説明

空気予熱装置および排気再循環装置

【課題】エレメントにセラミック製ハニカム構造を適用して、高効率の熱交換を実現した空気予熱装置およびこれを用いた排気再循環装置を提案する。
【解決手段】空気予熱装置の熱交換器4は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列したエレメント7は、碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列70Aと空気が導かれる空気セル列70Bとを交互に配置し、エレメントの一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路2aが接続され、一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路8が接続され、他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路40が接続され、他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路15が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉などのバーナに適用する排熱回収型の空気予熱装置、特に、燃料を空気によって燃焼させるバーナからの燃焼気を加熱に用いた後の排気と、前記バーナに導入する空気とを熱交換することにより、該排気の持つ熱を回収する熱交換器を備える、空気予熱装置の構造に関する。より詳しくは、熱交換器に高耐熱材料を用いることによって高温の炉でも無駄なく排熱を回収し、さらに、空気予熱装置の熱交換器に微細構造のエレメントを用いることによってコンパクト化した、空気予熱装置および排気再循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空気予熱装置における熱交換器の性能は、熱交換する流体に接する伝熱面の面積と、その伝熱面積における熱伝達率との積によって定まり、その積が大きいほど効率の高い熱交換器となる。また、熱交換器を構成するエレメントの単位体積当たりの伝熱面積は、該エレメントの代表寸法に略反比例し、同様に、伝熱面の熱伝達率は、ヌセルト数を一定と近似すると、前記代表寸法に反比例するため、前記の積は、エレメントの代表寸法の略2乗に反比例することになる。そのため、コンパクトかつ高性能な空気予熱器の構造としては、代表寸法の小さい微細構造のエレメントを用いることが、重要な要件となる。
ここで、流れに平行な方向に均一と見なせ、それに直交する方向に比べて十分に長い流路においては、その代表寸法として下式で定義される水力等価直径deを取るのが一般的である。

流路の形状の例として、断面形状が円の場合には、その水力等価直径は、円の直径となり、正方形の場合は、その水力等価直径は、対辺距離と等しく、また、隙間に比べて十分に幅の広い平行な隙間の場合は、その水力等価直径は、その隙間の2倍の値となる。
ここで、ヌセルト数Nは、熱伝達率αと流体の熱伝導率λと前記deとによって、下式で定義される値である。

ヌセルト数Nは、特に流れが層流の場合には、流路の断面形状に応じて理論的に定まり、円断面の場合には3.66、正方形断面の場合には2.97、平行な隙間の場合には、7.54である。
【0003】
また、高温の排気を排出する熱処理炉等に高効率な空気予熱装置を用いると、予熱空気温度も高温の排気に近い温度まで上昇するため、熱交換器のエレメントの耐熱性が不十分な場合には、排気を常温の空気で希釈する等の対応を余儀なくされる結果、熱交換効率が大幅に低下することになる。従って、熱交換器のエレメントには高い耐熱性が要求され、とりわけセラミック系の材料を使用することが望まれている。
【0004】
近年、セル構造を持つセラミック製のエレメントが開発され、空気予熱装置にも適用され始めている。
例えば、特許文献1には、バーナと一体となる中空円筒体構造のセラミック製エレメントが、空気予熱式工業用バーナに使用することが記載されている。
また、特許文献2には、バーナ用途ではないが、異なる成分の気体を熱交換するためにセラミック製ハニカムを用いることが提案されている。
ちなみに、非特許文献1には、一般的な熱交換器として、並流や直交流の形式よりも、向流形式の方が効率は高いが、伝熱面温度は高くなることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−225810号公報
【特許文献2】特表平8−503046号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】工業炉ハンドブック(財)日本工業炉協会(1997)第724頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の空気予熱式工業用バーナの構成は、高耐熱の空気予熱装置をコンパクトに製作可能であるが、バーナの形状に合わせてエレメントを製造する必要があり、そのため製作上の制約から、その代表寸法を小さくすることができず、後述の理由により、その効率には自ずと限界があった。
また、特許文献2に記載の構成は、熱交換器として直交流形式に限定されてしまい、向流形式に比べると効率の面で限界がある。
なお、非特許文献3の記載内容は、一般的な理論に基づいての記述であり、高効率となる構成について具体的に与えるところはない。
【0008】
