穴の掘削方法及び集水井の施工方法
【課題】ジャッキ部を比較的小型軽量化して操作を容易にすると共に低コストにした穴を掘削して集水井を施工する。
【解決手段】先端に切刃22を有する鋼製刃口20の内面に設けた受け部23にジャッキ部28を載置する。ジャッキ部の上側にはセグメントリング12を多段に取付ける。ジャッキ部はスペーサ29内に出没可能なジャッキ24を収納する。先端のセグメントリング12Aにジャッキ部のスペーサを取付け、スペーサからジャッキ24を突出させて受け部を押すことで鋼製刃口で穴を一次掘削する。ジャッキ24を収縮後にスペーサとシリンダとの間に反力板33を装着する。外筒25に油圧を供給し、反力板33に反力をとってシリンダに対して外筒を下方に伸張させて受け部を介して鋼製刃口で更に二次掘削する。ジャッキ部を収縮させてセグメントリングとの間に新たなセグメントを取付ける。
【解決手段】先端に切刃22を有する鋼製刃口20の内面に設けた受け部23にジャッキ部28を載置する。ジャッキ部の上側にはセグメントリング12を多段に取付ける。ジャッキ部はスペーサ29内に出没可能なジャッキ24を収納する。先端のセグメントリング12Aにジャッキ部のスペーサを取付け、スペーサからジャッキ24を突出させて受け部を押すことで鋼製刃口で穴を一次掘削する。ジャッキ24を収縮後にスペーサとシリンダとの間に反力板33を装着する。外筒25に油圧を供給し、反力板33に反力をとってシリンダに対して外筒を下方に伸張させて受け部を介して鋼製刃口で更に二次掘削する。ジャッキ部を収縮させてセグメントリングとの間に新たなセグメントを取付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集水井等の設備を構築する穴の掘削方法と穴を掘削しながら穴内に集水井を構築するようにした集水井の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大雨や長雨等で地表から地下に多くの水が染み込んで地下水が流れ込む。増水した地下水等によって傾斜地やがけ等の地盤が崩壊したり滑り面より上層の地層が滑り落ちることで、地滑り現象が発生する。このような地滑りが発生すると、その下方に位置する集落や道路等の施設や設備が埋まったり押しつぶされたりするおそれがある。
このような地滑りを防止する手段として集水井が採用されている。集水井は筒状の縦穴を地表から地中に形成しながら穴内にセグメントリングを順次施工して形成する。そして、周囲の地下水を集水井に誘導して貯水させ、集水井の下部からダムや水路、河川等、滑り面から離れた領域に水を誘導して排出している。これにより地中で地下水の水位が増大しないようにして地滑りや土砂崩れ等を抑制できる。
集水井は例えば上下方向に掘削された縦穴の内面に例えば円弧状のセグメントを周方向に接合してなるセグメントリングを深さ方向に多段に連結させて形成している。この集水井は上部のセグメントリングを地表より若干上方に突出させ、地表面周囲に打設したコンクリート等で固定保持されている。
【0003】
このような集水井を構築する方法として自沈式工法と逆巻き工法とが提案されている。自沈式工法は複数のコンクリート製セグメントをリング状に構築したセグメントリングに上から荷重を加えて降下させ、順次セグメントリングを多段に積層して筒状に構築するものであるが、セグメントリングが地中深く進行するとセグメントリングの周囲に加わる地盤の土圧が大きくなり、それ以上は自沈できなくなる欠点がある。また、地中が柔らかい場合には多段のセグメントリングが地中に吊られている状態になって抜け落ちてしまうこともあった。
【0004】
これに対し、逆巻き工法は例えば特許文献1に記載されており、図12に示すように、地表面に逆円錐台形状の発進穴1を掘削し、その底面に略筒状の鋼製刃口2を載置する。鋼製刃口2の先端には切刃3が形成されている。鋼製刃口2の内面に突出させた受け部2a上にジャッキ4を所定間隔で設置し、その上に複数のRCセグメント5からなるセグメントリング6を多段に接続して筒状に形成する。発進穴1の底部にはズレ止めコンクリートを打設し、地表面にはセグメントリング6を固定保持する固定コンクリート7を打設しておく。
そして、図13に示すように、ジャッキ4をセグメントリング6の先端面で反力を受けるようにして伸張させて鋼製刃口2を下方に押して地盤を掘削して縦穴を穿孔する。その後セグメントリング6の先端面からジャッキ4を収縮させる。セグメントリング6の先端面と収縮されたジャッキ4との間に形成されたリング状の空間Sには、集水井8の上部開口から重機等によってワイヤで吊したセグメント5を降下させて嵌め込み、セグメントリング6の先端面と新たなセグメント5とを継手で接合する。そして複数のセグメント5を周方向に継手接合することで新たなセグメントリング6を構築する。このようにして掘削した縦穴内に順次下方にセグメントリング6を接合して集水井8を構築する。
【特許文献1】特開平3−72194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ジャッキ4をセグメントリング6の先端面と鋼製刃口2の受け部2aとの間で伸縮して新たなセグメントリング6を装着する空間Sを形成するためには、ジャッキ4を収縮した際にセグメントリング6の中心軸O方向の幅に相当する空間Sを形成しなければならない。そのため、ジャッキ4が収縮した状態でその長さがセグメント5の幅に相当する長さを有していなければならず、ジャッキ4の1ストローク分の飛び出し量がセグメント5の幅以上なければならなかった。
そのため、ジャッキ4が大型化してその重量が数百Kg以上に増大し、しかもジャッキ4を重機で吊して移動させるために大型の重機が必要になり、手間がかかる上にコスト高になる欠点があった。またジャッキ4は油圧で伸縮するために油圧供給及び排出用のホースが接続されており、ジャッキ4の伸縮ストロークが長いために伸縮移動が煩雑で多量の油圧を必要とするという欠点もある。
本発明は、このような実情に鑑みて、ジャッキを比較的小型軽量化して操作を容易にすると共に低コストにした穴の掘削方法及び集水井の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による穴の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、先に施工した前記セグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、該スペーサからジャッキを突出させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、該反力部材に反力をとって前記ジャッキを伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、その後、反力部材を取り除いて受け部上にジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工したセグメントリングと前記ジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、掘削用治具の受け部を押して切刃で掘削を行うためのジャッキ部が、スペーサ内からのジャッキの伸縮とスペーサとの間の反力部材に反力をとるジャッキの伸縮とによって二段階に亘って掘削用治具で穴を掘削するために、ジャッキを収納した収縮状態のジャッキ部の長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くてすみ、ジャッキ部を小型軽量化できるために低コストである上に伸縮や重機等による移動操作が容易でありランニングコストも低い。
【0007】
また本発明による穴の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、先に施工したセグメントリングの内面に前記ジャッキ部を取付け、該ジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、その後、先に施工したセグメントリングの端面に収縮したジャッキ部を設置し、先に施工した前記セグメントリングの端面に反力をとって前記ジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、ジャッキ部を収縮させて掘削用治具の内側に移動させ、先に施工した前記セグメントリングと受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
本発明においても、掘削用治具の受け部を押して切刃で掘削を行うためのジャッキ部が、セグメントリングの内面に取付けた位置とセグメントリングの端面に設置した位置とでそれぞれ伸張して二段階に亘って掘削用治具で穴を掘削するために、収縮状態のジャッキ部の長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くてすみ、ジャッキ部を小型軽量化できるために低コストである上に伸縮操作等が容易である。
