説明

空気圧ブレーキブースター

本発明は、空気の圧力差によって作動することが可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能な壁部6によって、少なくとも1つのワーキングチャンバ1と、少なくとも1つの真空チャンバ2とに細分化されているブースターハウジングと、バルブピストン4を備える作動可能入力部材と、出力によってブレーキマスターシリンダ13を作動させる出力部材11、40と、制御ハウジング3内に配置され、バルブピストン4によって作動させることができ、および圧力差を制御するコントロールバルブと、制御ハウジング凹部8内に配置され、出力部材11、40が圧迫する弾性反応体10と、ブレーキブースターが組立てられた状態で、バルブピストン4と反応体10の間に距離zを設定することが可能な手段とを有する空気圧ブレーキブースターに関する。本発明によるブレーキブースターは、距離(z)を設定する手段が、出力部材11、40に設けられていることを特徴とする。本発明は、ブレーキブースターの簡単な設定を有するとともに、非常に狭いスプレッドバンドを実施することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の圧力差によって作動することが可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能な壁部によって、少なくとも1つのワーキングチャンバと、少なくとも1つの真空チャンバとに細分化されているブースターハウジングと、バルブピストンを備える作動可能入力部材と、出力によってブレーキマスターシリンダを作動させる出力部材と、制御ハウジング内に配置され、バルブピストンによって作動させることができ、および圧力差を制御するコントロールバルブと、制御ハウジング凹部内に配置され、出力部材が圧迫する弾性反応体と、ブレーキブースターが組立てられた状態で、バルブピストンと反応体の間にある距離を設定することが可能な手段とを有する空気圧ブレーキブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界は、ブレーキブースター特性曲線に関する厳しい要求に取り組んでいる。そのため、z寸法として知られている上記バルブピストンと反応体の間の上述した距離をできる限り正確に設定することが必要である。公知のように、このz寸法は、初期段階における上記ブレーキブースターの動作を決定し、およびブレーキブースターが所定の入力で作動したときに、出力または出力圧力が急激に上昇する(ジャンパー効果)ことを可能にする。反応体の異なるショア硬度及び構成部品の公差のため、非常に高い出力公差が生じ、また、出力は、非常に広い範囲内にある(スプレッドバンド)。従って、自動車業界の非常に狭いスプレッドバンドに関する要求は、満たすことができない場合もある。
【0003】
冒頭で述べた一般的なタイプの空気圧ブレーキブースターは、独国特許出願公開第3941604号明細書により公知である。この場合、第1のピストン部は、適切なツールによって、上記制御ハウジング内での回転に関して固定してガイドされる第2のピストン部に対して回転され、z寸法の設定は、2部材デザインのバルブピストンの軸方向全長を変えることによって行われる。
【0004】
独国特許出願公開第4208384号明細書により公知である別の設定可能な空気圧ブレーキブースターにおいては、所望のz寸法の設定は、第1のピストン部に恒久的に係合しており、かつピストンロッドに対して同軸に配置されており、および設定操作が終わった後に、制御ハウジングに対する明確な接続によって、回転に関して固定されるスリーブを用いて実行される。この場合の回転に関する固定は、好ましくは、スリーブに接続される固定リングと、制御ハウジングの内周に形成された溝に係合するその放射状突出部とを用いて行われる。固定リングは、後に、制御ハウジングを保護する弾性保護キャップの周縁領域によって保持され、上記周縁領域は、スリーブ内に形成された周囲溝内にボタンで留められる。
【0005】
設定可能なz寸法を用いた公知のブレーキブースターの複雑な設定は、不利であると考えられる。さらに、設定中には解放しなければならない、入力部材のブレーキペダルへの接続は、不利である。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、非常に狭いスプレッドバンドの簡単な実施を可能にし、かつ簡単な設定を有する汎用ブレーキブースターを提供することである。
