説明

積層体

【課題】本発明は、従来の積層構造では実現できなかった、柔軟性、高い機械的強度、及び、高い燃料バリア性を有する積層体を提供する。
【解決手段】本発明は、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された積層体に関する。本発明は、エラストマー層(C)、フッ素非含有樹脂層(B)、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された積層体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン等の燃料移送配管材としては、加工性、防錆性、軽量化、経済性等の点から、樹脂積層体を用いることが主流になりつつあるが、燃料蒸散規制の厳格化に伴い、耐燃料透過性の向上に対する要請が大きくなってきた。
【0003】
耐燃料透過性の樹脂積層体としては、ポリブチレンテレフタレート〔PBT〕、ポリブチレンナフタレート〔PBN〕、ポリエチレンテレフタレート〔PET〕及びポリエチレンナフタレート〔PEN〕からなる群より選ばれた少なくとも1種類を主成分とする層とPBTを主成分とする層とを積層してなる樹脂製チューブ(例えば、特許文献1参照。)や、ポリフェニレンサルファイド〔PPS〕を主成分とする樹脂層とPBTを主成分とする樹脂層とを含む樹脂製チューブが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性等が不充分という問題があった。
【0004】
耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた樹脂としてはフッ素樹脂があるが、フッ素樹脂は、機械的強度や寸法安定性に劣り高価であるので、他の有機材料と積層することが望ましい。
【0005】
フッ素樹脂と他の有機材料との積層体であって耐燃料透過性を有するものとしては、ポリアミド12〔PA12〕からなる層、テトラフルオロエチレン〔TFE〕/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕共重合体からなる層、及び、エチレン/TFE共重合体〔ETFE〕に導電性を付与してなる層からなる3層積層体、又は、PA12からなる層、TFE/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体〔FEP〕からなる層、及び、ETFEに導電性を付与してなる層からなる3層積層体が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
高度の耐燃料透過性を目的として、フッ素樹脂層と、フッ素非含有有機材料層との積層体であって、該フッ素樹脂層として、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕共重合体層と、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体又はTFE/HFP/PAVE共重合体との積層が接着機能性官能基を導入しなくても相溶性による層間接着性により可能であることが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
積層樹脂成形体に柔軟性を付与するために、熱可塑性エラストマー層、ポリアミド系樹脂層及び含フッ素エチレン性重合体層からなる3層積層体が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。また、ポリアミド樹脂層を外層、含フッ素エチレン性重合体層を内層としてなる樹脂積層体において、その最外層にゴム層を設けてもよいと記載されているものがある(例えば、特許文献6参照。)。
【0008】
高度の耐燃料透過性と耐クラック性を目的として、含フッ素エチレン性重合体からなる層、クロロトリフルオロエチレン共重合体からなる層及びフッ素非含有有機材料からなる層を有する積層体が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−213655号公報
【特許文献2】特開2002−267054号公報
【特許文献3】国際公開第01/18142号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/098880号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/110756号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/58686号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2006/135091号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の積層構造では実現できなかった、柔軟性、高い機械的強度、及び、高い燃料バリア性を有する積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された積層体に関する。
【0012】
本発明は、エラストマー層(C)、フッ素非含有樹脂層(B)、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された積層体にも関する。
【0013】
フッ素樹脂層(A)は、カルボニル基、ヒドロキシル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の接着機能性官能基を有する含フッ素重合体からなることが好ましい。
【0014】
フッ素樹脂層(A)は、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素重合体からなることが好ましい。
【0015】
フッ素樹脂層(A)は、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素重合体50.01〜99.99質量部と、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有重合体0.01〜49.99質量部と、からなることが好ましい。
【0016】
フッ素非含有樹脂層(B)は、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有重合体からなることが好ましい。
【0017】
エラストマー層(C)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選択される少なくとも1種のエラストマーを含むエラストマー組成物からなることが好ましい。
【0018】
本発明の積層体は、層(A)の外側に層(D)が接着された積層体であってよい。
【0019】
本発明の積層体は、層(C)の外側に層(D)が接着された積層体であってよい。
【0020】
本発明は、上記積層体から形成される成形品にも関する。
【0021】
本発明は、上記積層体から形成される燃料チューブにも関する。
【0022】
本発明は、上記積層体の製造方法にも関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の積層体は、層間が強固に接着しており、柔軟性、高い機械的強度、及び、高い燃料バリア性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】3層の積層体の構成を示す模式図である。
【図2】5層の積層体の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された、少なくとも3層の積層体である。
【0026】
3層の積層体を図1に示す。フッ素樹脂層1、フッ素非含有樹脂層2、及び、エラストマー層3の順番に各層が積層される。フッ素非含有樹脂層2はフッ素樹脂層1及びエラストマー層3と強固に接着している。フッ素樹脂層1は積層体に高い燃料バリア性を与え、エラストマー層3は積層体に柔軟性を付与する。フッ素樹脂層1又はエラストマー層3の更に外側には、層(D)が積層されてもよい。
【0027】
本発明は、エラストマー層(C)、フッ素非含有樹脂層(B)、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された、少なくとも5層の積層体でもある。
【0028】
2つのエラストマー層(C)を構成するエラストマーは、同一の種類のエラストマーであってもよく、異なる種類のエラストマーであってもよい。同様に、2つのフッ素非含有樹脂層(B)を構成するフッ素非含有樹脂は、同一の種類のフッ素非含有樹脂であってもよいし、異なる種類のフッ素非含有樹脂であってもよい。
【0029】
5層の積層体を図2に示す。この積層体は、フッ素樹脂層1、フッ素非含有樹脂層2及びエラストマー層3から構成され、エラストマー層3、フッ素非含有樹脂層2、フッ素樹脂層1、フッ素非含有樹脂層2、エラストマー層3の順番で積層される。フッ素樹脂層1、フッ素非含有樹脂層2及びエラストマー層3はお互いに強固に接着している。フッ素樹脂層1は積層体に高い燃料バリア性を与え、エラストマー層3は積層体に柔軟性を付与する。エラストマー層3の更に外側には、層(D)が積層されてもよい。