そこで、本発明は、エレメントにセラミック製ハニカム構造を適用して、高効率の熱交換を実現した空気予熱装置およびこれを用いた排気再循環装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、微細なセラミック製ハニカム構造体を熱交換器のエレメントとして使用するための条件について鋭意究明したところ、排気と空気とが分離した流路を形成しつつ、2種の流路を異なる方向に向けて集合させることによって、両流路が隣接する結果、熱通過率は高くなり、高効率の向流形式熱交換器を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨構成は、次の通りである。
(1)燃料を空気によって燃焼させるバーナの燃焼気を加熱に用いた後の排気を導入し、前記バーナに供給する前の空気との間で熱交換する熱交換器を備える、空気予熱装置において、
前記熱交換器は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列した、エレメントを有し、
前記エレメントは、その碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列と空気が導かれる空気セル列とを交互に配置してなり、
前記エレメントの一端側では、前記排気セル列又は前記空気セル列の一方のセル列の各々は同列内セルが共通開口した合流路を有し、該合流路を介して前記エレメントの側面に開口してなり、前記排気セル列又は前記空気セル列の他方のセル列の各々は、該エレメントの前記一端側の端面で開口してなり、
かつ、
前記エレメントの他端側では、前記排気セル列又は前記空気セル列の一方のセル列の各々は同列内セルが共通開口した合流路を有し、該合流路を介して該エレメントの側面に開口してなり、前記排気セル列又は前記空気セル列の他方のセル列の各々は、該エレメントの他端側の端面で開口してなり、
前記一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路が接続され、前記一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路が接続され、前記他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路が接続され、前記他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路が接続されてなる、
ことを特徴とする空気予熱装置。
【0011】
(2)燃料を空気によって燃焼させるバーナの燃焼気を加熱に用いた後の排気を導入し、前記バーナに供給する前の空気との間で熱交換する熱交換器を備える、空気予熱装置において、
前記熱交換器は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列した、エレメントを有し、
前記エレメントは、その碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列と空気が導かれる空気セル列とを交互に配置してなり、
前記エレメントの一端側では、前記排気セル列および前記空気セル列の各々は、同列内セルが共通開口した合流路を有し、前記排気セル列は該合流路を介して該エレメントの一側面に開口するとともに、前記空気セル列は該合流路を介して該エレメントの前記一側面とは反対側の側面に開口してなり、
前記エレメントの他端側では、前記排気セル列および前記空気セル列の各々は、同列内セルが共通開口した合流路を有し、前記排気セル列は該合流路を介して該エレメントの一側面に開口するとともに、前記空気セル列の合流路は該エレメントの前記一側面とは反対側の側面に開口してなり、
前記一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路が接続され、前記一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路が接続され、前記他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路が接続され、前記他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路が接続されてなる、
ことを特徴とする空気予熱装置。
【0012】
(3)燃料を空気によって燃焼させるバーナの燃焼気を加熱に用いた後の排気を導入し、前記バーナに供給する前の空気との間で熱交換する熱交換器を備える、空気予熱装置において、
前記熱交換器は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列した、エレメントを有し、
前記エレメントは、その碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列と空気が導かれる空気セル列とを交互に配置してなり、
前記エレメントの一端側では、前記排気セル列又は前記空気セル列の一方のセル列の各々は同列内セルが共通開口した合流路を有し、該合流路を介して前記エレメントの側面に開口してなり、前記排気セル列又は前記空気セル列の他方のセル列の各々は、該エレメントの前記一端側の端面で開口してなり、
前記エレメントの他端側では、前記排気セル列および前記空気セル列の各々は、同列内セルが共通開口した合流路を有し、前記排気セル列は該合流路を介して該エレメントの一側面に開口するとともに、前記空気セル列の合流路は該エレメントの前記一側面とは反対側の側面に開口してなり、
前記一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路が接続され、前記一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路が接続され、前記他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路が接続され、前記他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路が接続されてなる、