【0007】
この目的は、距離を設定する手段が出力部材上に設けられていることによって達成される。出力部材は、ブレーキブースターが組立てられた状態でも、容易に接近可能であり、その結果、簡単な手段によって、非常に狭いスプレッドバンドを実施することが可能である。
【0008】
さらに、空気圧ブレーキブースターにおけるバルブピストンと反応体の間の軸方向距離を設定する方法が提案され、ブレーキブースターの真空チャンバは、真空で作動することができ、ブレーキブースターのワーキングチャンバは、換気することができ、所定の入力は、バルブピストンを作動させ、同時に、出力は、軸方向距離の設定が、出力部材の変化によって行われる上記方法の特徴によって測定される。
【0009】
好ましくは、距離を設定する手段は、反応体のチャンバ容積を変化させることを可能にし、反応体のチャンバ容積は、制御ハウジングの凹部及び出力部材によって画成される。真空源に接続されているブレーキブースターが作動すると、力関連の固有の圧力が、優勢な力に対して適切に、反応体内に確立される。変化するチャンバ容積により、反応体内のこの固有の圧力、ならびに出力は高精度で設定することができる。
【0010】
本発明の有利な実施形態においては、出力部材は、圧力プレートと圧力ロッドを有する2つの部材で設けられ、圧力プレートは、反応体を圧迫し、また、中に、圧力ロッドの軸方向長さを有するほぞ(tenon)が配置され、案内されている軸方向中央貫通穴を有する。チャンバ容積の変化は、ほぞ(tenon)の固有の長さLを有する圧力ロッドを交換することによって、簡単な方法で行われる。ほぞ(tenon)が有する長さにより、反応体のチャンバ容積は、簡単な方法で増減される。この場合、圧力ロッドが、その外側に、ほぞ(tenon)の長さを特定する手段を有することが有利であり、その結果、圧力ロッド間の間違いを排除することができる。
【0011】
簡単な方法でジャンパー効果に影響を与えるために、本発明の有利な実施形態によれば、凸状湾曲を、ほぞ(tenon)の自由端に設けることができる。
【0012】
本発明の別の有利な実施形態においては、ほぞ(tenon)の自由端は、凸状に湾曲したデザインを有する。さらに、ほぞ(tenon)の自由端は、円錐形にデザインしてもよい。
【0013】
ほぞ(tenon)を、圧力プレートの貫通穴に容易に導くために、ほぞ(tenon)の自由端には、半径または導入スロープが設けられる。
【0014】
好ましくは、圧力プレートは、本質的に円盤状に形成され、その結果、圧力プレートの非常に簡単な製造を実現することができる。
【0015】
有利な実施形態によれば、圧力プレートは、圧力ロッドの方向に形成され、および制御ハウジングに配置されたガイド皿内にガイドされるシャンクを有することができる。この場合、圧力ロッドの交換は、簡便化される。
【0016】
圧力ロッドの良好な案内は、圧力プレートが、圧力ロッドの方向に形成され、および制御ハウジング上に配置されたガイド皿内に部分的にガイドされるシャンクを有することで実現することができる。
【0017】
好ましくは、圧力プレートは、内側に導入スロープを有し、その結果、ほぞ(tenon)を導入することを容易にする。
【0018】
反応体のチャンバ容積の変化は、出力部材が、反応体に対向する面に、ヘッドなしのねじを中にねじ込むことができるねじ穴を有するため、出力部材の構成要素の交換を伴うことなく実現することができ、ヘッドなしのねじは、反応体のチャンバ容積の変化を可能にする。出力部材は、ヘッドなしのねじによって、予め取り付け可能なサブアセンブリを形成し、その結果、少数の構成要素のため、取り付けが単純化される。ヘッドなしのねじは、特定の入力の場合に、出力の連続設定、すなわち、荷重下での連続設定を可能にし、その結果、反応体のショア硬度スプレッドを追加的に補正することができる。
【0019】
ヘッドなしのねじを回転させるために、出力部材は、ねじ穴になり、およびヘッドなしのねじを回転させる調節ツールを中に導入することができる貫通穴を有する。設定操作の後、調節ツールは、容易に取り除くことができ、ヘッドなしのねじの回転は、反応体の特定の圧力の高精度の設定を可能にする。
【0020】