【0008】
本発明による集水井の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、先に施工したセグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、該スペーサからジャッキを突出させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、該反力部材に反力をとってジャッキを伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、その後、反力部材を取り除いて受け部上にジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工したセグメントリングとジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また本発明による集水井の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、先に施工した前記セグメントリングの内面にジャッキ部を取付け、該ジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、その後、先に施工したセグメントリングの端面に収縮したジャッキ部を設置し、先に施工したセグメントリングの端面に反力をとってジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、ジャッキ部を収縮させて掘削用治具の内側に移動させ、先に施工したセグメントリングと受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、ジャッキ部は、スペーサ内に収縮させたジャッキを収納した状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短い。また、ジャッキは、収縮させた状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くした。
また、ジャッキ部は外筒とシリンダとからなるジャッキを備えており、外筒に対してシリンダを相対的に伸張させることで掘削用治具の受け部を押すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る穴の掘削方法及び集水井の施工方法によれば、ジャッキ部によって二段階に亘って受け部を押して掘削用治具で掘削するために、ジャッキ部がセグメントリングの中心軸方向の幅より短くてすみため、ジャッキ部を小型軽量化できて低コストである上に伸縮操作や掘削用治具の掘削作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面により説明する。図1乃至図5は第一の実施の形態による鋼製刃口及びこれを用いた穴及び集水井の施工方法を示すものであり、図1は集水井の要部縦断面図、図2は鋼製刃口の縦断面図、図3(a)〜(d)は鋼製刃口に装着したジャッキを示す部分拡大図、図4及び図5は集水井の構築工程を示す図である。
図1において、集水井10は地表面から地中に略円筒状に掘削した穴13内に構築されており、例えば略円弧版形状の複数のRCセグメント(以下、単にセグメントという)11が周方向にその継手(図示せず)によって接続されたリング状のセグメントリング12をその中心軸O方向(深さ方向)に継手で接続することによって形成されている。なお、セグメント11の各継手は例えばボルトまたはナットを備え、これらボルトとナットによって互いに連結されている。
集水井10の上部周囲には地表面から逆円錐台形状の発進穴13aが掘削されており、その地表面付近には集水井10を固定保持するための固定コンクリート14が打設されている。発進穴13aの底面13bには集水井10のセグメントリング12の周囲にズレ止めコンクリート15が打設され、ズレ止めコンクリート15と集水井10のセグメントリング12との間には縁切材16がリング状に設けられている。発進穴13aの固定コンクリート14とズレ止めコンクリート15との間は埋め戻し土17で突き固められている。
【0013】
次に集水井10を構築するための略円柱状の穴13の掘削に用いる掘削用治具としての鋼製刃口20について図2により説明する。図2に示す鋼製刃口20は本体21が略円筒状に形成され、先端には全周に亘って内側に突出する断面略直角三角形状の切刃22が形成されている。本体21はその内径がセグメントリング12の外径より若干大きく、内側にセグメントリング12が挿入された状態で中心軸O方向に摺動可能とされている。本体21の内面における切刃22近傍に略リング板状の受け部23が内側に突出して形成されている。
そして、図1に示すように、鋼製刃口20の受け部23と本体21内に挿入されたセグメントリング12との間にはジャッキ部28が所定間隔に複数本、例えば90度間隔で4本周方向に配設されている。ジャッキ部28は油圧ジャッキ24と油圧ジャッキ24を出没可能に収納するスペーサ29とで構成されている。ジャッキ部28は、セグメントリング12の先端面12aで反力を受けて伸張することでジャッキダウンし、受け部23を押動して鋼製刃口20を切刃22で地中下方に掘削することになる。
【0014】
図3(a)〜(d)に示すジャッキ部28の拡大図において、油圧ジャッキ24は外筒25とシリンダ26とで概略構成され、シリンダ26は外筒25内に収容された収縮状態と外筒25から突出した伸張状態とを選択的に取り得るように油圧によって伸縮可能とされている。そのため、外筒25には油圧を供給または排出する油圧ホース27が接続されている。
また、油圧ジャッキ24は略有底円筒状のスペーサ29内に出没可能に収容されている。スペーサ29の底部29aにはセグメント11の継手11aに連結可能な継手部31が取付けられている。セグメント11の継手11aやスペーサ29の継手部31は例えばボルトとナット部等で連結可能な構成とされており、この例ではセグメントリング12の下方を向く端面(先端面)の継手11aとしてナット部を、スペーサ29の継手部31として固定ボルトを底部29aに設けて互いに連結可能とされている。図1及び図4に示すように、収縮状態の油圧ジャッキ24及びスペーサ29はセグメント11の幅の約1/2程度の長さに設定されている。
ジャッキ部28の動作について説明すると、まず図3(a)に示す収縮状態の油圧ジャッキ24及びスペーサ29は、外筒25内に油圧ホース27を通して油圧を供給することでスペーサ29内の油圧ジャッキ24を伸張させる。これによってシリンダ26がスペーサ29の底部29aで反力を受けて外筒25をスペーサ29から突出させ、図3(b)に示す状態になる。この状態で外筒25の油圧を排出することでシリンダ26を外筒25内に収縮させる。
すると、スペーサ29とシリンダ26との間に若干の隙間形成されるため、ここに反力板33を挟持させる(図3(c)参照)。次に油圧ホース27から油圧ジャッキ24の外筒25に油圧を供給することでシリンダ26から外筒25が伸張しジャッキダウンする(図3(d)参照)。この状態で、油圧ジャッキ24及びスペーサ29は最大寸法に伸張しており、セグメント11の幅の約1.5倍程度の長さになる。
【0015】
次に集水井10の構築方法及び穴の掘削方法について図4及び図5に沿って説明する。なお、図4(c)以降では発進穴13aは図示を省略する。
図4(a)において、集水井10を施工するため、まず地表面から略逆円錐台形状の発進穴13aを掘削し、その底面13bにコンクリートをリング状に打設して基準面33を形成する。この基準面33上に垂直に鋼製刃口20の切刃22を載置し、鋼製刃口20の受け部23上に略等間隔に複数(実施形態では4本)のジャッキ部28を収縮状態で取付ける。この場合、各ジャッキ部28はスペーサ29を上方に位置させ外筒25の底部25aを受け部23に当接させる。なお、外筒25の底部25aを受け部23にボルト等で固定してもよい。
各ジャッキ部28上には、複数のセグメント11を周方向に接続してリング状に形成したセグメントリング12を載置し、更にその上に複数段のセグメントリング12を積層してそれぞれ継手で相互に接続して筒状に形成する。ここで、先端(下端)のセグメントリング12を符号12Aで表示するとして、セグメントリング12Aの先端面に設けられている継手11aにジャッキ部28のスペーサ29の底部29aに設けた継手部31を連結する(図3参照)。
そして、発進穴13aの底面13bにおいてセグメントリング12Aの周囲に縁切り材16を設置し、その外側にズレ止めコンクリート15を打設する。次にズレ止めコンクリート15の上に土を埋設して突き固める。その後、上端近傍のセグメントリング12の内壁面から例えば鉄筋を水平方向に突出させて固定コンクリート14を打設する。このようにして集水井10の発進口の施工が完了する。
