説明

空気流を調節する装置

【課題】安価に形成することができ、かつわずかしか汚れを受けずに高い長寿命を有する、自動車のための空気流を調節ないし調整する装置及び方法を提供する。
【解決手段】 自動車用の空気流を調節または調整する装置において、空気流を通過させるための多数の開口部を備えたフレキシブルなフィルム部材(8)と、フィルム部材(8)が保持される、好ましくは曲がりにくい支持部材(9)とを有する。フィルム部材(8)が、前記開口部と関連する多数のフラップ部材(7)を有し、前記フラップ部材がそれぞれ、フィルム部材(8)を打ち抜く、フラップ部材(7)を完全には一周しないフラップ端縁(7a)によって定められている。
支持部材(9)が、平面的な領域(9a)と打抜きとを有しており、打抜きが空気流を通過させるためにフラップ部材(7)に対応づけられており、かつ、フィルム部材(8)が平面的な領域(9a)に平面的に添接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の空気流を調節ないし調整する装置(すなわち、空気流を通過させるための多数の開口部を備えたフレキシブルなフィルム部材と、フィルム部材が保持される、好ましくは曲がりにくい支持部材と、を有し、その場合にフィルム部材が、前記開口部と関連する多数のフラップ部材を有しており、前記フラップ部材がそれぞれ、フィルム部材を打ち抜く、フラップ部材を完全には一周しないフラップ端縁によって定められている、自動車用の空気流を調節または調整する装置)およびこの種の装置を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車において、空気通路内に動圧フラップを使用することが知られている。その場合に動圧フラップというのは、一般に、空気圧の差が存在する場合に開放する、空気通路を制限し、あるいは閉鎖するフラップであある。空気圧の差は、走行風によって生じることがある。一般に、最近の車両製造においては、それ自体硬直しており、かつそれぞれのリンク機構、通常は回転リンク機構内に揺動可能に収容されている、フラップが使用される。それによって、動圧フラップを有する該当するベンチレータフードを形成する場合に、コストと時間消費が生じる。さらに、リンク機構は、汚れや摩耗を生じやすい。さらに、この種のフラップの開放抵抗は大体において高く、かつ寿命にわたって一定ではない。
【0003】
従来技術(たとえば、特許文献1を参照)は、自動車のための熱交換器用のカバーを記述しており、そのカバーは実質的にゴム材料から形成されており、かつそれに一体的に形成された結合フィンガーを用いて熱交換器のウェブの間に差し込むことができる。その場合にカバーは、走行風によって開放方向に弾性的に曲がることができる、多数のゴムフラップを有している。
【特許文献1】米国特許2205661
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、安価に形成することができ、かつわずかしか汚れを受けずに高い長寿命を有する、自動車のための空気流を調節ないし調整する装置を提供することである。本発明の課題は、さらに、この種の装置を形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、冒頭で挙げた装置について、本発明によれば、請求項1に記載の特徴(すなわち、支持部材が、平面的な領域と打抜きとを有しており、その場合に打抜きが空気流を通過させるためにフラップ部材に対応づけられており、かつその場合にフィルム部材が平面的な領域に平面的に添接することを特徴とする、自動車用の空気流を調節または調整する装置)によって解決される。また、前述の課題は、請求項21の特徴を有する本発明に基づく方法(すなわち、a.それ自体知られたフィルムの形成方法を用いて、フィルム部材を用意するステップ;b.フィルム部材を支持部材と結合するステップを有する方法)によって解決される。
【発明の実施の形態】
【0006】
支持部材とフィルム部材を組み合わせて、両者を平面的に添接させることによって、同時に複数のフラップ部材を有するカバーを安価に形成することができ、それらフラップ部材はさらに、フィルムを用いて形成することによって、動きやすく、汚れに対して比較的敏感でなく、長寿命であり、比較的小さい重量を有している。他の利点は、減少された組立ての手間と材料の節約によるコスト削減にある。比較し得る機械的なフラップに対して、フラップの改良された密閉性、容易な開放および多面的な幾何学的適合によって、改良された冷却出力が得られる。この種の装置によって、さらに、より高度に自動化された形成が可能となるので、変化しない、改良された品質が可能である。さらに、機械的リンク機構を有するフラップに比較して、たとえば車両ドアを閉鎖する場合に発生するような、ぱたぱたいう騒音が減少される。
【0007】
