空気調和システム
【課題】冷房運転時に必要換気量を確保した上で高効率運転を行うことが可能な空気調和システムを提供する。
【解決手段】空気調和装置とは独立して換気装置の風量制御を行って必要換気量を確保し、その上で、目標室内温度及び目標室内湿度を実現できる最大蒸発温度以下の範囲で、目標蒸発温度を、室内温度と目標室内温度との温度差ΔTが小さくなるに連れ、上昇させる制御を行う。
【解決手段】空気調和装置とは独立して換気装置の風量制御を行って必要換気量を確保し、その上で、目標室内温度及び目標室内湿度を実現できる最大蒸発温度以下の範囲で、目標蒸発温度を、室内温度と目標室内温度との温度差ΔTが小さくなるに連れ、上昇させる制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置を備えた空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルを備えた空気調和装置と換気装置とを備えた空気調和システムがある。冷凍サイクルは、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧装置及び室内熱交換器が順次配管で接続されて冷媒が循環するように構成されている。冷房運転時は、圧縮機で圧縮された高温高圧のガス冷媒を室外熱交換器に送り込み、室外熱交換器で空気と熱交換することにより冷媒を液化する。液化した冷媒は、減圧装置で減圧されて気液二相状態となり、室内熱交換器にて周囲空気から熱を吸収することでガス化する。一方で、室内熱交換器では、空気は、冷媒により熱を奪われる。これにより室内空間が冷房される。室内熱交換器にてガス化した冷媒は圧縮機に戻る。
【0003】
また、換気装置は、室内の空気を室外の新鮮空気と入れ換える運転を行っている。
【0004】
空気調和システムにおける空調負荷としては、換気装置から導入される外気からの熱負荷(=外気全熱負荷)、室内で発生する熱負荷(=室内全熱負荷)、建物壁面から進入する熱負荷(=貫流負荷)が支配的である。室内の快適性を確保するには、室内温湿度を目標温湿度にする必要があるが、そのためには外気全熱負荷、室内全熱負荷及び貫流負荷を処理する必要がある。すなわち、顕熱負荷だけでなく、外気全熱負荷及び室内全熱負荷の一部である潜熱負荷も処理する必要がある。冷房運転時は特に除湿も重視されていることから、潜熱負荷を処理して除湿量を確保する必要があり、そのために蒸発温度を低めにして運転を行っている。この場合、圧縮機入力が増大して運転効率が低下してしまうという課題があった。
【0005】
そこで、従来より、外気温湿度に応じて換気量を変更し、除湿量を確保しつつ高効率運転を可能とした技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−272086号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、冷房運転時に換気を行いつつ室内の快適性を確保するにあたり、換気により空調負荷が増加する場合は換気を行わないようにしている。つまり、高効率運転を行うために必要換気量を無視した運転を行っている。このため、換気量が不十分となり、室内のCO2濃度が上昇してしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、冷房運転時に必要換気量を確保した上で、快適性向上と高効率化を行うことが可能な空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気調和システムは、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器が順次配管で接続されて冷房運転が可能な冷凍サイクルと、室内環境に応じた必要換気量を確保するように風量制御され、室内空気と室外空気を入れ換えて換気を行う換気装置と、室内の温度を検出する室内温度検出装置と、室内の湿度を検出する室内湿度検出装置と、外気の温度を検出する外気温度検出装置と、外気の湿度を検出する外気湿度検出装置と、目標の室内温湿度を設定する温湿度設定装置と、室内全熱負荷及び室内顕熱負荷を設定する室内負荷設定装置と、室内温度検出装置により検出された室内温度と前記温湿度設定装置に設定された目標室内温度との温度差が小さくなるに連れ、所定の蒸発温度範囲内で目標蒸発温度を上昇させる制御を行う制御装置とを備え、制御装置は、室内温度検出装置、室内湿度検出装置、外気温度検出装置及び外気湿度検出装置のそれぞれの検出値と、換気装置の換気風量とから、外気全熱負荷及び外気顕熱負荷を求め、 室内温度検出装置の検出値と、外気温度検出装置の検出値と、建物の壁の表面積と、壁の熱貫流率とから貫流負荷を求め、外気全熱負荷と、外気顕熱負荷と、貫流負荷と、室内負荷設定装置により設定された室内全熱負荷及び室内顕熱負荷とから空調全熱負荷における空調顕熱負荷の比である顕熱比を算出し、算出した顕熱比と、温湿度設定装置により設定された目標室内温湿度とに基づいて所定の蒸発温度範囲の最大値を決定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷凍サイクルとは独立して換気装置の風量制御を行って常に必要換気量を確保しているため、室内空気質を良好に保つことができる。また、室内温湿度を目標室内温湿度にすることのできる最大蒸発温度以下の範囲で、目標蒸発温度を、室内温度と目標室内温度との温度差に応じて変化させる制御を行うようにしたので、快適性向上と高効率化の両立を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態における空気調和システムの概略図である。
【図2】図1の換気装置の概略構成を示す図である。
【図3】図1の空気調和装置に設置された各種検出装置を示す図である。
【図4】図1の空気調和装置の冷媒回路の概略図である。
【図5】温度差ΔTに応じた目標蒸発温度Teの決定方法の説明図である。
【図6】図4の冷凍サイクルのp−h線図である。
【図7】湿り空気線図である。
【図8】最大蒸発温度Te_maxの設定方法を説明するための空気線図である。
【図9】本発明の一実施の形態の空気調和システムにおける制御フローを示す図である。
【図10】図9とは別の変形処理1の制御フローを示す図である。
【図11】図9とは別の変形処理2の制御フローを示す図である。
【図12】最大蒸発温度Te_maxの違いによる目標蒸発温度Teの違いの説明図である。
【図13】図1の換気装置の他の構成例1を示す図である。
【図14】図1の換気装置の他の構成例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態における空気調和システムの概略図で、空気調和システムが設置された部屋の上面図を示している。図1及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
空気調和システム100は、空気調和装置1と換気装置11とを備えている。空気調和装置1は、複数(ここでは3台)の室内機9と室外機10とを備えている。室外機10は室外に設置され、室内機9は室内101に設置されており、室外機10及び各室内機9のそれぞれは、伝送線12により集中コントローラ102に接続されている。また、空気調和システム100は、使用者が室内温度及び室内湿度を設定するための温湿度設定装置としての入力部33を備えており、入力部33で設定された目標温湿度に近づくように運転が行われる。
【0013】
図2は、図1の換気装置の概略構成を示す図である。
換気装置11は、図2に示すように送風機20をここでは2個備えており、室内101の環境(空気質、例えばCO2濃度)を良好に保つ(例えば、CO2濃度を1000ppm以下に保つ)ための必要換気量(風量Va)で換気が行われるように、集中コントローラ102により送風機20の回転数が制御される。換気装置11は、外気温度検出装置21、外気湿度検出装置22、室内温度検出装置23及び室内湿度検出装置24を備え、室内外温湿度を検出可能となっている。これらの検出装置21〜24の検出値は、伝送線12を介して集中コントローラ102に出力される。
【0014】
図3は、図1の空気調和装置に設置された各種検出装置を示す図である。
図1においては図示省略していたが、空気調和装置1には図3に示すように各種検出装置が設けられている。すなわち、各室内機9のそれぞれに蒸発温度検出装置31及び室内温度検出装置32を備えている。
【0015】
また、空気調和システム100は、各室内機9毎に、それぞれの空調エリア内に存在する人間の数を検出する在室人数検出装置34を備えており、全ての在室人数検出装置34の検出結果を合計することで、室内101の在室人数を把握可能となっている。在室人数検出装置34は、在室人数が分かるような手法であればどんなものでもよく、赤外線による人感センサを用いてもよいし、入力部33から在室人数を手入力して集中コントローラ102に設定する方法でもよい。
【0016】
図4は、図1の空気調和装置の冷媒回路の概略図である。
空気調和装置1は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、減圧装置としての膨張弁5及び室内熱交換器6が順次配管で接続されて冷媒が循環するように構成された冷凍サイクルを備えている。空気調和装置1は更に、室外熱交換器用送風機7及び室内熱交換器用送風機8を備えている。そして、室外機10に、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4及び室外熱交換器用送風機7が設置され、室内機9に、膨張弁5、室内熱交換器6及び室内熱交換器用送風機8が設置されている。
