説明

空気清浄装置

【課題】駆動時の騒音を抑制することができるとともに、十分な風量で空気を流すことができる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】光触媒を用いて有機物質を分解する空気清浄装置10であって、内部に空気を取り込む吸気部21と、外部に空気を送り出すための排気部23とを有するケース本体11と、吸気部21から排気部23の間に形成された流路に空気を送風する送風部16と、フィルタ手段と、該フィルタ手段と送風部16との間に設けられ、流路を筒状に囲う導風部材60とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭、脱臭、除菌等を目的とし、光触媒を用いて有機物質を分解し、抗体フィルタによって細菌、ウイルスなどを選択的に不活性する空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウイルスの不活性化を目的とする光触媒フィルタや、このような光触媒フィルタを備えた空気清浄装置としては、例えば、下記特許文献に示すものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−223939号公報
【0004】
特許文献1には、多数の微小間隙を形成するように繊維を交絡させてなる不織布の繊維の表面に光触媒層が形成された光触媒フィルタを、空気流路中に配設した空気清浄機の構成が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の空気清浄装置は、空気の流路に光触媒フィルタを配置する構成であるが、装置内で空気の流路を軸流ファンなどの送風部で確保することが必要となる。送風部に軸流ファンを用いる場合には、駆動時の騒音が問題となる。一方で、駆動時の空気の風量を確保するため、軸流ファンは所定の回転数を維持する必要がある。このように、空気の流路に光触媒フィルタを配置する構成の空気清浄装置では、送風部の騒音と、流路における風量とがトレードオフの関係になっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、駆動時の騒音を抑制することができるとともに、十分な風量で空気を流すことができる空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光触媒を用いて有機物質を分解する空気清浄装置であって、
内部に空気を取り込む吸気部と、外部に空気を送り出すための排気部とを有するケース本体と、前記吸気部から前記排気部の間に形成された流路に空気を送風する送風部と、
前記流路に配置されたフィルタ手段と、
前記フィルタ手段と前記送風部との間に設けられ、前記流路を筒状に囲う導風部材とが設けられている空気清浄装置である。
【0008】
本発明の空気清浄装置によれば、フィルタ手段から送風部へ流れる空気が、導風部材によって囲われた空間内を通過して送風部へ送り込まれるようになり、装置内で空気の滞留が生じることに起因して空気の流れが妨害されて風量が低下してしまうことを回避できる。このため、送風部に用いる軸流ファンなどの回転数を上げることなく、騒音の増加を抑制しつつ、十分な風量を確保することができる。
【0009】
導風部材が、フィルタ手段から送風部に向かって、空気を流通させる開口の面積が小さくなる構成とすることが好ましい。こうすれば、送風部へ空気を効率良く送り込むことができる。
【0010】
送風部が複数設けられ、各送風部の流路の上流側に導風部材が配置され、導風部材それぞれが流路に対して対称な形状であることが好ましい。
【0011】
前記光触媒を含む層を有する第1のフィルタと、
前記第1のフィルタに光を照射する光照射部と、
担体に抗体を担持してなる有害物質除去材を含み、前記第1のフィルタの下流側に配置された第2のフィルタと、を備えている構成とすることが好ましい。
【0012】
第1のフィルタが、光触媒フィルタと、活性炭フィルタとを含む構成とすることが好ましい。こうすれば、光触媒フィルタによって光照射部からの光による触媒反応によって空気に含まれる臭気物質を分解するとともに、活性炭フィルタの消臭作用によって、空気の消臭を行なうことができる。
【0013】
光触媒フィルタが、流路に沿って間隔をおいて配置された一対に設けられ、光触媒フィルタ同士の間に前記光照射部が配置されている構成とすることが好ましい。こうすれば、光触媒フィルタに照射される光の量を十分に確保できる。
【0014】
一対の光触媒フィルタそれぞれの、光照射部とは反対側に活性炭フィルタが設けられている構成とすることが好ましい。こうすれば、光触媒フィルタに照射される光が遮られることがない。
【0015】
第2のフィルタが、有機銀を担持する抗菌フィルタと、抗体を担持する抗ウイルスフィルタとを有する構成とすることが好ましい。
【0016】
抗体がダチョウの卵由来の抗体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、駆動時の騒音を抑制することができるとともに、十分な風量で空気を流すことができる空気清浄装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、空気清浄装置の全体の構成を示す平面図である。図2は、図1の空気清浄装置を吸気側からみた図である。図3は、図1の空気清浄装置を排気側からみた図である。図4は、図1の空気清浄装置の空気の流路と平行な断面で切断した断面図である。
【0019】
空気清浄装置10は、内部に所定の空間を有する略長方体形状を有するケース本体11を備えている。図2に示すように、ケース本体11の吸気側の側面11aには、複数の吸気口21が形成されており、これら吸気口21がケース本体11の内部に空気を取り入れるための吸気部として機能する。また、図3に示すように、ケース本体11の排気側の側面11bには、複数の排気口23が形成されており、これら排気口23がケース本体11の外部に空気を送り出すための排気部として機能する。
【0020】
ケース本体11の内部には、吸気口21から排気口23に連通する流路が形成されている。空気清浄装置10の駆動時には、吸気口21から取り込まれた空気が図1中の矢印Fの方向に流れ、排気口23から送り出される。以下、本発明にかかる実施形態において、流路に対して吸気側を上流側とし、排気側を下流側とする。
【0021】
ケース本体11の流路には、光触媒フィルタ12が配置されている。光触媒フィルタ12は、略長方対形状を有し、流路の断面積と略等しい面積で且つ互い平行な平面を有し、該平面が流路を流れる空気の流れ(矢印F)に対して垂直になるように配置されている。なお、本実施形態では、流路に沿って間隔をおいて光触媒フィルタ12aと光触媒フィルタ12bとが配置されている。
【0022】
ケース本体11の内部の流路には、光触媒フィルタ12に光を照射する光照射部14を備えている。本実施形態では、光照射部14を上流側の光触媒フィルタ12aと下流側の光触媒フィルタ12bとの間に配置している。
【0023】
一対の光触媒フィルタ12a,12bの、光照射部14とは反対側に活性炭フィルタが設けられていてもよい。こうすれば、光触媒フィルタ12に照射される光が遮られることがない。
【0024】
光触媒フィルタ12と活性炭フィルタとを第1のフィルタとして構成することができ、または、該第1のフィルタが少なくとも光触媒フィルタ12を備えた構成とすることができる。
【0025】
光触媒フィルタ12は、不織布等のように多孔質の繊維層と、不活性チタン層と、不活性チタン層上に活性チタン層を有する。
