説明

空気圧作動するフィンガーラッチを備えたフィンガーボード

複数のねじ付きチューブラー(14)を保管するための少なくとも1つのフィンガーボード列(12)を有するフィンガーボード(10)が提供される。複数のラッチ(18)が少なくとも1つのねじ付きチューブラー(14)をロックして保持するために少なくとも1つのフィンガーボード列(12)に接続されており、複数のラッチ(18)の各々がロック位置とロック解除位置との間を動くことができる。列コントローラー(22)がラッチをロック位置とロック解除位置との間を個別に順次動かすためにラッチの各々に接続されており、列コントローラー(22)はラッチが手動で遠隔制御できるように、ラッチから遠く離れた場所から手動で操作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に油田及びガス田の掘削システムに使用するねじ付きチューブラーの保管に用いるフィンガーボードに関し、特に空気圧作動のフィンガーラッチを有するフィンガーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
油田やガス田の掘削システムは、普通「チューブラー」と呼ばれる多数のタイプの配管を有している。チューブラーは掘削管、ケーシング、その他のねじ接続ができる油井構造物やガス井戸構造物を含む。つながったチューブラーの長い「ストリング」すなわちドリルストリングは普通、井戸穴を掘削しかつ掘削後の井戸穴の崩壊を防止するために用いられる。ドリルストリングは普通フィンガーボードと呼ばれる構造物に保管される。フィンガーボードは普通多数の垂直に伸びた支持構造物又は「フィンガー」を含み、これらはそれぞれ複数のドリルストリングを受けることができる。各ドリルストリングは普通対応するラッチによってフィンガーの一つに個別に固定されており、ラッチはロック位置とロック解除位置との間を動くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術のフィンガーボードでは、油田又はガス田の作業者がフィンガーの間を歩いてラッチを好ましいロック位置又はロック解除位置に動かすことによって、ラッチが手動でロック位置とロック解除位置との間を動かされる。フィンガーの高さが極めて高い(たとえば30メートル(90フィート)か又はそれ以上)ので、作業者によるラッチの手動操作は危険で、好ましくない。この作業は作業者がフィンガーの間を歩きながらラッチを蹴ってロック位置へ入れたりロック位置から外したりしてラッチをロック位置とロック解除位置の間で動かすような場合には特に危険であるが、このような作業が行われる事もまれではない。
【0004】
フィンガーボードの危険を減らす努力として製造業者の中にはラッチから遠く隔れて制御される自動ラッチを有する者もある。しかしこれらのラッチは労働者の危険を減少させるが、手動操作のラッチよりもはるかに複雑で高価である。したがって、操作が安全な安価なラッチシステムを有するフィンガーボードに対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1実施例において、本発明は複数のねじ付きチューブラーを保管するための少なくとも1つのフィンガーボード列を有するフィンガーボードである。複数のラッチが少なくとも1つのフィンガーボード列に少なくとも1つのねじ付きチューブラーをロックして保持するために接続されており、複数のラッチの各々がロック位置とロック解除位置との間を動くことができる。ラッチをロック位置とロック解除位置との間を個別に順次動かすために列コントローラーがラッチの各々に接続されており、ラッチは手動で遠隔制御でき、列コントローラーはラッチから遠く離れた場所から手動で操作できる。
【0006】
他の実施例では、本発明は複数のねじ付きチューブラーを保管するために少なくとも1つのフィンガーボード列を有するフィンガーボードである。複数のラッチが少なくとも1つのフィンガーボード列に接続されており、複数のラッチの各々がロック位置に付勢されており、ロック位置とロック解除位置との間を動くことができる。細長ロッドを有するピストンがケーシングと滑るように係合されており、ケーシングは流体接続する複数の吐出ポートを有し、複数の吐出ポートの各々は複数のラッチのうちの対応する1つに接続されている。空気源がケーシングと流体接続されており、細長ロッドが最も引っ込んだ位置と複数の延設位置との間を動くことができ、複数の延設位置は複数の吐出ポートの各々に対応しており、最も引っ込んだ位置では吐出ポートの各々が細長ロッドによって覆われ、空気源からの空気は流れることができず、対応するラッチの各々をロック位置で付勢し、複数の延設位置のうちの連続する1つ1つの位置において複数の吐出ポートのうちの連続する1つのポートは覆われず、空気が対応するラッチのうちの連続する1つを強制してロック位置からロック解除位置へ動かす。