【0017】
このように構成された空気調和装置1は、四方弁3の切り換えにより冷房運転又は暖房運転が可能となっており、四方弁3を図1の実線側に切り換えた場合、室内熱交換器6が蒸発器、室外熱交換器4が凝縮器となり冷房運転が実施され、四方弁3を図1の点線側に切り換えた場合、室内熱交換器6が凝縮器、室外熱交換器4が蒸発器となり暖房運転が実施される。なお、空気調和装置1は少なくとも冷房運転が可能であればよく、よって、四方弁3は必ずしも必須の構成ではなく、省略可能である。
【0018】
次に、空気調和装置1の冷凍サイクルの動作について説明する。
【0019】
(冷房運転)
空気調和装置1において、冷房時は、圧縮機2で圧縮された冷媒は高温高圧のガス冷媒となり、四方弁3を通り室外熱交換器4に送り込まれる。室外熱交換器4に流入した冷媒は、室外熱交換器用送風機7で搬送される室外空気と熱交換し、放熱することにより液化する。液化した冷媒は膨張弁5で減圧されて気液二相状態となり、室内熱交換器6に流入する。室内熱交換器6に流入した冷媒は、室内熱交換器用送風機8で搬送される室内空気と熱交換し、吸熱することによりガス化し、圧縮機2へ戻される。以上のように冷媒が冷媒回路を循環することにより冷房運転を行う。
【0020】
(暖房運転)
空気調和装置1において、暖房時は、圧縮機2で圧縮された冷媒は高温高圧のガス冷媒となり、四方弁3を通り室内熱交換器6に送り込まれる。室内熱交換器6に流入した冷媒は、室内熱交換器用送風機8で搬送される室内空気と熱交換し、放熱することにより液化する。液化した冷媒は膨張弁5で減圧されて気液二相状態となり、室外熱交換器4に流入する。室外熱交換器4に流入した冷媒は、室外熱交換器用送風機7で搬送される室外空気と熱交換し、吸熱することによりガス化し、圧縮機2へ戻される。以上のように冷媒が冷媒回路を循環することにより暖房運転を行う。
【0021】
次に、空気調和システム100における具体的な制御について説明する。
空気調和システム100は、換気装置11の室内温度検出装置23で検出された室内温度Ta_i[℃]と、入力部33から使用者により設定された目標室内温度Ta_tgt[℃]との差ΔTに応じて目標蒸発温度Te[℃]を決定し、蒸発器の蒸発温度が目標蒸発温度Teになるように、冷凍サイクルの制御(圧縮機2の回転数制御、膨張弁5の開度制御、送風機の制御等)を行う。
【0022】
図5は、温度差ΔTに応じた目標蒸発温度Teの決定方法の説明図である。図5において横軸は温度差ΔT、縦軸は目標蒸発温度Teである。図6は、図4の冷凍サイクルのp−h線図である。
目標蒸発温度Teは、最大蒸発温度Te_max[℃]と、最小蒸発温度Te_min[℃]と、ΔTとから図5に示す特性を用いて式(1)により決定する。
【0023】
Te={(Te_max−Te_min)/T0×ΔT}+Te_max …(1)
【0024】
ここで、T0は、予め決定された温度差であり、例えば1℃である。最小蒸発温度Te_minは、例えば、十分に冷房能力が確保できる温度で例えば0℃等である。また、最大蒸発温度Te_maxは、室内湿度が目標室内湿度RH_tgt[%]を達成できる蒸発温度である。最大蒸発温度Te_maxの設定方法については後述する。
【0025】
図5より明らかなように、温度差ΔTが小さくなるに連れ、目標蒸発温度Teを上げる制御を行う。このように負荷の減少に伴い目標蒸発温度Teを上げることで、図6に示すように圧縮機2入口の冷媒状態が点aから点bに変化する。これにより、図6に示すp−h線図を見ても分かるように、圧縮機2入力が減少し、高効率運転とすることができる。通常の空気調和装置の運転は、温度差ΔTが小さいところでの運転時間が長いので、この高効率運転が省エネ効果向上に大きく影響する。
【0026】
図7は、湿り空気線図であり、蒸発温度と、顕熱比SHFと、除湿量との関係の説明図である。図7において縦軸は絶対湿度[kg/kg’]、横軸は乾球温度[℃]である。なお、空気状態は、温度と湿度とから湿り線図上で1点で表され、室内101の空気状態が点A(以下、空気温湿度Aという)であるものとする。以下、図7を参照して、蒸発温度と、顕熱比SHFと、除湿量との関係について説明する。
【0027】
ここでまず、顕熱比SHFについて説明する。顕熱比SHFとは、顕熱比=顕熱/(顕熱+潜熱)で表される。よって、顕熱比SHFが1の運転とはつまり、除湿を全く行わず(つまり絶対湿度が変化しない。)、室温を下げる運転となる。したがって、図7において、顕熱比1の運転は、空気温湿度Aから真横に延びる線で表現され、その線と飽和線との交点が、顕熱比1のときの蒸発温度T3となる。逆に言えば、蒸発温度をT3とすると、除湿を全く行わずに室温を下げる顕熱比1の運転が行われることになる。この場合、蒸発器の出口側からは、空気温湿度Aと蒸発温度T3とを結ぶ顕熱比1の線上にある温湿度の空気が流出される。
【0028】
ここで、温度差ΔTが減少して目標蒸発温度TeをT1からT2に上昇させた場合について考える。この場合、上述したように目標蒸発温度Teを上昇させることによって高効率運転となる反面、顕熱比SHFが0.6から0.7に上昇することから潜熱能力(除湿量)が減少し、室内湿度が上昇する。よって、上述したように、運転効率向上のために温度差ΔTの減少に伴って目標蒸発温度Teを上昇させるにしても、目標蒸発温度Teを上昇させたことによって室内湿度が目標室内湿度RH_tgtを超えてしまうことのないようにする必要がある。
【0029】
つまり、目標蒸発温度Teの上限(最大蒸発温度Te_max)を、目標室内湿度RH_tgtを達成できる範囲内とする必要があり、目標蒸発温度Teの上限を見極める必要がある。言い換えれば、目標蒸発温度Teが最大蒸発温度Te_max以下であれば、室内湿度を目標室内湿度RH_tgt内にすることができる。そして、上述したように、空気調和システムの目標蒸発温度Teを、最大蒸発温度Te_max以下の範囲で温度差ΔTに応じて制御することで、必要な除湿量の確保と高効率運転との両立を実現できるのである。また、換気については、換気装置11が空気調和装置1とは独立して必要換気量での換気を行っているため、本実施の形態の空気調和システムでは、除湿量確保と高効率運転のみならず、換気量の確保も可能となっている。
【0030】
図8は、最大蒸発温度Te_maxの設定方法を説明するための空気線図である。以下、最大蒸発温度Te_maxの設定にあたっての考え方についてまず説明する。
本実施の形態では、必要換気量を確保した上で冷凍サイクルを高効率制御を行うことを目的としており、最大蒸発温度Te_maxの設定にあたっては、冷房負荷を考慮しつつ、目標室内温度Ta_tgt及び目標室内湿度RH_tgtを達成できるように設定する。
【0031】
空調負荷とは、上述したように換気装置11から導入される外気からの熱負荷(=外気全熱負荷)と、室内で発生する熱負荷(=室内全熱負荷)と、建物壁面から進入する熱負荷(=貫流負荷)とがある。よって、この空調負荷における顕熱比SHFを求め、その顕熱比SHFを、潜熱負荷を処理できる最大の顕熱比SHFmaxとする。そして、図8の空気線図に示すように、顕熱比SHFmaxで決まる傾きの直線を目標室内温湿度から延ばし、その直線と飽和曲線とが交わった点を最大蒸発温度Te_maxとする。
【0032】
このように最大蒸発温度Te_maxを決めることで、必要換気量を維持したまま、目標室内湿度Ta_tgt、RH_tgtを実現できる最大蒸発温度Te_maxを決定できる。そして、その最大蒸発温度Te_max以下に目標蒸発温度Teを設定して運転することで、繰り返しの説明となるが、潜熱負荷を十分処理でき、室内湿度を目標室内湿度RH_tgtに到達可能となって快適性が向上し、且つ、負荷に応じて目標蒸発温度Teを上昇させた高効率運転が可能となり、省エネ性が向上する。
【0033】
次に、最大蒸発温度Te_maxの具体的な算出方法について説明する。
最大蒸発温度Te_maxは、上述したように空調全熱負荷の顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgtと、目標室内湿度RH_tgtとから決定する。
【0034】
(SHFmaxの算出)
SHFmaxを算出するには、まず、外気全熱負荷Ql_o[kW]と、室内全熱負荷Ql_i[kW]と、貫流負荷Ql_k[kW]とを求める。
【0035】
1.外気全熱負荷Ql_o
換気により外気が侵入することによる外気全熱負荷Ql_oは式(2)で表される。
【0036】
Ql_o=Va×ρa×(Ia_o−Ia_i)/3600 …(2)
ここで、
Va[m3/h] :換気装置11の換気風量
ρa[kg/m3]:空気の密度
Ia_i[kJ/kg] :Ta_i[℃]とRH_i[%]とから算出される室内空気エンタルピー
Ia_o[kJ/kg] :Ta_o[℃]とRH_o[%]とから算出される室外空気エンタルピー
RH_i[%] :室内湿度検出装置24の検出値
RH_o[%] :外気湿度検出装置22の検出値
【0037】
2.外気顕熱負荷Ql_os
換気により外気が進入することによる外気顕熱負荷Ql_os[kW]は式(3)で表される。
Ql_os=Va×ρa×(Ta_o−Ta_i)/3600 …(3)
ここで、
Ta_o[℃] :外気温度検出装置21の検出値
Ta_i[℃] :室内温度検出装置23の検出値
【0038】
3.室内全熱負荷Ql_i、室内顕熱負荷Ql_is
