説明

積層電磁波シールド板

【課題】 電磁波をシールドできる積層電磁波シールド板を提供することにある。
【解決手段】 支持板と電磁波シールド板を積層し、電磁波シールド板は基板と電磁波シールド材の複合構造であり、支持板の外周部を電磁波シールド板の外周面よりも外側に突設し、電磁波シールド材の外周端部を前記基板の外周端面よりも外側に突設した。電磁波シールド板を支持板の両外側に設けて三層構造とした。支持板を電磁波シールド板又は電磁波非シールド板とした。電磁波シールド板の外周部又は/及び支持板の外周部を電磁波シールド性のパッキンで被覆した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層電磁波シールド板に関し、電磁波シールド室、特に、現金自動取引装置(現金自動引き出し預け入れ機:現金処理機:通称「ATM」)設置用の電磁波シールド室の周壁板、天井板、扉板として使用するのに適するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、振込め詐欺が頻発しており、年間、数百億もの膨大な額の被害が発生している。
振込め詐欺は、振込め詐欺師がお年寄りを電話で金融機関やコンビニエンスストアなどに設置されているATMまで誘い出し、ATMの近くから携帯電話でお年寄りと通話しながらお年寄りにATMを操作させて振込みを実行させる手口が多い。また、盗撮による被害発生も危惧されている。これは、ATMの近くに仕掛けた盗撮用カメラでATMの暗証番号を盗撮し、盗撮した暗証番号を盗撮者に自動的に無線送信し、入手した盗撮者がその暗証番号と偽造カードを使用してATMから現金を引き出す手口である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ATMは金融機関のロビー、無人店舗、コンビニエンスストアの店内等に設置されており、ATMを操作する人と振込め詐欺師とが携帯電話で通話することができるため、係員や店員がいる金融機関のロビーやコンビニエンスストアの店内であっても、それら係員や店員に気付かれることなく振込みさせられてしまい、被害が増加の一途をたどっている。本件発明者は先に、携帯電話を使用した振込め詐欺の被害を防止できるATM用の電磁波シールド室を開発した。本発明はATM設置室をはじめとして、医療機器設置室、OA機器設置室といった電磁波シールドを必要とする各種電磁波シールド室の周壁板、天井板、扉板として使用するのに適する電磁波シールド板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の積層電磁波シールド板は、請求項1記載のように、支持板と電磁波シールド板が積層され、電磁波シールド板は基板と電磁波シールド材の複合構造であり、支持板の外周部は電磁波シールド板の外周部よりも外側に突設され、前記電磁波シールド材の外周端部は前記基板の外周端面よりも外側まで突設されたものである。
【0005】
本発明の積層電磁波シールド板は、請求項2記載のように、前記積層電磁波シールド板において、電磁波シールド板を支持板の両外側に設けられた三層構造としたものである。
【0006】
本発明の積層電磁波シールド板は、請求項3記載のように、前記積層電磁波シールド板において、支持板を電磁波シールド板又は電磁波非シールド板としたものである。
【0007】
本発明の積層電磁波シールド板は、請求項4記載のように、前記積層電磁波シールド板において、電磁波シールド板の外周部又は/及び支持板の外周部が電磁波シールド性のパッキンで被覆されたものである。
【0008】
本発明の積層電磁波シールド板は、請求項5記載のように、前記積層電磁波シールド板において、電磁波シールド板又は/及び支持板を電磁波シールドガラス板又は電磁波シールド樹脂板としたものである。
【0009】
本発明の積層電磁波シールド板は、請求項6記載のように、前記積層電磁波シールド板を電磁波シールド室用としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層電磁波シールド板は次のような効果がある。
