説明

空気二次電池

【課題】長期間の保存が可能で、性能が周囲環境に影響を受けない、充電が可能である、および、稼働温度領域が水の融点以上沸点以下に限定されない空気電池を提供する。
【解決手段】負極活物質8を含有する負極活物質層22を有する負極層1、および負極層の集電を行う負極集電体4を有する負極51と、空気極触媒20を含有する空気極層3、および空気極層の集電を行う空気極集電体5を有する空気極53と、負極、および空気極の間で酸素イオンの輸送を行う酸素キャリア6を含有する電解質酸素キャリア層2を有する電解質52とを有する空気電池であって、電解質酸素キャリア層の数は1層以上であり、酸素キャリアは、非水系の有機分子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能な空気電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
亜鉛空気電池、リチウム空気電池、アルミニウム空気電池、マグネシウム空気電池等を含む空気電池は、高エネルギー密度電池として注目を集めている。一般的な電池では正極活物質が正極電極内に組み込まれているのに対し、空気電池は空気中の酸素を正極(空気極)活物質として利用する。正極活物質が電池の構成物から取り除かれ、また空気中から酸素がほぼ無限に供給されるために、空気電池は他の電池と比較して高いエネルギー密度を実現し得る。例えば、600Wh/kgのエネルギー密度を有するリチウム空気電池が既に存在するが、この値は従来のリチウムイオン電池の約3倍に相当する。従って空気電池は他の電池と比較して稼働時間を著しく向上し、さらに電池の大きさを大幅に縮小できる可能性がある。
【0003】
このような空気電池は、例えば、導電性材料、触媒および結着材を有する空気極層、および空気極の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を有する負極層、および負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、空気極と負極の間でイオンを輸送する電解質とを有する。
【0004】
しかしながら、従来技術で作られる空気電池には、電池の長期間保管が困難であるという短所がある。これは負極に用いられる負極活物質が、電解質と反応することに起因する。空気電池の電解質中に存在する水は、電池特性を左右する重要な要素である。空気電池の放電反応においては、まず電解質中の水と空気中の酸素および電子とが反応して水酸化イオンが生成され、この水酸化イオンと負極活物質とが反応して水酸化物または酸化物が生成され、電子が放出される。負極活物質としては、例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、リチウム等の金属またはそれを含む化合物が用いられるが、従来の空気電池では電池の保管中、負極活物質と電解質中の水とが徐々に反応し、金属水酸化物または金属酸化物等が生成され、これらの負極活物質が放電を行うことなく消費される。この反応は寄生反応(parasitic reaction)と呼ばれる。
【0005】
寄生反応を防止または抑制するために、pHの調整や合金の形成等の技術が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、これまでに報告されている技術では寄生反応を完全に防止することはできていない。負極への水系電解質の浸透をコントロールする技術も報告されているが、水系電解質を輸送するためにポンプが必要であるために電池重量が増加し、エネルギー密度が減少する欠点がある。
【0006】
近年、リチウム空気電池において寄生反応を抑制する技術が開発された。これは金属リチウムを非水系電解質とともにリチウムイオン透過性セラミック電解質で覆われた負極部内に封入し、空気極側に存在する水系電解質からリチウム元素を隔離するものである(特許文献1)。この技術はリチウム空気電池の寿命の長期化を実現し得るが、セラミック中のリチウムイオン透過性が低いために、放電の際の電流量が低下する。
【0007】
また、近年開発された別のリチウム空気電池として、水系電解質を完全に非水系電解質で置換したものが存在する。これはリチウムイオンを負極から非水系電解質を通して空気極へ輸送することで放電を行うものである(非特許文献2)。しかしながらこの種の電池では水分の存在下において機能が著しく低下するために、利用にあたっては水分を含まない空気の供給が必要であり、実用性に欠ける。
【0008】
従来の空気電池が抱える別の課題として、性能が周囲環境に影響を受けやすいというものがある。空気電池は周囲環境からの酸素供給を必要とするため、空気極は、空気中へ開放された構造を持つ。特に空気中の湿度が低い場合、電解質中の水が空気中に蒸発しやすくなり、電池特性に影響が及ぼされる。このため、多くの空気電池では電池からの水分蒸発の厳密な制御が必要とされる。
【0009】
3つ目の課題として、充電が不可能であるというものがある。放電反応で生成される金属水酸化物または金属酸化物は水系電解質中に溶出し、充電過程において金属が負極以外の場所に不均一に析出する。析出した金属はしばしばデンドライトと呼ばれる針状構造を形成し、これがセパレータを貫通して短絡を引き起こす。
【0010】
4つ目の課題として、限定された動作温度がある。電解質の一部として水を用いるため、水の融点以下、もしくはその近傍、また水の沸点以上、もしくはその近傍では電池が正常に機能しない。
【0011】
このような課題により、空気電池の利用用途は特殊な応用例に限られているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7282295号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Handbook of Batteries, McGrawーhill Professional
【非特許文献2】Ogasawara T et al.,J.Am.Chem.Soc.2006,128(4),pp1390ー1393
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上を踏まえ、解決しようとする課題点は、寄生反応が起こらない点、性能が周囲環境に影響を受けやすい点、充電が不可能である点、および、稼働温度領域が水の融点以上沸点以下に限定される点である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、酸素イオンが電解質間を移動することで充電および放電が行われる空気電池であって、酸素イオンを輸送する酸素キャリアとして、非水性の有機分子を用いることを最も主要な特徴とする空気電池を提案する。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明においては、負極活物質を含有する負極活物質層を有する負極層、および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、空気極触媒を含有する空気極層、および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、前記負極、および前記空気極の間で酸素イオンの輸送を行う酸素キャリアを含有する電解質酸素キャリア層を有する電解質とを有する空気電池であって、前記電解質酸素キャリア層の数は1層以上であり、前記酸素キャリアは、非水系の有機分子であることを特徴とする空気電池を提供する。
【0017】
本発明によれば、従来の空気電池で用いられる水系電解質と異なり、本発明で酸素キャリアとして用いられる非水系の有機分子は、金属を含む負極活物質に対して不活性であるために、寄生反応が起こらない。また、高い蒸気圧を有する非水系の有機分子を酸素キャリアとして選べば、系からの分子の蒸発を無視できる程度に小さくすることができ、従って湿度を含む周囲環境に影響を受けにくい電池の設計が可能である。さらに、酸素キャリアとして用いられる非水系の有機分子は金属酸化物の溶出を引き起こさないため、充電過程における金属化合物の不均一な析出を防ぐことができ、繰り返し充電が可能となる。また、稼働領域温度が水に依存しないために、水の融点以上沸点以下よりも広い温度領域で稼働する。
