説明

空気調和機

【課題】メンテナンス性に優れた室内機を提供する。
【解決手段】この室内機は、エアフィルタ50と、エアフィルタ50に近接し、且つ、エアフィルタ50の幅方向に沿って配置され、エアフィルタ50に付着した塵埃を除去するブラシ70と、前記幅方向に沿って配置され、回転可能に軸支された圧縮ロッド71とを備えている。そして、エアフィルタ50は、前記幅方向に直交する移動方向に沿って移動可能であって、移動方向に沿って形成された複数の縦支持枠53aと、複数の縦支持枠53aの間において塵埃を捕集するメッシュ部54とを含み、圧縮ロッド71は、複数の縦支持枠53aに対応する部分に設けられた支持部71cによって回転可能に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エアフィルタに付着した塵埃を除去する機能を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機においては、吸込口から吸い込んだ室内空気を、熱交換器を通過させることにより冷却または加熱して室内へと吹き出すが、吸込口から吸い込んだ空気中に浮遊する塵埃が熱交換器を汚染するのを防止するため、熱交換器の上流側にエアフィルタが設けられている。このエアフィルタに塵埃が付着して目詰まりが生じて通風抵抗が増大すると、空気調和機の空調能力が低下すると共に、消費電力が増大する。このような不都合を解消するため、エアフィルタに付着した塵埃を自動的に清掃するフィルタ清掃ユニットを備えた空気調和機が種々提案されている。
【0003】
この種のフィルタ清掃ユニットを備えた空気調和機では、清掃ブラシによってエアフィルタから掻き出された塵埃をダストボックスに収容するようになっており、ユーザは、定期的にダストボックスを取り外して、そのダストボックスに収容される塵埃を捨てる必要がある。
【0004】
そこで、ダストボックスに関するメンテナンス作業の負荷を低減するために、ダストボックス内に収容された塵埃を圧縮することによって、ダストボックス内に収容し得る塵埃の量を増加させた空気調和機が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−347246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示される空気調和機では、ダストボックスの内部に、ブラシによってエアフィルタから離脱された塵埃を掻き込む掻込部と、その掻込部によって掻き込まれた塵埃を押し込む押込部とを設けて、その掻込部及び押込部をそれぞれ別個の駆動モータにより回転させることにより、ダストボックスに収容された塵埃を圧縮するようにしている。しかしながら、押込部を回転させることによってエアフィルタに付着した塵埃を押し込む構成では、押込部を回転可能に支持する支持部において塵埃を移動させることができず、当該塵埃が押込部の近傍にいつまでも残余してしまう。このため、エアフィルタから離脱された塵埃を所定の箇所に集めることができず、メンテナンス性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、メンテナンス性に優れた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる空気調和機は、エアフィルタと、エアフィルタに近接し、且つ、所定の第1方向に沿って配置され、エアフィルタに付着した塵埃を除去する塵埃除去手段と、第1方向に沿って配置され、回転可能に軸支された塵埃搬送手段とを備え、エアフィルタは、塵埃搬送手段に対して相対的に所定の移動方向に沿って移動可能であって、移動方向に沿って形成された複数の支持枠と、複数の支持枠の間において塵埃を捕集するメッシュ部とを含み、塵埃搬送手段は、複数の支持枠に対応する部分の少なくとも1つに設けられた支持部によって回転可能に支持される。
【0008】
この空気調和機では、塵埃が付着しない支持枠に対応する部分に、塵埃搬送手段を回転可能に軸支する支持部を設けることによって、塵埃搬送手段により搬送されない塵埃が生じるのを抑制することができる。これにより、エアフィルタから除去された塵埃をスムーズに所定の箇所(例えば、ダストボックス)に収容することが可能となるので、メンテナンス性が向上する。
【0009】
第2の発明にかかる空気調和機は、第1の発明にかかる空気調和機において、塵埃除去手段には第1ギアが設けられると共に、塵埃搬送手段には第1ギアに噛み合う第2ギアが設けられ、第1ギア及び第2ギアは、複数の支持枠に対応する部分の少なくとも1つに設けられる。
【0010】
この空気調和機では、塵埃が付着しない支持枠に対応する部分に第1ギア及び第2ギアを設けることによって、当該第1ギアと第2ギアとの間に塵埃が入り込んでしまうのを抑制することができる。その結果、第1ギアと第2ギアとの間における塵埃の噛み込みに起因する故障の原因を予防することができる。
【0011】
第3の発明にかかる空気調和機は、複数のエアフィルタと、複数のエアフィルタの幅方向に沿って配置され、複数のエアフィルタに付着した塵埃を除去する塵埃除去手段と、複数のエアフィルタの幅方向に沿って配置され、回転可能に軸支された塵埃搬送手段とを備え、各エアフィルタは、塵埃搬送手段に対して相対的に所定の移動方向に沿って移動可能であって、塵埃搬送手段は、複数のエアフィルタの間に対応する部分の少なくとも1つに設けられた支持部によって回転可能に支持される。
【0012】
この空気調和機では、塵埃が付着しないエアフィルタの間に対応する部分に、塵埃搬送手段を回転可能に軸支する支持部を設けることによって、塵埃搬送手段により搬送されない塵埃が生じるのを抑制することができる。これにより、エアフィルタから除去された塵埃をスムーズに所定の箇所(例えば、ダストボックス)に収容することが可能となるので、メンテナンス性が向上する。
【0013】
第4の発明にかかる空気調和機は、第3の発明にかかる空気調和機において、塵埃除去手段には第1ギアが設けられると共に、塵埃搬送手段には第1ギアに噛み合う第2ギアが設けられ、第1ギア及び第2ギアは、複数のエアフィルタの間に対応する部分の少なくとも1つに設けられる。