(1)中間層の支持板の外周部が両外側の電磁波シールド板の外周端部よりも外側まで突設されているので、支持板の突出部を下にして使用すれば、電磁波シールド材の外周部(引出し部)が床、地面、枠材等から直接触れない(浮く)ので、その引出し部が電磁波シールド板の荷重で切断することがなく電磁波シールド効果が長期間確保される。
(2)電磁波シールド板が支持板の両外側に設けられた三層構造であるため、電磁波シールド板の表裏いずれの面からの電磁波も確実にシールドできる。
(3)電磁波シールド板の外周部又は/及び支持板の外周部が電磁波シールド性のパッキンで被覆されているので、電磁波シールド板の外周部の電磁波シールド効果が向上する。
(4)支持板を電磁波シールド板とした場合は支持板が電磁波非シールド板のときよりも電磁波シールド効果が向上する。
(5)電磁波シールド板又は/及び支持板が電磁波シールドガラス板又は電磁波シールド樹脂板であるため、電磁波シールドガラス板では耐火性があり、電磁波シールド樹脂板では軽量になる。
(6)電磁波シールド室の周壁板、天井板、扉板として使用することにより電磁波シールド効果に優れた電磁波シールド室を実現でき、ATM設置用の電磁波シールド室の周壁板、天井板、扉板用とすることにより、携帯電話での通話を不能にして振込め詐欺や暗証番号の盗撮連絡をも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の積層電磁波シールド板の周壁下端部の説明図であり、(a)は通常状態の正面図、(b)は支持ガラスを入れた電磁波シールドガラスの底面から両外側の電磁波シールドガラスの側面までパッキンを被せた状態の正面図、(c)は支持ガラスを入れた電磁波シールドガラスの底面から両側外面までパッキンを被せた状態の正面図。
【図2】本発明の積層電磁波シールド板を使用したATM設置電磁波シールド室の概要を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は平面図。
【図3】本発明の積層電磁波シールド板を使用した電磁波シールド室の床、周壁、天井の組立て説明図。
【図4】本発明の積層電磁波シールド板を使用した電磁波シールド室における扉枠と扉の連結説明図。
【図5】本発明の積層電磁波シールド板を使用した電磁波シールド室の周壁下端部と下枠の連結説明図。
【図6】本発明の積層電磁波シールド板を使用した電磁波シールド室の周壁上端部と上枠の連結説明図。
【図7】(a)、(b)は本発明の積層電磁波シールド板を使用した電磁波シールド室の天井板と天井枠の連結説明図。
【図8】本発明の積層電磁波シールド板の三層構造の一例を示す説明図。
【図9】(a)〜(f)は本発明のATM設置電磁波シールド装置における扉枠と開閉扉の連結構造の異なる例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
本発明の積層電磁波シールド板の一例を図面に基づいて説明する。この積層電磁波シールド板は電磁波シールド板を積層したものであり、一例として図1(a)に示す積層電磁波シールド板Pは電磁波シールド板8を二枚積層したもの、図1(b)、(c)に示すものは中間の支持板26の両外側に電磁波シールド板8を積層して三層構造にしたものである。支持板26には電磁波シールド板を使用することも電磁波非シールド板を使用することもできる。電磁波シールド板8、電磁波非シールド板はガラス製の電磁波シールドガラス板、電磁波非シールドガラス板であっても、樹脂製の電磁波シールド樹脂板、電磁波非シールド樹脂板であってもよい。支持板26もガラス製の支持ガラス板であっても、樹脂製の支持樹脂板であってもよい。支持板26と電磁波シールド板8の配置は図1(b)、(c)の配置以外であってもよく、例えば電磁波シールド板8を中間層とし、その両外側を支持板26とすることもできる。
【0013】
