説明

空気調和機

【課題】使用上の利便性を向上させることが可能な空気調和機を得る。
【解決手段】載置面70上に載置された状態で使用される空気調和機100は、本体ケース11,12を含む本体ケース10と、吸込口1と、本体ケース10の内部を挟んで本体ケース11の反対側に位置する吹出口7と、本体ケース10に内蔵される多翼ファン60と、本体ケース11と載置面70とが相互に対向するように本体ケース10が載置面70上に載置されている第1載置状態、および、本体ケース12と載置面70とが相互に対向するように本体ケース10が載置面70上に載置されている第2載置状態をそれぞれ検知する載置状態検知部40と、制御部50と、を備える。制御部50は、載置状態検知部40が第1載置状態を検知しているか第2載置状態を検知しているかに応じて、吹出口7から吹き出される空気の風量が変化するように多翼ファン60を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースを備える空気調和機に関し、特に、本体ケースが載置面上に載置された状態で使用される空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010−080425号公報(特許文献1)に開示されるように、本体ケースを備え、本体ケースが載置面上に載置された状態で使用される空気調和機が知られる。一般的な空気調和機においては、吸込口から本体ケースの内部に空気が吸い込まれる。本体ケースの内部に吸い込まれた空気は、フィルター等を通過した後、吹出口から本体ケースの外部に吹き出される。
【0003】
特開2010−287322号公報(特許文献2)に開示されるように、吹出口から吹き出される空気にイオンを付加する空気調和機(イオン発生装置)も知られる。特開2011−016072号公報(特許文献3)に開示されるように、本体ケースの設置状態に応じて、本体ケースの向きを変えることなく吹出口を変更する空気調和機(空気清浄機)も知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080425号公報
【特許文献2】特開2010−287322号公報
【特許文献3】特開2011−016072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の載置状態(姿勢)で載置される空気調和機であって、載置状態に応じた動作が自動で選択されることによって、使用上の利便性を向上させることが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく空気調和機は、載置面上に載置された状態で使用される空気調和機であって、第1載置部および第2載置部を含む本体ケースと、上記本体ケースに設けられた吸込口と、上記本体ケースに設けられ、上記本体ケースの内部を挟んで上記第1載置部の反対側に位置する吹出口と、上記本体ケースに内蔵され、上記吸込口を通して上記本体ケースの内部に空気を吸い込むとともに、上記吹出口を通して上記本体ケースの外部に空気を吹き出す送風機と、上記第1載置部と上記載置面とが相互に対向するように上記本体ケースが上記載置面上に載置されている第1載置状態、および、上記第2載置部と上記載置面とが相互に対向するように上記本体ケースが上記載置面上に載置されている第2載置状態をそれぞれ検知する載置状態検知部と、制御部と、を備え、上記制御部は、上記載置状態検知部が上記第1載置状態を検知しているかまたは上記載置状態検知部が上記第2載置状態を検知しているかに応じて、上記吹出口から吹き出される空気の風量が変化するように上記送風機を制御する。
【0007】
好ましくは、上記制御部は、上記載置状態検知部が上記第1載置状態を検知している場合よりも上記載置状態検知部が上記第2載置状態を検知している場合の方が、上記吹出口から吹き出される空気の風量が少なくなるように上記送風機を制御する。
【0008】
好ましくは、上記本体ケースの内部から上記吹出口を通して吹き出される空気に対してイオンを付加するイオン発生部をさらに備え、上記制御部は、上記載置状態検知部が上記第1載置状態を検知しているかまたは上記載置状態検知部が上記第2載置状態を検知しているかに応じて、上記吹出口を通して吹き出される空気に対して付加されるイオンの量が変化するように上記イオン発生部を制御する。
【0009】
好ましくは、上記制御部は、上記載置状態検知部が上記第1載置状態を検知している場合よりも上記載置状態検知部が上記第2載置状態を検知している場合の方が、上記吹出口を通して吹き出される空気に対して付加されるイオンの量が少なくなるように上記イオン発生部を制御する。
【0010】
