説明

積層化粧板とその製造方法

本発明は、繊維材料若しくはパーティクル材料から成る芯材、芯材の少なくとも面に樹脂含有の中間層、模倣する材料の表面の画像を有する、樹脂で含浸されていない化粧層、及び透明のカバー層を含み、模倣された材料の表面構造のレリーフ様複製が型押しされている積層化粧板であって、液体として芯材に施された、圧力及び/または熱により硬化可能な接着剤から成る、積層化粧板に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の概念による積層化粧板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の化粧板は、例えば、国際公開第03/095202号A1により既知である。これは、繊維材料からなる板状の芯材からなり、この芯材は、その片面に、樹脂含有中間層、化粧層、及びレリーフを設けたカバー層、他の面にはバッキング層(Gegenzugschicht)を有する。化粧層は、模倣材料の表面の画像を再現する。その際、カバー層のレリーフは、化粧層の模様に正確に位置合わせして配置されなければならない。これは、通常は印刷された紙からなる化粧層を、好ましくは接着剤の含浸無しに中間層の上に載せ、それによってカバー層のためのレリーフエンボス模様に対して寸法が変化することを避けることによって達成される。
【0003】
この際、樹脂含有中間層は、加熱プレスの前に、芯材上に固定コーティングとして、又は別個の事前に作られた接着層として形成される。この層の接着成分の量は、加熱プレスにおける隣接層の吸収性により決定される必要がある。さらに、加熱プレスの前に、印刷された化粧紙を切断し、そして事前に用意された芯材プレート上に正確に位置合わせして載せる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第03/095202号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より容易かつより低コストで製造することができる積層化粧板、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の化粧板、及び独立請求項8の方法により解決される。
【0007】
すなわち、圧力及び/又は熱で硬化可能な液状接着剤を使用した場合には、樹脂含有中間層を別途形成することはもはや不要であることを見出した。この接着剤は、化粧層及び必要ならばカバー層を形成するのと同じ作業工程で供することができる。正確な位置合わせは、印刷技術の慣用の手段によって保証できるので化粧層の切断は不要である。これにより製造工程の大幅な簡素化とコストダウンを可能とした。
【発明を実施するための形態】
【0008】
今や、芯材及び化粧層の吸収性は、接着剤の塗布を介して、直接、製造工程において考慮することができる。特別に被覆された芯材及び中間層材料の備蓄は不要である。
【0009】
圧力及び/又は熱で硬化可能な液体接着剤は、好ましくは、尿素−ホルムアルデヒド接着剤である。通常、このような接着剤は二成分システムとして提供され、使用直前に混合される。これらは、熱で硬化することができる。しかしながら、また、或る製品は、周囲温度において、圧力下で既に、化粧層を固定するために十分な程度で硬化する。適切な製品は、例えば、Casco Adhesives社製(ストックホルム、スウェーデン)のHaerter2547とセットのAdhesive1206である。
【0010】
同様に好ましい接着剤は、メラミン−ホルムアルデヒド接着剤である。カバー層の形成用のものと同じ製品を使用すると有利であり、そして製造方法が簡素化される。メラミン−尿素−ホルムアルデヒド接着剤もまた使用可能である。
【0011】
好ましい実施形態において、カバー層はセルロース不含に形成される。特に、これはセルロース繊維を含有する支持層(例えば、紙及びその類似物など)を含まない。カバー層のための好ましい原材料は、メラミン樹脂又はアクリル系塗料である。PVCも又使用可能である。これらのカバー層の原材料中には硬質の固体材料の微粉末を組み込みむことができ、これにより摩擦耐性が高くなる。これには、例えば、コランダムが適している。
【0012】
セルロース不含のカバー層は、比較的高い透明度という利点を有する。さらに、これらは、繊維含有支持材料を必要とせず、それを別途に含浸することが省略されるので、より簡素に、より低コストで、形成できる。
【0013】
カバー層は、熱可塑性材料からなるフィルムの形態で又は液体として、化粧層上に適用することができる。
【0014】
カバー層としては、印刷された紙が特に好ましい。印刷面は薄いコートフィルムで覆うことができるが、しかしながら、それは紙の層を含浸せず、その寸法を変化させることもない。
