説明

空気調和機の有害化学ガス除去方法、空気調和機、および有害化学ガス除去フィルタ

【課題】有害化学ガスの除去率を向上するとともに、使用寿命を長くする空気調和機の有害化学ガス除去方法、空気調和機、および有害化学ガス除去フィルタを提供する。
【解決手段】空気調和機11は、有害化学ガスを吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタ10と、有害化学ガス除去フィルタ10に吸着された有害化学ガスを脱着させるためのエネルギー発生部とを備えている。有害化学ガス除去フィルタ10は、有害化学ガスを吸着する吸着6部と、吸着部6で吸着された有害化学ガスを分解する分解部7とを備えている。空気調和機11の有害化学ガス除去方法は、有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタ10に吸着する吸着工程と、有害化学ガス除去フィルタ10に吸着された有害化学ガスを分解する分解工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の有害化学ガス除去方法、空気調和機、および有害化学ガス除去フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の機密性が高くなるにしたがって、壁紙の接着剤や新建材などから発生する揮発性有害化学物質の人体に及ぼす影響がシックハウス症候群や化学物質過敏症として現れている。10〜20人に1人は、揮発性有害化学物質による健康障害であると言われている。
【0003】
この揮発性有害化学物質の代表とされているホルムアルデヒドは、無色の気体で、刺激臭を有している。ホルムアルデヒドを吸ってしまうと、主に目、鼻および喉に対する刺激が強く、吐き気、呼吸困難がおきる場合がある。また、発ガン性があることも指摘されている。そのため、新築の建造物については、これらの症状に対応すべく、脱ホルマリン化が進行しつつある。しかし、脱ホルマリン化の処置を行なわずに既に建てられてしまった建築については、その対策がほとんど施されていないため、ホルムアルデヒドなどの揮発性有害化学物質を低減または除去することができる空調システムが求められている。
【0004】
このような揮発性有害化学物質などの有害化学ガスを除去する方法としては、現在、主に活性炭を素材とする有害化学物質除去フィルタを使用する方法が採用されている。活性炭の例として、たとえば、特開2001−164430号公報(特許文献1)に、活性炭繊維が開示されている。特許文献1には、活性炭繊維の比表面積は、700〜2000m/gであることが開示されている。
【特許文献1】特開2001−164430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような活性炭繊維を使った有害ガス除去フィルタは、ホルムアルデヒドなどの有害化学ガスの吸着性が低く、吸着に利用できる面積が活性炭全体の表面積の1%以下である。そのため、活性炭繊維の単位質量あたりに吸着できるホルムアルデヒドは数mg以下である。よって、有害化学ガスを吸着できる量が少なく、有害化学ガスの除去率が低いという問題がある。
【0006】
また、活性炭繊維の表面に有害化学ガスの気体分子が吸着し、表面全体が有害化学ガスの気体分子に覆われると除去効果がなくなる。そのため、繊維状活性炭の使用寿命は1年以下と短かった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、有害化学ガスの除去率を向上するとともに、使用寿命を長くする空気調和機の有害化学ガス除去方法、空気調和機、および有害化学ガス除去フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空気調和機の有害化学ガス除去方法によれば、有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタに吸着する吸着工程と、有害化学ガス除去フィルタに吸着された有害化学ガスを分解する分解工程とを備えている。
【0009】
上記空気調和機の有害化学ガス除去方法において好ましくは、分解工程は、吸着工程において有害化学ガス除去フィルタに吸着された有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタから脱着させる脱着工程を含む。
【0010】
上記空気調和機の有害化学ガス除去方法において好ましくは、分解工程において吸着工程で吸着された有害化学ガスを分解する流速が、吸着工程において有害化学ガスを吸着する流速よりも遅いことを特徴とする。
【0011】
上記空気調和機の有害化学ガス分解除去方法において好ましくは、吸着工程は、室内温度で有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタに吸着することを特徴とする。
【0012】
本発明の空気調和機によれば、有害化学ガスを吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタと、有害化学ガス除去フィルタに吸着された有害化学ガスを脱着させるためのエネルギー発生部とを備えている。
【0013】
上記空気調和機において好ましくは、エネルギー発生部が加熱手段を含む。また、上記空気調和機において好ましくは、エネルギー発生部が過熱水蒸気発生手段を含む。また、上記空気調和機において好ましくは、エネルギー発生部が電界発生手段を含む。
【0014】
上記空気調和機において好ましくは、有害化学ガス除去フィルタが、吸着部と分解部とを含む。
【0015】
上記空気調和機において好ましくは、運転時に、吸着部により有害化学ガスを吸着させ、運転停止時または運転開始時の少なくともいずれか一方の時に、分解部により吸着された有害化学ガスを分解する制御手段をさらに備えている。
【0016】
上記空気調和機において好ましくは、分解部において吸着された有害化学ガスを分解する流速が、吸着部において有害化学ガスが吸着される流速よりも遅いことを特徴とする。
【0017】
本発明の有害化学ガス除去フィルタによれば、上記空気調和機に用いられる有害化学ガス除去フィルタであって、有害化学ガスを吸着する吸着部と、吸着部で吸着された有害化学ガスを分解する分解部とを備えている。
【0018】
上記有害化学ガス除去フィルタにおいて好ましくは、吸着部が室内温度で有害化学ガスを吸着する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の空気調和機の有害化学ガスの除去方法によれば、吸着工程で有害化学ガスを吸着し、分解工程で有害化学ガスを分解する。吸着工程と分解工程とを備えることにより、有害化学ガスを吸着する能力を向上して、有害化学ガスの除去率を向上することができる。また、吸着工程と分解工程とを別の工程としているので、分解工程を実施することにより、吸着工程で再度有害化学ガスを吸着することができる。そのため、空気調和機の有害化学ガス除去フィルタの使用寿命を長くすることが可能となる。
【0020】
