説明

空気清浄装置

【課題】室内の空気中に浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を効率よく除去及び不活化することができる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】空気清浄装置において、吸気口と排気口とを有する本体1と、前記吸気口2から前記本体1内へと空気を取り込み前記排気口3から空気を排出する空気流を形成する送風手段4と、前記本体1内の、前記空気流の風路上に設けられ、微細な帯電水滴を放出する静電霧化装置7と、前記本体1内の、前記風路上の前記吸気口2寄りに設けられた不活化装置8と、を備え、前記不活化装置は、接地され、平板状を呈し、互いに略平行に配置された複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極のそれぞれの間に配置され、前記第1の電極に対して所定の電圧が印加された平棒状の第2の電極と、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における空気清浄装置においては、多くのマイナスイオンを吐出口から放出させることを目的とするものとして、吸気口と縦長の吐出口を有した本体と、この本体の吸気口と吐出口を連通する風路と、この風路内に設けられる集塵フィルタとファン及びイオン発生手段とを備え、このイオン発生手段は、前記吐出口の近傍に配した平行な針状電極と対向電極からなり、前記針状電極と対向電極を前記風路の横幅の略中央に配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−311285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1に示された従来における空気清浄装置は、針状電極と対向電極を風路の横幅の略中央に配置することにより、針状電極により発生されたマイナスイオンが風路の壁面に吸収されることを防止しようとするものである。そして、イオンの放出量を増やすことにより、このイオンにより帯電させることができる室内の空気中に存在する粉塵等(浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を含む)を増やそうとするものである。粉塵等は、空気清浄装置の集塵フィルタにより捕捉されるが、この際、粉塵等が帯電されたものであると、静電気の作用で、より集塵フィルタに捕捉されやすくなり、集塵性能を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されたものを含む、イオン発生装置を有する従来の空気清浄装置においては、一般に、空気清浄装置から室内に放出されるイオン寿命が短く、イオンを室内の広範囲に放出することができない。従って、粉塵等を帯電させることができる範囲が狭く、室内の広範囲にわたって粉塵等を帯電させることができないという課題がある。そして、このため、粉塵等が集塵フィルタに捕捉されにくく、集塵性能が低いという課題がある。
【0006】
また、上述したように、イオン発生装置を有する従来の空気清浄装置においては、帯電された粉塵等は空気清浄装置の集塵フィルタにより捕捉される。そして、捕捉された細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等は、集塵フィルタ上に蓄積していく。このため、集塵フィルタを清掃又は交換する等のメンテナンスが必要で、煩雑な手数がかかるという課題がある。また、さらに、集塵手段とは別に、集塵フィルタ上に捕捉され蓄積した細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を不活化させる手段が別途必要となるという課題もある。
【0007】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、室内の空気中に浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を効率よく除去及び不活化することができる空気清浄装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る空気清浄装置においては、吸気口と排気口とを有する本体と、前記吸気口から前記本体内へと空気を取り込み前記排気口から空気を排出する空気流を形成する送風手段と、前記本体内の、前記空気流の風路上に設けられ、微細な帯電水滴を放出する静電霧化装置と、前記本体内の、前記風路上の前記吸気口寄りに設けられた不活化装置と、を備え、前記不活化装置は、接地され、平板状を呈し、互いに略平行に配置された複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極のそれぞれの間に配置され、前記第1の電極