特性の大きく異なる複数の層を積層した場合であっても、外形形状の揃った積層体を容易に得ることができる積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、単一の層、または、複数の異なる層により形成された基板層(111,121,211,311,411)と、前記基板層に積層されるカバー層(113,123,125,213,215,313,413)とを有した積層体の製造方法であって、前記基板層の外周端部を覆うように枠部材(112,122,212,312,412)を設置する枠部材配置工程と、前記枠部材配置工程の後に、前記基板層及び前記枠部材の両方を覆うように前記基板層及び前記枠部材の少なくとも1面に対して接着層(114,124,214,314,414)を介して前記カバー層を積層する接着工程と、前記接着工程の後に、前記枠部材と前記カバー層とが接着されている位置で前記枠部材及び前記カバー層を切断して必要外形寸法とする断裁工程と、を有する積層体の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の積層体の製造方法において、前記接着層(114,124,214,314,414)に使用する接着材は、硬化前の状態では流動性を有しており、前記接着工程には、前記基板層(111,121,211,311,411)及び前記枠部材(112,122,212,312,412)と、前記カバー層との間に存在する前記接着材の内で不要な部分を前記枠部材の外周側へ押し出す接着材押し出し工程が含まれていること、を有する積層体の製造方法である。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法において、前記基板層(111,121,211,311,411)の積層方向の厚さと前記枠部材(112,122,212,312,412)の積層方向の厚さとは、略等しいこと、を特徴とする積層体の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、前記カバー層(113,123,125,213,215,313,413)は、前記基板層(111,121,211,311,411)及び前記枠部材(112,122,212,312,412)の両面に積層されていること、を特徴とする積層体の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、前記枠部材(112,122,212,312,412)は、プラスティック樹脂又はゴムにより形成されていること、を特徴とする積層体の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、前記接着工程では、前記基板層(111,121,211,311,411)と前記枠部材(112,122,212,312,412)との間についても前記接着層(114,124,214,314,414)により接着すること、を特徴とする積層体の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、前記基板層(111,121,211,311,411)は、ガラスまたは透光性セラミックスにより形成されていること、を特徴とする積層体の製造方法である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の積層体の製造方法において、前記枠部材(112,122,212)の少なくとも前記基板層(111,121,211)に対面する部分は、光吸収作用を有していること、を特徴とする積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)基板層の外周端部を覆うように枠部材を設置する枠部材配置工程と、枠部材配置工程の後に、基板層及び枠部材の両方を覆うように基板層及び枠部材の少なくとも1面に対して接着層を介してカバー層を積層する接着工程と、接着工程の後に、枠部材とカバー層とが接着されている位置で枠部材及びカバー層を切断して必要外形寸法とする断裁工程とを有するので、基板層とカバー層との特性が大きく異なっていても、容易に断裁できる。
(2)接着工程には、基板層及び枠部材と、カバー層との間に存在する接着材の内で不要な部分を枠部材の外周側へ押し出す接着材押し出し工程が含まれているので、基板層及び枠部材と、カバー層との間を確実に接着できる。
(3)基板層の積層方向の厚さと枠部材の積層方向の厚さとは、略等しいので、カバー層を容易に積層できる。
(4)カバー層は、基板層及び枠部材の両面に積層されているので、基板層が破損したときに破片の飛散をより少なく抑えることができる。