ことを特徴とする空気予熱装置。
【0013】
(4)前記合流路は、同一セル列内におけるセル相互間の隔壁をセルの軸方向を横切る向きに切削して同一セル列内におけるセル相互を連通させ、該切削後のセル列の端面を封止してなることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の空気予熱装置。
【0014】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記熱交換器の前記排気の導入側に、多孔質でかつ排気の流通が可能の通気性固体を有することを特徴とする空気予熱装置。
【0015】
(6)前記バーナが、炉内壁から炉内に突き出るラジアントチューブのバーナであり、前記熱交換器および通気性固体は、前記炉内壁より、前記加熱に用いた後の排気の下流側に配置することを特徴とする前記(5)に記載の空気予熱装置。
【0016】
(7)前記通気性固体は、前記ラジアントチューブの軸方向と直交する断面と同じ端面形状を有することを特徴とする前記(6)に記載の空気予熱装置。
【0017】
(8)前記通気性固体を複数配置すること特徴とする前記(5)乃至(7)のいずれかに記載の空気予熱装置。
【0018】
(9)前記通気性固体がセラミックスからなること特徴とする前記(5)乃至(8)のいずれかに記載の空気予熱装置。
【0019】
(10)前記セルの矩形断面における各辺の長さが1mm以上10mm以下であることを特徴とする前記(1)から(9)のいずれかに記載の空気予熱装置。
【0020】
(11)前記セルの矩形断面における各辺の長さが3mm以下であることを特徴とする前記(10)に記載の空気予熱装置。
【0021】
(12)前記セル相互間の隔壁および前記セル列相互間の隔壁の厚さが前記セルの相対する辺の距離の1/10以上1/1未満であることを特徴とする前記(10)または(11)に記載の空気予熱装置。
【0022】
(13)前記(1)から(12)のいずれかに記載の空気予熱装置を有し、該空気予熱装置の熱交換器によって予熱された、空気を吐出する空気ノズルと、該空気ノズルから吐出される空気および該空気ノズル周囲の前記熱交換器を迂回させた排気を混合する混合気流路と、からなる排気再循環エゼクタを有することを特徴とする排気再循環装置。
【0023】
(14)前記(1)から(12)のいずれかに記載の空気予熱装置を有し、該空気予熱装置の熱交換器によって予熱された空気をバーナに供給し燃料を燃焼させて形成される、火炎を吐出する火炎ノズルと、該火炎ノズルから吐出される火炎および該火炎ノズル周囲の雰囲気を誘引して再循環する、燃焼気雰囲気とを有することを特徴とする雰囲気再循環装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、微細なセラミック製ハニカム構造体をエレメントとして使用する際に、排気と空気とが分離した流路を形成しつつ2種の流路を異なる方向へ向けて集合させることが可能となる方途が拓かれるから、両流路が隣接して高い熱通過率が得られる結果、高効率の向流形式の熱交換器をそなえる空気予熱装置を提供できる。
【0025】
さらに、エレメントの代表寸法を小さくすることができるから、高い熱伝達率と比表面積を実現できる。
【0026】
また、一般に熱交換器の効率が高い場合には、予熱空気温度も高くなるため、火炎温度の上昇に伴うNOxの生成が促進されるが、排気や雰囲気を再循環させることによって、火炎温度を高めることなく高い予熱温度の空気を利用可能となり、NOxの生成を抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の空気予熱装置をラジアントチューブのバーナに用いた場合の構成を示す図である。
【図2】熱交換器の概略構造を示す図である。
【図3】本発明に従う熱交換器のエレメントを示す図である。
【図4】エレメントの詳細を示す図である。
【図5】エレメントの詳細を示す図である。
【図6】エレメントの詳細を示す図である。
【図7】エレメントの詳細を示す図である。
【図8】エレメントの詳細を示す図である。
【図9】エレメントのセル寸法と効率との関係を示すグラフである。
【図10】排気再循環率と排熱回収率との関係を示すグラフである。
【図11】本発明に従う雰囲気再循環装置の構成を示す図である。
【図12】エレメントの詳細を示す図である。
【図13】排気経路に設ける通気性固体における輻射状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の空気予熱装置について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の空気予熱装置をラジアントチューブのバーナに用いた場合の構成を示す図である。
同図において、符号1はラジアントチューブ2のバーナであり、このバーナ1では空気が導入されて燃料を燃焼させて形成される、火炎を火炎ノズル1aから吐出する。この火炎の形成に伴う燃焼気は、例えばラジアントチューブ2を介して熱処理炉内の加熱に供され、その後排気3としてラジアントチューブ2から熱交換器4へと導入される。
【0029】
図2は、熱交換器4の詳細を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は(x)−(x)矢視断面図である。熱交換器4へと導入された排気3は、図2に示すように、排気3(以下、未抜熱排気3とも言う)とは別に熱交換器4へ導入される空気6(以下、未予熱空気6とも言う)との間で熱交換器4において熱交換される。この熱交換器4における熱交換後の抜熱排気3aは、導出配管(抜熱排気導出路)40および煙道41を経由して放出される。一方、熱交換器4における熱交換後の予熱空気6aは、予熱空気導出路8を経由してバーナ1に供給され、ここで燃料の燃焼に寄与することになる。