光触媒としては、主に、酸化チタン(TiO)を主体として使用するが、木の他に酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(Ce)、酸化テルビウム(Tb)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化エルピウム(Er)、タンタル酸カリウム(KTaO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、および[Ru(bpy)2+やCo錯体等が適用可能である。なお、活性酸化チタンとしては、アナターゼ結晶の微粒子を用いるのが望ましい。
繊維層としては、目付けが100g/m〜300g/mのものであって、圧力損失が標準風速2.5m/sでの初期圧力損失が、20〜90Paのものを用いることが好ましい。
【0026】
また、光触媒フィルタ12の下流側には、第2のフィルタ15が設けられている。第2のフィルタ15は、有機銀を担持する抗菌フィルタと、抗体を担持する抗ウイルスフィルタとを含む構成である。第2のフィルタ15は、上記光触媒フィルタ12と同一寸法及び形状とすることができる。
【0027】
なお、本発明において、第1のフィルタ及び第2のフィルタがフィルタ手段として機能している。フィルタ手段には、第1のフィルタ、第2のフィルタに加えて更に他のフィルタを備えていてもよい。また、第1のフィルタと第2のフィルタのそれぞれのフィルタの種類や構成は特に限定されず、適宜変更可能である。
【0028】
次に、抗菌フィルタ及び抗ウイルスフィルタの構成を説明する。これらフィルタは、抗体を担持した担体からなる有害物質除去材であって、抗体安定化剤として糖、アミノ酸、SH基保護剤、界面活性剤から選択される少なくとも1種類を含む。これらの抗体安定化剤を含むことによって、担体に担持されている抗体の変性が防止でき、使用環境に左右されずに、抗体の活性が長期間保持される。
【0029】
糖としては特に限定されないが、例としては、グルコース、ガラクトース、フルクトースなどの単糖類;サッカロース、マルトース、トレハロース、セロビオースラクトースなどの二糖類;フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、マルトトリオース、及びラフィノースなどのオリゴ糖;エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール;デンプン、デキストリン、グリコーゲンなどの多糖類などが挙げられる。この中でグルコース、ガラクトース、フルクトース、サッカロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、ラフィノース、マンニトール、及びソルビトールが好ましい。これらの糖は1種を用いても2種以上を用いてもよく、また、その他の抗体安定化剤と同時に用いてもよい。
【0030】
糖は、その原料ならびに製法に係らず用いることができる。デンプンを酵素分解したもの(グルコース、マルトース、デキストリンなど)、デンプンを還元したもの(ソルビトール、マルチトール)、デンプンを酵素転移したもの(トレハロース、カップリングシュガーなど)、砂糖を酵素転移したパラチノース、砂糖を還元したパラチニット、ラクトースを還元したラクチトール、キシランを酵素分解したキシロース、キシランを還元したキシリトールなどを用いることができ、特に限定されない。
【0031】
本発明における糖の望ましい添加量は、抗体種・糖種や目的、用途により異なるが、抗体の含量(質量)に対して一般に1〜200質量%、より好ましくは2〜100質量%、特に好ましくは5〜50質量%である。二糖類または三糖類を添加する場合は、前記抗体の含量に対して、質量比で1倍〜1000倍、より好ましくは10倍〜500倍、特に好ましくは、20倍〜200倍である。これらの添加量よりも低い場合は安定化効果が小さく、高い場合は、抗体活性が低下する、又は粘度が高くなって含有量の制御やハンドリングが難しくなるといった問題が生ずる場合がある。
【0032】
アミノ酸としては特に限定されず、いずれの天然アミノ酸、修飾アミノ酸を用いてもよい。好ましくは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、プロリン、リシン、及びグルタミン酸が用いられる。これらのアミノ酸は1種を用いても2種以上を用いてもよく、また、その他の抗体安定化剤と同時に用いてもよい。
【0033】
本発明におけるアミノ酸の望ましい添加量は、抗体種・アミノ酸種や目的、用途により異なるが、一般に抗体の含量(質量)に対して1〜50質量%、より好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。これらの添加量よりも低い場合は安定化効果が小さくなり、高い場合には抗体活性が低下して所望の性能を発揮できなくなる場合がある。
【0034】
SH基保護剤としては特に限定されないが、例としては 2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、グルタチオン、エチレンジアミン4酢酸塩などが挙げられる。この中で2−メルカプトエタノール又はジチオスレイトールが好ましい。これらのSH基保護剤は1種を用いても2種以上を用いてもよく、また、その他の抗体安定化剤と同時に用いてもよい。SH基保護剤のみを抗体安定化剤として用いてもよいが、抗体の不活性化はSH基の酸化以外の原因が複合している場合が多いため、糖、アミノ酸、界面活性剤等の別の種類の抗体安定化剤と併用することが好ましい。
【0035】
本発明におけるSH基保護剤の望ましい添加量は、抗体種、SH基保護剤種により、又は目的・用途により異なるが、抗体の含量(質量)に対して一般に1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは5〜10質量%であればよい。これらの添加量よりも低い場合は安定化効果が小さくなり、高い場合には抗体活性が低下したり、臭気の問題が発生したりする場合がある。
【0036】
界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ベタイン系、ノニオン系のいずれの界面活性剤を用いてもよい。カチオン系界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウムなどが挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、パルミトイルリゾレシチン、3−[3−コラミドプロピルジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネートなどが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(7)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤を用いることが好ましく、特に3−[3−コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ] −1−プロパンスルホネート(CHAPS)を用いることが好ましい。界面活性剤は1種を用いても2種以上を用いてもよく、また、その他の抗体安定化剤と同時に用いてもよい。
【0037】
界面活性剤は、抗体担持工程(抗体の吸着阻害など)、使用時(有害物質の吸着阻害)や評価(抗体や捕捉有害物質の溶出、細胞毒性、クロマトグラフィーへの影響など)の際に妨害物質となることがあるので、種類と量に関しては他の安定化剤よりも慎重に選択する必要がある。