本発明の空気調和機によれば、有害化学ガス除去フィルタにより有害化学ガスを吸着し、エネルギー発生部により有害化学ガス除去フィルタに吸着した有害化学ガスを脱着し、有害化学ガス除去フィルタにより脱着した有害化学ガスを無害のガスに分解する。そのため、有害化学ガスを多く吸着できるので、有害化学ガスの除去率を向上することができる。また、有害化学ガス除去フィルタで有害化学ガスを多く吸着できるので、空気調和機の有害化学ガス除去フィルタの使用寿命を長くすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態1における空気調和機について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機の概略図であり、内部構造を示すため一部破断して図示している。実施の形態1における空気調和機11は、図1に示すように、有害化学ガスを吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタ10と、エネルギー発生部であるヒータ3とを備えている。
【0023】
詳細には、図1に示すように、空気調和機11は、たとえば吸気口1と、送風手段2と、ヒータ3と、電源4と、制御手段5と、排気口8と、スイッチ9と、有害化学ガス除去フィルタ10とを備える。有害化学ガス除去フィルタ10は、吸着部6と分解部7とを含む。
【0024】
吸気口1は、空気調和機11に空気が吸い込まれるための開口された部材である。吸気口1には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどの防塵用フィルタが設けられていてもよい。
【0025】
送風手段2は、たとえば、プロペラ状の送風機、あるいは圧力式ノズルなどのように空気を圧縮して空気を送り出す手段を用いている。
【0026】
ヒータ3は、エネルギー発生部としての加熱手段である。ヒータ3は、送風手段2により送風された空気を加熱する。ヒータ3は、吸着部6に吸着された有害化学ガスを脱着させるために設けられている。そのため実施の形態1では、ヒータ3は、空気の流れ方向(図1において矢印の方向)に対して有害化学ガス除去フィルタ10の上流側に配置されている。
【0027】
制御手段5は、送風手段2とヒータ3とを制御する部材である。具体的には、運転時に、吸着部6により有害化学ガスを吸着させ、運転停止時または運転開始時の少なくともいずれか一方の時に、分解部7により吸着された有害化学ガスを分解するように制御手段5により制御する。
【0028】
吸着部6は、有害化学ガスを吸着させる部材である。吸着部6は有害化学ガスを吸着するものであれば特に限定されないが、比表面積が大きいものが好ましい。吸着部6として、実施の形態1では、比表面積の大きい多孔質材料を用いている。多孔質材料として、たとえばAl23、TiO2、ZrO2、Nb25、SnO2、HfO2若しくはAlPO4などの金属酸化物系材料、SiO2・Al23、SiO2・TiO2、SiO2・V25、SiO2・B23若しくはSiO2・Fe23などのシリケート系材料、Pt、Ag若しくはAuなどからなる金属系材料、Siなどからなる半導体系材料、活性炭若しくは有機高分子などからなる炭素系材料、珪藻土若しくはホタテ貝殻などの生体由来系材料またはSiO2などを用いることができる。
【0029】
また、吸気口1から送られた空気が多孔質材料を通過する際の圧力損失を低減するために、上記多孔質材料はハニカム状に形成されていることがより好ましい。
【0030】
さらに、吸着部6から有害化学ガスが脱着される時に高温となる場合があるため、吸着部6は耐熱性があるものであることが好ましい。
【0031】
また、実施の形態1の吸着部6では、多孔質材料に有害化学ガスを吸着させる触媒を担持させている。触媒としては、たとえばAg、Cu、CuCl、Al、PtやCNF(カーボンナノファイバー)、金属ナノワイヤ(Ag、Auなど)などを用いることができる。なお、多孔質材料に触媒を担持することに特に限定されない。たとえば、吸着部6は、触媒を担持せずに、有害化学ガスを吸着できる多孔質材料からなる構成としてもよい。
【0032】
分解部7は、吸着部6から脱着した有害化学ガスを分解する部材である。分解部7は、脱着した有害化学ガスの分解を促進するために、多孔質材料の表面の少なくとも一部に金属触媒を担持することが好ましい。多孔質材料として、たとえば上述した吸着部6の多孔質材料と同様のものを用いることができる。金属触媒として、たとえばAu、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Os、Ru、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Cu、Alなどの金属を用いることができる。金属酸化助触媒として、たとえばFe、Ni、Co、Cr、Ti、Cu、Al、Sn、Mn、Ce、La、Zr、Crなどの酸化物を用いることができる。
【0033】
また、分解部7は、有害化学ガス除去フィルタ10において空気の流れ方向に対して下流側に配置されている。
【0034】
排気口8は、有害化学ガス除去フィルタ10を通過した空気を排出するための開口された部材である。スイッチ9は、制御手段5と接続されている。なお、スイッチ9は、制御手段5がスイッチ機能を有する電源4と接続されている場合には、空気調和機11の構成として省略することができる。
【0035】
有害化学ガス除去フィルタ10は、有害化学ガスを吸着する吸着部6と、吸着部6で吸着された有害化学ガスを分解する分解部7とを備えている。また、吸着部6が室内温度で有害化学ガスを吸着する。
【0036】
有害化学ガス除去フィルタ10は、吸着部6と分解部7とを含んでいるが、特にこれに限定されない。有害化学ガス除去フィルタ10は、実施の形態1にように吸着部6と分解部7とを別の場所に配置してもよいし、たとえば吸着部6と分解部7とを同一場所に配置してもよい。吸着部6と分解部7とを同一場所に配置する場合とは、たとえば吸着部6に有害化学ガスを分解する触媒を予め担持するなど、吸着用触媒と分解用触媒を同一部分に担持させる。なお、有害化学ガス除去フィルタ10は、吸着部6と分解部7とをユニット化するために筒状ケース10aに収容した状態で図示しているが、ユニット化する必要が無い場合には筒状ケース10aは不要である。
【0037】
なお、上記「有害化学ガス」とは、人の健康に障害を及ぼす物質のうち気体状又は微粒子状物質を意味する。有害化学ガスとしては、たとえばホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、トルエンやキシレンなどのVOC(Volatile Organic Compound;揮発性有機化合物)、一酸化炭素、二酸化炭素、酢酸、アンモニアおよび硫黄含有物質などが挙げられる。
【0038】
次に、図2を参照して、空気調和機11の動作について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における空気調和機11の有害化学ガス除去方法を示すフローチャートである。
【0039】
まず、吸着工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、まず、電源4をONにして空気調和機11を起動させる。これにより、空気調和機11の通常動作(室内温度での動作)が開始される。この際、送風手段2により、有害化学ガスを含む室内の空気は、吸気口1、送風手段2、ヒータ3、吸着部6、分解部7、排気口8の順に流れる。この室内の空気の流れにおいて、通常動作では、室温で室内の空気が吸着部6を通過する際に、空気中の有害化学ガスが吸着部6に吸着される。そして、有害化学ガスが除去された空気が、排気口8から排出される。
【0040】