(5)枠部材は、プラスティック樹脂又はゴムにより形成されているので、必要な強度を確保しながらも軽く、かつ、製造を容易にできる。
(6)接着工程では、基板層と枠部材との間についても接着層により接着するので、枠部材をより確実に基板層に固定できる。また、カバー層を形成するときに同時に基板層と枠部材とを固定でき、製造を容易に行える。
(7)基板層は、ガラスまたは透光性セラミックスにより形成されているので、剛性が高く、高い平面性を確保することができる。また、高い耐環境特性を得ることができる。
(8)枠部材の少なくとも基板層に対面する部分は、光吸収作用を有しているので、基板層内で反射を繰返す等した迷光を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、特性の大きく異なる複数の層を積層した場合であっても、外形形状の揃った積層体を容易に得ることができる積層体の製造方法を提供するという目的を、基板層のまわりに配置した枠部材を切断することにより実現した。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションテレビの断面図である。
リアプロジェクションテレビ1は、光源部21、ミラー部31、透過型スクリーン100等を備えた背面投射型表示装置である。このリアプロジェクションテレビ1は、透過型スクリーン100の観察面側(出射側)とは反対側に設けられた、DMD(Digital Micromirror Device)を用いた単管方式の光源部21から投射された映像光Lを、ミラー部31で反射させ、透過型スクリーン100に投射して表示する。
図2は、実施例1の透過型スクリーンを示す斜視図である。
実施例1の透過型スクリーン100は、図2に示すように、映像光Lの入射側(光源側)に設けられたフレネルレンズシート110と、映像光Lの出射側(観察面側)に設けられたレンチキュラーレンズシート120とを備え、これらを組み合わせることにより1組の透過型スクリーンとして形成され、映像光Lの結像面に配置される。
【0015】
図3は、実施例1の透過型スクリーンの層構成を模式的に示した図である。
図中の矢印で示した映像光Lは、図中の上方から透過型スクリーン100に入射し、図中の下方へ出射する。
【0016】
(フレネルレンズシート)
まず、フレネルレンズシート110について説明する。
フレネルレンズシート110は、フレネル基板層111,フレネル枠部材112,フレネルレンズ層113,フレネル接着層114を有し、透過型スクリーン100の入射側に配置されている積層体である。
フレネル基板層111は、光透過性が高く、かつ、剛性の高い基板層であり、ケイ酸塩ガラスにより形成された、厚さ2mmのガラス板である。フレネル基板層111は、波長帯域が400〜700nmにおける光の透過率が90%以上である。
【0017】
フレネル枠部材112は、フレネル基板層111の外周端部を覆うアクリル樹脂製の枠部材であり、その厚さはフレネル基板層111と同じ2mmとなっている。また、フレネル枠部材112は、黒色の樹脂により形成されており、光吸収作用を有している。
フレネルレンズ層113は、フレネル基板層111及びフレネル枠部材112の両方を覆うようにフレネル基板層111及びフレネル枠部材112の出射側に対してフレネル接着層114を介して積層されるカバー層である。
フレネルレンズ層113は、出射側にフレネルレンズ形状が形成され、入射側から入射した映像光Lを所定の方向に屈折させ、出射側へ略平行光として出射するフレネルレンズとして機能する。
【0018】
このフレネルレンズ層113は、フレネルレンズの逆型形状を有する不図示のフレネルレンズ成型用金型を加温し、紫外線硬化型樹脂を金型面に塗布し、塗布された紫外線硬化型樹脂の温度を保ちながら、金型に充填された紫外線硬化型樹脂の上に不図示の基板層を加圧積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、金型から剥離することにより形成されている。紫外線硬化型樹脂は、特に限定はしないが、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が好ましい。
フレネル接着層114は、フレネル基板層111及びフレネル枠部材112とフレネルレンズ層113とを接着する層であり、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型のアクリル樹脂により形成され、その厚さは100μmである。
なお、フレネル接着層114は、フレネル基板層111とフレネル枠部材112との間にも充填されており、これらを接着する役割も有している。
【0019】
(レンチキュラーレンズシート)
次に、レンチキュラーレンズシート120について説明する。