好ましくは、上記載置状態検知部は、ジャイロセンサである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の載置状態(姿勢)で載置される空気調和機であって、載置状態に応じた動作が自動で選択されることによって、使用上の利便性を向上させることが可能な空気調和機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態における空気調和機を示す斜視図である。
【図2】実施の形態における空気調和機を示す正面図である。
【図3】実施の形態における空気調和機を示す側面図である。
【図4】実施の形態における空気調和機を示す背面図である。
【図5】実施の形態における空気調和機を示す底面図である。
【図6】実施の形態における空気調和機を示す平面図である。
【図7】実施の形態における空気調和機の内部を示す斜視図である。
【図8】実施の形態における空気調和機が第1載置状態を形成している様子を示す斜視図である。
【図9】実施の形態における空気調和機が第2載置状態を形成している様子を示す斜視図である。
【図10】実施の形態における空気調和機が他の第2載置状態を形成している様子を示す側面図である。
【図11】実施の形態における空気調和機の制御ブロックを示す図である。
【図12】実施の形態における空気調和機に用いられる制御部の動作の変形例を示す図である。
【図13】実施の形態における空気調和機の他の制御ブロックを示す図である。
【図14】実施の形態における空気調和機に用いられる載置状態検知部の変形例を示す正面図である。
【図15】実施の形態における空気調和機に用いられる載置状態検知部の変形例を示す側面図である。
【図16】実施の形態における空気調和機に用いられる載置状態検知部の他の変形例を示す第1正面図である。
【図17】実施の形態における空気調和機に用いられる載置状態検知部の他の変形例を示す第2正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0014】
(空気調和機100)
図1〜図7を参照して、実施の形態における空気調和機100の全体構成について説明する。図1は、空気調和機100を示す斜視図である。図2は、空気調和機100を示す正面図である。図3は、空気調和機100を示す側面図である。図4は、空気調和機100を示す背面図である。図5は、空気調和機100を示す底面図である。図6は、空気調和機100を示す平面図である。図7は、空気調和機100の内部を示す斜視図である。
【0015】
図1〜図7に示すように、空気調和機100は、本体ケース10、吸込口1(図1,図5参照)、吸込口2(図1,図2参照)、吸込口3(図1,図4参照)、吹出口7(図1,図6参照)、送風機としての多翼ファン60(図7参照)、載置状態検知部40(図1,図7参照)、制御部50(図1,図7参照)、およびフィルター30(図5,図7参照)を備える。詳細は図8〜図10を参照して後述されるが、空気調和機100は、床の表面または棚の表面などの載置面70(図8〜図10参照)上に載置された状態で使用される。
【0016】
(本体ケース10)
図1に示すように、本体ケース10は、角部が丸みを帯びた略直方体状に形成される。本体ケース10は、互いに組み合わされるケース部材15およびケース部材16と、ケース部材15およびケース部材16同士が互いに組み合わされることによって形成された開口を塞ぐように設けられるケース部材11,12,13,17と、を含む。ケース部材11は、本発明における第1載置部に相当する。ケース部材12,13,15,16のうちのいずれか1つまたは複数は、本発明における第2載置部に相当する。
【0017】
図1〜図4に示すように、ケース部材15およびケース部材16は、互いに略同形状に形成される。ケース部材15およびケース部材16は、ケース部材11を下にして本体ケース10が載置面上に載置された状態(図1,図8に示す状態)においては、本体ケース10の両側面側に位置する。ケース部材15およびケース部材16は、側面視(図3参照)においては、角部に丸みが付けられた正方形状を呈している。ケース部材15およびケース部材16は、互いに組み合わされることによって4つの開口を形成する。
【0018】
図1および図5に示すように、ケース部材11は、ケース部材15およびケース部材16が互いに組み合わされることによって形成された4つの開口のうちの1つに嵌め込まれる。ケース部材11は、ケース部材11を下にして本体ケース10が載置面上に載置された状態(図1,図8に示す状態)においては、本体ケース10の底面側に位置する。ケース部材11のケース部材16寄りの部分に、吸込口1が設けられる。
【0019】
ケース部材11には、吸込口1に加えてフィルター取付用開口部11Hも設けられる。フィルター取付用開口部11Hは、板状のフィルター30を本体ケース10の内部に着脱可能に取り付けるために使用される。吸込口1およびフィルター取付用開口部11Hは、互いに一体的に形成される。換言すると、吸込口1およびフィルター取付用開口部11Hは、1つの開口から形成される。フィルター取付用開口部11Hおよび吸込口1から形成される1つの開口のうち、フィルター30が配置された部分を除く部分が、吸込口1を形成する。
