説明

積層段ボールの圧縮成形緩衝材

【課題】 複数の段ボールを積層した積層段ボールの所要箇所に圧縮成形によって被緩衝体を収容できる有底凹部を形成した簡単な構造の安価な圧縮成形緩衝材を提供する。
【解決手段】 複数の段ボール2,2,2,・・・を積層した積層体3に内容物4を収容する有底凹部5を形成した緩衝材であって、積層体3の表面6における有底凹部5の平面形状は内容物4の最大平面形状以下の大きさであり、内容物4を有底凹部5に収容した状態で、少なくとも有底凹部5内の積層体3の表面6の一部が内容物4の最先端部8に接触する最深位置9まで連続した状態で埋没させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種産業分野の完成品やその部品を運搬する際に完成品や部品を外傷や破損から保護するために使用する緩衝材に関し、より詳しくは、本体部分に完成品又は部品の一部を収納できる有底凹部を有している緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータ、減速機、ポンプ等の動力機械、或いは、テレビジョン受像機、オーディオ装置等の電気・電子機器等の各種産業分野の完成品又はその部品を運搬する際には、完成品又はその部品を外傷から保護するために発泡スチロールや段ボールの成形体からなる緩衝材が使用されている。
【0003】
このうち、発泡スチロール製の緩衝材は廃棄する際に焼却しようとすると、高熱を発するため焼却炉を痛めると共に、人体に害のあるダイオキシンを含んだ黒煙を発するため、現在ではその使用を控えるようになっている。これに対して、段ボール製の緩衝材は焼却処分が可能である他に、水に溶かして再利用することができるため、発泡スチロールに代わってその使用量が増大している。
【0004】
段ボール製の緩衝材としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。これは、図8に示したように、本体部材20を断面がほぼ正方形の筒状に成形し、この本体部材20の互いに直角な二枚の板部21,21にそれぞれ被緩衝体22の嵌合用の凹部23を形成した段ボール成形緩衝材24である。この段ボール成形緩衝材24を使用する場合には、図9に示したように、被緩衝体22の上下左右に各1個配置した合計4個の緩衝体24,24,24,24の嵌合用の凹部23を被緩衝体22に嵌合させて、被緩衝体22と4個の緩衝材24,24,24,24とを一体にして包装箱25に収納する。これにより、包装箱25と被緩衝体22との間には緩衝材24が介在されて包装箱25内での被緩衝体22の移動が生じない状態となり、運搬中に生じる外部からの衝撃による被緩衝体22の外傷や破壊を防止できる。
【0005】
また、簡単な構造をした段ボール製の緩衝材としては、例えば、特許文献2に記載されているものがある。これは、図10に示したように、成形前の展開状態で基板27の四辺に同じ高さの側板28,28,28,28を延出し、基板27に所要数の被緩衝体29を収容するための収容凹部30を形成した段ボール成形緩衝材31である。
【0006】
この段ボール成形緩衝材31を使用する場合には、図11に示したように、四つの側板28,28,28,28同士の固着部32をステープラにより固着して逆有底箱状に組み立てるが、成形前の展開状態で予め収容凹部30を8等分する放射状の切り込み33が形成されており、収容凹部30の中央部を下方へ押し込むことで放射状の切り込み33を引き離すようにして実質的に半球状の収容凹部30が形成し、この半球状の収容凹部30に被緩衝体29を収容することで、隣り合う被緩衝体29との間隔が維持され、運搬中に生じる生じる外部からの衝撃による被緩衝体29の外傷や破壊を防止できる。
【特許文献1】特開平7−330036号公報
【特許文献2】特開2001−322678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された段ボール成形緩衝材24にあっては、板状の段ボールを正方形の筒状に成形した本体部材20の両端部に、板状の段ボールをアングル型に成形した第一補強部材26とチャネル型に成形した第二補強部材27とを組み込んで緩衝材24に所用の強度を持たせるようにしているが、成形前の展開状態の段ボールに複雑な折り曲げ線加工、切り込み加工、切り抜き加工等の手間と、本体部材24と第一補強部材26、第二補強部材27との組立作業の手間を必要とするため、コスト高なものとなっていた。
【0008】