【0038】
本発明で望ましい界面活性剤の添加量は、抗体種・界面活性剤種や目的・用途により異なるが、抗体の含量(質量)に対して5〜20質量%、より好ましくは8〜15質量%、特に好ましくは10〜12質量%である。これらの添加量よりも低い場合は安定化効果が小さくなり、高い場合には抗体活性が低下するほか、抗原抗体反応を阻害する場合がある。
【0039】
担体としては、特に限定されないが、繊維が好ましい。繊維としては、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、ポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維が好ましい。また、ポリアミドを主成分とする繊維も好ましい。本発明でいう主成分とは、全繊維中の質量分率にして25%以上を構成する成分であることを指す。
【0040】
セルロースエステルとは、セルロースの水酸基を有機酸でエステル化されているセルロース誘導体を指す。エステル化に用いる有機酸は、例えば酢酸・プロピオン酸・酪酸などの脂肪カルボン酸、安息香酸・サリチル酸などの芳香族カルボン酸などがある。単独もしくは併用したものであってもよい。セルロースの水酸基のエステル基置換率について特に制限はないが、60%以上であることが好ましい。
【0041】
本発明において担体として用いられる繊維の群のなかでは、セルロースアシレート繊維が望ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基を構成する水素原子の一部又は全部がアシル基で置換されているセルロースエステルを指す。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、及びブチリル基など挙げられる。これらの基は1種のみが置換されて構成されていてもよいし、2種以上のアシル基が混合置換されていてもよい。アシル基置換度の総和は、好ましくは2.2〜3.0であり、より好ましくは2.2〜2.8であり、特に好ましくは2.2〜2.7である。なかでも、この置換度を満たすセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることが好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。一般にセルロースアシレートは、エステル化度によって溶剤が異なることが知られているが、あらかじめエステル化率の高いセルロースアシレートで担体を作製したのちに、アルカリ加水分解処理等を行って表面を親水化してもよい。
【0042】
セルロースアシレート繊維のみでも十分に実用的な有害物質除去材料を形成することが可能であるが、強度や寸度安定性をさらに向上させる等の目的で、ポリエステル系繊維・ポリオレフィン系繊維・ポリアミド系繊維・アクリル系繊維等との混紡繊維により担体を形成してもよい。混紡繊維を用いる場合には、セルロースアシレート繊維の質量分率は50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。
【0043】
本発明において担体として用いられる繊維の群のなかでは、ポリアミド繊維であることも望ましい。
【0044】
本明細書においてポリアミドとは、化学構造単位が主としてアミド結合で結合されている線状高分子からなる繊維を指す。
【0045】
ポリアミドの中でも、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸との結合体である直鎖型脂肪族ポリアミドが好ましい。特に、ナイロン66が好ましい。
【0046】
前記のジアミン及びジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸等を単独又は共重合成分として用いた脂肪族ポリアミドを用いることもできる。特に、ε−カプロラクタムの単独使用で製造されるナイロン6が好ましい。
【0047】
これらの他に、原料の脂肪族ジアミンとして一部又は全部をシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミンを用いた脂肪族ポリアミド、及び/又は、ジカルボン酸として一部又は全部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリアミドであってもよい。
【0048】
更に、脂肪族パラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミン、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を部分的な原料として用いて、吸水性の低減や弾性率向上を実現したポリアミドも含まれる。また、ポリアクリル酸アミド、ポリ(N−メチルアクリル酸アミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリル酸アミド)などのような側鎖にアミド結合を有するポリマーであってもよい。
【0049】
ポリアミドの中で最も望ましいのは、ナイロン66又はナイロン6である。アミド結合に由来する適度な吸湿性、適度な長さの長鎖脂肪酸からなる分子鎖を繊維軸配向させやすく比較的延伸性が高いこと、融解熱が高く熱容量が大きいことから動力学的にも速度論的にも溶融しにくい(耐溶融性)、長鎖脂肪鎖からなる分子鎖の可とう性や、アミド結合間の水素結合形成のためにフィブリル化やキンクバンドが生じにくい性質、すなわち繰返し屈伸性など、担体として好ましい性能を活用することができるためである。
【0050】
同様に強度や寸度安定性を向上させる目的で、担体を金属・高分子材料・セラミックス等の他の適切な構造材料により補強してもよい。これらの補強材は、有害物質除去材料を供給する側面の実質的な最表面以外の部分(例えば、該側面の反対面や芯材に用いる等)に用いることが望ましい。
【0051】
本明細書において、ビニロンとは、ビニルアルコール単位を65質量%以上含む線状高分子からなり、温度20℃湿度65%の環境に1週間以上放置した後の水分率が7%以下である繊維を指す。ビニルアルコールの水酸基をホルマール化したものであってもよいが、水酸基をホウ酸架橋したポリマーや、公知のアルカリ紡糸法や冷却ゲル紡糸法などの方法により耐水化処理が施された非ホルマール化繊維であってもよい。ビニルアルコール単位以外の成分としてはエチレン鎖、酢酸ビニル鎖などが含まれていてもよいが、ビニルアルコール担体から形成される繊維であることが好ましい。さらに、均質で高配向度・高結晶化度であるために、優れた機械的特性と信頼性が得られるという点で、冷却ゲル紡糸による非ホルマール化繊維であることが最も望ましい。
【0052】
ビニロンは一般に、他の繊維に対して、高強度、高弾性率、適度な親水性、耐候性、耐薬品性、接着性などに優れており、担体としてこれらの好ましい性能を活用することができる。
【0053】
本明細書において、アクリル系とは、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で40%以上含む繊維を指し、例えば、アクリロニトリルのホモポリマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの非イオン性モノマーとアクリルニトリルのコポリマー、ビニルベンゼンするスルホン酸、アリルスルホン酸などのアニオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマー、あるいは、ビニルピリジン、メチルビニルピリジンなどのカチオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマーなどの例がある。アクリロニトリルとミルクカゼインのから形成されるいわゆるプロミックス繊維も本カテゴリーに包含される。