好ましくはフィルム部材は、プラスチック、特に部分芳香族のポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、過フルオルアルコキシ共重合体(PFA)、PVC、ポリプロピレン(PP)またはポリイミド(PI)から、あるいは好ましくは上述した材料の少なくとも1つを有する多層のフィルムから、エラストマー、織物またはコーティングされた織物から、あるいは方位付けされた(伸張された)フィルムからなる。上述した材料によって、長い寿命と摩耗の生じにくさが得られる。特に好ましくは、支持部材が同様にプラスチックから、特に添加物によって強化されたポリプロピレン(PP)またはポリアミド66(PA66)からなり、それによって装置の軽い構造と容易な形成が可能である。
【0008】
好ましくは、フラップ部材は、支持部材の材料からなる補強で裏打ちされている。さらに、フィルムが閉鎖された状態において、支持部材内の開口部に張り渡された格子に支持されると、効果的である。これが、簡単な製造において、フィルムの特に薄い形成を可能にするので、フィルムによって形成されるフィルム継手の抵抗が特に小さくなる。
【0009】
好ましくは、本装置によって、ベンチレータを熱交換器に対して吸い込む配置で収容するためのベンチレータフードが形成され、その場合にベンチレータの吸込み駆動がフラップの閉鎖方向に作用する圧力差をもたらし、かつその場合に速度に基づく走行風がフラップの開放方向に作用する圧力差をもたらす。それによって、フラップ部材の動きやすい開放も、閉鎖方向に圧力がかかった場合の良好な密閉性も、既知の装置を改良するために利用することができる。
【0010】
好ましい形態において、フィルム部材は、付着を仲介する中間層、特に接着剤を用いて支持部材と結合することができ、それによって簡単な形成が可能となる。その代わりに、あるいはそれに加えて、フィルム部材が打抜きを有することができ、その打抜きを通して支持部材の一部が固定の目的でフィルム材料を把持する。それによってフィルム部材と支持部材の特に確実な相補形状の、あるいはアンダーカットによる固定が可能である。またその代わりに、あるいはそれに加えて、平面的に添接する領域において、フィルム部材と支持部材の材料の直接的な付着結合を設けることができ、それは、大体において特殊な形成を必要とするが、部材の特に信頼でき、かつ確実な結合を保証する。この種の直接的な結合は、たとえばフィルム上に支持部材を射出成形することによって得られる。その場合に、同時に付着しない領域を備えた相互に固定する領域を得るために、部材の少なくとも1つの表面領域の局所的な前処理を行うことができる。その場合に、前処理された箇所は、それぞれ要請、前処理の材料と種類に応じて、付着し、あるいは付着しないことができる。その場合にさらに、前処理後に付着し、あるいは付着しない、付着する中間層が使用されると、効果的である。
【0011】
本発明に基づく装置の好ましい形態において、少なくとも2つのフラップ部材が異なる大きさを有しており、その場合に同様に、1つのフラップ部材に発生する動圧は、同時に他のフラップ部材に発生する動圧とは異なる大きさを有している。
【0012】
個々のフラップ部材をその大きさと形状において、たとえば熱交換器とベンチレータフードの間のような、空間的な動圧分布に適合させることによって、空気流量をさらに最適化することが可能である。というのは、それぞれのフラップのより早期の開放が得られるからである。
【0013】
前述の課題は、請求項21の特徴を有する本発明に基づく方法(すなわち、a.それ自体知られたフィルムの形成方法を用いて、フィルム部材を用意するステップ;b.フィルム部材を支持部材と結合するステップを有する方法)によって解決される。
【0014】
方法の好ましい形態において、フィルム部材と支持部材を結合する前に、両者の少なくとも一方、フィルム部材または支持部材上に接着剤が塗布される。これが、個数が少ない場合でも考慮される、手動または自動化された形成を可能にする。
【0015】
特に好ましくは、フィルム部材と支持部材を結合する前に、両者の少なくとも一方、フィルム部材または支持部材の、少なくとも部分的な表面処理、特にプラズマ処理が実施される。その場合に、処理すべき部分、好ましくはフィルムが、裏面射出の前に処理される場合に、プラズマ処理が効果的である。それによって、しばしば異なる材料からなる2つの部材の、理想的な場合においては分子の架橋化の元での、直接的な結合が得られる。その代りに、あるいはそれに加えて、結合前にフィルム部材および/または支持部材に少なくとも局所的に反付着層を設けることができる;これは、特に、2つの材料がもともと互いに付着しており、あるいは結合が生じている場合に、興味を惹く。しかしそれによって、極めて一般的に、部材の、形成後に互いに離れて存在すべき領域のよく定められた分離を保証することができる。
【0016】
本発明に基づく方法の特に好ましい形態において、支持部材は、フィルム部材を射出成形型へ挿入した後にそのそフィルム部材上に射出形成される。それによって装置は安価に、大きな個数で、かつ極めて変化しない品質において、形成することができる。
【0017】
その場合に好ましくは、フラップ部材の補強が、トンネルランナーの形式の射出通路を用いて射出によって形成されるので、フラップ部材の個数が多い場合でも、その形成に付加的な手間とコストが生じない。