【0016】
この状態から図4(b)に示すように、油圧ホース27から外筒25に油圧を供給すると、収縮状態の油圧ジャッキ24が伸張し、シリンダ26がスペーサ29の底部29aで反力を受けて外筒25をスペーサ29から突出させる(図3(b)参照)。これによって受け部23が下方に押されて鋼製刃口20の切刃22で地盤を油圧ジャッキ24の伸張長さだけ、即ちセグメント11の幅の約1/2程度の深さ掘削する。これを一次掘削という。次に外筒25から油圧を排出し、シリンダ26を外筒25内に収縮させると油圧ジャッキ24はスペーサ28の外側に位置する。そして外筒25に収納されたシリンダ26とスペーサ29との隙間に反力板33を挿入し、挟持させる(図3(c)参照)。
次に再び油圧ジャッキ24の油圧ホース27から外筒25内に油圧を供給すると、シリンダ26が外筒25から突出するが、シリンダ26は反力板33で反力を受けるため、外筒25が下方に押されてジャッキダウンし、受け部23を更に押す。これによって鋼製刃口20を降下させ、切刃22で地盤を更にセグメント11の幅の薬1/2程度の深さ掘削する(図3(C)参照)。これを二次掘削という。
なお、切刃22で穴13の周囲を掘削した後、内側を別の掘削機等で掘削する。
【0017】
その後、図5(a)に示すように、ジャッキ部28のスペーサ29の継手部31をセグメントリング12Aの継手11aから外し、油圧ホース27を通して油圧を外筒25から排出することでシリンダ26を移動させて外筒25内に収納する。これによってスペーサ29がシリンダ26と共に降下移動し、油圧ジャッキ24を内部に収納するように収縮する。これにより、先端側のセグメントリング12Aと収縮状態で受け部23上に位置するジャッキ部28との間にセグメントリング12を取付けるためのリング状の空間Sが形成される。
そして、図示しない重機を用いて集水井10の上端開口からワイヤを介して新たなセグメント11を集水井10の底部に降下させ、作業員が空間S内に新たなセグメント11を取付けてその継手と既設のセグメントリング12Aの先端面に設けた継手11aと接合する。次いで、順次ワイヤで降下させられるセグメント11を既設のセグメントリング12A及び先に接合したセグメント11と接合して新たなセグメントリング12B(12)を組み付ける。
そしてセグメントリング12Bの各セグメント11の継手11aにジャッキ部28のスペーサ29の継手部31を連結し、上述した工程を繰り返す。これによって、所要の深さまで穴13を掘削し、セグメントリング12を順次連結して集水井10を構築する。
【0018】
そして、所要の深さまで構築した集水井10の先端で、鋼製刃口20を型枠としてその内側にコンクリートを打設して底部35をつくる(図1参照)。これによって、集水井10内に集めた地下水が底部から地盤に浸透するのを防ぐことができる。
次に、図1において、集水井10の側壁に一点鎖線で示す集水用誘導孔36を放射状に複数ボーリングする。集水用誘導孔36は好ましくは傾斜地の滑り面を横切るように穿孔する。集水井10において、集水用誘導孔36の下方には排水用孔37をボーリングして穿孔する。これにより、雨水や増水した地下水等は集水用誘導孔36を通して集水井10内に集められ、排水用孔37を介して傾斜地の滑り面等から外れたダムや水路、河川等に水を誘導して排出することができる。
【0019】
上述のように本実施形態による集水井10の構築方法によれば、ジャッキ部28の収縮状態の長さをセグメント11の幅の約半分程度にできるため、上述した従来のジャッキより長さを短くして小型軽量化できて製造コストを低減できると共にジャッキ部28の移動操作も容易である。また、ジャッキ部28は鋼製刃口20と共に埋め殺しするために施工コストを低減できる。
【0020】
次に本発明の第二実施形態を図6乃至11により説明するが、上述の実施形態と同一または同様の部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態による鋼製刃口20を押し込むジャッキ部40は第一実施形態における外筒25とシリンダ26とを備えた油圧ジャッキ24を備えている。更にシリンダ26の先端にはセグメント11に連結する連結部41が着脱可能に設けられている。連結部41は図7及び図8に示すように縦板41a及び横板41bが縦断面視で略直角三角形状に形成され、その両側部に側板41c、41cが連結されている。縦板41aにはボルト42が孔部を貫通してセグメント11の長手方向及び短手方向(幅方向)のほぼ中心部分に穿孔形成した雌ねじ部43に螺合している。横板41bにはボルト44が孔部を貫通して油圧ジャッキ24のシリンダ26に穿孔形成した図示しない雌ねじ部に螺合している。
図8に示す略円弧版状に湾曲形成されたセグメント11の平面図において、その重心位置をLとすると、シリンダ26はセグメント11における重心位置L付近で連結部41が連結されている。また図6に示すように、シリンダ26を外筒25内に収納した状態の油圧ジャッキ24はセグメント11の幅の略1/2程度の長さに設定されている。
【0021】
ここで、図9は重機等でワイヤWを介してセグメント11を集水井10の上部開口から降下する場合のワイヤWの取付け位置を示すセグメント11の中央縦断面図であり、図中、セグメント11の長手及び短手(幅)方向の中心線が交差する位置に上述した雌ねじ部43が形成されており、雌ねじ部43に雄ねじ部46aが螺合された係止ピン46の中心孔46bにワイヤWのフック47が係合するようになっている。このフック47の係合位置は上述したセグメント11の重心位置Lに相当する。なお、第一実施形態においてセグメント11をワイヤWで吊り下げる場合においても同様な構成を有している。
【0022】
次に上述したジャッキ部40を用いた集水井10の構築方法について図6,図10及び図11に沿って説明する。
先ず、図6に示すように先に構築途中の集水井10の先端面に取付けたセグメントリング12Aに対して所定間隔で複数(例えば4本)の油圧ジャッキ24を装着する。各油圧ジャッキ24の装着に際しては、図7及び図8に示すように、セグメント11の内面における雌ねじ部43からワイヤWを係止する係止ピン46を外して、ボルト42を連結部41の縦板41aに挿通して雌ねじ部43に螺合する。また、横板41bにはボルト44を挿通し、油圧ジャッキ24のシリンダ26に設けた雌ねじ部に螺合する。この状態でシリンダ26を収容した外筒25の先端が鋼製刃口20の受け部23に当接している(図6参照)。
そして、図10(a)に示すように、各油圧ジャッキ24の外筒25に油圧ホース27を介して油圧を供給し、連結部41で固定保持されたシリンダ26に対して外筒25を伸張させジャッキダウンさせる。これによって各外筒25で受け部23を下方に押して鋼製刃口20で地盤を一次掘削して穴13を掘り下げる。シリンダ26に対して外筒25が伸張した時点で、連結部41をセグメント11及びシリンダ26から外す。次いで、外筒25から油圧を排出してシリンダ26を収縮させて外筒25内に収容する。すると油圧ジャッキ24はセグメントリング12Aの下側に位置する。
【0023】
次に図10(b)に示すように、油圧ジャッキ24を例えばワイヤWに連結してセグメントリング12Aと受け部23との間の空間に移動させる。
そして、再度、油圧ジャッキ24の外筒25に油圧ホース27から油圧を供給し、図11(a)に示すように、シリンダ26が当接するセグメントリング12Aの先端面から反力を受けて外筒25を下方に押して受け部23を介して鋼製刃口20を下方に移動させて地盤を二次掘削する。油圧ジャッキ24が伸張することによって、既設のセグメントリング12Aの先端面と受け部23との間の間隔はセグメント11の幅より若干大きな長さになる。
【0024】
次に図11(b)に示すように、油圧ホース27から油圧を排出して外筒25内にシリンダ26を収納させて油圧ジャッキ24を収縮させる。そして、各油圧ジャッキ24にワイヤWを接続して油圧ジャッキ24を鋼製刃口20の径方向内側に移動させ、既設のセグメントリング12Aの下方に空間Sを形成する。この状態でワイヤWに連結した新たなセグメント11を集水井10の上端開口から重機等を用いて降下させ、空間S内に押し込んで既設のセグメントリング12Aの先端面と継手同士で連結する。空間S内で周方向に順次新たなセグメント11を押し込んでは継手で周方向及び軸方向に連結することでセグメントリング12Bを組立てる。
その後、各油圧ジャッキ24を新たなセグメントリング12Bの内面に連結部41を介してボルト42,44で連結することで、図6に示すように油圧ジャッキ24はセグメントリング12Bのセグメント11内面の幅方向略中央に吊り下げられ、外筒25の先端が受け部23に当接した状態になる。