本発明の有利な実施形態においては、ヘッドなしのねじと反応体との間に、ワッシャが設けられ、出力部材は、反応体と対向する面に、ある直径を有する凹部を有し、ワッシャが凹部に配置される。凹部及びワッシャを設けることは、製造上の理由で、凹部とワッシャの間には、ねじ穴とヘッドなしのねじとの間よりも非常に低い公差を実施することができるため、反応体のギャップ押出しを低減する。減少したギャップ押出しのため、反応体の摩耗は低減される。
【0021】
好ましくは、凹部の直径は、ねじ穴の直径よりも大きくなるように設けられ、この結果、より有利な面積比が得られ、また、ワッシャのための凹部をより簡単に製造することができる。
【0022】
別の簡単な方法でジャンパー効果に影響を与えるために、本発明の有利な実施形態によれば、ワッシャは、反応体に対向する面に凸状湾曲を有することができる。
【0023】
本発明の他の有利な実施形態においては、ワッシャは、反応体に対向する面に、凸状に湾曲するように、または円錐形になるように設けられる。
【0024】
ワッシャが、例えば、出力部材の輸送中に、出力部材の凹部から落ちるのを防ぐために、有利な実施形態によれば、接着フィルムが、出力部材の1つの端面に設けられる。接着フィルムが、z寸法の設定を、フィルムが貼られているのにもかかわらず行うことができるように選択した場合、フィルムは、出力部材がブレーキブースター内に取り付けられた後も、出力部材上に残っている。それにより、反応体のギャップ押出しは、完全に防止される。ワッシャがなくて、ヘッドなしのねじのみがある場合に、接着フィルムが、出力部材の端面に設けられている場合は、それによって反応体のギャップ押出しは、ワッシャを設けることなく、防止することができる。
【0025】
好ましくは、バルブピストンと反応体との間に、ステップアップ・ワッシャを設けることができ、ステップアップ・ワッシャにより、バルブピストンは、反応体に対して、力伝達接続の状態になり、そのため、ステップアップ・ワッシャは、入力部材の、またはバルブピストンの一部と考えることができる。
【0026】
ブレーキブースターは、従来のブレーキブースターとして、および磁気ドライブによって電気的に作動可能になるように設けることができる。さらに、ブレーキブースターは、メカニカルブレーキ支援機能も有することができる。
【0027】
以下に、本発明を、例示的な実施形態を示す図面を用いて説明する。図面においては、いずれの場合も、極めて図式的になっている。
【詳細な説明】
【0028】
図1は、自動車ブレーキ装置の本発明による空気圧ブレーキブースターの第1の例示的な実施形態の部分縦断面図を示し、上記部分縦断面図は、本発明に対して重要なブレーキブースターの部分のみを示している。
【0029】
一般的に公知であるように、図1に示すブレーキブースターの図示されていないブースターハウジングは、軸方向に移動可能な壁部6によって、ワーキングチャンバ1と真空チャンバ2に細分化されている。軸方向に移動可能な壁部6は、金属薄板から深絞りされたダイヤフラム皿7と、上記ダイヤフラム皿を圧迫し、図示されていないが、ダイヤフラム皿7の外周と、上記ブースターハウジングとの間に、シールとして機能するダイヤフラムを構成するフレキシブルダイヤフラム9とからなる。
【0030】
図示されていない、入力部材によって作動可能なコントロールバルブは、ブースターハウジング内にガイドされ、密封され、かつ可動壁部6を備える制御ハウジング3内に収容されており、また、制御ハウジング3上に形成された第1のシーリングシートと、入力部材に接続されたバルブピストン4上に形成された第2のシーリングシートと、これら2つのシーリングシートと協働するバルブボディとからなる。バルブボディは、ガイド要素上に支持されているバルブスプリングによって、弁座に押し付けられている。ワーキングチャンバ1は、制御ハウジング3内で横方向に動くダクト5を介して、真空チャンバ2に対して接続可能になっており、入力部材は、図示されていないブレーキペダルに接続されている。
【0031】