【0014】
この空気調和機では、塵埃が付着しないエアフィルタの間に対応する部分に第1ギア及び第2ギアを設けることによって、当該第1ギアと第2ギアとの間に塵埃が入り込んでしまうのを抑制することができる。その結果、第1ギアと第2ギアとの間における塵埃の噛み込みに起因する故障の原因を予防することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
第1の発明では、塵埃が付着しない支持枠に対応する部分に、塵埃搬送手段を回転可能に軸支する支持部を設けることによって、塵埃搬送手段により搬送されない塵埃が生じるのを抑制することができる。これにより、エアフィルタから除去された塵埃をスムーズに所定の箇所(例えば、ダストボックス)に収容することが可能となるので、メンテナンス性が向上する。
【0017】
また、第2の発明では、塵埃が付着しない支持枠に対応する部分に第1ギア及び第2ギアを設けることによって、当該第1ギアと第2ギアとの間に塵埃が入り込んでしまうのを抑制することができる。その結果、第1ギアと第2ギアとの間における塵埃の噛み込みに起因する故障の原因を予防することができる。
【0018】
また、第3の発明では、塵埃が付着しないエアフィルタの間に対応する部分に、塵埃搬送手段を回転可能に軸支する支持部を設けることによって、塵埃搬送手段により搬送されない塵埃が生じるのを抑制することができる。これにより、エアフィルタから除去された塵埃をスムーズに所定の箇所(例えば、ダストボックス)に収容することが可能となるので、メンテナンス性が向上する。
【0019】
また、第4の発明では、塵埃が付着しないエアフィルタの間に対応する部分に第1ギア及び第2ギアを設けることによって、当該第1ギアと第2ギアとの間に塵埃が入り込んでしまうのを抑制することができる。その結果、第1ギアと第2ギアとの間における塵埃の噛み込みに起因する故障の原因を予防することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明に係る空気調和機の室内機について説明する。
【0021】
〔基本構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る室内機1を前方斜め上から見た模式的斜視図である。
図2は、図1に示す室内機1を前方から見た模式図である。
図3は、図2に示す室内機1のA−A断面模式図である。
図4は、図2に示す室内機1の前面パネル20を取り外した模式図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に取り付けられるものである。尚、以下の説明において、室内機1の長手方向を単に「長手方向」と称する。また、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。
【0023】
この室内機1は、本体ユニット10(本体)と、本体ユニット10の前面に取り付けられる前面パネル20とを有して構成される。
【0024】
〔本体ユニット〕
図3に示すように、本体ユニット10は、本体ケーシング11と、室内熱交換器12と、クロスフローファン13と、電装品ユニット14と、フィルタユニット15と、清掃ユニット16と、前面グリル17とを有して構成される。
【0025】
室内熱交換器12、クロスフローファン13、電装品ユニット14、及びフィルタユニット15は、本体ケーシング11に取り付けられている。
【0026】
電装品ユニット14は、商用電源(交流100V又は交流200V)に接続される電源入力部としての端子盤、交流回路部、直流高圧回路部、直流低圧回路部、CPU制御部等の電装品と、当該電装品を内部に収容する電装品箱41と、当該電装品箱41の前面に取り付けられた発光表示部42(図4参照)とを有して構成される。
【0027】
電装品箱41は、本体ユニット10の長手方向に細長く延びる略直方体状の外形を有しており、内部に収容された電装品の周囲を覆うケースである。当該電装品箱41は、ドレンパン11cの前方の位置において、本体ユニット10の長手方向に延びるドレンパン11cと略平行に並んだ状態で、発光表示部42を前方に向けて配置されている。
【0028】
発光表示部42は、複数並べて設置されたLEDを有し、これらのLEDが発光して所定の文字等を表示することが可能な表示部である。当該発光表示部42の前方は前面パネル20により覆われることになるが、当該前面パネル20を透過する光を発することで、外部から発光表示部42の表示を視認することが可能である。
【0029】
尚、この発光表示部42は、電装品箱41の前面よりも前方に突出するように設けられている。即ち、発光表示部42の表示面が電装品箱41の前面よりも前方に配置される。これにより、前面パネル20の裏面を当該発光表示部42の表示面に確実に密着させることができ、結果として発光表示部42の表示が外部から視認しやすくなる。
【0030】
前面グリル17は、室内熱交換器12、クロスフローファン13、電装品ユニット14、及びフィルタユニット15等の構成部材を覆うように本体ケーシング11の前面に取り付けられている。
【0031】
室内熱交換器12は、本体ケーシング11に対して、前側熱交換器12aと後側熱交換器12bとを逆V字状に配置して構成されたプレートフィン形の熱交換器である。尚、本実施形態の室内機1においては、前側熱交換器12aの前面に補助熱交換器12cが取り付けられている。また、後側熱交換器12bの後面に補助熱交換器12dが取り付けられている。補助熱交換器12c及び補助熱交換器12dは、冷媒と空気との熱交換を助長するためのものである。
【0032】
図1に示すように、前面グリル17には、天井部分に天面吸込口17aが形成されている。当該天面吸込口17aは、前面グリル17の天井部分を格子状にして形成されている。
また、図4に示すように、前面グリル17の前側上部には、前側開口17b、17cが形成されている。前側開口17b、17cは、それぞれ一の開口として形成されている。