【0018】
さらに好ましい形態において、フィルム分離は、射出成形型内に形成された切断エッジによってフィルム部材内にもたらされるので、簡単な方法で、フィルム部材上に支持部材を噴射することによって構築された圧力がその打抜きないし切込みをもたらす。
【0019】
その代りに、フィルム分離を、支持部材の射出形成後に切断工具によって形成することができる。またその代わりに、フラップ部材を支持部材の射出形成後にレーザービームによる処理によって形成することができる。その場合にフラップ部材を形成する方法の選択は、完全に、材料種類と材料厚みおよび他の要請に依存する。
【0020】
それぞれ要請に応じて、フィルム分離を、支持部材との結合前にフィルム部材内に、特に打抜きによってもたらすこともできる。これは特に、支持部材が射出形成されず、2つの部材がたとえば接着によって結合される場合に、提供される。
【0021】
本発明の他の利点と特徴が、従属請求項および以下で説明する実施例から明らかにされる。
【実施例】
【0022】
次に、2つの異なる形態を有する、本発明に基づく装置の好ましい実施例を形成方法に関して記述し、かつ添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1に示す装置は、電気的なベンチレータ1を有しており、それが、吸込み駆動において図では見えない熱交換器の走行方向前に配置されている。ベンチレータ1は、ベンチレータフード2内に収容されており、そのベンチレータフードはその端縁3に沿って熱交換器と気密に結合されている。この結合は、直接あるいは中間フレームまたは他の手段を用いて行うことができる。
【0024】
図示のベンチレータフード2は、表示を簡単にする理由から、ベンチレータフードのそれぞれ約4分の1に相当する、4つのセクター2a、2b、2c、2dを有している。その場合に右のセクター2cと2dは、同様であって、細長い矩形の、比較的大面積のフラップ部材ないし動圧フラップ4’を図式的に示している。これら動圧フラップ4’は、従来技術に相当し、機械的なリンク機構を有するフラップとして形成されている。従来技術のこの表示が明らかにするように、少なくとも過度の贅沢をしなければ、従来の機械的フラップ4は数がわずかであって、それぞれ少なくとも矩形である。
【0025】
セクター2a(左上)とセクター2b(左下)の動圧フラップ5、6は、それぞれ本発明に基づく動圧フラップの変形例である。
【0026】
セクター2aのフラップ部材5は、それぞれ少なくとも2つの非平行の対向する側を有しており、その場合に側の幾つかは、特に湾曲している。ベンチレータ1の近傍にあるフラップ部材5は、端縁領域にあるフラップ部材よりも大きい。この分配と形状付与は恣意的なものではなく、熱交換器とベンチレータフードとの間の走行風に基づく空間的な動圧分布に適合されている。この適合によって、フラップの幾つかは他のフラップよりも早期に開放するので、速度が低い場合でも、改良された空気流量が得られる。従って、ベンチレータが減少されたパワーで回転することができる走行状態が生じることができるので、この配置によってエネルギも節約される。
【0027】
他の配置が、セクター2bに示されている。そこにある、本発明に基づくフラップ部材6は、それぞれ矩形であって、かつ極めて小さく、その場合に良好な空気流量を得るために、大きな数で存在している。これが、本発明に基づく装置の高い柔軟性を示している。というのは、フラップ部材がどのような数で、どのような大きさで、かつどのような形状で存在するかは、コストと手間において取り立てて言うほどの差がないからである。
【0028】
図1に示す全部の動圧フラップが、図面平面から流出する走行風によって開放され、ベンチレータの駆動は、走行停止状態あるいは速度が低い場合には、ベンチレータフード2と熱交換器の間に低下された空気圧をもたらすので(吸込み駆動)、この場合において動圧フラップは閉鎖方向にパワーを供給される。
【0029】
図2の表示は、本発明に基づくフラップ部材7を有する、図1のベンチレータフード2の一部を、種々の位置で示している。装置は、フィルム部材8と支持部材9を有しており、それらが大きな領域9aにおいて互いに平面的に添接し、特に互いに付着している。フラップ部材7は、フラップ端縁7aを有しており、そのフラップ端縁はフィルム部材8の切抜きまたは切通しとして形成されている。フラップ端縁7aは、実質的に矩形のフラップ部材7の3つの側のみに延びている。第4の側は切断されていないので、フィルムはそこでフラップを移動させるためのフィルム継手7bを形成している。好ましくは、フィルムのこの箇所を、たとえば切込みまたは刻印によって、弱くすることもできる。
【0030】
フラップ部材7は、フィルムの後方に補強7cを有しており、その補強は支持部材9と同一の材料からなり、その場合に端縁7aは補強7cを越えて突出している。端縁7aのこの張出しは、支持部材8の切欠き内に位置する、フラップ部材7の開口部内における支持部材9の張出し9aと関連するので、閉鎖された状態においてフラップ部材の端縁が張出し9aに当接ないしは衝突する。それによってさらに、フラップ部材7の良好な密閉性が保証される。
