説明

空気除菌装置

【課題】大空間の空気を除菌することができ、かつ、水の消費量を低減することのできる空気除菌装置を提供する。
【解決手段】空気除菌装置1を、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部46と、電解水が供給される気液接触部材53と、気液接触部材53から排出される電解水を受ける水受け皿42と、水受け皿42に受けた電解水を電解対象の水として電解水生成部46に供給する電解水循環経路とを有し、電解水が供給される気液接触部材53に室内の空気を循環し、該空気を除菌して室内に送風させ、外部の給水源から給水管62、63、及び給水弁61を介して水受け皿42に水を滴下可能に構成すると共に、水受け皿42内の水位を検出する水位検出手段43A、43Bを設け、該水位検出手段43A、43Bにより検出された水位に応じて給水弁61を開閉する制御部39Aを備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中浮遊微生物(細菌、ウィルス、真菌(以下、単に「ウィルス等」という。))の除去が可能な空気除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気中に浮遊するウィルス等の除去を目的として、加湿エレメントに電解水を供給し、この電解水ミストを空中に拡散させて、この電解水ミストに空中浮遊微生物に直接接触させることにより、ウィルス等を不活化する空気除菌装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−181358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記空気除菌装置では、微粒子状の電解水ミストを室内に拡散させる構成としているため、電解水ミストの到達範囲に限界があり、電解水ミストが到達しやすい使用環境下、すなわち、比較的小空間では効力を発揮するものの、電解水ミストが到達しにくい使用環境下、すなわち、大空間、例えば幼稚園や小・中・高等学校や、介護保険施設、病院等の大空間では効力を発揮しにくいという問題があった。
また、上記従来の空気除菌装置では、電解槽内の水位を所定の水位とすべく、外部の給水源から所定の時間間隔で水が電解槽に供給されている。
しかし、加湿エレメントに供給された電解水はドレンパン、ドレンパイプを介して外部に排水される構成となっていた。このため、上記のような大空間において空気除菌装置を長時間継続して運転を行うと、水の消費量が多大になるという課題があった。
本発明の課題は、大空間の空気を除菌することができ、かつ、水の消費量を低減することのできる空気除菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の空気除菌装置は、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、前記電解水が供給される気液接触部材と、前記気液接触部材の下方に配置され前記気液接触部材から排出される電解水を受ける水受け皿と、前記水受け皿に受けた電解水を電解対象の水として前記電解水生成部に供給する電解水循環経路とを有し、前記電解水が供給される気液接触部材に室内の空気を循環し、該空気を除菌して室内に送風する空気除菌装置であって、外部の給水源から給水管、及び給水弁を介して前記水受け皿に水を滴下可能に構成すると共に、前記水受け皿内の水位を検出する水位検出手段を設け、該水位検出手段により検出された水位に応じて前記給水弁を開閉する制御部を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、電解水ミストを室内に拡散させる構成とするのではなく、気液接触部材において室内の空気に電解水を接触させて空気を除菌し、除菌後の空気を筐体外の室内に送風する構成としているので、室内の空気を循環させることができ、大空間の除菌を可能とすることができる。
また、電解水循環経路により、水受け皿に排出された電解水が回収されて、電解対象の水として電解水生成部に循環供給されているので、水の消費量を低減することができる。また、制御部は、水受け皿の水位に応じて給水管の給水弁を開閉するように制御しているので、蒸発等により不足した分だけ外部の給水源から水を供給することができる。
さらに、電解水生成部に対して、給水管を介して直接電解水生成部に供給するのではなく、一度、水受け皿に外部の給水源から水を滴下することにより供給し、水受け皿内の水を電解水生成部に供給する構成としている。このため、空気除菌装置に内部の給水源として給水タンク等を設ける場合と、外部の給水源から水を供給する構成とする場合と、装置構成の大部分を共通化することができる。
【0005】
上記構成の空気除菌装置において、前記水位検出手段として、前記水受け皿内の水位が予め設定された給水開始水位を下回った場合に第一検出信号を前記制御部に出力する第一フロートスイッチと、前記水受け皿内の水位が前記給水停止水位を上回った場合に第二検出信号を前記制御部に出力する第二フロートスイッチとを備え、前記制御部は、前記第一フロートスイッチから前記第一検出信号の入力を受けた場合に前記給水弁を開き、前記第二フロートスイッチから前記第二検出信号の入力を受けた場合に前記給水弁を閉じるように制御することが好ましい。
上記構成によれば、第一フロートスイッチにより水受け皿内の水位が給水開始水位よりも下回ったか否かを検出することができる。また、第二フロートスイッチにより水受け皿内の水位が給水停止水位よりも上回ったか否かを検出することができる。制御部は、第一フロートスイッチおよび第二フロートスイッチから入力される第一検出信号および第二検出信号に基づいて、給水弁を開閉し、水受け皿内の水が蒸発等により不足した分だけ給水するように制御することができる。
【0006】