また、前面グリル17には、これらの前側開口17b、17cの下方に室内機1の長手方向と平行に延びる開口部17dが形成されている。この開口部17dには、清掃ユニット16が嵌め込まれている。
また、前面グリル17には、長手方向中央部において、開口部17dの下方に、発光表示部42を前方に露出させるための開口部17eが形成されている。当該開口部17eは、発光表示部42の前面形状と略対応する形状で形成され、当該発光表示部42が、前面グリル17の内側から外側に向かって挿入されている。
【0033】
図1に示すように、前面パネル20を閉じた状態で、前面グリル17の天面吸込口17a、及び、前面パネル20の上部に位置する前側吸込口20aから、外部の空気が当該前面グリル17の内部へ吸い込まれる。
【0034】
図3に示すように、室内熱交換器12の逆V字状の内側には、クロスフローファン13が設けられている。このクロスフローファン13は軸流ファンと呼ばれているもので、その軸方向が室内機1の長手方向に沿うように配置されている。本体ケーシング11には、クロスフローファン13の背後において、湾曲した壁面を有して構成されるスクロール部11aが形成されている。当該スクロール部11aにより、クロスフローファン13から前面グリル17の前面側下部に開口する吹出口17fへ空気を滑らかに導くことができる。
【0035】
本体ケーシング11は、吹出口17fの上側に位置するように上側壁面11bを有する。当該上側壁面11bは、前側熱交換器2の下方に位置するドレンパン11cと一体に成形されている。
【0036】
ドレンパン11cと前面パネル20との間の位置には、電装品ユニット14が配置されている。また、後側熱交換器12bの下方には、後側ドレンパン11dが配置されている。
【0037】
本体ケーシング11、前面グリル17、及び前面パネル20は、横長のものである。また、吹出口17fは、前面グリル17の長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0038】
室内機1においては、上面の天面吸込口17a及び前面吸込口20aからクロスフローファン13によって吸い込まれた室内空気を室内熱交換器12に通過させ冷媒との間で熱交換させることにより、当該空気の冷却又は加熱が行われる。熱交換後の当該空気は、下面の吹出口17fから室内へと吹出される。
【0039】
〔フィルタユニット〕
図5は、フィルタユニットの斜視図である。
図6は、エアフィルタ及び清掃ユニットの分解斜視図である。
図7は、エアフィルタ、ブラシ、圧縮ロッド、及び、軸受部材の位置関係を示した模式図である。
図8は、エアフィルタのラック部とピニオンとの噛合状態を示した斜視図である。
図9は、フィルタユニットの断面図である。
【0040】
フィルタユニット15は、天面吸込口17a及び前面吸込口20aから吸い込まれた室内空気に含まれる塵埃を除去するためのユニットであって、図5に示すように、2台のフィルタユニット15が長手方向に沿って並んでいる。各フィルタユニット15は、当該室内空気に含まれる塵埃を捕集するエアフィルタ50と、エアフィルタ50をに移動可能に収納する枠ユニット51と、枠ユニット51の内部においてエアフィルタ50を所定の移動方向に移動させる移動機構52とを含んでいる。
【0041】
エアフィルタ50は、天面吸込口17a及び前面吸込口20aと室内熱交換器12との間に配置されており、天面吸込口17a及び前面吸込口20aから室内熱交換器12に至る流路上で室内空気に含まれる塵埃を捕集する。このエアフィルタ50は、図6及び図7に示すように、枠体53と、その枠体53の内側に設けられるメッシュ部54とを有している。枠体53は、エアフィルタ50の移動方向に沿って形成された縦支持枠53aと、その縦支持枠53aに直交する横支持枠53bとが格子状に組み付けられており、これら縦支持枠53a及び横支持枠53bによりメッシュ部54を弛ませないように支持している。また、枠体53の幅方向の両端部には、図8に示すように、後述する移動機構52のピニオン60に噛み合うラック部55が形成されている。
【0042】
枠ユニット51には、図9に示すように、その内部に収容されるエアフィルタ50の移動経路(通常ガイド経路50a、折返しガイド経路50b、及び、退避ガイド経路50c)が形成されている。ここでは、通常ガイド経路50aが前面パネル20側に設けられると共に、退避ガイド経路50cが室内熱交換器12側に設けられる。そして、折返しガイド経路50bは、枠ユニット51の下部において、上記した通常ガイド経路50aと退避ガイド経路50cとを連結している。空調運転時には、エアフィルタ50は、通常ガイド経路50aに配置され、後述する清掃ユニット16によるエアフィルタ50の自動清掃時には、エアフィルタ50は、通常ガイド経路50aと退避ガイド経路50cとの間を移動する。この枠ユニット51は、通常ガイド経路50aを形成するガイド部材56と、折返しガイド経路50bを形成するアンダーカバー57と、退避ガイド経路50cを形成するガイド部材58と、ガイド部材56及びガイド部材58の間に配置される区画部材59とを有している。なお、アンダーカバー57と区画部材59との間には、後述する移動機構52のピニオン60が配置されている。アンダーカバー57は、後述する清掃ユニット16のブラシ70が、折返しガイド経路50bを通過するエアフィルタ50に接触するように開口している。
【0043】
移動機構52は、エアフィルタ50の自動清掃時に、エアフィルタ50の全領域が後述する清掃ユニット16のブラシ70に接触するように、エアフィルタ50を上記した通常ガイド経路50aと退避ガイド経路50cとの間を移動させる。この移動機構52は、駆動源となるモータ61と、そのモータ61の駆動力を伝達する複数の中間ギア(図示せず)と、上記したラック部55に噛み合うピニオン60とを有している。このピニオン60は、回転軸が水平方向となるように配置されており、エアフィルタ50を当該水平方向に直交する方向に移動させる。
【0044】
〔清掃ユニット〕