また、特許文献2に記載された段ボール成形緩衝材31にあっては、半球状の収容凹部30は放射状の切り込み33を引き離して成形したものであるから、収容凹部30を構成する各緩衝片34同士には隙間35があり、被緩衝体29を収容凹部30に収容した状態では被緩衝体29の先端部(底部)が各緩衝片34同士の隙間35から飛び出すこととなる。そのため、背の高い被緩衝体29を収容凹部30に収容した場合には、被緩衝体29の先端部が段ボール成形緩衝材31とは別の外箱(図示せず)の底板に当接することになるので、被緩衝体29と外箱の底板との間に段ボール成形緩衝材31とは別の第二の緩衝材が必要となるため、外箱と第二の緩衝材の別個の部材を用意しなければならず、コスト高なものとなっていた。
【0009】
そこで、この発明は、上記の従来の段ボール成形緩衝材における問題点を解決すべく、複数の段ボールを積層した積層段ボールの所要箇所に圧縮成形によって被緩衝体を収容できる有底凹部を形成した簡単な構造の安価な圧縮成形緩衝材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数枚の段ボールを積層した積層体に内容物を収容する有底凹部を形成した緩衝材であって、前記積層体の表面における前記有底凹部の平面形状は前記内容物の最大平面形状以下の大きさであり、前記内容物を前記有底凹部に収容した状態で、少なくとも前記有底凹部内の積層体の表面の一部が前記内容物の最先端部に接触する最深位置まで連続した状態で埋没していることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記積層体の有底凹部内の部分と有底凹部外の部分との境界部の一部には、前記積層体の深さ方向の切り込みが前記最深位置まで形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記積層体の平面視の外寸法を前記積層体を収容する立方体容器の平面視の内寸法と略同一としたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加えて、前記積層体を前記内容物の上下に一組配置した状態で、その一組の前記積層体の外寸法を前記立方体容器の高さの内寸法と略同一としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、以上のような構成を有するため、請求項1に記載の発明によれば、有底凹部に内容物を収容した状態で、有底凹部内の積層体の表面の一部が内容物の最先端部に接触する最深位置まで連続した状態で埋没しているので、内容物の周囲は勿論その最先端部にも積層体の一部が存在しているから、内容物を運搬する際に積層体単品のみで内容物を外傷や破損から保護することのできる安価な圧縮成形緩衝材を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、積層体の有底凹部内の部分と有底凹部外の部分との境界部の一部には、積層体の深さ方向の切り込みが最深位置まで形成されているので、切り込み部のある境界部では有底凹部を成形する際の圧縮力に対する抵抗力が作用することがないため、少ない圧縮力で必要とする有底凹部形状を形成することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、積層体の平面視の縦横外寸法を積層体を収容する立方体容器のいずれか一面の縦横内寸法と略同一としているので、そのままの状態で立方体容器内で積層体が移動することがないため、内容物を立方体容器内の所定位置に保ったまま安全な運搬作業が行える。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、積層体を内容物の上下に一組配置した状態で、その一組の積層体の外寸法を立方体容器の高さの内寸法と略同一としたので、立方体容器内での向かい合った一組の積層体の高さ方向の移動を防止することができるため、結果として立方体容器内での内容物の三次元方向の移動が防止できる。これにより、内容物及び立方体容器の天地を意識しなくとも段積みができることになるから、運搬に際しての積載作業が容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[発明の実施の形態1]
【0019】
まず、この発明の実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材の構成について説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材に内容物を収容する状態を示した分解斜視図である。
【0021】