また、上記構成の空気除菌装置において、前記制御部は、当該空気除菌装置に対する運転開始指示が入力されると、前記第二検出信号の入力の有無に基づいて、前記水受け皿内の水位が前記給水停止水位に達しているか否かを判別し、前記水受け皿内の水位が前記給水停止水位に達していないと判別した場合に、前記第一検出信号の入力の有無によらず、前記給水弁を開き、前記第二検出信号の入力があるまで、前記給水弁を開いた状態に保持させることが好ましい。
上記構成によれば、当該空気除菌装置に対する運転開始指示が入力された場合に、水受け皿内の水位が給水停止水位に達していないと判別された場合には、給水弁が開かれ、水受け皿内の水位が給水停止水位を上回るまで、給水弁が開いた状態に保持されるので、空気除菌運転の運転を開始する場合には、必ず、水受け皿内の水位を給水停止水位とすることができる。
【0007】
また、上記構成の空気除菌装置において、前記制御部は、前記給水弁を開いた時点から所定の給水時間が経過するまでの間に、前記第二検出信号が入力されない場合は、エラー報知を行うように制御することが好ましい。
上記構成によれば、給水管に設けられた給水弁を開いても所定の給水時間が経過しても、水受け皿内の水位が給水停止水位に達しない場合は、ユーザ等に対してエラー報知を行うことができる。
【0008】
また、上記構成の空気除菌装置において、前記水受け皿は、前記気液接触部材の下方に配置されて前記電解水を受ける水受け部と、この水受け部に連接されるとともに前記水受け部よりも深底に形成される貯留部と、前記電解水受け部と前記貯留部との連接部に配置され、前記電解水受け部から前記貯留部に流入する水に混入する異物を除去するフィルタ部材と、を有し、前記フィルタ部材の上方に前記給水管の給水口を配置したことが好ましい。
上記構成によれば、フィルタ部材により異物が除去された水(電解水)を貯留部に流入させることができる。このため、気液接触部材から排出された電解水にスケール等の異物が含まれている場合でも、スケール等をフィルタ部材により除去して、電解水を循環使用することができる。また、給水口をフィルタ部材の上方に配置することにより、給水管の内部が負圧となった場合などに、給水口を通じて貯留部内の水が逆流するのを防止することができる。また、貯留部に給水源から供給される水は、フィルタ部材に滴下されることから、貯留部の水面に向けて水を滴下する場合と比較して、滴下音を低減することができる。
【0009】
また、上記構成の空気除菌装置において、前記電解水生成部において生成された電解水は前記フィルタ部材を経由して前記貯留部に導びかれ、前記貯留部において前記給水部により供給された水と混合された電解水を前記気液接触部材に供給する電解水供給経路を有することが好ましい。
上記構成によれば、電解槽において生成された電解水を直接気液接触部材に供給するのではなく、フィルタ部材を経由して貯留部に導く構成とすることで、電解槽内において生成されたスケール等の異物を含む電解水が気液接触部材に供給されるのを防止することができる。また、電解水に含まれる活性酸素種の濃度は、貯留部において希釈される。このため、電解槽においては、気液接触部材に供給すべき活性酸素種の濃度よりも高濃度で電解水を生成することができ、活性酸素種の濃度が希薄な電解水を生成する場合と比較して、濃度管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大空間の空気を除菌することができ、かつ、電解水を循環させて水の消費量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る空気除菌装置1の斜視図であり、図2は、この空気除菌装置1の背面側斜視図である。この空気除菌装置1は、水を電気分解して所定の活性酸素種を含む電解水を生成し、空気除菌装置1内に吸い込んだ室内の空気をこの電解水を用いて除菌して、除菌後の清浄な空気を室内に送風する装置である。
【0012】
空気除菌装置1は、図1に示すように、縦長に形成された箱形の筐体11を有し、例えば床置き設置される。筐体11には、この筐体11の両側面の下部に吸込グリル12が形成されるとともに、この筐体11の前面の下端部に吸込口15が形成されている。
また、筐体11の上面には吹出口13が形成され、この吹出口13には空気を吹き出す方向を変化させるためのオートルーバー20が設けられている。このオートルーバー20は、運転停止時に上記吹出口13を閉塞するように構成されている。
【0013】
筐体11の上面には、吹出口13の前面側に操作蓋16が配置されており、この操作蓋16を開くと、空気除菌装置1の各種操作を行う操作パネル16A(図6参照)が露出する。また、この操作パネル16Aには、後述する給水エラーを報知するための給水エラーランプ16A1が設けられている。
【0014】
さらに、筐体11の両側面の上部にはそれぞれ把持部17が形成されている。これら把持部17は筐体11を手持ちする際に手を掛けるための凹部であり、運搬時に空気除菌装置1を一人で持ち上げて移動できるようになっている。
また、筐体11の前面には、上下方向に並べられた上側カバー部材18及び下側カバー部材19がそれぞれ着脱自在に配置されており、これら上側カバー部材18及び下側カバー部材19を取り外すと空気除菌装置1の内部構成が露出する。下側カバー部材19は、この下側カバー部材19の下端部に、筐体11の背面側に向けて湾曲した円弧部19Aを備え、この円弧部19Aに上記吸込口15が形成されている。
【0015】
また、図2に示すように、筐体11の背面上部には空気除菌装置1に給水するための給水配管接続口14が形成され、この給水配管接続口14に外部の給水源(例えば上水道)に連なる給水配管27が接続される。また、筐体11の背面下部には、空気除菌装置1内の水を外部に排出するための排水配管28が設けられている。
【0016】
次に、図3及び図4を参照して空気除菌装置1の内部構成を説明する。
図3は、空気除菌装置1の内部の主要構成を示す斜視図であり、図4は側断面視図である。筐体11には、図3及び図4に示すように、この筐体11の内部を上下に仕切る支持板21が設けられ、上側の室22と下側の室23とに区分けされている。