【0030】
ここで、エネルギー効率をより高めるには、上記した熱交換器4における熱交換効率を高めることが重要になる。そこで、本発明では、熱交換器4に以下に説明する構造を与える。
すなわち、熱交換器4に導入される排気3および空気6はそれぞれ熱交換器4内のエレメント7に供給されて、ここで熱交換がなされる。このエレメント7について、次に詳細に説明する。
【0031】
図3に示すように、このエレメント7は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセル70の多数を碁盤目状に配列してなる。そして、その碁盤目の縦方向または横方向に、図示例では図3の(a)―(a)矢視を図4(a)に示すように、排気が導かれる排気セル70aが横方向に並ぶ排気セル列70Aおよび、同(b)―(b)矢視を図4(b)に示すように、空気が導かれる空気セル70bが横方向に並ぶ空気セル列70Bとを、縦方向へ交互に配置してなる。さらに、エレメント7の一端側(図4の例では左側)では、排気セル列70Aは、エレメント7の端面7cに開口して開口部75を形成しており、この開口部75でラジアントチューブ2の排気口(未抜熱排気導入路)2a(図1参照)と連通している。
一方、空気セル列70Bの各々は、エレメント7の同側で、同列内の空気セル70bが共通開口した空気合流路71bを有しており、この空気合流路71bは、エレメント8の側面7aで共通開口する開口部76を有しており、この開口部76で予熱空気6aを熱交換器4の外側のバーナ1側へ供給するための供給配管である予熱空気導出路8と連通する。
【0032】
さらに、エレメント7の他端側(図4の例では右側)では、排気セル列70Aの各々は、同列内の排気セル70aが共通開口した排気合流路71aを有しており、この排気合流路71aは、エレメント7の側面7aで共通開口する開口部73を有しており、この開口部73で抜熱排気3aを熱交換器4の外側へ排出するための導出配管(抜熱排気導出路)40と連通する。一方、エレメント7の同側で空気セル列70Bの各空気セル70bは、エレメント7の端面7bに開口して開口部74を形成しており、この開口部74で未予熱空気6の導入配管(未予熱空気導入路)15(図2参照)と連通する。
すなわち、エレメント7の一端側(図4の例では左側)では、排気セル列70A又は空気セル列70Bの一方のセル列(図4の例では空気セル列70B)の各々は同列内セルが共通開口した合流路(図4の例では空気合流路71b)を有し、該合流路を介してエレメント7の側面(図4の例では側面7a)に開口してなり、排気セル列70A又は空気セル列70Bの他方のセル列(図4の例では排気セル列70A)の各々は、エレメント7の一端側の端面(図4の例では端面7c)で開口してなり、エレメント7の他端側(図4の例では右側)では、排気セル列70A又は空気セル列70Bの一方のセル列(図4の例では、排気セル列70A)の各々は同列内セルが共通開口した合流路(図4の例では、排気合流路71a)を有し、該合流路を介してエレメント7の側面(図4の例では側面7a)に開口してなり、排気セル列70A又は空気セル列70Bの他方のセル列(図4の例では、空気セル列70B)の各々は、エレメント7の他端側の端面(図4の例では、端面7b)で開口してなり、前記一端側(図4の例では左側)の排気セル列70Aの開口部75に未抜熱排気導入路2aが接続され、前記一端側の空気セル列70Bの開口部76に予熱空気導出路8が接続され、前記他端側(図4の例では右側)の排気セル列70Aの開口部73に抜熱排気導出路40が接続され、前記他端側の空気セル列70Bの開口部74に未予熱空気導入路15が接続されてなる。
【0033】
かような構成により、セラミックハニカム構造体をエレメントとして、排気と空気とが分離した流路を形成しつつ、例えば図示例では、一端側には空気合流路71bを配置し、未抜熱排気3の導入口と予熱空気6aの導出口とを別個に設けることができ、一方、他端側には排気合流路71aを配置し、合流させた抜熱排気3aの導出口と未予熱空気6の導入口とを別個に設けることができ、微小なセルからなる両流路が隣接することで高い熱通過率を得ることができ、従前に比較して更に高い効率の得られる、向流形式の熱交換器となる。
【0034】
ここで、排気合流路71aおよび空気合流路71bは、各排気セル列70Aおよび各空気セル列70Bのセル相互間の隔壁をセルの軸方向を横切る向きに切削してセル相互を連通させ、かつ切削後の開放端面72aおよび72bを封止することにより、成形することができる。このように成形することによって、排気合流路71aおよび空気合流路71bは、合流するに連れ出側へ向かって拡大する流路を確保でき、各セルにおける圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0035】
なお、各セル列における切削角度θは、エレメント7側面のセル列の開口面積がセル列内のセルの断面積(図3における個々のセル70の断面積)の合計値と略一致するような角度にすることが好ましい。なぜなら、合流路断面積を各位置におけるセル列にあるセルの合計断面積と略等しくすることが合理的であるためである。合流路においては同一セル列内ではセル同士を隔離する隔壁が存在しないので、上記θは45°あれば十分である。具体的には切削角度θは20〜45°とすることが好ましい。
【0036】