レンチキュラーレンズシート120は、レンチキュラー基板層121,レンチキュラー枠部材122,レンチキュラーレンズ層123,レンチキュラー接着層124,前面層125を有し、映像光Lを屈折させ、拡散する拡散光学シートであり、透過型スクリーン100の出射側に配置されている積層体である。
【0020】
レンチキュラー基板層121は、光透過性を有し、剛性の高い基板層であり、フレネル基板層111と同様に、ケイ酸塩ガラスにより形成された厚さ2mmのガラス板である。このレンチキュラー基板層121は、フレネル基板層111と同様に、波長帯域400〜700nmにおける光の透過率が90%以上である。
レンチキュラー枠部材122は、レンチキュラー基板層121の外周端部を覆うアクリル樹脂製の枠であり、その厚さはレンチキュラー基板層121と同じ2mmとなっている。また、レンチキュラー枠部材122は、黒色の樹脂により形成されている。
【0021】
レンチキュラーレンズ層123は、レンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122の両方を覆うようにレンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122の入射側に対してレンチキュラー接着層124を介して積層される入射側のカバー層である。
レンチキュラーレンズ層123は、入射側にレンチキュラーレンズ形状が形成され、入射した映像光を拡散する作用を有している。
このレンチキュラーレンズ層123は、水平方向への拡散効果を有する単位レンズが複数配列され、形成されている。単位レンズは、断面が略楕円形状の出射側に突出した形状であり、入射した光の少なくとも一部を屈折する。
光吸収部123aは、レンチキュラーレンズ層123の出射側の面の映像光が通過しない領域に、透過型スクリーン100の垂直方向に延在しており、これが水平方向に多数縞状に並べて配置されている。
【0022】
レンチキュラー接着層124は、レンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122とレンチキュラーレンズ層123とを接着する層であり、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型のアクリル樹脂により形成され、レンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122とレンチキュラーレンズ層123との間における厚さは100μmである。
また、レンチキュラー接着層124は、レンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122と後述の前面層125とを接着する役割も有しており、レンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122と前面層125との間における厚さも100μmである。
なお、レンチキュラー接着層124は、レンチキュラー基板層121及びレンチキュラー枠部材122の間にも充填されており、これらを接着する役割も有している。
前面層125は、透過型スクリーンの最も観察者側の表面となる層であり、ポリエチレンテレフタレート樹脂により厚さ188μmに形成されている。なお、この前面層125には、必要に応じて、拡散,反射防止,防眩,着色(Tint),減光(ND),紫外線吸収,帯電防止,防汚,センサー,ハードコート等の機能を付与してもよい。
【0023】
次に、本実施例のフレネルレンズシート110の製造方法について説明する。
図4及び図5は、フレネルレンズシート110の製造方法を示す断面図である。
図6及び図7は、フレネルレンズシート110の製造方法を示す斜視図である。
なお、図4及び図5中における工程1〜工程8は、図6及び図7中における工程1〜工程8にそれぞれ対応して同じ工程を示している。
【0024】
(工程1)
作業テーブルTの上に、フレネル基板層111とフレネル枠部材112を配置する(枠部材配置工程)。このとき、フレネル枠部材112の中空部分にフレネル基板層111が配置されるようにする。また、フレネル基板層111とフレネル枠部材112の厚さは、いずれも2mmで等しいので、上面が揃った状態となる。なお、作業テーブルTは、離型剤が予め塗布処理されている。
【0025】
(工程2)
フレネル基板層111とフレネル枠部材112との上面の全面にフレネル接着層114となる紫外線硬化型のアクリル樹脂G1を多連ノズルN1により塗布する。
【0026】
(工程3)
