説明

積層包装材料の製造法

【課題】良好な金属光沢の外観を維持しつつ、積層構造及び製造工程が簡略で、製造コストも低減でき、さらに切断加工性の良い積層包装材料の製造法を得る。
【解決手段】包装の外表面側から順にメタリックインキ層、無機粉体または樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、メタリックインキ層は、前記コート紙層のコート面に直接に全面に印刷されてなる積層包装材料の製造法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層構造および製造工程が簡略化される積層包装材料の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料やトイレタリー用品等の液体を充填して保存するために、紙容器が広く用いられてきた。液体用紙容器は、一般に、主体となる紙と、液体非透過性のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂と、必要に応じて他の素材とを積層した積層包装材料から作製される。例えば、切妻屋根状のゲーブルトップ型容器は、積層包装材料を所定の形状に切断し、容器縦方向に接合(シール)したブランクスを得、充填器内で該ブランクスの底をシールした後に上部開口から液体内容物を充填し、上部をシールして得られる。ゲーブルトップ型容器に用いられる積層包装材料は、包装の外表面となる側から順に、一般に以下のような積層構造を有する。なお、以下の積層構造も同様に、包装の外表面となる側(以下、外表面側という。)から記す。
印刷インキ層/低密度ポリエチレン/紙層/低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン
また、直方体のブリック型、多角柱型、四面体型の容器は、積層包装材料を長手方向の縦線シールによりチューブ状に成形し、該チューブの上部開口から液体内容物を充填し、該チューブの横断方向に横線シールを施し、一次形状に成形した後、個体毎に切断し、折り畳んで直方体等の最終形状に成形して得られる。ブリック型容器に用いられる積層包装材料は、一般に以下のような積層構造を有する。
低密度ポリエチレン/印刷インキ層/紙層/低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン
なお、一般に、前記印刷インキ層のインキにより、品名、製造者、成分等の必要な情報や、内容物のイメージ画等が印刷されている。
上記のような紙容器は、軽量で安価であることから、従来の瓶や缶に代わり普及してきたが、気体や光線により、内容物である液体の有効成分が減少したり、腐敗、変質等の品質変化を生じたりする問題があった。これを解決するために、バリア性を有するアルミ箔またはアルミ蒸着フィルムを含む積層包装材料が使用されてきた。さらに、アルミニウムの金属光沢で紙容器の外観が消費者の目を引くように差別化する、次のような構造の積層包装材料も使用されてきた。
低密度ポリエチレン/印刷インキ層/アルミ蒸着フィルム/低密度ポリエチレン/紙層/低密度または高密度ポリエチレン/アルミ箔またはアルミ蒸着フィルム/低密度ポリエチレン
【0003】
【特許文献1】特開平9−66578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、紙層とアルミ箔やアルミ蒸着フィルムとを積層するために、ポリエチレン等の接着層を要し、それらの積層工程も必要となる。また、アルミニウムをフィルムに蒸着させるには、蒸着専用の装置を使用し、蒸着工程も煩雑である。
【0005】
さらに、積層包装材料は、紙容器に加工するために所定の形状または紙容器の個体ごとに切断するが、積層包装材料に含まれるアルミや無機物(シリカ、アルミナ等)を蒸着したフィルム、特に二軸延伸フィルムはヤング率(弾性率)が高いため、他の素材に比べて切断されにくい。それによって、紙容器の加工装置における切断刃の劣化が早い、積層包装材料の切辺が不揃いで外観や歩留まりが悪くなる等の問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に対し鑑みてなされたものであり、アルミ箔やアルミ蒸着フィルムを含まずに良好な金属光沢の外観を維持しつつ、積層構造及び製造工程が簡略化され、さらに加工性が良い積層包装材料の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、紙層の外表面側に無機粉体または樹脂をコーティングしてコート紙とし、さらに該コート紙の外表面側に金属光沢を有するメタリックインクを全面的に印刷することによって上記問題点を解決した。すなわち本発明の積層包装材料の製造法は、包装の外表面側から順にメタリックインキ層、無機粉体または樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成することを要旨とする。特に、前記コート紙層は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたはクレイのうちいずれか一種が紙の片面にコーティングされてなるのが好ましい。