【0030】
本発明の積層体は、上記のような特徴的な層構成を有するので、層間が強固に接着しており、柔軟性、高い機械的強度、及び、高い燃料バリア性を有する。
【0031】
フッ素樹脂層(A)は、カルボニル基、ヒドロキシル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の接着機能性官能基を有する含フッ素重合体からなることが好ましい。
【0032】
上記「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。上記カルボニル基としては特に限定されず、例えば、カーボネート基、ハロゲノホルミル基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合[−C(=O)O−]、酸無水物結合[−C(=O)O−C(=O)−]、イソシアネート基、アミド基、イミド基[−C(=O)−NH−C(=O)−]、ウレタン結合[−NH−C(=O)O−]、カルバモイル基[NH−C(=O)−]、カルバモイルオキシ基[NH−C(=O)O−]、ウレイド基[NH−C(=O)−NH−]、オキサモイル基[NH−C(=O)−C(=O)−]等の化学構造上の一部分であるもの等が挙げられる。
【0033】
上記アミド基は、下記一般式
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、Rは、水素原子又は有機基を表し、Rは、有機基を表す。)で表される基である。
【0036】
上記アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基等の窒素原子に結合する水素原子は、例えばアルキル基等の炭化水素基により置換されていてもよい。
【0037】
上記接着機能性官能基は、導入が容易である点、及び、得られる塗膜が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点で、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基が好ましく、なかでも、カーボネート基がより好ましい。
【0038】
上記カーボネート基は、一般に[−OC(=O)O−]で表される結合を有する基であり、−OC(=O)O−R基(式中、Rは、有機基を表す。)で表されるものである。上記式中のRである有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、エーテル結合を有する炭素数2〜20のアルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、エーテル結合を有する炭素数2〜4のアルキル基等である。上記カーボネート基としては、例えば、−OC(=O)O−CH、−OC(=O)O−C、−OC(=O)O−C17、−OC(=O)O−CHCHCHOCHCH等が挙げられる。
【0039】
上記含フッ素重合体は、接着機能性官能基を有するものである場合、接着機能性官能基を主鎖末端又は側鎖の何れかに有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端及び側鎖の両方に有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に接着機能性官能基を有する場合は、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。上記含フッ素重合体は、上記接着機能性官能基を主鎖末端及び/若しくは側鎖に有するとともに又はこれらに代え、接着機能性官能基がエーテル結合等の結合と通常称される構造である場合、該接着機能性官能基を主鎖中に有するものであってもよい。上記含フッ素重合体は、主鎖末端に接着機能性官能基を有する重合体からなるものが、機械特性、耐薬品性を著しく低下させない理由で、又は、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
【0040】
上記含フッ素重合体は、側鎖に接着機能性官能基を有する重合体からなるものである場合、接着機能性官能基含有単量体を共重合させることにより得ることができる。本明細書において、上記「接着機能性官能基含有単量体」とは、接着機能性官能基を有する重合可能な単量体を意味する。
【0041】
接着機能性官能基含有単量体としては、下記一般式
CX=CY−(R−Z
(式中、Zは、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基を有する官能基を表し、X及びYは、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し、Rは、水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40のオキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2〜40のアルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数2〜40のオキシアルキレン基を表し、nは、0又は1を表す。)で表される不飽和化合物が好ましい。本明細書において、上記「ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基を有する官能基」とは、ヒドロキシル基であってもよいし、カルボニル基であってもよいし、アミノ基であってもよいし、これらの接着機能性官能基の何れかを有する官能基であってもよいことを意味する。
【0042】
上記接着機能性官能基含有単量体としては、例えば、カルボニル基を有する官能基である場合、パーフルオロアクリル酸フルオライド、1−フルオロアクリル酸フルオライド、アクリル酸フルオライド、1−トリフルオロメタクリル酸フルオライド、パーフルオロブテン酸等のフッ素を有する単量体;アクリル酸クロライド、ビニレンカーボネート等のフッ素を有さない単量体が挙げられる。
【0043】
上記接着機能性官能基含有単量体としては、更に、不飽和カルボン酸類が挙げられる。本明細書において、上記接着機能性官能基含有単量体としての上記不飽和カルボン酸類とは、共重合を可能にする炭素−炭素不飽和結合(以下、「共重合性炭素−炭素不飽和結合」ともいう。)を1分子中に少なくとも1個有し、且つ、カルボニルオキシ基[−C(=O)−O−]を1分子中に少なくとも1個有するものが好ましい。
【0044】
上記不飽和カルボン酸類としては、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸及びその酸無水物が挙げられる。上記脂肪族不飽和カルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよい。
【0045】
上記脂肪族不飽和モノカルボン酸としては、例えば、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、それらの酸無水物等、炭素数3〜20の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。上記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸〔CAC〕、イタコン酸、アコニット酸、無水イタコン酸〔IAH〕及び無水シトラコン酸〔CAH〕等が挙げられる。
【0046】
接着機能性官能基のうち主鎖末端にあるもの(以下、「不安定末端基」ということがある)としては、カーボネート基、−COF、−COOH、−COOCH、−CONH、−CHOH等が挙げられる。上記不安定末端基は、通常、連鎖移動剤又は重合時に用いた重合開始剤が付加したことにより主鎖末端に形成されるものであり、連鎖移動剤又は重合開始剤の構造に由来するものである。
【0047】
上記含フッ素重合体は、主鎖末端に接着機能性官能基を有する重合体であって、上記接着機能性官能基がカーボネート基である重合体からなるものである場合、パーオキシカーボネートを重合開始剤として用いて重合する方法により得ることができる。上記方法を用いると、カーボネート基の導入及び導入の制御が非常に容易であることや、経済性の面、耐熱性、耐薬品性等の品質面等から好ましい。
【0048】
上記パーオキシカーボネートとしては、下記式
【0049】
【化2】

【0050】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の一価飽和炭化水素基、又は、末端にアルコキシル基を有する炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の一価飽和炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の二価飽和炭化水素基、又は、末端にアルコキシル基を有する炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の二価飽和炭化水素基を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0051】