フレネル基板層111とフレネル枠部材112との上面には、工程2において既にアクリル樹脂が塗布されているが、さらにノズルN2によりフレネル基板層111とフレネル枠部材112の一端辺付近に多連ノズルN1により塗布した方向に略直交する方向でさらに工程2において塗布したものと同じアクリル樹脂G2を追加塗布する。なお、この工程3においてアクリル樹脂G2を追加塗布する位置は、図中に示した位置に限らず、予備実験などを行って最適な位置を選択すればよい。
これら工程2及び工程3で塗布するアクリル樹脂G1,G2は、後の工程5で押し出されてはみ出すくらいに十分多めに塗布すると、隙間なく接着することができる。
【0027】
(工程4)
アクリル樹脂G1,G2が塗布された面に別途形成されたフレネルレンズ層113を積載する。ここで、積載するフレネルレンズ層113のシート面の法線方向から見たときの外形形状は、フレネル基板層111よりも大きくするとよく、フレネル枠部材112の外形形状と略同じであることが望ましく、より好ましくは、フレネル枠部材112の外形形状よりも大きいことが望ましい。
【0028】
(工程5)
フレネルレンズ層113をアクリル樹脂G1,G2上に積載した後に、これを作業テーブルTごとニップローラRによりアクリル樹脂G1,G2を均一に伸ばしつつ、アクリル樹脂G1,G2の内で余分な樹脂及び空気をフレネル枠部材112の外周側へ押し出す(接着材押し出し工程)。
そして、そのまま紫外線を照射してアクリル樹脂G1,G2を硬化させて、工程2〜工程5に示した接着工程が終了し、フレネルレンズシート110の大まかな形が形成される。
【0029】
(工程6)
アクリル樹脂G1,G2が十分に硬化したら、作業テーブルTから取り外す。このとき、作業テーブルTには、離型剤が塗布されているので、無理なくフレネルレンズシート110を取り外すことができる。
【0030】
(工程7)
工程6で取り外されたフレネルレンズシート110は、外周部分に接着層の一部がはみ出しており、また、フレネルレンズ層113も大きくはみ出している。そこで、必要な大きさにこの工程で断裁する(断裁工程)。このとき、切断する位置は、フレネル枠部材112が切断される位置とする。そうすることにより、切断が困難なガラス製のフレネル基板層111を切断する必要がなく、また、薄くて切断し難いフレネルレンズ層113も容易に切断することができる。
【0031】
(工程8)
上記工程7により不要な部分を切断されて、フレネルレンズシート110が完成する。
切断後に残されたフレネル枠部材112は、フレネル基板層111の外周を覆う形で残っており、フレネル基板層111を保護できる。
【0032】
なお、レンチキュラーレンズシート120についても、ガラス製のレンチキュラー基板層121の両側にカバー層であるレンチキュラーレンズ層123及び前面層125を張り合わせる他は、フレネルレンズシート110と同様にして作製することができる。
【0033】
ここで、フレネル基板層111とフレネル枠部材112との厚さについて説明する。なお、ここでは、フレネル基板層111とフレネル枠部材112とについて説明するが、レンチキュラー基板層121とレンチキュラー枠部材122との関係についても同様である。
本実施例では、フレネル基板層111及びフレネル枠部材112は、ともに同じ厚さ(2mm)であることとした。その理由は、フレネル基板層111とフレネル枠部材112との厚さが大きく異なる場合には、以下のような問題が発生するからである。
【0034】
(フレネル基板層111よりもフレネル枠部材112が厚い場合の問題)
フレネル基板層111よりもフレネル枠部材112が厚いと、アクリル樹脂G1,G2を押し出すときに、アクリル樹脂G1,G2に混入している気泡がフレネル枠部材112に当たり、気泡が抜けない。
また、フレネル基板層111とフレネル枠部材112とが接する付近のアクリル樹脂G1,G2が多くなり、その部分のフレネル接着層114が厚くなってしまい、フレネルレンズシート110の平面性を損なう。
【0035】
(フレネル基板層111よりもフレネル枠部材112が薄い場合の問題)
フレネル基板層111よりもフレネル枠部材112が薄いと、アクリル樹脂G1,G2を押し出すときに、フレネル基板層111とフレネル枠部材112との段差部分で新たに気泡が発生してしまう。
また、フレネル枠部材112とフレネルレンズ層113との間の接着が不完全になり、剥がれが発生してしまう。
【0036】
(基板層の厚さと枠部材の厚さとの差の許容値)
上述したように、フレネル基板層111及びレンチキュラー基板層121等の基板層と、フレネル枠部材112及びレンチキュラー枠部材122等の枠部材との厚さは、一致していることが望ましい。ただし、部品調達等の都合により、厚さの異なるものを使用したい場合もあり得る。そこで、基板層と枠部材との厚さの差がどの程度まで許容できるのかを、実験により求めた。
