説明

空気熱源ヒートポンプエアコンおよびその運転方法

【課題】空気熱源ヒートポンプの基本回路の軽微な改造により、簡単にかつ低コストで冷房性能および暖房性能を共に向上することができる空気熱源ヒートポンプエアコンおよびその運転方法を提供することを目的とする。
【解決手段】室外機3と、室内機2とが冷媒配管4,5を介して接続され、冷媒圧縮機10、四方切換弁11、室外空気熱交換器12および室内熱交換器30等によりヒートポンプ冷媒回路6が構成されている空気熱源ヒートポンプエアコン1において、室外機3側の四方切換弁11と室外空気熱交換器12とを接続する冷媒配管20Aに、該冷媒配管20A側を流れる冷媒と、水、ブライン等の熱媒体とを熱交換させ、冷房運転時、熱媒体により冷媒を冷却して凝縮させるとともに、暖房運転時、熱媒体から吸熱して冷媒を蒸発させる冷媒/熱媒体熱交換器40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒/熱媒体熱交換器を追加することにより、簡単にかつ低コストで冷房性能および暖房性能を向上することができる空気熱源ヒートポンプエアコンおよびその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気熱源ヒートポンプエアコンでは、冷房性能および暖房性能を向上するため、従来から様々な提案がなされている。例えば、夏期等の高外気温時、空気熱源ヒートポンプエアコンの消費電力を低減するとともに、冷房能力を高めるため、室外機側の室外空気熱交換器に対して、ノズル等を用いて水を散布する散水装置を設け、室外空気熱交換器での放熱効率を高めることにより、冷房能力のアップおよび効率の向上を図ったものが特許文献1ないし3等にて提案されている。
【0003】
また、基本のヒートポンプ冷媒回路に対して、切替えバルブを介して温水加熱回路あるいはブライン冷却用熱交換器を並列に接続した構成とし、暖房運転時には、温水加熱回路を介して伝熱槽内のブラインに熱を蓄え、デフロスト時に伝熱槽内に蓄えられたブラインの熱を利用することにより効率よく除霜するとともに、冷房運転時には、ブライン冷却用熱交換器を介して伝熱槽内のブラインを冷却し、高外気温時に室外熱交換器にブラインを循環させて凝縮を効率よく行わせることによって、COP(成績係数)の向上を図ったものが特許文献4等にて提案されている。
【0004】
一方、夏期に、冷媒/水熱交換器に井戸水やクーリングタワーで冷却された水を流して冷媒と熱交換させることにより冷房運転を行い、冬期には井戸水等を流し、それを熱源として暖房運転を行うようにした水熱源ヒートポンプエアコンが従来から知られている。更に、外気と熱交換を行う空気熱交換器と、熱源水と熱交換を行う水熱交換器とを並列に接続し、何れかの熱交換器を切換え使用または併用して冷房運転、暖房運転およびデフロスト運転を行うようにした空水冷ハイブリッド型のヒートポンプエアコンが特許文献5,6等にて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−46442号公報(図1−図5参照)
【特許文献2】特開2008−89289号公報(図1、図3参照)
【特許文献3】特開2009−287880号公報(図1−図8参照)
【特許文献4】特開2007−225274号公報(図1参照)
【特許文献5】特開2006−349333号公報(図1参照)
【特許文献6】特開2009−243802号公報(図1−図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1−3に示されるように、散水装置を設けたものでは、室外空気熱交換器全体に均一に水を散布することは困難であり、十分な性能向上が得られないのみならず、散水装置の設置スペースが大きくなる等の課題があった。また、冬期等の低外気温時に、散水装置から室外空気熱交換器に水、温水等を散布しても、均一に散布することが困難なため、熱交換器の表面で水が凍結してしまうという問題があり、暖房能力の向上には利用することができないという課題があった。
【0007】
また、特許文献4に示されるように、空気熱源ヒートポンプの基本回路に対して、並列回路を接続し、この回路に設けられた熱交換器により冷却または加熱されたブラインを利用するようにしたものでは、並列回路の他に、切替えバルブが必要となる等、構成が複雑化し、コスト高になるという問題があった。また、並列回路やその回路中に設けられた熱交換器にサイクル中を循環する冷媒や冷凍機油が滞留することは避け難く、タイミングを見ながら冷媒戻し運転や油戻し運転を行うようにしているが、性能低下や信頼性低下を招く要因となる等の課題があった。
【0008】
さらに、水熱源ヒートポンプエアコンを使用するには、冷房時、暖房時の最大能力に対応した量および温度の水を確保しなければならず、水量、水温に対する要求レベルが非常に高く、それ以外にも、クーリングタワー等の水廻りのメンテナンスが厄介であるとともに、構造的に室内機側に重量物である圧縮機を搭載しなければならないため、室内機の設置形態が床置形に限定される等、使用に際しての制約が多く、需要が低下しているという現実がある。また、空水冷ハイブリッド型のヒートポンプエアコンでは、水量、水温に対する要求レベルは緩和されるが、空気熱交換器と水熱交換器とが並列に接続されることによる上述の課題は、依然解決されていないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、空気熱源ヒートポンプの基本回路の軽微な改造により、簡単にかつ低コストで冷房性能および暖房性能を共に向上することができる空気熱源ヒートポンプエアコンおよびその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンおよびその運転方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気熱源ヒートポンプエアコンは、冷媒圧縮機、四方切換弁、室外空気熱交換器および室外送風機等を有する室外機と、室内熱交換器および室内送風機等を有する室内機とが冷媒配管を介して接続され、前記冷媒圧縮機、四方切換弁、室外空気熱交換器および室内熱交換器等によりヒートポンプ冷媒回路が構成されている空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記室外機側の前記四方切換弁と前記室外空気熱交換器とを接続する冷媒配管に、該冷媒配管側を流れる冷媒と、水、ブライン等の熱媒体とを熱交換させ、冷房運転時、前記熱媒体により冷媒を冷却して凝縮させるとともに、暖房運転時、前記熱媒体から吸熱して冷媒を蒸発させる冷媒/熱媒体熱交換器が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、空気熱源ヒートポンプエアコンにおける室外機側の四方切換弁と室外空気熱交換器とを接続する冷媒配管に、冷媒配管側を流れる冷媒と、水、ブライン等の熱媒体とを熱交換させ、冷房運転時、熱媒体により冷媒を冷却して凝縮させるとともに、暖房運転時、熱媒体から吸熱して冷媒を蒸発させる冷媒/熱媒体熱交換器が設けられているため、冷房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器に室外空気熱交換器での凝縮温度よりも低温の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて凝縮温度を下げることにより、消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができ、一方、暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器に室外空気熱交換器での蒸発温度よりも高温の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて蒸発温度を上げることにより、暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器に対する着霜を防止または低減することができる。従って、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路の軽微な改造により、簡単にかつ低コストで該エアコンの冷房性能および暖房性能を向上することができる。また、空冷と水冷または空気熱源と水熱源とを併用できるため、水熱源ヒートポンプに比べて水量、水温に対する要求レベルが低く、適用に際しての自由度を高めることができる。更に、冷媒/熱媒体熱交換器の冷媒側には、圧縮機運転中、常に冷媒が流通される構成のため、切替え弁や並列回路が不要で、サイクル中を循環する冷媒や冷凍機油が冷媒/熱媒体熱交換器内に滞留することがなく、冷媒や冷凍機油が滞留することによる性能や信頼性の低下を防止することができる。
【0012】
また、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上記の空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記冷媒/熱媒体熱交換器には、冷房運転時、凝縮器として前記室外空気熱交換器のみを利用した場合の凝縮温度よりも低い温度の前記熱媒体が流通可能とされ、暖房運転時、蒸発器として前記室外空気熱交換器のみを利用した場合の蒸発温度よりも高い温度の前記熱媒体が流通可能とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、冷媒/熱媒体熱交換器に、冷房運転時、凝縮器として室外空気熱交換器のみを利用した場合の凝縮温度よりも低い温度の熱媒体が流通可能とされ、暖房運転時、蒸発器として室外空気熱交換器のみを利用した場合の蒸発温度よりも高い温度の熱媒体が流通可能とされているため、冷房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器で冷媒と室外空気熱交換器での凝縮温度よりも低温の熱媒体とを熱交換させ、凝縮温度を下げることによって、消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができる。一方、暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器で冷媒と室外空気熱交換器での蒸発温度よりも高温の熱媒体とを熱交換させ、蒸発温度を上げることにより、暖房能力を増加させるとともに、低外気温時には、室外空気熱交換器に対する着霜を防止または低減することができる。従って、空気熱源ヒートポンプエアコンの冷房性能および暖房性能を共に向上することができるとともに、低外気温時の暖房運転中における室外空気熱交換器のデフロスト運転を回避またはその頻度を低下し、暖房能力の向上を図ることができる。なお、熱媒体としては、水道水や井戸水の他にも、河川水や用水、池、排水等の水あるいは地中の熱を、直接または中間熱交換器を介して水またはブラインにより汲み上げ利用することができる。
【0014】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記冷媒/熱媒体熱交換器には、熱媒体流通路が接続され、前記熱媒体が供給または停止可能とされるとともに、前記熱媒体の流通量が調整可能とされていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、冷媒/熱媒体熱交換器に、熱媒体流通路が接続され、熱媒体が供給または停止可能とされるとともに、熱媒体の流通量が調整可能とされているため、外気温や熱媒体の温度等に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体流通路を介して熱媒体を供給または停止することができるとともに、その流通量を適正量に調整することができる。従って、空気熱源ヒートポンプエアコン運転時、冷房性能および暖房性能を安定的に向上することができると同時に、熱媒体を有効に利用することができる。なお、熱媒体の供給、停止および流通量の調整には、落差の利用、インバータ付きポンプの利用、あるいはポンプと流量制御弁との組合せ等々、適宜の手段が利用可能である。