ブレーキ力は、制御ハウジング凹部8内に配置された弾性反応体10を介して、および反応体10を圧迫する出力部材11を介して、図8に示唆的に図示されている上記自動車ブレーキ装置のブレーキマスターシリンダ13の作動ピストン12に伝達され、上記ブレーキマスターシリンダは、ブレーキブースターの真空側の端部に取り付けられている。入力部材に導入された入力は、バルブピストン4によって反応体10に伝達される。図1から明らかなように、バルブピストン4と反応体10の間には、ステップアップ・ワッシャ14が設けられており、バルブピストン4は、ワッシャによって、反応体10に対して力伝達接続の状態になる。ステップアップ・ワッシャ14は、機能動作及び本発明にとって必ずしも必要ではなく、入力部材またはバルブピストン4の一部と考えられる。
【0032】
反応体10は、プラスチックまたはゴム材料からディスク形状に形成され、加圧下で、応力は、非圧縮性流体と同じように流体静力学の法則に従って作用する。すなわち、上記反応体は、バルブピストン4によって導入された足力と、制御ハウジング3によって導入されるブースト力と、出力部材11を介して自動車のドライバーに戻される制動反応力の間で加算器のように機能する。その結果として、各ブレーキ動作位置において、力平衡が反応体10で実施される。明らかなように、反応体10のチャンバ容積は、制御ハウジング凹部8、出力部材11及び制御ハウジング凹部8内に配置されたワッシャ15によって決まる。ワッシャ15を伴う上記チャンバ容積のこの構成は、必ずしも必要ではない。図8から明らかなように、反応体10は、軸方向において、制御ハウジング3自体を圧迫してもよい。
【0033】
図示されていないフランジで、ブースターハウジングの真空側の端部壁に支持されている、図面に図式的に図示されている、復元スプリング16は、可動壁部6を解放方向に保持する。さらに、復元スプリング16は、制御ハウジング3を圧迫し、または、後者に固定され、および、一方において、復元スプリング16を支持するために機能し、他方において、出力部材11をガイドするために機能するガイド皿17上に支持されている。また、図示しない、回復スプリングが設けられており、回復スプリングは、入力部材または後者を圧迫するワッシャと、コントロールバルブのガイド要素との間に配置されており、回復スプリングの力は、バルブピストン4の、またはバルブボディに対するその弁座のプレストレスを確かにする。
【0034】
コントロールバルブが作動したときに、ワーキングチャンバ1を大気に接続できるように、略放射状に走る図示されていないダクト5が、制御ハウジング3内に形成される。制動動作の終了時におけるバルブピストン4のリターン動作は、この場合、ブレーキブースターの解放位置において、ブースターハウジング上に形成されたストップを圧迫するクロス部材によって制限される。
【0035】
解放位置において、バルブピストン4またはステップアップ・ワッシャ14と、反応体10の間には、z寸法として知られており、ジャンパーとして知られているものを構成する距離zが設けられている。このz寸法は、ブレーキブースターのその作動の初期段階における動作を決定し、ブレーキブースターが、所定の入力で作動したときに、出力または出力圧力の急激な上昇を有することを可能にする。
【0036】
自動車業界は、ブレーキブースター特性曲線に関する厳しい要求に取り組んでいる。そのため、バルブピストン4またはステップアップ・ワッシャ14と、反応体10の間の上述した距離zをできる限り正確に設定することが必要である。反応体10の異なるショア硬度及び構成部品の公差のため、通常、最高で±175Nの非常に高い出力公差が生じ、また、出力は、例えば、自動車業界により非常に狭く決められている最大±50N(スプレッドバンド)の範囲内に入らない。
【0037】
図1から明らかなように、出力部材11は、圧力プレート18及び圧力ロッド19を有する2つの部材で設けられている。圧力プレート18は、フランジ20によって、反応体10を圧迫し、また、中に軸方向長さLを有する圧力ロッド19のほぞ(tenon)22が配置され、ガイドされている軸方向中央貫通穴21を有する。
【0038】
取り付けラインにおける距離zの設定は、図示されていない真空源にブレーキブースターを接続することによって行われ、その結果、特定の作動圧力が、ブースターハウジング内に行き渡る。さらに、ブレーキブースターは、特定の入力F、例えば、200Nで作動する。行き渡った真空、距離z、および反応体10のショア硬度の結果として、特定の出力Fが得られる。力関連の特定の圧力は、この行き渡った力に適して反応体10内に確立される。
【0039】