【0018】
本発明においては、酸素キャリアは、アルコール類、硫酸塩類、チオ硫酸塩類、アルカリジチオン酸塩類、アルカリ亜ジチオン酸塩類、ポリチオン酸類、チオエーテル類、チオール類、チオレート類、スルホキシド類、スルホン類、アミン類、ウレアーゼ類、アリルアゾ化合物類、複素環化合物類、大環状化合物類、大環状化合物の金属錯体、および、これら化合物の水素原子がハロゲノ基群、ニトロ基群、スルホニル基群に置換された化合物のいずれかであることが好ましい。
【0019】
本発明においては、酸素キャリアは、アミニウム(aminium)、トリエチルアミン(triethylamine)、ジエチルアミン(diethylamine)、トリブチルアミン(tributhylamine)、ジブチルアミン(dibuthylamine)、アニリン(aniline)、ニトロアニリン(nitroaniline)、アミノエタノール(ethanolamine)、ヒドラジン(hydrazine)、アゾベンゼン(azobenzene)、ジエチルジアゼン(diethylazene)、アジリジン(aziridine)、硫黄アレーン(thiarene)、アゼチジン(azetidine)、チエタン(thietane)、ジアゼチジン(diazetidine)、ジオキセタン(dioxatane)、ジチエタン(dithietane)、アゾリジン(azolidine)、チオラン(thiolane)、フォスフォラン(phospholane)、シロラン(silolane)、アルソラン(arsolane)、イミダゾリジン(imidazolidine)、ピラゾリジン(pyrazolidine)、オキサゾリジン(oxazolidine)、イソキサゾリジン(isoxazolidine)、チアゾリジン(thiazolidine)、イソチアゾリジン(isothiazolidine)、ジオキサラン(dioxalane)、オキサチオラン(oxathiolane)、ジチオラン(dithiolane)、ピペリジン(piperidine)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、チアン(thiane)、(ピペラジン)、モルホリン(morpholine)、ジチアン(dithiane)、ジオキサン(dioxane)、トリオキサン(trioxane)、アゼパン(azepane)、オキサパン(oxapane)、チエパン(thiepane)、アゾカン(azocane)、オキセカン(oxacane)、チオカン(thiocane)、2,2,6,6ーテトラメチルピペリジン(2,2,6,6ーtetramethylpiperidine)、アジリン(azirine)、チイレン(thiirene)、ジアジリン(diazirine)、アゼテ(azete)、オキセテ(oxete)、チエテ(thiete)、ジオキセテ(dioxete)、ジチエテ(dithiete)、ピロール(pyrrole)、フラン(furan)、チオフェン(thiophene)、フォスフォール(phosphole)、シロレ(silole)、アルソール(arsole)、イミダゾール(imidazole)、イミダゾリン(imidazoline)、ピラゾール(pyrazole)、ピラゾリン(pyrazoline)、オキサゾール(oxazole)、オキサゾリン(oxazoline)、イソキサゾール(isoxazole)、イソキサゾリン(isoxazoline)、チアゾール(thiazole)、チアゾリン(thiazoline)、イソチアゾール(isothiazole)、イソチアゾリン(isothiazoline)、トリアゾール(triazole)、ジチアゾール(dithiazole)、フラザン(frazan)、オキサジアゾール(oxadiazole)、チアジアゾール(thiadiazole)、テトラゾール(tetrazole)、ピリジン(pyridine)、ピラン(pyran)、チオピラン(thiopyran)、ジアジン(diazine)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ダイオキシン(dioxine)、トリアジン(triazine)、テトラジン(tetrazine)、アゼピン(azepine)、オキセピン(oxepine)、チエピン(thiepine)、ジアゼピン(diazepine)、チアゼピン(thiazepine)、アゾシン(azocine)、フタロシアニン(phthalocyanine)、ポルフィリン(porphyrin)、テトラベンゾポルフィリン(tetrabenzoporphyrin)、テトラアゾポルフィリン(tetraazoporphyrin)、および、これら化合物の金属錯体、および、これら化合物の水素原子がハロゲノ基群、ニトロ基群、スルホニル基群に置換された化合物のいずれかであることが好ましい。
【0020】
本発明においては、負極層が酸素イオンの輸送を行う酸素キャリアを含有する1層以上の負極酸素キャリア層を含有し、負極集電体は隣接する前記負極酸素キャリア層と前記電解質キャリア層の界面に位置するものであってもよい。
【0021】
本発明において、負極層が負極酸素キャリア層を含有せず、電解質酸素キャリア層の数が2層以上である場合には、負極活物質層と接する電解質酸素キャリア層以外の、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層に含有される酸素キャリアが、水系溶媒に溶解していてもよい。負極活物質層に接しない酸素キャリア層では、寄生反応は発生しないためである。
【0022】
本発明において、負極層が2層以上の負極酸素キャリア層を含有する場合、負極活物質層と接する負極酸素キャリア層以外の負極酸素キャリア層のうち、少なくとも1つ以上の層に含有される前記酸素キャリア、および、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層に含有される酸素キャリアが、水系溶媒に溶解していてもよい。負極活物質層に接しない酸素キャリア層では、寄生反応は発生しないためである。
【0023】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、唯一の構成物であってもよい。
【0024】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、非水系溶媒に溶解していてもよい。
【0025】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、イオン液体に溶解していてもよい。
【0026】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、多孔性担体に支持されていてもよい。
【0027】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、ポリマー分子の側鎖の一部であってもよい。
【0028】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、ポリマー分子の主鎖の一部であってもよい。
【0029】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、無機粒子の表面において固定化されていてもよい。
【0030】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、有機粒子の表面において固定化されていてもよい。
【0031】
本発明においては、少なくとも1つ以上の負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層において、酸素キャリアが、酸素イオン透過性セラミック導電体膜または粒子を含有していてもよい。