次に、脱着工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、吸着工程(S10)において有害化学ガス除去フィルタ10の吸着部6に吸着された有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタ10に脱着させる。具体的には、空気調和機11の動作終了時に、ヒータ3により送風される空気を加熱し、加熱された空気の熱により、吸着部6に吸着している有害化学ガスを脱着させる。
【0041】
次に、分解工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、脱着工程(S20)で脱着された有害化学ガスを分解部7で無害なガスに分解する。具体的には、空気調和機11の動作終了時に、加熱された空気の熱により、脱着工程(S20)で脱着された有害化学ガスは、分解部7に流れる。その有害化学ガスが分解部7で無害のガスに分解されて除去される。
【0042】
そして、有害化学ガスが除去された空気が、排気口8から排出される。これにより、空気調和機11において有害化学ガスが除去される。
【0043】
なお、分解部7における有害化学ガスを分解する触媒の活性温度が低い場合には、省エネルギーの観点から、分解工程(S30)においてヒータ3を動作させず、通常運転とすることができる。
【0044】
実施の形態1における空気調和機11では、分解部7において吸着された有害化学ガスを分解する流速が、吸着部6において有害化学ガスが吸着される流速よりも遅い。具体的には、脱着工程(S20)および分解工程(S30)を実施する際における空気の流速を、吸着工程(S10)を実施する際における空気の流速よりも遅くしている。
【0045】
なお、実施の形態1では、制御手段5により、運転時に吸着部6により有害化学ガスを吸着させ、運転停止時に分解部7により吸着された有害化学ガスを分解する制御としているが、特にこれに限定されない。たとえば、運転停止時または運転開始時の少なくともいずれか一方の時に、分解部7により吸着された有害化学ガスを分解する制御としてもよい。また、空気調和機11の運転中に定期的に分解部7により吸着された有害化学ガスを分解する制御としてもよい。
【0046】
次に、有害化学ガス除去フィルタ10の寿命について説明する。吸着工程(S10)を実施すると、有害化学ガス除去フィルタ10を構成する吸着部6に有害化学ガスが高効率で吸着される。そのままの状態では、有害化学ガスの吸着が進むにつれて、吸着部6の吸着量が飽和し、吸着部6を交換しない限り有害化学ガスの吸着速度が低下する。
【0047】
しかし、脱着工程(S20)を実施すると、ヒータ3で加熱された空気の熱により、吸着部6に吸着している有害化学ガスを脱着させる。これにより、再度、吸着部6は有害化学ガスを吸着することが可能となるので、吸着部6を再生することができる。そのため、吸着部6の吸着速度が一時的に低下しても、脱着工程(S20)を実施することにより、吸着部6を再生することが可能となる。よって、使用寿命に大きく影響を及ぼす吸着部6を構成する有害化学ガス除去フィルタ10の寿命は長くなる。
【0048】
なお、実施の形態1では脱着工程(S20)を備えているが、特にこれに限定されない。吸着工程(S10)と分解工程(S30)とを備えていれば、脱着工程(S20)を備えていなくてもよい。
【0049】
以上説明したように、実施の形態1における空気調和機11の有害化学ガス除去方法によれば、有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタ10に吸着する吸着工程(S10)と、有害化学ガス除去フィルタ10に吸着された有害化学ガスを分解する分解工程(S30)とを備えている。吸着工程(S10)と分解工程(S30)とを備えることにより、有害化学ガスを吸着する能力を向上して、有害化学ガスの除去率を向上することができる。
【0050】
また、吸着工程(S10)と分解工程(S30)とを別の工程としているので、吸着工程(S10)において有害化学ガスを吸着しても、分解工程(S30)を実施することにより吸着工程(S10)で再度有害化学ガスを吸着することができる。そのため、空気調和機11を構成する有害化学ガス除去フィルタ10の使用寿命を長くすることが可能となる。
【0051】
上記有害化学ガス除去方法において好ましくは、分解工程(S30)は、吸着工程(S10)において有害化学ガス除去フィルタ10に吸着された有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタ10から脱着させる脱着工程(S20)を含む。これにより、吸着工程(S10)で吸着された有害化学ガスを脱着させて、脱着工程(S20)で脱着された有害化学ガスを分解工程(S20)で分解する。そのため、有害化学ガスをより多く除去することができる。よって、室内空気における有害化学ガスの除去率をさらに向上することができる。
【0052】
上記有害化学ガス除去方法において好ましくは、吸着工程(S10)は、室内温度で有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタ10に吸着する。これにより、空気調和機11を室内で運転しているときに、加温などの工程を行なわずに有害化学ガスを吸着できる。そのため、通常運転しているだけで、有害化学ガスを空気調和機11の有害化学ガス除去フィルタ10に吸着することができる。
【0053】
上記有害化学ガス除去方法において好ましくは、分解工程(S30)において吸着工程(S10)で吸着された有害化学ガスを分解する流速が、吸着工程(S10)において有害化学ガスを吸着する流速よりも遅い。これにより、分解工程(S30)で、空気が通過する際に生じる圧力損失を少なくし、消費電力の低減を図ることができる。
【0054】
実施の形態1における空気調和機11によれば、有害化学ガスを吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタ10と、吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタ10に吸着された有害化学ガスを脱着させるためのエネルギー発生部とを備えている。有害化学ガス除去フィルタ10により有害化学ガスを吸着し、エネルギー発生部により吸着された有害化学ガスを脱着し、有害化学ガス除去フィルタ10により脱着した有害化学ガスを除去する。そのため、有害化学ガスを多く吸着できるので、有害化学ガスの除去率を向上することができる。また、有害化学ガス除去フィルタ10で有害化学ガスを多く吸着できるので、空気調和機11を構成する有害化学ガス除去フィルタ10の使用寿命を長くすることが可能となる。
【0055】
上記空気調和機11において好ましくは、エネルギー発生部が加熱手段であるヒータ3を含む。ヒータ3により、送風される空気を加熱し、加熱された空気の熱により吸着部6に吸着している有害化学ガスを脱着することができる。
【0056】
上記空気調和機11において好ましくは、吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタ10が、吸着部6と分解部7とを含む。これにより、吸着部6で有害化学ガスを吸着し、分解部7で吸着された有害化学ガスを除去することができる。そのため、空気調和機11の有害化学ガス除去フィルタである有害化学ガス除去フィルタ10は、有害化学ガスの除去率をより向上することができる。
【0057】
上記空気調和機11において好ましくは、運転時に、吸着部6により有害化学ガスを吸着させ、運転停止時または運転開始時の少なくともいずれか一方の時に、分解部7により吸着された有害化学ガスを分解する制御手段をさらに備えている。そのため、運転停止時または運転開始時の少なくともいずれか一方の時に吸着部6に、吸着した有害化学ガスを分解する。また、それ以外の時には、有害化学ガスを吸着して空気中の有害化学ガスを除去する。よって、空気調和機11は、効率的な運転をすることができる。