【0008】
また、液体用紙容器は、上記積層包装材料から、前記樹脂層側の表面を接液面とし、少なくとも成形、接合、および切断により作製されてなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、良好な外観を維持しつつ、積層構造及び製造工程が簡略化され、製造コストも低減できる積層包装材料が得られ、これから液体用紙容器を切断加工性良く作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の製造法の積層包装材料における主な層であるコート紙層は、無機粉体または樹脂により紙をコーティングしたものである。コーティングは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたはクレイのうちいずれか一種によるのが好ましく、紙の両面であっても良いが、片面の場合のコート面は、積層包装材料における紙のメタリックインキ層側すなわち包装の外表面側である。コート紙層の無機粉体または樹脂でコーティングされているコート面は平滑性に優れるため、該コート面上に、後述するメタリックインキを印刷すると、より明瞭な金属光沢の外観が得られる。無機粉体や樹脂を紙にコーティングする厚さは、無機粉体の場合は2〜5μm、樹脂の場合は10〜20μmが好ましいが、必要に応じて適宜変更できる。
コート紙層に用いられる紙は、通常クラフトパルプから作られ、優れた強度と低吸水性が求められる。使用できる素材は漂白紙(晒紙、FBL)、未漂白紙(UBL)、漂白と未漂白との抄き合わせ紙(DUPLEX)、クレイコート紙、多層抄き合わせ紙(MB)等が挙げられる。通常200〜400gsm前後の紙が使用される。なお、上述のクレイコート紙は、クレイが抄紙工程でブレードコータにより紙の片側にコーティングされ、キャスティング法により表面平滑性が付与されたものが挙げられ、平滑なコート面を持つ。市販のクレイコート紙を、直接本発明におけるコート紙層として使用することができる。コート紙層のコーティングに用いられる無機粉体は、上述のクレイの他、炭酸カルシウム等の無機フィラーを使用できる。また、無機粉体には紙と接着させるための糊剤が必要に応じて添加される。
【0011】
本発明の製造法の積層包装材料においてコート紙層に用いられる樹脂は、ポリエチレン(以下、PEという。)が好ましい。PEは、密度の観点から高密度PE(以下、HDPEという。)、中密度PE(MDPE)、低密度PE(以下、LDPEという)に大別でき、MDPEおよびHDPEが、表面平滑性を向上させて金属光沢を増強する点でさらに好ましい。PEコート紙は、一般に、溶融したPEを押し出し機で紙の上に押し出し、ニップロール等で両者を挟み、冷却して得られる。
【0012】
コート紙層よりも内表面側である樹脂層に用いられる樹脂の組成は、PEが好ましく、HDPE、高圧法によるLDPE、紙容器とした時の内容物に対する耐性(耐水性、耐油性、耐酸性等)に優れる線状低密度PE(LLDPE)、メタロセンPE(mLLDPE)等が例示される。PEの他に樹脂層に使用できる樹脂は、ポリプロピレン、PET、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0013】
樹脂層は単層でも、または積層された複数の層からなっていてもよい。この樹脂層の複数の層には同じ素材の樹脂が2層以上含まれていても良い。また、樹脂層はアルミ箔や後述するバリア補助層を1層以上含んでいるのが好ましい。また、押し出し積層法において、接着性の高い樹脂(以下、接着性樹脂という)の押し出された層を介して積層すれば、層間の接着力が向上する。接着性樹脂としてはEAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、IO(アイオノマー)等が挙げられる。複数の層からなる樹脂層は例えば以下のような積層構造が挙げられる。
