説明

積層熱可塑性フィルム

【課題】 優れた接着性、耐水性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムを提供する。
【解決手段】 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、接着改質層を設けた熱可塑性フィルム基材において、酸無水物基の特徴を示すピークの吸光度をA、脂肪族エステルの特徴を示すピークの吸光度をBとしたとき、その吸光度比(A/B)が0.05以上である事を特徴とする積層熱可塑性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着性の改良された熱可塑性フィルムに関し、その目的とするところは、ラミネート時の接着剤、金属あるいは無機やそれらの酸化物薄膜など広範囲の用途に使用可能で高度な接着性を有し且つ、高度な耐溶剤性を有する熱可塑性フィルムを提供することにある。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂よりなるフィルム、特に配向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透明性などを有し幅広く使用されている。特に二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性が優れているので、磁気テープ用ベースフィルム、絶縁テープ、写真フィルム、トレーシングフィルム、食品包装用フィルムなどの多方面で使用さえている。しかしながら一般にポリエステルフィルムは接着性が低いため、磁性体、感光剤、マット剤などを積層する場合には、フィルム表面にコロナ放電処理をしたり、アンカーコート剤を設けることが一般的である。アンカーコート剤として、数多くの材料が提案されており、中でも、ポリエステルを中心とした比較的極性が高いフィルムに対しては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはアクリル系樹脂を用いることが提案されている。(特開昭54-43017号、特公昭49-10243号、特開昭52-19786号、特開昭52-19787号等)
【0003】しかし、上記ポリエステル系樹脂はフィルムを巻いてロールとしたとき、ブロッキングを起こしやすいという欠点があり、また上記アクリル系樹脂はフィルム及びプライマー層に被覆される層との接着性に劣るという欠点がある。そこで、これらの欠点を改善する目的で、上記ポリエステル系樹脂と上記アクリル系樹脂を混合して用いることが提案されている(特開昭58-124651 号)が、欠点の改善は十分とは言い難い。更に、グラフト変性を中心とした種々の変性ポリエステルを使用することも提案されている。例えば、特開平2-3307号、特開平2-171243号、特開平2-310048号では、水溶性あるいは水分散できる親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合含有化合物をグラフト化させた樹脂が、ポリエステルフィルムのプライマーとして好適であることが開示されている。しかし、この様に、ポリエステル樹脂中にあらかじめ共重合等で親水基を含有させた樹脂のグラフト変性では、高度の接着性、耐水性、耐溶剤性がない。また、特開平3-273015号、特公平3-67626 号でも、ポリエステルのグラフト変性樹脂がポリエステルフィルムのプライマーとして有用であることが開示されている。しかし、これらの樹脂についても、凝集力に乏しいため、乾燥状態での接着性は向上するものの湿潤下での接着性は乏しく、特に2次加工、3次加工と多加工になるにつれ、膜のはがれ、キズがつくなどの問題があるのが現状である。これらの様に高度な後加工に対する耐久性が十分な物は得難い状況であり、またこれらの加工耐久性を簡便に見分ける方法が、今まで確立されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決する事を目的とし、優れた接着性を有し且つ、耐水性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、接着改質層を設けた熱可塑性フィルム基材において、酸無水物基の特徴を示すピークの吸光度をA、脂肪族エステルの特徴を示すピークの吸光度をBとしたとき、その吸光度比(A/B)が0.05以上である事を特徴とする積層熱可塑性フィルム。
【0006】
【発明の実施の形態】上記特性を有する接着改質層は、酸無水物が共重合された樹脂の事であり、酸無水物がある一定量以上有する事により接着性及び耐水性、耐溶剤性が良好な積層フィルムが得られる事を見いだした。酸無水物が共重合された樹脂とは例えば疎水性、あるいは親水性のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂に二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種含む重合性不飽和単量体がグラフトされたグラフト共重合体等、酸無水物を含む共重合体を主な構成成分とする接着改質層を積層した積層熱可塑性フィルムにより上記目的が達成出来る。本発明の好ましい実施態様において、前記接着改質層が酸無水物を含む共重合体を含む塗布液を未延伸または一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該塗布フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することによって形成された積層熱可塑性フィルムである。
【0007】本発明における酸無水物が共重合された樹脂は、例えば疎水性、あるいは親水性のポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂に二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種以上共重合させた物等が挙げられるが、最も好ましいのは、疎水性ポリエステル系樹脂に二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種含む重合性不飽和単量体がグラフトされたポリエステル系グラフト共重合樹脂である。ポリエステル系グラフト共重合樹脂の「グラフト化」とは、幹ポリマー主鎖に、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することにある。
【0008】(グラフト重合体)本発明のグラフト重合は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
【0009】本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物の酸価は600eq/106 g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/106 g以上である。反応物の酸価が600eq/106 g未満である場合は、本発明の目的であるプライマー処理材に被覆される層との接着性が十分とはいえない。
【0010】また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステル樹脂とラジカル重合性単量体の重量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性単量体=40/60〜95/5の範囲が望ましく、更に望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が40重量%未満であるとき、ポリエステル樹脂の優れた接着性を発揮することができない。一方、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が95重量%より大きいときは、ポリエステル樹脂の欠点であるブロッキングが起こりやすくなる。
【0011】本発明のグラフト重合反応物は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液つまり、水分散樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。この様な水分散樹脂を得るには、通常、有機溶媒中で、前記疎水性共重合ポリエステル樹脂に、親水性ラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体をグラフト重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により達成される。本発明での水分散樹脂は、レーザー光散乱法により測定される平均粒子系は500nm以下であり、半透明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整により、多様な粒子径の水分散樹脂が得られるが、この粒子径は10〜500nmが適当であり、分散安定性の点で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。500nmを越えると被覆膜表面の光沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下し、10nm未満では、本発明の目的である耐水性が低下するため、好ましくない。