また、図4に示した排気セル列70Aおよび空気セル列70Bの組み合わせでは、空気セル列の一端側のみに合流路を設け、排気セル列の他端側のみに合流路を設けているが、排気セル列70Aおよび空気セル列70Bのいずれかの一方セル列について、エレメントの両端側で合流路を介してエレメントの側面に開口させるようにし、他方のセル列については、両端側ともに合流路を設けずに直接エレメントの端面に開口させるようにしてもよい。図5、図6のこの場合の例を示す図である。図5に示す例では、排気セル列70Aについてはエレメントの両端側の端面7c、7bに開口部を設け、空気セル列70Bについては、両端側に合流路71bを設けて、この合流路71bを介して側面7a,7dにそれぞれ開口部を設けている。図6に示す例では、排気セル列70Aについては、両端側に合流路71aを設けて、この合流路71aを介して側面7a,7dにそれぞれ開口部を設け、空気セル列70Bについてはエレメントの両端側の端面7c、7bに開口部を設けている。
【0037】
さらに、図4に示した排気セル列70Aおよび空気セル列70Bの組み合わせでは、排気合流路71aと空気合流路71bとが前記エレメント7の逆側の端部にあるが、例えば図7に示すように、排気合流路71aと空気合流路71bとがエレメント7の同じ側の端部にあってもよい。その場合、排気セル列70Aは排気合流路を介してエレメント7の一側面に開口させるとともに、空気セル列は空気合流路を介してエレメント7の一側面とは反対側の側面に開口させる。図7の例では、エレメント7の左側の端部では、排気セル列70Aは排気合流路71aを介してエレメント7の側面7dに開口し、同左側の端部で、空気セル列70Bは空気合流路71bを介してエレメント7の側面7a(側面7dとは反対側の側面)に開口している。また、エレメント7の右側の端部では、排気セル列70Aは排気合流路71aを介してエレメント7の側面7aに開口し、空気セル列70Bは空気合流路71bを介してエレメント7の側面7d(側面7aとは反対側の側面)に開口している。このように、エレメント7の同一端側で、排気合流路および空気合流路における、セル相互間の隔壁のセル軸方向に対する向きを逆にして切削加工し、排気合流路および空気合流路の開口方向を逆向きにすることにより、未予熱空気の導入口と抜熱排気の導出口とを、および、予熱空気の導出口と未抜熱排気の導入口とを、いずれも同一側の端部で別個に設けることができる。
【0038】
さらにまた、エレメント7の一端側については、図4に示した場合と同様に、排気セル列又は空気セル列の一方のセル列の各々に同列内セルが共通開口した合流路を設け、該一方のセル列をこの合流路を介してエレメント7の側面に開口させ、排気セル列又は空気セル列の他方のセル列の各々は、エレメント7の一端側の端面で開口させ、エレメント7の他端側では、図7に示した場合と同様に、排気セル列および空気セル列の各々に同列内セルが共通開口した合流路を設け、排気セル列は合流路を介してエレメント7の一側面に開口させ、空気セル列の合流路はエレメント7の前記一側面とは反対側の側面に開口させてもよい。図8はこの場合の例を示すものである。
図8に示す例では、エレメント7の左側端部では、排気セル列70Aについては、排気セル列内のセルが共通開口した排気合流路71aを設け、排気セル列70Aをこの排気合流路71aを介してエレメント7の側面7dに開口させて、一方、空気セル列70Bについては、エレメント7の左側端面7cに開口させている。そして、エレメント7の右側端部では、排気セル列70Aおよび空気セル列70Bの各々に同列内セルが共通開口した合流路71a、71bを設け、排気セル列70Aは合流路(排気合流路)71aを介してエレメント7の一側面7aに開口させ、空気セル列は合流路(空気合流路)71bを介して、エレメント7の前記一側面7aとは反対側の側面7dに開口させている。このようにすることで、エレメント7の一端側では、未抜熱排気3の導入口と予熱空気の導出口とを別個に設けることができ、また、エレメント7の他端側では、抜熱排気3aの導出口と未予熱空気の導入口とを別個に設けることができる。
【0039】
次に、各セル70の矩形断面における各辺の長さは、1mm以上10mm以下であることが好ましい。とりわけ、3mm以下とすることが推奨される。なぜなら、1mm未満とするには極めて精密な成形加工を施す必要があり品質のばらつきが懸念されるからである。一方、10mm以下とするのは、図9に、断面正方形のセルにおける目開き(辺の長さ)と排熱回収の効率との関係を示すように、目開きが10mm以下になると上記の効率が8%以上の水準となることから、有効な排熱の回収が可能であり、さらに、3mm以下に対しては、上記効率が40%を上回り、さらに効果的である。しかるに、上記リスクを冒して1mm以下としても、その効率は約70%に漸近して頭打ちになるため、効果的とはいえない。
【0040】
さらに、セル70相互間の隔壁並びに、排気セル列70Aと空気セル列70Bとの間の隔壁の厚さが、前記セルの断面が正方形であれば一辺の長さの1/10以上一辺の長さ未満に、セル断面が長方形であれば相対する辺の距離の1/10以上1/1未満に、することが好ましい。なぜなら、その範囲において、熱交換器エレメントの容積に占める流路の容積が十分に取れ、適切な圧力損失の範囲に収まると共に、隔壁の強度も保てるからである。
【0041】
また、上記した空気予熱装置をバーナの排気再循環装置に適用するに当って、図1に示したように、該空気予熱装置の熱交換器4によって予熱された、予熱空気6aを吐出する空気ノズル9と、該空気ノズル9から吐出される予熱空気6aおよび該空気ノズル9周囲の前記熱交換器4を迂回導入した排気10aを混合する混合気流路10と、からなる排気再循環エゼクタ11を有することが有利である。この排気再循環エゼクタ11を設置することによって、排気3の全てを熱交換器4に導入しないで一部を抜熱することなくバーナ1に再度供給することが可能になる。すなわち、図10に熱交換器を通過させる排気再循環率と排熱回収率との関係を示すように、再循環排気は、熱交換器を通過させことなく、バーナに供給することが効率の向上に効果的である。排熱回収率が高すぎると予熱空気の温度は高くなるので、火炎温度の上昇に伴うNOxの生成が促進される。排気を再循環させることによって、火炎温度を高めることなくNOxの生成を抑制しつつ、高い予熱温度の空気を利用可能となる。
