説明

空気清浄機

【課題】使用者の実感に即した汚染度の表示や空気の吸引・排出量の制御を行なう空気清浄機およびその動作の制御方法を提供すること。
【解決手段】空気の汚染の度合いを所定の閾値が設定された複数の感度モードに基づいて複数の汚染レベルに区分し、判断された空気の汚染レベルに応じて、吸引・排出量の制御を行う空気清浄機において、標準となる感度モードと、低感度モードあるいは高感度モードのうちの少なくとも一つ以上の感度モードとを設定する。空気清浄機の運転に際して、空気の汚染度の検出値がより高感度側の感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さい時間が所定の時間あった場合は感度モードを一段階高感度側に切り換え、空気の汚染度の検出値がより低感度側の感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きい時間が所定の時間あった場合は感度モードを一段階低感度側に切り換えて、空気清浄機の風量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中のガス成分、臭い、煙や埃などを検出して、自動運転で周囲の空気を清浄化する空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄機の構成を、図7を用いて説明する。空気清浄機は本体1に電動送風機(不図示)を内蔵している。電動送風機の前面には集塵・脱臭フィルター3が設置されている。フロントパネル2は、集塵・脱臭フィルター3を介して本体1へはめ込まれている。本体の上部には空気清浄機の運転モードを切り換える運転切り換えボタン5および運転入/切ボタン6が配置されている。
【0003】
本体1とフロントパネル2との間には、吸気口となる隙間が設けられている。この隙間から空気が外部より吸引され、集塵・脱臭フィルター3を経由して、本体1の中央部にある吸気孔から本体1の内部に入り、電動送風機により本体1の上部から外部へと排出される。集塵・脱臭フィルター3を通過する空気は、集塵・脱臭フィルター3により塵埃や臭いが吸着・除去されて清浄化された後、本体1から排出される。
【0004】
本体上部には小さな穴が形成されており、この穴は電動送風機の吸引により微少な空気が流れる経路であり、この経路上に空気の汚染度を検出するガスセンサ4などの検出部が配置されている。そのほか、検出部として塵埃や煙などの粒子を検出する粒子センサなどが搭載される場合もある。
【0005】
ガスセンサ4が配置された経路に通じている空気は集塵・脱臭フィルター3を通っていないので、室内の空気の汚染状態をガスセンサ4により検出することができる。ガスセンサ4の出力に応じて空気清浄機の周囲の空気の汚染度を判定し、電動送風機の風量(ファンの回転数)が自動的に制御され、空気が清浄化される。このような空気清浄機では、ガスセンサ4が出力した値が高いほど、電動送風機の風量が多くなるように制御され、空気中の臭いや粉塵などの除去が早められる。
【0006】
しかし、周囲の空気の温度および湿度などが急激に変化した場合、所定の時間を経過してもガスセンサ4の出力値が飽和した状態からほとんど減少しないことがある。この場合、空気清浄機の制御部は周囲の空気が長時間に渡って高い汚染度を継続していると判断して運転を継続するため、空気清浄機の使用者の実感と空気清浄機の動作とが異なることがあった。
【0007】
この点を改善するため、ガスセンサおよび粒子センサなどの複数のセンサを搭載する空気清浄機では、あらかじめ空気が清浄な状態でのセンサの出力値を基準値として記憶しておき、一つのセンサが飽和状態を検出して一定時間経過してもセンサの出力値がほとんど減少しない場合は他のセンサの状況を確認し、センサの基準値を所定の時間ごとに所定量だけ増加させた値を、センサの新たな基準値として更新して記憶する。センサの基準値と出力値との差分がなくなるまでこのプロセスを繰り返すことによって、従来の空気清浄機では飽和状態を検出したセンサが出力した空気の汚染度の値が見かけ上、減少しているように表示され、それに基づき空気清浄機を運転していた(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−249135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、実際には空気清浄機の動作と空気清浄機の使用者の実感とが一致していると感じられないことは、センサ出力がこのような飽和状態に至った場合だけでなく、飽和状態に至るまでの過程でも起こっていた。例えば、使用者がたばこを吸った場合であっても空気清浄機の反応が鈍くてすぐに動作しない、或いはセンサの反応が過敏であるために使用者は空気が清浄化されたと感じた後も空気清浄機の風量が多い状態で長時間動作するために空気清浄機の動作騒音が大きいことなどが挙げられる。