【0016】
さらに、本発明にかかる空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法は、上述のいずれかに記載されている空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、冷房運転時には、外気温が一定値以上になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させ、一定値以下になると、前記熱媒体の流通を停止または流通量を低下し、暖房運転時には、外気温が一定値以下になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させ、一定値以上になると、前記熱媒体の流通量を低下または流通を停止することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンを用い、冷房運転時には、外気温が一定値以上になると、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体を流通させ、一定値以下になると、熱媒体の流通を停止または流通量を低下し、暖房運転時には、外気温が一定値以下になると、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体を流通させ、一定値以上になると、熱媒体の流通量を低下または流通を停止するようにしているため、外気温に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器に対する熱媒体の供給、停止または流通量の調整を行い、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることができる。従って、COP(成績係数)を向上し、効率のよい運転を行うことができると同時に、熱媒体を有効に利用することができる。
【0018】
さらに、本発明にかかる空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法は、上述のいずれかに記載されている空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、前記冷房運転時、前記熱媒体の温度が高いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を増加し、前記熱媒体の温度が低いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を減少させ、前記暖房運転時、前記熱媒体の温度が低いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を増加し、前記熱媒体の温度が高いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を減少させることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、冷房運転時、熱媒体の温度に応じて冷媒/熱媒体熱交換器に流通する熱媒体の流量を増減し、暖房運転時、熱媒体の温度に応じて冷媒/熱媒体熱交換器に流通する熱媒体の流量を増減するようにしているため、熱媒体の温度を監視しながら、その温度に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器に対する熱媒体の流通量の調整を行い、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることができる。従って、COP(成績係数)を向上し、効率のよい運転を行うことができると同時に、熱媒体を有効に利用することができる。
【0020】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法は、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、前記冷房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器への熱媒体の流通が停止されているとき、該冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が一定値以上になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体が強制的に流通されることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、冷房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器への熱媒体の流通が停止されているとき、該冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が一定値以上になると、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体が強制的に流通されるため、冷媒/熱媒体熱交換器内の熱媒体流路側に滞留している熱媒体が高温の冷媒ガスにより加熱され、沸騰する事態を回避することができる。従って、熱媒体が沸騰することによる熱媒体流通路側での損傷等の不具合を未然に防止することができる。なお、ここでの熱媒体の流通は、間欠的または連続的の何れであってもよい。
【0022】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法は、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、前記暖房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器への熱媒体の流通が停止されているとき、該冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が一定値以下になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体が強制的に流通されることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、暖房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器への熱媒体の流通が停止されているとき、該冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が一定値以下になると、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体が強制的に流通されるため、冷媒/熱媒体熱交換器内の熱媒体流路側に滞留している熱媒体が低温の冷媒により冷却され、凍結する事態を回避することができる。従って、熱媒体が凍結することによる冷媒/熱媒体熱交換器の破損等の不具合を未然に防止することができる。なお、ここでの熱媒体の流通は、間欠的または連続的の何れであってもよい。
【0024】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法は、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、前記冷房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させたときの凝縮温度が外気温よりも低い場合は、前記室外送風機を停止し、前記暖房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させたときの蒸発温度が外気温よりも高い場合は、前記室外送風機を停止することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、冷房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体を流通させたときの凝縮温度が外気温よりも低い場合は、室外送風機の運転を停止し、暖房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体を流通させたときの蒸発温度が外気温よりも高い場合は、室外送風機の運転を停止するようにしているため、冷房運転時に外気温が凝縮温度よりも高くなった場合あるいは暖房運転時に外気温が蒸発温度よりも低くなった場合には、室外送風機の運転が停止され、冷媒/熱媒体熱交換器のみで冷媒が凝縮または蒸発されて冷房運転または暖房運転が継続されることになる。つまり、外気温が凝縮温度より高くなった場合は、外気による冷媒の加熱を防止することができ、外気温が蒸発温度より低くなった場合は、外気による冷媒の冷却を防止することができる。従って、何れの場合にも熱媒体の熱量を無駄にすることがなく、しかも室外送風機を停止した分だけ消費電力を低減し、省エネ化を図ることができる。
【0026】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法は、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、前記暖房運転時、外気温と前記室外空気熱交換器での蒸発温度とが略同等となるように前記熱媒体の流量を制御することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、暖房運転時、外気温と室外空気熱交換器での蒸発温度とが略同等となるように熱媒体の流量を制御するようにしているため、冷媒/熱媒体熱交換器に対する熱媒体の流通量を制御し、外気温と室外空気熱交換器での蒸発温度とを略等しくすることによって、外気温度が低く、室外空気熱交換器での蒸発温度が氷点下となるような場合であっても、室外空気熱交換器では外気からの吸熱が実質的に行われなくなることから、霜の生成を抑えることができる。従って、室外空気熱交換器に対する着霜を抑制しつつ、効率のよい暖房運転を行うことができる。
【0028】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上記の空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記室内機の送風経路に、前記冷媒/熱媒体熱交換器との間で熱媒体循環路を介して前記熱媒体が循環可能とされた空気/熱媒体熱交換器が設けられていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、室内機の送風経路に、冷媒/熱媒体熱交換器との間で熱媒体循環路を介して熱媒体が循環可能とされた空気/熱媒体熱交換器が設けられているため、ヒートポンプ冷媒回路を四方切換弁により暖房サイクルに切換えて運転し、このとき、蒸発器として機能する冷媒/熱媒体熱交換器により熱媒体を冷却し、この熱媒体を、熱媒体循環路を介して空気/熱媒体熱交換器に循環させることにより、室内機の送風経路を循環される空気と熱交換されて該空気を冷却、除湿することができる。そして、この冷却空気を暖房サイクル時に凝縮器として機能する室内熱交換器で加熱することにより再熱し、除湿空気として室内に送り出すことができる。一方、ヒートポンプ冷媒回路を四方切換弁により冷房サイクルに切換えて運転し、このとき、凝縮器として機能する冷媒/熱媒体熱交換器により熱媒体を加熱し、この熱媒体を、熱媒体循環路を介して空気/熱媒体熱交換器に循環させることにより、室内機の送風経路を循環される空気と熱交換させて該空気を加熱することができる。そして、この空気/熱媒体熱交換器で、冷房サイクル時に蒸発器として機能する室内熱交換器で冷却、除湿された空気を再熱することにより、除湿空気として室内に送り出すことができる。従って、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコンに対して軽微な改造により、暖房領域、冷房領域のいずれにおいても除湿が可能な除湿機能を付加することができ、除湿機を用いることなく、1台の空気熱源ヒートポンプエアコンで冷房、暖房および除湿を行うことができる。特に、除湿機能の付加は、居住空間での快適性の向上に留まらず、施設園芸の分野では、湿度を適正化し、作物の品質向上と収穫量の増加を図ることができるため、有効活用することができる。なお、除湿運転時は、室外送風機の運転を停止し、室外空気熱交換器での熱交換機能を停止させて運転するのが望ましい。