【0012】本発明における水分散樹脂の重合に使用する親水性ラジカル重合性単量体とは、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を指す。親水基を有するラジカル重合性単量体として、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性単量体を挙げることができる。一方、親水基に変化できるラジカル重合性単量体として、酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを挙げることができる。これらの中で、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。本発明の酸価を上げる点で、カルボキシル基を含有しているか、カルボキシル基を発生するラジカル重合性単量体が含まれているほうが好ましい。
【0013】(ポリエステル)本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性である必要がある。水に分散するまたは溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合に使用すると、本発明の目的である接着性、耐水性が悪くなる。この疎水性共重合ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満である場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が40モル%を越えた場合は、接着強度が低下する。
【0014】また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり、逆に10モル%を越える場合は、グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し、反応の均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸は70〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸2〜7モル%である。
【0015】芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基含有ジカルボン酸は、本発明の目的である耐水性が低下する点で、用いない方が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げることができる。重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
【0016】一方、グリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜12の脂環族グリコールおよび/またはエーテル結合含有グリコールよりなるが、炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用しうる。
【0017】本発明で使用される共重合ポリエステル樹脂中に、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができるが、3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。一方、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、望ましくは0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を越えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の分子量は、重量平均で5000〜50000 の範囲が好ましい。分子量が5000未満の場合は接着強度の低下があり、逆に50000を越えると重合時のゲル化等の問題が起きてしまう。
【0018】(重合性不飽和単量体含有ポリマー)本発明の重合性不飽和単量体を例示するフマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステルマレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミド等また、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどである。またアクリル重合性単量体は、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等):2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体:N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体:グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体:アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物とそのエステルである。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることが出来る。
【0019】本発明のグラフト重合は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
【0020】(重合開始剤およびその他添加剤)本発明で用い得るグラフト重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。有機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げることが出来る。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性モノマーに対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
【0021】(反応溶媒)本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒は沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、望ましくは20g/L以上であるものをいう。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそく、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。共重合ポリエステル樹脂をよく溶解しかつカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水性有機溶媒としては、エステル類例えば酢酸エチル、ケトン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、グリコ−ルエ−テル類例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を例示する事が出来る。
【0022】これに対し、共重合ポリエステル樹脂をほとんど溶解しないがカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることが出来るが、本発明の実施に特に好ましいものとしては炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
【0023】グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行なうことが出来る。混合溶媒で行なう場合は第一群の水性有機溶媒からのみ複数種選ぶ場合と、第一群の水性有機溶媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶媒から少なくとも一種を加える場合がある。
【0024】グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行なうことができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状などに差異がみられ、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する方が好ましい。