室内全熱負荷Ql_iは、室内101の人体から発生する合計の全熱負荷Ql_mと、OA機器や照明機器等の発熱機器から発生する全熱負荷Ql_inpとの合計となる。室内の人体から発生する合計の全熱負荷Ql_m[kW]は式(4)で表される。例えば、ql_msは70[W/人]、ql_mlは50[W/人]である。
【0039】
Ql_m=(ql_ms+ql_ml)×N …(4)
ここで、
ql_ms[kW/人]:予め決められた一人当りの顕熱負荷
ql_ml[kW/人]:予め決められた一人当りの潜熱負荷
N(人):空気調和システム100にある在室人数検出装置34で検出された合計在室人数
【0040】
また、室内の人体から発生する合計の顕熱負荷Ql_ms[kW]は式(5)で表される。
【0041】
Ql_ms=ql_ms×N …(5)
【0042】
また、室内の発熱機器からの発熱量は、設備により決まるものであるので、発熱機器による全熱負荷Ql_inp[kW]は、予め集中コントローラ102に入力しておくことができる。
【0043】
以上より、室内全熱負荷Ql_iは、式(6)で表される。
【0044】
Ql_i=Ql_m+Ql_inp …(6)
【0045】
また、Ql_inp[kW]は顕熱のみのため、室内顕熱負荷Ql_is[kW]は、式(7)で表される。
【0046】
Ql_is=Ql_ms+Ql_inp …(7)
【0047】
4.貫流負荷Ql_K[kW]
貫流負荷Ql_Kは、壁からの侵入熱で決定されるので、壁の表面積A(m2)、壁の熱貫流率K(kW/(m2・K))、外気温度Ta_o[℃]、室内温度Ta_i[℃]を用いて式(8)で表される。なお、Ql_K[kW]は、顕熱のみである。
【0048】
Ql_K=A×K×(Ta_o-Ta_i) …(8)
【0049】
以上により、外気顕熱負荷Ql_osと、室内顕熱負荷Ql_isと、貫流負荷Ql_Kとが算出され、これらの値により、空調全熱負荷の顕熱比SHFが式(9)により算出される。
【0050】
SHF=(Ql_os+Ql_is+Ql_K)/(Ql_o+Ql_i+Ql_K)
…(9)
【0051】
このようにして算出された顕熱比SHFを、顕熱比SHFmaxとして決定する。そして、上述したように、SHFmaxで決まる傾きの直線を目標室内温湿度から延ばし、その直線と飽和曲線とが交わった点を最大蒸発温度Te_maxとする。
【0052】
図9は、本発明の一実施の形態の空気調和システムにおける制御フローを示す図である。
まず、目標室内温度Ta_tgtと目標室内湿度RH_tgtとを設定して冷房運転を開始する(S1)。そして、外気温度Ta_o、外気湿度RH_o、室内温度Ta_i及び室内湿度RH_iを検出し、更に在室人数Nを検出する(S2)。続いて、空調負荷(外気全熱負荷、外気顕熱負荷、室内全熱負荷、室内顕熱負荷、貫流負荷)を計算し、上記(9)式より顕熱比SHFmaxを計算する(S3)。そして、顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgt[℃]と、目標室内湿度RH_tgt[%]とから上述のようにして最大蒸発温度Te_maxを計算する(S4)。
【0053】
そして、室内温度Ta_i[℃]と目標室内温度Ta_tgt[℃]との温度差ΔTから上記の式(1)により目標蒸発温度Teを計算し(S5)、蒸発器における蒸発温度が目標蒸発温度Teとなるように冷凍サイクルの制御(圧縮機2の回転数制御、膨張弁5の開度制御、送風機7,8の制御等)を行う(S6)。そして、外気温湿度や在室人数が変化したり、目標温湿度が変更されていないかを判定し(S7)、少なくとも一つが変化又は変更されていた場合、変化又は変更後の空調負荷に応じた運転制御となるように、S3に戻って再び負荷、SHFmaxの計算からやり直し、最大蒸発温度Te_maxを更新する(S4)。
【0054】
ステップS7において外気温湿度、在室人数及び目標温湿度変更の何れも変化又は変更されていなければ、運転終了かどうか判断し(S8)、運転終了でない場合はS5に戻って、再び温度差ΔTを算出し、温度差ΔTから上記の式(1)により目標蒸発温度Teを計算する(S5)。このとき、冷凍サイクルの運転によって温度差ΔTが減少していれば、上述したように目標蒸発温度Teを、図5に従って現状より高い温度に設定する。なお、ステップS8において運転終了と判断されれば、運転を終了する(S9)。
【0055】
以上説明したように本実施の形態によれば、空気調和装置1とは独立して換気装置11の風量制御を行って常に必要換気量を確保しているため、室内空気質を良好に保つことができる。そして、必要換気量を確保した上で、目標室内温度Ta_tgt及び目標室内湿度RH_tgtを実現できる最大蒸発温度Te_max以下の範囲で、目標蒸発温度Teを、室内温度Ta_iと目標室内温度Ta_tgtとの温度差ΔTに応じて変化させる制御を行うようにしたので、高効率に室内温湿度を目標値に近づけることが可能となり、快適性向上と高効率化の両立を実現できる。
【0056】
また、外気温湿度や在室人数の変化、目標温湿度の変更を検出し、その変化・変更に応じて顕熱比SHFmaxを計算し直して最大蒸発温度Te_maxを更新するようにしたので、常に、快適性及び省エネ性を維持した運転が可能となる。また、運転中、外気温湿度や在室人数の変化、目標温湿度の変更を繰り返しチェックするようにしたので、これらの変化・変更に素早く対応できる。
【0057】
また、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iの算出に、在室人数検出装置34で検出した在室人数を用いているため、現状に即した精度の高い算出が可能である。よって、結果的に快適性向上と高効率化に寄与できる。
【0058】
(変形処理1)
上記では、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iを、在室人数検出装置34で検出した在室人数を用いて求めているが、予め一定値として与えておいてもよい。この場合は、在室人数検出装置34は不要となり、顕熱比SHFを算出する上記(9)式において、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iとが一定値となる。この場合の制御フローは図10のようになる。
【0059】
図10は、ステップS2aとステップS7aの処理が図9と異なり、それ以外の処理は図9と同様である。すなわち、図10のステップS2aでは、在室人数の検出が省略され、また、ステップS7aでは、在室人数の変化の検出が省略される。よって、請求項1の室内負荷設定装置は、在室人数検出装置34の検出結果を用いて室内全熱負荷Ql_is及び室内顕熱負荷Ql_iを設定するものでもよいし、予め一定値として設定するものであってもよい。
【0060】
このような処理とした場合も、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
(変形処理2)
目標室内温湿度に確実に到達するように、顕熱比SHFmaxを補正係数αを用いて補正し、図11に示すような制御フローとしてもよい。
【0062】
まず、目標室内温度Ta_tgtと目標室内湿度RH_tgtとを設定して運転を開始し(S11)、補正係数αを初期値である1とする(S12)。そして、上記と同様に外気温度Ta_o、外気湿度RH_o、室内温度Ta_i及び室内湿度RH_iを検出し、更に在室人数Nを検出する(S13)。続いて、空調負荷(外気全熱負荷、外気顕熱負荷、室内全熱負荷、室内顕熱負荷、貫流負荷)を計算し、上記(9)式より顕熱比SHFを計算し、この顕熱比SHFに補正係数αを乗算した値を顕熱比SHFmaxとする(S14)。そして、顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgt[℃]と、目標室内湿度RH_tgt[%]とから最大蒸発温度Te_maxを計算する(S15)。
【0063】
そして、室内温度Ta_i[℃]と目標室内温度Ta_tgt[℃]との温度差ΔTから上記(1)式により目標蒸発温度Teを計算し(S16)、蒸発器における蒸発温度が目標蒸発温度Teとなるように冷凍サイクルの制御(圧縮機2の回転数制御、膨張弁5の開度制御、送風機の制御等)を行う(S17)。そして、外気温湿度や在室人数が変化したり、目標温湿度が変更されていないかを判定し(S18)、少なくとも一つが変化又は変更されていた場合、変化又は変更後の空調負荷に応じた運転制御となるよう、S14に戻って再び負荷、SHFmaxの計算からやり直し、最大蒸発温度Te_maxを更新する(S15)。
【0064】
外気温湿度、在室人数及び目標温湿度変更の何れも変化又は変更されていなければ、温度差ΔTが予め決められた値Tsetより小さいかを判定する。温度差ΔTがTset以上の場合はまだ室温が安定していないため、ステップS16に戻り、温度差ΔTに応じて目標蒸発温度Teを変更する運転を継続する。一方、温度差ΔTがTsetよりも小さい場合は室温安定域にあると判断し、次のステップS20に進む。なお、Tsetの値は例えば0.5である。
【0065】
ステップS20では、目標室内湿度RH_tgtと室内湿度RH_iとの湿度差の絶対値が予め決められた値RHset(例えば「5」)よりも小さいか判定する。RHsetよりも小さい場合は、湿度が目標室内湿度RH_tgtに到達していると判断して、ステップS16に戻り、RHset以上の場合は、室温は目標に到達しているが、湿度が目標に到達していないため、続いて補正係数αを決定する処理に入る。
【0066】