【0030】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上記の空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記空気/熱媒体熱交換器は、前記送風経路中において前記室内熱交換器の上流側に配設されていることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、空気/熱媒体熱交換器が、室内機の送風経路中において室内熱交換器の上流側に配設されているため、ヒートポンプ冷媒回路を四方切換弁により暖房サイクルに切換え、室内熱交換器を凝縮器、冷媒/熱媒体熱交換器を蒸発器として作用させ、冷媒/熱媒体熱交換器で冷却された熱媒体を、熱媒体循環路を介して空気/熱媒体熱交換器に循環させることにより、室内熱交換器の上流側で室内空気を冷却、除湿した後、室内熱交換器で再熱し、除湿空気として室内に送り出すことができる。従って、エアコンの全能力を除湿に利用することができる高能力の除湿機能を持った空気熱源ヒートポンプエアコンを得ることができる。
【0032】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上記の空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記空気/熱媒体熱交換器は、前記送風経路中において前記室内熱交換器の下流側に配設されていることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、空気/熱媒体熱交換器が、室内機の送風経路中において室内熱交換器の下流側に配設されているため、ヒートポンプ冷媒回路を四方切換弁により冷房サイクルに切換え、室内熱交換器を蒸発器、冷媒/熱媒体熱交換器を凝縮器として作用させ、冷媒/熱媒体熱交換器で加熱された熱媒体を、熱媒体循環路を介して空気/熱媒体熱交換器に循環させることにより、室内熱交換器で冷却、除湿された室内空気を空気/熱媒体熱交換器で再熱し、除湿空気として室内に送り出すことができる。従って、エアコンの全能力を除湿に利用することができる高能力の除湿機能を持った空気熱源ヒートポンプエアコンを得ることができる。
【0034】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上記の空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記空気/熱媒体熱交換器は、前記送風経路中において前記室内熱交換器の上流側と下流側とにそれぞれ配設されており、運転モードに応じていずれか一方の前記空気/熱媒体熱交換器に熱媒体が選択的に循環可能とされていることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、空気/熱媒体熱交換器が、室内機の送風経路中において室内熱交換器の上流側と下流側とにそれぞれ配設されており、運転モードに応じていずれか一方の空気/熱媒体熱交換器に熱媒体が選択的に循環可能とされているため、暖房サイクルによる運転時には、室内熱交換器の上流側に配設されている空気/熱媒体熱交換器に冷媒/熱媒体熱交換器からの熱媒体を循環させ、また、冷房サイクルによる運転時には、室内熱交換器の下流側に配設されている空気/熱媒体熱交換器に冷媒/熱媒体熱交換器からの熱媒体を循環させることによって、暖房サイクル時は、空気/熱媒体熱交換器で冷却、除湿した室内空気を室内熱交換器で再熱して除湿することができ、冷房サイクル時は、室内熱交換器で冷却、除湿した室内空気を空気/熱媒体熱交換器で再熱して除湿することができる。従って、暖房サイクル時または冷房サイクル時のいずれの場合にも高能力下で除湿運転を行うことができる。
【0036】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記四方切換弁により運転モードが切換えられたとき、前記室内送風機の運転方法または通風路の切換えにより室内空気の循環方向が逆転可能とされていることを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、四方切換弁により運転モードが切換えられたとき、室内送風機の運転方法または通風路の切換えにより室内空気の循環方向が逆転可能とされているため、四方切換弁により運転モードが暖房サイクルから冷房サイクルまたは冷房サイクルから暖房サイクルに切換えられたとき、それに合わせて室内空気の循環方向を逆転すれば、送風経路中において室内熱交換器と空気/熱媒体熱交換器の配置順が固定されていても、室内熱交換器または空気/熱媒体熱交換器のいずれか一方で室内空気を冷却、除湿した後、他方で再熱して除湿し、室内に送り出すことができる。従って、この場合は、室内機の送風経路中に設ける空気/熱媒体熱交換器が1台であっても、暖房サイクル時または冷房サイクル時に対応していずれの場合も高能力下で除湿運転を行うことができる。
【0038】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上記の空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記空気/熱媒体熱交換器は、前記室内機に対して別置きの熱交換ユニットとされ、該熱交換ユニットおよび前記室内機の一方が冷却、除湿用、他方が再熱用に組み合わせ使用されるように構成されていることを特徴とする。
【0039】
本発明によれば、空気/熱媒体熱交換器が、室内機に対して別置きの熱交換ユニットとされ、該熱交換ユニットおよび室内機の一方が冷却、除湿用、他方が再熱用に組み合わせ使用されるように構成されているため、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコンの室内機に対して、空気/熱媒体熱交換器を備えた熱交換ユニットを別置きにして組み合わせ使用することによっても、室内熱交換器および空気/熱媒体熱交換器の一方で冷却、除湿された室内空気を、他方に送風し、そこで再熱することによって除湿することができる。従って、この場合、室内機を特に改造することなく、空気/熱媒体熱交換器を備えた別置きの熱交換ユニットを追加することによって、冷暖房用の空気熱源ヒートポンプエアコンに対して高能力の除湿機能を簡単に付加することができる。
【0040】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記室外送風機の回転数または前記室外空気熱交換器の通風路の調整により、除湿能力が調整可能とされていることを特徴とする。
【0041】
本発明によれば、室外送風機の回転数または室外空気熱交換器の通風路の調整により、除湿能力が調整可能とされているため、冷媒/熱媒体熱交換器および空気/熱媒体熱交換器を作動している除湿運転時に、室外送風機の回転数を調整または室外空気熱交換器の通風路を絞り調整することによって、冷媒/熱媒体熱交換器での冷媒と熱媒体との熱交換量を調整し、この熱媒体が循環される空気/熱媒体熱交換器での室内空気の冷却量または再熱量を調整することができる。従って、室外送風機の回転数または室外空気熱交換器の通風路の調整等により除湿能力を簡易に調整し、高精度で効率のよい除湿運転を行うことができる。
【0042】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記熱媒体循環路に設けられている熱媒体ポンプの回転数または前記熱媒体循環路の調整により、除湿能力が調整可能とされていることを特徴とする。
【0043】
本発明によれば、熱媒体循環路に設けられている熱媒体ポンプの回転数または熱媒体循環路の調整により、除湿能力が調整可能とされているため、冷媒/熱媒体熱交換器および空気/熱媒体熱交換器を作動している除湿運転時に、熱媒体循環路に設けられている熱媒体ポンプの回転数を調整または熱媒体循環路を絞り調整することにより、冷媒/熱媒体熱交換器で冷媒と熱交換された熱媒体の循環量を調整し、この熱媒体が循環される空気/熱媒体熱交換器での室内空気の冷却量または再熱量を調整することができる。従って、熱媒体循環路に設けられている熱媒体ポンプの回転数または熱媒体循環路の調整等により除湿能力を簡易に調整し、高精度で効率のよい除湿運転を行うことができる。
【0044】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、通常の冷暖房時、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度を検出し、その検出温度が設定温度に達したとき、前記熱媒体が循環可能とされていることを特徴とする。
【0045】
本発明によれば、通常の冷暖房時、冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度を検出し、その検出温度が設定温度に達したとき、熱媒体が循環可能とされているため、除湿運転を止めて通常の冷暖房運転を行っているとき、冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が設定温度に達し、熱媒体が凍結または沸騰する虞がある場合、熱媒体を強制的に循環させることによって、冷媒/熱媒体熱交換器内での熱媒体の凍結または沸騰を防止することができる。従って、熱媒体が凍結または沸騰することによる冷媒/熱媒体熱交換器の損傷等を未然防止することができる。なお、この場合、熱媒体を一定時間連続的または間欠的に循環させればよい。
【0046】
さらに、本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンは、上述のいずれかの空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、前記冷媒/熱媒体熱交換器には、外部から熱媒体が流通可能な熱媒体流通路が接続されており、該熱媒体流通路に、前記冷媒/熱媒体熱交換器と前記空気/熱媒体熱交換器との間で熱媒体が循環可能な前記熱媒体循環路が回路切換手段を介して接続されていることを特徴とする。
【0047】