【0009】
このように従来の空気清浄機では、使用者がたばこの煙などの浮遊物がなくなり、空気が清浄化されたと感じても、空気清浄機は空気の汚染度が高いと検出して大風量で動作を継続する、或いは使用者がたばこを吸い始めても空気清浄機の風量がなかなか変化しないなどという問題があった。
【0010】
これらの問題に対し、空気清浄機にスライドスイッチ等を設け、センサの感度を高感度、標準感度、低感度の間で使用者が自由に切り換えられる工夫もなされている。しかしながら、製品に感度切り換え用のスイッチ等を設ける場合においても、使用者が状況に応じて、手動でスライドスイッチを切り換える必要があり面倒であった。
【0011】
本発明は、上述の問題を解決しようとするもので、使用者の実感に即した汚染度の表示と風量の切り換え制御とを行なう空気清浄機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明では、周囲の空気の吸引および空気の排出を行う電動送風機と、吸引された空気を清浄化する清浄部と、ガス成分や臭気などを検出するガスセンサおよび粉塵などの粒子を検出する粒子センサを含む空気の汚染の度合いを検出する検出部と、所定の値を閾値として周囲の空気の汚染の度合いを複数の汚染レベルに区分する感度モードを複数有するとともに、検出部からの空気の汚染の度合いの出力値と感度モードに設定されている汚染レベルの閾値との差分から周囲の空気の汚染レベルを判断して電動送風機の風量を汚染レベルに応じて制御する制御部とを備え、感度モードの各々は汚染レベルの閾値の設定が異なり、検出部からの空気の汚染度の出力値と各感度モードでの汚染レベルの閾値とを比較した結果に応じて制御に使用される感度モードが切り換えられる空気清浄機において、制御部は、少なくとも一つの標準となる感度モードを有するとともに、標準の感度モードが有する閾値から所定の値だけ減少した値を汚染レベルの閾値として有する高感度側の感度モードおよび標準の感度モードが有する閾値から所定の値だけ増加した値を判断された汚染レベルの閾値として有する低感度側の感度モードのうちの少なくとも一つの感度モードを有している。
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、制御部は、検出部の出力値が、運転中の感度モードより一段階高感度側にある感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さい時間が所定の時間以上続いたときには、感度モードを一段階高感度側にある感度モードに切り換え、検出部の出力値が、運転中の感度モードより一段階低感度側にある感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きい時間が所定の時間以上続いたときには、感度モードを一段階低感度側にある感度モードに切り換える。
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、制御部は、検出部の出力値が運転中の感度モードよりも一段階高感度側の感度モードでの閾値以下にあるとき、運転中の感度モードよりも一段階低感度側の感度モードに切り換えて制御する。
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、時計機能を備えるとともに、制御部が、所望の時刻に感度モードを運転中の感度モードとは別の所望の感度モードに切り替えて制御を行うタイマー機能を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者の実感に即した運転動作で空気の清浄化を行う空気清浄機およびその制御方法を提供することができる。また、動作モードの選択、或いはタイマーのプログラム設定により、動作騒音の発生が少ない空気清浄機およびその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図2は、本願発明の空気清浄機の制御ブロック図である。まず、図2を参照して本発明の一実施形態による空気清浄機の構造について説明する。一実施形態による空気清浄機は、マイクロコンピュータ10からなる制御部を備えている。マイクロコンピュータ10には、検出部11、電動送風機駆動回路12、クロック回路13、キー入力回路14、表示回路15、電源同期信号発生回路16が接続されている。
【0019】
検出部11は、ガスセンサ回路4および粒子センサ回路19などを備え、空気の汚染度を検出し、マイクロコンピュータ10に検出結果を出力する。
【0020】