に対して所定の電圧が印加された平棒状の第2の電極と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る空気清浄装置においては、空気中に浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を効率よく除去及び不活化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空気清浄装置本体の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る静電霧化装置の構成概略を説明する断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る不活化装置の断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る不活化装置の略斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る空気清浄装置を使用した場合の室内浮遊菌数の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るもので、空気清浄装置本体の断面図である。
図において1は空気清浄装置本体であり、この空気清浄装置本体1には、空気清浄装置本体1内に空気を取り込むための開口部である吸気口2、及び、空気清浄装置本体1内から空気を排出するための開口部である排気口3が設けられている。空気清浄装置本体1内には、送風ファン4が設置されている。この送風ファン4は、吸気口2から空気清浄装置本体1内へと空気を取り込み、処理した空気を排気口3から空気清浄装置本体1外へと排気する空気流を作り出すためのものである。
【0013】
空気清浄装置本体1内の、吸気口2と送風ファン4との間には、略コ字状に折り曲げられた熱交換器5が設置されている。空気清浄装置本体1内の、吸気口2と熱交換器5との間には、プレフィルタ6が設置されている。このプレフィルタ6は、吸気口2から空気清浄装置本体1内へと流入する空気中の、比較的大きなごみやほこり等を捕捉する。また、空気清浄装置本体1内の、プレフィルタ6より風下側であって熱交換器5より風上側には、微細な帯電水滴を放出する静電霧化装置7が設置されている。
【0014】
そして、空気清浄装置本体1内の、同じくプレフィルタ6より風下側であって熱交換器5より風上側における風路上の吸気口2寄りの位置には、不活化装置8が設置されている。この不活化装置8は、吸気口2から取り込まれた空気中に存在する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を殺菌・不活化するためのものである。
【0015】
なお、ここでは、静電霧化装置7を熱交換器5の風上側に配置したが、この静電霧化装置7は、空気清浄装置本体1内のプレフィルタ6より風下側の風路上であれば、例えば、吸気口2の近辺や排気口3の近辺に配置するようにしてもよい。
【0016】
図2に、静電霧化装置7の構成概略を示す。静電霧化装置7は、ペルチェ素子7a、貯水トレイ7b、放電電極7c、対向電極7d及び高圧電源7e、並びに、ペルチェ素子7aを除くこれらを内部に収める箱体のケーシング7fから構成されている。
【0017】
ペルチェ素子7aは、周囲の空気中から水を捕捉し、貯水トレイ7bに水を供給するためのものである。このペルチェ素子7aは、通電されると、ペルチェ素子7aの下端側の冷却部の温度が下がる。すると、ペルチェ素子7aの周囲の空気中に含まれる水分は、この冷却部で冷やされて凝縮し、ペルチェ素子7a冷却部の表面に水滴となって付着する。このペルチェ素子7aの冷却部は、付着した水滴が滴下しやすいように表面処理されている。ペルチェ素子7aにより捕捉された空気中の水分は、水滴となってペルチェ素子7aの下方へと重力により滴下する。
【0018】
ペルチェ素子7aの下方には、貯水トレイ7bが配置されている。この貯水トレイ7bは、ペルチェ素子7aにより捕捉された水を貯め、この水を放電電極7cに供給するためのものである。すなわち、ペルチェ素子7aの冷却部から滴下した水滴は、貯水トレイ7bにより受け止められ、この貯水トレイ7bに蓄積される(水9a)。
【0019】
放電電極7cは、一端に先端が尖った突起部が形成された形状である。この放電電極7cの他端側は、貯水トレイ7bに貯められた水9aに浸るようになっている。放電電極7cの材質は、チタン等の発泡金属(金属多孔質体)である。この金属多孔質体における孔径は50〜150μmで、空隙率は70〜80%である。このような孔径、空隙率とすることで、貯水トレイ7bの水9aに浸された放電電極7cの他端側から供給された水が金属全体に行き渡り、放電電極7cの全体に水が含浸することが可能となる。
【0020】