本発明によれば、冷媒/熱媒体熱交換器に外部から熱媒体が流通可能な熱媒体流通路が接続されており、該熱媒体流通路に冷媒/熱媒体熱交換器と空気/熱媒体熱交換器との間で熱媒体が循環可能な熱媒体循環路が回路切換手段を介して接続されているため、通常の冷暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器に熱媒体流通路を介して外部から熱媒体を流通させ、この熱媒体と冷媒とを熱交換させることにより、冷房時には、冷媒の凝縮温度を下げて消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができ、暖房時には、冷媒の蒸発温度を上げて暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器に対する着霜を抑制することができる。また、冷媒/熱媒体熱交換器に接続されている熱媒体流通路に対して、回路切換手段を介して空気/熱媒体熱交換器との間で熱媒体を循環させる熱媒体循環路を接続し、冷媒/熱媒体熱交換器と空気/熱媒体熱交換器との間で熱媒体を循環させることによって、室内熱交換器または空気/熱媒体熱交換器の一方で冷却、除湿した室内空気を他方で再熱することにより除湿することができる。従って、空気熱源ヒートポンプエアコンの冷暖房性能および能力を向上させることができると同時に、該エアコンに高能力の除湿機能を簡単に付加することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明の空気熱源ヒートポンプエアコンによると、冷房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器に室外空気熱交換器での凝縮温度よりも低温の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて凝縮温度を下げることにより、消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができ、一方、暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器に室外空気熱交換器での蒸発温度よりも高温の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて蒸発温度を上げることにより、暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器に対する着霜を防止または低減することができるため、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路の軽微な改造により、簡単にかつ低コストで該エアコンの冷房性能および暖房性能を向上することができる。また、空冷と水冷または空気熱源と水熱源とを併用することができるため、水熱源ヒートポンプに比べて水量、水温に対する要求レベルが低く、適用に際しての自由度を高めることができる。更に、冷媒/熱媒体熱交換器の冷媒側には、圧縮機運転中、常に冷媒が流通される構成のため、切替え弁や並列回路が不要で、サイクル中を循環する冷媒や冷凍機油が冷媒/熱媒体熱交換器内に滞留することがなく、冷媒や冷凍機油が滞留することによる性能や信頼性の低下を防止することができる。
【0049】
本発明の空気熱源ヒートポンプシステムの運転方法によると、外気温、冷媒温度、凝縮温度、蒸発温度あるいは熱媒体の温度等に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器に対する熱媒体の供給、停止または流通量の調整を行い、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることができるため、COP(成績係数)を向上し、効率のよい運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路図である。
【図2】図1に示す空気熱源ヒートポンプエアコンの試験運転結果を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路図である。
【図4】図3に示す空気熱源ヒートポンプエアコンの変形例の冷媒回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係る空気熱源ヒートポンプエアコンの室内機側の冷房時(A)と暖房時(B)の配置構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路図が示され、図2には、その運転結果が示されている。
空気熱源ヒートポンプエアコン1は、空調される室内に設置される室内ユニット(室内機)2と、室外に設置される室外ユニット(室外機)3とを備えており、該室内ユニット2と室外ユニット3とは、冷媒液配管(冷媒配管)4および冷媒ガス配管(冷媒配管)5を介して接続されている。
【0052】
室外ユニット(室外機)3内には、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機10、冷媒の循環方向を切換える四方切換弁11、冷房運転時は凝縮器、暖運転房時は蒸発器として機能する室外空気熱交換器12、室外空気熱交換器12に対して外気を流通する室外送風機(室外ファン)13、暖房運転時に冷媒を断熱膨張する暖房用膨張弁14、凝縮された液冷媒を一時貯留するレシーバ15、冷房運転時に冷媒を断熱膨張する冷房用膨張弁16、冷媒圧縮機10に吸入される冷媒中から液分を分離し、ガス分のみを吸入させるアキュームレータ17、液側操作弁18、ガス側操作弁19等が設置されている。
【0053】
室外ユニット3内に設置されている冷媒圧縮機10、四方切換弁11、室外空気熱交換器12、暖房用膨張弁14、レシーバ15、冷房用膨張弁16およびアキュームレータ17は、図1に示されるように、順次冷媒配管20を介して接続され、公知の室外側冷媒回路21を構成している。室外側冷媒回路21の液側冷媒配管の端部およびガス側冷媒配管の端部には、それぞれ液側操作弁18およびガス側操作弁19が設けられており、室内ユニット(室内機)2との接続配管である冷媒液配管4および冷媒ガス配管5がフレアナット等を介して接続可能とされている。
【0054】
一方、室内ユニット(室内機)2内には、冷房運転時は蒸発器、暖房運転時は凝縮器として機能する室内熱交換器30および空調する室内の空気を室内熱交換器30に対して循環する室内送風機(室内ファン)31等が設置されている。室内熱交換器30の一端には液側配管32A、他端にはガス側配管32Bが接続されている。そして、これらの液側配管32Aおよびガス側配管32Bが、冷媒液配管4および冷媒ガス配管5を介して室外機3側の冷媒回路21と接続されることによって、密閉されたヒートポンプ冷媒回路6が構成されている。
【0055】
加えて、ヒートポンプ冷媒回路6の室外機3側の四方切換弁11と、室外空気熱交換器12との間を接続する冷媒ガス配管20A中には、冷媒/熱媒体熱交換器40が設置されている。この冷媒/熱媒体熱交換器40には、熱媒体流通路41が接続され、熱媒体が供給または停止可能とされるとともに、熱媒体の流通量が調整可能とされており、冷媒ガス配管20A側を流れる冷媒と、熱媒体流通路41側を流れる水、ブライン等の熱媒体とが熱交換されるようになっている。なお、熱媒体流通路41には、必要に応じて熱媒体ポンプ42および/または流量制御弁43を設けることができ、該熱媒体ポンプ42および/または流量制御弁43を介して熱媒体の供給、停止あるいは流量の調整を行うようにしてもよい。以下では、熱媒体ポンプ42および/または流量制御弁43を設けている場合について説明する。
【0056】
冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体流通路41を介して流通される熱媒体としては、水道水を用いてもよいが、水道水は高価であることから、井戸水を汲み上げて直接給水するようにしてもよく、あるいは河川水や用水、池、排水等の水と中間熱交換器を介して熱交換された水またはブライン、地中に埋設された配管を介して地中熱と熱交換されたブライン等を用いてもよい。また、必要に応じて熱媒体流通路41中にタンクを設けて蓄冷または蓄熱し、タンクを介して熱媒体が供給可能とされていてもよい。
【0057】
なお、室外機3側には、冷媒/熱媒体熱交換器40の冷媒出入口に冷媒温度を検出する温度センサ44,45が設けられ、熱媒体の出入口に熱媒体の温度を検出する温度センサ46,47が設けられている。また、室外空気熱交換器12に冷媒の凝縮温度および蒸発温度を検出する温度センサ48、外気温度を検出する外気温センサ50、冷媒圧縮機10から吐出される冷媒ガスの温度を検出する吐出温度センサ51、冷媒圧縮機10に吸入される冷媒ガスの温度を検出する吸入温度センサ52等々の温度センサが設けられている。
【0058】
次に、空気熱源ヒートポンプエアコン1の冷房運転、暖房運転について説明する。
夏期の冷房運転時、冷媒圧縮機10で圧縮された冷媒は、図1に示される実線矢印のように、四方切換弁11を介して冷媒/熱媒体熱交換器40、室外空気熱交換器12、レシーバ15、冷房用膨張弁16、室内熱交換器30、四方切換弁11、アキュームレータ17の順にヒートポンプ冷媒回路6内を循環する。この際、室内熱交換器30は蒸発器として機能し、室内送風機31を介して循環される室内空気を冷却する。この冷風を室内に吹出すことによって、室内が冷房されることになる。
【0059】
また、この冷房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に、熱媒体流通路41を介して室外空気熱交換器12での凝縮温度よりも低い温度の熱媒体(水、ブライン)を流通させ、該熱媒体と冷媒とを熱交換させることにより、冷媒の凝縮温度を低減し、凝縮効率を高めることができる。図2には、外気温度が30℃、室内温度が25℃、水温(ここでは高架水槽を経た水道水を使用)が26℃の条件下において、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体(水)を通水した場合と、通水なしとした場合との試験結果(試験No.1,2)が示されている。なお、図2中の計測温度T1ないしT9は、図1中に示されたT1ないしT9位置での計測温度を示している。
【0060】
上記の試験結果、冷媒/熱媒体熱交換器40に室外空気熱交換器12での凝縮温度よりも低い温度の熱媒体を流通させ、冷媒の凝縮温度を下げたことによって、図2に示されるように、消費電力が13%低減されるとともに、冷房能力が15%向上され、更にCOP(成績係数)が32%向上されたとの結果が得られている。
【0061】
一方、冬期の暖房運転時、冷媒圧縮機10で圧縮された冷媒は、図1に示される破線矢印のように、四方切換弁11を介して室内熱交換器30、レシーバ15、暖房用膨張弁14、室外空気熱交換器12、冷媒/熱媒体熱交換器40、四方切換弁11、アキュームレータ17の順にヒートポンプ冷媒回路6内を循環する。この際、室内熱交換器30は凝縮器として機能し、室内送風機31を介して循環される室内空気を加熱する。この温風を室内に吹出すことによって、室内が暖房されることになる。
【0062】
この暖房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に、熱媒体流通路41を介して室外空気熱交換器12での蒸発温度よりも高い温度の熱媒体(水、ブライン)を流通させ、該熱媒体と冷媒とを熱交換させることにより、冷媒の蒸発温度を上昇させ、吸熱効率を高めることができる。図2には、外気温度が0℃と−5℃、室内温度が18℃、水温(ここでは高架水槽を経た水道水を使用)が14℃の条件下において、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体(水)を通水した場合と、通水なしとした場合との試験結果(試験No.3ないし6)が示されている。
【0063】
上記の試験結果、冷媒/熱媒体熱交換器40に室外空気熱交換器12での蒸発温度よりも高い温度の熱媒体を流通させ、冷媒の蒸発温度を上昇させたことによって、図2に示されるように、消費電力がそれぞれ0.4%、17%上昇されているものの、暖房能力が38%、60%向上され、更にCOP(成績係数)が33%、37%向上されたとの結果が得られている。また、蒸発温度を上昇させることにより、室外空気熱交換器12に対する着霜を防止できるとの結果も得られている。