低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/アルミ箔/低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、ポリアミド/接着性樹脂/低密度ポリエチレン、接着性樹脂/PET、接着性樹脂/PET/接着性樹脂/低密度ポリエチレン。
【0014】
積層包装材料のうち、コート紙層よりも外表面側に、主に防水のために別の樹脂層(以下、外表面樹脂層という。)を設けるのが好ましく、特に積層包装材料がブリック型容器に用いられる場合、後述するメタリックインキ層の外表面側に設けるのが好ましい。外表面樹脂層は、単層で十分であり、組成は上記樹脂層と同様であるのが好ましい。
【0015】
本発明の製造法の積層包装材料にはコート紙層のコート面上の全面に、メタリックインキにより、外観用のデザインに合わせて印刷がなされる。メタリックインクにより、本発明の製造法の積層包装材料は、外表面側からの外観が金属光沢を有する。
【0016】
メタリックインキは、金属光沢を有する印刷に使用されるもので良く、フレキソ印刷用油性のインキ、グラビア印刷用の油性インキ、オフセット印刷用の硬化性インキ、デジタル印刷用インキ、UVフレキソインキ等が例示される。例えば、グラビア印刷用では大日本インキ化学工業株式会社のファインラップ スーパーメタリック(商品名)が例示される。また、印刷方式は、例えばフレキソ、オフセット、グラビア印刷が用いられ、特にグラビア印刷方式が好ましい。
【0017】
積層包装材料には、金属光沢のない通常の印刷インキ(以下、通常のインキという。)をメタリックインキに併用して外観用の印刷をしてもよい。通常のインキを併用して印刷する場合、通常のインキは、積層包装材料の外観の金属光沢の印象を損なわず、金属光沢を全て被覆してしまわないように印刷される。例えば、印刷済みのメタリックインキ層の上の一部に重ねて通常のインキ層を印刷する構成が挙げられる。通常のインキの種類としては、フレキソ印刷用水性もしくは油性のインキ、グラビア印刷用の油性インキ、オフセット印刷用の硬化性インキ、デジタル印刷用インキ、UVフレキソインキ等が例示される。また、印刷方法は、例えばフレキソ、オフセット、グラビア印刷が用いられる。通常のインキの色は、シアン、イエロー、マゼンダおよびブラックの4色が一般的である。
【0018】
本発明の製造法の積層包装材料には、必要に応じて、層同士の貼り合わせのために塗布される接着剤層(ドライラミネート剤層)やアンカーコート剤層が含まれる。接着剤やアンカーコート剤は積層包装材料に通常使用されているもので良く、接着剤としては、例えばポリエーテル系、ビニル系、エポキシ系、アクリル系等の1液または2液の接着剤が挙げられる。アンカーコート剤は、蒸着膜等の表面の粗い層に、他の層との接着性向上のために塗付するもので、例えばポリウレタン系等のポリアクリルアミン系のアンカーコート剤が挙げられる。本発明の製造法の積層包装材料には、上述した層以外にも、上述した素材または別の素材からなる層を、必要に応じて適宜含むことができる。また、本発明の積層包装材料中に品質維持剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候性付与剤、滑剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0019】
本発明の製造法の積層包装材料には、バリア性を有する層(以下、バリア補助層という。)が一層以上含まれていればさらにバリア性を向上させることができる。前記バリア補助層は光線バリア性またはガスバリア性を有する層の少なくとも一方を有する層であるのが好ましい。積層包装材料の光線バリア性は、積層包装材料全体の紫外線透過率が200〜400nmの範囲で20%未満であるのが好ましい。ガスバリア性は、例えば23℃、85%RHの条件下で10cc/m24hr・atm未満の酸素透過度が好ましい。
【0020】
前記バリア補助層は、有機物、無機酸化物または無機塩からなる薄膜層;エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等からなる層;無機酸化物または無機塩を樹脂内に分散させた層が例示される。該バリア補助層は、コート紙層と樹脂層との間や、複数の樹脂層中に含まれるのがバリア性等の保持の点で好ましい。
【0021】
