説明

空気調和機

【課題】室内機と、送信用赤外素子を用いて室内機を遠隔操作する遠隔操作装置とを備えた空気調和機に於いて、室内機構造の形態により、受信性能に影響を及ぼす場合が有るのを、安価に広範囲に受信できるようにする。
【解決手段】室内機5の赤外線信号の受信素子1近傍に、遠隔操作装置より送信される赤外線信号を反射するための反射板7を設置することにより、広範囲な場所から送信されてくる信号を反射させて確実に受光素子1に到達させ、受信することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を用いた遠隔操作装置を具備した空気調和機の受信性能向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、一般的な壁掛けタイプの空気調和機と遠隔操作装置の位置関係を示す図であり、室内機5の運転時に前面パネルがせり出してくると、受信素子が前面パネルの陰になり、遠隔操作装置10からの赤外線信号が到達し難くなり受信範囲が狭くなるが、従来のこの種の問題の対応技術としては図5に示すように受光素子前面に設けられた受光窓の内側に赤外線を乱反射させる光拡散剤を塗布することにより受信性能を向上したものが有る(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−69466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の構成では、光拡散剤の塗布により近傍からの赤外信号であれば広範囲に信号を受信することが可能となるが、光拡散剤の塗布により受光窓を透過出来る赤外線の率が低下するため、すこし離れた所から送信される赤外線信号については信号が弱くなっており受光窓を透過出来ず信号が成立しない場合が有る。
【0005】
又、遠隔操作装置内部の電源として利用している電池の消耗により赤外線信号の送信強度が低くなった場合も同様に信号が受光窓を透過出来ず、光拡散剤を塗布しないものに比べ、早めに電池を交換しなければならない等の問題が有る。又、光拡散剤は高価であると共に、塗布作業にも工数を必要とするため不経済である。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、広範囲に赤外線信号を受信することが可能になると共に、安価に実現することが可能な空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は受信素子近傍に反射板を設けることにより、赤外信号を広範囲に受信することが出来る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気調和機は、室内機に配置された受信素子の近傍に反射板を備え、この反射板により遠隔操作装置より送信される赤外線信号を反射させ受光素子に信号を入力する構造とすることにより、より広い範囲で空気調和機を遠隔操作することが出来、使用者の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における室内機側面の部分断面図
【図2】本発明の実施の形態2における室内機側面の部分断面図
【図3】本発明の実施の形態4における室内機側面の部分断面図
【図4】一般的な壁掛けタイプの室内機と遠隔操作装置の位置関係を示す図
【図5】従来の技術を示す室内機の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、受信素子の近傍に受信性能を向上するための少なくとも1枚以上の赤外線信号を反射するための反射板を設けることにより、広い範囲で遠隔操作装置からの送信信号を受信することが可能となる。
【0011】
第2の発明は、前記反射板を受信素子近傍に配置される樹脂部品の一部を利用することにより、部品点数の削減が可能となる。
【0012】
第3の発明は、前記第2の発明で説明した樹脂部品を白色とすることにより、赤外線の反射効率を向上することが可能となる。
【0013】
第4の発明は、反射板をアルミシートとし、前記第2の発明で説明した樹脂部品の反射面に貼り付けることにより、反射効率を向上させることが出来る。
【0014】
第5の発明は、前記第4の発明で説明したアルミシートをシボ加工が施されたアルミシートとすることにより、シボ加工による乱反射効果を利用してより広範囲に赤外線信号を受信することが可能となる。
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における空気調和機の室内機側面の部分断面図で、受信素子1と表示素子3をプリント配線板8に、はんだを用いて電気的に接続された受信ブロック(図示せず)が室内機5の一部に配置されている。
【0016】
受信素子1の前面には赤外線信号を透過する透過パネル2が、室内機5上に配置されると共に、表示素子3の前面には、表示素子3相互の光漏れを防ぐための壁と表示素子3の光を室内機5の表面に見栄え良く表示するための導光板を併せ持つ樹脂部品4が配置されており、箱体10の受信素子2近傍には、反射板7が配置されている。
【0017】
6は室内機5の一部で、空気調和機の運転/停止時に開閉を行なう前面パネルで、運転時には室内機5の前面にせり出し、室内の空気を室内機内に吸入し易くする。
【0018】
前記構成による第1の実施形態の効果を説明すると、赤外線信号を透過させる透過パネル2は、遠隔操作装置10より送信されてくる赤外線信号を受信素子1に到達させるためのものであるが、透過性能を有するため、他の構造体を構成する樹脂材料とは色合いが違うので意匠上出来る限り狭い面積を要望される場合が多く、受信性能とのトレードオフで形状が決められる場合が通常である。
【0019】
このような設計の中で、空気調和機の運転時に前面にせり出してくる前面パネル6が、遠隔操作装置10から送信される赤外線信号の光軸Aと受信素子1の受信可能な範囲の中にせり出してくると、受信素子1の受信可能範囲が前面パネル6の陰になり、A地点より遠方から送信されてくる赤外線信号は受信出来なくなるが、受信素子1の近傍に配置された反射板7により、A地点より遠いB地点から送信された赤外線信号が、前面パネル6の下より透過パネル2を透過して入光し、反射板7により反射し受信素子1に入光して受信を成立することが出来る。
【0020】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施形態における室内機側面の部分断面図で、前記第1の実施形
態における反射板7を樹脂部品4と一体化させたものであり、部品点数を削減しつつ同様の効果をもたらすことが出来る。
【0021】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施形態は、前記の第2の実施形態の説明にて説明した樹脂部品4を白色の樹脂材料で成型することにより赤外線信号の反射率を向上させ、より確実な受信性能を確保することが出来る。
【0022】
(実施の形態4)
図3は本発明の第4の実施形態における室内機側面の部分断面図で、前記の第2の実施形態における樹脂部品4の赤外線信号反射面にアルミシート9を貼り付けることにより、さらに反射率を向上させ、より確実な受信性能を確保することが出来る。
【0023】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施形態は、前記の第4の実施形態にて説明したアルミシート9に、表面にシボ加工がなされたアルミシートを使用することにより受信素子1の近傍で赤外線信号を乱反射させることが出来るため、より広範囲な受信性能を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明の空気調和機は、受信素子近傍の設置した赤外線信号を反射させる反射板により広範囲な場所から送信されてくる遠隔操作装置からの赤外線通信信号を確実に受信出来る空気調和機を提供出来るものである。
【符号の説明】
【0025】
1 受信素子
2 透過パネル
3 表示素子
4 樹脂部品
5 室内機
6 前面パネル
7 反射板
8 プリント配線板
9 アルミシート
10 遠隔操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と、その室内機の操作信号を赤外線にて送信する遠隔操作装置よりなる空気調和機において、前記室内機の一部に配置された赤外線信号を受信する受信素子と、その受信素子の近傍に赤外線信号を反射するための反射板を少なくとも1枚以上設け、受信性能を向上させることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記、請求項1の反射板を、受信素子近傍に配置される樹脂部品の一部としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記、請求項2の樹脂部品を白色としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
前記、請求項1の反射板を、アルミシートとし、前記、請求項2で説明した樹脂部品の反射面に貼り付けたことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
前記、請求項4の反射板に用いたアルミシートをシボ加工が施されたアルミシートを使用したことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−17490(P2011−17490A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162644(P2009−162644)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】