【0031】
記載された実施例において、支持部材9は工具ないしは2つの射出成形型半体10a、10bを有する射出成形型(図3から図5を参照)内でフィルム部材8上に射出形成されている。その場合に、フィルムの、フラップ部材の開口部を妨げない、平面的な領域のみが、支持部材に付着するように、配慮される。これは、この場合において、フィルム部材の表面処理によって行われ、その場合に特に分離手段ないし付着阻止層がこの領域上に所望に塗布される。
【0032】
フィルム8の、相互に付着するために設けられている領域が、支持部材9を射出形成する途中で、支持部材の材料と直接架橋化される。そのために、それぞれ材料ペアリングに従って、フィルムの先行する表面処理を、たとえばプラズマによって設けることもできる。
【0033】
特に、著しく湾曲した形状付与を有するベンチレータフードにおいては、フィルム部材8は支持部材9を射出形成する前に、熱的な成形プロセスによって射出成形型に正確に適合される。
【0034】
ここでは、支持部材の材料は、機械的に強化する目的のためにガラス繊維の添加を有する、ポリアミド66である。フィルム材料は、好ましくは同様にポリアミドとすることができる。特に、フィルム材料は、たとえば軟化剤のような添加物を有することができ、それによってフィルムの高い柔軟性が保証される。
【0035】
フラップ部材の補強7cは、同様に射出形成の途中でフィルム上に塗布される。この塗布は、トンネルランナーと同様な種類の所定の射出通路を用いて行われる。その場合に、場合によっては残留する、支持部材9へのフラップ部材8のウェブないし接続は、射出成形型を開放する際に破壊される。
【0036】
フラップ部材7の端縁領域7aは、一般に、射出形成時に初めて、あるいはその後に形成される。そのために種々の代替案があって、そのうちの3つが図3から5に示されている。
【0037】
図3の場合において、射出成形型のアッパー部分10aに、先の尖った突片または切断エッジ11が形成されており、それが挿入されたフィルムの後ろに来る。支持部材9を噴射する場合にフィルム部材8に高い圧力が及ぼされるので、フィルムが切断エッジで切断され、あるいは少なくとも切込みが形成される。場合によってはその場合に、工具を開放した後に、たとえばフラップ部材7の圧入によって、切込みの手動または自動の切断を行うことができる。
【0038】
図4の場合において、フィルムは、支持部材9の射出形成後に最初は無傷である。次に、然るべき切断工具12が射出成形型内へ進入して、フィルムの、支持部材とは逆の側から始まってフィルムに端縁領域を切断形成する。分離するために、図5に示すように、さらに、同時に射出成形型の上方の部分10bの開放に伴ってフラップ部材7を突き上げるために、他の側から他の工具13が下からフラップ部材7の補強7cへ向かって進入する。この突き上げの際に、フラップ部材が切断工具の箇所で残りのフィルムから引き裂かれる。その場合にそれぞれ工具の設計と調節に応じて、端縁領域7aにおいてフィルムの延長を行うこともできる。これが、図5に誇張して示されている。それによって、特に良好に密閉する端縁領域7aを得ることができる。
【0039】
全体として、本発明に基づく装置によって、特に下方の速度領域において、減少されたフラップ抵抗とそれに伴って改良された空気流量を得ることができる。明らかにするために図6のグラフが、走行速度にわたって冷却空気流量を示している。下方の実線Aは、動圧フラップなしの実際の空気流量を示している。上方の実線Bは、本発明に基づく装置の動圧フラップの空気流量を示している。ハッチングした面積は、フード圧力推移に適合された分割によって、従来の動圧フラップに比較してフィルム圧フラップによる改良を示している。破線Cは、従来の動圧フラップのための空気流量の理論的最適状態を示しており、それは走行速度が高くなるとカーブAからだんだんと離れる。
【0040】
ハッチングした領域Dは、カーブBとカーブCの間の間隔を示しており、従って従来の動圧フラップに比較して、本発明に基づく装置ないしフラップ部材の可能な改良に関する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ベンチレータと本発明に基づく装置とを有するベンチレータフードを後方から、ないしは走行方向に示す図であって、右半分は従来技術に基づく配置を示し、左上半分と左下半分は、それぞれ本発明に基づく装置の変形例を示している。
【図2】本発明に基づく装置のフラップ部材を、閉鎖に近い状態、半分開放された状態および完全に開放された状態で示している。
【図3】本発明に基づく形成方法の第1の形態を説明するために、本発明に基づく装置を射出成形型内で示している。
【図4】本発明に基づく形成方法の第2の形態を説明するために、本発明に基づく装置を射出成形型内で示している。
【図5】図4に基づく装置を、鋳造後の射出成形型の開放時において示している。