【0007】
更に他の実施例では、本発明は複数のねじ付きチューブラーを保管するために少なくとも1つのフィンガーボード列を有するフィンガーボードである。複数のラッチが少なくとも1つのフィンガーボード列に接続されており、複数のラッチの各々がロック位置に付勢されており、ロック位置とロック解除位置との間を動くことができる。細長ロッドを有するピストンがケーシングと滑るように係合されており、ケーシングは流体接続する複数の吐出ポートを有する。複数の導管の各々が複数の吐出ポートの1つを複数のラッチのうちの対応する1つに流体接続している。空気源がケーシングと流体接続されており、細長ロッドが最も引っ込んだ位置と複数の延設位置との間を動くことができ、複数の延設位置は複数の吐出ポートの各々に対応しており、最も引っ込んだ位置では吐出ポートの各々が細長ロッドによって覆われ、空気源からの空気は流れることができずに、対応するラッチの各々をロック位置で付勢し、複数の延設位置のうちの連続する1つ1つの位置では複数の吐出ポートのうちの連続する1つの吐出ポートは覆われず、空気が流れて対応するラッチのうちの連続する1つのラッチを強制し、ロック位置からロック解除位置へ動かす。ピストンガイドが上述のピストンに接続されており、複数の停止位置を有し、複数の停止位置の各々が細長ロッドの複数の延設位置のうちの1つに対応している。
【0008】
更に他の実施例では、本発明は、複数のねじ付きチューブラーを保管するためのフィンガーボード列を有し、複数の吐出ポートを有するケーシングを有し、複数の吐出ポートの各々が複数のねじ付きチューブラーの少なくとも1つに対応しており、ケーシングに関し動くことができる細長ロッドを有するピストンを備えることを含む、複数のねじ付きチューブラーをフィンガーボードに保管する方法である。本発明の方法は更に、複数のラッチをフィンガーボード列に接続し、複数のラッチの各々が複数の吐出ポートの対応する1つに接続され、各ラッチが閉の位置に付勢されていて閉の位置と開の位置の間で動くことができ、空気源をケーシングに接続し、細長ロッドを最も伸びきった位置まで動かして、吐出ポートの各々は細長ロッドによって覆われず、空気源からの空気が覆われていない吐出ポートの各々に入り、ラッチの各々をロック解除位置へ強制し、複数のねじ付きチューブラーの連続する1つ1つをフィンガーボード列の位置に追加し、細長ロッドを複数の最も引っ込んだ位置の1つに動かし、追加したねじ付きチューブラーの各々の対応する吐出ポートを覆い、各ラッチをロック解除位置からロック位置に向かって付勢し、追加したねじ付きチューブラーの各々をフィンガーボード列にロックすることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1から図8Bに示すように、本発明の実施例は複数のねじ付きチューブラーの保管用のフィンガーボードに関する。フィンガーボードはねじ付きチューブラーをフィンガーボードにしっかり保持するために複数のラッチを有する。各ラッチはケーシングの対応する吐出ポートに接続されている。ケーシングは空気供給源に接続されている。ケーシングはまたピストンに接続され、ピストンはケーシングに対して動くことができ、各吐出ポートを覆ったり覆わなかったりして空気源からの空気の流れを案内する。吐出ポートが覆われない場合は、空気源からの空気は対応するラッチに入り、このラッチをロック位置からロック解除位置へ動かす。吐出ポートが覆われた場合には、空気源からの空気は対応するラッチへ入れず、このラッチはロック位置へ戻る。
【0010】
ピストンは最も引っ込んだ位置では各吐出ポートを覆い、空気は対応する各ラッチへ入れず、対応する各ラッチはロック位置に保持され、対応するねじ付きチューブラーをフィンガーボードへしっかり保持する。この位置ではピストンは伸びる方向に動くことができ、順次各吐出ポートを覆わなくなり、空気源からの空気を対応するラッチへ入れ、このラッチをロック位置からロック解除位置へ動かし、対応するねじ付きチューブラーはラッチから係合を解かれ、フィンガーボードから外される。ピストンはまた引っ込む方向(伸びる方向と反対方向)へ動くこともでき、順次各吐出ポートを覆い、空気が対応するラッチに入れなくなり、このラッチをロック解除位置からロック位置へ動かす。
【0011】