【0058】
上記空気調和機11において好ましくは、分解部7において吸着された有害化学ガスを分解する流速が、吸着部6において有害化学ガスが吸着される流速よりも遅い。これにより、分解部7を空気が通過する時の圧力損失を少なくし、消費電力の低減を図ることができる。
【0059】
次に、本発明の実施の形態1における空気調和機11の変形例について説明する。図3は、本発明の実施の形態1の変形例1における空気調和機の概略図であり、内部構造を示すため一部破断して図示している。図3を参照して、変形例1における空気調和機30の構成は、実施の形態1における空気調和機11と基本的には同様の構成を備えるが、エネルギー発生部の構成において、図1に示した空気調和機11と異なる。
【0060】
詳細には、エネルギー発生部は、加熱手段であるヒータ3としている。図3に示すように、ヒータ3は、吸着部6と分解部7とを備える有害化学ガス除去フィルタ10の外側に巻き付けるものとしている。
【0061】
実施の形態1における空気調和機11では、図1に示したように、空気の流れ方向(図1において矢印の方向)に対して、ヒータ3は吸着部6の上流の流路に配置されている。変形例1における空気調和機30では、図3に示すように、空気の流れ方向(図3において矢印の方向)に対して、ヒータ3は吸着部6および分解部7と同等の流路に配置されている。
【0062】
空気調和機30の動作は、実施の形態1における空気調和機11と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0063】
以上説明したように、変形例1における空気調和機30によれば、エネルギー発生部を有害化学ガス除去フィルタ10の外側に巻き付けている。これにより、変形例1における空気調和機30では、ヒータ3の配置より、脱着された有害化学ガスと有害化学ガス除去フィルタ10を同時に加熱することができる。そのため、分解部7では、有害化学ガスを脱着させるときに、ヒータ2により加熱する場合には、分解部7も高温となる。高温の環境下で有害化学ガスの分解が促進されるので、分解部7において有害化学ガスの分解はより速く進行する。よって、有害化学ガスの除去率をより向上することができる。
【0064】
図4は、本発明の実施の形態1の変形例2における空気調和機の概略図であり、内部構造を示すため一部破断して図示している。図4を参照して、変形例2における空気調和機40の構成は、実施の形態1における空気調和機11と基本的には同様の構成を備えるが、有害化学ガス除去フィルタ10の構成において、図1に示した空気調和機11と異なる。
【0065】
詳細には、図4に示すように、有害化学ガス除去フィルタ10は、吸着部6を、2個の分解部7で挟み込む形に配置している。
【0066】
空気調和機40の動作は、実施の形態1における空気調和機11と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0067】
以上説明したように、変形例2における空気調和機40によれば、有害化学ガス除去フィルタ10は吸着部6を2個の分解部7で挟み込むように配置されている。そのため、ヒータ3により温度を上げて吸着部6に吸着された有害化学ガスを脱着させた時に、有害化学ガスが逆流する場合であっても、逆流する有害化学ガスを空気の流れ方向の上流側の分解部7で分解することができる。よって、脱着した濃度の高い有害化学ガスが逆流して開口部1から室内に流入することを防ぐことができる。
【0068】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における空気調和機を示す概略図であり、内部構造を示すため一部破断して図示している。図5を参照して、本発明の実施の形態2における空気調和機を説明する。図5を参照して、本発明の実施の形態2における空気調和機50の構成は、基本的には本発明の実施の形態1における空気調和機と同様の構成を備えるが、エネルギー発生部において、図1に示した空気調和機11と異なる。
【0069】
詳細には、図5に示すように、空気調和機50はエネルギー発生部が過熱水蒸気発生手段12を含んでいる。過熱水蒸気発生手段12により発生する過熱水蒸気13により、吸着部6で吸着された有害化学ガスを脱着する。
【0070】
なお、「過熱水蒸気」とは、大気圧で100℃より高温の水蒸気を意味する。たとえば、気化した水分子を大気圧の下で100℃より高温に加熱することにより得られる。
【0071】
過熱水蒸気発生手段12は、過熱水蒸気を発生させるものである。過熱水蒸気発生手段12は、空気の流れ方向に対して、有害化学ガス除去フィルタ10の上流側に配置されている。
【0072】
送風手段2は、空気の流れ方向(図5において矢印の方向)において排気口8の手前に配置されている。また、制御手段5は、送風手段2と過熱水蒸気発生手段12とを制御する部材である。
【0073】
吸着部6は、実施の形態1と同様のものを用いているが、実施の形態2では、過熱水蒸気13に対する耐久性が高いものを用いることが好ましい。
【0074】
分解部7は、吸着部6から脱着した有害化学ガスの分解を促進するために、多孔質材料の表面の少なくとも一部に金属触媒を固定(担持)することが好ましい。なお、「多孔質材料の表面」とは、多孔質材料の表面の他、多孔質材料に形成されている細孔の表面をも含む。
【0075】
多孔質材料の表面に固定される金属触媒は、過熱水蒸気による有害化学ガスの分解を促進する金属触媒であることが好ましい。たとえば、Fe、Ni、Co、Cr、Mo、W、Ti、Au、Ag、Cu、Pt、Ta、Al、Pd、Gd、Sm、Nd、およびDyなどの金属触媒を用いることができる。
【0076】
次に、実施の形態2における空気調和機50の動作について説明する。基本的には、実施の形態1における空気調和機11の動作と同様であるが、脱着工程(S20)において実施の形態1における空気調和機11と異なる。
【0077】
まず、空気調和機50では吸着工程(S10)を実施する。この工程は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0078】
次に、脱着工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、過熱水蒸気発生手段12を起動させて、過熱水蒸気13を発生させる。吸着部6に吸着している有害化学ガスに過熱水蒸気13を吹き付ける。過熱水蒸気13を吸着部6に吸着している有害化学ガスに接触させると、過熱水蒸気13の有する高い伝熱能力により気体の熱脱着が行われる。すなわち、有害化学ガスが過熱されて、吸着部6より脱着される。
【0079】
次に、分解工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、脱着工程(S20)により脱着された有害化学ガスは、分解部7において、過熱水蒸気13の有する高い伝熱能力が働き、触媒と熱とにより酸化分解が行なわれる。すなわち過熱水蒸気13の熱により触媒反応を活性化して、有害化学ガスは分解される。そして、有害化学ガスが分解されて無害となった分解ガスは、送風手段2により、排気口8から排出される。
【0080】
なお、過熱水蒸気13は、上述したように吸着部6に吸着されている有害化学ガスを脱着するとともに、脱着した有害化学ガスを分解する能力を有している。
【0081】