すなわち、室内湿度RH_iと目標室内湿度RH_tgtとを比較し(S21)、室内湿度RH_iが目標室内湿度RH_tgtよりも小さい場合、室内湿度RH_iが下がり過ぎている。つまり、ステップS14で計算した顕熱比SHFmaxは、実際の顕熱比よりも小さいということになる。具体的に例えば図7の例で説明すると、実際の顕熱比が0.7であるにも関わらず、例えば0.6に設定されていた場合、顕熱比0.6のときの蒸発温度T1を最大蒸発温度Te_maxとして運転されていたことになる。すなわち、図12に示すように、顕熱比0.6のときの目標蒸発温度Teは、顕熱比が0.7の場合よりも総じて低い蒸発温度で運転されることになり、除湿量が多い状態で運転されることになる。よって、室内湿度RH_iが下がり過ぎているといった状態になる。
【0067】
このような場合には、実際の顕熱比に近づけるべく、ある決められた値α1をαにプラスしてαを補正する(S22)。逆に、室内湿度RH_iが目標室内湿度RH_tgt以上の場合は、湿度が十分に下がっておらず、ステップS14で計算した顕熱比は、実際の顕熱比よりも大きいということになるため、顕熱比SHFmaxを小さくするためにαの値をある決められた値α1をマイナスして補正する(S23)。その後、ステップS24で運転終了かどうか判断し、運転終了でない場合は、ステップS16に戻り、再び外気温湿度検出、在室人数判断を行うという流れになる。このように補正係数αを設定して顕熱比SHFmaxを補正することで、より確実に目標温湿度に到達させることが可能となる。そして、ステップS24において、運転終了と判断されれば、運転を終了する(S25)。
【0068】
このように室内温湿度をフィードバックすることで、より確実に設定温湿度に到達し、より広い範囲で快適性及び省エネ性を維持した運転が可能となる。なお、この変形処理2は、上記変形処理1と組みあわせることが可能であり、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iを予め一定値として与えておいてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、室内温度Ta_iを、換気装置11の室内温度検出装置23の検出値としたが、室内温度検出装置32の検出値Ta_rとしてもよい。室内温度検出装置32は室内101に複数あるため、何れかの室内温度検出装置32の検出値としてもよいし、全ての検出値を平均して用いるなどとしてもよい。
【0070】
また、換気装置11の構成は図2に示した構成に限られず、次の図13、図14に示す構成としてもよい。
【0071】
図13は、図1の換気装置の他の構成例1を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図13に示すように、換気装置11内に、室内空気と室外空気との熱交換を行う第一の熱交換器41を更に備えた構成としてもよい。この場合、外気全熱負荷Ql_o、外気顕熱負荷Ql_osを算出する場合は、外気温度検出装置21の検出値及び外気湿度検出装置22の検出値をそのまま使用することはできない。このため、外気温度検出装置21の検出値と外気湿度検出装置22の検出値とに加えて更に、室内温度検出装置23の検出値と室内湿度検出装置24の検出値と第一の熱交換器41の特性とを用いて、室内に供給される空気の温湿度を予測し、その予測した温湿度を外気温湿度として用いて外気全熱負荷Ql_o及び外気顕熱負荷Ql_osを算出する。
【0072】
図14は、図1の換気装置の他の構成例2を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図14に示すように、換気装置11内に、室内空気と室外空気との熱交換を行う第一の熱交換器41と、冷媒と空気との熱交換を行う第二の熱交換器42とを更に備えた構成としてもよい。第二の熱交換器42は、室外空気が第一の熱交換器41を通過した後の風路に設置され、第一の熱交換器41を通過後の室外空気と冷媒との熱交換を行う。第二の熱交換器42は、具体的には空気調和装置1の冷凍サイクルから分岐管を介して接続した構成とすることができる。
【0073】
このように第一の熱交換器41に加えて第二の熱交換器42を設けた場合も、外気全熱負荷Ql_o及び外気顕熱負荷Ql_osを算出する場合は、外気温度検出装置21の検出値と外気湿度検出装置22の検出値とをそのまま使用することはできない。このため、外気温度検出装置21の検出値と外気湿度検出装置22の検出値とに加えて更に、室内温度検出装置23の検出値と、室内湿度検出装置24の検出値と、第一の熱交換器41の特性と、第二の熱交換器42の特性とを用いて、室内に供給される空気の温湿度を予測し、その予測した温湿度を外気温湿度として用いて外気全熱負荷Ql_o及び外気顕熱負荷Ql_osを算出する。
【符号の説明】
【0074】
1 空気調和装置、2 圧縮機、3 四方弁、4 室外熱交換器、5 膨張弁、6 室内熱交換器、7 室外熱交換器用送風機、8 室内熱交換器用送風機、9 室内機、10 室外機、11 換気装置、12 伝送線、20 送風機、21 外気温度検出装置、22 外気湿度検出装置、23 室内温度検出装置、24 室内湿度検出装置、31 蒸発温度検出装置、32 室内温度検出装置、33 入力部、34 在室人数検出装置、41 第一の熱交換器、42 第二の熱交換器、100 空気調和システム、101 室内、102 集中コントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置を備えた空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルを備えた空気調和装置と換気装置とを備えた空気調和システムがある。冷凍サイクルは、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧装置及び室内熱交換器が順次配管で接続されて冷媒が循環するように構成されている。冷房運転時は、圧縮機で圧縮された高温高圧のガス冷媒を室外熱交換器に送り込み、室外熱交換器で空気と熱交換することにより冷媒を液化する。液化した冷媒は、減圧装置で減圧されて気液二相状態となり、室内熱交換器にて周囲空気から熱を吸収することでガス化する。一方で、室内熱交換器では、空気は、冷媒により熱を奪われる。これにより室内空間が冷房される。室内熱交換器にてガス化した冷媒は圧縮機に戻る。
【0003】
また、換気装置は、室内の空気を室外の新鮮空気と入れ換える運転を行っている。
【0004】
空気調和システムにおける空調負荷としては、換気装置から導入される外気からの熱負荷(=外気全熱負荷)、室内で発生する熱負荷(=室内全熱負荷)、建物壁面から進入する熱負荷(=貫流負荷)が支配的である。室内の快適性を確保するには、室内温湿度を目標温湿度にする必要があるが、そのためには外気全熱負荷、室内全熱負荷及び貫流負荷を処理する必要がある。すなわち、顕熱負荷だけでなく、外気全熱負荷及び室内全熱負荷の一部である潜熱負荷も処理する必要がある。冷房運転時は特に除湿も重視されていることから、潜熱負荷を処理して除湿量を確保する必要があり、そのために蒸発温度を低めにして運転を行っている。この場合、圧縮機入力が増大して運転効率が低下してしまうという課題があった。
【0005】
そこで、従来より、外気温湿度に応じて換気量を変更し、除湿量を確保しつつ高効率運転を可能とした技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−272086号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、冷房運転時に換気を行いつつ室内の快適性を確保するにあたり、換気により空調負荷が増加する場合は換気を行わないようにしている。つまり、高効率運転を行うために必要換気量を無視した運転を行っている。このため、換気量が不十分となり、室内のCO2濃度が上昇してしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、冷房運転時に必要換気量を確保した上で、快適性向上と高効率化を行うことが可能な空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気調和システムは、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器が順次配管で接続されて冷房運転が可能な冷凍サイクルと、室内環境に応じた必要換気量を確保するように風量制御され、室内空気と室外空気を入れ換えて換気を行う換気装置と、室内の温度を検出する室内温度検出装置と、室内の湿度を検出する室内湿度検出装置と、外気の温度を検出する外気温度検出装置と、外気の湿度を検出する外気湿度検出装置と、目標の室内温湿度を設定する温湿度設定装置と、室内全熱負荷及び室内顕熱負荷を設定する室内負荷設定装置と、室内温度検出装置により検出された室内温度と前記温湿度設定装置に設定された目標室内温度との温度差が小さくなるに連れ、所定の蒸発温度範囲内で目標蒸発温度を上昇させる制御を行う制御装置とを備え、制御装置は、室内温度検出装置、室内湿度検出装置、外気温度検出装置及び外気湿度検出装置のそれぞれの検出値と、換気装置の換気風量とから、外気全熱負荷及び外気顕熱負荷を求め、 室内温度検出装置の検出値と、外気温度検出装置の検出値と、建物の壁の表面積と、壁の熱貫流率とから貫流負荷を求め、外気全熱負荷と、外気顕熱負荷と、貫流負荷と、室内負荷設定装置により設定された室内全熱負荷及び室内顕熱負荷とから空調全熱負荷における空調顕熱負荷の比である顕熱比を算出し、算出した顕熱比と、温湿度設定装置により設定された目標室内温湿度とに基づいて所定の蒸発温度範囲の最大値を決定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷凍サイクルとは独立して換気装置の風量制御を行って常に必要換気量を確保しているため、室内空気質を良好に保つことができる。また、室内温湿度を目標室内温湿度にすることのできる最大蒸発温度以下の範囲で、目標蒸発温度を、室内温度と目標室内温度との温度差に応じて変化させる制御を行うようにしたので、快適性向上と高効率化の両立を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態における空気調和システムの概略図である。