上述の工程を繰り返すことで、穴13を略円柱状に掘削すると共に順次セグメントリング12を多段に連結して略円筒状の集水井10を施工でき、その先端で鋼製刃口20を型枠として内側にコンクリートを打設して底部35をつくる。
【0025】
本実施形態によっても第一実施形態による穴13及び集水井10の施工方法と同様の作用効果を奏する。特に本実施形態ではセグメント11を降下させるための係止ピン46の雌ねじ部43を利用して油圧ジャッキ24を連結させて鋼製刃口20を押すようにしたので、第一実施形態による方法と比較してジャッキ部40にスペーサ29を用いなくてもよく一層コストを低減できて、しかもその長さをセグメント11の幅の約1/2程度に構成できるから1回の作動工程で鋼製刃口20を2回に分けて掘削して1組のセグメントリング12の幅に相当する長さ分、掘削・降下させることができる。
【0026】
なお、上述の各実施形態において、収縮状態の油圧ジャッキ24の長さは必ずしもセグメント11の幅の1/2程度でなくてもよく、少なくともセグメント11の幅よりも短い長さに形成できれば、油圧ジャッキ24を小型、軽量化できて低コストで製造でき、しかも1組のセグメントリング12の幅に相当する長さを掘削・降下できる。
また、上述の各実施形態において、多段のセグメントリング12を形成する各セグメント11をRCセグメントとしたが、これに代えて鋼製セグメントや合成セグメント等でもよく、あるいは他の鋼製等の枠体や板体等で構成されていてもよく、要するに集水井10を筒状に形成する部材であればよい。本発明ではこれらセグメント11等の各種部材を総称してセグメントという。
【0027】
また、本発明では、ジャッキとして油圧ジャッキ24に代えて機械式ジャッキ等の各種ジャッキを用いてもよい。ジャッキ部28、40として油圧ジャッキ24等のジャッキ、或いはジャッキに加えてこれを進退可能に収納するスペーサ29を備えたものを含むものとする。
また、ジャッキ部28,40を伸張させて鋼製刃口20を押す場合、受け部23を油圧ジャッキ24の外筒25で押すようにしたが、油圧ジャッキ24をこれとは上下逆に配設してシリンダ26で受け部23を押すように構成してもよい。
なお、上述の各実施形態では、集水井10を施工するために穴13を掘削するようにしたが、本発明は集水井10以外の他の用途の筒状部等を構築するための穴の掘削方法としても採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施形態による集水井の側面図である。
【図2】図1に示す鋼製刃口の拡大断面図である。
【図3】図1に示す鋼製刃口を掘削させるためのジャッキ部を示すもので、(a)は収縮した状態、(b)はスペーサから油圧ジャッキを突出させた状態、(c)はシリンダに反力板を装着した状態を示す図、(d)は(b)の状態から油圧ジャッキをジャッキダウンさせた状態を示す説明図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は鋼製刃口とジャッキ部によって穴を掘削して集水井を構築する工程を示す図である。
【図5】(a)、(b)は掘削した穴にセグメントリングを連結して集水井を構築する工程を示す図である。
【図6】第二実施形態による穴の掘削方法を示すもので、ジャッキ部を装着した鋼製刃口と集水井の断面図である。
【図7】セグメントリングのセグメント内面に油圧ジャッキを装着した状態を示す部分縦断面図である。
【図8】セグメントに油圧ジャッキを取付けた状態を示す平面図である。
【図9】セグメントの内面にワイヤを連結した状態を示す部分縦断面図である。
【図10】(a)、(b)は鋼製刃口とジャッキ部によって穴を掘削して集水井を構築する工程を示す図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は鋼製刃口とジャッキ部によって穴を掘削して集水井を構築する工程を示す図である。
【図12】従来の油圧ジャッキを取付けた鋼製刃口を示す縦断面図である。
【図13】(a)、(b)、(c)は図12に示す鋼製刃口で筒状穴を掘削して集水井を構築する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 集水井
11 セグメント
12、12A、12B セグメントリング
13 穴
20 鋼製刃口(掘削用治具)
22 切刃
23 受け部
24 油圧ジャッキ(ジャッキ)
25 外筒
26 シリンダ
28、40 ジャッキ部
29 スペーサ
33 反力板(反力部材)
41 連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、集水井等の設備を構築する穴の掘削方法と穴を掘削しながら穴内に集水井を構築するようにした集水井の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大雨や長雨等で地表から地下に多くの水が染み込んで地下水が流れ込む。増水した地下水等によって傾斜地やがけ等の地盤が崩壊したり滑り面より上層の地層が滑り落ちることで、地滑り現象が発生する。このような地滑りが発生すると、その下方に位置する集落や道路等の施設や設備が埋まったり押しつぶされたりするおそれがある。
このような地滑りを防止する手段として集水井が採用されている。集水井は筒状の縦穴を地表から地中に形成しながら穴内にセグメントリングを順次施工して形成する。そして、周囲の地下水を集水井に誘導して貯水させ、集水井の下部からダムや水路、河川等、滑り面から離れた領域に水を誘導して排出している。これにより地中で地下水の水位が増大しないようにして地滑りや土砂崩れ等を抑制できる。
集水井は例えば上下方向に掘削された縦穴の内面に例えば円弧状のセグメントを周方向に接合してなるセグメントリングを深さ方向に多段に連結させて形成している。この集水井は上部のセグメントリングを地表より若干上方に突出させ、地表面周囲に打設したコンクリート等で固定保持されている。
【0003】
このような集水井を構築する方法として自沈式工法と逆巻き工法とが提案されている。自沈式工法は複数のコンクリート製セグメントをリング状に構築したセグメントリングに上から荷重を加えて降下させ、順次セグメントリングを多段に積層して筒状に構築するものであるが、セグメントリングが地中深く進行するとセグメントリングの周囲に加わる地盤の土圧が大きくなり、それ以上は自沈できなくなる欠点がある。また、地中が柔らかい場合には多段のセグメントリングが地中に吊られている状態になって抜け落ちてしまうこともあった。
【0004】
これに対し、逆巻き工法は例えば特許文献1に記載されており、図12に示すように、地表面に逆円錐台形状の発進穴1を掘削し、その底面に略筒状の鋼製刃口2を載置する。鋼製刃口2の先端には切刃3が形成されている。鋼製刃口2の内面に突出させた受け部2a上にジャッキ4を所定間隔で設置し、その上に複数のRCセグメント5からなるセグメントリング6を多段に接続して筒状に形成する。発進穴1の底部にはズレ止めコンクリートを打設し、地表面にはセグメントリング6を固定保持する固定コンクリート7を打設しておく。
そして、図13に示すように、ジャッキ4をセグメントリング6の先端面で反力を受けるようにして伸張させて鋼製刃口2を下方に押して地盤を掘削して縦穴を穿孔する。その後セグメントリング6の先端面からジャッキ4を収縮させる。セグメントリング6の先端面と収縮されたジャッキ4との間に形成されたリング状の空間Sには、集水井8の上部開口から重機等によってワイヤで吊したセグメント5を降下させて嵌め込み、セグメントリング6の先端面と新たなセグメント5とを継手で接合する。そして複数のセグメント5を周方向に継手接合することで新たなセグメントリング6を構築する。このようにして掘削した縦穴内に順次下方にセグメントリング6を接合して集水井8を構築する。
【特許文献1】特開平3−72194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ジャッキ4をセグメントリング6の先端面と鋼製刃口2の受け部2aとの間で伸縮して新たなセグメントリング6を装着する空間Sを形成するためには、ジャッキ4を収縮した際にセグメントリング6の中心軸O方向の幅に相当する空間Sを形成しなければならない。そのため、ジャッキ4が収縮した状態でその長さがセグメント5の幅に相当する長さを有していなければならず、ジャッキ4の1ストローク分の飛び出し量がセグメント5の幅以上なければならなかった。
そのため、ジャッキ4が大型化してその重量が数百Kg以上に増大し、しかもジャッキ4を重機で吊して移動させるために大型の重機が必要になり、手間がかかる上にコスト高になる欠点があった。またジャッキ4は油圧で伸縮するために油圧供給及び排出用のホースが接続されており、ジャッキ4の伸縮ストロークが長いために伸縮移動が煩雑で多量の油圧を必要とするという欠点もある。