【0032】
本発明においては、空気極層が、酸素キャリアにより含浸され、材料表面において酸素分子、電子、および酸素キャリアからなる三相界面を有することが好ましい。三相界面において反応が促進されるためである。
【0033】
本発明においては、負極活物質層が、酸素キャリアにより含浸され、材料表面において負極活物質、電子、および酸素キャリアからなる三相界面を有することが好ましい。三相界面において反応が促進されるためである。
【0034】
本発明においては、負極活物質が、金属元素を含むことが好ましい。
【0035】
本発明においては、負極活物質が、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Al、Zn、Sn、In、および、これら金属元素の合金を含むことが好ましい。
【0036】
本発明においては、負極活物質が、粒子状の金属を含んでいてもよい。
【0037】
本発明においては、負極活物質が、多孔性形状を有していてもよい。
【0038】
本発明においては、負極活物質が、撹拌装置により撹拌されてもよい。
【0039】
本発明においては、負極活物質が、水素、一酸化炭素、および、気体炭化水素を含んでいてもよい。
【0040】
本発明においては、空気極触媒が、炭素に支持された、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os、Mn、Ni、および、これら金属元素の合金を含むことが好ましい。
【0041】
本発明においては、空気極が、支持体により支持されており、空気極と前記支持体の間にバネが存在していてもよい。このバネが、空気極の体積変化を調整することができるためである。
【0042】
本発明においては、負極が、折りたたみ可能な支持体により支持されていてもよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、従来の空気電池で用いられる水系電解質と異なり、本発明で酸素キャリアとして用いられる非水系分子は金属を含む負極活物質に対して不活性であるために、寄生反応が起こらない。また、高い蒸気圧を有する非水系分子を酸素キャリアとして選べば、系からの分子の蒸発を無視できる程度に小さくすることができ、従って湿度を含む周囲環境に影響を受けにくい電池の設計が可能である。さらに、酸素キャリアとして用いられる非水系分子は金属酸化物の溶出を引き起こさないため、充電過程における金属化合物の不均一な析出を防ぐことができ、繰り返し充電が可能となる。また、稼働領域温度が水に依存しないために、水の融点以上沸点以下よりも広い温度領域で稼働する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が1層である場合の空気電池の内部機構、および反応機構を示した説明図である。図中の円内は2線により指定された箇所を拡大したものである。
【図2】負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が2層である場合の空気電池の内部機構、および反応機構を示した説明図である。図中の円内は2線により指定された箇所を拡大したものである。
【図3】負極層に負極酸素キャリア層が1層含まれ、かつ、電解質酸素キャリア層が1層である場合の空気電池の内部機構、および反応機構を示した説明図である。図中の円内は2線により指定された箇所を拡大したものである。
【図4】負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が1層である場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。
【図5】負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が2層である場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。
【図6】負極層に負極酸素キャリア層が1つ含まれ、かつ、電解質酸素キャリア層が1層である場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。
【図7】負極層に負極酸素キャリア層が1つ含まれ、かつ、電解質酸素キャリア層が1層である場合の空気電池の別の組み立て例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は空気極、負極とそれらを隔離する電解質を有する。電解質は、酸素イオンの輸送を行う酸素キャリアを含有する電解質酸素キャリア層を有する。空気極は、酸素を酸化還元する空気極触媒を含有する空気極層、および空気極層の集電を行う空気極集電体を有する。負極は、負極活物質を含有する負極活物質層を有する負極層、および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する。
【0046】
電解質が有する電解質酸素キャリア層は1つであっても、2つ以上であってもよい。
【0047】
負極層は、負極活物質を含有する負極活物質層のほかに、酸素イオンの輸送を行う酸素キャリアを含有する1つ以上の負極酸素キャリア層を有していてもよい。すなわち、1つ以上の負極酸素キャリア層が、負極活物質層の空気極側の隣に位置し、かつ、負極集電体が、負極活物質層から最も離れて位置する負極酸素キャリア層と、それと隣り合う電解質酸素キャリア層との界面に位置していてもよい。
【0048】
図1は、負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が1つである場合の空気電池の内部機構、および反応機構を示した説明図である。負極51は、負極活物質8を含有する負極活物質層22を有する負極層1、および負極活物質層22の集電を行う負極集電体4を有する。空気極53は、空気極触媒20を含有する空気極層3、および空気極層3の集電を行う空気極集電体5を有する。場合によっては、空気極53は、水の浸入を抑制するガス拡散メンブレン21を含んでもよい。電解質52は、負極活物質層22と空気極層3の間で酸素イオンの輸送を行う酸素キャリア6を含有する電解質酸素キャリア層2を有する。電解質酸素キャリア層2は酸素キャリア6、酸素キャリア6と酸素イオンが結びついた酸素キャリアイオン7を有する。以下、放電過程での反応について説明する。まず酸素源10から酸素が供給される。電解質52の酸素キャリア6は空気極層3内に一部浸透しており、空気極層3内において、酸素分子、電子および空気極触媒20の境界面が形成される。この境界面では、酸素源10から供給される酸素分子が空気極集電体5から来る電子によって還元され、酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは酸素キャリア6と反応し、酸素キャリアイオン7が生成される。酸素キャリアイオン7は電解質酸素キャリア層2中を負極側へ移動する。負極活物質層22には電解質52の酸素キャリアイオン7が一部浸透しており、負極活物質層22内において、酸素イオン、電子および負極活物質8の境界面が形成される。境界面において、酸素キャリアイオン7は負極活物質8と反応し、酸素キャリア6と負極活物質酸化物9が生成され、電子が放出される。放出された電子は負極集電体4に移動し、外部回路を経由して空気極集電体5に移動する。従って、本実施形式では、負極活物質8が酸化されることにより電力が発生し、反応は負極活物質8が完全に酸化されるまで続く。負極活物質8として金属元素が用いられる場合、物質8の酸化反応は酸素キャリアイオン7に露出している金属の表面から開始し、徐々に中心部へ進行する。
【0049】
図1においては、場合によっては、酸素キャリア6は多孔性担体24に包含されている。あるいは、酸素キャリア6は溶媒23に溶解し、多孔性担体24に包含されている。溶媒23は非水系溶媒およびイオン液体を含む。あるいは、酸素キャリア6は有機ポリマーやシルセスキオキサン等のポリマー材料内に組み込まれている。
【0050】