【0064】
この結果により、冷房運転時に、冷媒/熱媒体熱交換器40に室外空気熱交換器12での凝縮温度よりも低い温度の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて凝縮温度を下げることによって、消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができ、また、暖房運転時に、冷媒/熱媒体熱交換器40に室外空気熱交換器12での蒸発温度よりも高い温度の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて蒸発温度を上げることによって、暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器に対する着霜を防止または低減させることができることが確認し得た。
【0065】
また、本実施形態の空気熱源ヒートポンプエアコン1では、上記の冷房運転および暖房運転を、以下のようにして行うことができる。
室外空気熱交換器12を凝縮器として機能させる冷房運転時には、外気温センサ50により検出された外気温が一定値以上になると、熱媒体流通路41を介して冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させ、一定値以下になると、熱媒体ポンプ42および/または流量制御弁43により熱媒体の流通を停止または流通量を低下させて冷房運転を行い、一方、室外空気熱交換器12を蒸発器として機能させた暖房運転時には、外気温センサ50により検出された外気温が一定値以下になると、熱媒体流通路41を介して冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させ、一定値以上になると、熱媒体ポンプ42および/または流量制御弁43により熱媒体の流通量を低下または流通を停止させて暖房運転を行うことができる。
【0066】
このように、外気温を監視し、その検出温度に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器40に対する熱媒体の供給、停止あるいは流通量の制御を行うことによって、熱媒体を有効に利用しつつ、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることが可能となる。
【0067】
また、熱媒体の温度を監視し、冷房運転時、温度センサ46で検出された熱媒体の温度が高いときは、流量制御弁43を介して冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を増加し、熱媒体の温度が低いときは、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を減少させるようにし、暖房運転時、温度センサ46により検出された熱媒体の温度が低いときは、流量制御弁43により冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を増加し、熱媒体の温度が高いときは、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を減少させるようにして運転することができる。
【0068】
このように、熱媒体の温度を監視しながら、その検出温度に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通させる熱媒体の流量を増減することによっても、熱媒体を有効に利用しつつ、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることができる。
【0069】
さらに、上記空気熱源ヒートポンプエアコン1では、冷媒/熱媒体熱交換器40に対する熱媒体の流通を停止し、室外空気熱交換器12のみを凝縮器として機能させ、空冷による冷房運転を行うことができる。この場合、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度が一定値以上になると、冷媒/熱媒体熱交換器40内の熱媒体流路41側に滞留している熱媒体が高温の冷媒ガスで加熱され、沸騰する可能性が生じる。そこで、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度を温度センサ44により検出し、その検出値が一定値以上になったとき、熱媒体ポンプ42を間欠的または連続的に駆動し、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させるようにしている。これによって、熱媒体の沸騰を回避することができる。
【0070】
同様に、上記空気熱源ヒートポンプエアコン1では、冷媒/熱媒体熱交換器40に対する熱媒体の流量を停止し、室外空気熱交換器12のみを蒸発器として機能させ、外気のみを熱源とした暖房運転を行うことができる。この場合、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度が一定値以下になると、冷媒/熱媒体熱交換器40内の熱媒体流路41側に滞留している熱媒体が低温の冷媒により冷却され、凍結の可能性が生じる。そこで、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度を温度センサ45により検出し、その検出値が一定値以下になったとき、熱媒体ポンプ42を間欠的または連続的に駆動し、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させるようにしている。これによって、熱媒体の凍結を回避することができる。
【0071】
また、冷房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させたときの凝縮温度が外気温よりも低い場合、つまり温度センサ48の検出温度が外気温センサ50の検出温度よりも低いときは、室外送風機13の運転を停止し、同じく暖房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させたときの蒸発温度が外気温よりも高い場合、つまり温度センサ48の検出温度が外気温センサ50の検出温度よりも高いときは、室外送風機13の運転を停止するようにしている。
【0072】
このように、冷房運転時に外気温が凝縮温度よりも高くなったり、あるいは暖房運転時に外気温が蒸発温度よりも低くなったりした場合には、室外送風機13を停止することにより、冷房運転時は外気による冷媒の加熱を防止し、暖房運転時は外気による冷媒の冷却を防止して、冷媒/熱媒体熱交換器40での冷媒の凝縮または蒸発を効率よく行うことができる。
【0073】
さらに、暖房運転時に、外気温センサ50により検出される外気温と温度センサ49により検出される室外空気熱交換器12での蒸発温度とが略同等となるように流量制御弁43を介して熱媒体の流量を制御することができる。この場合、外気温度が低く、室外空気熱交換器12での蒸発温度が氷点下となっても、室外空気熱交換器12に対する着霜を防止することができる。これは、外気温が低い場合であっても、室外空気熱交換器12での蒸発温度を外気温と略同等に制御することにより、室外空気熱交換器12では外気からの吸熱が実質的に行われなくなることから、霜が生成されなくなるためである。図2の試験結果において、試験No.6では、外気温よりも蒸発温度の方が高くなっており、この場合、外気温が氷点下にも拘らず室外空気熱交換器12に着霜は生じない。
【0074】
しかして、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の空気熱源ヒートポンプエアコン1では、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコンの四方切換弁11と室外空気熱交換器12とを接続する冷媒配管に、冷媒/熱媒体熱交換器40を追設したことにより、冷房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器40に室外空気熱交換器12での凝縮温度よりも低温の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて凝縮温度を下げることによって消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができる。一方、暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器40に室外空気熱交換器12での蒸発温度よりも高温の熱媒体を流し、冷媒と熱交換させて蒸発温度を上げることによって、暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器12に対する着霜を防止または低減することができる。
【0075】
従って、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコンの冷媒回路の軽微な改造により、簡単にかつ低コストで冷房性能および暖房性能を共に向上することができる。また、空冷と水冷または空気熱源と水熱源とを併用できるため、水熱源ヒートポンプに比べて水量、水温に対する要求レベルが低く、適用に際しての自由度を高めることができる。更に、冷媒/熱媒体熱交換器40の冷媒側には、冷媒圧縮機10を運転中、常に冷媒が流通される構成とされているため、切替え弁や並列回路が不要で、サイクル中を循環する冷媒や冷凍機油が冷媒/熱媒体熱交換器内に滞留することがなく、冷媒や冷凍機油が滞留することによる性能や信頼性の低下を防止することができる。
【0076】
また、冷媒/熱媒体熱交換器40に、冷房運転時、室外空気熱交換器12での凝縮温度よりも低い温度の熱媒体が流通可能とされ、暖房運転時、室外空気熱交換器12での蒸発温度よりも高い温度の熱媒体が流通可能とされている。このため、冷房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器40で冷媒と室外空気熱交換器12での凝縮温度よりも低温の熱媒体とを熱交換させ、凝縮温度を下げることによって、消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができ、暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器40で冷媒と室外空気熱交換器12での蒸発温度よりも高温の熱媒体とを熱交換させ、蒸発温度を上げることにより、暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器12に対する着霜を防止または低減することができる。
【0077】
これによって、空気熱源ヒートポンプエアコン1の冷房性能および暖房性能を共に向上することができるとともに、暖房運転中における室外空気熱交換器12のデフロスト運転頻度を低下し、暖房能力の向上を図ることができる。なお、熱媒体としては、水道水を用いてもよいが、ランニングコストが高くなるから、井戸水を汲み上げて直接給水するようにしてもよく、あるいは河川水や用水、池、排水等の水を直接またはこれらと中間熱交換器を介して熱交換された水またはブライン、更には地中に埋設された配管を介して地中熱と熱交換されたブライン等を利用するようにしてもよい。
【0078】