本発明は、このような実情に鑑みて、ジャッキを比較的小型軽量化して操作を容易にすると共に低コストにした穴の掘削方法及び集水井の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による穴の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、先に施工した前記セグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、該スペーサからジャッキを突出させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、該反力部材に反力をとって前記ジャッキを伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、その後、反力部材を取り除いて受け部上にジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工したセグメントリングと前記ジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、掘削用治具の受け部を押して切刃で掘削を行うためのジャッキ部が、スペーサ内からのジャッキの伸縮とスペーサとの間の反力部材に反力をとるジャッキの伸縮とによって二段階に亘って掘削用治具で穴を掘削するために、ジャッキを収納した収縮状態のジャッキ部の長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くてすみ、ジャッキ部を小型軽量化できるために低コストである上に伸縮や重機等による移動操作が容易でありランニングコストも低い。
【0007】
また本発明による穴の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、先に施工したセグメントリングの内面に前記ジャッキ部を取付け、該ジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、その後、先に施工したセグメントリングの端面に収縮したジャッキ部を設置し、先に施工した前記セグメントリングの端面に反力をとって前記ジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、ジャッキ部を収縮させて掘削用治具の内側に移動させ、先に施工した前記セグメントリングと受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
本発明においても、掘削用治具の受け部を押して切刃で掘削を行うためのジャッキ部が、セグメントリングの内面に取付けた位置とセグメントリングの端面に設置した位置とでそれぞれ伸張して二段階に亘って掘削用治具で穴を掘削するために、収縮状態のジャッキ部の長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くてすみ、ジャッキ部を小型軽量化できるために低コストである上に伸縮操作等が容易である。
【0008】
本発明による集水井の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、先に施工したセグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、該スペーサからジャッキを突出させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、該反力部材に反力をとってジャッキを伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、その後、反力部材を取り除いて受け部上にジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工したセグメントリングとジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また本発明による集水井の施工方法は、先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、先に施工した前記セグメントリングの内面にジャッキ部を取付け、該ジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、その後、先に施工したセグメントリングの端面に収縮したジャッキ部を設置し、先に施工したセグメントリングの端面に反力をとってジャッキ部を伸張させて受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、ジャッキ部を収縮させて掘削用治具の内側に移動させ、先に施工したセグメントリングと受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、ジャッキ部は、スペーサ内に収縮させたジャッキを収納した状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短い。また、ジャッキは、収縮させた状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くした。
また、ジャッキ部は外筒とシリンダとからなるジャッキを備えており、外筒に対してシリンダを相対的に伸張させることで掘削用治具の受け部を押すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る穴の掘削方法及び集水井の施工方法によれば、ジャッキ部によって二段階に亘って受け部を押して掘削用治具で掘削するために、ジャッキ部がセグメントリングの中心軸方向の幅より短くてすみため、ジャッキ部を小型軽量化できて低コストである上に伸縮操作や掘削用治具の掘削作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面により説明する。図1乃至図5は第一の実施の形態による鋼製刃口及びこれを用いた穴及び集水井の施工方法を示すものであり、図1は集水井の要部縦断面図、図2は鋼製刃口の縦断面図、図3(a)〜(d)は鋼製刃口に装着したジャッキを示す部分拡大図、図4及び図5は集水井の構築工程を示す図である。
図1において、集水井10は地表面から地中に略円筒状に掘削した穴13内に構築されており、例えば略円弧版形状の複数のRCセグメント(以下、単にセグメントという)11が周方向にその継手(図示せず)によって接続されたリング状のセグメントリング12をその中心軸O方向(深さ方向)に継手で接続することによって形成されている。なお、セグメント11の各継手は例えばボルトまたはナットを備え、これらボルトとナットによって互いに連結されている。
集水井10の上部周囲には地表面から逆円錐台形状の発進穴13aが掘削されており、その地表面付近には集水井10を固定保持するための固定コンクリート14が打設されている。発進穴13aの底面13bには集水井10のセグメントリング12の周囲にズレ止めコンクリート15が打設され、ズレ止めコンクリート15と集水井10のセグメントリング12との間には縁切材16がリング状に設けられている。発進穴13aの固定コンクリート14とズレ止めコンクリート15との間は埋め戻し土17で突き固められている。
【0013】
次に集水井10を構築するための略円柱状の穴13の掘削に用いる掘削用治具としての鋼製刃口20について図2により説明する。図2に示す鋼製刃口20は本体21が略円筒状に形成され、先端には全周に亘って内側に突出する断面略直角三角形状の切刃22が形成されている。本体21はその内径がセグメントリング12の外径より若干大きく、内側にセグメントリング12が挿入された状態で中心軸O方向に摺動可能とされている。本体21の内面における切刃22近傍に略リング板状の受け部23が内側に突出して形成されている。
そして、図1に示すように、鋼製刃口20の受け部23と本体21内に挿入されたセグメントリング12との間にはジャッキ部28が所定間隔に複数本、例えば90度間隔で4本周方向に配設されている。ジャッキ部28は油圧ジャッキ24と油圧ジャッキ24を出没可能に収納するスペーサ29とで構成されている。ジャッキ部28は、セグメントリング12の先端面12aで反力を受けて伸張することでジャッキダウンし、受け部23を押動して鋼製刃口20を切刃22で地中下方に掘削することになる。
【0014】
図3(a)〜(d)に示すジャッキ部28の拡大図において、油圧ジャッキ24は外筒25とシリンダ26とで概略構成され、シリンダ26は外筒25内に収容された収縮状態と外筒25から突出した伸張状態とを選択的に取り得るように油圧によって伸縮可能とされている。そのため、外筒25には油圧を供給または排出する油圧ホース27が接続されている。