図1に本発明の1実施例のフィンガーボード10を示す。フィンガーボード10は複数の垂直方向に伸びた支持構造物12(以下フィンガーボード列12という。)を備え、各フィンガーボード列は複数のねじ付きチューブラー14又はねじ付きチューブラー14がつながった複数のストリングを受けることができる。フィンガーボード列12の各々は隣接構造物すなわちフィンガー16を有し、これは横に間をあけて離れており、複数のねじ付きチューブラー14を受ける。図示の実施例では、フィンガーボード10は12列のフィンガーボード列12を有し、フィンガーボード列12の各々は14本のねじ付きチューブラー14を受けることができる。しかし、他の実施例では、フィンガーボード10は適宜な数のフィンガーボード列12を有し、フィンガーボード列12の各々は適宜な数のねじ付きチューブラー14を受けることができる。図1の一番左のフィンガーボード列12に示されたねじ付きチューブラー18の上の番号1から13と、各フィンガーボード列12の一番上のねじ付きチューブラー18の上の番号1から12は単に参照目的のために付されていることに注意すること。
【0012】
図1と図2に示すように、各フィンガーボード列12は複数の対応するラッチ18を有する。図の実施例では各ラッチ18は対応するフィンガーボード列12の中の対応するねじ付きチューブラー14をしっかり保持する。しかし、別の実施例では、各ラッチ18は1以上のねじ付きチューブラー14を対応するフィンガーボード列12のラッチ18にしっかり保持するために使用される。各ラッチ18はロック位置(例えば図1、図2、図3及び図6Aに示す)とロック解除位置(例えば図6Bに示す)の間を動くことができる。ロック位置では、ラッチ18は対応するねじ付きチューブラー14に係合し、ねじ付きチューブラー14を対応するフィンガーボード列12にしっかり保持する。ロック解除位置では、ラッチ18は対応するねじ付きチューブラー18の係合を解き、ねじ付きチューブラー14を対応するフィンガーボード列12から外れるようにする。ロック解除位置では、ラッチ18はまた、ねじ付きチューブラー14が対応するフィンガーボード列12に挿入されるようにし、ラッチ18をロック解除位置からロック位置まで動かすことによって、ねじ付きチューブラー14が対応するフィンガーボード列12にしっかり保持されるようにする。
【0013】
各ラッチ18は対応するフィンガーボード列12にリベットや、ねじ固定や、溶接や、それらと他の適切な手段との組み合わせで装着される。図の実施例では、各ラッチ18は対応するフィンガーボード列12に1以上のナットとボルトの結合20(図2参照)で装着されている。各ラッチ18は、対応するフィンガーボード列12にラッチ18用の穴22をあけ、対応する穴22(図7参照)にラッチ18の部分を配置することにより、更に確実に装着することができる。
【0014】
図4Aから図4Eに列コントローラー22の1実施例の作動を示す。図1に示すように、フィンガーボード列12の各々は図4Aから図4Eの列コントローラー22を備える。列コントローラー22の各々は、対応するフィンガーボード列12内でロック位置とロック解除位置との間でラッチ18の動きを制御する。
【0015】
列コントローラー22の各々はピストン24を備え、ピストン24はケーシング26とピストン24をガイドするピストンガイド28に関して動くことができる。図の実施例では、ピストン24は細長ロッド30を備え、ケーシング26は複数の吐出ポート32を備える。この細長ロッド30はケーシング26に関して動くことができ、各吐出ポート32を覆ったり、覆わなかったりする。ここで使用されているように、吐出ポートを覆うということは加圧空気が吐出ポートに入ることを妨げることを表わすが、必ずしも物体を直接吐出ポートの上に置いたり上側に配置したりすることではなく、吐出ポートを覆わないということは加圧空気が吐出ポートに入るようにすることを表わす。
【0016】
図4Aから図4Cの実施例ではケーシング26は中空円筒ケーシング26で内部の空隙27を有する。この実施例では、複数の吐出口32はケーシング26の長さに沿って長手方向に離れて配置されており、それぞれケーシングの外部円周をケーシングの内部の空隙27に接続する。
【0017】
図の実施例では、細長ロッド30は円筒ケーシング26の中を動き、ケーシング26の内面から吐出ポート32を覆う。しかし、他の実施例では細長ロッド30はケーシング26の外側を動き、ケーシング26の外面から吐出ポート32を覆う。更に、他の実施例では、ケーシング26は円筒以外の形状例えば、長方形、正方形、その他適切な形状を取り得る。
【0018】