具体的には、厚みの異なる枠部材に相当する部材を用意して、厚さ一定の基板層にカバー部材を接着する実験を行った。基板層としては、厚さ3mmで50cm角の正方形のガラス板を用いた。
気泡の判定は、半径0.2mm以下の気泡が5個以内の場合を○とし、半径0.2mm以下の気泡が5〜10個の場合を△とし、半径0.2mm以下の気泡が10個以上の場合及び半径0.2mmより大きい気泡が在る場合を×と判定した。
また、剥がれに関しては、剥がれある場合を×とし、剥がれがない場合を○とした。
測定は、それぞれ3回実施した。その結果を表1に示す。
この実験の結果から、基材層と枠部材との厚みの差は、±0.4mm以下であることが望ましいといえる。
【0037】
【表1】

【0038】
本実施例によれば、フレネルレンズシート110及びレンチキュラーレンズシート120のいずれも、剛性の高いガラス製の基板層(フレネル基板層111,レンチキュラー基板層121)を有するので、環境変化によらず安定して高い平面性を確保できる。
また、フレネル基板層111及びレンチキュラー基板層121の外周をフレネル枠部材112及びレンチキュラー枠部材122により囲んでいるので、フレネル基板層111及びレンチキュラー基板層121の破損を防止できる。
さらに、製造時にフレネル枠部材112(レンチキュラー枠部材122)の位置で断裁を行うことから、フレネル接着層114(レンチキュラー接着層124)をはみ出させて硬化させることが可能となり、透過型スクリーンをより簡単に製造でき、安価に提供できる。
【実施例2】
【0039】
図8は、実施例2の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションテレビの断面図である。
リアプロジェクションテレビ2は、光源部22、ミラー部32、透過型スクリーン200を備えた背面投射型表示装置である。光源部22は、DMDを用いた単管方式の光源であり、透過型スクリーン200の下方から映像光Lを投射する。そのため、映像光Lが透過型スクリーン200に入射する入射角度は、実施例1のリアプロジェクションテレビ1に比べて大きい。
【0040】
図9は、実施例2の透過型スクリーンを示した図である。
図10は、実施例2の透過型スクリーンの層構成を模式的に示した図である。
透過型スクリーン200は、プリズム基板層211,プリズム枠部材212,プリズム層213,プリズム接着層214,水平拡散層215,無指向性拡散層216を有した積層体である。
透過型スクリーン200は、光源部22から投射された映像光を観察者側へ観察可能な状態で出射する透過型スクリーンであり、光源部22から投射された映像光の出射方向を偏向させると共に、光を水平方向において拡散して出射させる。
【0041】
ここで、本実施例におけるリアプロジェクションテレビ2では、透過型スクリーン200に対して映像光が斜め方向から投射されるようにして、装置全体の薄型化を図っている。したがって、透過型スクリーン200のどの位置においても、かなり大きな角度(上端部では70度程度以上の角度)で光が入射することとなる。そこで、本実施例では、実施例1において使用されていたフレネルレンズに代わり、プリズム層213を設けている。
【0042】
図11は、プリズム層213の作用を説明する断面図である。
プリズム層213は、映像光Lが入射する入射面213aと、入射面213aから入射した光の少なくとも一部が全反射する全反射面213bとを有する複数の単位プリズム213cが、図9に示すように、透過型スクリーン200の外部にある同心円の中心Pから同心円状に配列され、形成されている。
各単位プリズム形状213cは、光源部22から投射されて斜め方向から大きな角度で入射した映像光Lを屈折及び全反射して透過型スクリーン200のシート面に対して略垂直な方向に進行させる。なお、各単位プリズム形状213cの幅(レンズピッチ)は、画面上で単位プリズム形状213cが多数連なっていることが視認されないように1mm程度以下である必要があり、好ましくは0.1mm程度であって、本実施例においても、0.1mmとなっている。
【0043】
ここで、各単位プリズム形状213cに入射する映像光Lの入射角は、透過型スクリーン200の平面上における各単位プリズム形状213cの位置に応じて異なっており、そのような入射角の変化に応じて各単位プリズム形状213cの形状を変化させている。
【0044】
図10に戻って、水平拡散層215は、映像光を水平方向に拡散する層であり、単位台形形状215a,光吸収部215bを有している。
単位台形形状215aは、水平方向の断面形状が略台形形状となっており、その長手方向が垂直方向に延在している。単位台形形状215aは、その斜辺に相当する面により光を全反射して光を拡散する作用を有しており、この単位台形形状215aを水平方向に多数並べて配置することにより、光拡散部が形成されている。