ガラス製の電磁波シールド板(電磁波シールドガラス板)8には各種構造のものがあり、本発明ではそれらのいずれをも使用できる。電磁波シールドガラス板としては、二枚のガラス板の間に中間膜と共にシールド層としてシールドメッシュを挟んで合わせガラス構造とした合わせタイプのもの、ガラス表面に透明導電膜(シールド材)を施した二枚のガラスの間に空気層を介在させて複層構造とし、透明導電膜をシールド構造とした複層ガラスタイプのもの、ガラス板に電磁波シールド性のあるシールドフィルム(シールド材)を貼ったもの、ガラスに電磁波シールド性のある塗料(シールド材)がコーティングされたもの等があるが、本発明では電磁波シールド性又は電磁波シールド性及び透視性があればいずれの構造のものでも使用可能であり、それら以外のものであっても使用できる。一例として、直径50μm以下の細い金属線材(例えば、ステンレス線材:シールド材)を網状に編んだステンレスメッシュを使用した電磁波シールドガラス板8を使用することもできる。このステンレスメッシュは電磁波を遮断できるのみならず、吸収することもでき静電気をカットすることもできる。電磁波シールド板8は電磁波シールド性が前記以外のものでも使用できる。
【0014】
以下の実施形態は電磁波シールド板8として電磁波シールドガラス板を使用した場合の説明である。図1(a)の細い金属線材25(シールド材)は電磁波シールドガラス板8の外周端から外側まで引き出されて外部に接地できるようにしてある。この場合、積層電磁波シールド板Pを図1(a)のように縦向きにして使用した場合、前記金属線25の引出し部25aが電磁波シールドガラス板8の荷重で切断することがある。この切断を防止するための一方策として、図1(b)に示すように二枚の電磁波シールドガラス板8の間に支持板26を配置し、その支持板26の下部を両側の二枚の電磁波シールドガラス板8の下端よりも下方まで突出させて、その支持板26の下部と二枚の電磁波シールドガラス板8の下端外側に電磁波シールド性のあるパッキン27を被せて金属線25の引出し部25aを保護すると共に引出し部25aとの導通性を確保して電磁波シールドガラス板8のシールド性を確保できるようにすることができる。図1(c)に示すように、支持板26の下部と二枚の電磁波シールドガラス板8の下端外側に電磁波シールド性のある一つのパッキン28を被せて金属線25の引出し部25aを保護すると共に引出し部25aとの導通性を確保して積層電磁波シールド板Pのシールド性を確保できるようにすることもできる。この場合の支持板26は電磁波シールド性であっても非電磁波シールド性であってもよい。
【0015】
本発明の積層電磁波シールド板は電磁波シールド室の周壁、天井板、扉板として使用することができる。図2(a)、(b)に示すものは電磁波シールド室の一例であり、ATM設置スペースとATM操作スペースを備えた電磁波シールド室1を細長にしてATM2を一台設置した場合の例である。電磁波シールド室はATMを複数台設置できる広さとすることもできる。
【0016】
電磁波シールド室1は図3に示す床材3と、その上に図2のように組み立てた周壁4と、周壁4の上の天井5で囲われており、周壁4に出入り口6(図2(b))を設け、出入り口6に開閉扉7を取付けてある。開閉扉7はドアでもよく引き戸であってもよい。電磁波シールド室1は金融機関、コンビニエンスストア等の店舗内、駅や空港のビル内、公共施設の建物内、屋外といった必要箇所に設置することができる。
【0017】
電磁波シールド室1は室内を電磁波シールドするため、床材3に電磁波シールド性のある板材やマット(通称:シールドマット)を使用し、周壁4と天井5に本発明の積層電磁波シールド板Pを使用し、床材3と周壁4の連結箇所、周壁4と天井5との連結箇所、出入り口6への開閉扉7の取付け箇所も電磁波シールド構造にしてある。床材3は板材やマットではなく電磁波シールド構造に施工された地面や建物のフロアなどであってもよい。電磁波シールドの施工は路面やフロア等に導電性メッシュや他の導電材を敷設したり埋設したりして電磁波シールド構造に施工したものであってもよい。前記電磁波シールド室1は図3のように床材3、周壁4、天井5を組立て、開閉扉7を取付けることにより完成することができる。
【0018】