また、油圧ジャッキ24は略有底円筒状のスペーサ29内に出没可能に収容されている。スペーサ29の底部29aにはセグメント11の継手11aに連結可能な継手部31が取付けられている。セグメント11の継手11aやスペーサ29の継手部31は例えばボルトとナット部等で連結可能な構成とされており、この例ではセグメントリング12の下方を向く端面(先端面)の継手11aとしてナット部を、スペーサ29の継手部31として固定ボルトを底部29aに設けて互いに連結可能とされている。図1及び図4に示すように、収縮状態の油圧ジャッキ24及びスペーサ29はセグメント11の幅の約1/2程度の長さに設定されている。
ジャッキ部28の動作について説明すると、まず図3(a)に示す収縮状態の油圧ジャッキ24及びスペーサ29は、外筒25内に油圧ホース27を通して油圧を供給することでスペーサ29内の油圧ジャッキ24を伸張させる。これによってシリンダ26がスペーサ29の底部29aで反力を受けて外筒25をスペーサ29から突出させ、図3(b)に示す状態になる。この状態で外筒25の油圧を排出することでシリンダ26を外筒25内に収縮させる。
すると、スペーサ29とシリンダ26との間に若干の隙間形成されるため、ここに反力板33を挟持させる(図3(c)参照)。次に油圧ホース27から油圧ジャッキ24の外筒25に油圧を供給することでシリンダ26から外筒25が伸張しジャッキダウンする(図3(d)参照)。この状態で、油圧ジャッキ24及びスペーサ29は最大寸法に伸張しており、セグメント11の幅の約1.5倍程度の長さになる。
【0015】
次に集水井10の構築方法及び穴の掘削方法について図4及び図5に沿って説明する。なお、図4(c)以降では発進穴13aは図示を省略する。
図4(a)において、集水井10を施工するため、まず地表面から略逆円錐台形状の発進穴13aを掘削し、その底面13bにコンクリートをリング状に打設して基準面33を形成する。この基準面33上に垂直に鋼製刃口20の切刃22を載置し、鋼製刃口20の受け部23上に略等間隔に複数(実施形態では4本)のジャッキ部28を収縮状態で取付ける。この場合、各ジャッキ部28はスペーサ29を上方に位置させ外筒25の底部25aを受け部23に当接させる。なお、外筒25の底部25aを受け部23にボルト等で固定してもよい。
各ジャッキ部28上には、複数のセグメント11を周方向に接続してリング状に形成したセグメントリング12を載置し、更にその上に複数段のセグメントリング12を積層してそれぞれ継手で相互に接続して筒状に形成する。ここで、先端(下端)のセグメントリング12を符号12Aで表示するとして、セグメントリング12Aの先端面に設けられている継手11aにジャッキ部28のスペーサ29の底部29aに設けた継手部31を連結する(図3参照)。
そして、発進穴13aの底面13bにおいてセグメントリング12Aの周囲に縁切り材16を設置し、その外側にズレ止めコンクリート15を打設する。次にズレ止めコンクリート15の上に土を埋設して突き固める。その後、上端近傍のセグメントリング12の内壁面から例えば鉄筋を水平方向に突出させて固定コンクリート14を打設する。このようにして集水井10の発進口の施工が完了する。
【0016】
この状態から図4(b)に示すように、油圧ホース27から外筒25に油圧を供給すると、収縮状態の油圧ジャッキ24が伸張し、シリンダ26がスペーサ29の底部29aで反力を受けて外筒25をスペーサ29から突出させる(図3(b)参照)。これによって受け部23が下方に押されて鋼製刃口20の切刃22で地盤を油圧ジャッキ24の伸張長さだけ、即ちセグメント11の幅の約1/2程度の深さ掘削する。これを一次掘削という。次に外筒25から油圧を排出し、シリンダ26を外筒25内に収縮させると油圧ジャッキ24はスペーサ28の外側に位置する。そして外筒25に収納されたシリンダ26とスペーサ29との隙間に反力板33を挿入し、挟持させる(図3(c)参照)。
次に再び油圧ジャッキ24の油圧ホース27から外筒25内に油圧を供給すると、シリンダ26が外筒25から突出するが、シリンダ26は反力板33で反力を受けるため、外筒25が下方に押されてジャッキダウンし、受け部23を更に押す。これによって鋼製刃口20を降下させ、切刃22で地盤を更にセグメント11の幅の薬1/2程度の深さ掘削する(図3(C)参照)。これを二次掘削という。
なお、切刃22で穴13の周囲を掘削した後、内側を別の掘削機等で掘削する。
【0017】
その後、図5(a)に示すように、ジャッキ部28のスペーサ29の継手部31をセグメントリング12Aの継手11aから外し、油圧ホース27を通して油圧を外筒25から排出することでシリンダ26を移動させて外筒25内に収納する。これによってスペーサ29がシリンダ26と共に降下移動し、油圧ジャッキ24を内部に収納するように収縮する。これにより、先端側のセグメントリング12Aと収縮状態で受け部23上に位置するジャッキ部28との間にセグメントリング12を取付けるためのリング状の空間Sが形成される。
そして、図示しない重機を用いて集水井10の上端開口からワイヤを介して新たなセグメント11を集水井10の底部に降下させ、作業員が空間S内に新たなセグメント11を取付けてその継手と既設のセグメントリング12Aの先端面に設けた継手11aと接合する。次いで、順次ワイヤで降下させられるセグメント11を既設のセグメントリング12A及び先に接合したセグメント11と接合して新たなセグメントリング12B(12)を組み付ける。
そしてセグメントリング12Bの各セグメント11の継手11aにジャッキ部28のスペーサ29の継手部31を連結し、上述した工程を繰り返す。これによって、所要の深さまで穴13を掘削し、セグメントリング12を順次連結して集水井10を構築する。
【0018】
そして、所要の深さまで構築した集水井10の先端で、鋼製刃口20を型枠としてその内側にコンクリートを打設して底部35をつくる(図1参照)。これによって、集水井10内に集めた地下水が底部から地盤に浸透するのを防ぐことができる。
次に、図1において、集水井10の側壁に一点鎖線で示す集水用誘導孔36を放射状に複数ボーリングする。集水用誘導孔36は好ましくは傾斜地の滑り面を横切るように穿孔する。集水井10において、集水用誘導孔36の下方には排水用孔37をボーリングして穿孔する。これにより、雨水や増水した地下水等は集水用誘導孔36を通して集水井10内に集められ、排水用孔37を介して傾斜地の滑り面等から外れたダムや水路、河川等に水を誘導して排出することができる。
【0019】
上述のように本実施形態による集水井10の構築方法によれば、ジャッキ部28の収縮状態の長さをセグメント11の幅の約半分程度にできるため、上述した従来のジャッキより長さを短くして小型軽量化できて製造コストを低減できると共にジャッキ部28の移動操作も容易である。また、ジャッキ部28は鋼製刃口20と共に埋め殺しするために施工コストを低減できる。
【0020】
次に本発明の第二実施形態を図6乃至11により説明するが、上述の実施形態と同一または同様の部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態による鋼製刃口20を押し込むジャッキ部40は第一実施形態における外筒25とシリンダ26とを備えた油圧ジャッキ24を備えている。更にシリンダ26の先端にはセグメント11に連結する連結部41が着脱可能に設けられている。連結部41は図7及び図8に示すように縦板41a及び横板41bが縦断面視で略直角三角形状に形成され、その両側部に側板41c、41cが連結されている。縦板41aにはボルト42が孔部を貫通してセグメント11の長手方向及び短手方向(幅方向)のほぼ中心部分に穿孔形成した雌ねじ部43に螺合している。横板41bにはボルト44が孔部を貫通して油圧ジャッキ24のシリンダ26に穿孔形成した図示しない雌ねじ部に螺合している。
図8に示す略円弧版状に湾曲形成されたセグメント11の平面図において、その重心位置をLとすると、シリンダ26はセグメント11における重心位置L付近で連結部41が連結されている。また図6に示すように、シリンダ26を外筒25内に収納した状態の油圧ジャッキ24はセグメント11の幅の略1/2程度の長さに設定されている。
【0021】
ここで、図9は重機等でワイヤWを介してセグメント11を集水井10の上部開口から降下する場合のワイヤWの取付け位置を示すセグメント11の中央縦断面図であり、図中、セグメント11の長手及び短手(幅)方向の中心線が交差する位置に上述した雌ねじ部43が形成されており、雌ねじ部43に雄ねじ部46aが螺合された係止ピン46の中心孔46bにワイヤWのフック47が係合するようになっている。このフック47の係合位置は上述したセグメント11の重心位置Lに相当する。なお、第一実施形態においてセグメント11をワイヤWで吊り下げる場合においても同様な構成を有している。
【0022】