【0045】
光吸収部215bは、単位台形形状215a同士の間に形成されているV字形状の溝部分に光吸収性を有したインクを充填して形成された遮光部である。この光吸収部215bは、主に水平方向において観察側から進んでくる外光を除去する効果を有している。なお、光吸収部215bは、単位台形形状215a同士の間に形成されているV字形状の溝部分に充填しなくてもよく、単位台形形状215aの斜辺に相当する面の表面に形成されていればよい。
なお、本実施例における単位台形形状215aの断面形状は、台形斜辺に相当する部分が直線であるが、これに限らず、例えば、複数の直線を組み合わせた形状となっていてもよいし、曲線となっていてもよい。
【0046】
プリズム基板層211は、実施例1におけるフレネル基板層111及びレンチキュラー基板層121に相当するガラス製の層である。
プリズム枠部材212は、実施例1におけるフレネル枠部材112及びレンチキュラー枠部材122に相当するアクリル樹脂製の枠であり、プリズム基板層211の外周端部を覆っている。
プリズム接着層214は、実施例1におけるフレネル接着層114及びレンチキュラー接着層124と同様な層であり、プリズム基板層211とプリズム層213とを接着するとともに、プリズム基板層211と水平拡散層215とを接着している。また、プリズム接着層214は、プリズム基板層211とプリズム枠部材212とについても接着している。
無指向性拡散層216は、ポリエチレンテレフタレート樹脂にガラスビーズを拡散材として略均一に混合して形成されたシートを、透過型スクリーン200の最も出射側に接合した層である。無指向性拡散層216に混合するガラスビーズは、拡散が光の波長に依存しないように、その直径が1μm以上のものを用いている。なお、無指向性拡散層216の出射側表面には、必要に応じて、反射防止,防眩,帯電防止,防汚,ハードコート等の機能を付与してもよい。
なお、透過型スクリーン200の製造方法については、プリズム基板層211の両面にプリズム層213及び水平拡散層215が形成されているものの、実施例1の透過型スクリーン100と同様に行うことができる。
【0047】
実施例2のリアプロジェクションテレビ2は、映像光Lの入射角度が大きいため、透過型スクリーン200の僅かな反りや浮き等により生じる画像の劣化の影響は、実施例1のリアプロジェクションテレビ1に比べて非常に大きい。特に、透過型スクリーンの上辺部等、光源部22から遠い位置になるほど、透過型スクリーンの浮き等による画質への影響は大きい。
【0048】
しかし、透過型スクリーン200は、剛性の高いガラス製のプリズム基板層211をベースとしてその両面にプリズム層213及び水平拡散層215をそれぞれ積層しているので、温度や湿度等の環境の変化による反りや浮き、自重による撓み等が生じ難く、高い平面性を維持できる。したがって、リアプロジェクションテレビ2のように映像光Lの入射角度が大きい場合にも、観察者に高画質の画像を提供できる。
また、実施例1と同様にプリズム基板層211の外周をプリズム枠部材212により囲んでいるので、プリズム基板層211の破損を防止できる。
さらに、製造時にプリズム枠部材212の位置で断裁を行うことから、プリズム接着層214をはみ出させて硬化させることが可能となり、透過型スクリーンをより簡単に製造でき、安価に提供できる。
【実施例3】
【0049】
図12は、実施例3の太陽電池モジュールの層構成を模式的に示した図である。
太陽電池モジュール300は、太陽電池基板層311,太陽電池枠部材312,裏面保護層313,太陽電池接着層314等を有し、太陽光を利用して発電を行う積層体である。
太陽電池基板層311は、太陽電池モジュール300の主要部であって、前面ガラス板316,太陽電池セル317等を有している。
前面ガラス板316は、太陽電池として使用するときに太陽の光が当たる側となり、太陽電池セルを保護する役割を有したガラス製の板部材である。
太陽電池セル317は、太陽の光エネルギーを吸収して電気に変えるエネルギー変換を行う太陽電池の最小単位であり、前面ガラス板316の一面に配列されている。
【0050】
太陽電池枠部材312は、太陽電池基板層311の外周端部を覆うアクリル樹脂製の枠であり、その厚さは太陽電池基板層311と等しくなっている。
裏面保護層313は、太陽電池基板層311の裏面(使用時に太陽光が当たらない側)を保護するカバー層であり、太陽電池基板層311及び太陽電池枠部材312の両方を覆うように太陽電池基板層311及び太陽電池枠部材312の裏面側に対して太陽電池接着層314を介して積層されている。