電動送風機駆動回路12は電動送風機17および電源回路18にも接続されており、電源回路18から供給される電力を電動送風機17に供給するとともに、マイクロコンピュータ10から出力される制御信号に基づいて電動送風機17のファンを回転駆動する電力を制御し、ファンの回転数の制御、すなわち、電動送風機17の風量を制御する。ファンの回転数が低いほど、風量は少なく、動作騒音も小さい。また、ファンの回転数が高いほど、風量は多く、動作騒音も大きい。
【0021】
電源同期信号発生回路16は電源回路18とも接続されており、電源回路18から供給される電圧波形に同期した信号をマイクロコンピュータ10に出力して、時計機能及びタイマー機能に活用される。
【0022】
キー入力回路14は運転切り換えボタン5や運転入/切ボタン6などと接続されており、空気清浄機の使用者が入力した指令に基づく信号をマイクロコンピュータ10に出力する。
【0023】
表示回路15は、マイクロコンピュータ10の出力信号に基づき、空気の汚染の度合い等を表示し、使用者に情報を伝える機能を有する。
【0024】
クロック回路13は、マイクロコンピュータ10の動作の基準信号をマイクロコンピュータ10に出力する。電源同期信号回路がない場合はこの信号を利用し、タイマー情報を得る。
【0025】
マイクロコンピュータ10は、検出部11からの空気の汚染の度合いに関する情報と、キー入力回路14から空気清浄機の使用者による運転に関する指令と、電源同期信号発生回路16から時間の制御に関する情報とを受ける。そして、あらかじめ選択された感度モードに従って、前記の情報を基に空気の汚染レベルや電動送風機17の駆動に関する演算を行い、表示回路15へ空気の汚染度に関する情報を出力し、電動送風機駆動回路12へ電動送風機17の駆動に関する制御情報を出力する。
【0026】
次に、一実施形態による空気清浄機の動作について説明する。なお、一実施形態による空気清浄機では、以下に示す3つの感度モードによって運転・動作されている。図1に、3つの感度モードにおける、空気の汚染レベルに対する検出部11での出力の閾値の関係を示す。感度モードには、低感度モード、標準感度モードおよび高感度モードを設定し、感度モードが高感度側へ切り換わるとともに、各汚染レベルでの検出部11の出力値の閾値が低くなるように設定した。また、感度モードが低感度側へ切り換わるとともに、各汚染レベルでの検出部11の出力値の閾値が高くなるように設定した。空気の汚染レベルは、レベル0〜3までの4つの汚染レベルに区分し、空気の汚染度が大きくなるにつれ、汚染レベルが高くなるように設定した。空気の汚染レベルが高くなるに伴い、電動送風機17の風量は多くなり、空気清浄機の清浄化作用は強くなる。
【0027】
基準となる標準感度モードにおいて、汚染レベルの閾値は、レベル0とレベル1との間ではA、レベル1とレベル2との間ではB、レベル2とレベル3との間ではCに設定した。また、高感度モードにおいて、汚染レベルの閾値は、レベル0とレベル1との間では(A−a1)、レベル1とレベル2との間では(B−b1)、レベル2とレベル3との間では(C−c1)に設定した。更に、低感度モードにおいて、汚染レベルの閾値は、レベル0とレベル1との間では(A+a2)、レベル1とレベル2との間では(B+b2)、レベル2とレベル3との間では(C+c2)に設定した。
【0028】
図3は、検出部11内のガスセンサ回路4が検出した空気の汚染レベルが0である時、ガスセンサ回路4の出力の変化に伴い、感度モードが標準感度から高感度側へ切り換わる様子を表すグラフである。時刻t=t0の時、空気清浄機は標準感度モードで運転しており、ガスセンサ回路4の出力は汚染レベル0の範囲内で変化している。t=t1において、ガスセンサ回路4の出力値が、汚染レベル0の範囲内で高感度モードにおけるレベル0とレベル1との間の閾値(A−a1)よりも小さくなり、その状態が所定時間T1以上続くと、制御部10の感度モードは高感度モードに切り換わる。この際、感度モードが高感度側へ切り換わると同時にレベル0、レベル1、レベル2における汚染レベルの閾値はAから(A−a1)に、Bから(B−b1)に、Cから(C−c1)にそれぞれ切り換わる。
【0029】
感度モードが高感度側に切り換わる前後において、空気の汚染レベルは同じレベル0であるため、電動送風機17の風量などの空気清浄機の運転状態に変化は起こらず、そのまま運転が継続される。しかし、感度モードが高感度側に切り換わったことにより、汚染レベルの閾値がAより(A−a1)に変わるため、汚染度レベルがレベル0からレベル1へ移行する時刻はt=t3からt=t2に変わり、汚染レベルの切り換え時間が早くなる。すなわち、電動送風機17の風量が通常より早い時間に多くなるため、空気の汚染度の増大に対してより迅速に対応できる。ここで、所定時間T1は、ガスセンサ回路4の出力値のサンプリング時間から任意に設定される。
