説明

空気清浄機用フィルター

【課題】本発明は、菌及びウイルスを除去する空気浄化装置用フィルターに関し、特にインフレンザや重症性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを不活化させることに有効な空気清浄機用フィルターに関する。
【解決手段】本発明は、微細な穴構造が形成された高分子発泡体に、白金ナノ粒子を付着させることで、白金粒子の触媒作用によりウイルスが不活化され、菌及びウイルスを完全に除去することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菌及びウイルスを除去する空気浄化装置用フィルターに関し、特にインフレンザや重症性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを不活化させることに有効な空気清浄機用フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトにカゼの症状(新型肺炎)を起こすSARSウイルスの粒子は直径75〜130nmの多形性エンベロープをもつ。このウイルスによる感染は、肺炎に似た症状で、感染は空気感染、飛沫感染や接触感染のケースがあり、死亡率は約6%に達するがワクチン開発以外に有効な対策を見出せていない状況である。
【0003】
また、従来から不織布に白金ゼオライト等を担持させることで、臭気をはじめ、ハウスダスト、花粉等の空中に浮遊する微粒子物質や、さらに、有機溶剤等のVOC系ガスのような不純物を同時に除去することができるフィルターの出願がある(例えば、特許文献1[0011]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2006−91136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記新型肺炎の感染防除対策としては、被感染者を隔離し、感染経路やその周辺を徹底的に消毒することが実施されているが、二次、三次感染を防止できないのが現状である。その理由として、被感染者を隔離室において隔離したとしてもウイルスを含んだ空気を隔離室外に排気するとウイルスを拡散させてしまうことになる。本発明は、隔離室に設けた空気清浄機のフィルターに、ウイルスを不活化させる機能を持たせることで、二次、三次感染を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、空気清浄機用のフィルターとして、微細な穴構造が形成された高分子発泡体に、白金ナノ粒子を付着させたフィルターを用いることで実現している。高分子発泡体に固定された白金ナノ粒子が、ウイルスに付着することで白金粒子の触媒作用によりウイルスが不活化され、ウイルスの感染拡大を防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、本発明は、微細な穴構造が形成された高分子発泡体に、白金ナノ粒子を付着させることで、白金粒子の触媒作用によりウイルスが不活化され、菌及びウイルスを完全に除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気清浄機用フィルターの分解斜視図である。
【図2】本発明の白金粒子高分子フィルターの拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0008】
図1は、本発明の実施例を示す図である。符号10で示すものは、簡易フィルターで細菌・ウイルス以外の浮遊物を捕集することを目的とする。符号11で示すものは、中性能フィルターで細菌を捕集して不活化することを目的とする。符号12は、調湿フィルターで、湿度を上げて不活化の効果を上げる事が出来る。符号13は、白金粒子高分子フィルターで、主に、女性が化粧する時に使用しているパフの技術を応用して作製される。符号14で示されるものは、高性能HEPAフィルターで、臭い等を除去することを目的とする。
【0009】
図2は、符号13で示される白金粒子高分子フィルターの拡大写真である。孔径は40ミクロン〜100ミクロンで、厚みは1mm〜2mm、素材はポリウレタンで作られている。このように白金粒子高分子フィルターは細かい孔が幾つもの経路を形成することで、広い表面積を有すると共に緩速気流を作り出すことができ、その緩速気流が確実に白金ナノ粒子に接することで、ウイルスを死滅させることが可能となる。
【0010】
図1の矢印Aの方向から、汚染された空気を流し、簡易フィルター10で細菌・ウイルス以外の浮遊物を捕集させる。次に、続いて中性能フィルターで、細菌捕集して不活化させる。次に続いて調湿フィルター12で、空気に水分を含ませることで、ウイルスの周りに水の分子をめぐらせ、ウイルスを大きな水分子の塊とする。次に続いて白金粒子高分子フィルター13で、そのウイルスを含む大きな水分子の塊に、白金ナノ粒子を触れさせることで、白金の触媒効果により、ウイルスを不活性化させることができる。次に続いて高性能HEPAフィルター14で臭い等を除去することにより、汚染された空気がきれいな空気になる。
【0011】
本発明の実施は上記の例に限定されず、たとえば、高性能HEPAフィルター14の後に、再度、白金粒子高分子フィルター13を設けることで、ウイルスの死滅効果をより確実にすることも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明のフィルターを空気清浄機として利用した際の用途としては、病院(院内感染対策用、隔離室用、新生児保護用)、老人ホーム(高齢者/弱者の集団感染予防)、空港ビル、地下街、デパートにおける潜在的感染者からの飛散による感染を防止客へのサービスと自己防衛手段、製薬工場(注射薬、点眼薬などの製薬工程)、無菌動物室(菌およびウイルス対策)、換気処理(感染症多発地帯の導入外気処理用、遺伝子組替施設の吸気排気処理用)等が挙げられる。
【符号の説明】
【0013】
1 空気清浄機用フィルター
10 簡易フィルター
11 中性能フィルター
12 調湿フィルター
13 白金粒子高分子フィルター
14 高性能HEPAフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な穴構造が形成された高分子発泡体に、白金ナノ粒子を付着させた、空気清浄機用フィルター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−239871(P2012−239871A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129600(P2011−129600)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(302058646)
【Fターム(参考)】