【0015】
芯材の材料としては、高密度繊維板(HDF)若しくは中密度繊維板(MDF)などの繊維材料又は、パーティクルボードが適している。特に好ましくはHDFである。
【0016】
化粧層及びカバー層が芯材の片面のみにしか存在しない場合、温度又は湿度の影響による完成した板のゆがみ又は湾曲を阻止するために、他の面にいわゆるバッキング層を設けることが合目的的である。この層の厚さは、この他の面のコーティングに調和させることができる。例えば、接着剤として固体又は液体樹脂を有する中性紙がこの層に適している。
【0017】
さらに、本発明は、さらなる独立請求項8により定義される上記の本発明の積層化粧板を製造するための方法に関するものである。本方法は一つ又は二つの作業工程で実施可能であるため、従来技術と比較して簡便化されている。すなわち、圧力及び/又は熱で硬化する液体接着剤の適用、その上への化粧層の設置及び圧迫、必要ならば及びバッキング層の設置を積層プロセスとしての一つの作業工程で行うことができ、その後、二つ目の作業工程において、液体層又はフィルムとして、カバー層を設けることができ、次いで層構造の全体を圧力及び/又は熱で硬化することができ、その際、同時に、適切に形作られたプレス具によってカバー層の表面にレリーフ構造が形成される。この際、第一の作業工程においては、熱の適用なしに実施することができる。第一の作業工程に続いて、第二の作業工程を直ちに実施することができ、それにより連続的な作業が可能となる。第一の作業工程においては、例えば、カレンダプレス機を使用することができ、当該プレス機は、芯材の材料、化粧層及び必要ならばバッキング層の材料のための適切な供給装置、並びに、液体接着剤の適用装置を具備する。カレンダ加工の後、必要ならば板は分割することができ、そして、ショートサイクルプレス機でカバー層を備え、そして、圧力及び熱により硬化することができる。また、この第二の作業工程は加熱されたダブルベルトプレス機において連続的に行うこともでき、この際、必要に応じて板は分割することができる。
【0018】
表面レリーフを形成するためのプレス具(例えば、プレート又はローラ)は、例えば、光電子的に読み込まれる化粧層上のレジスターマーク(Passmarken、register marks)を用いて、化粧層上のパターンに合わせて配置することができる。それによって、表面孔及び目に見えるパターンが相関している材料の模倣、例えば木材の模倣が改善される。化粧層はもはや切断される必要はなく、場合により手動でそれを芯材上に置く必要もないので、これは、また連続的に作業することができる。
【0019】
当然のことながら、第一の工程の後に、必要に応じて製造物を中間で貯蔵しておくこともできる。
【0020】
さらに、型押しの際中間層が未だ柔軟である場合、及び/又は、カバー層の厚さが適切に選択されている場合、本発明の化粧板は、非常に深い表面構造をもって製造することができる。
【0021】
さらに、本発明の製造物及び方法は、画像パターンと表面レリーフの良好な位置合わせを達成するために化粧層用に特に高品質の印刷原紙を必要とすることもない。
【実施例】
【0022】
以下に本発明の積層化粧板とそれの製造のために使用する方法についての2つの実施例を示す。
【0023】
A)尿素ホルムアルデヒド接着剤による化粧板の層構造(上から下へ)
1)液体形態で適用されたメラミン樹脂製のカバー層又は事前に含浸処理したオーバーレイフィルム。いずれの場合も、摩耗防止効果を有するコランダムがカバー層中に埋め込まれている。
2)乾燥状態にある(すなわち含浸処理されていない)印刷された化粧紙、又はフィニッシュフィルムとして薄いコートフィルムで被覆された印刷された化粧紙。
3)尿素ホルムアルデヒド接着剤を含む層。
4)HDF板。
5)尿素ホルムアルデヒド接着剤を含む層。
6)下の接着剤層を被覆するバッキング紙(場合により必要)。
【0024】
この板の製造方法において、2)〜6)の層は、積層工程において互いに固く接着される。その後、ショートサイクルプレス機又は連続的に運転されるダブルベルトプレス機で層1)を化粧紙中に押し込み、その際、この耐摩耗性メラミン層の一部が表面を覆う。この工程において、また、レリーフ構造も一緒に押し込まれる。
【0025】
B)結合樹脂接着剤層としての液体メラミンを用いた化粧板の層構造(上から下へ)
1)液体形態で適用されたメラミン樹脂製のカバー層。この中に摩擦防止効果を有するコランダムが埋め込まれている。
2)印刷された化粧紙:この化粧紙は乾燥状態にあるが、しかし、プレス加工の際、前記メラミン樹脂が上下から紙中に浸透することができる。
3)液体状態で適用されたメラミン層。
4)HDF板。
5)A)の5)及び6)で示したバッキング層。
【0026】