前記有機物、無機酸化物または無機塩からなる薄膜層は、紙層やフィルム状の樹脂の片面または両面に付着させて作製される。無機酸化物または無機塩からなる薄膜層は、例えば100〜5000Å程度の厚さで真空蒸着、スパッタリング等従来公知の手段により蒸着させる。無機酸化物または無機塩としては、酸化チタン、酸化珪素(SiO)、珪酸マグネシウム等の珪酸塩、アルミナ等が挙げられる。有機物からなる薄膜層は、アクリレート類等のガスバリア性樹脂を通常0.3〜5μmの厚みでコーティングして作製される。無機酸化物または無機塩を樹脂内に分散させた層において、無機酸化物または無機塩は上記薄膜層と同じ素材を用いることができる。また、分散させる樹脂は前記エチレンビニルアルコール共重合体等からなる層と同じ樹脂が好ましいが、他の素材の樹脂の層に分散させてもよい。無機酸化物または無機塩のうち、特に酸化珪素、アルミナはガスバリア性に優れ、バリア補助層は、特に湿度に対するバリア性向上の点から、例えばポリエステルフィルム表面に酸化珪素、アルミナを蒸着させて付着させたものが好ましい。
【0022】
本発明の製造法の積層包装材料および液体用紙容器の作製方法は従来公知の作製方法によれば良く、積層工程数、一度に積層される層数も特に限定されない。例えば積層工程においては、作業性の点で、次のような押し出し積層法が好ましい。押し出し機からダイを経て、溶融状態の樹脂をコート紙上に押し出し、ローラで押圧・加熱した後、冷却することにより貼り合わせて積層する。特に複数の樹脂を同時に押し出す共押し出し多層法によれば、必ずしも貼り合わせ用の接着剤やアンカーコート剤を別途塗付する工程を要さずに、三層以上の層を1回の加工で積層することができる。
【0023】
ただし、予め延伸法または非延伸法により作製した樹脂層のフィルムと、コート紙層や他のフィルムとを、接着剤を塗付して積層する方法(ドライラミネーション)でもよく、必要に応じて適宜選択される。例えば、無機酸化物等を蒸着させた樹脂フィルムの場合には、ドライラミネーションが好ましく用いられる。
【0024】
ゲーブルトップ型紙容器用の積層包装材料を作製する参考例を挙げると、まず、紙層の片面にコート用樹脂としてMDPEを押し出し積層法によりコーティングしてPEコート紙とする。次いで、得られたPEコート紙の内、コートされていない紙面上に、溶融した樹脂層用のLDPEを押し出し積層する。なお、このコーティング作業を両面同時に行っても良い。積層後、MDPEコート面の上に、メタリックインキと通常のインキとを互いに重ねずに使用して、金属光沢を有する外観用デザインでインク層を印刷してゲーブルトップ型紙容器用の積層包装材料:メタリックインキを一部に含むインキ層/MDPEコート紙層/LDPE層(樹脂層)が得られる。
【0025】
また、ブリック型紙容器用の本発明の製造法による積層包装材料を作製する例を挙げると、上記ゲーブルトップ型紙容器用の積層包装材料の場合と同様にして得られたPEコート紙のMDPEコート面の上にメタリックインキを全面印刷し、次いで、通常のインキをメタリックインキ層の一部に重ねて金属光沢を有する外観用デザインで印刷する。得られた印刷済みコート紙層と、アルミ箔、溶融した樹脂層用のLDPE、溶融した外表面樹脂層用のLDPEを押し出し積層してブリック型紙容器用の積層包装材料:LDPE層(外表面樹脂層)/通常のインキ層/メタリックインキ層/MDPEコート紙層/LDPE層/アルミ箔/LDPE層が得られる。
【0026】
液体用紙容器は、上記積層包装材料から、少なくとも成形、接合、および切断の各加工を施して、該積層包装材料の樹脂層側の表面が液体用紙容器の接液面(内容物である液体に接する面)となるように作製される。さらに殺菌、ストロー孔用ラベルや品質表示用ラベルの貼付、賞味期限の印刷・刻印等の加工を適宜加えることができる。例えば上記ゲーブルトップ型紙容器用の積層包装材料を所定の形状に切断し、容器縦方向に接合(シール)したブランクスを得、充填器内で該ブランクスの底をシールした後に上部開口から液体内容物を充填し、上部をシールしてゲーブルトップ型液体用紙容器が作製される。また、ブリック型紙容器用積層包装材料を長手方向の縦線シールによりチューブ状に成形し、該チューブの上部開口から液体内容物を充填し、該チューブの横断方向に横線シールを施し、一次形状に成形した後、個体毎に切断し、折り畳んで直方体に成形してブリック型液体用紙容器が得られる。適宜成形を変更すれば六角柱や端面四角の八角柱等の多角柱型や四面体型の液体用紙容器も、この作製方法で得られる。この他のタイプの液体用紙容器も同様に、本発明の積層包装材料から、各加工を施して任意に作製できる。
【実施例】
【0027】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
(参考例1:ゲーブルトップ型紙容器用積層包装材料)