下側の室23は、仕切板24によって左右に区分けされ、一方の室23Aに送風ファン31(図4)及びこの送風ファン31を駆動するファンモータ(図示略)が収容されるとともに、他方の室23Bに上記排水配管28を有する排水部57が収容されている。一方の室23Aの前面側には、下側カバー部材19(図1)と対向する位置にプレフィルタ34が配置されている。このプレフィルタ34は、一方の室23Aの開口部に相当する大きさに形成され、この開口部に嵌めこまれて配置されている。下側カバー部材19を外すと、プレフィルタ34が露出し、このプレフィルタ34を簡単に着脱することができる。
【0017】
プレフィルタ34は、吸込グリル12及び吸込口15を通じて吸い込まれた空気中の塵埃など粒径の大きなものを捕集する粗塵フィルタ25と、この粗塵フィルタ25を通過する、例えば粒径10(μm)以上の物(例えば花粉)を捕集する中性能フィルタ26(図3)とを備えて構成される。このプレフィルタ34によって、吸込グリル12及び吸込口15から吸い込まれた空気中に浮遊する花粉や塵埃などが除去される。
【0018】
上側の室22では、一方の室23Aの上方における仕切板24の上に電装ボックス39が配置され、この電装ボックス39の上方に気液接触部材53が配置されている。また、これら電装ボックス39と気液接触部材53との間に、この気液接触部材53から流下(排出)した電解水を受ける水受け皿42が配置されている。電装ボックス39には、空気除菌装置1を制御する制御部39A(図6参照)を構成する各種デバイスが実装された制御基板や、ファンモータに電源電圧を供給する電源回路等の各種電装部品が収容されている。
【0019】
また、上側の室22には、図4に示すように、気液接触部材53によって区分けされた背面側空間1Aと前面側空間1Bとが形成されている。背面側空間1Aは、支持板21に形成された開口21Aを介して送風ファン31の送風口31Aに連通している。また、背面側空間1Aの上方には、筐体11の背面側から前面側に向かって下方に傾斜する導風板32A、32Bが高さ方向の位置を違えて2枚設けられており、この2枚の導風板32A、32Bはフレーム部材32Cにより支持されている。このため、送風ファン31の送風口31Aから吹き出された空気は、この2枚の導風板32A、32Bに当たり、図4中矢印で示すような経路を通って気液接触部材53の背面に吹き付けられる。すなわち、筐体11内には下側の室23から上側の室22に向かう送風経路が形成されており、この送風経路上に気液接触部材53が配置されている。
【0020】
気液接触部材53は、この気液接触部材53に吹き付けられた空気に電解水を接触させるための部材である。この気液接触部材53において筐体11内に吸い込まれた空気が所定の活性酸素種を含む電解水に接触することで、空気中に含まれるウィルス等が不活化されることなどにより、空気の除菌が行われる。
【0021】
気液接触部材53の前面側には、ハウジング33が配置され、このハウジング33と気液接触部材53とで前面側空間1Bが形成される。このハウジング33は、前面側空間1B内の空気を吹出口13に導くとともに、気液接触部材53から吹き出された水(いわゆる飛び水)を受ける機能を有する。具体的には、ハウジング33は、このハウジング33の内側の底面33Aが気液接触部材53に向けて下り勾配に形成されており、この底面33Aの先端部が水受け皿42の上方に延在する。これにより、前面側空間1Bに吹き出された水は、上記底面33Aを通じて水受け皿42に戻される。
ハウジング33と吹出口13との間には、この吹出口13から筐体11内部への異物の進入を防止するため吹出口フィルタ36が配置されている。この吹出口フィルタ36は、気液接触部材53を通過した空気の通風抵抗を著しく増加させないよう、適度に目の粗いものであることが好ましい。
【0022】
気液接触部材53は、ハニカム構造を持ったフィルタ部材であり、気体に接触するエレメント部をフレームにより支持する構造を有する。エレメント部は、図示を省略するが、波板状の波板部材と平板状の平板部材とが積層されて構成され、これら波板部材と平板部材との間に略三角状の多数の開口が形成されている。従って、エレメント部に空気を通過させる際の気体接触面積が広く確保され、電解水の滴下が可能で、目詰まりしにくい構造になっている。
エレメント部には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。また、エレメント部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材53の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と室内空気との接触が長時間持続される。
【0023】
また、気液接触部材53の上部には、図5に示すように、この気液接触部材53上に均一に電解水を分散させるための散水ボックス51が組み付けられている。この散水ボックス51は、電解水を一時的に貯留するトレー部材を備え、このトレー部材の側面に複数の散水孔(図示略)が開口し、この散水孔から気液接触部材53に対して電解水を滴下するようになっている。
また、気液接触部材53の上面には、散水ボックス51から滴下される電解水をエレメント部に効率よく分散させるため、分流シート(図示略)が配設されている。この分流シートは、液体の浸透性を有する繊維材料からなるシート(織物、不織布等)であり、気液接触部材53の厚み方向断面に沿って一または複数設けられる。
【0024】
水受け皿42は、図3および図5に示すように、気液接触部材53の下方に位置する水受け部42Aと、上記他方の室23Bの上方に延在する貯留部42Bとを備え、一体に形成されている。この貯留部42Bには水受け部42Aから流入した水が貯留される。また、この貯留部42Bには、水受け部42Aよりも深底の深底部42B1と、この深底部42B1よりも浅底の浅底部42B2とが形成されている。
【0025】
深底部42B1には水位を検出する水位検出手段としての第一フロートスイッチ43A及び第二フロートスイッチ43Bが配設されている。第一フロートスイッチ43Aは、貯留部42Bの水位が所定の下限水位(給水開始水位)を下回った場合に動作するスイッチであり、第二フロートスイッチ43Bは、貯留部42Bの水位が所定の上限水位(給水停止水位)を上回った場合に動作するスイッチである。