【0030】
図4は、ガスセンサ回路4の出力の変化に伴い、感度モードが標準感度から高感度側へ切り換わる手順を示すフローチャートである。S0では検出部11が空気の汚染度の検出を行い、S1では汚染レベルを判断するとともに空気の汚染レベルの変化の有無を判定する。S1において、汚染レベルに変化があるときは汚染レベルを記憶したのち手順はS0に戻り、汚染レベルに変化がないときには手順はS2に移行する。
【0031】
S2では運転している制御部10の感度モードの判定を行う。感度モードが高感度であれば、手順S0に戻る。感度モードが、標準感度である場合は手順S3に移行し、低感度である場合は手順S4に移行する。
【0032】
S3では同一の汚染レベル内において検出部11からの出力値が高感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さいかを判断する。出力値が高感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さくないときは、手順S0に戻る。出力値が高感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さいときは手順S5に移行する。
【0033】
また、S4では同一の汚染レベル内において検出部11からの出力値が標準感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さいかを判断する。出力値が標準感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さくないときは、手順S0に戻る。出力値が標準感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さいときは手順S5に移行する。
【0034】
S5ではS3或いはS4において、検出部11の出力値が汚染レベルの閾値よりも小さい状態が所定時間T1以上の時間に渡って継続しているかを判断する。継続していた時間が、T1以上ではない場合は手順S0に戻り、T1以上である場合は手順S6に移行して感度モードを高感度側に1段階切り換えたのち手順S0に戻る。
【0035】
次に、図5は、検出部11内のガスセンサ回路4が検出した空気の汚染レベルが2である時、ガスセンサ回路4の出力の変化に伴い、感度モードが低感度側に切り換わる様子を表している。時刻t=t0’の時、空気清浄機は高感度モードで運転しており、ガスセンサ回路4の出力はt=t1’で汚染レベル2から汚染レベル3に変化している。t=t2’において、ガスセンサ回路4の出力値が、汚染レベル3の範囲内で標準感度モードにおけるレベル2とレベル3との間の閾値Cよりも大きくなり、その状態が所定時間T2以上続くと、制御部10の感度モードは標準感度モードに切り換わる。この際、感度モードが低感度側へ切り換わると同時にレベル0、レベル1、レベル2におけるガスセンサ回路4の出力値の閾値も(A−a1)からAに、(B−b1)からB、(C−c1)からCに切り換わる。
【0036】
さらに、t=t3’において、ガスセンサ回路4の出力値が、汚染レベル3の範囲内で低感度モードにおけるレベル2とレベル3との間の閾値(C+c2)よりも大きくなり、その状態が所定時間T3以上続くと、制御部の感度モードは低感度モードに切り換わる。この際、感度モードがさらに低感度側へ切り換わると同時にレベル0、レベル1、レベル2における汚染レベルの閾値もAから(A+a2)に、Bから(B+b2)に、Cから(C+c2)に切り換わる。
【0037】
感度モードが低感度側に切り換わる前後において、汚染レベルの変化はないので、電動送風機17の風量などの空気清浄機の運転状態に変化は起こらず、そのまま運転が継続される。しかし、感度モードが低感度側に切り換わったことにより、汚染レベルの閾値が(C−c1)からC、さらには(C+c2)へと変わる。ここで、所定時間T2、T3は、センサ出力値のサンプリング時間から任意に設定される。
【0038】
その後、空気が清浄化されてガスセンサ回路4の出力値が低下していく場合、感度モードは低感度モードのままであるので、より高感度側の感度モードでの運転に比べて、汚染レベルはレベル3からレベル2へ、またレベル2からレベル1へも早く移行していく。
【0039】
図6は、ガスセンサ回路4の出力の変化に伴い、感度モードが低感度側へ切り換わる手順を示すフローチャートである。U0では検出部が空気の汚染度の検出を行い、U1では空気の汚染レベルの変化の有無を判定する。U1において、汚染レベルに変化があるときは、汚染レベルを記憶したのち手順はU0に戻り、汚染レベルに変化がないときは手順U2に移行する。
【0040】