【0054】
アクリル系の繊維は一般に、有機系湿式紡糸法で製造することが多い。この方法では、紡糸原液が凝固浴中で凝固糸を形成するときに、凝固剤である水がノズルより紡出される紡糸原液中に浸入する一方で、紡糸溶剤が紡出した原液から外部に拡散し、このとき、水と有機溶剤(DMF、DMAcなど)が相互拡散することで重合体が析出して無数の空洞が網目状につながった構造をもつ凝固糸条が形成される。また、凝固過程で溶剤が凝固浴中に拡散することによる体積収縮により形成される繊維断面の変形や表面のマクロフィブリル構造形成による凹凸形成が特徴である。これらの微細構造は本発明で使用する担体の構造としては、非表面積向上や抗体担持のし易さの点で好ましい。
【0055】
本発明で用いるアクリル系繊維は、原料ポリマーの組成や紡糸法、製造工程内の後処理条件などにより変動するが、一般に、適度な親水性、耐候性が高い、嵩高い繊維が得られやすいという利点がある。
【0056】
本発明で用いるポリウレタンは、単量体相互の結合部分又は基本となる基材重合体相互の結合部分が主としてウレタン結合による線状合成高分子からなる繊維を指す。ポリウレタンセグメントを質量比で85%以上含むことが望ましい。低融点で柔らかい分子量数千までのソフトセグメントと、剛直性で凝集力の高い高融点のハードセグメントからなるセグメント化ポリウレタンのブロック共重合であることが望ましい。ソフトセグメントとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ハードセグメントとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートなどで形成されるウレタン基を用いることができる。ポリウレタンは一般に高い弾性を示すのが特徴で、両セグメントの化学構造や分布など高分子鎖の一時構造の違いや、製糸条件の違いなどからくる二次構造の違いによって異なるが、よく伸びる、伸縮回復力が高い、ゴム材料に比べて老化しにくい・細い繊維が得られるなどの特徴があり、担体として用いた場合にもこれらの性質を活用することができる。
【0057】
また、本発明で用いる担体を構成する繊維の20℃の水に対する体積膨潤度は1.1%以上10%未満であり、好ましくは1.1%以上8%未満であり、特に好ましくは1.1%以上6%未満であり、最も好ましくは1.1%以上5%未満である。なお、本明細書において20℃の水に対する繊維の体積膨潤度とは、乾燥繊維を20℃の純水に1時間浸漬する前後の繊維の密度を密度勾配管法(JIS−K7112)にて求めた体積膨潤度をさす。
【0058】
担体を構成する繊維の機械的物性ならびに寸法安定性については、乾燥時伸度が25%以上であることが望ましい。ここで乾燥時伸度とは、十分に長い時間かけて乾燥した繊維の20℃における引張試験における破断伸度をさす。一般に乾燥時伸度が10%以上で製布等の加工に適することが、フィルタ加工及び実用時の破壊(ろ過効率の低下につながる)を防止するには25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが最も好ましい。
【0059】
担体を構成する繊維の公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、3.0%以上6.5%未満であることがより好ましく、5.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。また、二糖類または三糖類を添加する場合は、公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、1.5%以上6.5%未満であることがより好ましく、2.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。本領域の公定水分率において、担持した抗体の活性の発現と、担体の機械的強度、剛性、環境(特に湿度)に対する寸法安定性が得られ、ひいてはフィルタとしての高い性能と信頼性を示すことができる。
【0060】
なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。また、他の繊維との混紡繊維の場合にはその混紡繊維全体の公定水分率を指すものとする。
【0061】
担体を構成する繊維の表面は、数十ナノメートルから数マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹凸の形状は、繊維方向と平行方向に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよいし、繊維方向と垂直すなわち軸に対して同心円状に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよく、これらの立体形状は繊維方向と平行方向から垂直方向迄の任意の角度で形成されたものが任意の比率、密度で存在してもよい。公知のセルロースアセテート繊維の紡糸法で得られる試料には、表層のスキン層形成と溶剤乾燥に伴うスキン層の陥没により、繊維断面が不定形の菊型を形成することが知られているが、この凹凸は本発明においても好ましい形態である。
【0062】
ナノメートルからマイクロメートルスケールの微細な凹凸構造は、空孔状及び/又は突起状であってもよい。平均径にして50nmから1μmの空孔又は突起であることが望ましい。これらの空孔や突起は、例えば溶液のキャビテーションや微細分散質を分散させた溶液(例えば硫酸バリウム粒子を分散させたスラリーとの混合)を利用するなどの方法により紡糸工程で形成させたり、アシル基の加水分解や表面酸化処理など方法(例えばアルカリ水溶液により繊維表面をセルロース化したのち、酵素処理により繊維表面にミクロクレーターを発現させたりするなど)により後工程によって形成させたりすることができる。
【0063】
担体として用いられる繊維の平均繊維径は、50μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。また、担体としてビニロンを用いる場合は、50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが最も好ましい。なお、本明細書において平均繊維径とは走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた数値である。
【0064】
本発明において担体として用いられる繊維の作製法としては、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、安定な品質を確保するためには、乾式紡糸もしくは湿乾式紡糸法を用いることが好ましい。平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するためには、さらに加工技術、2005年,40巻,No.2,101頁,及び167頁;Polymer International誌、1995年,36巻,195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年,41(2)号,1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている電界紡糸法を採用することが好ましい。
【0065】
紡糸に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