なかでも、上記パーオキシカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等が好ましい。
【0052】
上記含フッ素重合体は、主鎖末端に接着機能性官能基を有する重合体であって、上記接着機能性官能基がカーボネート基以外である重合体からなるものである場合、上述のカーボネート基を導入する場合と同様に、パーオキシカーボネート、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシアルコール等のパーオキサイドを重合開始剤として用いて重合することにより、パーオキサイドに由来する接着機能性官能基を導入することができる。なお、「パーオキサイドに由来する」とは、パーオキサイドに含まれる官能基から直接導入されるか、又は、パーオキサイドに含まれる官能基から直接導入された官能基を変換することにより間接的に導入されることを意味する。
【0053】
パーオキシカーボネート、パーオキシエステル等の上記重合開始剤の使用量は、目的とする含フッ素重合体の種類や組成、分子量、重合条件、使用する開始剤の種類等によって異なるが、得られる重合体100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、特に好ましい下限は0.1質量部であり、特に好ましい上限は1質量部である。
【0054】
上記接着機能性官能基の数は、積層する相手材の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力、他層との接着方法等の違いにより適宜選択されうる。
【0055】
不安定末端基数としては、320℃未満の成形温度にて溶融成形する場合、主鎖炭素数1×10個あたり3〜800個であることが好ましい。主鎖炭素数1×10個あたり3個未満であると、接着性が低下することがある。より好ましい下限は50個、更に好ましい下限は80個、特に好ましい下限は120個である。320℃未満の成形温度にて溶融成形する場合、上記不安定末端基数は、上記範囲内であれば、生産性の観点で、上限を、例えば、500個とすることができる。
【0056】
上記不安定末端基の数は、上記含フッ素重合体の粉末を融点より50℃高い成形温度、5MPaの成形圧力にて圧縮成形することにより得られる厚み0.25〜0.30mmのフィルムシートを、赤外分光光度計[IR]を用いて赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して種類を決定し、その差スペクトルから次式により算出する個数である。
末端基の個数(上記炭素数1×10個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端基の補正係数を表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
表1の補正係数は主鎖炭素数1×10個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定する値である。
【0059】
フッ素樹脂層(A)は、含フッ素重合体からなる。上記含フッ素重合体としては、特に限定されるものではないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の繰り返し単位を有することが好ましい。上記含フッ素エチレン性単量体としては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などの1種または2種以上のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン〔VdF〕、フッ化ビニル、式(2):
CH=CX(CF (2)
(式中、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)
で表されるフルオロオレフィンなどをあげることができる。
【0060】
上記含フッ素重合体は、上記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の繰り返し単位を有してもよく、このような単量体としては、上記フルオロオレフィン及びパーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、またはアルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
【0061】
上記含フッ素重合体は、成形加工が容易であり、得られる成形品の耐熱性・耐薬品性・耐油性が優れることから、
(1)エチレンとTFEからなるエチレン/TFE共重合体〔ETFE〕
(2)TFEと式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の1種または2種以上からなる共重合体、たとえばTFEとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕からなる共重合体〔PFA〕またはTFEとヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕からなる共重合体〔FEP〕
(3)TFEとVdFと式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の1種または2種以上からなる共重合体、たとえばTFE/VdF/HFP共重合体
(4)ポリフッ化ビニリデン〔PVDF〕
(5)CTFEとTFEからなる共重合体〔CTFE/TFE共重合体〕
のいずれかであることが好ましい。
【0062】
上記含フッ素重合体は、ETFE、CTFE/TFE共重合体、PFA、FEP及びTFE/VdF/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ETFE、CTFE/TFE共重合体、FEP及びTFE/VdF/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
【0063】
ETFE
ETFEは、力学物性や燃料バリア性が向上する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、37:63〜85:15がより好ましく、38:62〜80:20が更に好ましい。
【0064】
ETFEは、TFE、エチレン、並びに、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、下記式
CH=CX、CF=CFR、CF=CFOR、CH=C(R
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、Rはエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す。)
で表される単量体が挙げられ、なかでも、CF=CFR、CF=CFOR及びCH=CXで表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、HFP、CF=CF−OR(式中、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕及びRが炭素数1〜8のフルオロアルキル基であるCH=CXで表される含フッ素ビニルモノマーがより好ましい。
【0065】
上記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)があげられる。
【0066】
また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、上述したイタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。
【0067】
TFE及びエチレンと共重合可能な単量体は、含フッ素重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
【0068】
CTFE/TFE共重合体
CTFE/TFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位の含有モル比がCTFE:TFE=2:98〜98:2であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液低透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成型時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。
【0069】