【0025】第一群の溶媒中では共重合ポリエステル分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、一方第一群/第二群の混合溶媒中では広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることがこれら溶液中の共重合ポリエステルの粘度測定により確認された。共重合ポリエステルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化とゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成される。第1群/第2群の混合溶媒の重量比率はより望ましくは95/5〜10/90さらに望ましくは90/10〜20/80、最も望ましくは85/15〜30/70の範囲である。最適の混合比率は使用するポリエステルの溶解性などに応じて決定される。
【0026】(水分散化)本発明にかかわるグラフト化反応生成物は塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することが出来る。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエタノールアミン、N-メチル-N,N- ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることが出来る。塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少くとも部分中和、若しくは、完全中和によって水分散体のPH値が5.0−9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、金属や無機蒸着膜の接着性や他材料と積層した時の耐水性や耐熱水接着性が優れる。また100℃以上の塩基性化合物使用した場合や乾燥条件を制御し、乾燥後の塗膜中に塩基化合物を500ppm以上残留させることにより、印刷インクの転移性が向上する。
【0027】本発明により生成される水系分散体では、ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量は500-50000 であるのが好ましい。ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量を500 以下にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない傾向がある。また、ラジカル重合性単量体のグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。またラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で50000 が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが出来る。
【0028】本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物は、自己架橋性を有する為高度な耐溶剤性を発揮する。常温では架橋しないが、乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより初めて、本発明の目的である接着性、耐水性を発現できる。塗膜の架橋性については、様々の方法で評価できるが、疎水性共重合ポリエステル樹脂およびラジカル重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率が、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。塗膜の不溶分率が50%未満の場合は、接着性、耐水性が十分でないばかりでなく、ブロッキングも起こしてしまう。
【0029】上記自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体は、そのままで本発明に用い接着改質層を形成し得るが、他の目的から汎用のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂、それらの共重合体、各種水溶性樹脂、等や各種機能性樹脂、例えばポリアニリンやポリピロール等の導電性樹脂や抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂を混合して接着改質層を形成してももかまわない。
【0030】接着改質層に、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、各種界面活性剤、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤、抗菌剤、光酸化触媒、紫外線吸収剤、等の添加剤を含有させることができる。
【0031】塗布液としては、接着改質層を構成する自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体の有機溶媒溶液または分散液、あるいは、水系溶媒溶液または水系溶媒分散液を用い得る。特に、水溶液または分散液が、環境に対して問題となる有機溶媒を用いない点で好ましい。有機溶媒あるいは水系溶媒中の自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体および架橋結合剤の固形分含有量は、通常、1重量%〜50重量%、好ましくは3重量%〜30重量%である。
【0032】塗布後のグラフト共重合体の乾燥条件は特に規制は無いが、該グラフト共重合体のもつ自己架橋性を発現するためには、基材フィルム及び該グラフト共重合体に熱劣化が起こらない範囲内で、熱量を多くする条件が好ましい。具体的には80℃〜250℃、さらに好ましくは150℃〜220℃である。ただし乾燥時間を長くすることにより、比較的低い温度でも、十分な自己架橋性を発現するため、上記の条件に限らない。
【0033】接着改質層を形成するために、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を含む塗布液を熱可塑性フィルム基材に塗布する方法としては、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式などの公知の塗布方式を用い得る。
【0034】塗布液の塗布量は、固形分として0.005〜5g/m2 、好ましくは、0.02〜0.5g/m2 である。塗布量が0.005g/m2 以下になると、接着改質層との十分な接着強度が得られない。5g/m2 以上になるとブロッキングが発生し、実用上問題がある。
【0035】接着改質層は、二軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布しても良いし、未延伸あるは一軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸後熱固定を行っても良い。製膜工程中に塗布、乾燥後延伸、熱処理、これら一連の工程により更に高度な耐溶剤性が得られる。
【0036】未延伸あるは一軸延伸後のポリアミドフィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸する場合、塗布後の乾燥温度はその後の延伸に影響しない範囲の条件で乾燥する必要があり、ポリアミド基材の場合、水分率を2%以下にして延伸し、その後200℃以上で熱固定を行うことにより塗膜が強固になり、接着改質層とポリエステルフィルム基材との接着性が飛躍的に向上する。水分率が2%以上になると乾燥温度にもよるが、結晶化が起こり安くなり、平面性の悪化や延伸性が損なわれる場合がある。
【0037】二軸延伸熱可塑性フィルム基材に塗布する場合、熱可塑性フィルム基材と接着改質層との接着性をさらに良くする為、熱可塑性フィルム基材にコロナ処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしてもよい。下記塗布後延伸する場合でも同様の処理により効果が得られる。
【0038】本発明の積層熱可塑性フィルム基材の接着改質層は各種材料と良好な接着性を有するが、さらに接着性や印刷性をよくするために、該接着改質層にさらにコロナ処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしても良い。