図10は、清掃ユニットの拡大断面図である。
図11は、圧縮ロッドの斜視図である。
図12は、圧縮ロッドの突起部の波型形状の位置関係を示した図である。
図13(a)は、圧縮ロッドとガイド部との間の隙間S1及びS2を示した拡大断面図であり、図13(b)は、図13(a)に示したB−B断面模式図である。
【0045】
清掃ユニット16は、エアフィルタ50に付着した塵埃を除去するために設けられており、図6に示すように、ブラシ70と、圧縮ロッド71と、ダストボックス72と、櫛部材73と、ブラシ70及び圧縮ロッド71を回転駆動させる回転機構74とを含んでいる。
【0046】
ブラシ70は、図3に示すように、アンダーカバー57の下方に配置され、アンダーカバー57の開口から露出するエアフィルタ50に接触した状態で配置される。図6及び図7に示すように、ブラシ70は、エアフィルタ50の幅方向(第1方向)に沿って配置され、その幅方向を軸方向として回転可能に軸支されている。ブラシ70の回転方向D2とエアフィルタ50を移動させるピニオン60の回転方向D1とは反対であって、エアフィルタ50の表面に接触するブラシ毛70aは、折返しガイド経路50bにおけるエアフィルタ50の移動方向に逆らうように移動している。このブラシ70は、回転軸70bと、その回転軸70bの周囲に放射状に設けられたブラシ毛70aと、長手方向の略中央部分に設けられるギア取付部70cとを含んでいる。このギア取付部70cには、後述する圧縮ロッド71に取り付けられる従動ギア71eに噛み合う駆動ギア70dが取り付けられている。そして、駆動ギア70dは、2つのエアフィルタ50の間に設けられる領域に対応する部分に設けられている。
【0047】
このブラシ70は、図10に示すように、ブラシ70とエアフィルタ50とが接触するフィルタ接触部Aにおいて、エアフィルタ50の表面に付着した塵埃を掻き取ると共に、そのフィルタ接触部Aにおいて掻き取られた塵埃を、ブラシ70と圧縮ロッド71とが近接する近接部Bに導く。フィルタ接触部Aと近接部Bとは、ブラシ70の回転方向に所定の間隔を隔てた位置に設けられており、フィルタ接触部Aが近接部Bや後述する塵埃取入口72aの上方に設けられている。これにより、フィルタ接触部Aにおいて付着した塵埃を、重力方向に搬送することが可能となる。
【0048】
圧縮ロッド71は、上記したブラシ70によって掻き出された塵埃を圧縮するために設けられている。具体的には、ブラシ70によって掻き出された塵埃は、ダストボックス72の塵埃収容部72bに収容される前に、圧縮ロッド71とブラシ70との間で圧縮され、且つ、圧縮ロッド71と後述する軸受部材77の第2ガイド部79との間で圧縮される。さらに、ダストボックス72に収容された塵埃は、略密閉空間である塵埃収容部72bにおいて、圧縮ロッド71の回転により、ダストボックス72の内周面(特に、軸受部材77の逆止壁78a)に押し付けられて圧縮される。
【0049】
この圧縮ロッド71は、図10に示すように、ブラシ70の下方に配置されている。また、圧縮ロッド71は、エアフィルタ50の幅方向(第1方向)に沿って配置され、その幅方向を軸方向として回転可能に軸支されている。また、圧縮ロッド71の回転方向D3とブラシ70の回転方向D2とは反対であって、圧縮ロッド71は、ブラシ70との間で塵埃を巻き込むように圧縮する。本実施形態では、圧縮ロッド71とブラシ70とは、近接した状態で対向配置されている。ここで、「近接した状態」とは、「実質的に接触した状態」を意味し、具体的には、圧縮ロッド71とブラシ70とが接触している状態のみならず、圧縮ロッド71とブラシ70との間には微小な隙間しかなく、圧縮ロッド71とブラシ70との間で塵埃を搬送しながら圧縮可能に設けられた状態を意味する。さらに、後述する突起部71bの形状によっては、圧縮ロッド71(突起部71b)とブラシ70とが一部接触及び一部非接触となる場合も含んでいる。
【0050】
圧縮ロッド71は、図13(a)に示すように、塵埃取入口72aに至るまでの塵埃の搬送経路において塵埃に接触して当該塵埃を塵埃収容部72bに搬送する機能を有する搬送部71sと、塵埃収容部72bにおいてある程度蓄積された塵埃に接触して当該塵埃を移動させて圧縮させる機能を有する圧縮部71tとを有する。搬送部71sは、圧縮部71tの上方に配置される。搬送部71sは、圧縮ロッド71の上側部分に設けられ、塵埃収容部72bの外部空間に露出するように設けられる。これに対して、圧縮部71tは、圧縮ロッド71の下側部分に設けられ、塵埃収容部72bの内部空間に露出するように設けられる。このように構成すれば、塵埃を塵埃取入口72aまで搬送する手段と、塵埃収容部72bに収容された塵埃を圧縮する手段とを別個に設ける必要がないので、フィルタ清掃ユニット16の構成が簡易なり、且つ、コンパクト化を図ることができる。
【0051】
この圧縮ロッド71は、図11に示すように、円筒形状の回転軸71aと、その回転軸71aの表面から径方向外側に突出するように設けられた突起部71bと、軸方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられる複数の支持部71cと、軸方向の略中央部分に設けられるギア取付部71dとを含んでいる。この圧縮ロッド71は、ギア取付部71dに対して取付可能な右ロッド71R及び左ロッド71Lからなる。
【0052】
また、突起部71bは、回転軸71aの表面から径方向外側に向かって立設しており、図12に示すように、当該突起部71bの回転方向下流側に載置される塵埃を回転方向D3に押し出す。各ロッド71R,71Lにおいて、突起部71bは、回転軸71aの外周面において回転方向に180°離れた位置の2箇所に設けられている。いずれの突起部71bも、長手方向に沿って延在した波型形状に形成されている。このように、突起部71bを波型形状にすることによって、圧縮ロッド71の回転方向に対して谷となる部分で塵埃が長手方向に移動するのを規制することができる。また、本実施形態では、左ロッド71Lの回転角度0°の位置に設けられる突起部71bの波型形状の谷となる部分は、回転角度180°の位置に設けられる突起部71bの波型形状の谷となる部分に対して長手方向にずれている。また、右ロッド71Rでも同様に、回転角度90°の位置に設けられる突起部71bの波型形状の谷となる部分は、回転角度270°の位置に設けられる突起部71bの波型形状の谷となる部分に対して長手方向にずれている。本実施形態の突起部71bの波型形状はいずれも、振幅及び振動数が同等であって、各ロッド71L,71Rの2つの波型形状には、180°の位相差が設けられている。