【0026】
また、深底部42B1には循環ポンプ44が設けられている。この循環ポンプ44は制御部39Aの制御に従って動作し、この循環ポンプ44の吐出口には、深底部42B1(貯留部42B)に貯留された水を汲み上げ、散水ボックス51を介して気液接触部材53に供給するための供給管71が接続されている。この供給管71には循環ポンプ44と散水ボックス51との間で分岐する分岐管72を介して電解槽46が接続されている。
この電解槽46は後述するように複数の電極を内蔵し、これら電極間間に電圧が印加されることにより、電解槽46において水の電気分解が行われ電解水が生成される。電解槽46の上面には、この電解槽46で生成した電解水を貯留部42Bに返送するための返送管73が接続される返送管接続口46Aが形成されている。
【0027】
また、貯留部42Bの入口部分、すなわち、この貯留部42Bと水受け部42Aとの連接部には、当該貯留部42Bに流れ込む水に混入する異物(固形物)を捕集するためのフィルタ部材74が配置されている。このフィルタ部材74の上方には、返送管73の出口73Aが設けられており、電解槽46から水とともに排出された固形物(例えば、電極表面に形成されたスケール成分)を捕集可能となっている。このフィルタ部材74は、上方から視認可能な状態で貯留部42Bの入口部分に配置されているため、フィルタ部材74の交換時期を目視で簡単に判断することができる。さらに、フィルタ部材74を交換する場合には、このフィルタ部材74を手指で取り外して交換すればよいため、工具等を使用することなく、メンテナンスを簡単に行うことができる。
【0028】
本実施形態では、循環ポンプ44で汲み上げた水の一部が、散水ボックス51を介して気液接触部材53に供給され、残りの水が電解槽46に供給される。この電解槽46で生成された電解水はフィルタ部材74を介して貯留部42Bに供給され、この貯留部42Bの深底部42B1に貯留された電解水は循環ポンプ44により再び気液接触部材53および電解槽46に分散供給される。このように、電解槽46においては電解水を用いて繰り返し電気分解を行わせることにより、活性酸素種の濃度の高い電解水を生成することができるようになっている。また、気液接触部材53から排出される電解水を電解対象の水として循環利用することにより、水資源を有効活用することができる。
【0029】
また、深底部42B1の上方には、図3に示すように、上記給水配管27からの水道水を水受け皿42に供給する給水部60が設けられている。この給水部60は、筐体11の背面に形成された給水配管接続口14を介して給水配管27に接続されている。給水部60は、貯留部42Bの水位に応じて開閉される給水弁61と、一端が給水配管接続口14に接続され、他端が給水弁61の上流側端部61Aに接続された第一給水管62と、給水弁61の下流側端部61Bに接続された第二給水管63と、この第二給水管63の先端において下向きに開口する給水口64とを備えている。
【0030】
給水弁61は、上記第一フロートスイッチ43A、第二フロートスイッチ43Bによって検出された水位に応じて、制御部39Aの制御により開閉される電磁弁である。この給水弁61は、上流側端部61Aが下方、下流側端部61Bが上方に位置するように配置されている。すなわち、給水部60に供給される水が給水弁61内を下から上に流れるように配置されている。これによれば、給水弁61が閉弁されている場合に、この給水弁61の上流側端部61Aと第一給水管62との接続部から水漏れが生じたとしても、漏れた水は給水弁61にかかることがなく、これに伴う漏電等のトラブルの発生を防止できる。
【0031】
また、第二給水管63の給水口64は、水受け皿42に貯留された水の水面から、この水面に触れることない十分な距離(本実施形態では、水受け皿42の上端面から35mm)を離して配置されている。これによれば、給水部60及び給水配管27の内部が負圧となった場合であっても、水受け皿42に貯留された水が、給水口64を通じて給水部60及び給水配管27内に逆流することが防止される。
さらに、この給水口64は、上記したフィルタ部材74の上方に配置されている。これによれば、給水口64を通じて供給された水は、フィルタ部材74上に滴下されるため、この滴下音を低減することができ、給水時の静音化を図ることができる。
【0032】
また、本実施形態では水受け皿42に貯留された水を適宜排出可能に構成されている。具体的には、貯留部42Bの下方には、水受け皿42に貯留された水を上記排水部57に排出するための排水弁ユニット81が配置されている。この排水弁ユニット81は、貯留部42Bの深底部42B1の底部に連結された第一排水管82と、この第一排水管82に接続された排水弁83と、この排水弁83に接続された第二排水管84とを備え、この第二排水管84は上記排水部57に接続されている。排水弁83は、制御部39Aの制御により開閉される。この制御部39Aは、空気除菌装置1の空気除菌運転が所定時間に達する毎、或いは、空気除菌装置1の運転停止時間が所定時間に達する毎、若しくは、予め定められた時間毎に、排水弁83を開いて、深底部42B1に溜まった水を排水部57を介して外部に排出する。
【0033】
また、貯留部42Bの浅底部42B2の底部には、オーバーフロー管85が接続され、このオーバーフロー管85は、排水弁83と排水部57との間で上記第二排水管84に接続されている。このため、深底部42B1内の水位が上昇し、この水が浅底部42B2に達したとしても、この水はオーバーフロー管85、第二排水管84及び排水部57を通じて外部に排出される。
また、第二排水管84には、この第二排水管84よりも細径のエア抜き管86が接続されている。このエア抜き管86は、排水時に排水弁ユニット81内の空気を外部に排出するためのものであり、このエア抜き管86の先端が水受け皿42よりも十分高い位置となるように配置されている。