【図2】図1の換気装置の概略構成を示す図である。
【図3】図1の空気調和装置に設置された各種検出装置を示す図である。
【図4】図1の空気調和装置の冷媒回路の概略図である。
【図5】温度差ΔTに応じた目標蒸発温度Teの決定方法の説明図である。
【図6】図4の冷凍サイクルのp−h線図である。
【図7】湿り空気線図である。
【図8】最大蒸発温度Te_maxの設定方法を説明するための空気線図である。
【図9】本発明の一実施の形態の空気調和システムにおける制御フローを示す図である。
【図10】図9とは別の変形処理1の制御フローを示す図である。
【図11】図9とは別の変形処理2の制御フローを示す図である。
【図12】最大蒸発温度Te_maxの違いによる目標蒸発温度Teの違いの説明図である。
【図13】図1の換気装置の他の構成例1を示す図である。
【図14】図1の換気装置の他の構成例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態における空気調和システムの概略図で、空気調和システムが設置された部屋の上面図を示している。図1及び後述の図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
空気調和システム100は、空気調和装置1と換気装置11とを備えている。空気調和装置1は、複数(ここでは3台)の室内機9と室外機10とを備えている。室外機10は室外に設置され、室内機9は室内101に設置されており、室外機10及び各室内機9のそれぞれは、伝送線12により集中コントローラ102に接続されている。また、空気調和システム100は、使用者が室内温度及び室内湿度を設定するための温湿度設定装置としての入力部33を備えており、入力部33で設定された目標温湿度に近づくように運転が行われる。
【0013】
図2は、図1の換気装置の概略構成を示す図である。
換気装置11は、図2に示すように送風機20をここでは2個備えており、室内101の環境(空気質、例えばCO2濃度)を良好に保つ(例えば、CO2濃度を1000ppm以下に保つ)ための必要換気量(風量Va)で換気が行われるように、集中コントローラ102により送風機20の回転数が制御される。換気装置11は、外気温度検出装置21、外気湿度検出装置22、室内温度検出装置23及び室内湿度検出装置24を備え、室内外温湿度を検出可能となっている。これらの検出装置21〜24の検出値は、伝送線12を介して集中コントローラ102に出力される。
【0014】
図3は、図1の空気調和装置に設置された各種検出装置を示す図である。
図1においては図示省略していたが、空気調和装置1には図3に示すように各種検出装置が設けられている。すなわち、各室内機9のそれぞれに蒸発温度検出装置31及び室内温度検出装置32を備えている。
【0015】
また、空気調和システム100は、各室内機9毎に、それぞれの空調エリア内に存在する人間の数を検出する在室人数検出装置34を備えており、全ての在室人数検出装置34の検出結果を合計することで、室内101の在室人数を把握可能となっている。在室人数検出装置34は、在室人数が分かるような手法であればどんなものでもよく、赤外線による人感センサを用いてもよいし、入力部33から在室人数を手入力して集中コントローラ102に設定する方法でもよい。
【0016】
図4は、図1の空気調和装置の冷媒回路の概略図である。
空気調和装置1は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、減圧装置としての膨張弁5及び室内熱交換器6が順次配管で接続されて冷媒が循環するように構成された冷凍サイクルを備えている。空気調和装置1は更に、室外熱交換器用送風機7及び室内熱交換器用送風機8を備えている。そして、室外機10に、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4及び室外熱交換器用送風機7が設置され、室内機9に、膨張弁5、室内熱交換器6及び室内熱交換器用送風機8が設置されている。
【0017】
このように構成された空気調和装置1は、四方弁3の切り換えにより冷房運転又は暖房運転が可能となっており、四方弁3を図1の実線側に切り換えた場合、室内熱交換器6が蒸発器、室外熱交換器4が凝縮器となり冷房運転が実施され、四方弁3を図1の点線側に切り換えた場合、室内熱交換器6が凝縮器、室外熱交換器4が蒸発器となり暖房運転が実施される。なお、空気調和装置1は少なくとも冷房運転が可能であればよく、よって、四方弁3は必ずしも必須の構成ではなく、省略可能である。
【0018】
次に、空気調和装置1の冷凍サイクルの動作について説明する。
【0019】
(冷房運転)
空気調和装置1において、冷房時は、圧縮機2で圧縮された冷媒は高温高圧のガス冷媒となり、四方弁3を通り室外熱交換器4に送り込まれる。室外熱交換器4に流入した冷媒は、室外熱交換器用送風機7で搬送される室外空気と熱交換し、放熱することにより液化する。液化した冷媒は膨張弁5で減圧されて気液二相状態となり、室内熱交換器6に流入する。室内熱交換器6に流入した冷媒は、室内熱交換器用送風機8で搬送される室内空気と熱交換し、吸熱することによりガス化し、圧縮機2へ戻される。以上のように冷媒が冷媒回路を循環することにより冷房運転を行う。
【0020】
(暖房運転)
空気調和装置1において、暖房時は、圧縮機2で圧縮された冷媒は高温高圧のガス冷媒となり、四方弁3を通り室内熱交換器6に送り込まれる。室内熱交換器6に流入した冷媒は、室内熱交換器用送風機8で搬送される室内空気と熱交換し、放熱することにより液化する。液化した冷媒は膨張弁5で減圧されて気液二相状態となり、室外熱交換器4に流入する。室外熱交換器4に流入した冷媒は、室外熱交換器用送風機7で搬送される室外空気と熱交換し、吸熱することによりガス化し、圧縮機2へ戻される。以上のように冷媒が冷媒回路を循環することにより暖房運転を行う。
【0021】
次に、空気調和システム100における具体的な制御について説明する。
空気調和システム100は、換気装置11の室内温度検出装置23で検出された室内温度Ta_i[℃]と、入力部33から使用者により設定された目標室内温度Ta_tgt[℃]との差ΔTに応じて目標蒸発温度Te[℃]を決定し、蒸発器の蒸発温度が目標蒸発温度Teになるように、冷凍サイクルの制御(圧縮機2の回転数制御、膨張弁5の開度制御、送風機の制御等)を行う。
【0022】
図5は、温度差ΔTに応じた目標蒸発温度Teの決定方法の説明図である。図5において横軸は温度差ΔT、縦軸は目標蒸発温度Teである。図6は、図4の冷凍サイクルのp−h線図である。
目標蒸発温度Teは、最大蒸発温度Te_max[℃]と、最小蒸発温度Te_min[℃]と、ΔTとから図5に示す特性を用いて式(1)により決定する。
【0023】
Te={(Te_max−Te_min)/T0×ΔT}+Te_max …(1)
【0024】
ここで、T0は、予め決定された温度差であり、例えば1℃である。最小蒸発温度Te_minは、例えば、十分に冷房能力が確保できる温度で例えば0℃等である。また、最大蒸発温度Te_maxは、室内湿度が目標室内湿度RH_tgt[%]を達成できる蒸発温度である。最大蒸発温度Te_maxの設定方法については後述する。
【0025】
図5より明らかなように、温度差ΔTが小さくなるに連れ、目標蒸発温度Teを上げる制御を行う。このように負荷の減少に伴い目標蒸発温度Teを上げることで、図6に示すように圧縮機2入口の冷媒状態が点aから点bに変化する。これにより、図6に示すp−h線図を見ても分かるように、圧縮機2入力が減少し、高効率運転とすることができる。通常の空気調和装置の運転は、温度差ΔTが小さいところでの運転時間が長いので、この高効率運転が省エネ効果向上に大きく影響する。
【0026】
図7は、湿り空気線図であり、蒸発温度と、顕熱比SHFと、除湿量との関係の説明図である。図7において縦軸は絶対湿度[kg/kg’]、横軸は乾球温度[℃]である。なお、空気状態は、温度と湿度とから湿り線図上で1点で表され、室内101の空気状態が点A(以下、空気温湿度Aという)であるものとする。以下、図7を参照して、蒸発温度と、顕熱比SHFと、除湿量との関係について説明する。
【0027】
ここでまず、顕熱比SHFについて説明する。顕熱比SHFとは、顕熱比=顕熱/(顕熱+潜熱)で表される。よって、顕熱比SHFが1の運転とはつまり、除湿を全く行わず(つまり絶対湿度が変化しない。)、室温を下げる運転となる。したがって、図7において、顕熱比1の運転は、空気温湿度Aから真横に延びる線で表現され、その線と飽和線との交点が、顕熱比1のときの蒸発温度T3となる。逆に言えば、蒸発温度をT3とすると、除湿を全く行わずに室温を下げる顕熱比1の運転が行われることになる。この場合、蒸発器の出口側からは、空気温湿度Aと蒸発温度T3とを結ぶ顕熱比1の線上にある温湿度の空気が流出される。