【0020】
図1および図6に示すように、ケース部材17は、ケース部材15およびケース部材16が互いに組み合わされることによって形成された4つの開口のうちの1つに嵌め込まれている。ケース部材17は、ケース部材11を下にして本体ケース10が載置面上に載置された状態(図1,図8に示す状態)においては、本体ケース10の上面側に位置する。ケース部材17に、吹出口7が設けられる。吹出口7は、本体ケース10の内部を挟んでケース部材11の反対側に位置している。
【0021】
吹出口7の内側には、2つのルーバー21と、4つのルーバー22とが、いわゆる2段式に設けられる。ルーバー21は、揺動軸21G(図7も参照)によって揺動可能に支持される。ルーバー22は、揺動軸22Gによって揺動可能に支持される。ルーバー22は、ルーバー21よりも本体ケース10の内部側に位置する。
【0022】
図1および図2に示すように、ケース部材12は、ケース部材15およびケース部材16が互いに組み合わされることによって形成された4つの開口のうちの1つに嵌め込まれている。ケース部材12は、ケース部材11を下にして本体ケース10が載置面上に載置された状態(図1,図8に示す状態)においては、本体ケース10の正面側に位置する。ケース部材12のケース部材16寄りの部分に、吸込口2が設けられる。
【0023】
図1および図4に示すように、ケース部材13は、ケース部材15およびケース部材16が互いに組み合わされることによって形成された4つの開口のうちの1つに嵌め込まれている。ケース部材13は、ケース部材11を下にして本体ケース10が載置面上に載置された状態(図1,図8に示す状態)においては、本体ケース10の背面側に位置する。ケース部材13のケース部材16寄りの部分に、吸込口3が設けられる。
【0024】
吸込口1〜3は、互いに独立した開口から形成される。吸込口1〜3は、本体ケース10に内蔵される板状のフィルター30(図5,図7,図8参照)に連通している。ケース部材15およびケース部材16の間におけるケース部材17寄りの部分に、電源スイッチ5(図1参照)が設けられる。
【0025】
(多翼ファン60)
図7は、空気調和機100の内部を示す斜視図である。説明の便宜上、図7においては、ケース部材11、ケース部材12、ケース部材16、およびケース部材17はいずれも図示されていない。説明の便宜上、ケース部材11(図1参照)に設けられる吸込口1、ケース部材12(図1参照)に設けられる吸込口2、および、本体ケース10に内蔵される板状のフィルター30(図5も参照)は、点線にて仮想的に図示されている。
【0026】
図7に示すように、送風機としての多翼ファン60(たとえばシロッコファン)は、本体ケース10に内蔵される。多翼ファン60は、モーター(図示せず)などによって回転駆動される。多翼ファン60が回転駆動されることによって、吸込口1〜3から空気が吸い込まれる。吸込口1〜3から吸い込まれた空気は、フィルター30を通過する。空気は、フィルター30によって清浄化された後、本体ケース10の内部に取り込まれる。
【0027】
多翼ファン60は、フィルター30によって清浄化された空気を、流路形成部材61に沿って通流させる。流路形成部材61によって形成される空気の流通路の途中には、図7に示すようにイオン発生部62が設けられるとよい。イオン発生部62が空気調和機100に用いられる場合、空気調和機100はイオン発生装置として機能する。本体ケース10の内部に取り込まれた空気は、イオンを付加された状態で、吹出口7を通して本体ケース10の外部に吐き出される。
【0028】
(載置状態検知部40・制御部50)
載置状態検知部40および制御部50は、本体ケース10の内部に設けられる。載置状態検知部40および制御部50は、図7に示すように、たとえば流路形成部材61とケース部材13との間に配置される。載置状態検知部40は、たとえばジャイロセンサである。載置状態検知部40は、本体ケース10がどのような状態(姿勢)で載置面上に載置されているのかを検知する。載置状態検知部40によって検知された情報は、制御部50に送られる。載置状態検知部40および制御部50の更なる詳細な動作については、後述する。
【0029】
(第1載置状態)
図8を参照して、空気調和機100としては、ケース部材11と載置面70とが相互に対向するように、本体ケース10が載置面70上に載置されることができる。この場合、空気調和機100は第1載置状態S1を形成する。
【0030】