図5に示すように、吐出ポート32の各々は対応するラッチ18に接続されている。この実施例では、吐出ポート32の各々は導管34を介して対応するラッチ18に接続されている。例えば第1吐出ポート32Aは第1ラッチ18Aに第1導管34Aを介して接続されており、第2吐出ポート32Bは第2ラッチ18Bに第2導管34Bを介して接続されており、第3吐出ポート32Cは第3ラッチ18Cに第3導管34Cを介して接続されている等である。図を簡単にするため、残りのラッチ18、吐出ポート32、導管34は付番していない。更に、特に断りなき場合には、ラッチ、吐出ポート、及び導管はラッチ18、吐出ポート32、及び導管34と呼ばれる。
【0019】
図4Aから図5に示すように、導管34の各々は第1の端部で対応する吐出ポート32に第2の端部でラッチ18に対応する吐出ポート32に接続されている。図4Aに示すように、導管34の各々の第1の端部はねじ継手36で対応する吐出ポート32に接続できる。図6Aと6Bに示すように、導管34の各々の第2の端部は同様に対応するラッチ18の入口ポート38にねじで接続できる。
【0020】
空気源40(図4Aから図4Cに略図を示す。)は各々の列コントローラー22のケーシング26に接続されている。空気源40は加圧空気42を列コントローラー22に供給する。フィンガーボード10が加圧空気42を各々の列コントローラー22に供給する空気源40を1つ持つことができ、又は各々の列コントローラー22が個別空気源40を持つことができる。1実施例では、各々の列コントローラー22は掘削装置と同じ圧力の空気源に接続され、これは約70 Pa(約100 psi=1平方インチあたり100ポンド)の加圧空気42を各ケーシング26に供給する。
【0021】
図4Aから図4Cに示すように、加圧空気42はケーシング26の下側端部(ここで使用する「上」「下」「上側」「下側」「右」「左」は相対的な言葉であり、必ずしも要素の実際の位置を示さない)から内部空隙27に入る。加圧空気42は細長ロッド30のヘッド44より下の空隙27を満たす。細長ロッド30のヘッド44はO−リングのようなシール要素46を有する。1実施例において、ヘッド44はシール要素46を受ける円周溝を有する。シール要素46は加圧空気42が内部空隙27内のシール要素46の上に動くことを防止する。そこで、加圧空気42は覆われていない吐出ポート32にのみ入ることができる。この実施例では、吐出ポート32は、シール要素46が(シール要素が対象の吐出ポート32より上になるまで細長ロッド30を動かすことによって)その吐出ポート32より上の位置に動かされたときには覆われていない。
【0022】
図4Aでは、細長ロッド30は最も引っ込んだ位置にある。この位置では、細長ロッド30は各吐出ポート32を覆う(すなわちシール要素46は各吐出ポート32の下に位置する。)。図4Bでは、細長ロッド30は最初の延設位置まで上向きに動かされ、シール要素46は第1吐出ポート32Aより上で残りの吐出ポート32より下に位置する。そこで、第1吐出ポート32Aは覆われず、加圧空気42が第1吐出ポート32Aに入るのを許し、残りの吐出ポート32は覆われて、加圧空気42が残りの吐出ポート32に入るのを妨げる。
【0023】
図4Aから図6Bを再度参照して以下に詳述するように、吐出ポート32が覆われない場合は、対応するラッチ18はロック解除位置に保持され、吐出ポート32が覆われた場合は、対応するラッチ18はロック位置に保持される。たとえば、第1吐出ポート32Aが覆われない場合は、加圧空気42は第1吐出ポート32Aに入り、第1導管34Aを通り、第1ラッチ18Aの入口ポート38に入る。図6Aと図6Bに示すように、加圧空気42が第1ラッチ18Aの入口ポート38に入る時は、ラッチピストン48は下向きに動かされ、ラッチアーム50を動かし、第1ラッチ18Aがロック位置(図8A)からロック解除位置(図8B)に動かされる。この例において、ラッチアーム50がロック位置にあるときは、第1ラッチ18Aはロック位置にあり、ラッチアーム50がロック解除位置にあるときは、第1ラッチ18Aはロック解除位置にある。
【0024】
図6Aと図6Bの実施例において、ラッチピストン48は圧縮スプリングのような付勢要素52に取り付けられている。付勢要素52はラッチピストン48を上向きに付勢し、ラッチアーム50がロック位置で付勢されているようにする。加圧空気42が第1ラッチ18Aの入口ポート38に入る時、加圧空気42は付勢要素52の力に打ち勝つようにラッチピストン48の上に力を加え、ラッチピストン48を下向きに動かし、ラッチアーム50をピボット54の周りを回転させてロック位置からロック解除位置まで動かす。加圧空気42がラッチピストン48上に力を加えない時(これは第1吐出ポート32Aが覆われたとき起こる)、付勢要素52はラッチピストン48に上向きに力を加え、ラッチアーム50をピボット54の周りを回して、ラッチアーム50がロック位置まで戻るようにする。上述は第1ラッチ18Aについてのものであるが、他のラッチ18の各々は上述の第1ラッチ18Aについて述べたのと同様にロック位置とロック解除位置の間を動かされる。更に、ラッチ18はロック位置で付勢されているラッチアーム50を備えるように記述されているが、上述のシステムはロック解除位置でラッチアーム50に逆付勢することもできる。