図1において、空気極53および負極51における放電過程での反応は以下のように記述できる。
【化1】

充電過程における反応はこれらの逆となる。
【0051】
図2は、負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が2つである場合の空気電池の内部機構、および反応機構を示した説明図である。図中の円内は2線により指定された箇所を拡大したものである。負極51は、負極活物質8を含有する負極活物質層22を有する負極層1、および負極活物質層22の集電を行う負極集電体4を有する。空気極53は、空気極触媒20を含有する空気極層3、および空気極層3の集電を行う空気極集電体5を有する。場合によっては、空気極53は、水の浸入を抑制するガス拡散メンブレン21を含んでもよい。電解質52は、空気極層3から酸素イオンの輸送を行う酸素キャリア6を含有する電解質酸素キャリア層2、および負極活物質層22へ酸素イオンの輸送を行う別の酸素キャリア11を含有する電解質酸素キャリア層13を有する。酸素キャリア11は酸素キャリア6よりも低い酸化還元電位を有する。以下、放電過程での反応について説明する。まず酸素源10から酸素が供給される。電解質52の酸素キャリア6は空気極層3内に一部浸透しており、空気極層3内において、酸素分子、電子および空気極触媒20の境界面が形成される。この境界面では、酸素源10から供給される酸素分子が空気極集電体5から来る電子によって還元され、酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは酸素キャリア6と反応し、酸素キャリアイオン7が生成される。酸素キャリアイオン7は電解質酸素キャリア層2内を負極側へ移動する。酸素キャリアイオン7が電解質酸素キャリア層13との界面に到達すると、酸素キャリアイオン7に結合している酸素イオンが酸素キャリア11に移動し、酸素キャリアイオン7が酸素キャリア6に戻り、酸素キャリア11は酸素キャリアイオン12に変換される。酸素キャリア6は空気極53において再び酸素イオンと反応する。酸素キャリアイオン12は電解質酸素キャリア層13中を負極側へ移動する。負極活物質層22には電解質52の酸素キャリアイオン12が一部浸透しており、負極活物質層22内において、酸素イオン、電子および負極活物質8の境界面が形成される。境界面において、酸素キャリアイオン12は負極活物質8と反応し、酸素キャリア11と負極活物質酸化物9が生成され、電子が放出される。放出された電子は負極集電体4に移動し、外部回路を経由して空気極集電体5に移動する。従って、本実施形式では、負極活物質8が酸化されることにより電力が発生し、反応は負極活物質8が完全に酸化されるまで続く。負極活物質8として金属元素が用いられる場合、金属酸化反応は酸素キャリアイオン12に露出している金属表面から開始し、徐々に中心部へ進行する。
【0052】
図2においては、場合によっては、酸素キャリア6は多孔性担体24に包含されている。あるいは、酸素キャリア6は、溶媒23に溶解し、多孔性担体24に包含されている。溶媒23は、非水系溶媒、およびイオン液体を含む。あるいは、溶媒23には、水系溶媒を用いてもよい。あるいは、酸素キャリア6は、有機ポリマーやシルセスキオキサン等のポリマー材料内に組み込まれている。場合によっては、酸素キャリア11は多孔性担体26に包含されている。あるいは、酸素キャリア11は溶媒25に溶解し、多孔性担体26に包含されている。溶媒25は、非水系溶媒、イオン液体を含む。あるいは、酸素キャリア11は有機ポリマーやシルセスキオキサン等のポリマー材料内に組み込まれている。
【0053】
図2において、電解質酸素キャリア層は3つ以上であってもよい。この場合、電解質酸素キャリア層に含まれる酸素キャリアの酸化還元電位が高いものから順に、空気極側から配置される。すなわち、最も高い酸化還元電位を有する酸素キャリアを有する電解質酸素キャリア層が空気極と隣接し、最も低い酸化還元電位を有する酸素キャリアを有する電解質酸素キャリア層が負極と隣接する。放電過程において、酸素イオンは空気極53から隣接する電解質酸素キャリア層に移動し、その後負極側の隣の層に移動する。同様に酸素キャリアが層内を移動し、最終的に負極活物質8と反応し、負極活物質酸化物9が生成され、電子が放出される。
【0054】
電解質酸素キャリア層が3つ以上の場合、負極活物質層22と隣り合う電解質酸素キャリア層以外の層に含まれる酸素キャリアを溶解する溶媒には、非水系溶媒、イオン液体に加え、水系溶媒を用いてもよい。負極活物質層22に接しない酸素キャリア層では、寄生反応は発生しないためである。
【0055】
図2において、空気極、各電解質酸素キャリア層の界面、および負極における放電過程での反応は以下のように記述できる。
【化2】

上述の式は電解質酸素キャリア層が2つの場合の反応式を表したものである。2層よりも多い電解質酸素キャリア層を有する電池においては、電解質酸素キャリア層の界面における上述の反応と同様の反応が複数の酸素キャリア層の界面において起こる。充電過程における反応はこれらの逆となる。
【0056】
図3は、負極層に負極酸素キャリア層が1つ含まれ、かつ、電解質酸素キャリア層が1つである場合の空気電池の内部機構、および反応機構を示した説明図である。図中の円内は2線により指定された箇所を拡大したものである。負極51は、負極活物質8を含有する負極活物質層22、負極活物質層22と電解質酸素キャリア層2の間で酸素イオンの輸送を行う酸素キャリア61を含有する負極酸素キャリア層63、および負極酸素キャリア層63の集電を行う負極集電体4を有する。負極酸素キャリア層63は負極活物質層22と隣接する。負極集電体4は、負極酸素キャリア層63と電解質酸素キャリア層2の界面に位置し、負極活物質層22とは電気的に接続されていない。空気極53は、空気極触媒20を含有する空気極層3、および空気極層3の集電を行う空気極集電体5を有する。場合によっては、空気極53は、水の浸入を抑制するガス拡散メンブレン21を含んでもよい。電解質52は、負極酸素キャリア層63と空気極層3の間で酸素イオンの輸送を行う酸素キャリア6を含有する電解質酸素キャリア層2を有する。以下、放電過程での反応について説明する。まず酸素源10から酸素が供給される。電解質52の酸素キャリア6は空気極層3内に一部浸透しており、空気極層3内において、酸素分子、電子および空気極触媒20の境界面が形成される。この境界面では、酸素源10から供給される酸素分子が空気極集電体5から来る電子によって還元され、酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは酸素キャリア6と反応し、酸素キャリアイオン7が生成される。酸素キャリアイオン7は電解質酸素キャリア層2内を負極側へ移動する。酸素キャリアイオン7が負極酸素キャリア層63との界面に到達すると、酸素キャリアイオン7に結合している酸素イオンが酸素キャリア61に移動し、酸素キャリアイオン7が酸素キャリア6に戻り、酸素キャリア61は酸素キャリア酸化物62に変換され、電子が放出される。放出された電子は負極集電体4に移動し、外部回路を経由して空気極集電体5に移動する。従って、本実施形式では、負極酸素キャリア層63の酸素キャリア61が酸化されることにより電力が発生する。酸素キャリア6は空気極53において再び酸素イオンと反応する。酸素キャリア酸化物62は負極酸素キャリア層63中を負極活物質層22側へ移動する。負極活物質層22には電解質52の酸素キャリア酸化物62が一部浸透しており、負極活物質層22内において、酸素キャリア酸化物62、電子および負極活物質8の境界面が形成される。境界面において、酸素キャリア酸化物62は負極活物質8と反応し、酸素キャリア61と負極活物質酸化物9が生成される。酸素キャリア61は、酸素キャリアイオン7と負極酸素キャリア層63との界面へ戻り、再び酸素キャリアイオン7と反応し、酸素キャリア酸化物62に変換され、電子が放出される。これらの反応は負極活物質8が完全に酸化されるまで続く。負極活物質8として金属元素が用いられる場合、金属酸化反応は酸素キャリア酸化物62に露出している金属表面から開始し、徐々に中心部へ進行する。