荷重下でz寸法を設定することは、測定およびz寸法の対応する変化によってz寸法を設定するのとは対照的に、反応体10のショア硬度スプレッドを、構成要素の公差に加えて補正することもできるという特有の有利な点を有する。
【0040】
特定の長さLのほぞ(tenon)22を有する圧力ロッド19の交換によって、反応体10のチャンバ容積または反応体10内の特定の圧力を変えることができ、その結果、出力Fを設定することができる。上記力/力測定は、まず、圧力ロッド19によって行われ、この場合、ほぞ(tenon)22の一方の端面23は、圧力プレート18のフランジ20と同じレベル(中立位置)にある。
【0041】
長いほぞ(tenon)22は、反応体10の変形を引き起こし、その結果として、距離zの縮小を引き起こす。一方、短いほぞ(tenon)22は、距離zの増加を引き起こし、反応体10の反応力は、低くなる。
【0042】
反応体10内の特定の圧力が上昇すると、ブレーキブースターの調節が、バルブピストン4への、またはステップアップ・ワッシャ14への接続によってもたらされ、その結果、出力Fが低減される。これとは対照的に、反応体10内の特定の圧力が、短いほぞ(tenon)22によって、すなわち、チャンバ容積の増加の手段によって減少すると、出力Fは上昇する。
【0043】
特定の長さLのほぞ(tenon)22を有する圧力ロッド19を特定するために、例えば、溝24を、上記圧力ロッドの外側25に設けてもよい。
【0044】
さらに、図2〜図4に示すように、ほぞ(tenon)22の自由端26は、ジャンパー効果に影響を与えるために、または、圧力プレート18の貫通穴21内にほぞ(tenon)22を容易に導入できるようにするために、異ならせて構成してもよい。その結果、例えば、図2に従って、凸状湾曲27を、端部26に設けることができ、または、図3に従って、端部26が、凸状に湾曲したデザインを有することができる。図示しない追加的な代替例として、自由端26は、円錐状に形成してもよい。
【0045】
図4から明らかなように、ほぞ(tenon)22を容易に取り付けるために、ほぞ(tenon)22の自由端26に、半径rまたは導入スロープを設けてもよい。
【0046】
図5〜図7は、圧力プレート18の異なる実施形態を示す。これは、図5によれば、本質的にディスク形状であり、その結果、簡単な製造能力が得られる。内側29の導入スロープ28は、圧力ロッド19の取り付けをさらに容易にする。
【0047】
図6及び図7によれば、圧力プレート18は、圧力ロッド19の方向に形成されており、およびガイド皿17内に部分的または完全にガイドされているシャンク30を有する。図6あるいは図1による部分ガイダンスは、圧力ロッド19もガイド皿17によってガイドすることができるという利点を有する。
【0048】
図8は、本発明によるブレーキブースターの第2の例示的な実施形態の部分縦断面図を示す。この例示的な実施形態においては、ブレーキブースターは、磁気ドライブ31を有する電気的に作動可能なブレーキブースターとして構成されており、このことは、本発明にとって必ずしも必要なことではない。上記例示的な実施形態は、同様に、従来のブレーキブースターに移すことができる。
【0049】
図8から推測できるように、第2の実施形態の出力部材40においては、反応体10に対向する側44に、ヘッドなしのねじ41が設けられ、一体化されており、反応体10のチャンバ容積を変えることを可能にする。ヘッドなしのねじ41は、ねじ穴45にねじ込むことができ、ねじの長さは、出力部材40の寸法決定により異ならせることができる。ヘッドなしのねじ41を回転させるために、出力部材40は、ねじ穴45になり、調節ツール43を中に導入することができる貫通穴42を有する。
【0050】
反応体10と、バルブピストン4またはステップアップ・ワッシャ14との間の距離zの設定は、図1に関する方法と同様に、特定の入力Fを用いた負荷の下で行われ、違いは、反応体10のチャンバ容積を変えるためには、出力部材40または上記出力部材の一部を交換する必要はないが、その代わりに、ヘッドなしのねじ41を単に回転させればよい。ヘッドなしのねじ41は、特定の入力Fの場合に、出力Fの連続設定を可能にし、その結果、反応体10のショア硬度スプレッドを補正することができる。
【0051】