CTFE/TFE共重合体は、CTFE、TFE、並びに、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、エチレン、VdF、HFP、CF=CF−OR(式中、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。
【0070】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0071】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0072】
上記CTFE/TFE共重合体は、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
【0073】
FEP
FEPは、とりわけ耐熱性が優れたものとなり、優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
【0074】
FEPは、TFE、HFP、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としてはCTFE及びTFEと共重合可能な単量体として例示した単量体であってもよい。当該単量体としては、CF=CF−OR(式中、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。
【0075】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0076】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0077】
FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
【0078】
PFA
PFAは、とりわけ耐熱性が優れたものとなり、優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とPAVE単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とPAVE単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
【0079】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、PMVEであることが更に好ましい。
【0080】
PFAは、TFE、PAVE、並びに、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としてはCTFE及びTFEと共重合可能な単量体として例示した単量体であってもよい。当該単量体としては、HFP、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。
【0081】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0082】
PFAは、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
【0083】
TFE/VdF/HFP共重合体
TFE/VdF/HFP共重合体は、とりわけ柔軟性が発現する点で好ましい。TFE/VdF/HFP共重合体としては、特に限定されないが、TFE単位20〜85モル%とVdF単位10〜80モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位20〜80モル%とVdF単位15〜70モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が20モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、85モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
【0084】
なお、上記含フッ素重合体の各単量体単位の割合は、19F−NMR分析、赤外分光光度計[IR]、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類により適宜組み合わせて得られる値である。
【0085】
上記含フッ素重合体の融点は、150〜340℃であることが好ましく、150〜330℃であることがより好ましく、170〜320℃であることがさらに好ましい。上記含フッ素重合体の融点が、150℃未満であると、耐熱性が低下する傾向があり、340℃を超えると、含フッ素重合体の溶融条件下で上記官能基が熱劣化しエラストマーとの接着性が充分に発現できない傾向がある。ここで、融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークに対応する温度である。
【0086】
上記含フッ素重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.2〜50g/10分であることが好ましく、1〜25g/10分であることがより好ましい。MFRが0.2g/10分未満であると、流動性が悪化し、成形加工性が低下する傾向がある。ここで、MFRは、(株)東洋精機製作所製メルトフローレート測定装置を使用して、297℃、5000g荷重の条件下にて実施する時の値である。
【0087】
上記含フッ素重合体は、上記含フッ素重合体をシートにした場合における燃料透過係数が、20(g・mm)/(m・day)以下であることが好ましく、15(g・mm)/(m・day)以下であることがより好ましく、10(g・mm)/(m・day)以下であることがさらに好ましく、5(g・mm)/(m・day)以下であることが特に好ましい。燃料透過係数の下限値は特に限定されるものではなく、低ければ低いほど好ましい。燃料透過係数が、20(g・mm)/(m・ day)をこえると、耐燃料透過性が低いため、燃料透過量を抑えるためには成形品の肉厚を厚くする必要があり、経済的に好ましくない。なお、燃料透過係数は、低いほど燃料透過防止能力が向上するものであり、逆に燃料透過係数が大きいと燃料が透過しやすいため、燃料チューブ等の成形品としては適さないものである。
【0088】
燃料透過係数は、防湿包装材料の透湿度試験方法におけるカップ法に準ずる方法にて測定される。ここで、カップ法とは、JIS Z 0208に規定された透湿度試験方法であり、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気量を測定する方法である。本発明においては、このカップ法に準じて、燃料透過係数を測定するものである。具体的方法としては、20mLの容積を有するSUS製容器(開放部 面積1.26×10−3)に模擬燃料であるCE10(トルエン/イソオクタン/エタノー ル=45/45/10容量%)を18mL入れて、シート状試験片を容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。該試験体を恒温装置(60℃)に入れ、試験体の重量を測定し、単位時間あたりの重量減少が一定となったところで下記の式により燃料透過性を求める。
【0089】
【数1】

【0090】
上記フッ素樹脂層(A)は、
エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、及び、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素重合体50.01〜99.99質量部と、
エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有重合体0.01〜49.99質量部と、
からなることも好ましい。
【0091】
層(A)が含フッ素重合体とフッ素非含有重合体とを含むポリマーアロイからなるものであると、層(B)との相溶性が向上して、層(A)と層(B)とを強固に接着できる。特に好適なポリマーアロイは、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体とポリアミドとを含むポリマーアロイである。
【0092】
フッ素非含有樹脂層(B)は、フッ素非含有重合体からなる。フッ素非含有重合体とは、フッ素原子を含まない重合体である。フッ素非含有重合体は、他の層を構成する材料と共押出可能な樹脂であることが好ましい。
【0093】
フッ素非含有重合体としては、結晶化度が高い重合体であることが好ましく、結晶化度が高く、かつ、極性官能基を有し分子間力が大きい重合体であることがより好ましい。
【0094】
上記極性官能基は、極性を有し、層(B)と隣接する層との接着に関与し得る官能基である。上記極性官能基は、含フッ素重合体が有するものとして上述した接着機能性官能基と同じ官能基であってもよいが、異なる官能基であってもよい。
【0095】
上記極性官能基としては特に限定されず、例えば、接着機能性官能基として上述したもののほか、シアノ基、スルフィド基等が挙げられ、なかでも、カルボニルオキシ基、シアノ基、スルフィド基、ヒドロキシル基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。