【0066】
電界紡糸法を採用する場合には樹脂溶液に、さらに塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
【0067】
本発明の有害物質除去材の担体を構成する繊維同士は部分的に接着することにより三次元ネットワークを形成している構造をもつことが望ましい。かような構造をとることにより、加工ならびに実用上の機械的耐性の向上、ひいては有害物質除去材の信頼性をあげることができる。また抗体の保持特性を上げることができる。繊維同士の接着はSEM等の方法で観察することができる。繊維同士の接着点の密度は、該有害物質除去材の投影表面積に対して1mm角辺り10箇所以上存在することが好ましく、100箇所以上であることがより好ましい。
【0068】
接着点を形成する方法としては、乾式紡糸法で形成される癒着や溶融紡糸法で形成される融着点で形成してもよいし、紡糸後に加熱や、接着剤・可塑化溶剤等の添加による接着点形成処理を行ってもよい。製造コストの観点では適切な溶液処方により乾式紡糸法で癒着点を形成させることが好ましい。
【0069】
本発明に担体として用いられる繊維は、不織布を形成していてもよい。不織布の製造方法については特に制限はなく、目的・用途に応じて、乾式法、湿式抄造法、メルトブローン法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、エアレイド法などで得られたウェブを水流交絡法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などの物理的方法、サーマルボンド法などの熱による接着方法、レジンボンドなどの接着剤による接着方法で強度を発現させる方法を適宜組み合わせて製造することができる。
【0070】
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体は、特定の有害物質(抗原)に対して特異的に反応(抗原抗体反応)するタンパク質であり、分子サイズが7〜8nmであって、Y字状の分子形態を有する。抗体のY字状分子構造のうち、一対の枝部分をFab、幹部分をFcといい、これらのうち、Fabの部分で有害物質を捕捉する。
【0071】
前記抗体の種類は、捕捉しうる有害物質の種類に対応する。抗体により捕捉される有害物質としては、例えば、細菌、カビ、ウイルス、アレルゲン及びマイコプラズマを挙げることができる。具体的には、細菌としては、例えば、グラム陽性菌であるブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌、アクネ菌などや、グラム陰性菌である緑膿菌、セラチア菌、セパシア菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、結核菌などを挙げることができる。カビとしては、例えば、アスペルギルス、ペニシリウス、クラドスポリウムなどを挙げることができる。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルス(SARSウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルスなどを挙げることができる。アレルゲンとしては、花粉、ダニアレルゲン、ネコアレルゲンなどを挙げることができる。これらのうち細菌及びカビについては、抗体により不活化されないものの、高い吸着効果により静菌するのに対し、ウイルス及びアレルゲンについては、殺菌・不活化される。
【0072】
前記抗体の製造方法としては、例えば、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ等の動物に抗原を投与し、その血液からポリクローナル抗体を精製する方法、抗原を投与した動物の脾臓細胞と培養癌細胞とを細胞融合し、その培養液又は融合細胞を植え込んだ動物の体液(腹水等)からモノクローナル抗体を精製する方法、抗体産生遺伝子を導入した遺伝子組み換え細菌、植物細胞、動物細胞の培養液から抗体を精製する方法、鳥類、特にニワトリ又はダチョウに抗原を投与して免疫卵を産ませ、卵黄液を殺菌及び噴霧乾燥して得た卵黄粉末から鶏卵抗体またはダチョウ卵抗体を精製する方法、卵黄液を脱脂、硫安分画、透析により精製して鶏卵抗体液またはダチョウ卵抗体液を精製する方法を挙げることができる。これらのうちでも、鶏卵から抗体を得る方法は、容易にかつ大量に抗体が得られ、有害物質除去材の低コスト化を図ることができる。
【0073】
本発明の有害物質除去材に用いられる抗体は鳥類卵由来の抗体であることが好ましく、鶏卵抗体またはダチョウ卵抗体であることがより好ましい。
【0074】
前記担体に抗体を担持する(固定化する)方法としては、前記担体に抗体を物理的に吸着させる方法のほか、担体をγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いてシラン化した後、グルタールアルデヒドなどで担体表面にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、未処理の担体を抗体の水溶液中に浸漬してイオン結合により抗体を担体に固定化する方法、特定の官能基を有する担体にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、特定の官能基を有する担体に抗体をイオン結合させる方法、特定の官能基を有するポリマーで担体をコーティングした後にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法をあげることができる。
【0075】
ここで、前記の特定の官能基としては、NHR基(RはH以外のメチル、エチル、プロピル、ブチルのうちいずれかのアルキル基)、NH2基、C65NH2基、CHO基、COOH基、OH基を挙げることができる。
【0076】
また、前記担体表面の官能基を、BMPA(N-β-Maleimidopropionic acid)などを用いて他の官能基に変換した後、その官能基と抗体とを共有結合させる方法もある(BMPAではSH基がCOOH基に変換される)。
【0077】
更に、前記抗体のFcの部分に選択的に結合する分子(Fcレセプター、プロテインA/Gなど)を担体表面に導入し、それに抗体のFcを結合させる方法もある。この場合、有害物質を捕捉するFabが担体に対して外向きになり、Fabへの有害物質の接触確率が高くなるので、効率よく有害物質を捕捉することができる。
【0078】
前記抗体は、リンカーを介して担体に担持されていてもよい。この場合、担体上での抗体の自由度が高くなり、有害物質への接近が容易となるので、高い除去性能を得ることができる。リンカーとしては、二価以上のクロスリンク試薬を挙げることができ、具体的にはマレイミド、NHS(N-Hydroxysuccinimidyl)エステル、イミドエステル、EDC(1-Ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl]carbodiimido)、PMPI(N-[p-Maleimidophenyl]isocyanate)があり、標的官能基(SH基、NH2基、COOH基、OH基)に選択的なものと非選択的なものとがある。また、クロスリンク間の距離(スペースアーム)もクロスリンク試薬ごとに異なっており、目的の抗体に応じて0.1nm〜3.5nm程度の範囲で選択することができる。有害物質を効率的に捕捉するという観点からは、リンカーとして抗体のFcに結合するものが好ましい。
【0079】