【0057】
図3において、負極酸素キャリア層63、および電解質酸素キャリア層2はそれぞれ2つ以上あってもよい。この場合、全ての電解質酸素キャリア層に含まれる酸素キャリアの酸化還元電位は、負極酸素キャリア層に含まれるいずれの酸素キャリアの還元電位よりも高い。電解質酸素キャリア層は、含まれる酸素キャリアの酸化還元電位が高いものから順に、空気極側から配置される。負極酸素キャリア層も同様に、含まれる酸素キャリアの酸化還元電位が高いものから順に、空気極側から配置される。電解質酸素キャリア層の内で、酸化還元電位が最も高い酸素キャリアを有する層は、空気極と隣接する。負極酸素キャリア層の内で、酸化還元電位が最も低い酸素キャリアを有する層は、負極活物質層と隣接する。電解質酸素キャリア層の内で、酸化還元電位が最も低い酸素キャリアを有する層と、負極酸素キャリア層の内で、酸化還元電位が最も高い酸素キャリアを有する層は、互いに隣接する。酸素イオンと反応し電力の発生に寄与するのは、互いに隣接する電解質酸素キャリア層および負極酸素キャリア層に含まれる酸素キャリアである。
【0058】
図3においては、場合によっては、酸素キャリア6は多孔性担体24に包含されている。あるいは、酸素キャリア6は、溶媒23に溶解し、多孔性担体24に包含されている。溶媒23は、非水系溶媒、およびイオン液体を含む。あるいは、溶媒23には、水系溶媒を用いてもよい。負極活物質層に接しない酸素キャリア層では、寄生反応は発生しないためである。あるいは、酸素キャリア6は、有機ポリマーやシルセスキオキサン等のポリマー材料内に組み込まれている。場合によっては、酸素キャリア61は多孔性担体66に包含されている。あるいは、酸素キャリア61は溶媒65に溶解し、多孔性担体66に包含されている。溶媒65は、非水系溶媒、イオン液体を含む。
【0059】
負極酸素キャリア層が2つ以上の場合、負極活物質層と隣り合う負極酸素キャリア層以外の層に含まれる酸素キャリアを溶解する溶媒には、非水系溶媒、イオン液体に加え、水系溶媒を用いてもよい。負極活物質層に接しない酸素キャリア層では、寄生反応は発生しないためである。
【0060】
図3において、空気極、負極、および負極酸素キャリア層と電解質酸素キャリア層の界面における放電過程での反応は以下のように記述できる。
【化3】

上述の式は負極酸素キャリア層および電解質酸素キャリア層がそれぞれ1つの場合の反応式を表したものである。それぞれの層が2層以上の場合、電解質酸素キャリア層同士の界面、および負極酸素キャリア層同士の界面では、図2における電解質酸素キャリア層の界面と同様の反応が起こる。充電過程における反応はこれらの逆となる。
【0061】
表面積の大きい負極活物質8を用いることで、負極活物質8と酸素キャリア6、11または61との接触面積を大きくし、負極活物質層22における反応を促進できる場合がある。あるいは、負極活物質8と酸素キャリア6、11または61とを機械的に撹拌することでも反応が促進される場合がある。負極活物質8が酸素イオンにより酸化される反応は発熱反応であるため、負極51を電解質52、および空気極53よりも下部に設置することで熱循環が生じ、これにより酸素キャリア6、11または61が撹拌され、反応が促進される場合がある。場合によっては、酸素キャリア6、11または61は酸素イオンを放出した後に気化され、空気極側に向かって循環する。
【0062】
場合によっては、負極酸素キャリア層62、および電解質酸素キャリア層2、13は、酸素キャリア6、11または61のみから構成される。あるいは、酸素キャリア6、11または61の構成物は多孔性担体内に格納される。あるいは、酸素キャリア6、11または61の構成物はポリマー材料、またはポリマー粒子、または無機粒子に共有結合を含む分子間力により固定される。
【0063】
本発明の空気電池は室温で稼働する。あるいは摂氏30度以上900度以下の高温で稼働する。あるいは摂氏マイナス30度以上30度以下の低温で稼働する。稼働に必要な熱は発熱反応を通した自己放熱と外部熱源の組み合わせにより供給される。外部熱源としては、電池の隣に位置したヒーター、あるいはエンジンからの廃熱等の熱源があり得る。場合によっては、電池の自己放熱のみでも稼働温度領域を維持することも可能である。
【0064】
本発明で利用される酸素キャリア6、11または61は非水系の有機分子であり、複数の原子価状態を持つことができ、酸素イオンを輸送可能な部位を有する。場合によって酸素キャリア6、11または61はXという化学式で表せる。ここでXはN、C、S、Si、O、P、As、およびAlまたはこれらの混合から選定され、Rは水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはより分子量の大きなアルキル基、アルケニル基、芳香族基、またはこれらの組み合わせから選定される。jは0から6までの整数であり、kは1から30までの整数である。Xの例としては、アルコール、硫酸塩類、チオ硫酸塩類、アルカリジチオン酸塩類、アルカリ亜ジチオン酸塩類、ポリチオン酸類、チオエーテル類、チオール類、チオレート類、スルホキシド類、スルホン類、アミン類、ウレアーゼ類、アリルアゾ化合物類、複素環化合物類、大環状化合物類、大環状化合物の金属錯体、およびこれらのハロゲン化物があるが、これに限らない。アミン類の例としては、アミニウム(aminium)、トリエチルアミン(triethylamine)、ジエチルアミン(diethylamine)、トリブチルアミン(tributhylamine)、ジブチルアミン(dibuthylamine)、アニリン(aniline)、ニトロアニリン(nitroaniline)、アミノエタノール(ethanolamine)、ヒドラジン(hydrazine)があるが、これに限らない。アリルアゾ化合物類の例としては、アゾベンゼン(azobenzene)、またはジエチルジアゼン(diethylazene)等のアルキルアゾ化合物があるが、これに限らない。複素環化合物類は、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素、ヒ素またはこれらのヘテロ原子のうちいずれかを含む有機分子であり、環の数は3かそれ以上のものである。複素環化合物類は飽和または不飽和構造を有する。飽和複素環化合物の例としては、アジリジン(aziridine)、硫黄アレーン(thiarene)、アゼチジン(azetidine)、チエタン(thietane)、ジアゼチジン(diazetidine)、ジオキセタン(dioxatane)、ジチエタン(dithietane)、アゾリジン(azolidine)、チオラン(thiolane)、フォスフォラン(phospholane)、シロラン(silolane)、アルソラン(arsolane)、イミダゾリジン(imidazolidine)、ピラゾリジン(pyrazolidine)、オキサゾリジン(oxazolidine)、イソキサゾリジン(isoxazolidine)、チアゾリジン(thiazolidine)、イソチアゾリジン(isothiazolidine)、ジオキサラン(dioxalane)、オキサチオラン(oxathiolane)、ジチオラン(dithiolane)、ピペリジン(piperidine)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、チアン(thiane)、(ピペラジン)、モルホリン(morpholine)、ジチアン(dithiane)、ジオキサン(dioxane)、トリオキサン(trioxane)、アゼパン(azepane)、オキサパン(oxapane)、チエパン(thiepane)、アゾカン(azocane)、オキセカン(oxacane)、チオカン(thiocane)、2,2,6,6ーテトラメチルピペリジン(2,2,6,6ーtetramethylpiperidine)があるが、これに限らない。