以下の積層包装材料用の素材を用意した。紙層として漂白紙(厚さ200gsm)およびコーティング用樹脂のMDPE(中密度ポリエチレン)。メタリックインクとして大日本インキ化学工業株式会社の商品名ファインラップ スーパーメタリックのシルバー。通常のインクとして大日本インキ化学工業株式会社のシアン、イエロー、マゼンダおよびブラックの4色。樹脂層として無添加のLDPE(低密度ポリエチレン)。まず、押出し積層法により、溶融させたMDPEを押し出し機からダイを経て上記漂白紙の片面上に押し出し、ニップロールでMDPEと紙とを挟み、室温まで冷却してMDPEが厚み10μmでコーティングされたMDPEコート紙(MDPE層/紙層)を得た。得られたコート紙の紙の面と溶融したLDPEとを、同様に押し出し積層した。積層後、コート紙のMDPEコート面にメタリックインクと4色の通常のインクを、外観デザインに合わせて、メタリックインクを印刷しない部分に通常のインクを印刷するように版を分けて印刷して以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Aという。)を得た。メタリックインクを一部に含むインク層/MDPEコート紙層/LDPE層(15gsm)
【0028】
(参考例2:ブリック型紙容器用積層包装材料)
参考例1で使用した素材の他、アルミ箔(厚さ6.5μm)を用意した。参考例1と同様にして得られたMDPEコート紙のMDPEコート面にメタリックインクと4色の通常のインクを、参考例1と同様に版を分けて印刷した。印刷済みコート紙と溶融したLDPE3層とアルミ箔とを、押し出し積層して以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Bという。)を得た。LDPE層(外表面樹脂層:15gsm)/メタリックインクを一部に含むインク層/MDPEコート紙層/LDPE(15gsm)層/アルミ箔/LDPE層(15gsm)
【0029】
(実施例3:ゲーブルトップ型紙容器用積層包装材料)
参考例1で使用した素材の他、市販のクレイコート紙(厚さ200gsm)を用意した。MDPEコート紙の代わりにクレイコート紙を使用し、かつ印刷の際にコート紙のコート面にメタリックインクを全面印刷し、次いで4色の通常のインクを外観デザインに合わせてメタリックインク層の一部に印刷した以外は、参考例1と同様にして以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Cという。)を得た。
通常のインク層/メタリックインク層/クレイコート紙層/LDPE層(15gsm)
【0030】
(実施例4:ブリック型紙容器用積層包装材料)
参考例2で使用した素材の他、コーティング用樹脂のHDPE(高密度ポリエチレン)を用意した。コーティング用樹脂にMDPEの代わりにHDPEを使用し、かつ印刷の際にコート紙のコート面にメタリックインクを外観デザインに合わせて全面印刷し、通常のインクを使用しなかった以外は、参考例2と同様にして以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Dという。)を得た。
LDPE層(15gsm)/メタリックインク層/HDPEコート紙層/LDPE層(15gsm)/アルミ箔/LDPE層(15gsm)
【0031】
(実施例5:ゲーブルトップ型紙容器用積層包装材料)
参考例1で使用した素材の他、コーティング用樹脂のLDPEを用意した。コーティング用樹脂にMDPEの代わりにLDPEを使用し、かつ印刷の際にコート紙のコート面にメタリックインクを全面印刷し、次いで4色の通常のインクを外観デザインに合わせてメタリックインク層の一部に印刷した以外は、参考例1と同様にして以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Eという。)を得た。
通常のインク層/メタリックインク層/LDPEコート紙層/LDPE層(15gsm)
【0032】
(比較例1:ゲーブルトップ型紙容器用積層包装材料)
メタリックインクを使用せず、かつ、漂白紙にMDPEをコートする代わりに溶融したLDPEでアルミ蒸着フィルム(蒸着膜厚400Å、フィルム素材BOPET、フィルム厚12μm)の蒸着面と漂白紙とを押し出し積層法で接着させた以外は、参考例1と同様にして、以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Fという。)を得た。
通常のインク層/アルミ蒸着PETフィルム層/LDPE(15gsm)/紙層/LDPE層(15gsm)
【0033】
(比較例2:ブリック型紙容器用積層包装材料)
メタリックインクの代わりに通常のインキを使用し、漂白紙にHDPEをコートする代わりに、比較例1と同様のアルミ蒸着フィルムの蒸着面を、溶融したLDPEで漂白紙に接着させた以外は、参考例2と同様にして、以下の積層構成の積層包装材料(以下、包装材料Gという。)を得た。