【0028】
ここで、温度差ΔTが減少して目標蒸発温度TeをT1からT2に上昇させた場合について考える。この場合、上述したように目標蒸発温度Teを上昇させることによって高効率運転となる反面、顕熱比SHFが0.6から0.7に上昇することから潜熱能力(除湿量)が減少し、室内湿度が上昇する。よって、上述したように、運転効率向上のために温度差ΔTの減少に伴って目標蒸発温度Teを上昇させるにしても、目標蒸発温度Teを上昇させたことによって室内湿度が目標室内湿度RH_tgtを超えてしまうことのないようにする必要がある。
【0029】
つまり、目標蒸発温度Teの上限(最大蒸発温度Te_max)を、目標室内湿度RH_tgtを達成できる範囲内とする必要があり、目標蒸発温度Teの上限を見極める必要がある。言い換えれば、目標蒸発温度Teが最大蒸発温度Te_max以下であれば、室内湿度を目標室内湿度RH_tgt内にすることができる。そして、上述したように、空気調和システムの目標蒸発温度Teを、最大蒸発温度Te_max以下の範囲で温度差ΔTに応じて制御することで、必要な除湿量の確保と高効率運転との両立を実現できるのである。また、換気については、換気装置11が空気調和装置1とは独立して必要換気量での換気を行っているため、本実施の形態の空気調和システムでは、除湿量確保と高効率運転のみならず、換気量の確保も可能となっている。
【0030】
図8は、最大蒸発温度Te_maxの設定方法を説明するための空気線図である。以下、最大蒸発温度Te_maxの設定にあたっての考え方についてまず説明する。
本実施の形態では、必要換気量を確保した上で冷凍サイクルを高効率制御を行うことを目的としており、最大蒸発温度Te_maxの設定にあたっては、冷房負荷を考慮しつつ、目標室内温度Ta_tgt及び目標室内湿度RH_tgtを達成できるように設定する。
【0031】
空調負荷とは、上述したように換気装置11から導入される外気からの熱負荷(=外気全熱負荷)と、室内で発生する熱負荷(=室内全熱負荷)と、建物壁面から進入する熱負荷(=貫流負荷)とがある。よって、この空調負荷における顕熱比SHFを求め、その顕熱比SHFを、潜熱負荷を処理できる最大の顕熱比SHFmaxとする。そして、図8の空気線図に示すように、顕熱比SHFmaxで決まる傾きの直線を目標室内温湿度から延ばし、その直線と飽和曲線とが交わった点を最大蒸発温度Te_maxとする。
【0032】
このように最大蒸発温度Te_maxを決めることで、必要換気量を維持したまま、目標室内湿度Ta_tgt、RH_tgtを実現できる最大蒸発温度Te_maxを決定できる。そして、その最大蒸発温度Te_max以下に目標蒸発温度Teを設定して運転することで、繰り返しの説明となるが、潜熱負荷を十分処理でき、室内湿度を目標室内湿度RH_tgtに到達可能となって快適性が向上し、且つ、負荷に応じて目標蒸発温度Teを上昇させた高効率運転が可能となり、省エネ性が向上する。
【0033】
次に、最大蒸発温度Te_maxの具体的な算出方法について説明する。
最大蒸発温度Te_maxは、上述したように空調全熱負荷の顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgtと、目標室内湿度RH_tgtとから決定する。
【0034】
(SHFmaxの算出)
SHFmaxを算出するには、まず、外気全熱負荷Ql_o[kW]と、室内全熱負荷Ql_i[kW]と、貫流負荷Ql_k[kW]とを求める。
【0035】
1.外気全熱負荷Ql_o
換気により外気が侵入することによる外気全熱負荷Ql_oは式(2)で表される。
【0036】
Ql_o=Va×ρa×(Ia_o−Ia_i)/3600 …(2)
ここで、
Va[m3/h] :換気装置11の換気風量
ρa[kg/m3]:空気の密度
Ia_i[kJ/kg] :Ta_i[℃]とRH_i[%]とから算出される室内空気エンタルピー
Ia_o[kJ/kg] :Ta_o[℃]とRH_o[%]とから算出される室外空気エンタルピー
RH_i[%] :室内湿度検出装置24の検出値
RH_o[%] :外気湿度検出装置22の検出値
【0037】
2.外気顕熱負荷Ql_os
換気により外気が進入することによる外気顕熱負荷Ql_os[kW]は式(3)で表される。
Ql_os=Va×ρa×(Ta_o−Ta_i)/3600 …(3)
ここで、
Ta_o[℃] :外気温度検出装置21の検出値
Ta_i[℃] :室内温度検出装置23の検出値
【0038】
3.室内全熱負荷Ql_i、室内顕熱負荷Ql_is
室内全熱負荷Ql_iは、室内101の人体から発生する合計の全熱負荷Ql_mと、OA機器や照明機器等の発熱機器から発生する全熱負荷Ql_inpとの合計となる。室内の人体から発生する合計の全熱負荷Ql_m[kW]は式(4)で表される。例えば、ql_msは70[W/人]、ql_mlは50[W/人]である。
【0039】
Ql_m=(ql_ms+ql_ml)×N …(4)
ここで、
ql_ms[kW/人]:予め決められた一人当りの顕熱負荷
ql_ml[kW/人]:予め決められた一人当りの潜熱負荷
N(人):空気調和システム100にある在室人数検出装置34で検出された合計在室人数
【0040】
また、室内の人体から発生する合計の顕熱負荷Ql_ms[kW]は式(5)で表される。
【0041】
Ql_ms=ql_ms×N …(5)
【0042】
また、室内の発熱機器からの発熱量は、設備により決まるものであるので、発熱機器による全熱負荷Ql_inp[kW]は、予め集中コントローラ102に入力しておくことができる。
【0043】
以上より、室内全熱負荷Ql_iは、式(6)で表される。
【0044】
Ql_i=Ql_m+Ql_inp …(6)
【0045】
また、Ql_inp[kW]は顕熱のみのため、室内顕熱負荷Ql_is[kW]は、式(7)で表される。
【0046】
Ql_is=Ql_ms+Ql_inp …(7)
【0047】
4.貫流負荷Ql_K[kW]
貫流負荷Ql_Kは、壁からの侵入熱で決定されるので、壁の表面積A(m2)、壁の熱貫流率K(kW/(m2・K))、外気温度Ta_o[℃]、室内温度Ta_i[℃]を用いて式(8)で表される。なお、Ql_K[kW]は、顕熱のみである。
【0048】
Ql_K=A×K×(Ta_o-Ta_i) …(8)
【0049】
以上により、外気顕熱負荷Ql_osと、室内顕熱負荷Ql_isと、貫流負荷Ql_Kとが算出され、これらの値により、空調全熱負荷の顕熱比SHFが式(9)により算出される。
【0050】
SHF=(Ql_os+Ql_is+Ql_K)/(Ql_o+Ql_i+Ql_K)
…(9)
【0051】
このようにして算出された顕熱比SHFを、顕熱比SHFmaxとして決定する。そして、上述したように、SHFmaxで決まる傾きの直線を目標室内温湿度から延ばし、その直線と飽和曲線とが交わった点を最大蒸発温度Te_maxとする。
【0052】
図9は、本発明の一実施の形態の空気調和システムにおける制御フローを示す図である。
まず、目標室内温度Ta_tgtと目標室内湿度RH_tgtとを設定して冷房運転を開始する(S1)。そして、外気温度Ta_o、外気湿度RH_o、室内温度Ta_i及び室内湿度RH_iを検出し、更に在室人数Nを検出する(S2)。続いて、空調負荷(外気全熱負荷、外気顕熱負荷、室内全熱負荷、室内顕熱負荷、貫流負荷)を計算し、上記(9)式より顕熱比SHFmaxを計算する(S3)。そして、顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgt[℃]と、目標室内湿度RH_tgt[%]とから上述のようにして最大蒸発温度Te_maxを計算する(S4)。
【0053】
そして、室内温度Ta_i[℃]と目標室内温度Ta_tgt[℃]との温度差ΔTから上記の式(1)により目標蒸発温度Teを計算し(S5)、蒸発器における蒸発温度が目標蒸発温度Teとなるように冷凍サイクルの制御(圧縮機2の回転数制御、膨張弁5の開度制御、送風機7,8の制御等)を行う(S6)。そして、外気温湿度や在室人数が変化したり、目標温湿度が変更されていないかを判定し(S7)、少なくとも一つが変化又は変更されていた場合、変化又は変更後の空調負荷に応じた運転制御となるように、S3に戻って再び負荷、SHFmaxの計算からやり直し、最大蒸発温度Te_maxを更新する(S4)。
【0054】
ステップS7において外気温湿度、在室人数及び目標温湿度変更の何れも変化又は変更されていなければ、運転終了かどうか判断し(S8)、運転終了でない場合はS5に戻って、再び温度差ΔTを算出し、温度差ΔTから上記の式(1)により目標蒸発温度Teを計算する(S5)。このとき、冷凍サイクルの運転によって温度差ΔTが減少していれば、上述したように目標蒸発温度Teを、図5に従って現状より高い温度に設定する。なお、ステップS8において運転終了と判断されれば、運転を終了する(S9)。
【0055】
以上説明したように本実施の形態によれば、空気調和装置1とは独立して換気装置11の風量制御を行って常に必要換気量を確保しているため、室内空気質を良好に保つことができる。そして、必要換気量を確保した上で、目標室内温度Ta_tgt及び目標室内湿度RH_tgtを実現できる最大蒸発温度Te_max以下の範囲で、目標蒸発温度Teを、室内温度Ta_iと目標室内温度Ta_tgtとの温度差ΔTに応じて変化させる制御を行うようにしたので、高効率に室内温湿度を目標値に近づけることが可能となり、快適性向上と高効率化の両立を実現できる。