【0042】
さらにまた、上記した空気予熱装置を直火式炉のバーナの雰囲気再循環装置として適用するに当って、図11に示すように、該空気予熱装置の熱交換器4によって予熱された予熱空気6aをバーナ1に供給し燃料を燃焼させて形成される、火炎を吐出する火炎ノズル1aと、該火炎ノズル1aから吐出される火炎および該火炎ノズル1a周囲の雰囲気を誘引して再循環(矢印R)する、燃焼気雰囲気12とを有することが、有利である。なぜなら、雰囲気を再循環させることによって、上述の排気を再循環させる場合と同様に、火炎温度を高めることなくNOxの生成促進を抑制しつつ、高い予熱温度の空気を利用可能となるからである。
【0043】
なお、図11に示す熱交換器4におけるエレメントの排気セル列70Aおよび空気セル列70Bの組み合わせを、図12に例示する。
【0044】
ちなみに、本発明に従う熱交換器のエレメントを構成するセラミックスとしては、特に限定されないが、例えば、炭化珪素や窒化珪素は勿論、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ハフニア、イットリア、ランタナなどの他、それらを適切な割合で混合させてなるムライト、コージェライト、酸化希土類安定化ジルコニアなどを用いることができる。
【0045】
なお、図1において、熱交換器4へ至る排気3の導入経路5に設けた、多孔質でかつ排気の流通が可能の通気性固体5aは、ラジアントチューブのバーナ1からの熱を熱交換器4に至る前に吸収し、ラジアントチューブのバーナ1からの輻射熱が直接熱交換器4に到達するのを回避し、逆にラジアントチューブ内に還流することにより、炉内への有効熱を増大せしめるためのものである。
ここで、通気性固体5aは、所定の厚みを有する多孔質の通気性固体であり、図13に示すように、ラジアントチューブのバーナ1から排気下流側に放出される輻射熱および排気の顕熱は、通気性固体5aにて遮蔽され、熱交換器4に直接達することがない。上記輻射熱および排気顕熱を受けた通気性固体5aでは、その遮蔽効果により、図13に二点鎖線で示すような温度勾配を生じることになる。すなわち、上記輻射熱および排気顕熱は、通気性固体5aにおいて輻射熱に変換され、排気上流側および排気下流側へと、それぞれ放出されるが、排気下流側への輻射熱は、通気性固体5aの厚みに応じて遮蔽されて減衰するため、大部分は排気上流側へ放出される。かように、バーナ1からの排気は通気性固体5aにおいて大幅な温度降下を伴って通過し、熱交換器4側へと流れることになる。従って、熱交換器4へ供給される排気は低温度になり、熱交換器4の使用環境が改善される結果、熱回収性能を長期にわたって維持することができる。一方、熱交換器4にて排気からの熱を回収した予熱空気は、従前に比較してより低温になるため、上記バーナ1での火炎の温度が低下し、NOxの生成抑制が可能となる。さらに、排気が多孔質の通気性固体5aを通過することにより整流効果が得られて、熱交換器4へ均一な流れの排気が導かれるため、熱交換効率を高めることができる。
【0046】
さらに、排気3が多孔質の通気性固体5aを通過した際に、排気中のダストが除去され、熱交換器4におけるダストの付着が防止されるため、熱交換器4のダストによる効率低下を抑制することができる。
【0047】
上記した通気性固体5aに与える所定の厚みとは、光学的に遮蔽できる十分な厚みであり、具体的には10mm以上、好ましくは20〜60mmである。
【0048】
また、通気性固体5aは、ラジアントチューブが設置される炉の内壁より熱交換器4側に配置することが好ましい。なぜなら、炉の内面より排気下流側に通気性固体5a次いで熱交換器4が配置されることになるため、炉系外へ排出される有効熱の還元を可能とし、また熱交換器4が有効熱を持ち去ることを回避できるからである。
【0049】
通気性固体5aおよび熱交換器4の配置について、図1に示すように、通気性固体5aは、ラジアントチューブ2が設置される熱処理炉の内壁7と面一となるように配置し、熱交換器4は炉壁部もしくは炉壁外に配置することが、熱効率向上の観点から推奨される。
【0050】
さらに、通気性固体5aは、ラジアントチューブの軸方向と直交する断面と同じ端面形状を有することが有利である。すなわち、通気性固体5aを排気3の導入経路5内に配置した際に、ラジアントチューブ内周面との間に隙間が生じることがなく、排気3の全てが通気性固体5aを通過し、排気3の顕熱が通気性固体5aを介して炉系内へ確実に還元される。
【0051】
図1において、通気性固体5aの2つを離間して配置してあるが、通気性固体5aは1つでもよいのは勿論である。なお、複数を配置することによって、上記した熱還元および整流の効果はより高めることができ、設置場所との関係において増設することが有効である。
【0052】
さらに、図1において、通気性固体5aの2つを離間して配置してあるが、通気性固体5aは1つでもよいのは勿論である。なお、複数を配置することによって、上記した熱還元および整流の効果はより高めることができ、設置場所との関係において複数の増設を行うことが有効である。
例えば、複数の通気性固体5aを配置する際に、排気上流側に密度の小さい通気性固体5aを配置して熱遮蔽体とし、排気下流側に密度の大きい通気性固体5aを配置してフィルター機能を担保することによって、排気中にダストが多く含まれる場合には、排気下流側の通気性固体5aをフィルターとして交換することによって、メンテナンスをより容易にすることが可能である。
【0053】