図3の床材3は地面に固定される。この場合、床材3の上に床取付けランナー10を設置し、固定ネジ(ボルト)11を床取付けランナー10から床材3を貫通して床にねじ込むことにより床材3を金融機関やコンビニエンスストアの床や屋外の路面に固定できるようにしてある。床材3は設置した地面や他の場所に電気的にアースして電磁波シールド効果を確実にすることができる。
【0019】
周壁4の積層電磁波シールド板Pは、図3に示す周枠12の内側に配置固定される。周枠12は二本の支柱13の間の下部に下枠14が、上部に上枠15が取付けられ、両支柱13の内側と下枠14、上枠15の内側に受縁16が取付けられ、周枠12の内側に積層電磁波シールド板Pが配置されて受縁16に宛がわれ、周枠12の内側から積層電磁波シールド板Pの外側に押縁17が押し当てられて積層電磁波シールドPが受縁16と押縁17の間に挟まれ、押縁17が支柱13に固定されることにより積層電磁波シールド板Pが周枠12の内側に固定される。上枠15は天井取付けランナー18により両支柱13の上部に固定される。積層電磁波シールド板Pが固定された周枠12は床取付けランナー10に嵌合されて床材3に固定される。図3では積層電磁波シールド板Pの四周外周縁に電磁波シールド性のあるテープ、例えば、金属テープ9が貼り付けられている。周壁4の前面、両側面、背面は積層電磁波シールド板Pを前記のように組立てることにより形成されている。天井5(図2)に使用される積層電磁波シールド板Pは前記周壁4の上に配置固定される。天井5と周壁4も電磁波シールド構造にして連結固定されている。
【0020】
出入り口6への開閉扉7の取付けも電磁波シールド構造にしてある。その取付け構造の一例として図4に示す開閉扉7にも本発明の積層電磁波シールド板Pを使用し、それを開閉機構20により出入り口6の扉枠21に回転可能に取付けてある。この場合、開閉扉7の内側の電磁波シールドガラス板8の端部に電磁波シールド性のあるパッキン22を被せ、そのパッキン22を開閉扉7と扉枠21の間に介在させ、更に、扉枠21に電磁波シールド性のあるパッキン23を配置固定して、開閉扉7と扉枠21との連結部をも電磁波シールド構造にしてある。図4では三枚の電磁波シールドガラス板8のうち、最外層の電磁波シールドガラス板8の端部を突出させ、最内層の電磁波シールドガラス板8の端部を中間層の電磁波シールドガラス板8よりも突出させて、最内層の電磁波シールドガラス板8の端部8bにパッキンを被せるようことができるようにしてある。図4のパッキン22、23は開閉扉7の縦方向全長に取付けられている。図4に示す開閉扉7の端部と反対側の端部と、図4に示す扉枠21と反対側の扉枠との双方又はいずれか一方にも電磁波シールド性のあるパッキンを取付けて両者間も電磁波シールド構造にしてある。図4のパッキン22は開閉扉7の縦方向全長に、パッキン23は扉枠21の縦方向全長に取付けてある。
【0021】
出入り口6(図2)は車椅子が出入りできる広さにすることができる。この場合、開閉扉7の底面と出入り口6の床材3の間も電磁波シ−ルドする必要があり、そのために例えば開閉扉7の底面と出入り口6の床材3との双方又はいずれか一方に電磁波シールド性のあるパッキンを取付けて開閉扉7を閉めたときに出入り口6の床面と開閉扉7との間も電磁波シ−ルドされるようにすることができる。
【0022】
図2に示す側壁用の積層電磁波シールド板Pの下端部と下枠14(図3)との連結構造は種々あるが、その一例として図5に示すものは積層電磁波シールド板Pの下端面に導電性パッキン30を被せ、導電性パッキン30と下枠14との間の空間に電磁波シールド性のあるシーリング材31を充填して、積層電磁波シールド板Pと周枠12の間を電磁波シールドすることもできる。前記導電性パッキン30の代わりに導電性テープを貼り付けることもできる。
【0023】
図2に示す側壁用の積層電磁波シールド板Pの上端部と上枠15(図3)との連結構造は種々あるが、その一例として図6に示すものは積層電磁波シールド板Pの上端面に導電性パッキン30を被せ、導電性パッキン30と上枠15との間の空間に電磁波シールド性のあるシーリング材31を充填して、積層電磁波シールド板Pと周枠12の間を電磁波シールドすることもできる。前記導電性パッキン30の代わりに導電性テープを貼り付けることもできる。