空気調和機100が第1載置状態S1を形成している場合、主として吸込口2および吸込口3からフィルター30を通して、本体ケース10の内部に空気が吸い込まれる(矢印AR2,矢印AR3参照)。換言すると、吸込口1が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態であっても、空気調和機100は、吸込口2および吸込口3を通して本体ケース10の内部に空気を吸い込むことができる。
【0031】
空気調和機100においては、ケース部材11の表面に設けられた突起11T(図3,図5参照)によって、ケース部材11と載置面70との間に隙間が形成される。本体ケース10の外部の空気は、この隙間を通して、吸込口1からも本体ケース10の内部に吸い込まれることができる(矢印AR1参照)。
【0032】
本体ケース10の内部に吸い込まれた空気は、フィルター30を通過する。空気は、フィルター30と対向するように配置された多翼ファン60(シロッコファン)に取り込まれ、流路形成部材61に沿って吹出口7側へと通流される。
【0033】
多翼ファン60からの空気は、ルーバー21およびルーバー22によって所定の方向へガイドされ、吹出口7から本体ケース10の外部へと吹き出される(矢印AR7参照)。上述のとおり、流路形成部材61によって形成される空気の流通路の途中には、イオン発生部62(図7参照)が設けられていてもよい。この場合、空気調和機100はイオン発生装置として機能する。
【0034】
(第2載置状態)
図9を参照して、空気調和機100としては、ケース部材15と載置面70とが相互に対向するように、本体ケース10が載置面70上に載置されることもできる。この場合、空気調和機100は、第2載置状態S2Aを形成する。ケース部材16と載置面70とが相互に対向するように、本体ケース10が載置面70上に載置される場合についても同様である。
【0035】
空気調和機100が第2載置状態S2Aを形成している場合、吸込口1〜3からフィルター30を通して、本体ケース10の内部に空気が吸い込まれる(矢印AR1,矢印AR2,矢印AR3参照)。本体ケース10の内部に吸い込まれた空気は、第1載置状態S1(図8参照)の場合と同様に、吹出口7から本体ケース10の外部へと吹き出される(矢印AR7参照)。
【0036】
(他の第2載置状態)
図10を参照して、空気調和機100としては、ケース部材13と載置面70とが相互に対向するように、本体ケース10が載置面70上に載置されることもできる。この場合、空気調和機100は、他の第2載置状態S2Bを形成する。ケース部材12と載置面70とが相互に対向するように、本体ケース10が載置面70上に載置される場合についても同様である。
【0037】
空気調和機100が第2載置状態S2Bを形成している場合、主として吸込口1,2からフィルター30を通して、本体ケース10の内部に空気が吸い込まれる(矢印AR1,矢印AR2参照)。換言すると、吸込口3が載置面70と対向するように本体ケース10が載置面70上に載置された状態であっても、空気調和機100は、吸込口1および吸込口2を通して本体ケース10の内部に空気を吸い込むことができる。
【0038】
空気調和機100においては、ケース部材15,16の周縁のケース部材13寄りの部分が図10に示すように凹状に形成されることによって、ケース部材13と載置面70との間に隙間が形成される。本体ケース10の外部の空気は、この隙間を通して、吸込口3からも本体ケース10の内部に吸い込まれることができる(矢印AR3参照)。
【0039】
本体ケース10の内部に吸い込まれた空気は、第1載置状態S1(図8参照)および第2載置状態S2A(図9参照)の場合と同様に、吹出口7から本体ケース10の外部へと吹き出される(矢印AR7参照)。
【0040】
(空気調和機100の制御ブロック)
図11を参照して、空気調和機100の制御ブロックについて説明する。上述のとおり、載置状態検知部40は、本体ケース10がどのような状態(姿勢)で載置面上に載置されているのかを検知する。具体的には、電源スイッチ5が操作されることによって空気調和機100の電源が投入される。載置状態検知部40は、空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成しているか、空気調和機100が第2載置状態S2A(図9参照)、または、空気調和機100が第2載置状態S2B(図10参照)を形成しているか、をそれぞれ検知する。
【0041】
制御部50は、載置状態検知部40が検知した情報を受け取る。制御部50は、載置状態検知部40からの情報を受け取った後、多翼ファン60およびイオン発生部62の双方を制御する。制御部50は、載置状態検知部40が検知した情報に応じて、多翼ファン60を駆動するためのモーター等を制御する。制御部50による制御によって、多翼ファン60の回転数が変化するとともに、吹出口7から吹き出される空気の風量も変化する。