【0053】
また、支持部71cは、両端部を含めて6箇所に設けられており、後述する軸受部材77に設けられる6つの軸受部77aのそれぞれに回転可能に軸支される。この支持部71cは、図7に示すように、上記したエアフィルタ50の縦支持枠53aに対応する部分に設けられている。
【0054】
また、ギア取付部71dには、上記した駆動ギア70dに噛み合う従動ギア71eが取り付けられている。そして、従動ギア71eは、図7に示すように、2つのエアフィルタ50の間に対応する部分に設けられている。
【0055】
ダストボックス72は、圧縮ロッド71により圧縮された塵埃を収容するために設けられている。このダストボックス72は、図10に示すように、底部材75と、ブラシ70を回転可能に軸支する軸受部材76と、圧縮ロッド71を回転可能に軸支する軸受部材77とを有し、底部材75に軸受部材76及び軸受部材77を組付けることにより塵埃を収容可能な箱型になる。軸受部材76と軸受部材77とは対向するように配置され、その間にブラシ70、圧縮ロッド71及び櫛部材73が配置される。このダストボックス72には、塵埃を取り入れるための塵埃取入口72aと、その塵埃取入口72aから取り入れられた塵埃を収容する塵埃収容部72bとが設けられている。この塵埃取入口72aは、ブラシ70の下端部近傍であって、当該下端部の回転方向D2の上流側に設けられている。
【0056】
軸受部材76には、図6に示すように、ブラシ70の両端部を回転可能に軸支する軸受孔76aと、ブラシ70のギア取付部70cを回転可能に軸支する軸受部76bとが設けられている。また、軸受部材76には、図10に示すように、櫛部材73を取り付けるための凸部76cが設けられている。この凸部76cは、櫛部材73が回転するブラシ70から力を受ける方向とは逆方向に突出している。
【0057】
軸受部材77には、図6に示すように、圧縮ロッド71の6つの支持部71cを回転可能に軸支する6つの軸受部77aと、圧縮ロッド71のギア取付部71dを回転可能に軸支する軸受部77bとが設けられている。この6つの軸受部77aは、図7に示すように、圧縮ロッド71の支持部71c及びエアフィルタ50の縦支持枠53aに対応する部分に設けられている。また、図10に示すように、軸受部材77には、軸支される圧縮ロッド71を挟んで、第1ガイド部78及び第2ガイド部79が設けられる。第1ガイド部78は、圧縮ロッド71に対して塵埃の搬送方向上流側に設けられると共に、第2ガイド部79は、圧縮ロッド71に対して塵埃の搬送方向下流側に設けられる。この第1ガイド部78は、ブラシ70のフィルタ接触部Aから近接部Bまでの間の部分に対向する部分に設けられ、ブラシ70の回転方向D2に沿った形状を有している。
【0058】
また、第1ガイド部78には、逆止壁78aが設けられている。この逆止壁78aは、塵埃収容部72bに面する部分に設けられており、塵埃収容部72bに収容される塵埃は、圧縮ロッド71の回転によって当該逆止壁78aに押し付けられる。逆止壁78aの先端には、圧縮ロッド71の回転方向D3とは逆方向に向かって突出する突出部78b(図13(a)参照)が形成されている。また、突出部78bの先端は、先細形状になっており、圧縮ロッド71と当該突出部78bとが近接する近接部Dにおいて、圧縮ロッド71の外周面と逆止壁78aとが滑らかに連なるように構成される。このように、圧縮ロッド71の外周面と逆止壁78aとを滑らかに連なるように構成することにより、逆止壁78aの近傍で塵埃が過度に蓄積するのを防止することができる。そのため、圧縮ロッド71の回転トルクが大きくなってしまうのを防止することができるだけでなく、圧縮ロッド71により搬送された塵埃が隙間S1を介して塵埃収容部72b外に流出(逆流)してしまうのを防止することができる。
【0059】
第1ガイド部78と第2ガイド部79との間には、上記した塵埃取入口72aが形成される。この塵埃取入口72aの内側には、圧縮ロッド71が配置されており、図13に示すように、圧縮ロッド71と第1ガイド部78との間、及び、圧縮ロッド71と第2ガイド部79との間にはそれぞれ隙間S1及びS2が設けられる。圧縮ロッド71と第1ガイド部78との間の第1隙間S1は、圧縮ロッド71と第1ガイド部78とが近接することによって、圧縮ロッド71と第2ガイド部79との間の第2隙間S2より通路幅が小さくなっている。この第1隙間S1は、当該第1隙間S1におけるブラシ70の回転方向D21に略直交する方向D4に沿って形成されている。また、圧縮ロッド71と第2ガイド部79との間の第2隙間S2は、ブラシ70と圧縮ロッド71との間で圧縮された塵埃を塵埃収容部72bに導く通路になっている。そして、第2ガイド部79の圧縮ロッド71に対向する面79aは、圧縮ロッド71の回転方向D3に沿う曲面状になっているので、当該隙間S2が所定の通路長を有する通路となる。これにより、塵埃は、当該隙間S2を通過する間、圧縮ロッド71と第2ガイド部79との間で圧縮され続ける。
【0060】
櫛部材73は、ブラシ70のブラシ毛70aに付着した塵埃を離脱させるために設けられている。図10及び図13(a)に示すように、上記した塵埃取入口72aは、当該櫛部材73の真下の近傍に配置されており、ブラシ70のブラシ毛70aから離脱された塵埃が塵埃取入口72aの近傍に落下する。この櫛部材73は、ブラシ70のブラシ毛70aの内部に配置される複数のブラシ当接部73aと、上記した軸受部材76の凸部76cに嵌合する凹部73bと、複数のブラシ当接部73aを保持する根元部73cとが設けられている。この凸部76cと凹部73bとの嵌合方向と、櫛部材73がブラシ70から受ける力の方向とは、略同一方向であるので、ブラシ70を長期間使用している間に櫛部材73が軸受部材76から離脱してしまうのを防止することができる。