図9は、図8による第2の例示的な実施形態のわずかに変更された出力部材40の部分縦断面図を示す。図から明らかなように、出力部材40は、面44に、ねじ穴45が隣接する中央に設けられた凹部46を有する。この凹部において、ヘッドなしのねじ41と反応体10の間には、回転するヘッドなしのねじ41によって、反応体10のチャンバ容積を増減する、図示されていないワッシャがある。そのため、上記ワッシャは、凹部46を貫通できるような大きさにしなければならない。
【0052】
第1の設定においては、ヘッドなしのねじ41は、ワッシャ及び出力部材40の端面47が同一平面になる(中立位置)程度まで、ねじ穴45にねじ込まれる。
【0053】
ワッシャを設けることにより、反応体10のギャップ押出しならびに反応体の摩耗は、製造上の理由で、凹部46とワッシャとの間で、ねじ穴45とヘッドなしのねじ41との間よりもさらに非常に低い公差を実施することができるため、低減することができる。
【0054】
凹部は、ねじ穴45の直径D1よりも大きくなるように設けられている直径D2を有する。その結果として、より有利な面積比が得られ、凹部46を容易に形成することができる。
【0055】
図2及び図3において、ほぞ(tenon)22に関して既に説明したように、ジャンパー効果に簡単な方法で影響を与えるために、ワッシャは、反応体10に対向する面に、凸状湾曲を有することができ、または、凸状に湾曲させることができ、あるいは、円錐状の構造にすることができる。
【0056】
ワッシャが、出力部材の凹部から落ちるのを防ぐために、輸送中にワッシャを固定するために、出力部材40の端面47に接着フィルムを設けてもよい。このフィルムは、フィルムを貼付したのにもかかわらず、z寸法の設定を実行できるように耐久性があるように設けた場合には、取り付け後も出力部材40上にある。一方、接着フィルムを用いると、輸送中に、ヘッドなしのねじ41及びワッシャによって、取り付け済みの出力部材40を固定することが可能になり、また他方では、反応体10のギャップ押出しが完全に防止される。
【0057】
記載した接着フィルムの貼付は、図8による出力部材40の端面47に対しても同様に可能であり、この場合、ワッシャなしで、ヘッドなしのねじ41がある。それによって、反応体10のギャップ押出しは、ワッシャを設けることなく防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による空気圧ブレーキブースターの第1の例示的な実施形態の部分縦断面図を示す。
【図2】図1に示すような本発明による空気圧ブレーキブースターの圧力ロッドのほぞ(tenon)の実施形態を示す。
【図3】図1に示すような本発明による空気圧ブレーキブースターの圧力ロッドのほぞ(tenon)の異なる実施形態を示す。
【図4】図1に示すような本発明による空気圧ブレーキブースターの圧力ロッドのほぞ(tenon)の異なる実施形態を示す。
【図5】図1に示すような本発明による空気圧ブレーキブースターの圧力プレートの実施形態を示す。
【図6】図1に示すような本発明による空気圧ブレーキブースターの圧力プレートの異なる実施形態を示す。
【図7】図1に示すような本発明による空気圧ブレーキブースターの圧力プレートの異なる実施形態を示す。
【図8】本発明による空気圧ブレーキブースターの第2の例示的な実施形態の部分縦断面図を示す。
【図9】図8による第2の例示的な実施形態のわずかに変更した出力部材の部分縦断面図を示す。
【符号の説明】
【0059】
1 ワーキングチャンバ
2 真空チャンバ
3 制御ハウジング
4 バルブピストン
5 ダクト
6 可動壁部
7 ダイヤフラム皿
8 制御ハウジング凹部
9 ダイヤフラム
10 反応体
11 出力部材
12 作動ピストン
13 ブレーキマスターシリンダ
14 ステップアップ・ワッシャ
15 ワッシャ
16 復元スプリング
17 ガイド皿
18 圧力プレート
19 圧力ロッド
20 フランジ
21 貫通穴
22 ほぞ(tenon)
23 端面
24 溝
25 外側
26 端部
27 凸状湾曲
28 導入スロープ
29 内側
30 シャンク
31 磁気ドライブ
40 出力部材
41 ヘッドなしのねじ
42 貫通穴
43 調節ツール
44 面
45 ねじ穴
46 凹部
47 端面
D1 直径
D2 直径
L 長さ
出力
入力
r 半径