次に、過熱水蒸気により有害化学ガスが脱着されるメカニズムについて説明する。過熱水蒸気は大気圧で100℃以上であるため、過熱水蒸気13が吸着部6と接触すると、吸着部6は加熱される。かかる過熱水蒸気13による加熱は、対流伝熱および放射伝熱に加えて、加熱対象物の表面において水蒸気の凝縮による移動熱量の大きな凝縮伝熱が起こる。そのため、対流伝熱のみに加熱された乾燥空気による加熱に比べ、加熱対象物である吸着部6の温度を極めて短時間に上昇させることができる。すなわち、過熱水蒸気は、(1)乾燥空気より物質を乾燥させる能力がある、(2)乾燥空気より熱を伝える効率が高い、(3)乾燥空気より物質を燃焼させる能力がある、などの特性を有している。よって、過熱水蒸気の上記(2)および(3)の特性を利用すると、有害化学ガスを吸着した吸着部6に過熱水蒸気13を接触させることにより、有害化学ガスは熱脱着を行う。
【0082】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における空気調和機50によれば、エネルギー発生部が過熱水蒸気発生手段12を含む。そのため、過熱水蒸気発生手段12により発生する過熱水蒸気13の有する高い伝熱能力により、吸着部6においては有害化学ガスの熱脱着が行なわれる。よって、吸着部6に吸着している有害化学ガスを脱着することができる。
【0083】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における空気調和機を示す概略図であり、内部構造を示すため一部破断して図示している。図6を参照して、本発明の実施の形態3における空気調和機を説明する。図6を参照して、本発明の実施の形態3における空気調和機60の構成は、基本的には本発明の実施の形態1における空気調和機と同様の構成を備えるが、有害化学ガス除去フィルタおよびエネルギー発生部において、図1に示した空気調和機11と異なる。具体的には、実施の形態3における空気調和機60はエネルギー発生部が電界発生手段を含んでいる。
【0084】
詳細には、有害化学ガス除去フィルタ10は、電界により有害化学ガスを吸着・分解して除去する。図6に示すように、有害化学ガス除去フィルタ10を構成している吸着部6は、基板14と、導電性薄膜15と、導電性ナノワイヤ16と、カーボンナノワイヤ17と、絶縁膜20と、外枠22とを備えている。基板14上に導電性薄膜15が形成されている。導電性薄膜15上で外枠22と対向する側に導電性ナノワイヤ16が設けられている。導電性薄膜15および導電性ナノワイヤ16を介してカーボンナノワイヤ17が基板14と接続されている。
【0085】
基板14は、たとえばグラファイト、金属、ガラスおよびセラミックスなどを用いることができる。導電性薄膜15は、たとえばAlおよびAgなどを用いることができる。導電性ナノワイヤ16は、たとえばCNF(カーボンナノファイバー)、CNW(カーボンナノワイヤ)、金属ナノワイヤ(Ag、Auなど)、半導体ナノワイヤなどを用いることができる。絶縁膜20は、たとえばシリカ、アルミナなどを用いることができる。
【0086】
また、有害化学ガス除去フィルタ10を構成している分解部7は、吸着部6の構成に加えてさらに酸化触媒18を備えている。酸化触媒18は、カーボンナノワイヤ17の表面に担持させている。酸化触媒18は、たとえば実施の形態1の分解部7で用いる金属触媒と同様のものを用いることができる。
【0087】
電界発生手段は、基板14と、基板14の表面上に形成されている導電性薄膜15と、基板14を非接触で取り囲む導電性の外枠22とを備える。基板14と外枠22との間に電圧を印加することにより電界は形成され、基板14に印加する電圧を消失させることにより電界の形成を消失させる。具体的には、外枠22は接地電位21とし、基板14を正電位として用いることができる。基板14と外枠22とが電気的に接触し、直流放電等が発生するのを避けるために、外枠22の表面上で基板と対向する側に絶縁膜20が設けられている。
【0088】
次に、実施の形態3における空気調和機60の動作について説明する。基本的には、実施の形態1における空気調和機11の動作と同様である。
【0089】
まず、空気調和機50では吸着工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、まず、電源4をONにして空気調和機60を起動させて通常動作を開始する。この際、送風手段2により、有害化学ガスを含む室内の空気は、吸気口1、吸着部6、ヒータ3、分解部7、排気口8の順に(図6において矢印の方向に)流れる。
【0090】
そして、吸着部6において、基板14と外枠22との間に30V〜200Vの電圧を印加すると、カーボンナノワイヤ17近傍に強い電界が誘起される。室内空気の循環において、室内の空気が吸着部6を通過する際に、空気中の有害化学ガスの有極性分子が、電界により引き寄せられてカーボンナノワイヤ17に吸着する。
【0091】
次に、脱着工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、吸着部6において基板14と外枠22との間に印加している電圧を消失させる。吸着工程(S10)では静電気的な作用を用いて有害化学ガスを吸着しているため、電圧を印加することをやめて電界を除去すると、静電吸着された分子の離脱が起こる。これにより、カーボンナノワイヤ17表面の有害化学ガスが脱着される。
【0092】
次に、分解工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、分解部7において、基板14と外枠22との間に30V〜200Vの電圧を印加する。そして、ヒータ3をOONとして、分解部7に流れる空気を暖める。分解部7においては、酸化触媒18の微粒子で被われたカーボンナノワイヤ17には有極性分子の有害化学ガスが電界により吸着される。この際、熱的なエネルギーと付加的な小さな静電エネルギーをもった酸素も、存在量が多いために頻繁にカーボンナノワイヤ17近傍に到来する。この酸素と酸化触媒18との作用により有害化学ガスの酸化反応が促進される。そして、酸化反応して無害のガスとなった有害化学ガスの分解ガスは、送風手段2により、排気口8から排出される。
【0093】
次に、電界により有害化学ガスが無害のガスに分解されるメカニズムについて説明する。カーボンナノワイヤ17の周囲に空間的に変化する電界を存在させて、該電界が存在する領域を通過する気体分子がその影響を受けることを利用して、異なる分子間の分離を行なっている。
【0094】
まず、吸着のメカニズムについて説明する。電界Eに置かれた分子は、その双極子モーメントをp、分極率をα、電界強度をFとすると、E=−pF−αF2/2の静電エネルギーを付与される。電界強度が場所によって変化する場合、静電エネルギーも場所によって変化する。その結果、電界中に存在する分子には静電エネルギーの位置微分に相当する力が働き、その影響が大きい場合には電界強度の強いカーボンナノワイヤ17の表面に引き寄せられる。このような効果を利用することにより、酸素や窒素のような無極性分子と区別して、有極性分子である有害化学ガスを選択的にカーボンナノワイヤ17の表面に吸着して分離することができる。
【0095】
次に、脱着のメカニズムについて説明する。基板14に印加する電圧を消失させることにより電界の形成を消失させると、上記のような静電エネルギーが消失する。すると、静電エネルギーにより吸着されていた有極性分子である有害化学ガスは、その吸着力を失い、カーボンナノワイヤ17から脱着する。
【0096】