この板の製造方法においては、上記の層2)〜5)を第一の部分工程において冷間で二つのカレンダーローラ間において圧接又は積載し、その後、ショートサイクルプレス機又は連続的に運転されたダブルベルトプレス機において、熱及び圧力の作用下に互いに圧迫することによって、一つの作業工程だけで、支持板(例えば、HDF板)上に乾燥化粧紙を圧着させることができる。この手順においては、“含浸”作業工程はもはや必要ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料若しくはパーティクル材料から成る芯材、芯材の少なくとも片面に樹脂含有中間層、模倣された材料の表面の画像を有する、樹脂で含浸されていない化粧層、及び透明のカバー層を含み、模倣された材料の表面構造のレリーフ様の複製が型押しされている積層化粧板であって、前記中間層が、液体として芯材上に施された、圧力及び/又は熱により硬化可能な接着剤から成ることを特徴とする上記積層化化粧板。
【請求項2】
接着剤が、尿素ホルムアルデヒド接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の板。
【請求項3】
カバー層が、セルロースを含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の板。
【請求項4】
カバー層が、PVC、メラミン樹脂、又はアクリル塗料から成ることを特徴とする請求項3に記載の板。
【請求項5】
化粧層が、印刷された紙であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の板。
【請求項6】
芯材が、高密度繊維材料(HDF)から成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の板。
【請求項7】
片面に化粧層及びカバー層を、他の面にバッキング層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層化粧板を製造する方法であって、
以下の工程を含む方法。
a)繊維材料若しくはパーティクル材料から成る板を用意する工程、
b)前記板を、少なくとも一つの面において、熱及び/又は圧力により硬化可能な液体接着剤により被覆する工程、
c)樹脂で含浸されていない化粧層を前記接着剤の層上に圧着する工程、
d)熱可塑性又は液状カバー層材料を上記化粧層上に供する工程、
e)カバー層の表面構造を形成しつつ、こうして形成された層構造を圧迫及び加熱する工程。
【請求項9】
さらに以下の工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
f)芯材の片面のみに化粧層及びカバー層が存在する場合、芯材の他の面にバッキング層を設ける工程。
【請求項10】
工程a)〜c)、場合により及び工程f)を圧力下で積層工程として同時に行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
カバー層の材料として液体メラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して、工程d)及びe)をショートサイクルプレス機又は連続的に運転されるダブルバンドプレス機で行うことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
接着剤としてメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して、圧力の適用下で、工程a)〜c)、場合によっては及び工程f)を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
カバー層の材料として液体メラミンホルムアルデヒド樹脂を使用して、工程d)及びe)をショートサイクルプレス機又は連続的に運転されるダブルベルトプレス機で行うことを特徴とする請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2010−528898(P2010−528898A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510772(P2010−510772)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056871
【国際公開番号】WO2008/148771
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507258098)アクツェンタ パネーレ ウント プロフィレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】