【0096】
フッ素非含有樹脂層(B)は、ポリアミド、ポリオレフィン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体〔ABS〕、塩化ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトンポリマー〔PEEK〕、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン〔PES〕、ポリエーテルイミド及びポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、層(A)及び層(C)との接着性に優れることから、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有重合体からなることがより好ましい。
【0097】
上記ポリアミドは、分子内に繰り返し単位としてアミド結合〔−NH−C(=O)−〕を有するポリマーである。
上記ポリアミドとしては、分子内のアミド結合が脂肪族構造又は脂環族構造と結合しているポリマーからなるいわゆるナイロン、又は、分子内のアミド結合が芳香族構造と結合しているポリマーからなるいわゆるアラミドのいずれであってもよい。
【0098】
上記ナイロンとしては特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロン66/12、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン9T、メタキシリレンジアミン/アジピン酸共重合体等のポリマーからなるものが挙げられ、これらのなかから2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アラミドとしては特に限定されず、例えば、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタフェニレンイソフタラミド等が挙げられる。
【0099】
上記ポリアミドは、また、繰り返し単位としてアミド結合を有しない構造が分子の一部にブロック共重合又はグラフト共重合されている高分子からなるものであってもよい。このようなポリアミドとしては、例えば、ナイロン6/ポリエステル共重合体、ナイロン6/ポリエーテル共重合体、ナイロン12/ポリエステル共重合体、ナイロン12/ポリエーテル共重合体等のポリアミド系エラストマーからなるもの等が挙げられる。これらのポリアミド系エラストマーは、ナイロンオリゴマーとポリエステルオリゴマーがエステル結合を介してブロック共重合することにより得られたもの、又は、ナイロンオリゴマーとポリエーテルオリゴマーとがエーテル結合を介してブロック共重合することにより得られたものである。上記ポリエステルオリゴマーとしては、例えば、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート等が挙げられ、上記ポリエーテルオリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。上記ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロン6/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体が好ましい。
【0100】
上記ポリアミドとしては、ポリアミドからなる層が薄層でも充分な機械的強度が得られることから、なかでも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/66、ナイロン66/12、ナイロン6/ポリエステル共重合体、ナイロン6/ポリエーテル共重合体、ナイロン12/ポリエステル共重合体、ナイロン12/ポリエーテル共重合体等が挙げられ、これらのなかから2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
上記ポリオレフィンは、フッ素原子を有しないビニル基含有単量体に由来する単量体単位を有する樹脂である。上記フッ素原子を有しないビニル基含有単量体としては特に限定されず、例えば、フッ素樹脂に関し上述したフッ素非含有エチレン性単量体であってもよいが、層間接着性が求められる用途では上述した極性官能基を有するものが好ましい。
【0102】
上記ポリオレフィンとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリオレフィン等があげられ、接着性に優れる点から無水マレイン酸変性ポリオレフィン、エポキシ変性ポリオレフィン等の酸変性ポリオレフィンが好ましい。
【0103】
フッ素非含有樹脂層(B)は、アミン価が10〜60(当量/10g)であるポリアミドからなることが特に好ましい。アミン価が上記範囲内にあると、比較的低い温度で共押出する場合においても、他の層との層間接着力を優れたものとすることができる。上記アミン価が小さすぎると、比較的低い温度で共押出する場合に層間接着力が不充分になるおそれがある。アミン価が大きすぎると、得られる積層体の機械的強度が不充分であり、また、貯蔵中に着色しやすくなりハンドリング性に劣る。好ましい下限は15(当量/10g)であり、好ましい上限は50(当量/10g)、より好ましい上限は35(当量/10g)である。
【0104】
上記アミン価はポリアミド系樹脂1gをm−クレゾール50mlに加熱溶解し、これを1/10規定p−トルエンスルホン酸水溶液を用いて、チモールブルーを指示薬として滴定して求められる値であり、特に別の記載をしない限り、積層する前のポリアミド系樹脂のアミン価を意味する。積層する前のポリアミド系樹脂が有するアミノ基の数のうち、一部分は他の層との接着に消費されると考えられるが、その数は全体に対してごく微量であるので、上述した積層する前のポリアミドのアミン価と本発明の積層体におけるアミン価は、実質的に同程度となる。
【0105】
エラストマー層(C)は、エラストマーを含むエラストマー組成物からなるものであり、エラストマーとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、α,β−不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴム、α,β−不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ゴムの水素化物等があげられる。
【0106】
エラストマー層(C)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選択される少なくとも1種のエラストマーを含むエラストマー組成物からなることが好ましい。
本発明の積層体が図2に示すような5層以上の構成をもつ場合、2つの層(C)はお互いに異なる種類のエラストマーを含むエラストマー組成物からなることが好ましい。
【0107】
上記エラストマー組成物は、層(B)との接着力向上の点から、オニウム塩、アミン化合物及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0108】
オニウム塩としては特に限定されず、例えば、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、環状アミン、1官能性アミン化合物などがあげられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
【0109】
第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bともいう)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、式(3):
【0110】
【化3】

【0111】
(式中、3つのRは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基であり、Xは1価の陰イオンである)
で示される化合物、
式(4):
【0112】
【化4】

【0113】
(式中、nは、0〜50の整数である)
で示される化合物、および
式(5):
【0114】
【化5】

【0115】
などがあげられる。
【0116】
式(3)中の、3つのRは、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基である。炭素数1〜30の1価の有機基としては、特に限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フェニル基などのアリール基、またはベンジル基があげられる。具体的には、例えば、−CH、−C、−Cなどの炭素数1〜30のアルキル基;−CX、−C、−CH、−CHCX、−CHなどの炭素数1〜30のハロゲン原子含有アルキル基(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子);フェニル基;ベンジル基;−C、−CHなどのフッ素原子で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基;−C5−n(CF、−CH5−n(CF(nは1〜5の整数)などの−CFで1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基などがあげられる。また、式(6):