次に、分解のメカニズムについて説明する。分解部7では、電界の効果でカーボンナノワイヤ17表面に引き寄せられた有極性分子がカーボンナノワイヤ17表面に存在する酸化触媒18と効果的に接触して酸化されて無極性分子となる。無極性分子となると吸着することができなくなるので、カーボンナノワイヤ17から剥離する。
【0097】
以上説明したように、本発明の実施の形態3における空気調和機60によれば、エネルギー発生部が電界発生手段を含む。そのため、電界発生手段により形成される電界により、吸着部6において有害化学ガスの脱着が行なわれる。よって、吸着部6に吸着している有害化学ガスを脱着することができる。
【0098】
また、有害化学ガス除去フィルタ10における吸着・分解を電界により行なっている。そのため、電界を形成することにより、有極性分子である有害化学ガスを容易に吸着・分解することができる。また、電界の形成を消失することにより、有極性分子である有害化学ガスを容易に脱着することができる。
【実施例1】
【0099】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、吸着部6の動作について確認した。具体的には、吸着部6は、銀イオンを触媒量として2.0g/L担持させた20gのペレット状のゼオライトを用いた。室温25℃の環境下で、有害化学ガスとして100ppmの濃度の一酸化炭素を含む空気を、流速100ml/minとして流した。吸着部6のワンパス試験(1回の通過)を行ない、吸着部6を通過する前後の一酸化炭素の濃度比較を行ない、吸着率を測定した。
【0100】
その結果、約78%という高い割合の一酸化炭素が、吸着部6の銀イオンゼオライトに吸着された。この吸着のメカニズムは、以下の通りである。一酸化炭素の分子の大きさは約28nmであり、ゼオライトの細孔は28nmよりもやや大きい。そのため、ゼオライトの細孔に一酸化炭素が入り込むようにして、一酸化炭素がゼオライトに吸着された。
【0101】
また、一酸化炭素の吸着後に約200℃で加熱を行なうと、吸着された一酸化炭素が脱着された。
【実施例2】
【0102】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、吸着部6の動作について確認した。具体的には、吸着部6は、直径55mm、厚さ5mmのセラミックハニカム(組成SiO−Al−MgO)に、密度が約1010個/cm2のCNF(カーボンナノファイバー)を付着させたものを用いた。そして、室温25℃の環境下で、有害化学ガスとして46ppbの濃度のトルエンを含む空気を、流速50ml/minとして流した。吸着部6のワンパス試験を行ない、吸着部6を通過する前後のトルエンの濃度比較を行ない、吸着率を測定した。
【0103】
その結果、約99%という非常に高い割合のトルエンが、吸着部6のCNF担持セラミックハニカムに吸着された。この吸着は、CNFとベンゼン環を有するトルエンとの電子的な親和性により生じた。
【0104】
また、トルエンの吸着後に約300℃で加熱を行なうと、吸着されたトルエンが脱着された。
【実施例3】
【0105】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、吸着部6の動作について確認した。具体的には、吸着部6は、直径55mm、厚さ5mmのセラミックハニカムに、密度が約1010個/cm2のCNFを付着させたものを用いた。そして、室温25℃の環境下で、有害化学ガスとして40ppbの濃度のキシレンを含む空気を、流速50ml/minで流した。吸着部6のワンパス試験を行ない、吸着部6を通過する前後のキシレンの濃度比較を行ない、吸着率を測定した。
【0106】
その結果、約99.8%という非常に高い割合のトルエンが、吸着部6のCNF担持セラミックハニカムに吸着された。この吸着は、CNFとベンゼン環を有するキシレンとの電子的な親和性により生じた。
【0107】
また、キシレンの吸着後に約300℃で加熱を行なうと、吸着されたキシレンが脱着された。
【実施例4】
【0108】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、吸着部6の動作について確認した。具体的には、吸着部6は、直径55mm、厚さ5mmのセラミックハニカムに、密度が約1010個/cm2のCNFを付着させたものを用いた。そして、室温25℃の環境下で、有害化学ガスとして65ppbの濃度のホルムアルデヒドを含む空気を、流速50ml/minで流した。吸着部6のワンパス試験を行ない、吸着部6を通過する前後のホルムアルデヒドの濃度比較を行ない、吸着率を測定した。
【0109】
その結果、約56.4%という高い割合のホルムアルデヒドが、吸着部6のCNF担持セラミックハニカムに吸着された。この吸着は、CNFとホルムアルデヒドとの電気的な親和性により生じた。
【0110】
また、ホルムアルデヒドの吸着後に約300℃で加熱を行なうと、吸着されたホルムアルデヒドが脱着された。
【実施例5】
【0111】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、分解部7の動作について確認した。具体的には、分解部7は、直径55mm、厚さ5mmのセラミックハニカムに、密度が約1010個/cm2のCNFを付着させ、CNFの先端表面にNiからなる触媒を2.0g/L担持させた。そして、有害化学ガスとして100ppmの濃度の一酸化炭素を含む空気を、流速20ml/minで流した。その際、200℃で加熱処理を行なった。分解部7のワンパス試験を行ない、分解部7を通過する前後の一酸化炭素の濃度比較を行ない、分解率を測定した。
【0112】
その結果、約100%という非常に高い割合の一酸化炭素が、分解部7のCNF担持セラミックハニカムで除去された。この分解のメカニズムが以下の通りである。CNFは表面積が大きいため、CNFと一酸化炭素との接触する表面積が大きい。その表面に酸化触媒であるNiを担持させることにより、一酸化炭素分子の酸化触媒への衝突の確率が高くなった。そのため、効率よく一酸化炭素を二酸化炭素に酸化することができた。
【0113】
また、触媒をAg、CuOについても同様に実施した。その結果、分解部7での一酸化炭素の除去率は、Ni触媒の場合とほぼ同様の結果となった。
【実施例6】
【0114】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、分解部7の動作について確認した。具体的には、分解部7は、直径55mm、厚さ5mmのセラミックハニカムにAgからなる触媒を2.0g/L担持させた。有害化学ガスとして100ppmの濃度の一酸化炭素を含む空気を、流速20ml/minで流した。その際、200℃で加熱処理を行なった。分解部7のワンパス試験を行ない、分解部7を通過する前後の一酸化炭素の濃度比較を行ない、分解率を測定した。
【0115】
その結果、分解部7の担持触媒Agで、約85%という高い割合の一酸化炭素が、無害の二酸化炭素に酸化されて除去できた。この分解は、表面積を高めたハニカムに担持させた酸化触媒であるAgに一酸化炭素を衝突させ、一酸化炭素を酸化させることにより生じた。
【0116】
また、触媒をCuO、Ni、Ptについても同様に実施した。その結果、CuOの場合の分解部7での一酸化炭素の除去率は、Agと同様であった。Niの場合の除去率は、約98%、Ptの場合の除去率は100%と非常に高い除去率となった。
【実施例7】