【0034】
排水部57は、第二排水管84に接続されたトラップ配管58と、このトラップ配管58に接続された排水配管28とを備える。トラップ配管58は、このトラップ配管58内に水が溜まるようになっている。このため、トラップ配管58内に溜まった水によって、排水配管28と排水弁ユニット81とが隔離されることにより、排水の臭いが空気除菌装置1内に漂うことが防止される。
【0035】
図5は、電解水の供給の様子を説明する図であり、図5(A)は、空気除菌機構の構成を示す模式図であり、図5(B)は電解槽46の構成を詳細に示す図である。
この図5を参照して、気液接触部材53に対する電解水の供給について説明する。
空気除菌装置1に対して運転開始指示が入力されると、制御部39Aの制御の下、第一フロートスイッチ43A、第二フロートスイッチ43Bにより検出される貯留部42B内の水位に応じて、給水弁61が開閉されて貯留部42Bに水が供給される。
【0036】
貯留部42B内の水は循環ポンプ44によって汲み上げられて、その一部が電解槽46に供給される。この電解槽46には、図5(B)に示すように、一方が正、他方が負となる対の電極47、48を備え、これら電極47、48間に電圧を印加することにより、電解槽46に流入した水道水が電気分解されて活性酸素種を含む電解水が生成される。ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
【0037】
電極47、48は、例えばベースがチタン(Ti)で皮膜層がイリジウム(Ir)、白金(Pt)から構成された電極板であり、この電極47、48に流れる電流値は、電流密度で数mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)〜数十mA/cm2になるように設定され、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。
【0038】
詳述すると、上記電極47、48により水道水に通電すると、カソード電極では、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-
の反応が起こり、アノード電極では、
2H2O→4H++O2+4e-
の反応が起こると同時に、
水に含まれる塩化物イオン(Cl-:水道水に予め添加されているもの)が、
2Cl-→Cl2+2e-
のように反応し、塩素(Cl2)が発生する。さらにこの塩素は水と反応し、
Cl2+H2O→HClO+HCl
次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
【0039】
アノード電極で発生した次亜塩素酸は広義の活性酸素種に含まれるもので、強力な酸化作用や漂白作用を有する。次亜塩素酸が溶解した水溶液、すなわち空気除菌装置1により生成される電解水は、ウィルス等の不活化、殺菌、有機化合物の分解等、種々の空気清浄効果を発揮する。このように、次亜塩素酸を含む電解水が散水ボックス51から気液接触部材53に滴下されると、送風ファン31により吹き出された空気が気液接触部材53において次亜塩素酸と接触する。これにより、空気中に浮遊するウィルス等が不活化されるとともに、当該空気に含まれる臭気物質が次亜塩素酸と反応して分解され、或いはイオン化して溶解する。従って、空気の除菌及び脱臭がなされ、清浄化された空気が気液接触部材53から排出される。
【0040】
活性酸素種によるウィルス等の不活化の作用機序として、インフルエンザウィルスの例を挙げる。上述した活性酸素種は、インフルエンザの感染に必須とされるインフルエンザウィルスの表面蛋白(スパイク)を破壊、消失(除去)する作用を有する。この表面蛋白が破壊された場合、インフルエンザウィルスと、インフルエンザウィルスが感染するのに必要な受容体(レセプタ)とが結合しなくなり、感染が阻止される。このため、空気中に浮遊するインフルエンザウィルスは、気液接触部材53において活性酸素種を含む電解水に接触することにより、いわば感染力を失うこととなり、感染が阻止される。
【0041】
従って、この空気除菌装置1が、例えば幼稚園や小・中・高等学校、介護保険施設、病院等のいわゆる大空間に設置された場合であっても、電解水ミストを室内に拡散させる構成とするのではなく、電解水により清浄化(除菌、脱臭等)された空気を送風する構成としているので、大空間内で広く行き渡らせることが可能になり、大空間での空気除菌及び脱臭を効率よく行うことができる。
【0042】
また、散水ボックス51から気液接触部材53に滴下された電解水は気液接触部材53を伝って下方に移動し、水受け皿42の水受け部42Aに落ちる。この水受け部42Aに落ちた電解水はフィルタ部材74を介して貯留部42Bに流入する。そして、再び循環ポンプ44によって汲み上げられ、電解槽46を経て気液接触部材53に供給される。このように、本実施形態における構成では電解水が循環する電解水循環経路が形成されており、少量の水を有効に利用することで、長時間にわたって効率よく空気の除菌を行える。また、第一フロートスイッチ43A、第二フロートスイッチ43Bにより検出される貯留部42B内の水位に応じて、蒸発等により貯留部42Bの水位が下限水位よりも減少した場合には、給水弁61が開放されて給水口64より水道水が適量供給される、貯留部42Bの水位が上限水位に復帰した場合には、給水弁61が閉じられるため、蒸発等による不足分のみが外部の給水源から供給される。
【0043】
また、電解槽46において生成された電解水を直接気液接触部材53に供給するのではなく、フィルタ部材74を経由して貯留部42Bに導く構成とすることで、電解槽46内において生成されたスケール等の異物を含む電解水が気液接触部材53に供給されるのを防止することができる。また、電解水に含まれる活性酸素種の濃度は、貯留部42Bにおいて希釈される。このため、電解槽46においては、気液接触部材53に供給すべき活性酸素種の濃度よりも高濃度で電解水を生成することができ、活性酸素種の濃度が希薄な電解水を生成する場合と比較して、濃度管理を容易に行うことができる。