不飽和複素環化合物の例としては、アジリン(azirine)、チイレン(thiirene)、ジアジリン(diazirine)、アゼテ(azete)、オキセテ(oxete)、チエテ(thiete)、ジオキセテ(dioxete)、ジチエテ(dithiete)、ピロール(pyrrole)、フラン(furan)、チオフェン(thiophene)、フォスフォール(phosphole)、シロレ(silole)、アルソール(arsole)、イミダゾール(imidazole)、イミダゾリン(imidazoline)、ピラゾール(pyrazole)、ピラゾリン(pyrazoline)、オキサゾール(oxazole)、オキサゾリン(oxazoline)、イソキサゾール(isoxazole)、イソキサゾリン(isoxazoline)、チアゾール(thiazole)、チアゾリン(thiazoline)、イソチアゾール(isothiazole)、イソチアゾリン(isothiazoline)、トリアゾール(triazole)、ジチアゾール(dithiazole)、フラザン(frazan)、オキサジアゾール(oxadiazole)、チアジアゾール(thiadiazole)、テトラゾール(tetrazole)、ピリジン(pyridine)、ピラン(pyran)、チオピラン(thiopyran)、ジアジン(diazine)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ダイオキシン(dioxine)、トリアジン(triazine)、テトラジン(tetrazine)、アゼピン(azepine)、オキセピン(oxepine)、チエピン(thiepine)、ジアゼピン(diazepine)、チアゼピン(thiazepine)、アゾシン(azocine)があるが、これに限らない。これらの化合物に含まれる水素原子は、ハロゲノ基群、ニトロ基群、スルホニル基群に置換されてもよい。大環状化合物の例としては、フタロシアニン(phthalocyanine)、ポルフィリン(porphyrin)、テトラベンゾポルフィリン(tetrabenzoporphyrin)、テトラアゾポルフィリン(tetraazoporphyrin)、およびこれらの金属錯体があるが、これに限らない。
【0065】
場合によっては、酸素キャリアは有機ポリマーやシルセスキオキサン(silsesquioxane)等のポリマー材料内に組み込まれている。有機ポリマーの材料例としては、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスルホン(polyaulfone)、ポリケトン(polyketone)、ポリエーテルケトン(polyetherketone)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)があるが、これに限らない。シルセスキオキサン(silsesquioxane)は、(R’SiO1.5の化学式で表される化合物である。nは整数であり、本発明に応用する場合には2よりも大きい値をとる。R’は有機官能基である。シルセスキオキサンのネットワークにおいては、酸素キャリア6、11または61はR’またはその一部を置換する。酸素キャリア6、11または61はこれらのポリマー、またはこれらのポリマーの共重合体に側鎖として結合していてもよい。または酸素キャリア6、11または61はこれらのポリマー、またはこれらのポリマーの共重合体の骨格に導入されていてもよい。場合によっては、酸素キャリアは炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の無機粒子表面に組み込まれてもよい。粒子径は1nmから1mmの範囲であることが好ましい。場合によっては、酸素キャリア6、11または61は溶媒として機能する。場合によっては、酸素キャリア6、11または61は、イットリウム安定化ジルコニア、サマリウムドープセリア、ガドリニウムドープセリア等の酸素透過性セラミック膜または粒子を含んでもよい。場合によっては、酸素キャリア6、11または61は水素、一酸化炭素、炭化水素気体等の還元性気体を含んでもよい。
【0066】
好ましい空気極集電体5の材料例としては、白金、銀、金、チタン、およびフェライトステンレス鋼があるが、これに限らない。好ましい空気極触媒20の材料例としては、炭素、炭素に支持された白金、炭素に支持されたパラジウム、炭素に支持された銀、炭素に支持された金、炭素に支持されたマンガン、炭素に支持されたニッケル、および炭素に支持されないこれらの材料、およびにこれらの金属の合金があるが、これに限らない。場合によっては、空気極触媒20は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエチルケトン(polyethylketone)、およびポリイミド(polyimide)等のポリマーバインダー間に拡散している。場合によっては、空気極触媒20は、カーボンブラック、銀粉末、金粉末、ニッケル粒子、および白金粒子等の導電性充填剤を含んでもよい。空気極53のガス拡散メンブレン21の材料例としては、ポリテトラフルオエチレン多孔質フィルムがあるが、これに限らない。空気極51の空隙率は、5%から95%、好ましくは10%から70%、さらに好ましくは20%から60%である。空気極51のポア径は、1nmから1mmの範囲にあることが好ましい。
【0067】
好ましい負極集電体4の材料例としては、白金、銀、金、ニッケル合金、およびフェライト鋼等があるが、これに限らない。
【0068】
場合によっては、負極活物質8は、金属元素である。負極活物質8に用いられる金属元素の例としては、Li、Na、K等のアルカリ金属、またはMg、Ca等のアルカリ土類金属、またはFe、Al、Zn、Sn、Ig等のその他金属、またはこれら金属元素の合金等があるが、これに限らない。場合によっては、負極活物質8には、炭素が用いられる。負極活物質8に用いられる炭素の粒子径は1nmから1mmの範囲であることが好ましい。場合によっては、負極活物質8はポリマーバインダー内に組み込まれている。ポリマーバインダーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエチルケトン(polyethylketone)、ポリイミド(polyimide)、およびポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスルホン(polyaulfone)、ポリケトン(polyketone)、ポリエーテルケトン(polyetherketone)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)に支持された酸素キャリアのポリマー体があるが、これに限らない。負極活物質8は、カーボンブラック、銀粉末、金粉末、ニッケル粒子、および白金粒子等の導電性充填剤を含んでもよい。負極51の空隙率は、5%から95%、好ましくは10%から70%、さらに好ましくは20%から60%である。負極51の空隙の一部は酸素キャリア6、11または61を包含している。場合によっては、負極活物質8は、水素、一酸化炭素、またはメタン、エチレン、プロパン等の気体炭化水素であってもよい。
【0069】
図4は、負極層51に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が1つである場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。負極51は負極集電体4を介して、負極ケース35、および負極端子33と電気的に接続されている。負極ケース35は負極端子としても機能する。空気極53は空気極集電体5を介して、空気極ケース36、および空気極端子34と電気的に接続されている。空気極ケース36は空気極端子としても機能する。負極ケース35と空気極ケース36は、絶縁体31により絶縁されている。絶縁体31は内部構成物の漏洩を防ぐガスケットとしても機能する。酸素はガス拡散メンブレン21を通って孔38から電池内に侵入する。バネ37は、空気極53、電解質52と負極51とが電気的に充分接続されるよう圧力を負荷するものである。また、バネ37は、負極活物質8が放電過程で負極51においてその負極活物質酸化物8に変換される際の体積変化を吸収する役割も果たす。