LDPE層(15gsm)/通常のインク層/アルミ蒸着PETフィルム層/LDPE(15gsm)/紙層/LDPE層(15gsm)/アルミ箔/LDPE層(15gsm)
【0034】
(切断加工性評価)
実施参考例1〜5、比較例1、2で得られた包装材料A〜Gを、液体用紙容器の加工装置により、通常の積層包装材料の切断条件で切断して切断加工性を評価した。包装材料A〜Eは、刃寿命が約10万時間であったが、包装材料F、Gの刃寿命は約1万時間であった。
【0035】
(光沢度評価)
実施参考例1〜5で得られた包装材料A〜Eの、入射角・受光角各60度における鏡面反射を光沢度計により測定して光沢度を求めた。結果を表1に示す。比較のために、比較例1で得られた包装材料Fのアルミ蒸着部分およびインク部分の光沢度を同様に求めたところ、約400%、8.7%であった。
【0036】
[表1]
タイプ コート材 光沢度(%)
A(参考例1) ゲーブル型 MDPE 289
B(参考例2) ブリック型 MDPE 289
C(実施例3) ゲーブル型 クレイ 133
D(実施例4) ブリック型 HDPE 400
E(実施例5) ゲーブル型 LDPE 164
【産業上の利用可能性】
【0037】
飲料等の液体を充填して保存するための紙容器の製造に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、無機粉体または樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成することを特徴とする積層包装材料の製造法。
【請求項2】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成し、前記コート紙層の前記樹脂の厚みが10〜20μであることを特徴とする積層包装材料の製造法。
【請求項3】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成し、前記メタリックインキ層上に、金属光沢のないインキを部分的に印刷することを特徴とする積層包装材料の製造法。
【請求項4】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成し、前記メタリックインキ層上に、光線バリア性のバリア補助層を設け、バリア補助層が無機酸化物または無機塩を樹脂内に分散された層であることを特徴とする積層包装材料の製造法。
【請求項5】
紫外線透過率が200〜400nmの範囲で20%未満である、請求項4記載の積層包装材料の製造法。
【請求項6】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成し、前記メタリックインキ層上に、金属光沢のないインキを部分的に印刷し、前記メタリックインキ層上に、光線バリア性のバリア補助層を設け、バリア補助層が無機酸化物または無機塩を樹脂内に分散された層であることを特徴とする積層包装材料の製造法。
【請求項7】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、樹脂によるコート紙層、樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記メタリックインキを前記コート紙層のコート面の全面に直接にグラビア印刷方式で印刷する、ことを特徴とする積層包装材料の製造法。
【請求項8】
包装の外表面側から順にメタリックインキ層、低密度ポリエチレンの樹脂によるコート紙層、低密度ポリエチレンの樹脂層を含み、外表面側からの外観の金属光沢が前記メタリックインクによる積層包装材料の製造法であって、前記コート紙層のコート面にメタリックインキを直接に全面に印刷して前記メタリックインキ層を形成し、前記メタリックインキ層上に、金属光沢のないインキを部分的に印刷することを特徴とする積層包装材料の製造法。

【公開番号】特開2007−302006(P2007−302006A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173559(P2007−173559)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【分割の表示】特願2001−183814(P2001−183814)の分割
【原出願日】平成13年6月18日(2001.6.18)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】