【0117】
【化6】

【0118】
のように、窒素原子を含んでいてもよい。
【0119】
これらのうち、層(B)との接着力が良好な点から上記のDBU−Bまたは、3つのRがそれぞれ同じかまたは異なり炭素数1〜20のアルキル基またはベンジル基、Xが1価の陰イオンであり、ハロゲンイオン(F、Cl、Br、I)、OH、RO、RCOO、C、SO2−、SO2−、SO、RSO2−、CO2−、NO(Rは1価の有機基)で表される式(3)、式(4)などが好ましく、式(3)中のXとしては、Clがより好ましい。また、式(4)中では、ゴムとの混練り時の分散性の点から、nは0〜10の整数であることがより好ましく、1〜5の整数であることがさらに好ましい。
【0120】
これらの中でも、特に、式(7):
【0121】
【化7】

【0122】
で示される化合物であることが好ましい。
【0123】
第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCともいう)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどをあげることができ、これらの中でも、層(B)との接着力が良好な点から、BTPPCが好ましい。
【0124】
また、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている化合物を用いることもできる。
【0125】
オニウム塩の配合量は、エラストマー100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、0.2〜8.0質量部がより好ましく、0.3〜7.0質量部がさらに好ましい。オニウム塩の配合量が、0.1質量部未満であると層(B)との接着性が充分に発現できない傾向があり、10.0質量部をこえるとエラストマー組成物への分散性が悪化し層(C)の機械物性が低下する傾向がある。
【0126】
アミン化合物としては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン(以下、V3ともいう)、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどの脂肪族ポリアミン化合物誘導体や、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル〔4,4’−DPE〕、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン〔BAPP〕、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアニリノエタン、4,4’−メチレン−ビス(3−ニトロアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、ジアミノピリジン、メラミンなどの芳香族ポリアミン化合物を使用することができる。これらの中でも、層(B)との接着力が良好な点から、V3、4,4’−DPE、BAPPが好ましい。
【0127】
アミン化合物の配合量は、エラストマー100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、0.2〜8.0質量部がより好ましく、0.3〜7.0質量部がさらに好ましい。アミン化合物の配合量が、0.1質量部未満であると層(B)との接着性が充分に発現できない傾向があり、10.0質量部をこえるとエラストマー組成物への分散性が悪化し層(C)の機械物性が低下する傾向がある。
【0128】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等があげられる。これらのうちビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、式(8):
【0129】
【化8】

【0130】
で表わされる化合物等があげられる。ここで、式(8)において、nは0.1〜3が好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.1〜0.3がさらに好ましい。nが0.1未満であると、他材との接着力が低下する傾向がある。一方、nが3をこえると、粘度が高くなり、ゴム中での均一な分散が困難になる傾向がある。
【0131】
エポキシ樹脂の配合量は、エラストマー100質量部に対して、0.1〜20.0質量部が好ましく、0.3〜15.0質量部がより好ましく、0.5〜10.0質量部がさらに好ましい。エポキシ樹脂の配合量が0.1質量部未満であると、層(B)との接着性が充分に発現できない傾向があり、一方、エポキシ樹脂の配合量が20.0質量部をこえると、層(C)の柔軟性が低下する傾向がある。
【0132】
エラストマー組成物に含まれるエラストマーは、未架橋のエラストマーであってもよいし、架橋したエラストマーであってもよいが、層(B)との接着性に優れる点で架橋前のエラストマーであることが好ましい。架橋前のエラストマーを使用すると、積層時に他の層と架橋接着して、高い接着強度を得ることができる。
【0133】
架橋剤としては、通常のエラストマーに使用される架橋剤であれば全て使用できる。例えば、イオウ系架橋剤、パーオキサイド系架橋剤、ポリチオール系架橋剤、キノイド系架橋剤、樹脂系架橋剤、金属酸化物、ジアミン系架橋剤、ポリチオール類、2−メルカプトイミダゾリン、ポリオール系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などの架橋剤があり、なかでもパーオキサイド系架橋剤、ポリオール系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などが接着特性および得られた架橋ゴムの機械物性の点から好ましい。
【0134】
エラストマー組成物中に配合される架橋剤の配合量としては、エラストマー100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。架橋剤が、0.2質量部未満であると、架橋密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
【0135】
また、エラストマー組成物には必要に応じて添加物、例えば充填材、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、架橋助剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種添加剤を配合することができ、上記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
【0136】
エラストマー組成物は、エラストマー、オニウム塩、アミン化合物および/またはエポキシ樹脂、架橋剤、架橋助剤、共架橋剤、架橋促進剤、及び、充填材などのその他配合剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得られる。ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押出機などを用いることができる。
【0137】
特に、架橋剤としてポリオール系架橋剤を用いる場合には、架橋剤・架橋促進剤の融点が比較的高い場合が多く、エラストマー組成物中に均一に分散させるために、架橋剤・架橋促進剤をニーダーなどの密閉型の混練り装置を用いて120〜200℃の高温で溶融させながら混練りした後に、充填材などのその他配合剤をこれ以下の比較的低温で混練りする方法が好ましい。また、架橋剤と架橋促進剤を一旦溶融させ融点降下を起こさせた固溶体を用いて均一分散させる方法もある。
【0138】
架橋条件としては、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、150〜300℃の温度で、1分〜24時間焼成を行う。
【0139】
また、架橋方法としては、スチーム架橋など通常用いられている方法はもちろんのこと、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、どのような条件下においても架橋反応を行うことができる。
【0140】
本発明の積層体は、層(A)、層(B)及び層(C)の他に、層(D)が接着された積層体であってよく、層(D)は層(A)又は層(C)の外側に接着されることが好ましい。
【0141】
層(D)は、いかなる材料からなる層であってもよく、層(A)〜(C)を構成する材料と同一の材料からなる層であってもよい。
【0142】