【0070】
図5は、負極層に負極酸素キャリア層が含まれず、かつ、電解質酸素キャリア層が2つである場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。電解質酸素キャリア層が2つあることを除いては、図4と同一の構成である。
【0071】
図6は、負極層に負極酸素キャリア層が1つ含まれ、かつ、電解質酸素キャリア層が1つである場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。負極集電体4が負極酸素キャリア層と電解質酸素キャリア層の界面に存在することを除いては、図5と同一の構成である。
【0072】
図7は、負極活物質を機械的撹拌により撹拌する場合の空気電池の組み立て例を示した説明図である。撹拌機40は空気電池からの電力により稼働する。
【0073】
負極ケース35の好ましい材料例としては、ステンレス鋼、ニッケル合金、フェライトステンレス鋼、およびチタンがあるが、これに限らない。負極ケース35は剛性の高い缶構造でも、折り畳みおよび引き延ばし可能な構造でもよい。
【0074】
空気極ケース36の好ましい材料例としては、ステンレス鋼、ニッケル合金、フェライトステンレス鋼、およびチタンがあるが、これに限らない。絶縁体31の好ましい材料例としては、ナイロン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンがあるが、これに限らない。
【0075】
バネ37は、プラスチック製のスポンジでも金属コイルバネでもよい。バネ37の好ましいプラスチック材料例としては、ポリウレタン、シリコン、ポリプロピレンがあるが、これに限らない。バネ37の好ましい金属材料例としては、ステンレス鋼、およびチタンがあるが、これに限らない。
【0076】
なお、図4〜7は平板構造の空気電池を示しているが、本発明の空気電池は平板形状の電池を積み重ねたもの、またはチューブ形状のものであってもよい。またこれらは組み立て例の一例であり、上述の機構を兼ね備えた、その他の構造を持つ電池の製作も可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 負極層
2、13 電解質酸素キャリア層
3 空気極層
4 負極集電体
5 空気極集電体
6、11、61 酸素キャリア
7、12 酸素キャリアイオン
8 負極活物質
9 負極活物質酸化物
10 酸素源
20 空気極触媒
21 ガス拡散メンブレン
22 負極活物質層
23、25、65 溶媒
24、26、66 多孔性担体
31 絶縁体
33 負極端子
34 空気極端子
35 負極ケース
36 空気極ケース
37 バネ
38 孔
40 撹拌機
51 負極
52 電解質
53 空気極
62 酸素キャリア酸化物
63 負極酸素キャリア層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質を含有する負極活物質層を有する負極層、および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、
空気極触媒を含有する空気極層、および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、
前記負極、および前記空気極の間で酸素イオンの輸送を行う酸素キャリアを含有する電解質酸素キャリア層を有する電解質と
を有する空気電池であって
前記電解質酸素キャリア層の数は1層以上であり、
前記酸素キャリアは、非水系の有機分子である
ことを特徴とする空気電池。
【請求項2】
前記酸素キャリアは、アルコール類、硫酸塩類、チオ硫酸塩類、アルカリジチオン酸塩類、アルカリ亜ジチオン酸塩類、ポリチオン酸類、チオエーテル類、チオール類、 チオレート類、スルホキシド類、スルホン類、アミン類、ウレアーゼ類、アリルアゾ化合物類、複素環化合物類、大環状化合物類、大環状化合物の金属錯体、および、これら化合物の水素原子がハロゲノ基群、ニトロ基群、スルホニル基群に置換された化合物のいずれかである
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気電池。
【請求項3】
前記酸素キャリアは、アミニウム(aminium)、トリエチルアミン(triethylamine)、ジエチルアミン(diethylamine)、トリブチルアミン(tributhylamine)、ジブチルアミン(dibuthylamine)、アニリン(aniline)、ニトロアニリン(nitroaniline)、アミノエタノール(ethanolamine)、ヒドラジン(hydrazine)、アゾベンゼン(azobenzene)、ジエチルジアゼン(diethylazene)、アジリジン(aziridine)、硫黄アレーン(thiarene)、アゼチジン(azetidine)、チエタン(thietane)、ジアゼチジン(diazetidine)、ジオキセタン(dioxatane)、ジチエタン(dithietane)、アゾリジン(azolidine)、チオラン(thiolane)、フォスフォラン(phospholane)、シロラン(silolane)、アルソラン(arsolane)、イミダゾリジン(imidazolidine)、ピラゾリジン(pyrazolidine)、オキサゾリジン(oxazolidine)、イソキサゾリジン(isoxazolidine)、チアゾリジン(thiazolidine)、イソチアゾリジン(isothiazolidine)、ジオキサラン(dioxalane)、オキサチオラン(oxathiolane)、ジチオラン(dithiolane)、ピペリジン(piperidine)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、チアン(thiane)、(ピペラジン)、モルホリン(morpholine)、ジチアン(dithiane)、ジオキサン(dioxane)、トリオキサン(trioxane)、アゼパン(azepane)、オキサパン(oxapane)、チエパン(thiepane)、アゾカン(azocane)、オキセカン(oxacane)、チオカン(thiocane)、2,2,6,6ーテトラメチルピペリジン(2,2,6,6ーtetramethylpiperidine)、アジリン(azirine)、チイレン(thiirene)、ジアジリン(diazirine)、アゼテ(azete)、オキセテ(oxete)、チエテ(thiete)、ジオキセテ(dioxete)、ジチエテ(dithiete)、ピロール(pyrrole)、フラン(furan)、チオフェン(thiophene)、フォスフォール(phosphole)、シロレ(silole)、アルソール(arsole)、イミダゾール(imidazole)、イミダゾリン(imidazoline)、ピラゾール(pyrazole)、ピラゾリン(pyrazoline)、オキサゾール(oxazole)、オキサゾリン(oxazoline)、イソキサゾール(isoxazole)、イソキサゾリン(isoxazoline)、チアゾール(thiazole)、チアゾリン(thiazoline)、イソチアゾール(isothiazole)、イソチアゾリン(isothiazoline)、トリアゾール(triazole)、ジチアゾール(dithiazole)、フラザン(frazan)、オキサジアゾール(oxadiazole)、チアジアゾール(thiadiazole)、テトラゾール(tetrazole)、ピリジン(pyridine)、ピラン(pyran)、チオピラン(thiopyran)、ジアジン(diazine)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ダイオキシン(dioxine)、トリアジン(triazine)、テトラジン(tetrazine)、アゼピン(azepine)、オキセピン(oxepine)、チエピン(thiepine)、ジアゼピン(diazepine)、チアゼピン(thiazepine)、アゾシン(azocine)、フタロシアニン(phthalocyanine)、ポルフィリン(porphyrin)、テトラベンゾポルフィリン(tetrabenzoporphyrin)、テトラアゾポルフィリン(tetraazoporphyrin)、および、これら化合物の金属錯体、および、これら化合物の水素原子がハロゲノ基群、ニトロ基群、スルホニル基群に置換された化合物のいずれかである