リンカーを導入する方法としては、抗体にリンカーを結合させておき、それを更に抗体に結合する方法、担体にリンカーを結合させておき、担体上のリンカーに抗体を結合させる方法のいずれも可能である。
【0080】
抗体安定化剤を本発明の有害物質除去材に含ませる方法としては、抗体安定化剤を前記担体に物理的に吸着や含浸させる方法のほか、前記担体に担持する方法が挙げられる。抗体安定化剤を前記担体に担持する方法としては、上記と同様に担体の特定の官能基と前記材料とを共有結合させる方法、イオン結合により前記材料を担体に固定化する方法などをあげることができる。
【0081】
本発明の有害物質除去材の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、抗体を含む溶液(担持液)に担体を浸漬して抗体を担体に結合させることにより製造する方法が挙げられる。前記の抗体安定化剤は、上記担持液に溶解又は分散させてもよく、別に抗体安定化剤を溶解又は分散した溶液を用意し、抗体の担持前又は前に担体を浸漬させてもよい。このうち、抗体ならびに抗体安定化剤を含む担持液を用いることが好ましい。抗体と抗体安定化剤とを同時に担体に担持させることが可能であるためである。該溶液は、抗菌剤、抗カビ剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0082】
なお、担持液における抗体と抗体安定化剤との含有量比は、通常本発明の有害物質除去材において担体に担持される抗体と抗体安定化剤との含有量比に反映されるものと考えることができる。
【0083】
本発明の有害物質除去材によって、気相中又は液相中の有害物質の除去が可能である。本発明の有害物質除去材は、空気清浄機用フィルタ、マスク、拭き取りシートなどに用いることができる。
本発明の有害物質除去材においては、抗体が気相に面しているドライな環境においても、抗体の活性が高く、かつ抗体の安定性が高い。
【0084】
抗菌フィルタは、担体に、抗菌剤を含有するコーティングを行うなどの抗菌加工及び/又は抗カビ剤を含有するコーティングを行うなどの抗カビ加工が施されていることが望ましい。抗体は、基本的にはタンパク質であり、特に鶏卵抗体は食物であり、また、抗体以外のタンパク質を伴う場合もあり、それらは細菌やカビが増殖するための恰好の餌となるが、担体に抗菌加工及び/又は抗カビ加工が施されていれば、かかる細菌やカビの増殖が抑制され、長期間の保管も行うことができる。抗菌/抗カビ剤としては、有機シリコン第4級アンモニウム塩系、有機第4級アンモニウム塩系、ビグアナイド系、ポリフェノール系、キトサン、銀担持コロイダルシリカ、ゼオライト担持銀系などを挙げることができる。そして、その加工法としては、繊維からなる担体に抗菌/抗カビ剤を含浸させる又は塗布する後加工法や、担体を構成する繊維の合成段階で抗菌/抗カビ剤を練り混む原糸原綿改質法などがある。
【0085】
抗菌剤及び抗カビ剤としては、有機酸銀塩を用いることができる。有機酸銀塩としては、炭素数が14から24であり、直鎖であることが好ましい。銀塩を形成する有機酸は、直鎖の脂肪酸が好ましい。脂肪酸の炭素原子数は14ないし24の間にあることが望ましい。炭素数が14より少ないと、立体障害の影響が少なく、抗体のS−S結合を有機酸銀塩が攻撃し、抗体の破壊が発生する。また炭素数が24より大きいと銀との溶解度積の関係で銀イオン放出量が減少し、抗菌効果が目減りする。有機銀塩については、リサーチ・ディスクロージャー誌17029号、29963号に記載がある。製造方法については、たとえば、特開2000−187298(富士フイルム株式会社)などに記載がある。本発明にかかる抗体フィルタに、抗菌剤と抗カビ剤とのうち少なくとも一方が担持されている構成とすれば、光触媒による、臭気物質を分解しつつ、抗体フィルタを組み合わせることにより細菌、ウイルスを選択的に不活性化でき、特に、抗体と有機銀抗菌剤を併用することにより、抗体の選択的不活性化効果を保ちつつ、抗菌効果を有した抗体フィルタを供給することができる。
【0086】
光触媒フィルタ12a,12b及び第2のフィルタ15は、フィルタカセット50に保持され、該フィルタカセット50をケース本体11に装着することで、所定の位置に配置されている。本実施形態では、光触媒フィルタ12a,12b及び第2のフィルタ15は、長尺板形状を有し、流路に対して垂直方向に延在し、空気の流れを許容しつつ、肉眼視した状態で遮蔽するように配置されている。
【0087】
光照射部14は、光触媒が反応する波長である300nm〜420nm程度の紫外線を発光するものである。本実施形態では、光照射部14の光源として蛍光灯を利用したが、これに限定されず、例えば、LED(Light Emitting Diode)やその他の紫外線照射装置を用いてもよい。本実施形態の光照射部14の近傍には蛍光灯を点灯させるためのグローランプが設けられていてもよい。
【0088】
図1及び図4に示すように、ケース本体11の流路の下流で、排気口23の直前(上流側近傍)には、送風部16が設けられている。本実施形態では、送風部16として軸流ファンを用いている。駆動時には、ファンの回転によって送風部16が流路内部の空気を下流側の排気口23から送り出すことで、流路において、空気を上流側の吸気口21から取り込み、流路に沿って空気を送って下流側の排気口23から送り出すといった図1中矢印Fで示す空気の流れが発生する。送風部16としては、軸流ファンに限らず、シロッコファンなどを用いてもよい。図1に示す構成では複数(2個)の送風部16が流路に対して垂直方向に配列されている。
【0089】
また、ケース本体11の吸気側の側面11aには、電源スイッチ26と、送風部16から送風される空気の流量を使用者が調整可能な、風量調節部24とが設けられている。
【0090】
また、図4に示すように、流路の上流側で、かつ、吸気口21の下流側には、光照射部14からの光が吸気口21からケース本体11の外部に漏れ出ることを防止するため、後述する遮光部材42が設けられている。こうすれば、駆動時に紫外線などの人体に有害な光が外部に照射されてしまうことを防止でき、安全性を確保することができる。
【0091】
さらに、図1に示すように、光照射部14と第2のフィルタ15との間に遮光部材44が設けられている構成としてもよい。また、流路において吸気口21の下流側近傍に、更に別の遮光部材42が設けられた構成としてもよい。なお、遮光部材42,44の構成については後述する。
【0092】
第2のフィルタ15と各送風部16との間に、該第2のフィルタ15を通過した空気を送風部16へ導くための導風部材60が設けられている。導風部材60は、各送風部16の上流側に1つずつ設けられている。
【0093】
図5は、導風部材の構成を説明する図である。図5(a)は送風部と導風部材との位置関係を説明する斜視図であり、図5(b)は送風部と導風部材とを平面視した図である。
導風部材60は、4つの側板部62によって流路を筒状に囲う形状を有している。導風部材60は、上流側の開口64から流路に沿って空気が流れ込み、側板部62に囲まれた空洞内を空気が通過し、反対側(下流側)の開口が送風部16に近接又は連結するように構成されている。導風部材60の下流側の開口面積は、送風部16における空気を取り込む側の領域と略等しい大きさとする。
【0094】
図5(b)に示すように、導風部材60は、第2のフィルタ15側から送風部16側に向かって、空気を流通させる開口の面積が小さくなる構成である。こうすれば、送風部16へ空気を効率良く送り込むことができる。例えば、図5(b)に示すように、導風部材60の上流側の開口64の幅寸法(流路に対して垂直方向の寸法)をW1とし、下流側の開口の幅寸法をW2としたとき、W1>W2となり、かつ、下流側の開口の幅寸法W2は、送風部16の幅寸法と略等しい構成とすることができる。