z 距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の圧力差によって作動することが可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能な壁部(6)によって、少なくとも1つのワーキングチャンバ(1)と、少なくとも1つの真空チャンバ(2)とに細分化されているブースターハウジングと、
バルブピストン(4)を備える作動可能入力部材と、
出力によってブレーキマスターシリンダ(13)を作動させる出力部材(11、40)と、
制御ハウジング(3)内に配置され、バルブピストン(4)によって作動させることができ、および圧力差を制御するコントロールバルブと、
制御ハウジング凹部(8)内に配置され、出力部材(11、40)が圧迫する弾性反応体(10)と、
ブレーキブースターが組立てられた状態で、バルブピストン(4)と反応体(10)の間に距離(z)を設定することが可能な手段と、
を有する空気圧ブレーキブースターであって、
距離(z)を設定する手段は、出力部材(11、40)に設けられていることを特徴とするブレーキブースター。
【請求項2】
距離(z)を設定する手段は、反応体(10)のチャンバ容積を変化させることを可能にし、反応体(10)のチャンバ容積は、制御ハウジング凹部(8)及び出力部材(11、40)によって決まることを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースター。
【請求項3】
出力部材(11)は、圧力プレート(18)及び圧力ロッド(19)を有する2つの部材で形成され、圧力プレート(18)は、反応体(10)を圧迫し、また、中に、圧力ロッド(19)の軸方向長さ(L)を有するほぞ(tenon)(22)が配置され、ガイドされる軸方向中央貫通穴(21)を有することを特徴とする請求項2に記載のブレーキブースター。
【請求項4】
圧力ロッド(19)は、その外側(25)に、ほぞ(tenon)(22)の長さを特定する手段(24)を有することを特徴とする請求項3に記載のブレーキブースター。
【請求項5】
凸状湾曲(27)が、ほぞ(tenon)(22)の自由端(26)に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項6】
ほぞ(tenon)(22)の自由端(26)は、凸状に湾曲したデザインからなることを特徴とする請求項3または請求項4の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項7】
ほぞ(tenon)(22)の自由端(26)は、円錐形にデザインされていることを特徴とする請求項3または請求項4の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項8】
ほぞ(tenon)(22)の自由端(26)に、半径(r)または導入スロープが設けられていることを特徴とする請求項3〜請求項5の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項9】
圧力プレート(18)は、本質的にディスク形状に形成されることを特徴とする請求項3〜請求項8の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項10】
圧力プレート(18)は、圧力ロッド(19)の方向に形成されており、および制御ハウジング(3)に配置されたガイド皿(17)内にガイドされるシャンク(30)を有することを特徴とする請求項3〜請求項8の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項11】
圧力プレート(18)は、圧力ロッド(19)の方向に形成されており、および制御ハウジング(3)に配置されたガイド皿(17)内に部分的にガイドされるシャンク(30)を有することを特徴とする請求項3〜請求項8の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項12】
圧力プレート(18)は、内側(29)に導入スロープ(28)を有することを特徴とする請求項10または請求項11の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項13】