圧縮成形緩衝材1は、複数の板状の段ボール2,2,2,・・・を積層した積層体3を本体とするものであって、上下に隣り合った段ボール2同士は互いに接着剤にて接着されている。図示した積層体3では、段ボール2として波形に成形した板紙の両面に平面状の板紙を張り合わせた両面段ボールを使用しており、この両面段ボール2を複数枚重ね合わせて、それらの接触面に接着剤を塗布して接着することで、全体が一体となったブロック状としている。接着剤としては、製造や運搬作業に携わる人への安全性を考慮し、ホルムアルデヒドが検出されることのない、水溶性の酢酸ビニル系接着剤を使用することが好ましい。酢酸ビニル系接着剤としては、例えば、ペガール210PR、ペガール100HHR、ペガール1540、ペガール517R(高圧ガス工業株式会社製)等が挙げられる。これらの酢酸ビニル系接着剤にあっては、薬学会協定の衛生試験法TLCによる試験に合格できる基準であるフタル酸エステルが検出されないこと、及び食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に適合するための材質試験項目の鉛とカドミウムの検出量及び溶出試験項目の重金属と過マンガン酸カリウム消費量の検出量がそれぞれ基準値を下回ることが確認されている。
【0022】
積層体3の中央部には内容物4の一部が埋没した状態で収容できる有底凹部5が形成されている。積層体3の表面6における有底凹部5の平面形状は、内容物4の最大平面形状乃至それよりも小さい大きさであり、内容物4を有底凹部5に収容した状態で、少なくとも有底凹部5内の積層体3の表面6の一部が内容物4の最先端部8に接触する最深位置9まで連続した状態で埋没した形態をしている。
【0023】
積層体3の表面6の一部を最深位置9まで埋没させるには、積層体3の下面を上面が平らな下金型(図示せず)で支えておき、埋没深さに対応した内容物4の埋没形状と同一形状をした上金型(図示せず)を積層体3の表面6に押し当てて垂直方向の圧縮力を与えるといった圧縮成形方法を採用すればよい。
【0024】
積層体3の有底凹部5内の部分と有底凹部5外の部分との境界部の一部には、積層体3の深さ方向に平行な切り込み10を最深位置9まで形成している。これにより、有底凹部5を成形する際に上金型による圧縮力が作用した場合に、切り込み10のある境界部では上金型による圧縮力に対する抵抗力が作用することがないため、少ない圧縮力で必要とする有底凹部5の形状を形成することができる。
【0025】
積層体3に内容物4の一部が埋没する有底凹部5を形成するには、成形前に積層体3を30〜60%の含水率になるよう吸水させ、この吸水した積層体3を原料として、有底凹部5を必要とする所定の箇所の直上に上金型をセットし、この上金型により積層体3に最も深い位置で約1ton/cmの圧力を加え、100〜200℃の温度に加熱し、2〜3%の含水率になるまで加圧加熱脱水処理を行うことのできる圧縮成形機を使用して圧縮成形加工を行う。これにより、有底凹部5内の圧縮成形された部分は高密度となり、圧縮成形されていない有底凹部5外の部分に比べて硬質プラスチック成形品と同等の機械的性質を有し、高い剛性が得られる。また、吸水及び加圧加熱脱水処理は積層体3の形状によって異なり、例えば、変形度合いの大きい箇所を部分的に吸水させるために加熱蒸気を使うことが有効である。
【0026】
なお、板状の段ボール2同士を接着する接着剤には、水溶性の酢酸ビニル系接着剤を使用しているため、実施の形態に係る圧縮成形緩衝材1全体を水に浸すことで両面段ボール2と接着剤の両方を水に溶かすことができるので、新たな圧縮成形緩衝材1の原料として容易に再利用ができ、環境問題を生じる心配もない。
【0027】
次に、この発明の実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材の使用方法について説明する。
【0028】
図2は、この発明の実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材に内容物を収容する状態を示した斜視図である。
【0029】
図2において、内容物4の下側に配置する圧縮成形緩衝材1aと内容物4の上側に配置する圧縮成形緩衝材1bとを使用する場合を表している。下側に配置する圧縮成形緩衝材1aと上側に配置する圧縮成形緩衝材1bとは、それぞれ内容物4の全高の半分より低い高さの積層体3a,3bを採用している。下側に配置する圧縮成形緩衝材1aと上側に配置する圧縮成形緩衝材1bとの平面形状の縦横外寸法は、立方体容器である包装箱11の縦横内寸法とほぼ同一とし、両圧縮成形緩衝材1a,1bに内容物4を収容した状態の全高を包装箱11の高さ方向の内寸法とほぼ同一としている。これにより、包装箱11の内壁に積層体3の外表面が密着するため、包装箱11内での向かい合った一対の積層体3a,3b及び内容物4の前後方向、左右方向及び上下方向の移動を防止することができる。そのため、内容物4及び包装箱11の天地を意識しなくとも段積みができることになるから、運搬に際しての積載作業が容易なものとなる。
【0030】
図示した実施の形態では、素材として板状の段ボールとして両面段ボールを採用した例を示したが、これに限らず、波形に成形した板紙の片面に平板状の板紙を貼り合わせた片面段ボール、両面段ボールに片面段ボールを貼り合わせた複両面段ボール、複両面段ボールに片面段ボールを貼り合わせた複々両面段ボール等を、単独で又は組み合わせて使用してもよい。