太陽電池接着層314は、太陽電池基板層311及び太陽電池枠部材312と裏面保護層313とを接着する層であり、エポシキ系接着剤により形成され、その厚さは100μmである。
なお、太陽電池接着層314は、太陽電池基板層311と太陽電池枠部材312との間にも充填されており、これらを接着する役割も有している。
【0051】
実施例3における太陽電池モジュール300は、実施例1のフレネルレンズシート110の場合と同様な製造方法により作製できる。なお、実施例3における太陽電池モジュール300では、太陽電池基板層311が実施例1のフレネル基板層111に相当し、太陽電池枠部材312がフレネル枠部材112に相当し、裏面保護層313がフレネルレンズ層113に相当し、太陽電池接着層314がフレネル接着層114に相当する。
本実施例によれば、製造時に太陽電池枠部材312の位置で断裁を行うことから、太陽電池接着層314をはみ出させて硬化させることが可能となり、太陽電池モジュールをより簡単に製造でき、安価に提供できる。
【実施例4】
【0052】
図13は、実施例4の飛散防止ガラスの層構成を模式的に示した図である。
飛散防止ガラス400は、ガラス基板層411,飛散防止枠部材412,飛散防止層413,飛散防止接着層414等を有し、破損したときにその破片が飛び散ることを防止した安全性の高いガラスとして使用される積層体である。
ガラス基板層411は、飛散防止ガラス400の主要部であって、一般的な青板ガラスの基板層である。
【0053】
飛散防止枠部材412は、ガラス基板層411の外周端部を覆うウレタンゴム製の枠であり、その厚さはガラス基板層411と等しくなっている。
飛散防止層413は、ガラス基板層411の両面に設けられ、ガラス基板層411が割れた場合であっても、その破片がまわりに飛び散らないようにする役割を有したカバー層であり、ポリプロピレン製のフィルムを用いている。
飛散防止層413は、ガラス基板層411及び飛散防止枠部材412の両方を覆うようにガラス基板層411及び飛散防止枠部材412の両面に対して飛散防止接着層414を介して積層されている。
飛散防止接着層414は、ガラス基板層411及び飛散防止枠部材412と飛散防止層413とを接着する層であり、ポリビニールブチロールの接着材により形成されている。
なお、飛散防止接着層414は、ガラス基板層411と飛散防止枠部材412との間にも充填されており、これらを接着する役割も有している。
【0054】
実施例4における飛散防止ガラス400は、飛散防止層413が2層設けられているものの、実施例1のフレネルレンズシート110の場合と同様な製造方法により作製できる。なお、実施例4における飛散防止ガラス400では、ガラス基板層411が実施例1のフレネル基板層111に相当し、飛散防止枠部材412がフレネル枠部材112に相当し、飛散防止層413がフレネルレンズ層113に相当し、飛散防止接着層414がフレネル接着層114に相当する。
本実施例によれば、ガラス基板層411の外周部分を飛散防止枠部材412により囲んでいるので、取り扱い時に外周部分をぶつける等して破損することを防止できる。また、製造時に飛散防止枠部材412の位置で断裁を行うことから、飛散防止接着層414をはみ出させて硬化させることが可能となり、飛散防止ガラスをより簡単に製造でき、安価に提供できる。
【0055】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)各実施例において、透過型スクリーン、太陽電池モジュール、飛散防止ガラスを積層体の例としてあげて説明したが、これに限らず、その他の積層体であってもよい。
【0056】
(2)各実施例において、基板層として透光性を備えたガラスを使用している例を示したが、これに限らず、例えば、透光性がなくてもよいし、セラミックス等のガラス以外の素材を基板層に使用してもよい。
【0057】
(3)各実施例において、フレネル枠部材112,レンチキュラー枠部材122,プリズム枠部材212,太陽電池枠部材312,飛散防止枠部材412は、アクリル樹脂又はウレタンゴムにより形成した例を示したが、これに限らず、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ブタジエンゴム等、他のプラスティック樹脂やゴムを用いてもよい。また、必要に応じて、枠部材には、2種類以上の材料を積層して形成したものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションテレビの断面図である。
【図2】実施例1の透過型スクリーンを示す斜視図である。
【図3】実施例1の透過型スクリーンの層構成を模式的に示した図である。
【図4】フレネルレンズシート110の製造方法を示す断面図である。