U2では運転している感度モードの判定を行う。感度モードが高感度であれば、手順U4に移行する。感度モードが、標準感度である場合は手順U3に移行し、低感度である場合は手順U0に戻る。
【0041】
U3では同一の汚染レベル内において検出部11からの出力値が低感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きいかを判断する。出力値が低感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きくないときは、手順U0に戻る。出力値が低感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きいときは手順U5に移行する。
【0042】
また、U4では同一の汚染レベル内において検出部11からの出力値が標準感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きいかを判断する。出力値が標準感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きくないときは、手順U0に戻る。出力値が標準感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きいときは手順U6に移行する。
【0043】
U5では、U3において、検出部11の出力値が汚染レベルの閾値よりも小さい状態が所定時間T3以上の時間に渡って継続しているかを判断する。継続していた時間が、T3以上ではない場合は手順U0に戻り、T3以上である場合は手順U7に移行して感度モードを低感度側に1段階切り換えたのちに手順U0に戻る。
【0044】
U6では、U4において、検出部11の出力値が汚染レベルの閾値よりも小さい状態が所定時間T2以上の時間に渡って継続しているかを判断する。継続していた時間が、T2以上ではない場合は手順U0に戻り、T2以上である場合は手順U7に移行して感度モードを低感度側に1段階切り換えたのちに手順U0に戻る。
【0045】
通常、空気清浄機は、フィルターを通して空気を循環させる電動送風機17の回転数において、汚染レベルが高いほど回転数が高くなるように設定されており、電動送風機17の回転による騒音も増加するため、できるだけ早く汚染レベルを下げ、より早く静かな運転状況にすることが望まれている。
【0046】
上述のように、汚染レベルに対して感度モードをより迅速に切り換えることにより、室内での空気の汚染の進行に対して早くから応答して電動送風機17の風量を多くすることができる。また、空気の清浄化が進行に対しても早いタイミングで反応して、電動送風機17の回転数を低くできることから、室内の静音環境を早く回復することができるようになり、空気清浄機は使用者の実感により近い運転をすることができる。
【0047】
感度モードの自動的な切り換えは、低感度モード−標準感度モード、標準感度モード−高感度モードといった、一段階の感度モードの間だけはなく、低感度モード−標準感度モード−高感度モードといった感度モードの間を通して自在に行なわれる。
【0048】
上述の説明においては、空気清浄機の検出部11として臭いやガス成分を検出するガスセンサ回路4を例にしたが、塵埃や煙などの粒子を検出する粒子センサ回路19など、空気の汚染度を検出するセンサであれば同様の制御が可能である。また、ガスセンサ回路4、粒子センサ回路19もしくは他のセンサを組み合わせて使用して空気の汚染レベルを検出する場合においても、上述と同様に空気清浄機を運転することができる。
【0049】
また、空気清浄機の使用者の活動が顕著な昼間においては、塵埃や煙草の煙により室内環境が汚染される頻度が多いため、すこしでも感度モードを高感度側に移し、室内の空気をすばやく清浄化するように望まれる。しかし、汚染レベル0であり且つ高感度モードでの空気清浄機の運転時間が、空気清浄機の検出部の感度モードを切り換えるのに必要とされる時間に比べて十分長い場合も考えられる。すなわち室内で使用者が活動していない、或いは使用者が就寝中であるような場合などには、空気清浄機の感度モードがより低感度側へ切り換わるように制御しても良い。
【0050】
使用者の就寝時などでは、空気清浄機の検出部11は使用者の寝返り等の動作により布団から巻き上がる埃等を検出する。このとき、空気清浄機の感度モードが高感度側に設定されていれば、検出部11が埃を検出して汚染レベルが上がり、空気清浄機の動作騒音が大きくなって就寝中の使用者を起こしてしまうなどの問題が生じるおそれがある。
【0051】
よって、使用者の就寝時においては、汚染レベル0での感度モードを低感度側へ切り換えておけば、汚染レベルの閾値の設定が高くなるため、空気清浄機の動作騒音による使用者の目覚め等の問題を回避しやすくなる。
【0052】