通気性固体5aは、炭化珪素や窒化珪素は勿論、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ハフニア、イットリア、ランタナなどの他、それらを適切な割合で混合させてなるムライト、コージェライト、酸化希土類安定化ジルコニア等の耐久性の高いセラミックスからなることが、高温耐久性を確保する上で好ましい。
さらに、通気性固体5aの孔径は、遮蔽性と通気性とを兼ね備えることのできる、大きさであり、具体的には、20mmφ以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5mmφ〜4mmφである。
【実施例】
【0054】
図1に示したところに従って、既存のラジアントチューブ施設に、本発明の空気予熱装置を適用した。なお、ラジアントチューブにおける排気条件は表1に示すとおりである。すなわち、既存の装置構成は、排気再循環エゼクタ11の入側に設けた熱交換器4がないものであり、本発明における熱交換器4に代えて、従来型の金属製レキュペレータが設置されたものである。
排気は25%を再循環して残りは排出し、新たに外部から空気を導入してバーナの燃焼を行うものである。この既存装置(再循環排気非迂回)においては、操業状態で測定した金属製レキュペレータの排熱回収(排気側温度)効率は27.1%であった。
【0055】
【表1】

【0056】
一方、図1の施設に本発明の空気予熱装置を適用した場合については、熱交換器を通過
させた後の抜熱排気の一部を再循環排気として、空気ノズルから吐出される空気と混合し
た場合(再循環排気非迂回)と、熱交換器を迂回させた排気を再循環排気として、空気ノ
ズルから吐出される空気と混合した場合(再循環排気迂回)について行なった。その結果
、再循環排気非迂回の場合の排熱回収(排気側温度)効率が44.8%、再循環排気迂回の場
合の排気温度効率が53.2%であった。なお、熱交換器4のエレメントの仕様を、表2に示
す。
【0057】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0058】
以上で述べた実施形態においては、ラジアントチューブ形式の焼鈍炉および直火式加熱
炉への適用を示したが、この例に限らず、本発明の空気予熱装置は、コークス炉、高炉熱
風炉、焼結機点火炉、製鋼取鍋予熱バーナのような製鉄用の燃焼設備に限らず、アルミニ
ウム精錬炉、窯業焼成炉、ガスタービンのような高温の排気を伴う燃焼設備全般の分野に
おいても適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1バーナ
1a 火炎ノズル
2 ラジアントチューブ
2a 未抜熱排気導入路
3 排気(未抜熱排気)
3a 抜熱排気
4 熱交換器
5 経路
5a 通気性固体
6 空気(未予熱空気)
6a 予熱空気
7 エレメント
7a エレメントの側面
7b エレメントの端面
7c エレメントの端面
7d エレメントの側面
8 予熱空気導出路
10 混合気流路
10a 迂回導入した排気
11 エゼクタ
12 燃焼気雰囲気
15 未予熱空気導入路
40 抜熱排気導出路
41 煙道
70a 排気セル
70A 排気セル列
70b 空気セル
70B 空気セル列
71a 排気合流路
71b 空気合流路
73 開口部
74 開口部
75 開口部
76 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を空気によって燃焼させるバーナの燃焼気を加熱に用いた後の排気を導入し、前記バーナに供給する前の空気との間で熱交換する熱交換器を備える、空気予熱装置において、
前記熱交換器は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列した、エレメントを有し、
前記エレメントは、その碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列と空気が導かれる空気セル列とを交互に配置してなり、
前記エレメントの一端側では、前記排気セル列又は前記空気セル列の一方のセル列の各々は同列内セルが共通開口した合流路を有し、該合流路を介して前記エレメントの側面に開口してなり、前記排気セル列又は前記空気セル列の他方のセル列の各々は、該エレメントの前記一端側の端面で開口してなり、
かつ、
前記エレメントの他端側では、前記排気セル列又は前記空気セル列の一方のセル列の各々は同列内セルが共通開口した合流路を有し、該合流路を介して該エレメントの側面に開口してなり、前記排気セル列又は前記空気セル列の他方のセル列の各々は、該エレメントの他端側の端面で開口してなり、
前記一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路が接続され、前記一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路が接続され、前記他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路が接続され、前記他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路が接続されてなる、
ことを特徴とする空気予熱装置。
【請求項2】
燃料を空気によって燃焼させるバーナの燃焼気を加熱に用いた後の排気を導入し、前記バーナに供給する前の空気との間で熱交換する熱交換器を備える、空気予熱装置において、
前記熱交換器は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列した、エレメントを有し、
前記エレメントは、その碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列と空気が導かれる空気セル列とを交互に配置してなり、