[発明の実施の形態2]
【0031】
図3は、この発明の実施の形態2に係る圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【0032】
図3に示したように、積層体3の全高が被緩衝体である内容物4の全高に比べて十分に大きいものとし、積層体3に被緩衝体である内容物4の全体が埋没する深さの有底凹部5を形成している。
【0033】
その他の構成は実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材と同様であるため、同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0034】
実施の形態2に係る圧縮成形緩衝材1は、以上のような構成をしているから、内容物4を運搬する際に一つの積層体3のみで内容物4を外傷や破損から保護することのできるので、より安価な圧縮成形緩衝材を提供することができる。
【0035】
図4に示したものは実施の形態2の別の態様を示したものであって、一つの積層体3に一つの内容物4が収容できる有底凹部5を形成した圧縮成形緩衝材1をパレット等の運搬容器12内に隙間なく配置して、一つの運搬容器12で複数の内容物4を運搬するようにしている。
【0036】
圧縮成形緩衝材1の圧縮成形された有底凹部5の最深位置9は紙製であっても含水率が2〜3%といった高密度圧縮成形されており、硬質プラスチック成形品と同等の機械的強度を有していることから、ドリル等による取付孔13(図1を参照のこと)の孔加工が可能であるため、圧縮成形緩衝材1を運搬容器12にねじ止めが可能な構造である。そこで、運搬容器12内の個々の圧縮成形緩衝材1は、運搬容器12にねじ止めして固定することができる。ねじ止め手段を採用すれば、圧縮成形緩衝材1を運搬容器12に簡単に固定したり取り外したりすることができるので、運搬個数の変更があっても迅速に対応できる。また、内容物3の形状変更が合った場合には、不要な圧縮成形緩衝材1を取り外して、所望の内容物3が収容できる有底凹部5を有する別の圧縮成形緩衝材1を取り付けるといった交換作業により、簡単にその仕様変更にも対応することができる。
【0037】
なお、図3に示したように、積層体3の表面6に、例えば、プラスチック製の透明板14を取り付ければ、内容物4の有底凹部5からの飛び出しを防止できると共に内容物4の形態が目視できるので、運搬は勿論そのまま店頭に陳列できる。そのため、完成品の販売用の包装容器としても利用することができる。
[発明の実施の形態3]
【0038】
図5は、この発明の実施の形態3に係る内容物が複数収容できる一体型の圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【0039】
実施の形態3は、実施の形態1又は2のように一つの内容物4に一つの積層体3を使用するのではなく、一つの積層体3に複数の内容物4を収容できる有底凹部5を成形することで、一つの積層体3に複数の内容物4を収容して運搬できるようにしている。
【0040】
つまり、積層体3は大判の段ボール2を積層したものであって、積層体3の表面6に内容物4を収容できる有底凹部5を複数形成している。積層体3の全高が被緩衝体である内容物4の全高に比べて十分に大きいものとし、積層体3に被緩衝体である内容物4の全高が埋没する深さの有底凹部5を形成している点は、実施の形態2と同様である。
[発明の実施の形態4]
【0041】
実施の形態1乃至3に示した圧縮成形緩衝材1は、複数の板状の段ボール2,2,2,・・・を積層した積層体3を本体とするものであるが、この発明はこれに限らず、片面又は両面の巻き段ボールを積層した積層体3を使用してもよい。
【0042】
図6は、この発明の実施の形態4に係る巻き段ボールからなる圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【0043】
所定の幅に裁断された両面巻き段ボール15を所定の寸法でジグザグ状に屈曲して積層した積層体3を本体としており、中芯16の波形が見える面を上下方向に向けている。積層体3の上面の中央部には、例えば、内容物4としての一般商業印刷用のロール紙の芯材17を支持する半円筒状の有底凹部5が成形されている。
【0044】
図7は、この発明の実施の形態4に係る別の態様を示した巻き段ボールからなる圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【0045】
所定の幅に裁断された片面巻き段ボール18を扁平な海苔巻き状に丸めて積層した積層体3を本体としており、中芯16の波形が見える面を上下方向に向けている。積層体3の上面の中央部には、例えば、内容物4としての一般商業印刷用のロール紙の外周面19を支持する側面視が円弧状をした有底凹部5が成形されている。