本発明の積層体を構成する各層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなどのポリマー、炭酸カルシウム、タルク、セライト、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウムなどの無機充填材、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤などを、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で含有してもよい。
【0143】
本発明の積層体は、層(A)の厚みが0.001〜1mmであることが好ましく、層(B)の厚みが0.001〜5mmであることが好ましく、層(C)の厚みが0.001〜50mmであることが好ましい。
【0144】
本発明の積層体の製造方法も本発明の1つである。
【0145】
本発明の積層体の成形方法としては、例えば、(1)積層体を構成する各層を溶融状態で共押出成形することにより層間を熱溶融着(溶融接着)させ1段で積層体を形成する方法(共押出成形)、(2)押出機によりそれぞれ別個に作製した各層を重ね合せ熱融着により層間を接着させる方法、(3)予め作製した層の表面上に押出機により溶融樹脂を押し出すことにより積層体を形成する方法、(4)予め作製した層の表面上に、該層に隣接することとなる層を構成する重合体を静電塗装したのち、得られる塗装物を全体的に又は塗装した側から加熱することにより、塗装に供した重合体を加熱溶融して層を成形する方法、等が挙げられる。
【0146】
本発明の積層体がチューブ又はホースである場合、例えば、上記(2)に相当する方法として、(2a)押出機により円筒状の各層をそれぞれ別個に形成し、内層となる層に該層に接触する層を熱収縮チューブにて被膜する方法、上記(3)に相当する方法として、(3a)先ず内層となる層を内層押出機で形成し、この外周面に、外層押出機で該層に接触する層を形成する方法、上記(4)に相当する方法として、(4a)内層を構成する重合体を該層に接触する層の内側に静電塗装したのち、得られる塗装物を加熱オーブンに入れて全体的に加熱するか、又は、円筒状の塗装物品の内側に棒状の加熱装置を挿入して内側から加熱することにより、内層を構成する重合体を加熱溶融して成形する方法、等が挙げられる。
【0147】
本発明の積層体を構成する各層が共押出可能なものであれば、上記(1)の共押出成形によって形成することが一般的である。上記共押出成形としては、マルチマニホールド法、フィードブロック法等の従来公知の多層共押製造法が挙げられる。
【0148】
上記(2)及び(3)の成形方法においては、各層を形成したのち、層間接着性を高めることを目的として、各層における他の層との接触面を表面処理してもよい。そのような表面処理としては、ナトリウムエッチング処理等のエッチング処理;コロナ処理;低温プラズマ処理等のプラズマ処理が挙げられる。
【0149】
上記成形方法としては、上記(1)、及び、上記(2)と(3)の各方法において表面処理を施して積層させる方法が好ましく、(1)の方法が最も好ましい。
【0150】
上記積層体から形成される成形品も本発明の1つである。
【0151】
本発明の積層体積層体から形成される成形品は、以下の用途等に用いることができる。
フィルム、シート類;食品用フィルム、食品用シート、薬品用フィルム、薬品用シート、ダイヤフラムポンプのダイヤフラムや各種パッキン等
チューブ、ホース類;自動車燃料用チューブ若しくは自動車燃料用ホース等の燃料用チューブ又は燃料用ホース、溶剤用チューブ又は溶剤用ホース、塗料用チューブ又は塗料用ホース、自動車のラジエーターホース、エアコンホース、ブレーキホース、電線被覆材、飲食物用チューブ又は飲食物用ホース、ガソリンスタンド用地下埋設チューブ若しくはホース、海底油田用チューブ若しくはホース等
ボトル、容器、タンク類;自動車のラジエータータンク、ガソリンタンク等の燃料用タンク、溶剤用タンク、塗料用タンク、半導体用薬液容器等の薬液容器、飲食物用タンク等
その他;キャブレターのフランジガスケット、燃料ポンプのOリング等の各種自動車用シール、油圧機器のシール等の各種機械関係シール、ギア等
上記のなかでも特にチューブ又はホースに好適に用いることができる。
【0152】
上記チューブ又はホースは、その途中に波形領域を有するものであってもよい。このような波形領域とは、ホース本体途中の適宜の領域を、波形形状、蛇腹(corrugated)形状、渦巻き(convoluted)形状等に形成したものである。
【0153】
本発明のチューブ又はホースは、かかる波形の折り目が複数個環状に配設されている領域を有することにより、その領域において環状の一側を圧縮し、他側を外方に伸張することができるので、応力疲労や層間の剥離を伴うことなく容易に任意の角度で曲げることが可能となる。
【0154】
波形領域の形成方法は限定されないが、まず直管状のチューブを成形した後に、引き続いてモールド成形等し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。
【0155】
本発明の積層体は、燃料チューブを含むチューブ、ホース、タンク等の使用時に燃料と接する箇所がある用途に好適に用いることができる。
【0156】
上記積層体から形成される燃料チューブも本発明の1つである。本発明の積層体は、上述したように、層間が強固に接着しており、柔軟性、高い機械的強度、及び、高い燃料バリア性を有するので、自動車用燃料配管チューブに用いる燃料チューブ用積層体として好適に用いることができる。
【0157】
燃料チューブの最内層は、ガソリン等の引火性の液体が接して静電荷が蓄積しやすいが、この静電荷によって引火することを避けるため、最内層は導電性フィラーを含むことが好ましい。
【0158】
上記導電性フィラーとしては特に限定されず、例えば、金属、炭素等の導電性単体粉末又は導電性単体繊維;酸化亜鉛等の導電性化合物の粉末;表面導電化処理粉末等が挙げられる。
【0159】
上記導電性単体粉末又は導電性単体繊維としては特に限定されず、例えば、銅、ニッケル等の金属粉末;鉄、ステンレス等の金属繊維;カーボンブラック、炭素繊維、特開平3−174018号公報等に記載の炭素フィブリル等が挙げられる。
【0160】
上記表面導電化処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタン等の非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得られる粉末である。上記導電化処理の方法としては特に限定されず、例えば、金属スパッタリング、無電解メッキ等が挙げられる。上述した導電性フィラーのなかでもカーボンブラックは、経済性や静電荷蓄積防止の観点で有利であるので好適に用いられる。
【実施例】
【0161】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0162】
<シート状試験片の作製(フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B))>
フッ素樹脂あるいはフッ素非含有樹脂を金型にセットし、ヒートプレス機により、300℃にて20分保持し、樹脂を溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、所定の厚さのシート状試験片を作製した。
【0163】
<シート状試験片の作製(エラストマー層(C))>
8インチオープンロールにてエラストマー組成物から所定の厚さのシート状試験片を作製した。
【0164】
<積層体の作製(フッ素樹脂層(A)−フッ素非含有樹脂層(B))>
上記方法にて厚さ1.0mmのフッ素樹脂のシート状試験片と厚さ1.0mmのフッ素非含有樹脂のシート状試験片を作製した。これらのシート状試験片を重ね260℃に昇温した金型にセットし、ヒートプレス機により、260℃にて3MPaの負荷を15分与え、フッ素樹脂層(A)―フッ素非含有樹脂層(B)積層体を作製した。
【0165】
<積層体の作製(フッ素非含有樹脂層(B)−エラストマー層(C))>
上記方法にて厚さ0.5mmのフッ素非含有樹脂のシート状試験片と厚さ1.5mmのエラストマー組成物のシート状試験片を作製した。これらのシート状試験片を重ね160℃に昇温した金型にセットし、ヒートプレス機により、160℃にて12MPaの負荷を45分与え、フッ素非含有樹脂層(B)―エラストマー層(C)積層体を作製した。
【0166】
<積層体の作製(フッ素樹脂層(A)−エラストマー層(C))>
上記方法にて厚さ0.5mmのフッ素樹脂のシート状試験片と厚さ1.5mmのエラストマー組成物のシート状試験片を作製した。これらのシート状試験片を重ね160℃に昇温した金型にセットし、ヒートプレス機により、160℃にて12MPaの負荷を45分与え、フッ素樹脂層(A)―エラストマー層(C)積層体を作製した。
【0167】
<接着性評価試験>