ことを特徴とする、請求項2に記載の空気電池。
【請求項4】
負極層が、酸素イオンの輸送を行う酸素キャリアを含有する負極酸素キャリア層を含有する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の空気電池であって、
前記負極酸素キャリア層の数は1層以上であり、
前記負極集電体は隣接する前記負極酸素キャリア層と前記電解質キャリア層の界面に位置する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の空気電池。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の空気電池であって、前記電解質酸素キャリア層の数が2層以上である場合に、前記負極活物質層と接する電解質酸素キャリア層以外の、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層に含有される前記酸素キャリアが、水系溶媒に溶解していることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の空気電池。
【請求項6】
請求項4に記載の空気電池であって、前記負極酸素キャリア層の数が2層以上である場合に、前記負極活物質層と接する負極酸素キャリア層以外の負極酸素キャリア層のうち、少なくとも1つ以上の層に含有される前記酸素キャリア、および、少なくとも1つ以上の電解質酸素キャリア層に含有される前記酸素キャリアが、水系溶媒に溶解していることを特徴とする、請求項4に記載の空気電池。
【請求項7】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、唯一の構成物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の空気電池。
【請求項8】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、非水系溶媒に溶解していることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の空気電池。
【請求項9】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、イオン液体に溶解していることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の空気電池。
【請求項10】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、多孔性担体に支持されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の空気電池。
【請求項11】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、ポリマー分子の側鎖の一部であることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の空気電池。
【請求項12】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、ポリマー分子の主鎖の一部であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の空気電池。
【請求項13】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、無機粒子の表面において固定化されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の空気電池。
【請求項14】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、有機粒子の表面において固定化されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の空気電池。
【請求項15】
少なくとも1つ以上の前記負極酸素キャリア層、または、少なくとも1つ以上の前記電解質酸素キャリア層において、前記酸素キャリアが、酸素イオン透過性セラミック導電体膜または粒子を含有することを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の空気電池。
【請求項16】
前記空気極層が、前記酸素キャリアにより含浸され、材料表面において酸素分子、電子、および酸素キャリアからなる三相界面を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれかに記載の空気電池。
【請求項17】
前記負極活物質層が、前記酸素キャリアにより含浸され、材料表面において負極活物質、電子、および酸素キャリアからなる三相界面を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれかに記載の空気電池。
【請求項18】
前記負極活物質が、金属元素を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれかに記載の空気電池。
【請求項19】
前記負極活物質が、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Al、Zn、Sn、In、および、これら金属元素の合金を含むことを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の空気電池。
【請求項20】
前記負極活物質が、粒子状の金属を含むことを特徴とする、請求項1または19のいずれかに記載の空気電池。
【請求項21】
前記負極活物質が、多孔性形状を有することを特徴とする、請求項1から20のいずれかに記載の空気電池。
【請求項22】
前記負極活物質が、撹拌装置により撹拌されることを特徴とする、請求項1から21のいずれかに記載の空気電池。
【請求項23】
前記負極活物質が、水素、一酸化炭素、および、気体炭化水素を含むことを特徴とする、請求項1から22のいずれかに記載の空気電池。
【請求項24】
前記空気極触媒が、炭素に支持された、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os、Mn、Ni、および、これら金属元素の合金を含むことを特徴とする、請求項1から23に記載の空気電池。
【請求項25】
前記空気極が、支持体により支持されており、前記空気極と前記支持体の間にバネが存在することを特徴とする、請求項1から22のいずれかに記載の空気電池であって、前記バネが正極の体積変化を調整することを特徴とする、請求項1から24のいずれかに記載の空気電池。
【請求項26】
前記負極が、折りたたみ可能な支持体により支持されていることを特徴とする、請求項1から25のいずれかに記載の空気電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−15016(P2012−15016A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152078(P2010−152078)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(510138268)
【Fターム(参考)】