【0046】
図6、図7に示した圧縮成形緩衝材1は、巻き段ボール15,18の中芯16の波形が見える面を上下方向に向けているため、上下方向の耐荷重が大きいものが得られることから、一般商業印刷用のロール紙のような重量物を運搬する場合に好適である。また、内容物4としての一般商業印刷用のロール紙の外周面19に巻き段ボール15,18の中芯16とライナー20の端面が接触することで巻き段ボール15,18の紙粉が付着することを嫌う場合には、成形前の巻き段ボール15,18の中芯16とライナー20の端面に一般合紙を貼り合わせておき、圧縮成形加工の際に一体成形すればよい。これにより、内容物4としての一般商業印刷用のロール紙の外周面19に一般合紙の連続した滑らかな面が接触することになるから、巻き段ボール15,18の中芯16とライナー20の端面が摩耗することがなくなり、巻き段ボール15,18の紙粉の付着を防止できる。
【0047】
なお、実施の形態4で示したような段ボールの積層体3を中芯16の波形が見える面を上下方向に向けて使用することは、実施の形態1乃至3で示したように複数の板状の段ボール2,2,2,・・・を積層した積層体3を本体とするものであっても可能であり、重量物の内容物4を運搬する場合に採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材に内容物を収容する状態を示した分解斜視図である。
【図2】同実施の形態1に係る圧縮成形緩衝材に内容物を収容する状態を示した斜視図である。
【図3】同実施の形態2に係る圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【図4】同実施の形態2に係る圧縮成形緩衝材の別の態様を表した斜視図である。
【図5】同実施の形態3に係る内容物が複数収容できる一体型の圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【図6】同実施の形態4に係る巻き段ボールからなる圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係る別の態様を示した巻き段ボールからなる圧縮成形緩衝材の斜視図である。
【図8】従来の第一の段ボール成形緩衝材を示した分解斜視図である。
【図9】同第一の段ボール成形緩衝材の使用状態を示した斜視図である。
【図10】同第二の段ボール成形緩衝材の素材の展開図である。
【図11】同第二の段ボール成形緩衝材の使用状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 圧縮成形緩衝材
2 段ボール
3 積層体
3a 積層体
3b 積層体
4 内容物(被緩衝体)
5 有底凹部
6 表面
8 内容物の最先端部
9 最深位置
10 切り込み
11 包装箱(立方体容器)
12 運搬容器
13 取付孔
14 透明板
15 両面巻き段ボール
16 中芯
17 芯材
18 片面巻き段ボール
19 外周面
20 ライナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の段ボールを積層した積層体に内容物を収容する有底凹部を形成した緩衝材であって、前記積層体の表面における前記有底凹部の平面形状は前記内容物の最大平面形状以下の大きさであり、前記内容物を前記有底凹部に収容した状態で、少なくとも前記有底凹部内の積層体の表面の一部が前記内容物の最先端部に接触する最深位置まで連続した状態で埋没していることを特徴とする積層段ボールの圧縮成形緩衝材。
【請求項2】
前記積層体の有底凹部内の部分と有底凹部外の部分との境界部の一部には、前記積層体の深さ方向に平行な切り込みが前記最深位置まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層段ボールの圧縮成形緩衝材。
【請求項3】
前記積層体の平面視の外寸法を前記積層体を収容する立方体容器の平面視の内寸法と略同一としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層段ボールの圧縮成形緩衝材。
【請求項4】
前記積層体を前記内容物の上下に一組配置した状態で、その一組の前記積層体の外寸法を前記立方体容器の高さの内寸法と略同一としたことを特徴とする請求項3に記載の積層段ボールの圧縮成形緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−321494(P2006−321494A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143499(P2005−143499)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(598171911)株式会社イシバシ (7)
【Fターム(参考)】