次に上述したジャッキ部40を用いた集水井10の構築方法について図6,図10及び図11に沿って説明する。
先ず、図6に示すように先に構築途中の集水井10の先端面に取付けたセグメントリング12Aに対して所定間隔で複数(例えば4本)の油圧ジャッキ24を装着する。各油圧ジャッキ24の装着に際しては、図7及び図8に示すように、セグメント11の内面における雌ねじ部43からワイヤWを係止する係止ピン46を外して、ボルト42を連結部41の縦板41aに挿通して雌ねじ部43に螺合する。また、横板41bにはボルト44を挿通し、油圧ジャッキ24のシリンダ26に設けた雌ねじ部に螺合する。この状態でシリンダ26を収容した外筒25の先端が鋼製刃口20の受け部23に当接している(図6参照)。
そして、図10(a)に示すように、各油圧ジャッキ24の外筒25に油圧ホース27を介して油圧を供給し、連結部41で固定保持されたシリンダ26に対して外筒25を伸張させジャッキダウンさせる。これによって各外筒25で受け部23を下方に押して鋼製刃口20で地盤を一次掘削して穴13を掘り下げる。シリンダ26に対して外筒25が伸張した時点で、連結部41をセグメント11及びシリンダ26から外す。次いで、外筒25から油圧を排出してシリンダ26を収縮させて外筒25内に収容する。すると油圧ジャッキ24はセグメントリング12Aの下側に位置する。
【0023】
次に図10(b)に示すように、油圧ジャッキ24を例えばワイヤWに連結してセグメントリング12Aと受け部23との間の空間に移動させる。
そして、再度、油圧ジャッキ24の外筒25に油圧ホース27から油圧を供給し、図11(a)に示すように、シリンダ26が当接するセグメントリング12Aの先端面から反力を受けて外筒25を下方に押して受け部23を介して鋼製刃口20を下方に移動させて地盤を二次掘削する。油圧ジャッキ24が伸張することによって、既設のセグメントリング12Aの先端面と受け部23との間の間隔はセグメント11の幅より若干大きな長さになる。
【0024】
次に図11(b)に示すように、油圧ホース27から油圧を排出して外筒25内にシリンダ26を収納させて油圧ジャッキ24を収縮させる。そして、各油圧ジャッキ24にワイヤWを接続して油圧ジャッキ24を鋼製刃口20の径方向内側に移動させ、既設のセグメントリング12Aの下方に空間Sを形成する。この状態でワイヤWに連結した新たなセグメント11を集水井10の上端開口から重機等を用いて降下させ、空間S内に押し込んで既設のセグメントリング12Aの先端面と継手同士で連結する。空間S内で周方向に順次新たなセグメント11を押し込んでは継手で周方向及び軸方向に連結することでセグメントリング12Bを組立てる。
その後、各油圧ジャッキ24を新たなセグメントリング12Bの内面に連結部41を介してボルト42,44で連結することで、図6に示すように油圧ジャッキ24はセグメントリング12Bのセグメント11内面の幅方向略中央に吊り下げられ、外筒25の先端が受け部23に当接した状態になる。
上述の工程を繰り返すことで、穴13を略円柱状に掘削すると共に順次セグメントリング12を多段に連結して略円筒状の集水井10を施工でき、その先端で鋼製刃口20を型枠として内側にコンクリートを打設して底部35をつくる。
【0025】
本実施形態によっても第一実施形態による穴13及び集水井10の施工方法と同様の作用効果を奏する。特に本実施形態ではセグメント11を降下させるための係止ピン46の雌ねじ部43を利用して油圧ジャッキ24を連結させて鋼製刃口20を押すようにしたので、第一実施形態による方法と比較してジャッキ部40にスペーサ29を用いなくてもよく一層コストを低減できて、しかもその長さをセグメント11の幅の約1/2程度に構成できるから1回の作動工程で鋼製刃口20を2回に分けて掘削して1組のセグメントリング12の幅に相当する長さ分、掘削・降下させることができる。
【0026】
なお、上述の各実施形態において、収縮状態の油圧ジャッキ24の長さは必ずしもセグメント11の幅の1/2程度でなくてもよく、少なくともセグメント11の幅よりも短い長さに形成できれば、油圧ジャッキ24を小型、軽量化できて低コストで製造でき、しかも1組のセグメントリング12の幅に相当する長さを掘削・降下できる。
また、上述の各実施形態において、多段のセグメントリング12を形成する各セグメント11をRCセグメントとしたが、これに代えて鋼製セグメントや合成セグメント等でもよく、あるいは他の鋼製等の枠体や板体等で構成されていてもよく、要するに集水井10を筒状に形成する部材であればよい。本発明ではこれらセグメント11等の各種部材を総称してセグメントという。
【0027】
また、本発明では、ジャッキとして油圧ジャッキ24に代えて機械式ジャッキ等の各種ジャッキを用いてもよい。ジャッキ部28、40として油圧ジャッキ24等のジャッキ、或いはジャッキに加えてこれを進退可能に収納するスペーサ29を備えたものを含むものとする。
また、ジャッキ部28,40を伸張させて鋼製刃口20を押す場合、受け部23を油圧ジャッキ24の外筒25で押すようにしたが、油圧ジャッキ24をこれとは上下逆に配設してシリンダ26で受け部23を押すように構成してもよい。
なお、上述の各実施形態では、集水井10を施工するために穴13を掘削するようにしたが、本発明は集水井10以外の他の用途の筒状部等を構築するための穴の掘削方法としても採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施形態による集水井の側面図である。
【図2】図1に示す鋼製刃口の拡大断面図である。
【図3】図1に示す鋼製刃口を掘削させるためのジャッキ部を示すもので、(a)は収縮した状態、(b)はスペーサから油圧ジャッキを突出させた状態、(c)はシリンダに反力板を装着した状態を示す図、(d)は(b)の状態から油圧ジャッキをジャッキダウンさせた状態を示す説明図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は鋼製刃口とジャッキ部によって穴を掘削して集水井を構築する工程を示す図である。
【図5】(a)、(b)は掘削した穴にセグメントリングを連結して集水井を構築する工程を示す図である。
【図6】第二実施形態による穴の掘削方法を示すもので、ジャッキ部を装着した鋼製刃口と集水井の断面図である。
【図7】セグメントリングのセグメント内面に油圧ジャッキを装着した状態を示す部分縦断面図である。
【図8】セグメントに油圧ジャッキを取付けた状態を示す平面図である。
【図9】セグメントの内面にワイヤを連結した状態を示す部分縦断面図である。
【図10】(a)、(b)は鋼製刃口とジャッキ部によって穴を掘削して集水井を構築する工程を示す図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は鋼製刃口とジャッキ部によって穴を掘削して集水井を構築する工程を示す図である。
【図12】従来の油圧ジャッキを取付けた鋼製刃口を示す縦断面図である。
【図13】(a)、(b)、(c)は図12に示す鋼製刃口で筒状穴を掘削して集水井を構築する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 集水井
11 セグメント
12、12A、12B セグメントリング
13 穴
20 鋼製刃口(掘削用治具)
22 切刃
23 受け部
24 油圧ジャッキ(ジャッキ)
25 外筒
26 シリンダ
28、40 ジャッキ部
29 スペーサ
33 反力板(反力部材)
41 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、
先に施工した前記セグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、
該スペーサからジャッキを突出させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、
前記ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、
該反力部材に反力をとって前記ジャッキを伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
その後、前記反力部材を取り除いて受け部上に前記ジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工した前記セグメントリングと前記ジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする穴の掘削方法。
【請求項2】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、
先に施工した前記セグメントリングの内面に前記ジャッキ部を取付け、
該ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、