対向電極7dは、略円形の孔が設けられた金属板で形成されている。この対向電極7dの材質は、導電性をもったものであればよい。ここでは、例えば、ステンレスを用いる。対向電極7dは、放電電極7cの突起部側に、該突起部の先端から所定の間隔をあけて対向して設置されている。この際、放電電極7cの突起部の先端の延長線上に、対向電極7dの円形孔の中心が位置するように配置される。放電電極7cと対向電極7dには、高圧電源7eが電気的に接続されている。この高圧電源7eは、放電電極7c及び対向電極7d間に高電圧(3〜10kV)の正又は負の直流電圧を印加する。
【0021】
このように構成された静電霧化装置7においては、ペルチェ素子7aが捕捉して貯水トレイ7bに蓄積された水9aが、放電電極7cの突起部にまで含浸されている。この状態で、高圧電源7eにより放電電極7c及び対向電極7d間に3〜10kVの正又は負の直流電圧が印加されると、放電電極7cの先端に保持された水と対向電極7dとの間にクーロン力が働き、水の表面が局所的に盛り上がってテイラーコーンが生成される。そして、クーロン力が水の表面張力を超えると、テイラーコーンが分裂し、直径数nm程度の帯電水滴9bとなり空気中に放出される。こうして、静電霧化装置7から帯電水滴9bが生成・放出される。
【0022】
なお、放電電極7cの有する突起部の数は、1個でもよいし複数個でもよい。放電電極7cに突起部を複数個設けることにより、設けた突起部の数だけに応じて放出される帯電水滴9bの量が増加する。
【0023】
また、ここでは、放電電極7cの材質としてチタン等の発泡金属を用いたが、その中にナノコロイドを含有させるようにしてもよい。放電電極7cにナノコロイドを含有させることで、放電による帯電水滴9bの生成時に、このナノコロイドの一部が放電電極7cから遊離して帯電水滴9bの核となる。
【0024】
このナノコロイドとしては、粒子径が1〜50nm程度の白金、金、銀等の貴金属が使用する。このナノコロイドは次のようにして放電電極7cに担持される。まず、ナノコロイドの表面を、分散素材であるクエン酸やアスコルビン酸等で覆っておく。次に、この分散素材で覆われたナノコロイドを放電電極7cに添着した後、加熱することによりナノコロイドが放電電極7cの表面に担持される。この際、分散素材は、加えられた熱により消失するため、ナノコロイドのみが放電電極7cに担持されることになる。なお、この際の加熱温度を変化させることで、担持の強度を変化させることができる。そして、ナノコロイドの担持強度を変化させることにより、帯電水滴9bに含有させるナノコロイド量を変化させることが可能である。
【0025】
ここで、ナノコロイドを担持させたのちの放電電極7cの発泡金属の空隙率を60%以上とすることで、帯電水滴9bの放出量を一定値に保つことが可能である。また、担持させるナノコロイドは、そのまま担持させてもよいが、コロイダルシリカ等のセラミック粉に担持させたものを放電電極7cに担持させてもよい。セラミック粉は給水性を有するため、こうすることにより、水の搬送に効果がある。なお、コロイダルシリカ等のセラミック粉のみを放電電極7cに担持させるようにしてもよい。
【0026】
図3に不活化装置8の断面図を、図4に不活化装置8の略斜視図を、それぞれ示す。
不活化装置8は、主に高圧電極8aと接地対向電極8bから構成されている。高圧電極8aは、平棒状で、その長手に垂直な断面形状が長辺と短辺とを有する略矩形状を呈する。この高圧電極8aはタングステン等の耐久性、耐磨耗性が高い物質で形成される。そして、端面にバリやかえり等が無く、平坦化された形状となるように形成される。なお、平板状の金属を切断加工した場合は、端面におけるバリやかえり等の発生を避けることは難しい。そこで、この高圧電極8aを製作する際には、素材となる金属棒(例えばタングステン棒)を圧延することで、平棒状に形成するのが望ましい。このような方法により製作することで、端面におけるバリやかえり等の発生を抑制することができる。なお、この高圧電極8aの略矩形状の断面形状について、具体的な寸法としては、長辺が0.5〜1.0mm、短辺が0.05〜0.1mmとなるように形成されている。
【0027】
接地対向電極8bは平板状を呈する。この接地対向電極8bは、金属や導電性樹脂等の導電性素材で形成される。この接地対向電極8bについても、その長手に垂直な断面形状が長辺と短辺とを有する略矩形状を呈している。この略矩形状の断面形状について、具体的な寸法としては、長辺が15〜20mm、短辺0.1〜0.5mmとなるように形成される。そして、接地対向電極8bの外面は、長手の両端面を除けば、長手に垂直な断面の長辺が含まれる方の面(すなわち広い方の面)と該断面の短辺が含まれる方の面(すなわち狭い方の面)とに大別される。そして、これらの面のうち、長手に垂直な断面の長辺が含まれる方の面が放電面となる。
【0028】