また、空気清浄機にタイマー機能を更に備えることにより、使用者の就寝時刻に空気清浄機の感度モードを自動的に低感度側へ切り換え、起床時刻に高感度側へ切り換わるようにプログラムを設定しておくことができる。タイマーの設定により、就寝中のように室内での空気の汚染の進行が遅い状況では、空気清浄機の運転による動作騒音の発生をより少なくすることができる。
【0053】
また、使用者の活動時間中は検出部の感度モードを高感度側に設定することにより、室内での空気の汚染が進行しやすい状況に対しても、迅速に反応を示すことによって、使用者の実感に即した空気清浄機の清浄化運転を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】感度モードと検出部の出力値および汚染度のレベルとの関係を表すグラフである。
【図2】本願発明の空気清浄機の制御ブロック図である。
【図3】検出部の出力の変化に対し、感度モードが高感度側へ切り換えられる様子を表すグラフである。
【図4】感度モードが高感度側へ切り換わる手順を示すフローチャートである。
【図5】検出部の出力の変化に対し、感度モードが低感度側へ切り換えられる様子を表すグラフである。
【図6】感度モードが低感度側へ切り換わる手順を示すフローチャートである。
【図7】従来の空気清浄機の構成を表す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 本体
2 フロントパネル
3 集塵/脱臭一体型フィルター
4 ガスセンサ(ガスセンサ回路)
5 運転切り換えボタン
6 運転入/切ボタン
10 マイクロコンピュータ(制御部)
11 検出部
12 電動送風機駆動回路
13 クロック回路
14 キー入力回路
15 表示回路
16 電源同期信号発生回路
17 電動送風機
18 電源回路
19 粒子センサ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の空気の吸引および空気の排出を行う電動送風機と、
吸引された空気を清浄化する清浄部と、
ガス成分や臭気などを検出するガスセンサおよび粉塵などの粒子を検出する粒子センサを含む空気の汚染の度合いを検出する検出部と、
所定の値を閾値として周囲の空気の汚染の度合いを複数の汚染レベルに区分する感度モードを複数有するとともに、前記検出部からの空気の汚染の度合いの出力値と前記感度モードに設定されている汚染レベルの閾値との差分から周囲の空気の汚染レベルを判断して前記電動送風機の風量を汚染レベルに応じて制御する制御部とを備え、
前記感度モードの各々は汚染レベルの閾値の設定が異なり、検出部からの空気の汚染度の出力値と各感度モードでの汚染レベルの閾値とを比較した結果に応じて制御に使用される感度モードが切り換えられる空気清浄機において、
前記制御部は、標準となる感度モードを有するとともに、標準の感度モードが有する閾値から所定の値だけ減少した値を汚染レベルの第一の閾値として有する高感度側の感度モードと前記標準の感度モードが有する閾値から所定の値だけ増加した値を判断された汚染レベルの第二の閾値として有する低感度側の感度モードとのうちの少なくとも一つの感度モードを有していることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検出部の出力値が、運転中の感度モードよりも一段階高感度側にある感度モードでの汚染レベルの閾値よりも小さい時間が所定の時間以上続いたときには、感度モードを一段階高感度側にある感度モードに切り換え、
前記検出部の出力値が、運転中の感度モードより一段階低感度側にある感度モードでの汚染レベルの閾値よりも大きい時間が所定の時間以上続いたときには、感度モードを一段階低感度側にある感度モードに切り換えることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出部の出力値が運転中の感度モードよりも一段階高感度側の感度モードでの閾値以下にあるとき、
運転中の感度モードよりも一段階低感度側の感度モードに切り換えて制御することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項4】
時計機能を備えるとともに、前記制御部が所望の時間に感度モードを運転中の感度モードとは別の所望の感度モードに切り替えて制御を行うタイマー機能を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−119432(P2009−119432A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299192(P2007−299192)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】