【0056】
また、外気温湿度や在室人数の変化、目標温湿度の変更を検出し、その変化・変更に応じて顕熱比SHFmaxを計算し直して最大蒸発温度Te_maxを更新するようにしたので、常に、快適性及び省エネ性を維持した運転が可能となる。また、運転中、外気温湿度や在室人数の変化、目標温湿度の変更を繰り返しチェックするようにしたので、これらの変化・変更に素早く対応できる。
【0057】
また、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iの算出に、在室人数検出装置34で検出した在室人数を用いているため、現状に即した精度の高い算出が可能である。よって、結果的に快適性向上と高効率化に寄与できる。
【0058】
(変形処理1)
上記では、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iを、在室人数検出装置34で検出した在室人数を用いて求めているが、予め一定値として与えておいてもよい。この場合は、在室人数検出装置34は不要となり、顕熱比SHFを算出する上記(9)式において、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iとが一定値となる。この場合の制御フローは図10のようになる。
【0059】
図10は、ステップS2aとステップS7aの処理が図9と異なり、それ以外の処理は図9と同様である。すなわち、図10のステップS2aでは、在室人数の検出が省略され、また、ステップS7aでは、在室人数の変化の検出が省略される。よって、請求項1の室内負荷設定装置は、在室人数検出装置34の検出結果を用いて室内全熱負荷Ql_is及び室内顕熱負荷Ql_iを設定するものでもよいし、予め一定値として設定するものであってもよい。
【0060】
このような処理とした場合も、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
(変形処理2)
目標室内温湿度に確実に到達するように、顕熱比SHFmaxを補正係数αを用いて補正し、図11に示すような制御フローとしてもよい。
【0062】
まず、目標室内温度Ta_tgtと目標室内湿度RH_tgtとを設定して運転を開始し(S11)、補正係数αを初期値である1とする(S12)。そして、上記と同様に外気温度Ta_o、外気湿度RH_o、室内温度Ta_i及び室内湿度RH_iを検出し、更に在室人数Nを検出する(S13)。続いて、空調負荷(外気全熱負荷、外気顕熱負荷、室内全熱負荷、室内顕熱負荷、貫流負荷)を計算し、上記(9)式より顕熱比SHFを計算し、この顕熱比SHFに補正係数αを乗算した値を顕熱比SHFmaxとする(S14)。そして、顕熱比SHFmaxと、目標室内温度Ta_tgt[℃]と、目標室内湿度RH_tgt[%]とから最大蒸発温度Te_maxを計算する(S15)。
【0063】
そして、室内温度Ta_i[℃]と目標室内温度Ta_tgt[℃]との温度差ΔTから上記(1)式により目標蒸発温度Teを計算し(S16)、蒸発器における蒸発温度が目標蒸発温度Teとなるように冷凍サイクルの制御(圧縮機2の回転数制御、膨張弁5の開度制御、送風機の制御等)を行う(S17)。そして、外気温湿度や在室人数が変化したり、目標温湿度が変更されていないかを判定し(S18)、少なくとも一つが変化又は変更されていた場合、変化又は変更後の空調負荷に応じた運転制御となるよう、S14に戻って再び負荷、SHFmaxの計算からやり直し、最大蒸発温度Te_maxを更新する(S15)。
【0064】
外気温湿度、在室人数及び目標温湿度変更の何れも変化又は変更されていなければ、温度差ΔTが予め決められた値Tsetより小さいかを判定する。温度差ΔTがTset以上の場合はまだ室温が安定していないため、ステップS16に戻り、温度差ΔTに応じて目標蒸発温度Teを変更する運転を継続する。一方、温度差ΔTがTsetよりも小さい場合は室温安定域にあると判断し、次のステップS20に進む。なお、Tsetの値は例えば0.5である。
【0065】
ステップS20では、目標室内湿度RH_tgtと室内湿度RH_iとの湿度差の絶対値が予め決められた値RHset(例えば「5」)よりも小さいか判定する。RHsetよりも小さい場合は、湿度が目標室内湿度RH_tgtに到達していると判断して、ステップS16に戻り、RHset以上の場合は、室温は目標に到達しているが、湿度が目標に到達していないため、続いて補正係数αを決定する処理に入る。
【0066】
すなわち、室内湿度RH_iと目標室内湿度RH_tgtとを比較し(S21)、室内湿度RH_iが目標室内湿度RH_tgtよりも小さい場合、室内湿度RH_iが下がり過ぎている。つまり、ステップS14で計算した顕熱比SHFmaxは、実際の顕熱比よりも小さいということになる。具体的に例えば図7の例で説明すると、実際の顕熱比が0.7であるにも関わらず、例えば0.6に設定されていた場合、顕熱比0.6のときの蒸発温度T1を最大蒸発温度Te_maxとして運転されていたことになる。すなわち、図12に示すように、顕熱比0.6のときの目標蒸発温度Teは、顕熱比が0.7の場合よりも総じて低い蒸発温度で運転されることになり、除湿量が多い状態で運転されることになる。よって、室内湿度RH_iが下がり過ぎているといった状態になる。
【0067】
このような場合には、実際の顕熱比に近づけるべく、ある決められた値α1をαにプラスしてαを補正する(S22)。逆に、室内湿度RH_iが目標室内湿度RH_tgt以上の場合は、湿度が十分に下がっておらず、ステップS14で計算した顕熱比は、実際の顕熱比よりも大きいということになるため、顕熱比SHFmaxを小さくするためにαの値をある決められた値α1をマイナスして補正する(S23)。その後、ステップS24で運転終了かどうか判断し、運転終了でない場合は、ステップS16に戻り、再び外気温湿度検出、在室人数判断を行うという流れになる。このように補正係数αを設定して顕熱比SHFmaxを補正することで、より確実に目標温湿度に到達させることが可能となる。そして、ステップS24において、運転終了と判断されれば、運転を終了する(S25)。
【0068】
このように室内温湿度をフィードバックすることで、より確実に設定温湿度に到達し、より広い範囲で快適性及び省エネ性を維持した運転が可能となる。なお、この変形処理2は、上記変形処理1と組みあわせることが可能であり、室内顕熱負荷Ql_isと室内全熱負荷Ql_iを予め一定値として与えておいてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、室内温度Ta_iを、換気装置11の室内温度検出装置23の検出値としたが、室内温度検出装置32の検出値Ta_rとしてもよい。室内温度検出装置32は室内101に複数あるため、何れかの室内温度検出装置32の検出値としてもよいし、全ての検出値を平均して用いるなどとしてもよい。
【0070】
また、換気装置11の構成は図2に示した構成に限られず、次の図13、図14に示す構成としてもよい。
【0071】
図13は、図1の換気装置の他の構成例1を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図13に示すように、換気装置11内に、室内空気と室外空気との熱交換を行う第一の熱交換器41を更に備えた構成としてもよい。この場合、外気全熱負荷Ql_o、外気顕熱負荷Ql_osを算出する場合は、外気温度検出装置21の検出値及び外気湿度検出装置22の検出値をそのまま使用することはできない。このため、外気温度検出装置21の検出値と外気湿度検出装置22の検出値とに加えて更に、室内温度検出装置23の検出値と室内湿度検出装置24の検出値と第一の熱交換器41の特性とを用いて、室内に供給される空気の温湿度を予測し、その予測した温湿度を外気温湿度として用いて外気全熱負荷Ql_o及び外気顕熱負荷Ql_osを算出する。
【0072】
図14は、図1の換気装置の他の構成例2を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図14に示すように、換気装置11内に、室内空気と室外空気との熱交換を行う第一の熱交換器41と、冷媒と空気との熱交換を行う第二の熱交換器42とを更に備えた構成としてもよい。第二の熱交換器42は、室外空気が第一の熱交換器41を通過した後の風路に設置され、第一の熱交換器41を通過後の室外空気と冷媒との熱交換を行う。第二の熱交換器42は、具体的には空気調和装置1の冷凍サイクルから分岐管を介して接続した構成とすることができる。
【0073】
このように第一の熱交換器41に加えて第二の熱交換器42を設けた場合も、外気全熱負荷Ql_o及び外気顕熱負荷Ql_osを算出する場合は、外気温度検出装置21の検出値と外気湿度検出装置22の検出値とをそのまま使用することはできない。このため、外気温度検出装置21の検出値と外気湿度検出装置22の検出値とに加えて更に、室内温度検出装置23の検出値と、室内湿度検出装置24の検出値と、第一の熱交換器41の特性と、第二の熱交換器42の特性とを用いて、室内に供給される空気の温湿度を予測し、その予測した温湿度を外気温湿度として用いて外気全熱負荷Ql_o及び外気顕熱負荷Ql_osを算出する。
【符号の説明】
【0074】