さらに、冷媒/熱媒体熱交換器40には、熱媒体流通路41が接続され、熱媒体が供給または停止可能とされているとともに、熱媒体の流通量が調整可能とされている。これにより、外気温や熱媒体の温度等に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体流通路41を介して熱媒体を供給または停止することができるとともに、その流通量を適正量に調整することができる。このため、空気熱源ヒートポンプエアコン1の運転時、冷房性能および暖房性能を安定的に向上することができると同時に、熱媒体を有効に利用することができる。なお、熱媒体の供給、停止および流通量の調整には、熱媒体ポンプ42および/または流量制御弁43を用い、インバータで熱媒体ポンプ42の回転数を制御するか、もしくは流量制御弁で流量を制御すればよいが、これらに頼らず、落差を利用して熱媒体を流すようにしてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、冷房運転時には、外気温が一定値以上になると、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させ、一定値以下になると、熱媒体の流通を停止または流通量を低下し、暖房運転時には、外気温が一定値以下になると、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させ、一定値以上になると、熱媒体の流通量を低下または流通を停止するようにしている。このため、外気温に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器40に対する熱媒体の供給、停止または流通量の調整を行い、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることができる。従って、COP(成績係数)を向上し、効率のよい運転を行うことができると同時に、熱媒体を有効に利用することができる。
【0080】
同様に、冷房運転時、熱媒体の温度が高いときは、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を増加し、熱媒体の温度が低いときは、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を減少させ、暖房運転時、熱媒体の温度が低いときは、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を増加し、熱媒体の温度が高いときは、冷媒/熱媒体熱交換器40に流通する熱媒体の流量を減少させるようにしているため、熱媒体の温度を監視しながら、その温度に応じて、冷媒/熱媒体熱交換器40に対する熱媒体の流通量を適切に調整し、効果的に冷房能力および暖房能力の増加、消費電力の低減等を図ることができる。従って、COP(成績係数)を向上し、効率のよい運転を行うことができると同時に、熱媒体を有効に利用することができる。
【0081】
また、冷房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体の流通が停止されているとき、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度が一定値以上になると、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を強制的に流通させるようにしているため、冷媒/熱媒体熱交換器40の熱媒体流路41側に滞留している熱媒体が高温の冷媒ガスにより加熱され、沸騰する事態を回避することができる。一方、暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体の流通が停止されているとき、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度が一定値以下になると、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を強制的に流通させるようにしているため、冷媒/熱媒体熱交換器40の熱媒体流路41側に滞留している熱媒体が低温の冷媒により冷却され、凍結する事態を回避することができる。従って、冷媒/熱媒体熱交換器40内で熱媒体が沸騰したり、凍結したりすることによる熱媒体流通路側の損傷や冷媒/熱媒体熱交換器40の破損等を未然に防止することができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、冷房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させたときの凝縮温度が外気温よりも低い場合は、室外送風機13の運転を停止し、暖房運転時、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体を流通させたときの蒸発温度が外気温よりも高い場合は、室外送風機13の運転を停止するようにし、冷房運転時に外気温が凝縮温度よりも高くなった場合あるいは暖房運転時に外気温が蒸発温度よりも低くなった場合、室外送風機13を停止して冷媒/熱媒体熱交換器40のみで冷媒を凝縮または蒸発させ、冷房運転または暖房運転を継続するようにしている。
【0083】
これにより、冷房運転時、外気温が凝縮温度より高くなった場合、外気による冷媒の加熱を防止することができ、また、暖房運転時、外気温が蒸発温度より低くなった場合、外気による冷媒の冷却を防止することができる。従って、何れの場合にも熱媒体の熱量を無駄にすることがなく、しかも室外送風機を停止した分だけ消費電力を低減し、省エネ化を図ることができる。
【0084】
さらに、暖房運転時、外気温と室外空気熱交換器12での蒸発温度とが略同等となるように熱媒体の流量を制御するようにしている。このように、冷媒/熱媒体熱交換器40に対する熱媒体の流通量を制御し、外気温と室外空気熱交換器12での蒸発温度とを略等しくすることにより、外気温度が低く、室外空気熱交換器12での蒸発温度が氷点下となるような場合であっても、室外空気熱交換器12では外気からの吸熱が実質的に行われないことから、霜が生成されることはなく、従って、室外空気熱交換器12に対する着霜を抑制しつつ、効率のよい暖房運転を行うことが可能となる。
【0085】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3および図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、室内ユニット(室内機)2内に冷媒/熱媒体熱交換器40から熱媒体循環路61を介して熱媒体が循環可能な空気/熱媒体熱交換器60が設置された構成とされている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、室内ユニット(室内機)2内における室内送風機31の送風経路中に空気/熱媒体熱交換器60を配設し、該空気/熱媒体熱交換器60と室外ユニット(室外機)3の冷媒配管20A中に設けられている冷媒/熱媒体熱交換器40の熱媒体側とを閉サイクルの熱媒体循環路61を介して接続した構成としている。
【0086】
空気/熱媒体熱交換器60は、室内ユニット2内の室内送風機31の送風経路中において、図3に示されるように、室内熱交換器30に対して上流側に設けてもよいし、あるいは図4に示されるように、室内熱交換器30に対して下流側に設けてもよい。また、熱媒体循環路61には、回転数が調整可能とされた熱媒体ポンプ62と流量制御弁63とが設けられ、いずれかで熱媒体の循環量が調整可能とされている。
【0087】
さらに、本実施形態においては、熱媒体ポンプ62を止め、冷媒/熱媒体熱交換器40および空気/熱媒体熱交換器60を不作動として除湿機能を停止する場合、即ち空気熱源ヒートポンプエアコン1で通常の冷暖房を行う場合、冷媒/熱媒体熱交換器40内において熱媒体循環路61側の熱媒体が、冷媒により加熱または冷却されて沸騰または凍結する虞があるので、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度を温度センサ44,45で検知し、冷媒の温度が設定温度に達したとき、熱媒体ポンプ62を一定時間連続的または間欠的に運転し、その時、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体が循環されるようにしている。
【0088】
このように、室内ユニット(室内機)2内の送風経路に、冷媒/熱媒体熱交換器40との間で熱媒体循環路61を介して熱媒体が循環可能とされた空気/熱媒体熱交換器60を設けた構成とすることにより、ヒートポンプ冷媒回路6を四方切換弁11により暖房サイクルに切換えて運転するとともに、熱媒体ポンプ62を運転し、このとき、蒸発器として機能する冷媒/熱媒体熱交換器40により熱媒体を冷却し、この熱媒体を、熱媒体循環路61を介して空気/熱媒体熱交換器60に循環させ、空気/熱媒体熱交換器60で室内ユニット2の送風経路を循環される空気と熱交換させることによって該空気を冷却、除湿することができる。そして、この冷却空気を暖房サイクル時に凝縮器として機能する室内熱交換器30で加熱することによって再熱し、除湿空気として室内に送り出すことができる(図3に示される実施形態を参照)。
【0089】
同様に、ヒートポンプ冷媒回路6を四方切換弁11により冷房サイクルに切換えて運転し、このとき、凝縮器として機能する冷媒/熱媒体熱交換器40で熱媒体を加熱し、この熱媒体を、熱媒体循環路61を介して空気/熱媒体熱交換器60に循環させ、空気/熱媒体熱交換器60で室内ユニット2の送風経路を循環される空気と熱交換させることによって該空気を加熱することができる。そして、この空気/熱媒体熱交換器60で、冷房サイクル時に蒸発器として機能する室内熱交換器30で冷却、除湿された空気を再熱することにより、除湿空気として室内に送り出すことができる(図4に示される実施形態を参照)。
【0090】
このため、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコン1に対して、冷媒/熱媒体熱交換器40、空気/熱媒体熱交換器60および熱媒体循環路61等を追加設置するだけの軽微な改造により、暖房領域または冷房領域のいずれでも除湿可能な除湿機能を付加することができ、除湿機を用いることなく、1台の空気熱源ヒートポンプエアコン1で冷房、暖房および除湿を行うことができる。特に、除湿機能の付加は、居住空間での快適性の向上に留まらず、施設園芸の分野では、湿度を適正化し、作物の品質向上と収穫量の増加を図ることができるため、有効に活用することができる。
【0091】
なお、除湿運転時には、室外送風機13の運転を止め、室外空気熱交換器12の熱交換機能を停止させて行うのが望ましく、これによって、冷媒/熱媒体熱交換器40で全ての冷媒を凝縮または蒸発させ、その能力を全て空気の再熱又は除湿に用いることができるため、除湿専用機と同等の高能力を得ることができる。
【0092】
また、除湿運転時、除湿能力を調整する必要が生じた場合、つまり室内の湿度が設定湿度に近づいた場合には、熱媒体ポンプ62の回転数を調整するか、もしくは流量制御弁63を絞って熱媒体循環路61を絞り調整することによって、冷媒/熱媒体熱交換器40で冷媒と熱交換された熱媒体の循環量を調整し、この熱媒体が循環される空気/熱媒体熱交換器60での室内空気の冷却量または再熱量を調整することができる。従って、熱媒体循環路61に設けられている熱媒体ポンプ62の回転数または流量制御弁63による熱媒体循環路61の調整等により除湿能力を簡易に調整し、高精度で効率のよい除湿運転を行うことができる。
【0093】