接地対向電極8bはこの放電面同士を互いに対向させて、略平行となるように複数配置されている。そして、これらの接地対向電極8b間のそれぞれに、高圧電極8aが配置される。すなわち、高圧電極8aと接地対向電極8bは、交互に複数積層されている。そして、この際、高圧電極8aと接地対向電極8bの向きの関係について、これらの電極の長手に垂直な断面において、高圧電極8aの長辺と接地対向電極8bの長辺(あるいは高圧電極8aの短辺と接地対向電極8bの短辺)とのなす角が、略直角となるように配置される(図3)。また、この際の高圧電極8aと接地対向電極8b(の放電面)との間の距離は10〜12mmとなるように配置される。
【0029】
高圧電極8aには図示しない高圧電源が電気的に接続されている。この高圧電源は、接地対向電極8b(又はアース)に対し、波高値1000V以上の正若しくは負のパルス電圧又は交流電圧を、高圧電極8aに印加する。一方、接地対向電極8bは接地されている。従って、高圧電極8aと接地対向電極8bとの間には印加される電圧により、放電が発生する。
【0030】
なお、図3に示すものでは、高圧電極8aと接地対向電極8bの向きの関係について、これらの電極の長手に垂直な断面において、高圧電極8aの長辺と接地対向電極8bの長辺(あるいは高圧電極8aの短辺と接地対向電極8bの短辺)とのなす角が、略直角となるように配置したが、これらの電極の向きの関係については、これらの電極の長手に垂直な断面において、高圧電極8aの長辺と接地対向電極8bの長辺(あるいは高圧電極8aの短辺と接地対向電極8bの短辺)とが、略平行となるように配置するようにしてもよい(図4)。
【0031】
このように構成された空気清浄装置においては、空気清浄装置本体1を稼動すると、送風ファン4が稼動する。送風ファン4が稼動すると、室内の空気は、吸気口2から空気清浄装置本体1内へと取り込まれ、熱交換器5を通過し、排気口3から再び室内へと排出される。静電霧化装置7からは帯電水滴9bが放出され、送風ファン4からの風により排気口3から室内へと放出される。室内に放出された帯電水滴9bは、室内に浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等と接触し、これらを帯電させる。
【0032】
帯電水滴9bと接触して帯電した細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等は、吸気口2から空気清浄装置本体1内へと吸引される。空気清浄装置本体1内に取り込まれた、帯電した細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等は、不活化装置8に達する。帯電した細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等は、この不活化装置8において、高圧電極8aと接地対向電極8bとの間に印加される高電圧により発生する電流により、高圧電極8aと接地対向電極8bとの間を通過するとき、殺菌・不活化される。
【0033】
なお、さらに、放電電極7cにナノコロイドを含有させた場合、ナノコロイドを含む微細な帯電水滴9bは、ナノコロイドを含まない帯電水滴9bと比較して、帯電量が多く、かつ、長寿命である。このため、空気中に含まれる細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を帯電させやすくなる。
【0034】
図5に、このように構成された空気清浄装置を使用した場合における室内浮遊菌数の計測値例の時間変化を示す。
この図において、「自然減衰」は、不活化装置8を稼動しない場合の室内浮遊菌数である。また、「電圧5.5kV」は、不活化装置8の高圧電極8aに5.5kVの電圧を印加した場合の室内浮遊菌数である。そして、「電圧6.0kV」は、不活化装置8の高圧電極8aに6.0kVの電圧を印加した場合の室内浮遊菌数である。
【0035】
このように、不活化装置8に印加する電圧を高めることで、自然減衰と比較して、室内浮遊菌数の減衰が大きくなることがわかる。具体的には、印加電圧が5.5kVの場合、計測を開始してから30分が経過すると、検出限界の1.E+01CFU/mLに達することがわかる。また、印加電圧が6.0kVにした場合には、計測を開始してから少なくとも15分が経過すると、検出限界の1.E+01CFU/mLに達している。
このことから、本願発明に係る空気清浄装置を使用すると、室内の浮遊菌を高速で除去する効果があることがわかる。
【0036】
なお、以上においては、静電霧化装置や不活化装置8、空気清浄装置に適用した例について説明した。しかし、本願発明に係る静電霧化装置や不活化装置の適用先はこれに限られるものでなく、空気清浄機の他、ルームエアコン、パッケージエアコン、クリーナー(電気掃除機)、ハンドドライヤー、加湿機、除湿機や冷蔵庫等の製品に組み込み使用することが可能である。これらに搭載することで、使用者の快適性を向上し、利便性を向上することができる。