【0042】
本実施の形態における空気調和機100においては、制御部50は、載置状態検知部40が第1載置状態S1を検知している場合よりも、載置状態検知部40が第2載置状態S2A,S2Bを検知している場合の方が、吹出口7から吹き出される空気の風量が少なくなるように多翼ファン60を制御する。
【0043】
たとえば、空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成している場合、多翼ファン60は1000rpmで回転駆動される。空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成している場合、多翼ファン60は600rpmで回転駆動される。吹出口7から吹き出される風量は、空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成している場合の方が、空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成している場合よりも多くなる。
【0044】
空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成するように、空気調和機100がリビングまたは寝室などに置かれたとする。この場合、空気調和機100に取り込まれた空気は、イオンを付加された状態で上方に向かって比較的多くの風量および速い風速で吹出口7から吹き出される。イオンを付加された空気は、部屋全体に広がるように循環する。イオンを含んだ空気は、部屋全体に行き渡ることが可能となる。
【0045】
一方、空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成するように、空気調和機100が机の上などに置かれたとする。この場合、空気調和機100に取り込まれた空気は、イオンを付加された状態で、使用者に向かって直接吹き出されることがある。イオンを付加された空気が比較的少ない風量および遅い風速で吹出口7から吹き出されることによって、使用者が不快に感じることを抑制することが可能となる。
【0046】
空気調和機100が使用者の近くに置かれる場合であっても、空気調和機100から発生する騒音または振動などが小さくなるため、使用者が不快に感じることを抑制することが可能となる。したがって、空気調和機100によれば、載置状態に応じた動作が載置状態検知部40および制御部50によって自動で選択されることによって、使用上の利便性を向上させることが可能となる。
【0047】
また、空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成するように空気調和機100が載置される場合、吹出口7の前方の特定の領域にのみイオンを含む空気が放出されればよいため、多翼ファン60が600rpmで回転駆動される場合であっても、十分なイオンの放出量を得ることが可能となる。
【0048】
さらに、本実施の形態における制御部50は、載置状態検知部40からの情報を受け取った後、イオン発生部62を駆動するための印加電圧なども制御する。イオン発生部62は、放電針にパルス状の高電圧が印加されることによって、放電針の先端からイオンを放出する装置である。放電針への印加電圧を増減したり、放電針に印加する電圧のパルス回数を増減したりすることによって、イオンの放出量は変化する。制御部50による制御によって、吹出口7を通して吹き出される空気に対してイオン発生部62から付加されるイオンの量が変化する。
【0049】
本実施の形態における空気調和機100においては、制御部50は、載置状態検知部40が第1載置状態S1を検知している場合の方が、載置状態検知部40が第2載置状態S2A,S2Bを検知している場合よりも、吹出口7から吹き出される空気に対して付加されるイオンの量が多くなるようにイオン発生部62を制御する。吹出口7から吹き出される空気に含まれるイオンの量は、空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成している場合の方が、空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成している場合よりも多くなる。
【0050】
吹出口7から吹き出される空気に含まれるイオンとしての必要な量は、空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成している場合の方が、空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成している場合よりも多い。載置状態に応じてイオン発生部62への印加電圧が最適化されることによって、イオン発生部62における消費電力が抑制され、空気調和機100の全体としての消費電力を低減することが可能となる。