【0039】本発明で得られた積層熱可塑性フィルム基材の接着改質層は広範囲の用途で良好な接着強度が得られる。具体的には、印刷インキやUVインキ、ドライラミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あるいは無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、プラズマ重合等で得られる薄膜層や酸素吸湿剤層、有機バリアー層、インクジェット受像層等があげられる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0041】1)接着性評価(積層体の作成)各実施例、比較例で得られた積層熱可塑性フィルムの接着改質層、またはコロナ処理面上にグラビアインキ(ラミエース61白二液タイプ、東洋インキ社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次いで接着剤AD585/CAT−10(東洋モートン社製)を2g/m2 塗布した後、常法に従って未延伸ポリプロピレンフィルム、60μm(P1120、東洋紡績製)をドライラミネート法にて貼り合わせシーラント層を設け、熱可塑性フィルム積層体を得た。常態保存(乾燥時および湿潤時)と90℃熱水中における剥離強度を測定した。測定条件は、引張速度100mm/分での90°剥離試験結果である。
【0042】2)酸無水物量の評価FT-IR FTS.15/80 BIO-LAD. DIGILAB DIVISION GC/C32を用い、 ATR法(Ge45 °)により行った。酸無水物量の評価は接着改質層を積層したフィルムと接着改質層を積層する前のフィルムの差スペクトルから酸無水物の特徴である1778cm-1(A)、及び脂肪族エステルの特徴である1170cm-1(B) のピークの吸光度比(A/B)を求めることにより行った。
【0043】3)クロロホルムによる粘着ブロッキングテスト10cm×10cmの接着改質層積層フィルムの接着改質層上にクロロホルムを2cc滴下し、さらに同じフィルムの接着改質層側でクロロホルムを挟み込み、10g/cm2 の圧力をかけた状態で、25℃、2時間放置した。その後これらのフィルムを剥がした時の状況を観察した。
【0044】4)後加工耐久テストワイヤー径10milのワイヤバーを使用し、接着改質層上にメチルエチルケトン/トルエン=重量比1/1の溶剤を塗布、乾燥後フィルム表面の傷を目視観察した。
【0045】(共重合ポリエステルの調製)撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート345部、1,4ブタンジオール211部、エチレングリコール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸14部およびセバシン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステルを得た。得られたポリエステルは、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
【0046】(自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体)撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記共重合ポリエステル樹脂75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト重合樹脂を得た。該水分散グラフト樹脂は淡黄色透明で、ガラス転移温度−10℃であった。
【0047】(実施例1)ポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出しし、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ100μmの未延伸フィルムを得、この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍延伸した。次いで実施例の塗布液をロールコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次いでテンターで98℃横方向に3.5倍延伸し、さらに200〜210℃熱固定し厚さ12μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.08g/m2 であり、酸無水物、及び脂肪族エステルを示すピークの吸光度比(A/B)は0.85であった。
【0048】(実施例2)東洋紡績株式会社製の厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム上に、実施例1の塗布液を塗布、150℃で乾燥して、最終的なコート剤塗布量は0.08g/m2 の積層ポリエステルフィルムを得た。酸無水物、及び脂肪族エステルを示すピークの吸光度比(A/B)は0.05であった。
(比較例1)撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート345部、1,4ブタンジオール211部、エチレングリコール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸14部およびセバシン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステルを得た。得られたポリエステルは、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
【0049】次ぎに撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に上記共重合ポリエステル樹脂75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、メタクリル酸17.5部とアクリル酸エチル7.5部の混合物、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.2部を25部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.2ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、水300部とトリエチルアミン25部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト樹脂を得た。得られた樹脂は淡黄色透明で、ガラス転移温度は−20℃であった。また酸無水物、及び脂肪族エステルを示すピークの吸光度比(A/B)は0であった。上記水分散グラフト樹脂を実施例1と同様な方法で積層ポリエステルフィルムを作製した。
【0050】(比較例2)塗布剤として水性ポリウレタンであるハイドランHW340(大日本インキ化学工業製)を使用した以外は実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを作製したところ酸無水物、及び脂肪族エステルを示すピークの吸光度比(A/B)は0であった。
【0051】(比較例3)塗布剤として水性ポリエステル系樹脂として、テレフタル酸/イソフタル酸/5−スルホイソフタル酸/エチレングリコール/1,4ブタンジオールを25/20/5/25/25(重量比)で共重合させた水系ポリエステル樹脂とブロックイソシアネート化合物であるBN−11(第一工業製薬製)とを重量比で95/5の割合で混合した塗布液を使用した以外は実施例1と同様に積層ポリエステルフィルムを作製したところ酸無水物、及び脂肪族エステルを示すピークの吸光度比(A/B)は0であった。
【0052】
【発明の効果】本発明は後加工適性に優れた耐溶剤性を有する接着改質層を有する熱可塑性フィルムの性状であり、自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体を主な構成成分とする層を熱可塑性フィルム上に設けたることにより優れた接着性、耐水性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムが得られる。
【0053】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、接着改質層を設けた熱可塑性フィルム基材において、酸無水物基を示すピークの吸光度をA、脂肪族エステルを示すピークの吸光度をBとしたとき、その吸光度比(A/B)が0.05以上である事を特徴とする積層熱可塑性フィルム。

【公開番号】特開2000−6292(P2000−6292A)
【公開日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−182658
【出願日】平成10年6月29日(1998.6.29)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】