【0025】
図4Bは細長ロッド30が第1番目の延設位置にある場合を示す。第1番目の延設位置では第1吐出ポート32Aは覆われておらず、残りの吐出ポート32は覆われている。1実施例において、細長ロッド30は複数の延設位置を有し、延設位置の数字は吐出ポート32の同じ数字に対応し、それに続く、より高い位置の延設位置の各々は順次対応する吐出ポート32を覆わなくなる。
【0026】
図4Cは細長ロッド30が最も延びた位置にあることを示す。最も延びた位置では、吐出ポート32の全てが覆われていない。図4Aから図4Cに示すように、ケーシング26はこれより上側の吐出ポート32Uを含むことができる。上側の吐出ポート32Uは大気への開口を備え、開口は細長ロッド30のシール要素46に漏れがある場合にラッチが開くことを防止する。
【0027】
図4Aから図4Cは列コントローラー22のピストンガイド28の1実施例を示す。ピストンガイド28は複数の停止部56を有し、停止部56の数は細長ロッド30の延設位置の数プラス細長ロッド30の最も引っ込んだ位置の数に対応し、連続する停止部56の各々は細長ロッド30の連続する延設位置に対応し、細長ロッド30の連続する、より高い延設位置の各々は、対応する吐出ポート32を順次覆わなくなる。
【0028】
例えば、図4Aにおいて、ピストン26は第1停止部56Aに係合しており、細長ロッド30は最も引っ込んだ位置にある(特にことわらない限り、上述の停止部は包括的に、停止部56、と呼ぶ)。図4Bにおいて、ピストン26は第2停止部56Bに係合しており、細長ロッド30は第1延設位置にあり、第1吐出ポート32Aは覆われていない。順次これより高い停止部56に係合させるようにピストン26を動かすことによって、吐出ポート32の各々は順次覆われなくなる。
【0029】
図4Aから図4Cに示すように、加圧空気42は細長ロッド30を上向きに最も延びきった位置まで付勢する。ピストンガイド28は加圧空気42の付勢力が細長ロッド30を動かして、ある停止部56から連続するこれより高い次の停止部56へ動かすことを許すが、加圧空気42の付勢力が細長ロッド30を最も引っ込んだ位置から最も延びきった位置まで直接動かすことを妨げる。そこで、ピストンガイド28は吐出ポート32が個々に順次覆われなくなり、各ラッチ18が個々に順次開かれるようにする。ここで使用されたように、ラッチを開くことはラッチのロック位置からロック解除位置への動きとなり、ラッチを閉じることは、ラッチのロック解除位置からロック位置への動きとなる。
【0030】
更に、加圧空気42の付勢力に打ち勝つ力を加えることにより、細長ロッド30は吐出ポート32が個々に順次覆われ、各ラッチ18が個々に順次閉じられるようにし、順次下側の停止部56へ動かすことができる。1実施例において、加圧空気42は約70 Pa(約100 psi)に加圧され、付勢力は約30 N(約7 lbs =7ポンド)である。そこで、この実施例では、加圧空気42の付勢力はピストン26に30N(7 lbs) より大きい力を下向きに加えることによって打ち負かされる。
【0031】
1実施例では、ピストン26は手動で動かすことができ、係合しているロッド30は各停止部56の間を手動で動かすことができる。例えば、図7と図8の実施例において、ピストンガイド28は多数のS字形ガイド60を有する板であり、ここでは、多数のS字形ガイド60はプレートの横溝又は横開口として形成されている。ピストン26はハンドル58を有し、ハンドル58は多数のS字形ガイド60の停止部56に係合する第1端部58Aと手動で動かせる第2端部58Bを有する。
【0032】
図7において、ハンドル58の第1端部58Aはピストンガイド28の第1停止部56Aに係合しており、ハンドル58の第1端部58Aはハンドル58の第2端部58Bをつかんで第1停止部56Aの方向へ回転させることにより第1停止部56Aから離して第2停止部56Bと係合させることができる。これはハンドル58の第1端部58Aを同様に第2停止部56Bの方向へ回転させる。ハンドル58の第1端部58Aが多数のS字形ガイド60(図8に示す)の端部に到着すると、ハンドルは開放されて加圧空気42の付勢力がハンドル58の第1端部58Aを動かして第2停止部56Bと係合させるようにする。ピストン26はハンドル58をこの態様で繰り返し回転させることにより、同様に停止部56のもっと高い位置と順次係合するように上昇させることができる。上記工程を逆にすることにより、ピストン26は順次これより下側の停止部56と係合させて下げることができる。1実施例では多数のS字形ガイド60は複数の戻り止め64を有し、この戻り止めはピストンハンドル58が第1停止部56Aのような下側の停止部56から不注意に動き、第2停止部56Bのような上側の停止部56へ動くことを防止する。