さらに、除湿運転が不要となり、通常の冷暖房運転を行う場合、熱媒体ポンプ62を停止すればよいが、熱媒体の循環を止めると、冷媒/熱媒体熱交換器40を循環している冷媒の温度によっては、熱媒体が冷媒により加熱または冷却されて沸騰または凍結する虞があるので、冷媒/熱媒体熱交換器40に流入する冷媒の温度を温度センサ44,45で検出し、その検出温度が設定温度に達したとき、熱媒体ポンプ62を一定時間連続的または間欠的に駆動して熱媒体を循環するようにしている。このため、冷媒/熱媒体熱交換器40内での熱媒体の凍結または沸騰を防止することができ、従って、熱媒体が凍結または沸騰することによる冷媒/熱媒体熱交換器40の損傷等を未然に防止することができる。
なお、熱媒体を不凍液としたり、熱媒体を加圧充填したりすることによっても、熱媒体の凍結または沸騰を防止することができる。
【0094】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第2実施形態に対して、室内ユニット(室内機)2の送風経路中において室内熱交換器30の上流側と下流側の双方に、冷媒/熱媒体熱交換器40との間で熱媒体が循環可能な空気/熱媒体熱交換器60A,60Bが設置されている点が異なる。その他の点については、第1,第2実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、図5に示されるように、室内ユニット(室内機)2内における室内送風機31の送風経路中において、室内熱交換器30の上流側と下流側とにそれぞれ空気/熱媒体熱交換器60A,60Bを配設し、該空気/熱媒体熱交換器60A,60Bと、室外ユニット(室外機)3の冷媒配管20A中に設けられている冷媒/熱媒体熱交換器40の熱媒体側とを閉サイクルの熱媒体循環路61を介して接続した構成としている。
【0095】
空気/熱媒体熱交換器60A,60Bが接続される熱媒体循環路61には、運転モードにより選択的に開閉制御される電磁弁64ないし67が設けられており、電磁弁64,65を開、電磁弁66,67を閉とすることにより、空気/熱媒体熱交換器60Aに熱媒体が循環可能とされ、また、電磁弁64,65を閉、電磁弁66,67を開とすることにより、空気/熱媒体熱交換器60Bに熱媒体が循環可能とされている。
【0096】
このように、空気/熱媒体熱交換器60A,60Bを、室内ユニット2の送風経路中において室内熱交換器30の上流側と下流側とにそれぞれ配設し、運転モードに応じていずれか一方の空気/熱媒体熱交換器60A,60Bに冷媒/熱媒体熱交換器40からの熱媒体を選択的に循環可能な構成とすることにより、暖房サイクルによる運転時には、室内熱交換器30の上流側に配設されている空気/熱媒体熱交換器60Aに冷媒/熱媒体熱交換器40からの熱媒体を循環させ、また、冷房サイクルによる運転時には、室内熱交換器30の下流側に配設されている空気/熱媒体熱交換器60Bに冷媒/熱媒体熱交換器40からの熱媒体を循環させることができる。
【0097】
これによって、暖房サイクル時は、空気/熱媒体熱交換器60Aで冷却、除湿した室内空気を室内熱交換器30で再熱して除湿することができ、一方、冷房サイクル時は、室内熱交換器30で冷却、除湿した室内空気を空気/熱媒体熱交換器60Bで再熱して除湿することができる。このため、暖房サイクル時または冷房サイクル時のいずれの場合においても高能力下で除湿運転を行うことができる。
なお、本実施形態において、空気/熱媒体熱交換器60A,60Bに対する熱媒体の循環切換えには、電磁弁64ないし67に代え、三方弁等、他の切換弁を用いてもよい。
【0098】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、図6を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、冷媒/熱媒体熱交換器40の熱媒体流通路41に、電磁弁等の回路切換手段を介して熱媒体循環路61および空気/熱媒体熱交換器60A,60Bが接続されている点が異なる。その他の点については、第1ないし第3実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、冷媒/熱媒体熱交換器40に対して、外部から熱媒体を流通可能としている熱媒体流通路41、熱媒体ポンプ42、流量制御弁43をそのまま利用し、この熱媒体流通路41に電磁弁68ないし71等からなる回路切換手段72を介して熱媒体循環路61が接続された構成とされている。
【0099】
そして、この熱媒体循環路61に対して、室内ユニット(室内機)2内の送風経路中において室内熱交換器30の上流側と下流側とにそれぞれ配設されている空気/熱媒体熱交換器60A,60Bが、運転モードによって選択的に開閉制御される電磁弁64ないし67を介して接続された構成とされ、運転モードが暖房サイクルまたは冷房サイクルのいずれかによって、空気/熱媒体熱交換器60A,60Bのいずれか一方に熱媒体が選択的に循環可能とされている。
【0100】
上記のように、冷媒/熱媒体熱交換器40に対して、外部から熱媒体を流通可能としている熱媒体流通路41、熱媒体ポンプ42、流量制御弁43を利用し、この熱媒体流通路41に冷媒/熱媒体熱交換器40と空気/熱媒体熱交換器60A,60Bとの間で熱媒体が循環可能な熱媒体循環路61を電磁弁68ないし71等の回路切換手段72を介して接続した構成とすることにより、通常の冷暖房運転時には、電磁弁68,69を開、電磁弁70,71を閉とし、冷媒/熱媒体熱交換器40に熱媒体流通路41を介して外部から熱媒体を流通させ、この熱媒体と冷媒とを熱交換させながら上述の如く冷房運転または暖房運転することができる。
【0101】
また、除湿運転が必要な場合、回路切換手段72により電磁弁68,69を閉、電磁弁70,71を開として、熱媒体流通路41を熱媒体循環路61側に接続することにより閉サイクルの熱媒体循環路61を形成し、冷媒/熱媒体熱交換器40で冷却または加熱された熱媒体を、空気/熱媒体熱交換器60A,60Bのいずれか一方に循環させて除湿運転を行うようにしている。つまり、暖房サイクル時には、冷媒/熱媒体熱交換器40で冷却された熱媒体を空気/熱媒体熱交換器60Aに循環して室内空気の冷却、除湿に用い、この空気を室内熱交換器30で再熱することにより除湿して室内に送り出し、冷房サイクル時には、冷媒/熱媒体熱交換器40で加熱された熱媒体を空気/熱媒体熱交換器60Bに循環し、室内熱交換器30で冷却、除湿された室内空気を再熱することにより除湿として室内に送り出すようにしている。
【0102】
これによって、前述のとおり、冷房時には、冷媒の凝縮温度を下げて消費電力を低下させるとともに、冷房能力を増加させることができ、暖房時には、冷媒の蒸発温度を上げて暖房能力を増加させるとともに、室外空気熱交換器12に対する着霜を抑制することができる。同時に、冷媒/熱媒体熱交換器40で冷却または加熱された熱媒体を空気/熱媒体熱交換器60A,60Bの一方に循環させ、室内熱交換器30または空気/熱媒体熱交換器60A,60Bの一方で冷却、除湿した室内空気を他方で再熱することによって除湿することができる。
【0103】
このため、空気熱源ヒートポンプエアコン1の冷暖房性能および能力を向上させることができるとともに、該エアコン1に高能力の除湿機能を簡単に付加することができる。
なお、本実施形態では、室内熱交換器30の上流側と下流側の双方に、空気/熱媒体熱交換器60A,60Bを配設しているが、図3、図4に示されるように、一方のみに配設した構成としてもよいことはもちろんである。また、回路切換手段72として4個の電磁弁68ないし71を使用しているが、他の切換え弁としてもよい。
【0104】
[その他の実施形態]
以下に、本発明のその他の実施形態について説明する。
(1)上記した第3および第4実施形態では、室内熱交換器30の上流側と下流側の双方に、空気/熱媒体熱交換器60A,60Bを配設しているが、図3、図4に示されるように、空気/熱媒体熱交換器60を室内熱交換器30の上流側または下流側の一方のみに配設した構成とし、四方切換弁11により運転モードが冷房サイクルまたは暖房サイクルに切換えられたとき、室内送風機31の運転方法または通風路の切換えにより室内空気の循環方向を逆転可能な構成としてもよい。
【0105】
このように、四方切換弁11により運転モードが切換えられたとき、室内送風機31の運転方法または通風路の切換えにより室内空気の循環方向が逆転される構成とすることによって、四方切換弁11により運転モードが暖房サイクルから冷房サイクルまたは冷房サイクルから暖房サイクルに切換えられたとき、それに合わせて室内空気の循環方向を逆転すれば、送風経路中において室内熱交換器30と空気/熱媒体熱交換器60の配置順が固定されていても、室内熱交換器30または空気/熱媒体熱交換器60のいずれか一方で室内空気を冷却、除湿した後、他方で再熱して除湿することにより室内に送り出すことができる。従って、この場合は、室内ユニット2の送風経路中に設ける空気/熱媒体熱交換器60が1台であっても、暖房サイクル時または冷房サイクル時に対応していずれの場合も高能力下で除湿運転を行うことができる。
【0106】
(2)上記第1ないし第4実施形態では、空気/熱媒体熱交換器60,60A,60Bが室内ユニット(室内機)2内に設けられた構成とされているが、空気/熱媒体熱交換器60を室内ユニット2に対して別置きの熱交換ユニット73として構成してもよい。この場合、別置きにした熱交換ユニット73と、室内ユニット(室内機)2とをそれぞれの送風経路が互いに結合されるように構成してもよいが、送風経路を構成するダクト等が複雑化してしまうことが考えられるので、図7(A),(B)に示されるように、双方のユニット2,73を完全に切離し、室内ユニット(室内機)2から少し離れた場所に設置して組み合わせ使用される構成の熱交換ユニット73としてもよい。
【0107】
つまり、室内熱交換器30および室内送風機31を備えた室内ユニット(室内機)2に対して、別置きの熱交換ユニット73を空気/熱媒体熱交換器60および室内送風機74を備えたユニット構成とし、この熱交換ユニット73を、室内ユニット(室内機)2の吸込みまたは吹出し空気の影響を受けない位置(室内ユニット2から少し離れた位置)に設置して組み合わせ使用される構成としている。これによって、冷房サイクル時には、図7(A)に示されるように、室内ユニット2で冷却、除湿され、吹出された空気を熱交換ユニット73により吸込み、空気/熱媒体熱交換器60で再熱して吹出すことにより除湿運転することができ、暖房サイクル時には、図7(B)に示されるように、熱交換ユニット73で空気/熱媒体熱交換器60により冷却、除湿され、吹出された空気を室内ユニット2で室内熱交換器30により再熱し、吹出すことによって除湿運転することができる。
【0108】
このように、標準的な空気熱源ヒートポンプエアコン1の室内ユニット(室内機)2に対して、空気/熱媒体熱交換器60および室内送風機74を備えた熱交換ユニット73を別置きにして組み合わせ使用される構成とすることによっても、室内熱交換器30および空気/熱媒体熱交換器60の一方で冷却、除湿された室内空気を、他方に送風し、そこで再熱することにより除湿することができる。従って、この場合、室内ユニット2を特に改造することなく、空気/熱媒体熱交換器60等を備えた別置きの熱交換ユニット73を追加することによって、冷暖房用の空気熱源ヒートポンプエアコン1に対して高能力の除湿機能を簡単に付加することができる。
【0109】
(3)上記第2実施形態では、除湿運転時、熱媒体ポンプ62の回転数または流量制御弁63で熱媒体循環路61を調整することにより除湿能力を調整しているが、室外送風機13の回転数または室外空気熱交換器12の通風路を調整することによって、除湿能力を調整するようにしてもよい。
【0110】