【0051】
図12を参照して、空気調和機100においては、たとえば「弱」、「中」、および「強」の3段階に、風量を切り替え可能に構成されてもよい。この場合、風量を切り替えるためのスイッチがたとえば電源スイッチ5(図1等参照)の近傍に設けられる。風量切替スイッチによって風量がたとえば「強」に設定されたとする。この場合であっても、図12に示すように、空気調和機100が第1載置状態S1(図8参照)を形成しているか、または空気調和機100が第2載置状態S2A,S2B(図9,図10参照)を形成しているかによって、風量が変化されるように制御される。使用上の利便性を一層向上させることが可能となる。
【0052】
図13を参照して、上述の空気調和機100においては、載置状態検知部40からの情報を受けた制御部50が、多翼ファン60およびイオン発生部62の双方を制御する。空気調和機100としては、多翼ファン60のみを制御するように構成されてもよい。当該構成によっても、空気調和機100は、載置状態に応じて最適な風量および風速を有する空気を吹き出すことができる。
【0053】
図14および図15を参照して、上述の空気調和機100においては、載置状態検知部40としてジャイロセンサが設けられる。載置状態検知部としては、ジャイロセンサ以外にも、図14および図15に示すような載置状態検知部40A(磁気近接スイッチ)が用いられてもよい。
【0054】
図14は、載置状態検知部40Aを示す正面図である。図15は、載置状態検知部40Aを示す側面図である。図14および図15に示すように、載置状態検知部40Aは、取付プレート41、固定部42、回転部43、磁石43T、ホール素子44T、および基板44を含む。
【0055】
固定部42は、取付プレート41に取り付けられる。回転部43および回転部43の先端に設けられた磁石43Tは、固定部42を中心として矢印AR43方向(図14参照)に揺動することができる。基板44も、取付プレート41に取り付けられる。基板44の表面に設けられたホール素子44Tは、磁石43Tに対向するように配置される。
【0056】
空気調和機100がたとえば第1載置状態S1(図8参照)を形成するように載置されたとする。この場合、ホール素子44Tは、High(またはLow)の信号を出力する。この信号は、基板44のマイコンによって検知される。載置状態検知部40Aは、空気調和機100が第1載置状態S1を形成するように載置されていることを検知することが可能となる。
【0057】
一方、空気調和機100がたとえば第2載置状態S2A(図9参照)または第2載置状態S2B(図10参照)を形成するように載置されたとする。この場合、回転部43が回転することによって、磁石43Tがホール素子44Tから離れる。ホール素子44Tは、Low(またはHigh)の信号を出力する。この信号も、基板44のマイコンによって検知される。載置状態検知部40Aは、空気調和機100が第2載置状態S2A(図9参照)または第2載置状態S2B(図10参照)を形成するように載置されていることを検知することが可能となる。また、ホール素子44Tとしてリードスイッチが用いられる場合であっても、上記同様の作用および効果を得ることができる。
【0058】
図16および図17を参照して、載置状態検知部としては、載置状態検知部40Bが用いられてもよい。載置状態検知部40Bは、いわゆる耐震スイッチ、振動センサー、または転倒センサーである。
【0059】
図16は、載置状態検知部40Bを示す第1正面図(空気調和機100は、たとえば第1載置状態S1を形成している)である。図17は、載置状態検知部40Bを示す第2正面図(空気調和機100は、たとえば第2載置状態S2A,S2Bを形成している)である。図16および図17に示すように、載置状態検知部40Bは、剛球45、転がり面46、ロッド47、および基板48を含む。
【0060】
剛球45は、転がり面46の表面上において自由に転がることができる。ロッド47は、転がり面46に設けられた開口部46Hを通過するように配置されるとともに、付勢手段(図示せず)によって基板48から離れる方向に付勢されている。
【0061】
空気調和機100がたとえば第1載置状態S1(図8参照)を形成するように載置されたとする。この場合、剛球45は、ロッド47を基板48に向かって押下げる。ロッド47の下端に設けられた接点47Tと基板48の表面に設けられた接点48Tとが接続される。この状態は、基板48のマイコンによって検知される。載置状態検知部40Bは、空気調和機100が第1載置状態S1を形成するように載置されていることを検知することが可能となる。
【0062】