前記エレメントの一端側では、前記排気セル列および前記空気セル列の各々は、同列内セルが共通開口した合流路を有し、前記排気セル列は該合流路を介して該エレメントの一側面に開口するとともに、前記空気セル列は該合流路を介して該エレメントの前記一側面とは反対側の側面に開口してなり、
前記エレメントの他端側では、前記排気セル列および前記空気セル列の各々は、同列内セルが共通開口した合流路を有し、前記排気セル列は該合流路を介して該エレメントの一側面に開口するとともに、前記空気セル列の合流路は該エレメントの前記一側面とは反対側の側面に開口してなり、
前記一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路が接続され、前記一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路が接続され、前記他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路が接続され、前記他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路が接続されてなる、
ことを特徴とする空気予熱装置。
【請求項3】
燃料を空気によって燃焼させるバーナの燃焼気を加熱に用いた後の排気を導入し、前記バーナに供給する前の空気との間で熱交換する熱交換器を備える、空気予熱装置において、
前記熱交換器は、セラミック製の隔壁にて断面矩形状に区画されるセルの多数を碁盤目状に配列した、エレメントを有し、
前記エレメントは、その碁盤目の縦方向または横方向に、排気が導かれる排気セル列と空気が導かれる空気セル列とを交互に配置してなり、
前記エレメントの一端側では、前記排気セル列又は前記空気セル列の一方のセル列の各々は同列内セルが共通開口した合流路を有し、該合流路を介して前記エレメントの側面に開口してなり、前記排気セル列又は前記空気セル列の他方のセル列の各々は、該エレメントの前記一端側の端面で開口してなり、
前記エレメントの他端側では、前記排気セル列および前記空気セル列の各々は、同列内セルが共通開口した合流路を有し、前記排気セル列は該合流路を介して該エレメントの一側面に開口するとともに、前記空気セル列の合流路は該エレメントの前記一側面とは反対側の側面に開口してなり、
前記一端側の排気セル列の開口部に未抜熱排気導入路が接続され、前記一端側の空気セル列の開口部に予熱空気導出路が接続され、前記他端側の排気セル列の開口部に抜熱排気導出路が接続され、前記他端側の空気セル列の開口部に未予熱空気導入路が接続されてなる、
ことを特徴とする空気予熱装置。
【請求項4】
前記合流路は、同一セル列内におけるセル相互間の隔壁をセルの軸方向を横切る向きに切削して同一セル列内におけるセル相互を連通させ、該切削後のセル列の端面を封止してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気予熱装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記熱交換器の前記排気の導入側に、多孔質でかつ排気の流通が可能の通気性固体を有することを特徴とする空気予熱装置。
【請求項6】
前記バーナが、炉内壁から炉内に突き出るラジアントチューブのバーナであり、前記熱交換器および通気性固体は、前記炉内壁より、前記加熱に用いた後の排気の下流側に配置することを特徴とする請求項5に記載の空気予熱装置。
【請求項7】
前記通気性固体は、前記ラジアントチューブの軸方向と直交する断面と同じ端面形状を有することを特徴とする請求項6に記載の空気予熱装置。
【請求項8】
前記通気性固体を複数配置すること特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の空気予熱装置。
【請求項9】
前記通気性固体がセラミックスからなること特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の空気予熱装置。
【請求項10】
前記セルの矩形断面における各辺の長さが1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の空気予熱装置。
【請求項11】
前記セルの矩形断面における各辺の長さが3mm以下であることを特徴とする請求項10に記載の空気予熱装置。
【請求項12】
前記セル相互間の隔壁および前記セル列相互間の隔壁の厚さが前記セルの相対する辺の
距離の1/10以上1/1未満であることを特徴とする請求項10または11に記載の空気予熱装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の空気予熱装置を有し、該空気予熱装置の熱交換器によって予熱された、空気を吐出する空気ノズルと、該空気ノズルから吐出される空気および該空気ノズル周囲の前記熱交換器を迂回させた排気を混合する混合気流路と、からなる排気再循環エゼクタを有することを特徴とする排気再循環装置。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の空気予熱装置を有し、該空気予熱装置の熱交換器によって予熱された空気をバーナに供給し燃料を燃焼させて形成される、火炎を吐出する火炎ノズルと、該火炎ノズルから吐出される火炎および該火炎ノズル周囲の雰囲気を誘引して再循環する、燃焼気雰囲気とを有することを特徴とする雰囲気再循環装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−193946(P2012−193946A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41875(P2012−41875)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】