【0024】
天井板としての積層電磁波シールド板P(図3)と天井枠33(図2)との連結構造も種々あるが、その一例として図7(a)に示すものは、積層電磁波シールド板Pの連結端面に導電性パッキン34を被せ突合せ、その突合せ部分を両外側から金属製の横枠33で挟んだ構造である。図7(b)に示すものは積層電磁波シールド板Pの連結端面に導電性パッキン34を被せ、その連結端部を金属製のI字状の天井枠33の溝に嵌合した構造である。
【0025】
本発明の積層電磁波シールド板Pのシールド周波数帯域(遮蔽周波数帯域)は広い方が望ましいが、少なくとも携帯電話の使用周波数帯域をシールド(遮蔽)できるもの、例えば周波数選択電磁波シールドガラスを使用することもできる。これはガラスや内装材などの表面にアンテナを均等配列して電波反射面を形成して、アンテナ長に応じた周波数帯域の電波が反射されて遮蔽されるようにしたものである。
【0026】
本発明の積層電磁波シールド板を使用したATM設置室は電磁波シールド室での悪質行為や携帯電話の使用状況等を外部から視認できるようにするのが好ましいため、積層電磁波シールド板Pには透視性のあるものを使用する。積層電磁波シールド板Pには遮熱性、断熱性、耐火性等に優れたものを使用して電磁波シールド板で囲われた室内に断冷房機能を持たせたり、耐火機能を持たせたりすることもできる。
【0027】
(実施形態2)
積層電磁波シールド板P(図2)の連結構造も種々あるが、一例として図8に示すものは三層(三枚)構造の積層電磁波シールド板Pの連結構造であり、一方(図8の左側)の積層電磁波シールド板Pは中間の電磁波シールドガラス板8の連結端部を両外側の電磁波シールドガラス板8の連結端部よりも凹ませ、他方(図8の右側)の積層電磁波シールド板Pは中間の電磁波シールドガラス板8の連結端部を両外側の電磁波シールドガラス板8の連結端部よりも凸にして、前記凹部と凸部を嵌合して連結できるようにしてある。この場合は、図8の左側の積層電磁波シールド板Pの両外側の電磁波シールドガラス板8の凸部にシールド性のあるパッキン34を被せ、図8の右側の積層電磁波シールド板P)の中間の電磁波シールドガラス板8の凸部にシールド性のあるパッキン34を被せて、前記凹部に凸部を差し込んで電磁波シールド構造にして連結してある。
【0028】
(実施形態3)
図9(a)〜(f)は扉枠21と開閉扉7との連結に使用されるパッキンの各種形状(構造)を示すものである。図9(a)〜(f)のいずれの場合も、扉枠21は金属製であり内側に二段の凹部40、41がある。開閉扉7は電磁波シールドガラス板8を三層(三枚)構造にした積層電磁波シールド板Pであり、最外層の電磁波シールドガラス板8の突出端部を開閉機構20により扉枠21に連結してある。また、中間の電磁波シールドガラス板8の端部をその両外側の電磁波シールド板8の端部よりも凹ませて、両外側の電磁波シールドガラス板8の間に嵌合空間を設け、この嵌合空間にパッキン43を挟んである。
【0029】
前記パッキン43は金属粉混入或いは金属繊維埋設の樹脂製或いはゴム製として導電性(電磁波シールド性)をもたせてある。図9(a)〜(f)のパッキン43は前記嵌合空間に嵌合可能な嵌合部43aと内側の電磁波シールド板8と扉枠21との間に配置されるクッション部43bとが一体成型されている。図9(a)〜(f)のパッキン43の嵌合部43aの形状はいずれも同じであるが、クッション部43bの形状は全て異なる。図9(a)のクッション部43bは横長空間部44が、図9(b)のクッション部43bは三個の空間部45が、図9(c)のクッション部43bは二個の空間部46が形成されて弾性が具備されている。図9(c)の二個のクッション部は扉枠21の仕切り突起42で区画されている。図9(d)〜(f)のクッション部43bはいずれも空間部がないが、輪郭形状は図9(d)が図9(a)と、図9(e)が図9(b)と、図9(f)が図9(c)と夫々同じである。これらパッキン43はいずれも開閉扉7及び扉枠21の上下方向に縦長である。パッキンの形状、構造は図9(a)〜(f)に示すもの以外であってもよい。