その後、先に施工した前記セグメントリングの端面に収縮した前記ジャッキ部を設置し、
前記先に施工した前記セグメントリングの端面に反力をとって前記ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
前記ジャッキ部を収縮させて前記掘削用治具の内側に移動させ、
前記先に施工した前記セグメントリングと前記受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする穴の掘削方法。
【請求項3】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、
先に施工した前記セグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、
該スペーサからジャッキを突出させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、前記ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、
該反力部材に反力をとって前記ジャッキを伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
その後、前記反力部材を取り除いて受け部上に前記ジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工した前記セグメントリングと前記ジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする集水井の施工方法。
【請求項4】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、
先に施工した前記セグメントリングの内面に前記ジャッキ部を取付け、
該ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、
その後、先に施工した前記セグメントリングの端面に収縮した前記ジャッキ部を設置し、
前記先に施工した前記セグメントリングの端面に反力をとって前記ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
前記ジャッキ部を収縮させて前記掘削用治具の内側に移動させ、
前記先に施工した前記セグメントリングと前記受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする集水井の施工方法。
【請求項5】
前記ジャッキ部は、スペーサ内に収縮させたジャッキを収納した状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短いことを特徴とする請求項3に記載の集水井の施工方法。
【請求項6】
前記ジャッキ部は、収縮させた状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くした請求項3乃至5のいずれかに記載の集水井の施工方法。
【請求項7】
前記ジャッキ部は外筒とシリンダとからなるジャッキを備えており、前記外筒に対してシリンダを相対的に伸張させることで前記掘削用治具の受け部を押すようにした請求項3乃至6のいずれかに記載の集水井の施工方法。
【請求項1】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、
先に施工した前記セグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、
該スペーサからジャッキを突出させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、
前記ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、
該反力部材に反力をとって前記ジャッキを伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
その後、前記反力部材を取り除いて受け部上に前記ジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工した前記セグメントリングと前記ジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする穴の掘削方法。
【請求項2】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合するようにした穴の掘削方法であって、
先に施工した前記セグメントリングの内面に前記ジャッキ部を取付け、
該ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、
その後、先に施工した前記セグメントリングの端面に収縮した前記ジャッキ部を設置し、
前記先に施工した前記セグメントリングの端面に反力をとって前記ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
前記ジャッキ部を収縮させて前記掘削用治具の内側に移動させ、
前記先に施工した前記セグメントリングと前記受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする穴の掘削方法。
【請求項3】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、
先に施工した前記セグメントリングにジャッキ部のジャッキを進退可能に収納したスペーサを取付け、
該スペーサからジャッキを突出させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、前記ジャッキ部のスペーサとジャッキとの間に反力部材を装着し、
該反力部材に反力をとって前記ジャッキを伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
その後、前記反力部材を取り除いて受け部上に前記ジャッキ部を収縮させた状態で、先に施工した前記セグメントリングと前記ジャッキ部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする集水井の施工方法。
【請求項4】
先端に切刃を有すると共にその内面に受け部を有する掘削用治具に対し、ジャッキ部によって前記受け部を押動することで穴を掘削し、該穴内に複数のセグメントを接合したセグメントリングを多段に接合してなる集水井を構築するようにした集水井の施工方法であって、
先に施工した前記セグメントリングの内面に前記ジャッキ部を取付け、
該ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を掘削し、
その後、先に施工した前記セグメントリングの端面に収縮した前記ジャッキ部を設置し、
前記先に施工した前記セグメントリングの端面に反力をとって前記ジャッキ部を伸張させて前記受け部を押すことで掘削用治具で穴を更に掘削し、
前記ジャッキ部を収縮させて前記掘削用治具の内側に移動させ、
前記先に施工した前記セグメントリングと前記受け部との間に新たなセグメントを取付けて新たなセグメントリングを形成するようにしたことを特徴とする集水井の施工方法。
【請求項5】
前記ジャッキ部は、スペーサ内に収縮させたジャッキを収納した状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短いことを特徴とする請求項3に記載の集水井の施工方法。
【請求項6】
前記ジャッキ部は、収縮させた状態でその伸縮方向長さがセグメントリングの中心軸方向の幅よりも短くした請求項3乃至5のいずれかに記載の集水井の施工方法。
【請求項7】
前記ジャッキ部は外筒とシリンダとからなるジャッキを備えており、前記外筒に対してシリンダを相対的に伸張させることで前記掘削用治具の受け部を押すようにした請求項3乃至6のいずれかに記載の集水井の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−19679(P2008−19679A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194449(P2006−194449)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【出願人】(392031631)株式会社ニッソー (1)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【出願人】(392031631)株式会社ニッソー (1)
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