【図5】フレネルレンズシート110の製造方法を示す断面図である。
【図6】フレネルレンズシート110の製造方法を示す斜視図である。
【図7】フレネルレンズシート110の製造方法を示す斜視図である。
【図8】実施例2の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションテレビの断面図である。
【図9】実施例2の透過型スクリーンを示した図である。
【図10】実施例2の透過型スクリーンの層構成を模式的に示した図である。
【図11】プリズム層213の作用を説明する断面図である。
【図12】実施例3の太陽電池モジュールの層構成を模式的に示した図である。
【図13】実施例4の飛散防止ガラスの層構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0059】
100 透過型スクリーン
110 フレネルレンズシート
111 フレネル基板層
112 フレネル枠部材
113 フレネルレンズ層
114 フレネル接着層
120 レンチキュラーレンズシート
121 レンチキュラー基板層
122 レンチキュラー枠部材
123 レンチキュラーレンズ層
124 レンチキュラー接着層
125 前面層
200 透過型スクリーン
211 プリズム基板層
212 プリズム枠部材
213 プリズム層
214 プリズム接着層
215 水平拡散層
216 無指向性拡散層
300 太陽電池モジュール
311 太陽電池基板層
312 太陽電池枠部材
313 裏面保護層
314 太陽電池接着層
400 飛散防止ガラス
411 ガラス基板層
412 飛散防止枠部材
413 飛散防止層
414 飛散防止接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の層、または、複数の異なる層により形成された基板層と、前記基板層に積層されるカバー層とを有した積層体の製造方法であって、
前記基板層の外周端部を覆うように枠部材を設置する枠部材配置工程と、
前記枠部材配置工程の後に、前記基板層及び前記枠部材の両方を覆うように前記基板層及び前記枠部材の少なくとも1面に対して接着層を介して前記カバー層を積層する接着工程と、
前記接着工程の後に、前記枠部材と前記カバー層とが接着されている位置で前記枠部材及び前記カバー層を切断して必要外形寸法とする断裁工程と、
を有する積層体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の積層体の製造方法において、
前記接着層に使用する接着材は、硬化前の状態では流動性を有しており、
前記接着工程には、前記基板層及び前記枠部材と、前記カバー層との間に存在する前記接着材の内で不要な部分を前記枠部材の外周側へ押し出す接着材押し出し工程が含まれていること、
を有する積層体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法において、
前記基板層の積層方向の厚さと前記枠部材の積層方向の厚さとは、略等しいこと、
を特徴とする積層体の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、
前記カバー層は、前記基板層及び前記枠部材の両面に積層されていること、
を特徴とする積層体の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、
前記枠部材は、プラスティック樹脂又はゴムにより形成されていること、
を特徴とする積層体の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、
前記接着工程では、前記基板層と前記枠部材との間についても前記接着層により接着すること、
を特徴とする積層体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の積層体の製造方法において、
前記基板層は、ガラスまたは透光性セラミックスにより形成されていること、
を特徴とする積層体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の積層体の製造方法において、
前記枠部材の少なくとも前記基板層に対面する部分は、光吸収作用を有していること、
を特徴とする積層体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−7918(P2007−7918A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189432(P2005−189432)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】