【0044】
次に、図6を参照して本実施の形態の空気除菌装置1の機能的構成を説明する。
図6に示すように、空気除菌装置1は、給水制御処理に係る機能的構成として、上述の制御部39Aと、第一フロートスイッチ43Aと、第二フロートスイッチ43Bと、給水弁61と、循環ポンプ44との他に、計時部39Bと、給水エラーランプ16A1とを備えている。
【0045】
制御部39Aは、図示しないCPU、RAM、ROM等を備え、CPUはROM等に格納された給水制御処理プログラム等を含む各種制御プログラムに従って、RAMの一部を作業領域として用いて各種制御プログラムを実行することにより、当該空気除菌装置1を集中制御するものである。
【0046】
第一フロートスイッチ43A、第二フロートスイッチ43Bは、上述したように、貯留部42B内の水位を検出するもので、それぞれ貯留部42B内の水位に応じて制御部39Aに対してON/OFF信号を出力する。具体的には、第一フロートスイッチ43Aは、予め設定された下限水位(給水開始水位)を下回った場合にOFFとなり、第一検出信号としてOFF信号を制御部39Aに対して出力する。一方、貯留部42B内の水位が下限水位を上回っている場合、第一フロートスイッチ43AはONとなり、ON信号を制御部39Aに出力する。また、第二フロートスイッチ43Bは予め設定された上限水位(給水停止水位)を下回った場合にOFFとなり、OFF信号を制御部39Aに対して出力する。一方、貯留部42B内の水位がこの上限水位を上回った場合、第二フローとスイッチはONとなり、第二検出信号としてON信号を制御部39Aに出力するよう構成されている。
【0047】
給水弁61は、上述したように、制御部39Aの制御の下、貯留部42B内の水位に応じて、開閉される電磁弁である。制御部39Aに、第一フロートスイッチ43AからOFF信号(第一検出信号)が入力された場合、すなわち、貯留部42B内の水位が下限水位を下回ったことが検出された場合、給水弁61は開放され、第二フロートスイッチ43BからON信号(第二検出信号)が入力された場合、すなわち、貯留部42B内の水位が上限水位を上回ったことが検出された場合、給水弁61は閉じられるように、制御部39Aにより制御される。
【0048】
循環ポンプ44は、上述したように、制御部39Aの制御の下、空気除菌運転を行うために電解槽46および気液接触部材53に電解対象の水もしくは空気除菌に供する電解水を供給すべく、貯留部42B内に貯留された水(電解水)を汲み上げるものである。空気除菌運転の開始時には、制御部39Aにより、貯留部42B内の水位が上限水位に達したことが確認された後に、循環ポンプ44が起動される。
【0049】
計時部39Bは、制御部39Aの制御の下、給水弁61が開かれた時点、すなわち、貯留部42Bに対して外部の給水源から給水が開始された時点からの計時を行うもので、予め設定された所定の時間が経過すると、制御部39Aにその旨を示す信号を出力する。ここで、所定の時間は、給水管を介して外部の給水源から貯留部42Bに対して水を供給する際に、貯留部42B内に一切水が貯留されていない状態から貯留部42B内の水位が上限水位に達するに十分な時間が設定される。本実施の形態の場合、例えば、20分程度と設定される。なお、この所定の時間は、貯留部42B内の水位がゼロである場合から貯留部42B内の水位が上限水位を上回るように給水を行うために必要な時間を予め計測しておき、この時間に基づいて給水エラーを検出するために適切な時間を設定することができる。また、給水時に給水弁61が閉じられた後、次に給水が開始されるまでのインターバル(給水インターバル)は、空気除菌装置1が設置された室内の温度や湿度によって異なり、例えば、乾燥する冬季には、蒸発等により貯留部42B内の水位が低減する速度が速くなるため、当該給水インターバルも短くなり、多湿の夏季は水の消費量も低減するため、給水インターバルは長くなる。
【0050】
また、給水エラーランプ16A1は、計時部39Bにより計時された所定の時間が経過しても貯留部42B内の水位が上限水位に復帰しない場合に制御部39Aにより点灯されるもので、ユーザ等に給水に関するエラー報知を行うものである。給水エラーランプ16A1は、制御部39Aが内蔵する給水要求フラグがOFF状態にある場合は消灯され、給水要求フラグがON状態にある場合は点灯される。
【0051】
以下、図7を参照して、本実施の形態の給水制御に関する動作について詳細に説明する。図7は、給水制御処理の手順を示すフローチャートであり、当該給水制御処理は制御部39Aの制御の下、各部の協働により実行される。
図7に示すように、空気除菌装置1に電源が投入され、運転開始指示が操作パネル16Aを介して制御部39Aに入力されると(ステップS1:Y)、制御部39Aは第二フロートスイッチ43Bから入力されるON/OFF信号に基づいて、貯留部42B内の水位が上限水位に達しているか否かを判別する(ステップS2)。
ステップS2において、貯留部42B内の水位が上限水位に達していると判別された場合(ステップS2:Y)、給水弁61を閉じて、給水要求フラグをOFF状態とする(ステップS3)。次いで、循環ポンプ44を駆動して貯留部42B内の水(電解水)の汲み上げ動作等を開始し、空気除菌運転を開始する(ステップS4)。
【0052】
ステップS4において、空気除菌運転が一旦開始された後は、第一フロートスイッチ43AからOFF信号が入力されると、すなわち、貯留部42B内の水位が下限水位を下回った場合(ステップS5:Y)、制御部39Aは、給水弁61を開き、貯留部42Bに対して外部の給水源から水が供給されるように制御する(ステップS6)。また、給水弁61を開くとすると同時に、計時部39Bに対して制御信号を送り、計時を開始させる(ステップS6)。
【0053】
そして、所定の時間が経過する前(ステップS7:N)に、貯留部42B内の水位が上限水位に達した場合(ステップS2:Y)は、上記処理を繰り返し行う。すなわち、循環ポンプ44により貯留部42B内の水(電解水)を汲み上げる動作を継続(ステップS4)しながら、第一フロートスイッチ43Aおよび第二フロートスイッチ43Bから入力されるON/OFF信号に基づいて、貯留部42B内の水位が下限水位を下回った場合には給水弁61を開き、上限水位に達するまで給水を行うように給水制御を行う。