出力部材(40)は、反応体(10)に対向する面(44)に、ヘッドなしのねじ(41)を中にねじ込むことができるねじ穴(45)を有し、ヘッドなしのねじ(41)は、反応体(10)のチャンバ容積を変化させることを可能にすることを特徴とする請求項2に記載のブレーキブースター。
【請求項14】
出力部材(40)は、ねじ穴(45)になり、およびヘッドなしのねじ(41)を回転させる調節ツール(43)を中に導入することができる貫通穴(42)を有することを特徴とする請求項13に記載のブレーキブースター。
【請求項15】
ヘッドなしのねじ(41)と反応体(10)の間に、ワッシャが設けられており、出力部材(40)が、反応部材(10)に対向する面(44)に、直径(D2)を有する凹部(46)を有し、ワッシャが凹部に配置されることを特徴とする請求項13または請求項14の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項16】
凹部(46)の直径(D2)は、ねじ穴(45)の直径(D1)よりも大きくなるように設けられていることを特徴とする請求項15に記載のブレーキブースター。
【請求項17】
ワッシャは、反応体(10)に対向する面に、凸状湾曲を有することを特徴とする請求項16に記載のブレーキブースター。
【請求項18】
ワッシャは、反応体(10)に対向する面において、凸状に湾曲するように設けられていることを特徴とする請求項16に記載のブレーキブースター。
【請求項19】
ワッシャは、反応体(10)に対向する面で、円錐形になるように設けられていることを特徴とする請求項16に記載のブレーキブースター。
【請求項20】
出力部材(40)の一方の端面(47)に、接着フィルムが設けられていることを特徴とする請求項13〜請求項20の一項に記載のブレーキブースター。
【請求項21】
バルブピストン(4)と反応体(10)の間に、ステップアップ・ワッシャ(14)が設けられており、ステップアップ・ワッシャにより、バルブピストン(4)は、反応体(10)に対して力伝達接続の状態になることを特徴とする請求項1〜請求項20のうちの一項に記載のブレーキブースター。
【請求項22】
ブレーキブースターは、磁気ドライブ(31)によって電気的に作動させることができることを特徴とする請求項1〜請求項21のうちの一項に記載のブレーキブースター。
【請求項23】
請求項1〜請求項22の一つに記載されているような空気圧ブレーキブースターにおけるバルブピストン(4)と反応体(10)の間の軸方向距離(z)を設定する方法であって、ブレーキブースターの真空チャンバ(2)は、真空で作動することができ、ブレーキブースターのワーキングチャンバ(1)は、換気することができ、所定の入力(F)は、バルブピストン(4)を作動させ、同時に、出力(F)が測定される方法において、軸方向距離(z)の設定が、出力部材(11、40)の変化によって行われることを特徴とする方法。
【請求項24】
ブレーキブースターの出力部材(11)は、圧力プレート(18)と圧力ロッド(19)を有する2つの部材で設けられ、圧力プレート(18)は、反応体(10)を圧迫し、また、中に、圧力ロッド(19)の軸方向長さ(L)を有するほぞ(tenon)(22)が配置され、ガイドされる軸方向中央貫通穴(21)を有し、軸方向距離(z)の設定が、圧力ロッド(19)のほぞ(tenon)(22)の異なる長さ(L)によって実行されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
出力部材(40)は、反応体(10)に対向する面に、中にヘッドなしのねじ(41)をねじ込むことができるねじ穴(45)を有し、また、出力部材(40)は、ねじ穴(45)になる貫通穴(42)を有し、軸方向距離(z)の設定が、ヘッドなしのねじ(41)を回転させることによって行われることを特徴とする請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−529462(P2009−529462A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558752(P2008−558752)
【出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051344
【国際公開番号】WO2007/104624
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】