このように、室外送風機13の回転数または室外空気熱交換器12の通風路を調整することにより、除湿能力を調整可能な構成とすることによって、冷媒/熱媒体熱交換器40および空気/熱媒体熱交換器60,60A,60Bを作動している除湿運転時に、除湿能力を調整する必要が生じた場合、室外送風機13の回転数の調整または室外空気熱交換器12の通風路の絞り調整等によって、冷媒/熱媒体熱交換器40での冷媒と熱媒体との熱交換量を調整し、この熱媒体が循環される空気/熱媒体熱交換器60,60A,60Bでの室内空気の冷却量または再熱量を調整することができる。従って、室外送風機13の回転数または室外空気熱交換器12の通風路の調整等により除湿能力を簡易に調整し、高精度で効率のよい除湿運転を行うことができる。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、冷媒/熱媒体熱交換器40を室外機3内に設けているが、この冷媒/熱媒体熱交換器40は、室外機3の外部に設置してもよい。また、上記実施形態では、熱媒体の沸騰や凍結による不具合の発生を防止するため、冷媒側の温度を検出して沸騰や凍結の可能性がある場合、強制的に熱媒体を流通させるようにしているが、熱媒体を流通させる必要がない場合は、冷媒/熱媒体熱交換器40から熱媒体を抜くようにしてもよい。
【0112】
さらに、外気温が比較的高い場合の暖房運転時には、冷媒/熱媒体熱交換器40を併用しても、能力向上が殆ど期待できない場合もあるので、このような場合は、熱媒体の流通を止め、室外空気熱交換器12のみを機能させ、空気熱源だけで暖房運転すればよい。
なお、図2の試験結果は一例にすぎず、水温、外気温等の条件によって、消費電力の低減効果、COP、冷房および暖房能力の向上効果等が変わることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0113】
1 空気熱源ヒートポンプエアコン
2 室内ユニット(室内機)
3 室外ユニット(室外機)
4 冷媒液配管(冷媒配管)
5 冷媒ガス配管(冷媒配管)
6 ヒートポンプ冷媒回路
10 冷媒圧縮機
11 四方切換弁
12 室外空気熱交換器
13 室外送風機
20,20A 冷媒配管
30 室内熱交換器
31 室内送風機
40 冷媒/熱媒体熱交換器
41 熱媒体流通路
42 熱媒体ポンプ
43 流量制御弁
44,45,46,47,48,50,51,52 温度センサ
60,60A,60B 空気/熱媒体熱交換器
61 熱媒体循環路
62 熱媒体ポンプ
63 流量制御弁
64,65,66,67,68,69,70,71 電磁弁
72 回路切換手段
73 熱交換ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒圧縮機、四方切換弁、室外空気熱交換器および室外送風機等を有する室外機と、室内熱交換器および室内送風機等を有する室内機とが冷媒配管を介して接続され、前記冷媒圧縮機、四方切換弁、室外空気熱交換器および室内熱交換器等によりヒートポンプ冷媒回路が構成されている空気熱源ヒートポンプエアコンにおいて、
前記室外機側の前記四方切換弁と前記室外空気熱交換器とを接続する冷媒配管に、該冷媒配管側を流れる冷媒と、水、ブライン等の熱媒体とを熱交換させ、冷房運転時、前記熱媒体により冷媒を冷却して凝縮させるとともに、暖房運転時、前記熱媒体から吸熱して冷媒を蒸発させる冷媒/熱媒体熱交換器が設けられていることを特徴とする空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項2】
前記冷媒/熱媒体熱交換器には、冷房運転時、凝縮器として前記室外空気熱交換器のみを利用した場合の凝縮温度よりも低い温度の前記熱媒体が流通可能とされ、暖房運転時、蒸発器として前記室外空気熱交換器のみを利用した場合の蒸発温度よりも高い温度の前記熱媒体が流通可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項3】
前記冷媒/熱媒体熱交換器には、熱媒体流通路が接続され、前記熱媒体が供給または停止可能とされるとともに、前記熱媒体の流通量が調整可能とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されている空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、
冷房運転時には、外気温が一定値以上になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させ、一定値以下になると、前記熱媒体の流通を停止または流通量を低下し、
暖房運転時には、外気温が一定値以下になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させ、一定値以上になると、前記熱媒体の流通量を低下または流通を停止することを特徴とする空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載されている空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法において、
前記冷房運転時、前記熱媒体の温度が高いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を増加し、前記熱媒体の温度が低いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を減少させ、前記暖房運転時、前記熱媒体の温度が低いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を増加し、前記熱媒体の温度が高いときは、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流通する前記熱媒体の流量を減少させることを特徴とする空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法。
【請求項6】
前記冷房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器への熱媒体の流通が停止されているとき、該冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が一定値以上になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体が強制的に流通されることを特徴とする請求項4または5に記載の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法。
【請求項7】
前記暖房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器への熱媒体の流通が停止されているとき、該冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度が一定値以下になると、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体が強制的に流通されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法。
【請求項8】
前記冷房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させたときの凝縮温度が外気温よりも低い場合は、前記室外送風機を停止し、前記暖房運転時、前記冷媒/熱媒体熱交換器に前記熱媒体を流通させたときの蒸発温度が外気温よりも高い場合は、前記室外送風機を停止することを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法。
【請求項9】
前記暖房運転時、外気温と前記室外空気熱交換器での蒸発温度とが略同等となるように前記熱媒体の流量を制御することを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコンの運転方法。
【請求項10】
前記室内機の送風経路に、前記冷媒/熱媒体熱交換器との間で熱媒体循環路を介して前記熱媒体が循環可能とされた空気/熱媒体熱交換器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項11】
前記空気/熱媒体熱交換器は、前記送風経路中において前記室内熱交換器の上流側に配設されていることを特徴とする請求項10に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項12】
前記空気/熱媒体熱交換器は、前記送風経路中において前記室内熱交換器の下流側に配設されていることを特徴とする請求項10に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項13】
前記空気/熱媒体熱交換器は、前記送風経路中において前記室内熱交換器の上流側と下流側とにそれぞれ配設されており、運転モードに応じていずれか一方の前記空気/熱媒体熱交換器に熱媒体が選択的に循環可能とされていることを特徴とする請求項10に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項14】
前記四方切換弁により運転モードが切換えられたとき、前記室内送風機の運転方法または通風路の切換えにより室内空気の循環方向が逆転可能とされていることを特徴とする請求項11または12に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項15】
前記空気/熱媒体熱交換器は、前記室内機に対して別置きの熱交換ユニットとされ、該熱交換ユニットおよび前記室内機の一方が冷却、除湿用、他方が再熱用に組み合わせ使用されるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項16】
前記室外送風機の回転数または前記室外空気熱交換器の通風路の調整により、除湿能力が調整可能とされていることを特徴とする請求項10ないし15のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項17】
前記熱媒体循環路に設けられている熱媒体ポンプの回転数または前記熱媒体循環路の調整により、除湿能力が調整可能とされていることを特徴とする請求項10ないし16のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項18】
通常の冷暖房時、前記冷媒/熱媒体熱交換器に流入する冷媒の温度を検出し、その検出温度が設定温度に達したとき、前記熱媒体が循環可能とされていることを特徴とする請求項10ないし17のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。
【請求項19】
前記冷媒/熱媒体熱交換器には、外部から熱媒体が流通可能な熱媒体流通路が接続されており、該熱媒体流通路に、前記冷媒/熱媒体熱交換器と前記空気/熱媒体熱交換器との間で熱媒体が循環可能な前記熱媒体循環路が回路切換手段を介して接続されていることを特徴とする請求項10ないし18のいずれかに記載の空気熱源ヒートポンプエアコン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−237162(P2011−237162A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25364(P2011−25364)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(391007242)三菱重工空調システム株式会社 (5)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【出願人】(000111292)ネポン株式会社 (24)
【Fターム(参考)】