【0054】
ここで、制御部39Aにより給水弁61が開かれてから、所定の時間が経過した場合(ステップS7:Y)であって、貯留部42B内の水位が上限水位に達しない場合(ステップS2:N)、例えば、給水配管27に設けられた外部給水弁が閉じた状態にある等、給水エラーであることが考えられるので、給水エラーランプ16A1を点灯させるべく、給水要求フラグをON状態とし、給水弁61を閉じるように制御する(ステップS8)。
【0055】
一方、ステップS2において、運転開始指示が入力された際(ステップS1:Y)に、貯留部42B内の水位が上限水位に達していないと判別された場合(ステップS2:N)は、貯留部42B内の水位が下限水位よりも上回っている場合であっても、すなわち、給水開始水位ではなくともステップS7に進み、給水弁61を開くように制御する(ステップS6)。そして、上記と同様に、貯留部42B内の水位が上限水位に達するまで(ステップS2:Y)、給水弁61を開状態に保持させておき、貯留部42B内の水位が上限水位に達する(ステップS2:Y)と、給水弁61を閉じ、循環ポンプ44を起動させて、上述のように空気除菌運転を開始させる(ステップS4)。この場合も同様に、給水を開始してから所定の時間が経過しても(ステップS7:Y)、貯留部42B内の水位が上限水位に達しない場合(ステップS2:N)には、ユーザ等に対して給水エラーを報知すべく、給水要求フラグをON状態とし、給水弁61を閉じるよう制御する(ステップS8)。
なお、図7には示さなかったが、制御部39Aは、貯留部42B内の水を外部に排出する前には、運転開始時と同様に、第一フロートスイッチ43Aから入力される第一検出信号の有無によらず、給水弁61を開き、貯留部42B内の水位が上限水位を上回るまで給水されるように制御する。
【0056】
以上、説明した本実施の形態によれば、電解水ミストを室内に拡散させる構成とするのではなく、筐体11内に下側の室から上側の室に向かうように形成された送風経路を介して気液接触部材53において供給される空気に電解水を接触させて空気を除菌し、除菌後の空気を当該送風経路を介して筐体11の外部に送風する構成としているので、室内の空気を循環させることができ、大空間の除菌を可能とする。
【0057】
また、水受け皿42は気液接触部材53の下方に配置される水受け部42Aを有し、水受け部42Aにおいて気液接触部材53から排出された電解水を受けて、貯留部42Bに貯留し、電解対象の水として循環ポンプ44により再び電解槽46に供給されているので、電解水を循環使用して、外部の給水源から供給される水の消費量を低減することができる。また、制御部39Aは、貯留部42Bの水位に応じて給水管の給水弁61を開閉するように制御しているので、蒸発等により不足した分だけ外部の給水源から水を供給することができる。すなわち、室内の温度や湿度等が季節や天候により変動し、蒸発量等が変動した場合でも、蒸発量等に応じた不足分の水量だけ貯留部42Bに給水することができる。
また、この様に、電解水を循環使用して水の消費量を低減することにより、不足分の水のみを外部の給水源から供給すればよいので、電解水を循環使用しない場合と比較すると給水弁61を開閉させる頻度を低減することができ、給水弁61の耐用年数を長期化することができる。
【0058】
また、上記実施の形態では、電解槽46に対して、給水管を介して直接電解槽46に電解対象とする水を供給するのではなく、一度、貯留部42Bに外部の給水源から水を供給し、貯留部42B内に貯留された水を電解槽46に供給する構成としている。このため、空気除菌装置1に内部の給水源として給水タンク等を設ける場合と、外部の給水源から水を供給する構成とする場合と、装置構成の大部分を共通化することができる。
【0059】
また、上記実施の形態によれば、貯留部42B内の水位を検出する水位検出手段として第一フロートスイッチ43Aおよび第二フロートスイッチ43Bを備え、これらから入力される第一検出信号および第二検出信号に基づいて、給水弁61を開閉し、貯留部42B内の水が蒸発等により不足した分だけ給水するように制御することができる。
さらに、上記実施の形態によれば、当該空気除菌装置1に対する運転開始指示が入力された場合に、貯留部42B内の水位が給水停止水位に達していないと判別された場合には、給水弁61が開かれ、貯留部42B内の水位が給水停止水位を上回るまで、給水弁61が開いた状態に保持されるので、空気除菌運転の運転を開始する場合には、必ず、貯留部42B内の水位を給水停止水位、すなわち、満水状態とすることができ、気液接触部材53に一定時間保持される量の水量を確保することができる。
【0060】
また、上記実施の形態によれば、貯留部42Bの浅底部42B2の底部にオーバーフロー管85を接続し、このオーバーフロー管85により浅底部42B2に達した水を外部に排出することができるように構成されている。このため、第二フロートスイッチ43Bから入力されるON信号(第二検出信号)により、貯留部42B内の水位が上限水位を上回ったことが検出され、給水弁61が閉められるまでの間に、水受け部42Aから流入する電解水等により貯留部42B内の水が浅底部42B2に達した場合でも、水受け皿42からからオーバーフローさせることなく余剰の水を外部に排出することができる。換言すれば、この様に構成されているので、例えば、第二フロートスイッチ43BからON信号が入力された場合に、少し遅延時間を設けた後に、給水弁61を閉じるようにしてもよい。遅延時間を設けてから給水弁61を閉じることにより、貯留部42B内の水位を上限水位以上とすることができ、確実あるいは浅底部42B2の底部と同レベルの水位まで給水することができる。
【0061】
また、上記実施の形態によれば、給水管に設けられた給水弁61を開いても所定の給水時間が経過しても、水受け皿42内の水位が給水停止水位に達しない場合は、ユーザ等に対してエラー報知を行うことができる。