【0117】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、分解部7の動作について確認した。具体的には、分解部7は、直径55mm、厚さ50mmの金属ハニカム(Fe−Cr−Al)にPtからなる触媒を2.0g/L担持させた。有害化学ガスとして550ppmの濃度のトルエンを含む空気を、流速20ml/minで流した。その際、300℃で加熱処理を行なった。分解部7のワンパス試験を行ない、分解部7を通過する前後のトルエンの濃度比較を行ない、分解率を測定した。
【0118】
その結果、分解部7の担持触媒Ptで約100%という高い割合のトルエンが、無害の安息香酸に酸化されて除去できた。この分解は、表面積を高めたハニカムに担持させた酸化触媒であるPtにトルエンを衝突させトルエンを酸化させることにより生じた。
【実施例8】
【0119】
実施の形態1における空気調和機11の構造を作製して、分解部7の動作について確認した。具体的には、分解部7は、直径55mm、厚さ50mmの金属ハニカム(Fe−Cr−Al)にPtからなる触媒を2.0g/L担持させた。有害化学ガスとして550ppmの濃度のキシレンを含む空気を、流速20ml/minで流した。その際、300℃で加熱処理を行なった。分解部7のワンパス試験を行ない、分解部7を通過する前後のキシレンの濃度比較を行った。
【0120】
その結果、分解部7の担持触媒Ptで、約100%という高い割合のキシレンが、フタル酸、イソフタル酸、あるいはテレフタル酸に酸化されて除去された。この分解は、表面積を高めたハニカムに担持させた酸化触媒であるPtにキシレンを衝突させ、キシレンを酸化させることにより生じた。
【0121】
なお、実施例1〜8では、評価を単純化するために、吸着部6と分解部7との評価を分けて行なった。実際には、実施の形態1に記載のように、実施例1〜4の吸着部6と実施例5〜8の分解部7を組み合わせて空気調和機11の有害化学ガス除去フィルタ10を構成する。実施例1〜4の吸着部6は、有害化学ガスを高い吸着率で吸着した。実施例5〜8の分解部7は、有害化学ガスを高い除去率で除去した。そのため、実施例1〜4の吸着部6と実施例5〜8の分解部7を組み合わせて有害化学ガス除去フィルタ10を構成することにより、有害化学ガスの除去率を向上することができた。
【実施例9】
【0122】
実施の形態2における空気調和機50の構造を作製して、空気調和機50の動作について確認した。まず、吸着部6について実施の形態2の方法で動作した。具体的には、吸着部6は、多孔質材料として質量100mgのAl多孔質体を用いた。有害化学ガスとして10ppmの濃度のホルムアルデヒドを含む空気を、流速100ml/minで吸着部6に流した。吸着部6のワンパス試験を行なうサイクル工程を4回繰り返し、吸着部6を通過する前後のホルムアルデヒドの濃度比較を行った。
【0123】
その結果、1回目の吸着部6の除去率は98%、2回目の吸着部6の除去率は95%、3回目の吸着部6の除去率は81%、4回目の吸着部6の除去率は62%と高い割合であった。
【0124】
次に、吸着部6および分解部7を含む有害化学ガス除去フィルタ10を構成する空気調和機50について実施の形態2の方法で動作した。具体的には、分解部7は、多孔質材料として質量100mgのAl多孔質体の表面に、金属触媒である粒径10nmのNi粒子を5mg担持させた。吸着部6は、上記の100mgのAl多孔質体を用いた。上記と同様にして各回のホルムアルデヒドのワンパス通気試験を行なった後に、過熱水蒸気発生手段12により発生させた大気圧下で300℃の過熱水蒸気150mlと、エタノール蒸気0.1ppmを含む乾燥空気50mlとを吸着部6および分解部7の多孔質材料に吹き付けた。
【0125】
その結果、過熱水蒸気により、吸着部6に吸着したホルムアルデヒドは脱着した。この脱着は、エネルギー発生部である過熱水蒸気発生手段12により発生する過熱水蒸気13の有する高い伝熱能力により、ホルムアルデヒドの熱脱着が生じた。
【0126】
その後、次のワンパス通気試験を行なった。このサイクル工程(吸着工程、脱着工程、および分解工程)を4回繰り返した。そして、各回のワンパス通気試験において、吸気口1に流入するホルムアルデヒドに対して排気口8から排出されるホルムアルデヒドが除去された割合であるホルムアルデヒドの除去率を算出した。
【0127】
その結果、各回のワンパス試験におけるホルムアルデヒドの除去率は、いずれも100%であった。この分解は、過熱水蒸気の有する高い伝熱能力により、および触媒と熱により、酸化分解が生じた。
【0128】
また、ワンパス試験後毎に、ホルムアルデヒドを吸着した吸着部6の多孔質材料に、大気圧下で300℃の過熱水蒸気13を吹き付けることにより、ホルムアルデヒドが脱着された。過熱水蒸気13による脱着工程(S20)により、吸着部6の多孔質材料に吸着されていたホルムアルデヒドの除去効率が高く維持できた。脱着したホルムアルデヒドは、分解部7においてNi触媒により酸化反応が促進されて、水と二酸化炭素とに酸化分解された。
【0129】
実施例9においては、脱着工程(S20)と分解工程(S30)とにおいて過熱水蒸気処理を行っているが、特にこれに限定されない。たとえば、脱着工程(S20)にのみ過熱水蒸気発生手段12を起動して吸着部6に過熱水蒸気13を吹き付けることもできる。
【0130】
なお、実施例9では、評価を単純化するために、吸着部6および分解部7に過熱水蒸気を用いた場合の評価例を行なった。実際には、実施形態1の実施例1〜8と実施形態2の実施例9とを組み合せて行ってもよい。たとえば吸着部6には、実施例1〜実施例4の吸着部6を用い、分解部7には、実施例9の分解部を用いることもできる。
【実施例10】
【0131】
実施の形態3における空気調和機60の構造を作製して、吸着部6の動作について確認した。具体的には、吸着部6において、基板14と外枠22との間に電圧30Vを印加した。有害化学ガス除去フィルタ10の温度を約25℃に設定した。そして、吸着部6に有害化学ガスとして0.1ppmの濃度のホルムアルデヒドを含む空気を、流速1ml/minとして流した。吸着部6のワンパス試験を行ない、吸着部6を通過する前後のホルムアルデヒドの濃度比較を行った。
【0132】
その結果、カーボンナノワイヤ17近傍に強い電界が誘起され、有極性分子のホルムアルデヒドが引き寄せられて、カーボンナノワイヤ17表面にホルムアルデヒドが吸着した。一方、酸素及び窒素は吸着されることなく吸着部6を通過した。ホルムアルデヒドの吸着率は、約50%であった。
【0133】
また、電界により静電的な作用を用いているため、電界を除去すると静電力により吸着された分子の脱離が起こった。そこで、再度吸着部6に30Vの電圧を印加すると、最初の電圧印加時と同様に約50%の吸着率でホルムアルデヒドが吸着した。これにより、実施例10では、カーボンナノワイヤ17表面は回復し、吸着部6の寿命が短くなることを防止できた。
【実施例11】
【0134】
実施の形態3における空気調和機60の構造を作製して、分解部7の動作について確認した。具体的には、分解部7では、カーボンナノワイヤ17の表面に、酸化触媒18としてAgの微粒子を担持させた。分解部7において、基板14と外枠22との間に電圧30Vを印加した。有害化学ガス除去フィルタ10の温度を約200℃に設定した。そして、分解部7に有害化学ガスとして0.1ppmの濃度のホルムアルデヒドを含む空気を、流速1ml/minとして流した。吸着部6のワンパス試験を行ない、吸着部6を通過する前後のホルムアルデヒドの濃度比較を行った。
【0135】