【図6】本発明に基づく装置によって改良された空気流量を走行速度に従って示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流を通過させるための多数の開口部を備えたフレキシブルなフィルム部材(8)と、
フィルム部材(8)が保持される、好ましくは曲がりにくい支持部材(9)とを有し、
フィルム部材(8)が、前記開口部と関連する多数のフラップ部材(7)を有しており、前記フラップ部材がそれぞれ、フィルム部材(8)を打ち抜く、フラップ部材(7)を完全には一周しないフラップ端縁(7a)によって定められている、自動車用の空気流を調節または調整する装置において、
支持部材(9)が、平面的な領域(9a)と打抜きとを有しており、打抜きが空気流を通過させるためにフラップ部材(7)に対応づけられており、かつ、フィルム部材(8)が平面的な領域(9a)に平面的に添接することを特徴とする、自動車用の空気流を調節または調整する装置。
【請求項2】
フィルム部材(8)が、プラスチック、特に部分芳香族のポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、過フルオルアルコキシ共重合体(PFA)、PVC、ポリプロピレン(PP)またはポリイミド(PI)からなり、あるいは少なくとも1層および/または多層を有する多層のフィルムとして、たとえば上述の材料の1つから、あるいはエラストマーから、あるいは織物、コーティングされた織物からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
フィルムが、たとえば伸張されているように、方位付けされていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
支持部材(9)が、同様にプラスチックから、特に添加物によって強化されたポリプロピレン(PP)またはポリアミド66(PA66)からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
フラップ部材(7)の少なくとも1つが、特に支持部材の材料からなる、補強(7c)によって裏打ちされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
本装置によって、ベンチレータ(1)を熱交換器に対して吸い込む配置で収容するためのベンチレータフード(2a、2b)が形成されており、ベンチレータに支配される駆動が、フラップ部材(7)の閉鎖方向に作用する圧力差をもたらし、かつ、走行風に支配される駆動が、フラップ部材(7)の開放方向に作用する圧力差をもたらすことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
フィルム部材(8)が、付着を仲介する中間層、特に接着剤を用いて、あるいは少なくとも部分的に活性化された表面によって支持部材(9)と結合されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記活性化が、プラズマまたは燃焼によって行われることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
フィルム部材(8)が、打抜きを有しており、前記打抜きを通して支持部材(9)の一部がフィルム部材(8)を固定の目的で把持することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
平面的に添接する領域(9a)において、フィルム部材(8)と支持部材(9)の直接的な付着結合が存在することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも2つのフラップ部材(7)が、異なる大きさを有していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
同様に、1つのフラップ部材に発生する動圧が、同時に他のフラップ部材(7)に発生する動圧とは異なる大きさを有していることを特徴とする請求項1から11の少なくとも1項、特に11項に記載の装置。
【請求項13】
特に請求項1から12の少なくとも1項に記載の、少なくとも2つのフラップ部材を有する空気流を調節する装置において、
フラップ部材が、大きさ、輪郭および/または位置決めにおいて、ベンチレータに支配される駆動から走行風に支配される駆動への移行領域内でローカルな圧力比に依存する開放を可能にするように、形成されており、その場合にベンチレータに支配される駆動においてフラップ部材が閉鎖されており、走行風に支配される駆動においてはフラップ部材が開放されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
ローカルな圧力比に依存する開放が、少なくとも個々のフラップ部材が開放されており、他のフラップ部材が閉鎖されていることを意味していることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