【0095】
複数の送風部のそれぞれに対応して設けられる各導風部材60は、全て同じ形状とすることができる。または、導風部材60はそれぞれ異なっていてもよいが、この場合には、それぞれの導風部材60が流路に対して対称な形状であることが好ましい。
【0096】
図6は、流路に対して対称な形状で設けられた送風部の構成を示す図である。図6では、2個の送風部を流路に対して垂直方向に配置した例を説明するが、送風部の数は特に限定されない。
図6(a)において、図中の一点鎖線は、各送風部16の空気を取り込む領域の中心を通る線を示し、図6(b)のCは、各送風部16の空気を取り込む領域の中心を示している。この例では、それぞれの導風部材60の上流側の開口64が、送風部16の中心に対して左右対称となるように開口している。このように、複数の導風部材60それぞれの構成を流路に対して対称な形状となるように構成することで、流路に沿って流れる空気が乱れにくくなり、装置内で滞留してしまうことを防止して円滑に流れるようになるため、風量が低下してしまうことを回避できる。
【0097】
次に、本実施形態の空気清浄装置10の制御系を説明する。
図7は、本実施形態の空気清浄装置の制御系を示すブロック図である。なお、以下に説明する実施形態において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。空気清浄装置10には、ケース本体11の内部には、光照射部14や送風部16に電気を供給する電源回路32と、モータ制御部33と、光照射部14の電圧を変換可能な変圧器34とが設けられている。空気清浄装置10の駆動時には、電源回路32を起動することで、所定の電圧がモータ制御部33、光照射部14と、変圧器34に供給される。変圧器34を所定の周波数(例えば、周波数50Hzと60Hz)に設定することで光照射部14の駆動にかかる電圧を切り替えることができる。モータ制御部33を駆動することで、送風部16が駆動し、ケース本体11の流路に沿って、空気が流動し始める。送風部16の駆動開始と同時、または、その駆動開始の前後で光照射部14を駆動して、光の照射を開始し、光触媒フィルタ12で活性酸素を発生させるとともに、送風部16によって流動する空気によって活性酸素を空気清浄装置10の周囲雰囲気に拡散させる。
【0098】
ここで、空気清浄装置10には、雰囲気中の有機物質の量を検出するセンサ部36と、光照射部14と送風部16との少なくとも一方に信号の入出力が可能な状態で接続された駆動制御部38とが設けられている。センサ部36は、有機物質を検出した場合に、検出信号を駆動制御部38に出力する。駆動制御部38は、有機物質の検出信号に基づいて光照射部14と送風部16との少なくとも一方を制御することができる。光照射部14を制御する場合には、照射する光の量や、光を照射する時間を制御することができる。また、光照射部14の点灯を間欠運転に設定することや、照射を終了するタイマー機能を有していてもよい。送風部16を制御する場合には、送風する空気の量や、送風する時間を制御することができる。また、送風部16の駆動を間欠運転に設定することや、送風を終了するタイマー機能を有していてもよい。
【0099】
センサ部36で検出する臭気としては、例えば、人体からの体臭や口臭、アルコール物質や、愛玩動物の糞尿から生じた有機物質などがある。また、センサ部は、臭気に限定されず、例えば、ダニなどのハウスダスト、塵埃、花粉を検出することもできる。
【0100】
図8は、遮光部材の構成を示す斜視図である。図9は、図8のA−A線方向視した断面図である。遮光部材42,44はそれぞれ、空気が流入する方向(図6中の矢印F)にみて、略矩形の枠体52,54と、該枠体52,54に形成され、光照射部14から照射される光の通過を遮蔽する複数の遮光板52a,54aとを有している。本実施形態では、同じ構成の枠体52,54同士を重ね合わせた状態で一つの遮光部材42,44として用いている。複数の遮光板52a,54aは、互いに平行に略等間隔で配置されており、遮光板52a,54a同士の間は上流側から下流側にかけて連通しており、枠体52の上流側の面から流入した空気が下流側の面から抜け出て通過することが許容される。複数の遮光板52a,54aの傾斜の角度Iはそれぞれ全て等しく、ケース本体11の水平方向(図9において左右方向)に対して30°から50°の範囲とすることが好ましい。
【0101】
本実施形態の遮光部材42,44は、枠体52,54を複数重ね合わさせて並べられ、隣り合う枠体の遮光板の傾斜の向きが反対となる状態で配置されている。なお、遮光部材42,44は、枠体52,54のうちいずれか1つと、それに形成された複数の遮光板52a,54aとから構成されていてもよい。このとき、遮光部材42は、隣り合う遮光部材44の遮光板54aに対して、遮光板52aの傾斜の向きが反対となる状態で配置されている。
【0102】
図10は、本実施形態の遮光部材の変形例を示す部分断面図である。図10に示すように、遮光板52aの上面及び下面に、光触媒層56a,56bを形成してもよい。光触媒層56a,56bは、上記光触媒フィルタ12a,12bと同様の構成とすることができ、例えば、光触媒フィルタを遮光板52aの上面及び下面に貼り付けることで構成してもよい。光触媒層56a,56bは、遮光板52aの上面及び下面のいずれか一方にのみ形成していてもよい。こうすれば、遮光板52aに光照射部14からの光が照射することで、遮光板52aによって下流側へ光が照射されることを防止するとともに、遮光板52aの光触媒層56a,56bにおいて光触媒反応を起こすことができる。
【0103】
(実施例)
次に、本実施形態の空気清浄装置に基づいて、下記のように実施例と比較例とを測定する試験を行った。なお、実施例及び比較例で用いる空気清浄装置は、特段説明しない限り、上記で説明した空気清浄装置と同じ構成であるとして、説明を省略或いは簡易化する。
【0104】
(抗体フィルタ作成)
ビニロン繊維を主体繊維とし、ポリエステル繊維を含み、アクリル系接着剤でレジンボンドしてなる坪量100g/mの乾式不織布を基材として準備した。この不織布のSEMで平均繊維径を測定したところ、25μmであった。次に抗原を投与したダチョウが産んだ免疫卵を精製して作製したインフルエンザ抗体(IgY抗体)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、抗体濃度100ppmになるよう調液し、さらにサッカロースを10000ppmとなるよう添加撹拌後、0.45μmのフィルタによるろ過を経て担持液を調製した。本担持液に上記不織布を室温で5分浸漬して繊維表面に抗体を担持させ、フィルタ試料(N−1)を得た。
【0105】
(抗菌フィルタ作成)
ビニロン繊維を主体繊維とし、ポリエステル繊維を含み、アクリル系接着剤でレジンボンドしてなる坪量100g/mの乾式不織布を基材として準備した。この不織布のSEMで平均繊維径を測定したところ、25μmであった。次にベヘン酸銀懸濁液をベヘン酸銀濃度200ppmになるように調整した液に上記不織布を室温で5分浸漬して繊維表面にベヘン酸銀を担持させ、フィルタ試料(N−2)を得た。
【0106】
(光触媒フィルタの作成)
ポリエステル系からなる線径20μ、膜厚8mm、目付量170g/mの不織布に光触媒コーティング剤(TKC−304:テイカ製)を1mあたり10gとなるよう担持させ、120℃で3分乾燥させ光触媒フィルタを作成した。
【0107】
(活性炭フィルタの作成)