【0033】
各々の列コントローラー22はラッチ18から遠く離れた位置にあるフィンガーボード10にしっかり固定することができ、ラッチ18はラッチ18の場所から遠く離れた位置から手動で開閉できる。例えば図1と図3に示すように、各々の列コントローラー22はラッチ18から遠く離れたキャットウォークのような支持構造物62にしっかり固定されている。
【0034】
上述した説明は本発明の様々な実施例を参照して示された。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は上述の構造及び操作方法における修正、変更が本発明の理論、精神、及び範囲から有意に離れることなく実施されうることを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1実施例のフィンガーボードの平面図。
【図2】図1のフィンガーボードの部分の拡大図。
【図3】図1のフィンガーボードの他の部分の拡大図。
【図4A】本発明の1実施例によるフィンガーボードで使用する列コントローラーの1実施例の正面図で、ピストンがケーシングに関して最も引っ込んだ位置にある状態を示し、ピストンとケーシングを断面で示した図。
【図4B】図4Aの列コントローラーの正面図で、ピストンが部分的に伸びた位置にある状態を示し、ピストンとケーシングを断面で示した図。
【図4C】図4Aの列コントローラーの正面図で、ピストンが最も伸びた位置にある状態を示し、ピストンとケーシングを断面で示した図。
【図4D】図4Aの列コントローラーの平面図。
【図4E】図4Aの列コントローラーの側面図。
【図5】図4Aの列コントローラーの使用状態の側面図で、図1のフィンガーボードとともに示した図。
【図6A】図1のフィンガーボードの側面図で、ラッチのロック位置を示し、ラッチの部分を断面で示した図。
【図6B】図6Aのラッチの側面図で、ラッチがロック解除位置にある状態を示し、ラッチの部分を断面で示した図。
【図7】図4Aのピストンの斜視図で、図4Aの列コントローラーのピストンガイドに最初の停止位置で係合している図。
【図8】図4Aのピストンの斜視図で、図4Aの列コントローラーのピストンガイドの最初の停止位置での係合から外れて動いた図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のねじ付きチューブラーを保管するための少なくとも1つのフィンガーボード列と、
少なくとも1つのねじ付きチューブラーをロックして保持するために、少なくとも1つのフィンガーボード列に接続された複数のラッチであって、複数のラッチの各々がロック位置とロック解除位置との間を動くことができる、複数のラッチと、
ラッチをロック位置とロック解除位置との間を個別に順次動かすために、ラッチの各々に接続された列コントローラーであって、前記ラッチが手動で遠隔制御でき、前記ラッチから遠く離れた場所から手動で操作できる列コントローラーとを備えたフィンガーボード。
【請求項2】
前記列コントローラーが、更に、ケーシング内に滑るように配置された細長ロッドを有するピストンを備え、前記ケーシングは複数のラッチの各々と接続されていて、前記細長ロッドの前記ケーシングに関する動きが、前記ラッチのロック位置とロック解除位置の間での前記個別で順次の動きを生じさせる、請求項1に記載のフィンガーボード。
【請求項3】
前記細長ロッドが最も引っ込んだ位置と複数のラッチの各々に対応する複数の延設位置との間を動くことができ、最も引っ込んだ位置では複数のラッチの各々はロック位置にあり、複数の延設位置のうちの連続する1つ1つの位置において、対応する複数のラッチのうちの連続する1つのラッチが前記ロック位置から前記ロック解除位置へ動かされる、請求項2に記載のフィンガーボード。
【請求項4】
更に、前記ケーシングに接続された空気源を備え、前記ケーシングはケーシングと流体接続している複数の吐出ポートを有し、吐出ポートの各々は複数のラッチのうちの1つに対応しており、前記最も引っ込んだ位置では前記吐出ポートの各々は前記細長ロッドによって覆われ、前記空気源からの空気が流れることができず、対応するラッチの各々をロック位置で付勢し、複数の延設位置のうちの連続する1つ1つの位置では複数の吐出ポートのうちの連続する1つの吐出ポートは覆われず、空気が前記吐出ポートを流れ、対応するラッチのうちの連続する1つを強制してロック位置からロック解除位置へ動かす、請求項3に記載のフィンガーボード。