【0061】
上記した複数のブラシ当接部73aと根元部73cとの間に形成される凹凸部Eは、図13(b)に示すように、圧縮ロッド71に近接した位置に設けられる。これにより、櫛部材73の凹凸部Eに溜まった塵埃を圧縮ロッド71の突起部71bにより掻き出すことが可能となる。
【0062】
回転機構74は、エアフィルタ50の自動清掃時に、圧縮ロッド71とブラシ70とを連動して回転させる。この回転機構74は、駆動源となるモータ80(図5参照)と、そのモータ80の駆動力を伝達する複数の中間ギア(図示せず)とを有している。この回転機構74は、モータ80からの駆動力を、複数の中間ギアを介して、ブラシ70の駆動ギア70d及び圧縮ロッド71の従動ギア71eに伝達させることで、ブラシ70と圧縮ロッド71とを連動して回転させる。本実施形態では、駆動ギア70dと従動ギア71eとが直接噛み合っているので、ブラシ70の回転方向D2と圧縮ロッド71の回転方向D3とは、反対になる。
[エアフィルタの自動清掃作業]
【0063】
本実施形態の室内機1では、空調運転終了後に、エアフィルタ50の自動清掃作業を行う。図14及び図15は、フィルタユニットにおけるエアフィルタの移動方法を説明するための図である。以下、図14及び図15を参照して、エアフィルタ50の自動清掃作業について詳細にする。
【0064】
空調運転が終了すると、フィルタユニット15の移動機構52の各モータ61を駆動してピニオン60を回転させると共に、回転機構74のモータ80を駆動してブラシ70及び圧縮ロッド71を回転させる。これにより、図14に示すように、ピニオン60に噛み合うラック部55を有するエアフィルタ50が、通常ガイド経路50aから折返しガイド経路50bに向かって移動を開始する。そして、折返しガイド経路50bに到達したエアフィルタ50は、アンダーカバー57の形状に沿って折返しガイド経路50b内でUターンを行い、退避ガイド経路50cに向かって移動し、図15に示すように、エアフィルタ50が退避ガイド経路50cに配置される。この際、ブラシ70は、アンダーカバー57の開口から露出したエアフィルタ50の表面に接触することによって、その表面に付着した塵埃を掻き取る。エアフィルタ50が通常ガイド経路50aから退避ガイド経路50cに至るまでの間、ブラシ70の回転駆動は継続され、エアフィルタ50が退避ガイド経路50cに完全に収納された時点で、ピニオン60及びブラシ70の回転が停止され、往路の清掃作業が完了する。
【0065】
上記した往路の清掃作業が完了すると、ピニオン60及びブラシ70の回転方向を往路の清掃作業時とは反対にして、復路の清掃作業を行う。
[清掃ユニットによる塵埃の圧縮作業]
【0066】
本実施形態の室内機1では、上記したエアフィルタ50の自動清掃作業によって、掻き出された塵埃は、圧縮状態でダストボックス72の塵埃収容部72bに収容される。図16は、塵埃収容部に収容された塵埃を圧縮(二次圧縮)する方法を説明するための図である。以下、図6及び図16を参照して、清掃ユニット16による塵埃の圧縮作業について詳細にする。
[一次圧縮(ダストボックスに収納される前の圧縮)]
【0067】
上記したエアフィルタ50の自動清掃作業によって、エアフィルタ50から掻き出された塵埃は、ダストボックス72の塵埃収容部72bに収容される前に、圧縮される(一次圧縮)。この一次圧縮では、(i)まず、ブラシ70に付着した塵埃が、ブラシ70と第1ガイド部78とが近接する近接部Cにおいて、ブラシ毛70aと第1ガイド部78との間で圧縮される。(ii)そして、上記近接部Cを通過した塵埃は、近接部Cから塵埃の搬送方向下流側の近接部Bにおいて、ブラシ毛70aと圧縮ロッド71との間で圧縮される。(iii)さらに、上記近接部Bを通過した塵埃は、近接部Cから塵埃の搬送方向下流側の隙間S2(図13参照)において、圧縮ロッド71と第2ガイド部79との間で圧縮される。つまり、フィルタ接触部Aにおいて、ブラシ70によって掻き出された塵埃は、上記した3段階の圧縮を経た後、ダストボックス72の塵埃収容部72bに収容される。
【0068】
なお、ブラシ毛70aの内部にまで入り込んだ塵埃は、ブラシ70の回転に伴って櫛部材73を通過することによって、ブラシ70から離脱されて圧縮ロッド71の近傍に落下する。これにより、ブラシ毛70aの内部にまで入り込んだ塵埃に対して、(ii)ブラシ70と圧縮ロッド71との間の圧縮、及び、(iii)圧縮ロッド71と第2ガイド部79との間の圧縮と行うことができる。
[二次圧縮(ダストボックスに収納された後の圧縮)]
【0069】
上記した一次圧縮によって、ある程度圧縮された塵埃は、ダストボックス72の塵埃収容部72bに収容された後にも圧縮される(二次圧縮)。この二次圧縮では、図16に示すように、塵埃収容部72bにおける塵埃の収容量が所定量に達すると、その塵埃が略密閉空間である塵埃収容部72bにおいて、圧縮ロッド71の回転により、ダストボックス72の内周面(特に、軸受部材77の逆止壁78a)に押し付けられる。これにより、塵埃収容部72bに収容された塵埃が圧縮される。
【0070】
以上のようにして、エアフィルタ50に付着した塵埃に対して、一次圧縮及び二次圧縮を行うことにより、ダストボックス72に溜まった塵埃を捨てる回数や手間を軽減させたメンテナンス性に優れた室内機1を得ることが可能となる。
【0071】
[本実施形態の室内機の特徴]
本実施形態の室内機1には、以下のような特徴がある。
【0072】
本実施形態の室内機1では、塵埃が付着しない縦支持枠53aに対応する部分に、圧縮ロッド71を回転可能に軸支する支持部71cを設けることによって、圧縮ロッド71により搬送及び圧縮されない塵埃が生じるのを抑制することができる。これにより、エアフィルタ50から除去された塵埃をスムーズにダストボックス72に収容することが可能となると共に、圧縮されずに嵩の大きいまま塵埃が残余するのを防止することができるので、メンテナンス性が向上する。