フラップ部材が、支持構造なしで形成されていることを特徴とする請求項1から14の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項16】
支持構造なしでフラップ部材が、フィルムとしてのみ形成されていることを特徴とする請求項1から15の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項17】
フラップ部材が、フィルム内に形成された構造を有しており、前記構造が1方向または両方向の剛性を増大させることを特徴とする請求項1から16の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項18】
フラップ部材が継手領域内に、たとえば切込みまたは刻印によって形成可能な、弱められた、曲がりやすい構造を有していることを特徴とする請求項1から17の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項19】
フィルム内またはフィルム上に、導体路またはセンサが設けられていることを特徴とする請求項1から18の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項20】
センサを用いて、フラップの開放認識を実施することができることを特徴とする請求項1から19の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項21】
次のステップ、すなわち、
a.それ自体知られたフィルムの形成方法を用いて、フィルム部材(8)を用意するステップ;
b.フィルム部材(8)を支持部材(9)と結合するステップ、
を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載の装置を形成する方法。
【請求項22】
フィルム部材(8)と支持部材(9)を結合する前に、両者の少なくとも一方、フィルム部材(8)または支持部材(9)に接着剤が塗布されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
フィルム部材(8)と支持部材(9)の結合前に、両者の少なくとも一方、フィルム部材(8)または支持部材(9)の少なくとも部分的な表面処理、特にプラズマ処理が行われることを特徴とする請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
フィルム部材(8)と支持部材(9)の結合前に、両者の少なくとも一方、フィルム部材(8)または支持部材(9)に少なくとも局所的に反付着層が設けられるので、この箇所においては結合が生じないことを特徴とする請求項21から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
フィルム部材(8)を射出成形型(10a、10b)内へ挿入した後に、支持部材がフィルム部材上に射出形成されることを特徴とする請求項21から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
トンネルランナーの形式の射出通路を用いて噴射することによって、フラップ部材の補強(7c)が形成されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
フラップ部材(7)のフラップ端縁(7a)が、射出成形型(10a、10b)内に形成された切断エッジ(11)によってフィルム部材(8)に形成されることを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
フラップ部材(7)が、支持部材(9)の射出形成後に切断工具によって形成されることを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項29】
フラップ部材(7)が、支持部材(9)の射出形成後にレーザービームによる加工によって形成されることを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項30】
フラップ部材(7)が、支持部材(9)と結合する前に、特に打抜きによって、フィルム部材(8)内に形成されることを特徴とする請求項25から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
フィルム部材が、射出成形型内へ挿入する前、あるいは射出成形型内で熱成形されることを特徴とする請求項21から30のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−531363(P2008−531363A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556506(P2007−556506)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000308
【国際公開番号】WO2006/089598
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】