【請求項5】
前記列コントローラーが更にピストンガイドを備え、ピストンガイド内には前記ピストンの少なくとも一部が滑るように係合されており、前記ピストンガイドは複数の停止位置を有し、前記停止位置の各々は前記細長ロッドの最も引っ込んだ位置か又は前記細長ロッドの複数の延設位置の1つに対応する、請求項3に記載のフィンガーボード。
【請求項6】
前記ピストンが前記ピストンガイドに滑るように接続されているハンドルを有し、前記ハンドルの連続する動きが前記ハンドルを複数の停止位置のうちの連続する1つの位置に係合させる、請求項5に記載のフィンガーボード。
【請求項7】
前記ピストンガイドが多数のS字形ガイドを備え、各S字形の端部の各々が前記停止位置の1つを形成する、請求項5に記載のフィンガーボード。
【請求項8】
前記ピストンが前記複数の停止位置の各々に手動で動くことができる、請求項5に記載のフィンガーボード。
【請求項9】
複数のねじ付きチューブラーを保管するための少なくとも1つのフィンガーボード列と、
少なくとも1つのフィンガーボード列に接続された複数のラッチであって、前記複数のラッチの各々がロック位置に付勢されていてロック位置とロック解除位置との間を動くことができる複数のラッチと、
ケーシングと滑るように係合された細長ロッドを有するピストンであって、前記ケーシングは流体接続する複数の吐出ポートを有し、前記複数の吐出ポートの各々が前記複数のラッチのうちの対応する1つに接続されているピストンと、
前記ケーシングに流体接続された空気源であって、前記細長ロッドが最も引っ込んだ位置と前記複数の吐出ポートの各々に対応する複数の延設位置との間を動くことができ、前記最も引っ込んだ位置では前記吐出ポートの各々は前記細長ロッドによって覆われていて、前記空気源からの空気は流れることができず、対応するラッチの各々はロック位置で付勢されており、複数の延設位置のうちの連続する1つ1つの位置では複数の吐出ポートのうちの連続する1つの吐出ポートは覆われず、空気が流れて、対応するラッチのうちの連続する1つのラッチを強制してロック位置からロック解除位置へ動かす空気源とを備えたフィンガーボード。
【請求項10】
前記ピストンが手動で動かすことができ、前記ラッチが手動で制御できる、請求項9に記載のフィンガーボード。
【請求項11】
前記ピストンが前記複数のラッチから遠く離れた位置から手動で動かすことができ、前記ラッチが手動で遠隔制御できる、請求項9に記載のフィンガーボード。
【請求項12】
更に、前記ピストンが滑るように係合されているピストンガイドであって、前記ピストンガイドが複数の停止位置を有し、前記ピストンが前記停止位置の各々に係合することができ、前記停止位置の各々が前記細長ロッドの最も引っ込んだ位置か又は複数の延設位置のうちの1つのいずれかに対応しているピストンガイドを備えた、請求項9に記載のフィンガーボード。
【請求項13】
前記ピストンが前記ピストンガイドに滑るように接続されているハンドルを有し、前記ハンドルの連続する動きが前記ハンドルを複数の停止位置のうちの連続する1つの位置に係合させる、請求項12に記載のフィンガーボード。
【請求項14】
前記ピストンガイドが多数のS字形ガイドを備え、各S字形の端部の各々が前記停止位置の1つを形成する、請求項12に記載のフィンガーボード。
【請求項15】
前記細長ロッドが前記空気源の空気によって、最も引っ込んだ位置から離れる方向に付勢されている、請求項9に記載のフィンガーボード。
【請求項16】
複数のねじ付きチューブラーを保管するための少なくとも1つのフィンガーボード列と、
少なくとも1つのフィンガーボード列に接続された複数のラッチであって、前記複数のラッチの各々がロック位置に付勢されていて、ロック位置とロック解除位置との間を動くことができる複数のラッチと、
ケーシングと滑るように係合された細長ロッドを有するピストンであって、前記ケーシングは流体接続する複数の吐出ポートを有しているピストンと、
複数の導管であって、前記複数の導管の各々が前記複数の吐出ポートのうちの1つを前記複数のラッチのうちの対応する1つに流体接続する複数の導管と、