【0073】
また、本実施形態の室内機1では、塵埃が付着しない2枚のエアフィルタ50の間に対応する部分に駆動ギア70d及び従動ギア71eを設けることによって、当該駆動ギア70dと従動ギア71eとの間に塵埃が入り込んでしまうのを抑制することができる。その結果、駆動ギア70dと従動ギア71eとの間における塵埃の噛み込みに起因する故障の原因を予防することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
例えば、上記実施形態では、フィルタユニット15によりエアフィルタ50を移動させて当該エアフィルタ50の清掃を行う例について説明したが、本発明はこれに限らず、清掃ユニットを移動させてエアフィルタを清掃してもよい。エアフィルタ及び清掃ユニットが相対的に移動することで、エアフィルタの全範囲について清掃を行うことが可能となる。
【0076】
また、上記実施形態では、圧縮ロッド71の突起部71bをその回転軸方向に延在するように設けた例について説明したが、本発明はこれに限らず、圧縮ロッドの外周面の少なくとも一部に突起部を設けることにより、塵埃を押し出して移動させることが可能となる。
【0077】
また、上記実施形態では、圧縮ロッド71に波型形状の突起部71bを設ける例について説明したが、圧縮ロッドが回転方向に回転した場合に、塵埃を搬送することが可能な面を有していれば、当該突起部の形状は限定されない。
【0078】
また、上記実施形態では、波型形状の突起部71bを圧縮ロッド71に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図17に示す第1変形例に係る圧縮ロッド171のように、突起部171bをパルス状の波型形状にしても良い。この波型形状の突起部171bは、その回転軸方向に延在すると共に、波型形状の山に相当する部分171cは、回転方向D3に沿って延在する。このように構成すれば、隣接する当該部分171cの間に配置される塵埃が回転軸方向に移動するのを規制しながら、当該塵埃を押し出して移動させることが可能となる。
【0079】
また、本発明の圧縮ロッドは、図18に示す第2変形例に係る圧縮ロッド271のように、回転軸方向に延在する突起部271bを回転方向D3に所定の角度間隔で配置することによって、ギア状に形成しても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、回転軸方向に延在する突起部71bを回転方向D3に180°離れた位置の2箇所に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、突起部を1箇所だけに設けても良いし、3つ以上の突起部を回転方向D3に離れた位置に設けても良い。一例として、図19に示す第3変形例に係る圧縮ロッド371のように、突起部371bを回転方向D3に90°離れた位置の4箇所に設けても良い。この際、回転角度0°、90°、180°及び270°の位置に設けられる各突起部371bの波型形状の谷となる部分を、互いに回転軸方向にずらすことが好ましい。ここでは、各突起部371bの波型形状には、互いに90°の位相差が設けられている。
【0081】
また、上記実施形態では、ブラシ70と圧縮ロッド71とを近接して配置した清掃ユニット16について説明したが、本発明はこれに限らず、図20に示す第4変形例に係る清掃ユニット460のように、ブラシ470と圧縮ロッド471とを所定の間隔だけ隔てて配置しても良い。この清掃ユニット460は、ブラシ470と、圧縮ロッド471と、ダストボックス472と、櫛部材473とを備えている。この清掃ユニット460でも、ギアなどを介して、ブラシ470と圧縮ロッド471とは連動して回転する。なお、ブラシ470の回転方向D402と圧縮ロッド471の回転方向D403とを同一の回転方向にしている。この圧縮ロッド471も、第1実施形態の圧縮ロッド71と同様に、外周面から径方向外側に突出するように設けられた突起部を有している。この圧縮ロッド471も、上記した第1実施形態と同様に、図示しないエアフィルタの支持枠に対応する部分の少なくとも1つに設けられた支持部によって回転可能に支持される。
【0082】
ダストボックス472は、本体ケース472cと、この本体ケース472cに取り付けられた蓋ケース472dとを組み合わせることで横長の箱形に形成される。このダストボックス472には、ブラシ470の下方位置において塵埃取入口472aが開口され、塵埃取入口472aから取り入れられた塵埃を収容する塵埃収容部472bが設けられている。塵埃取入口472aは、本体ケース472c側から突出した板状のガイド壁474と、蓋ケース472d側から突出した板状の逆止壁475とに区画形成される。ガイド壁474及び逆止壁475は、略V字状に配置されていて、その底部分に位置する隙間が塵埃取入口472aとなっている。そして、ガイド壁474及び逆止壁475によって仕切られた本体ケース472cの下部空間が、塵埃収容部472bとなっている。
【0083】
そして、ガイド壁474と逆止壁475との間に圧縮ロッド471を配置し、圧縮ロッド471とガイド壁474との間隔を、圧縮ロッド471と逆止壁475との間隔よりも大きくしている。これにより、ブラシ470から掻き落とされて圧縮ロッド471に付着した塵埃を、圧縮ロッド471とガイド壁474との間から塵埃収容部472b内へスムーズに導くことができる。しかも、圧縮ロッド471に付着したままの塵埃が塵埃取入口472aから漏れ出ることを防ぐことができるようになっている。
【0084】