【0037】
以上のように構成された空気清浄装置は、空気清浄装置本体内の、空気流の風路上に設けられ、微細な帯電水滴を放出する静電霧化装置と、空気清浄装置本体内の、風路上の吸気口寄りに設けられた不活化装置と、を備え、この不活化装置は、接地され、平板状を呈し、互いに略平行に配置された複数の第1の電極である接地対向電極と、複数の第1の電極のそれぞれの間に配置され、第1の電極に対して所定の電圧が印加された平棒状の第2の電極である高圧電極と、を有するものである。
【0038】
このため、室内に微細な帯電水滴を放出することで、室内に浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等と帯電水滴の接触確率を増加させ、室内に浮遊する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を効率よく帯電させることができる。また、以上のような構成の不活化装置によって、空気清浄装置本体に取り込まれた、帯電した細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を効率よく殺菌・不活化することができる。
【0039】
また、第1の電極及び第2の電極は、長手に垂直な断面形状が長辺と短辺とを有する略矩形状をそれぞれ呈し、これらの電極の長手に垂直な断面において、これらの電極の長辺同士のなす角が略直角となるように、又は、長辺同士が略平行に配置される。そして、これらの電極間距離を10〜12mmとし、これらの電極間には、パルス状又は交流の波高値1000V以上の電圧が印加される。
【0040】
このため、第2の電極(高圧電極)と第1の電極(接地対向電極)との間で、殺菌・不活化に必要な放電を発生させることが可能となり、効率良く通過する細菌・かび・アレルゲン・ウイルス等を殺菌・不活化することが可能できる。そして、集塵フィルタのメンテナンスが不要であって、集塵能力が低下しにくく、装置の長寿命化や省エネルギー化にも資する。
【符号の説明】
【0041】
1 空気清浄装置本体
2 吸気口
3 排気口
4 送風ファン
5 熱交換器
6 プレフィルタ
7 静電霧化装置
7a ペルチェ素子
7b 貯水トレイ
7c 放電電極
7d 対向電極
7e 高圧電源
7f ケーシング
8 不活化装置
8a 高圧電極
8b 接地対向電極
9a 水
9b 帯電水滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口とを有する本体と、
前記吸気口から前記本体内へと空気を取り込み前記排気口から空気を排出する空気流を形成する送風手段と、
前記本体内の、前記空気流の風路上に設けられ、微細な帯電水滴を放出する静電霧化装置と、
前記本体内の、前記風路上の前記吸気口寄りに設けられた不活化装置と、を備え、
前記不活化装置は、
接地され、平板状を呈し、互いに略平行に配置された複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極のそれぞれの間に配置され、前記第1の電極に対して所定の電圧が印加された平棒状の第2の電極と、を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、長手に垂直な断面形状が長辺と短辺とを有する略矩形状をそれぞれ呈し、これらの電極の長手に垂直な断面において、前記第1の電極の長辺と前記第2の電極の長辺とのなす角が、略直角となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、長手に垂直な断面形状が長辺と短辺とを有する略矩形状をそれぞれ呈し、これらの電極の長手に垂直な断面において、前記第1の電極の長辺と前記第2の電極の長辺とが、略平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離を、10〜12mmとしたことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記第2の電極は、素材となる金属棒を圧延することにより、長手に垂直な断面形状が長辺と短辺とを有する略矩形状を呈する平棒形状に形成されたものであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記所定の電圧は、パルス状又は交流の波高値1000V以上の電圧であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−115798(P2012−115798A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269954(P2010−269954)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】