【0030】
電磁波シールド室1の形状、広さ等はATMの設置台数に合わせて選択することができ、出入り口の開口方向は設置するロビー、店舗等の配置に合わせて選択する。出入り口は車椅子が出入りできる広さにし、その部分の床はバリアフリー式が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の積層電磁波シールド板は、電磁波障害を回避したい場所、例えば、オフィス、病院などの個室として利用することもできる。その場合は、電磁波シールド室内にATMの代わりに必要なオフィス機器や医療機器等を設置する。電磁波シールド室の床材、周壁、天井、開閉扉には電磁波シールド室内の機器に障害となる周波数帯の電磁波をシールドできる電磁波シールド板を使用する。電磁波シールド板は透視しにくいもの或いは透視できないものに代えることもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 電磁波シールド室
2 ATM
3 床材
4 周壁
5 天井
6 出入り口
7 開閉扉
8 電磁波シールド板(電磁波シールドガラス板)
8b 電磁波シールド板の端部
9 金属テープ
10 床取付けランナー
11 固定ネジ(ボルト)
12 周枠
13 支柱
14 下枠
15 上枠
16 受縁
17 押縁
18 天井取付けランナー
20 開閉機構
21 扉枠
22、23 パッキン
25 金属線
25a 金属線の引出し部
26 支持板
27 パッキン
28 パッキン
30 導通性パッキン
31 シーリング材
33 横枠
34 導通性パッキン
40、41 扉枠の凹部
42 扉枠の切り突起
43 パッキン
43a パッキンの嵌合部
43b パッキンのクッション部
44 横長空間部
45、46 空間部
P 積層電磁波シールド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と電磁波シールド板が積層され、
電磁波シールド板は基板と電磁波シールド材の複合構造であり、
支持板の外周部は電磁波シールド板の外周部よりも外側に突設され、
前記電磁波シールド材の外周端部は前記基板の外周端面よりも外側まで突設された、
ことを特徴とする積層電磁波シールド板。
【請求項2】
請求項1記載の積層電磁波シールド板において、電磁波シールド板が支持板の両外側に設けられた三層構造であることを特徴とする積層電磁波シールド板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の積層電磁波シールド板において、支持板が電磁波シールド板又は電磁波非シールド板であることを特徴とする積層電磁波シールド板。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の積層電磁波シールド板において、電磁波シールド板の外周部又は/及び支持板の外周部が電磁波シールド性のパッキンで被覆されたことを特徴とする積層電磁波シールド板。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の積層電磁波シールド板において、電磁波シールド板又は/及び支持板が電磁波シールドガラス板又は電磁波シールド樹脂板であることを積層電磁波シールド板。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の積層電磁波シールド板が、電磁波シールド室用であることを特徴とする積層電磁波シールド板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−171120(P2010−171120A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10840(P2009−10840)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000155045)株式会社本宏製作所 (41)
【Fターム(参考)】