また、上記実施形態では、2枚のエアフィルタ50を備えた室内機1について説明したが、本発明はこれに限らず、エアフィルタは1枚であっても、3枚以上であっても良い。上記実施形態では、2枚のエアフィルタ50の間にブラシ70の駆動ギア70d及び圧縮ロッド71の従動ギア71eを設けたが、図21に示す第5変形例のように、エアフィルタ550が1枚の場合には、ブラシ570の駆動ギア570d及び圧縮ロッド571の従動ギア571eをエアフィルタ550の縦支持枠553aに対応する部分に設けるのが好ましい。なお、圧縮ロッド571の支持部571cも、エアフィルタ550の縦支持枠553aに対応する部分に設けるのが好ましい。この場合、圧縮ロッド71により搬送されない塵埃が生じるのを抑制することができる。これにより、エアフィルタ550から除去された塵埃をスムーズにダストボックスに収容することが可能となるので、メンテナンス性が向上する。また、駆動ギア570dと従動ギア571eとの間に塵埃が入り込んでしまうのを抑制することができるので、駆動ギア570dと従動ギア571eとの間における塵埃の噛み込みに起因する故障の原因を予防することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、略長方形状のエアフィルタ50について説明したが、本発明はこれに限らず、図22に示す第6変形例に係る円形状のエアフィルタ650を用いても良い。ここでは、ブラシ(図示せず)及び圧縮ロッド671が、円形状のエアフィルタ650に対して、径方向(第1方向)D600に沿って配置される。そして、圧縮ロッド671は、エアフィルタ650の回転方向(移動方向)D601に沿って形成された円環形状の支持枠651に対応する部分に設けられた支持部671aによって回転可能に支持される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明を利用すれば、メンテナンス性に優れた空気調和機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機を示す模式的斜視図。
【図2】図1に示す室内機の正面図。
【図3】図2に示す室内機のA−A断面図。
【図4】図2に示す室内機の前面パネルを取り外した図。
【図5】フィルタユニットの斜視図。
【図6】エアフィルタ及び清掃ユニットの分解斜視図。
【図7】エアフィルタ、ブラシ、圧縮ロッド、及び、軸受部材の位置関係を示した模式図。
【図8】エアフィルタのラック部とピニオンとの噛合状態を示した斜視図。
【図9】フィルタユニットの断面図。
【図10】清掃ユニットの拡大断面図。
【図11】圧縮ロッドの斜視図。
【図12】圧縮ロッドの突起部の波型形状の位置関係を示した図。
【図13】(a):圧縮ロッドとガイド部との間の隙間S1及びS2を示した拡大断面図(b):図13(a)に示したB−B断面模式図。
【図14】フィルタユニットにおけるエアフィルタの移動方法を説明するための図。
【図15】フィルタユニットにおけるエアフィルタの移動方法を説明するための図。
【図16】塵埃収容部に収容された塵埃を圧縮(二次圧縮)する方法を説明するための図。
【図17】第1変形例に係る圧縮ロッドを示した斜視図。
【図18】第2変形例に係る圧縮ロッドを示した斜視図。
【図19】第3変形例に係る圧縮ロッドを示した斜視図。
【図20】第4変形例に係る清掃ユニットを示した断面図。
【図21】第5変形例に係るエアフィルタ、ブラシ、及び、圧縮ロッドの位置関係を示した模式図。
【図22】第6変形例に係るエアフィルタ及び圧縮ロッドの位置関係を示した模式図。
【符号の説明】
【0088】
1 室内機(空気調和機)
50,550,650 エアフィルタ
53a,553a,651 縦支持枠(支持枠)
70,570 ブラシ(塵埃除去手段)
70d,570d 駆動ギア(第1ギア)
71,171,271,371,471,571,671 圧縮ロッド(塵埃搬送手段)
71c,571c,671a 支持部
71e,571e 従動ギア(第2ギア)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタと、
前記エアフィルタに近接し、且つ、所定の第1方向に沿って配置され、前記エアフィルタに付着した塵埃を除去する塵埃除去手段と、
前記第1方向に沿って配置され、回転可能に軸支された塵埃搬送手段とを備え、
前記エアフィルタは、前記塵埃搬送手段に対して相対的に所定の移動方向に沿って移動可能であって、前記移動方向に沿って形成された複数の支持枠と、前記複数の支持枠の間において塵埃を捕集するメッシュ部とを含み、
前記塵埃搬送手段は、前記複数の支持枠に対応する部分の少なくとも1つに設けられた支持部によって回転可能に支持されることを特徴とする、空気調和機。
【請求項2】
前記塵埃除去手段には第1ギアが設けられると共に、前記塵埃搬送手段には前記第1ギアに噛み合う第2ギアが設けられ、
前記第1ギア及び前記第2ギアは、前記複数の支持枠に対応する部分の少なくとも1つに設けられることを特徴とする、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
複数のエアフィルタと、
前記複数のエアフィルタの幅方向に沿って配置され、前記複数のエアフィルタに付着した塵埃を除去する塵埃除去手段と、
前記複数のエアフィルタの幅方向に沿って配置され、回転可能に軸支された塵埃搬送手段とを備え、
各エアフィルタは、前記塵埃搬送手段に対して相対的に所定の移動方向に沿って移動可能であって、
前記塵埃搬送手段は、前記複数のエアフィルタの間に対応する部分の少なくとも1つに設けられた支持部によって回転可能に支持されることを特徴とする、空気調和機。
【請求項4】
前記塵埃除去手段には第1ギアが設けられると共に、前記塵埃搬送手段には前記第1ギアに噛み合う第2ギアが設けられ、
前記第1ギア及び前記第2ギアは、前記複数のエアフィルタの間に対応する部分の少なくとも1つに設けられることを特徴とする、請求項3に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−65898(P2010−65898A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231508(P2008−231508)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】