前記ケーシングに流体接続された空気源であって、前記細長ロッドが最も引っ込んだ位置と前記複数の吐出ポートの各々に対応する複数の延設位置との間を動くことができ、前記最も引っ込んだ位置では前記吐出ポートの各々は前記細長ロッドによって覆われていて、前記空気源からの空気は流れることができず、対応するラッチの各々はロック位置で付勢されており、複数の延設位置のうちの連続する1つ1つの位置では複数の吐出ポートのうちの連続する1つの吐出ポートは覆われず、空気が流れて対応するラッチのうちの連続する1つのラッチを強制して、ロック位置からロック解除位置へ動かす空気源と、
前記ピストンに接続され、複数の停止位置を有するピストンガイドであって、複数の停止位置の各々が前記細長ロッドの前記複数の延設位置のうちの1つに対応するピストンガイドとを備えたフィンガーボード。
【請求項17】
前記ピストンが手動で動かすことができ、前記ラッチが手動で制御できる、請求項16に記載のフィンガーボード。
【請求項18】
前記ピストンが前記複数のラッチから遠く離れた位置から手動で動かすことができ、前記ラッチが手動で遠隔制御できる、請求項16に記載のフィンガーボード。
【請求項19】
前記ピストンが前記ピストンガイドに接続されているハンドルを有し、前記ハンドルの連続する動きが前記ハンドルを前記複数の停止位置のうちの連続する1つの位置に係合させる、請求項16に記載のフィンガーボード。
【請求項20】
前記ピストンガイドが多数のS字形ガイドを備え、各S字形の端部の各々が前記停止位置の1つを形成する、請求項16に記載のフィンガーボード。
【請求項21】
複数のねじ付きチューブラーを保管するためのフィンガーボード列を有し、
複数の吐出ポートを有するケーシングを有し、複数の吐出ポートの各々が前記複数のねじ付きチューブラーの少なくとも1つに対応しており、
前記ケーシングに関し動くことができる細長ロッドを有するピストンを有し、
複数のラッチを前記フィンガーボード列に接続し、複数のラッチの各々が前記複数の吐出ポートの対応する1つに接続され、各ラッチが閉の位置に付勢されていて閉の位置と開の位置の間で動くことができ、
空気源を前記ケーシングに接続し、
前記細長ロッドを最も伸びきった位置まで動かして、吐出ポートの各々は前記細長ロッドによって覆われず、前記空気源からの空気が覆われていない吐出ポートの各々に入り、前記ラッチの各々をロック解除位置へ強制し、
前記複数のねじ付きチューブラーの連続する1つ1つをフィンガーボード列の位置に追加し、
前記細長ロッドを複数の最も引っ込んだ位置の1つに動かし、追加したねじ付きチューブラーの各々の対応する吐出ポートを覆い、各ラッチをロック解除位置からロック位置に向かって付勢し、追加したねじ付きチューブラーの各々を前記フィンガーボード列にロックすることからなる、複数のねじ付きチューブラーをフィンガーボードに保管する方法。
【請求項22】
前記ピストンが手動で動かすことができ、前記ラッチが手動で制御できる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ピストンが前記複数のラッチから遠く離れた位置から手動で動かすことができ、前記ラッチが手動で遠隔制御できる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
更に、前記細長ロッドを動かしてねじ付きチューブラーの各々の対応する吐出ポートを覆わないようにし、前記ロックされたねじ付きチューブラーの連続する1つ1つを開放して外し、各ラッチを強制してロック位置からロック解除位置へ動かし、ロック解除されたねじ付きチューブラーの各々を前記フィンガーボード列から外させることからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
更に、前記ピストンを複数の停止位置を有するピストンガイドに接続し、前記複数の停止位置の各々が前記細長ロッドの複数の引っ込んだ位置の1つに対応していることからなる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のラッチの各々がロック位置に向かって付勢されている、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−521426(P2007−521426A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512374(P2005−512374)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034490
【国際公開番号】WO2005/061839
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(504239191)バーコ アイ/ピー,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】