1 空気調和装置、2 圧縮機、3 四方弁、4 室外熱交換器、5 膨張弁、6 室内熱交換器、7 室外熱交換器用送風機、8 室内熱交換器用送風機、9 室内機、10 室外機、11 換気装置、12 伝送線、20 送風機、21 外気温度検出装置、22 外気湿度検出装置、23 室内温度検出装置、24 室内湿度検出装置、31 蒸発温度検出装置、32 室内温度検出装置、33 入力部、34 在室人数検出装置、41 第一の熱交換器、42 第二の熱交換器、100 空気調和システム、101 室内、102 集中コントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器が順次配管で接続されて冷房運転が可能な冷凍サイクルと、
室内環境に応じた必要換気量を確保するように風量制御され、室内空気と室外空気を入れ換えて換気を行う換気装置と、
室内の温度を検出する室内温度検出装置と、
室内の湿度を検出する室内湿度検出装置と、
外気の温度を検出する外気温度検出装置と、
外気の湿度を検出する外気湿度検出装置と、
目標の室内温湿度を設定する温湿度設定装置と、
室内全熱負荷及び室内顕熱負荷を設定する室内負荷設定装置と、
前記室内温度検出装置により検出された室内温度と前記温湿度設定装置に設定された目標室内温度との温度差が小さくなるに連れ、所定の蒸発温度範囲内で目標蒸発温度を上昇させる制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記室内温度検出装置、前記室内湿度検出装置、前記外気温度検出装置及び前記外気湿度検出装置のそれぞれの検出値と、前記換気装置の換気風量とから、外気全熱負荷及び外気顕熱負荷を求め、
前記室内温度検出装置の検出値と、前記外気温度検出装置の検出値と、建物の壁の表面積と、前記壁の熱貫流率とから貫流負荷を求め、
前記外気全熱負荷と、前記外気顕熱負荷と、前記貫流負荷と、前記室内負荷設定装置により設定された前記室内全熱負荷及び前記室内顕熱負荷とから空調全熱負荷における空調顕熱負荷の比である顕熱比を算出し、
算出した顕熱比と、前記温湿度設定装置により設定された目標室内温湿度とに基づいて前記所定の蒸発温度範囲の最大値を決定することを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
前記制御装置は、運転中に外気温度、外気湿度、目標室内温度又は目標室内湿度の何れかが変わった場合、前記顕熱比を算出し直して前記所定の蒸発温度範囲の最大値を更新することを特徴とする請求項1記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記室内負荷設定装置は、室内の在室人数を検出する在室人数検出装置を備え、前記在室人数検出装置で検出された在室人数を加味して前記室内全熱負荷と前記室内顕熱負荷とを設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記制御装置は、運転中に前記在室人数検出装置により検出された在室人数が変化した場合、前記顕熱比を算出し直して前記所定の蒸発温度範囲の最大値を更新することを特徴とする請求項3記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記室内温度検出装置により検出された室内温度が前記目標室内温度に到達し、前記室内湿度検出装置により検出された室内湿度が前記目標室内湿度に到達していない場合、前記室内湿度と前記目標室内湿度とを比較してどちらの方が高いのかに応じて前記顕熱比を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記室内湿度と前記目標室内湿度とを比較して前記室内湿度の方が低い場合、前記顕熱比を高くする方向に補正し、前記室内湿度の方が高い場合、前記顕熱比を低くする方向に補正することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記換気装置は、室外空気と室内空気との熱交換を行う第一の熱交換器を備え、
前記制御装置は、前記外気全熱負荷及び前記外気顕熱負荷を求めるに際し、前記第一の熱交換器の特性も加味することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記換気装置は、前記第一の熱交換器を通過後の室外空気と、前記冷凍サイクルを通過する冷媒とを熱交換する第二の熱交換器を更に備え、
前記制御装置は、前記外気全熱負荷及び前記外気顕熱負荷を求めるに際し、前記第二の熱交換器の特性も更に加味することを特徴とする請求項7記載の空気調和システム。
【請求項9】
冷房運転時に前記室内熱交換器が蒸発器、前記室外熱交換器が凝縮器となり、暖房運転時にその逆となるように流路を切換える四方弁を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項1】
圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器が順次配管で接続されて冷房運転が可能な冷凍サイクルと、
室内環境に応じた必要換気量を確保するように風量制御され、室内空気と室外空気を入れ換えて換気を行う換気装置と、
室内の温度を検出する室内温度検出装置と、
室内の湿度を検出する室内湿度検出装置と、
外気の温度を検出する外気温度検出装置と、
外気の湿度を検出する外気湿度検出装置と、
目標の室内温湿度を設定する温湿度設定装置と、
室内全熱負荷及び室内顕熱負荷を設定する室内負荷設定装置と、
前記室内温度検出装置により検出された室内温度と前記温湿度設定装置に設定された目標室内温度との温度差が小さくなるに連れ、所定の蒸発温度範囲内で目標蒸発温度を上昇させる制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記室内温度検出装置、前記室内湿度検出装置、前記外気温度検出装置及び前記外気湿度検出装置のそれぞれの検出値と、前記換気装置の換気風量とから、外気全熱負荷及び外気顕熱負荷を求め、
前記室内温度検出装置の検出値と、前記外気温度検出装置の検出値と、建物の壁の表面積と、前記壁の熱貫流率とから貫流負荷を求め、
前記外気全熱負荷と、前記外気顕熱負荷と、前記貫流負荷と、前記室内負荷設定装置により設定された前記室内全熱負荷及び前記室内顕熱負荷とから空調全熱負荷における空調顕熱負荷の比である顕熱比を算出し、
算出した顕熱比と、前記温湿度設定装置により設定された目標室内温湿度とに基づいて前記所定の蒸発温度範囲の最大値を決定することを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
前記制御装置は、運転中に外気温度、外気湿度、目標室内温度又は目標室内湿度の何れかが変わった場合、前記顕熱比を算出し直して前記所定の蒸発温度範囲の最大値を更新することを特徴とする請求項1記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記室内負荷設定装置は、室内の在室人数を検出する在室人数検出装置を備え、前記在室人数検出装置で検出された在室人数を加味して前記室内全熱負荷と前記室内顕熱負荷とを設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記制御装置は、運転中に前記在室人数検出装置により検出された在室人数が変化した場合、前記顕熱比を算出し直して前記所定の蒸発温度範囲の最大値を更新することを特徴とする請求項3記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記室内温度検出装置により検出された室内温度が前記目標室内温度に到達し、前記室内湿度検出装置により検出された室内湿度が前記目標室内湿度に到達していない場合、前記室内湿度と前記目標室内湿度とを比較してどちらの方が高いのかに応じて前記顕熱比を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記室内湿度と前記目標室内湿度とを比較して前記室内湿度の方が低い場合、前記顕熱比を高くする方向に補正し、前記室内湿度の方が高い場合、前記顕熱比を低くする方向に補正することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記換気装置は、室外空気と室内空気との熱交換を行う第一の熱交換器を備え、
前記制御装置は、前記外気全熱負荷及び前記外気顕熱負荷を求めるに際し、前記第一の熱交換器の特性も加味することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記換気装置は、前記第一の熱交換器を通過後の室外空気と、前記冷凍サイクルを通過する冷媒とを熱交換する第二の熱交換器を更に備え、
前記制御装置は、前記外気全熱負荷及び前記外気顕熱負荷を求めるに際し、前記第二の熱交換器の特性も更に加味することを特徴とする請求項7記載の空気調和システム。
【請求項9】
冷房運転時に前記室内熱交換器が蒸発器、前記室外熱交換器が凝縮器となり、暖房運転時にその逆となるように流路を切換える四方弁を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の空気調和システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−72590(P2013−72590A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211507(P2011−211507)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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