【0062】
本実施の形態に係る空気除菌装置1は、本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能なのは勿論である。
例えば、活性酸素種としてオゾン(O3)や過酸化水素(H22)を発生させる構成としても良い。この場合、電極として白金タンタル電極を用いると、イオン種が希薄な水であても、電気分解により高効率に安定して活性酸素種を生成できる。
このとき、アノード電極では、
2H2O→4H++O2+4e-
の反応と同時に、
3H2O→O3+6H++6e-
2H2O→O3+4H++4e-
の反応が起こりオゾン(O3)が生成される。またカソード電極では、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-
2-+e-+2H+→H22
のように、電極反応により生成したO2-と溶液中のH+とが結合して、過酸化水素(H22)が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態の空気除菌装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態の空気除菌装置の背面斜視図である。
【図3】本実施の形態の空気除菌装置の内部主要構成を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態の空気除菌装置の側断面視図である。
【図5】本実施の形態における電解水の供給の様子を説明する図である。
【図6】本実施の形態の空気除菌装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態における給水制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 空気除菌装置
11 筐体
13 吹出口
14 給水配管接続口
15 吸込口
21 支持板
22 上側の室
23 下側の室
31 送風ファン
42 水受け皿
42A 水受け部
42B 貯留部
43A 第一フロートスイッチ
43B 第二フロートスイッチ
44 循環ポンプ
46 電解槽(電解水生成部)
53 気液接触部材
57 排水部
60 給水部
61 給水弁
62 第一給水管
63 第二給水管
64 給水口
74 フィルタ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、前記電解水が供給される気液接触部材と、前記気液接触部材の下方に配置され前記気液接触部材から排出される電解水を受ける水受け皿と、前記水受け皿に受けた電解水を電解対象の水として前記電解水生成部に供給する電解水循環経路とを有し、前記電解水が供給される気液接触部材に室内の空気を循環し、該空気を除菌して室内に送風する空気除菌装置であって、
外部の給水源から給水管、及び給水弁を介して前記水受け皿に水を滴下可能に構成すると共に、前記水受け皿内の水位を検出する水位検出手段を設け、該水位検出手段により検出された水位に応じて前記給水弁を開閉する制御部を備えた、
ことを特徴とする空気除菌装置。
【請求項2】
請求項1記載の空気除菌装置において、
前記水位検出手段として、前記水受け皿内の水位が予め設定された給水開始水位を下回った場合に第一検出信号を前記制御部に出力する第一フロートスイッチと、前記水受け皿内の水位が前記給水停止水位を上回った場合に第二検出信号を前記制御部に出力する第二フロートスイッチとを備え、
前記制御部は、前記第一フロートスイッチから前記第一検出信号の入力を受けた場合に前記給水弁を開き、前記第二フロートスイッチから前記第二検出信号の入力を受けた場合に前記給水弁を閉じるように制御すること、
を特徴とする空気除菌装置。
【請求項3】
請求項2記載の空気除菌装置において、
前記制御部は、当該空気除菌装置に対する運転開始指示が入力されると、前記第二検出信号の入力の有無に基づいて、前記水受け皿内の水位が前記給水停止水位に達しているか否かを判別し、前記水受け皿内の水位が前記給水停止水位に達していないと判別した場合に、前記第一検出信号の入力の有無によらず、前記給水弁を開き、前記第二検出信号の入力があるまで、前記給水弁を開いた状態に保持させること、
を特徴とする空気除菌装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の空気除菌装置において、
前記制御部は、前記給水弁を開いた時点から所定の給水時間が経過するまでの間に、前記第二検出信号が入力されない場合は、エラー報知を行うように制御すること、
を特徴とする空気除菌装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気除菌装置において、
前記水受け皿は、
前記気液接触部材の下方に配置されて前記電解水を受ける水受け部と、
この水受け部に連接されるとともに前記水受け部よりも深底に形成される貯留部と、
前記電解水受け部と前記貯留部との連接部に配置され、前記電解水受け部から前記貯留部に流入する水に混入する異物を除去するフィルタ部材と、
を有し、
前記フィルタ部材の上方に前記給水管の給水口を配置したこと、
を特徴とする空気除菌装置。
【請求項6】
請求項5記載の空気除菌装置において、
前記電解水生成部において生成された電解水は前記フィルタ部材を経由して前記貯留部に導びかれ、
前記貯留部において前記給水部により供給された水と混合された電解水を前記気液接触部材に供給する電解水供給経路を有すること、
を特徴とする空気除菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−183182(P2008−183182A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18922(P2007−18922)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】