目付を減らした低圧損の不織布を使用し、活性炭不織布フィルタを作成した。ポリエステル/ビニロン系からなる線形30〜50μ、膜厚0.5mm、目付量50g/mの不織布にアクリル樹脂を塗布し活性炭(クラレコールGG)40g/mを担持した活性炭フィルタを作成した。
【0108】
次に、実施例及び比較例のフィルタ構成と、本測定の評価方法を説明する。図11は、比較例及び実施例の送風部近傍の構成を模式的に示す平面図である。
【0109】
(比較例1)
消臭フィルタ枠を作成し、光触媒と活性炭を一緒に枠内に収めた。抗菌・抗ウイルスフィルタ枠を作成し、有機銀フィルタと抗体フィルタを枠内に収めた。この枠は、着脱可能に保持するフィルタ保持部が設けられており、実施形態の構成で上記作成の抗体フィルタを空気の流れの最下流に配置し、上流側に光触媒を一対で配置し、その間に近紫外線を効率よく放射する冷陰極管を配置した。活性炭フィルタの設置は、UV光を有効にチタン面に放射すべく冷陰極管に面する光触媒面とは逆の面に重ね合わせて設置した。送風部として最下流に軸流ファン2機を図11(a)のように、矢印で示す流路に対して垂直方向に配置した状態を比較例1とした。
【0110】
(比較例2)
比較例1と同様のフィルタ構成とした。また、図11(b)に示すように、軸流ファン2機を矢印で示す流路に対して垂直方向に配置した状態を比較例2とした。軸流ファン同士の間隔は図11(a)よりも大きくした。なお、測定時のファンの回転数は、比較例1と同じである。
【0111】
(実施例1)
比較例1及び2と同様のフィルタ構成とした。また、図11(c)に示すように、軸流ファン2機のそれぞれの上流側に、筒状に流路を囲う導風部材を備えた。導風部材は、それぞれの上流側の開口がケース本体の側面側に偏るように形成されている。軸流ファン2機の配置は、図11(a)に示す比較例1に示すものと同じである。なお、測定時のファンの回転数は、比較例1及び2と同じである。
【0112】
(実施例2)
比較例1及び2と同様のフィルタ構成とした。また、図11(d)に示すとおり軸流ファン2機のそれぞれの上流側に、筒状に流路を囲う導風部材を備えた。導風部材はそれぞれ、流路に対して左右対称な形状である。軸流ファン2機の配置は、図11(c)に示す比較例2に示すものと同じである。なお、測定時のファンの回転数は、比較例1及び2と同じである。
【0113】
(消臭効果評価)
空気清浄装置の、消臭効果をアンモニア濃度で評価した。試験を行う閉ざされた空間(1m)初期アンモニア(NH)濃度を10ppmに調節した後、空気清浄装置を駆動し、15分後のアンモニア濃度を検知管にて測定した。
【0114】
(風量評価)
風量は、縦26cm,横7cm,長さ30cmの筒を作成し、吹き出し口につけ、10点の風速(m/s)を測定し、平均値から風量(m/min)を求めた。実施例及び比較例の各装置を半無響室にて、JIS C1502に規定された騒音計で音量を測定したところ、いずれも18dBであり、差はみられなかった。本測定の結果を下記表に示す。
【0115】
【表1】

【0116】
本測定の結果によれば、実施例1及び2では、各送風部の上流に導風部材を設けたことにより、導風部材を設けていない比較例1及び2に比べて風量の低下を防止でき、高い消臭効果を得ることができた。一方で、比較例1及び2は、風量の低下が生じ、これに起因して、実施例1及び2に比べて消臭効果が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明にかかる空気清浄装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の空気清浄装置を吸気側からみた図である。
【図3】図1の空気清浄装置を排気側からみた図である。
【図4】図1の空気清浄装置の空気の流路と平行な断面で切断した断面図である。
【図5】導風部材の構成を説明する図である。
【図6】流路に対して対称な形状で設けられた導風部材の構成を示す図である。
【図7】本実施形態の空気清浄装置の制御系を示すブロック図である。
【図8】遮光部材の構成を示す斜視図である。
【図9】図8のA−A線方向視した断面図である。
【図10】遮光部材の変形例を示す部分断面図である。
【図11】比較例及び実施例それぞれの送風部近傍の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0118】
10 空気清浄装置
11 ケース本体
12(12a,12b) 光触媒フィルタ
14 光照射部
15 抗体フィルタ
16 送風部
42,44 遮光部材
60 導風部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を用いて有機物質を分解する空気清浄装置であって、
内部に空気を取り込む吸気部と、外部に空気を送り出すための排気部とを有するケース本体と、
前記吸気部から前記排気部の間に形成された流路に空気を送風する送風部と
前記流路に配置されたフィルタ手段と、
前記フィルタ手段と前記送風部との間に設けられ、前記流路を筒状に囲う導風部材とが設けられた空気清浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気清浄装置であって、
前記導風部材が、前記フィルタ手段から前記送風部に向かって、前記空気を流通させる開口の面積が小さくなる空気清浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の空気清浄装置であって、
前記送風部が複数設けられ、各送風部の前記流路の上流側に前記導風部材が配置され、前記導風部材それぞれが前記流路に対して対称な形状である空気清浄装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の空気清浄装置であって、
前記光触媒を含む層を有する第1のフィルタと、
前記第1のフィルタに光を照射する光照射部と、
担体に抗体を担持してなる有害物質除去材を含み、前記第1のフィルタの下流側に配置された第2のフィルタと、を備えている空気清浄装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空気清浄装置であって、
前記第1のフィルタが、光触媒フィルタと、活性炭フィルタとを含む空気清浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載の空気清浄装置であって、
前記光触媒フィルタが、流路に沿って間隔をおいて配置された一対に設けられ、前記光触媒フィルタ同士の間に前記光照射部が配置されている空気清浄装置。
【請求項7】
請求項6に記載の空気清浄装置であって、
前記一対の光触媒フィルタそれぞれの、前記光照射部とは反対側に前記活性炭フィルタが設けられている空気清浄装置。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1つに記載の空気清浄装置であって、
前記第2のフィルタが、有機銀を担持する抗菌フィルタと、抗体を担持する抗ウイルスフィルタとを有する空気清浄装置。
【請求項9】
請求項8に記載の空気清浄装置であって、
前記抗体がダチョウの卵由来の抗体である空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−75418(P2010−75418A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246868(P2008−246868)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】