一方、空気調和機100がたとえば第2載置状態S2A(図9参照)または第2載置状態S2B(図10参照)を形成するように載置されたとする。この場合、剛球45が転がり面46の表面に沿って移動する(矢印AR45参照)。ロッド47は、剛球45による押下から解放され、ロッド47は矢印AR47方向に移動する。接点47Tおよび接点48Tは互いに離れる。この状態も、基板48のマイコンによって検知される。載置状態検知部40Bは、空気調和機100が第2載置状態S2A(図9参照)または第2載置状態S2B(図10参照)を形成するように載置されていることを検知することが可能となる。
【0063】
したがって、載置状態検知部40(図7等参照)の代わりに載置状態検知部40A(図14,図15参照)または載置状態検知部40B(図16,図17参照)が空気調和機100に用いられる場合であっても、載置状態に応じた動作が制御部50によって自動で選択されることによって、使用上の利便性を向上させることが可能となる。
【0064】
以上、本発明に基づいた実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 吸込口、3 吸気口、5 電源スイッチ、7 吹出口、10 本体ケース、11,12,13,15,16,17 ケース部材、11H フィルター取付用開口部、11T 突起、21,22 ルーバー、21G,22G 揺動軸、30 フィルター、40,40A,40B 載置状態検知部、41 取付プレート、42 固定部、43 回転部、43T 磁石、44,48 基板、44T ホール素子、45 剛球、46 転がり面、46,46H 開口部、47 ロッド、47T,48T 接点、50 制御部、60 多翼ファン、61 流路形成部材、62 イオン発生部、70 載置面、100 空気調和機、AR1,AR2,AR3,AR7,AR45,AR47 矢印、S1 第1載置状態、S2A,S2B 第2載置状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上に載置された状態で使用される空気調和機であって、
第1載置部および第2載置部を含む本体ケースと、
前記本体ケースに設けられた吸込口と、
前記本体ケースに設けられ、前記本体ケースの内部を挟んで前記第1載置部の反対側に位置する吹出口と、
前記本体ケースに内蔵され、前記吸込口を通して前記本体ケースの内部に空気を吸い込むとともに、前記吹出口を通して前記本体ケースの外部に空気を吹き出す送風機と、
前記第1載置部と前記載置面とが相互に対向するように前記本体ケースが前記載置面上に載置されている第1載置状態、および、前記第2載置部と前記載置面とが相互に対向するように前記本体ケースが前記載置面上に載置されている第2載置状態をそれぞれ検知する載置状態検知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記載置状態検知部が前記第1載置状態を検知しているかまたは前記載置状態検知部が前記第2載置状態を検知しているかに応じて、前記吹出口から吹き出される空気の風量が変化するように前記送風機を制御する、
空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記載置状態検知部が前記第1載置状態を検知している場合よりも前記載置状態検知部が前記第2載置状態を検知している場合の方が、前記吹出口から吹き出される空気の風量が少なくなるように前記送風機を制御する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記本体ケースの内部から前記吹出口を通して吹き出される空気に対してイオンを付加するイオン発生部をさらに備え、
前記制御部は、前記載置状態検知部が前記第1載置状態を検知しているかまたは前記載置状態検知部が前記第2載置状態を検知しているかに応じて、前記吹出口を通して吹き出される空気に対して付加されるイオンの量が変化するように前記イオン発生部を制御する、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、前記載置状態検知部が前記第1載置状態を検知している場合よりも前記載置状態検知部が前記第2載置状態を検知している場合の方が、前記吹出口を通して吹き出される空気に対して付加されるイオンの量が少なくなるように前記イオン発生部を制御する、
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記載置状態検知部は、ジャイロセンサである、
請求項1から4のいずれかに記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−40708(P2013−40708A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177429(P2011−177429)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】