その結果、Ag微粒子が担持しているカーボンナノワイヤ17には、有極性分子のホルムアルデヒドが電界吸着されるが、熱的なエネルギーと付加的な小さな静電エネルギーをもった酸素も、存在量が多いために頻繁にカーボンナノワイヤ17近傍に到来した。そして、酸化触媒18であるAgとの作用により、ホルムアルデヒドの酸化反応が促進されて、二酸化炭素と水に分解された。ホルムアルデヒドの除去率は、約80%と高い割合であった。
【実施例12】
【0136】
実施の形態3における空気調和機60の構造を作製して、分解部7の動作について確認した。具体的には、分解部7では、カーボンナノワイヤ17の表面に、酸化触媒18としてPtの微粒子を担持させた。分解部7において、基板14と外枠22との間に電圧20Vを印加した。有害化学ガス除去フィルタ10の温度を約300℃に設定した。そして、分解部7に有害化学ガスとして0.1ppmの濃度のホルムアルデヒドと、0.2ppmの濃度のトルエンと、0.1ppmの濃度の一酸化炭素とを含む空気を、流速1ml/minとして流した。吸着部6のワンパス試験を行ない、吸着部6を通過する前後の有害化学ガスの濃度比較を行った。
【0137】
その結果、Pt微粒子が担持しているカーボンナノワイヤ17には、有極性分子のホルムアルデヒドと、一酸化炭素と、トルエンとが電界吸着されるが、熱的なエネルギーと付加的な小さな静電エネルギーをもった酸素も、存在量が多いために頻繁にカーボンナノワイヤ17近傍に到来した。そして、酸化触媒18であるPtとの作用により、ホルムアルデヒド、トルエン、および一酸化炭素の酸化反応が促進されて、無害のガスに酸化された。ホルムアルデヒドの除去率は約80%、トルエンの除去率は約55%、一酸化炭素の除去率は約30%と高い割合であった。
【0138】
一酸化炭素は、双極子モーメントが低いため、ホルムアルデヒドおよびトルエンの除去率より低かった。一酸化炭素の除去率を向上させる場合には、30Vよりも大きな電圧を印加して、大きな電界を形成することにより達成することができた。
【0139】
実施例12においては、脱着工程(S20)と分解工程(S30)とに電界発生手段により電界を用いているが、特にこれに限定されない。たとえば、脱着工程(S20)にのみ電界発生手段により電界を形成することもできる。
【0140】
なお、実施例12では、評価を単純化するために、吸着部6と分解部7とに電界を利用した場合の評価例を行なった。実際には、実施形態1の実施例1〜8と、実施形態2の実施例9と、実施の形態3の実施例10〜12とを組み合せて行ってもよい。たとえば吸着部6には、実施例10の吸着部6を用い、分解部7には、実施例5〜8の分解部を用いることもできる。
【0141】
今回開示した上記実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の内部構造を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1における空気調和機の有害化学ガス除去方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1の変形例1における空気調和機の内部構造を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態1の変形例2における空気調和機の内部構造を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態2における空気調和機の内部構造を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態3における空気調和機の内部構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0143】
1 吸気口、2 送風手段、3 ヒータ、4 電源、5 制御手段、6 吸着部、7 分解部、8 排気口、9 スイッチ、10 有害化学ガス除去フィルタ、10a 筒状ケース、11,30,40,50,60 空気調和機、12 過熱水蒸気発生手段、13 過熱水蒸気、14 基板、15 導電性薄膜、16 導電性ナノワイヤ、17 カーボンナノワイヤ、18 酸化触媒、20 絶縁膜、21 接地電位、22 外枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害化学ガスを有害化学ガス除去フィルタに吸着する吸着工程と、
前記有害化学ガス除去フィルタに吸着された有害化学ガスを分解する分解工程とを備えた、空気調和機の有害化学ガス除去方法。
【請求項2】
前記分解工程は、前記吸着工程において前記有害化学ガス除去フィルタに吸着された有害化学ガスを前記有害化学ガス除去フィルタから脱着させる脱着工程を含む、請求項1に記載の空気調和機の有害化学ガス除去方法。
【請求項3】
前記分解工程において前記吸着工程で吸着された有害化学ガスを分解する流速が、前記吸着工程において有害化学ガスを吸着する流速よりも遅いことを特徴とする、請求項1または2に記載の空気調和機の有害化学ガス除去方法。
【請求項4】
前記吸着工程は、室内温度で有害化学ガスを前記有害化学ガス除去フィルタに吸着することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和機の有害化学ガス除去方法。
【請求項5】
有害化学ガスを吸着・分解する有害化学ガス除去フィルタと、
前記有害化学ガス除去フィルタに吸着された有害化学ガスを脱着させるためのエネルギー発生部とを備えた、空気調和機。
【請求項6】
前記エネルギー発生部が加熱手段を含む、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記エネルギー発生部が過熱水蒸気発生手段を含む、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記エネルギー発生部が電界発生手段を含む、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記有害化学ガス除去フィルタが、吸着部と分解部とを含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項10】
運転時に、前記吸着部により有害化学ガスを吸着させ、運転停止時または運転開始時の少なくともいずれか一方の時に、前記分解部により吸着された有害化学ガスを分解する制御手段をさらに備えた、請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記分解部において吸着された有害化学ガスを分解する流速が、前記吸着部において有害化学ガスが吸着される流速よりも遅いことを特徴とする、請求項9または10に記載の空気調和機。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか1項に記載の空気調和機に用いられる有害化学ガス除去フィルタであって、
有害化学ガスを吸着する吸着部と、
前記吸着部で吸着された前記有害化学ガスを分解する分解部とを備えた、有害化学ガス除去フィルタ。
【請求項13】
前記吸着部が室内温度で有害化学ガスを吸着する、請求項12に記載の有害化学ガス除去フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−125458(P2007−125458A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318403(P2005−318403)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】