得られた積層体をそれぞれ1.0cm幅×4cmの短冊状に切断して接着試験用試験片を作製し、この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS−K−6256(架橋ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/minの引張速度で剥離試験を行い、接着強度を測定した。また、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。
【0168】
(接着評価)
○・・・積層体の界面は剥離せず、一方の層が材料破壊した。
△・・・積層体の界面で剥離したが、充分に接着しており剥離するのが困難であった。
×・・・積層体の界面で比較的容易に剥離した。
【0169】
<赤外吸収スペクトルによる官能基分析>
上記の方法にて厚さ0.15〜0.30mmのシートを作製し、Perkin−Elmer FT−IRスペクトロメーター1760X(パーキンエルマー社製)を用いて赤外吸収スペクトルを分析した。得られた赤外吸収スペクトルをPerkin−Elmer Spectrum for windows Ver.1.4Cを用いて自動でベースラインを判定させ、所定のピークの吸光度を測定した。なお、フィルムの厚さはマイクロメーターを用いて測定した。
【0170】
<フッ素樹脂の共重合体の組成の測定>
フッ素樹脂の共重合体組成は19F−NMRおよびフッ素の元素分析測定より求めた。
【0171】
<燃料透過係数の測定>
上記の方法で厚さ0.5mmのシート状試験片を作製した。20mLの容積を有するSUS製容器(開放部面積1.26×10−3)に模擬燃料であるCE10(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10容量%)を18mL入れて、上記シート状試験片を容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。該試験体を恒温装置(60℃)に入れ、試験体の重量を測定し、単位時間あたりの重量減少が一定となったところで下記の式により燃料透過係数を求めた。
【0172】
【数2】

【0173】
<引張弾性率の測定>
上記方法で厚さ2mmのシート状試験片を作製し、ASTM V型ダンベルを用いて幅3.18mm標線間距離1.0mmのダンベル状試験片を打ち抜く。得られたダンベル状試験片を用いて、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、ASTM D638に準じて、25℃において50mm/minの引張速度で引張試験を行った。
【0174】
<フッ素樹脂の融点の測定>
セイコー型示差走査熱量計〔DSC〕を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点とした。
【0175】
<メルトフローレート(MFR)の測定>
メルトインデクサー(東洋精機製作所社製)を用い、各測定温度において、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)あたりに流出するポリマーの質量(g)を測定した。
【0176】
<製造例>
実施例および比較例では、下記の材料を用いた。
【0177】
フッ素樹脂:−OC(=O)OCHCHCH基を有するCTFE−TFE共重合体。モノマー組成はCTFE/TFE/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)=23/74.5/2.5(モル比)。融点245℃。297℃におけるMFRは35g/10min。−OC(=O)OCHCHCH基数は150個(炭素原子100万個当たり)。引っ張り弾性率は600MPa。燃料透過係数は0.3(g・mm)/(m・day)。
【0178】
フッ素非含有樹脂:ポリアミド12(Vestamid X7297、Degussa Huls AG社製)
【0179】
エラストマー組成物:NBRフルコンパウンド。アクリロニトリル−ブタジエンゴム(Nipol 1041、JSR(株)製)100質量部にカーボンブラック(N990、Cancarb Ltd.製)30質量部、酸化亜鉛(ハイステック(株)製)5質量部、湿式シリカ(NipsilVN3、日本シリカ工業(株)製)15質量部、ステアリン酸(ルナック、花王(株)製)1質量部、老化防止剤(A.O.224、KING INDUSTRIES製)2質量部、可塑剤(Thiokol TP95、Morton International製)15質量部、ワックス(カルナバワックス、東亜化成(株)製)2質量部、過酸化物(パークミルD−40、日本油脂(株)製)2質量部、アミン系化合物(N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン(V3)、ダイキン工業(株)製)3質量部、オニウム塩系試薬(8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、和光純薬(株)製)2質量部、オニウム塩系試薬(SA−810、サンアプロ(株)製)1質量部、エポキシ化合物(JER828、ジャパンエポキシレジン(株)製)5質量部を添加し8インチオープンロールを用いて混練し、エラストマー組成物を得た。
【0180】
下記の組み合わせで、前記の方法に従い積層体を作製した。この積層体の接着強度を前記の方法により評価した。結果を以下に示す。
【0181】
実施例1
フッ素樹脂層(A)―フッ素非含有樹脂層(B)積層体の接着性評価:○
【0182】
実施例2
フッ素非含有樹脂層(B)―エラストマー層(C)積層体の接着性評価:○
【0183】
比較例1
フッ素樹脂層(A)―エラストマー層(C)積層体の接着性評価:△
【0184】
このように、フッ素樹脂層−フッ素非含有樹脂層−エラストマー層からなる積層体はそれぞれの界面において良好な接着性を示し、燃料周辺用材料として有用であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明の積層体は、燃料ホースを始めとする各種成形体として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0186】
1.フッ素樹脂層
2.フッ素非含有樹脂層
3.エラストマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された積層体。
【請求項2】
エラストマー層(C)、フッ素非含有樹脂層(B)、フッ素樹脂層(A)、フッ素非含有樹脂層(B)及びエラストマー層(C)がこの順に接着された積層体。
【請求項3】
フッ素樹脂層(A)は、カルボニル基、ヒドロキシル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の接着機能性官能基を有する含フッ素重合体からなる請求項1又は2記載の積層体。
【請求項4】
フッ素樹脂層(A)は、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素重合体からなる請求項1、2又は3記載の積層体。
【請求項5】
フッ素樹脂層(A)は、
エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素重合体50.01〜99.99質量部と、
エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有重合体0.01〜49.99質量部と、
からなる請求項1、2又は3記載の積層体。
【請求項6】
フッ素非含有樹脂層(B)は、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有重合体からなる請求項1、2、3、4又は5記載の積層体。
【請求項7】
エラストマー層(C)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選択される少なくとも1種のエラストマーを含むエラストマー組成物からなる請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層体。
【請求項8】
層(A)の外側に層(D)が接着された請求項1、3、4、5、6又は7記載の積層体。
【請求項9】
層(C)の外側に層(D)が接着された請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の積層体。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の積層体から形成される成形品。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の積層体から形成される燃料チューブ。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−234777(P2010−234777A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88266(P2009−88266)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】