空気電池電極およびそれを有する空気電池
【課題】高い放電容量を与え得る空気電池電極およびそれを有する空気電池を提供する。
【解決手段】炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることを特徴とする、前記電極、また炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下であることを特徴とする、前記電極、およびそれを有する空気電池。
【解決手段】炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることを特徴とする、前記電極、また炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下であることを特徴とする、前記電極、およびそれを有する空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気電池電極およびそれを有する空気電池に関し、さらに詳しくは炭素材料とともに特定の化合物を含有することによって高い放電容量を与え得る空気電池電極およびそれを有する空気電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放電できる電気容量が大きく小型化や軽量化が容易であり、外部からの酸素を用いるため資源的な制約が少なく環境負荷も一般的に用いられているリチウム電池に比べて小さい空気電池が注目され、様々な研究が行われている。
この空気電池は、外部からの酸素を用いこれを正極活物質とする電池であり、主要な構成材として正極、電解質、負極および酸素拡散層を含むものである。
【0003】
そして、このような空気電池において前記の主要な構成材のうちで従来のリチウム二次電池などの二次電池と比較して機能が大きく異なるものは電極であり、空気電池電極について様々な検討がなされている。
一方、新しい機能性材料としてデンドリマーが開発され、様々な分野での応用が提案されている。
このデンドリマー(dendrimer)は、中心から規則的に分岐した構造を持つ。
【0004】
例えば、特許文献1には、触媒や電極、例えば空気電池として用い得る多孔体として、固体骨格部と細孔とを有する多孔体と、無機物質のナノ粒子とを含み、ナノ粒子は互いに凝集することなく、且つ、固体骨格に化学結合することなく担持されている、ナノ粒子含有複合多孔体、およびさらに有機凝集体、例えばデンドリマーを含むナノ粒子含有複合多孔体が記載されている。そして、具体例として、多孔体の固体骨格部としてのポリフェノール系高分子からなるカーボン前駆体ゲル、デンドリマー、例えば第4世代で、デンドリマーの大きさが1〜50nmの範囲、直径が4.5nmのポリアミドアミンデンドリマーおよび金属酸化物ナノ粒子を含むナノ粒子含有複合多孔体を得た例、およびこの複合多孔体を600℃以上の温度で熱処理してデンドリマーを除去するとともにカーボン前駆体をカーボン化してナノ粒子が分散したカーボン多孔体からなるナノ粒子含有複合多孔体を得た例が示されているが、電極を作製した例は示されていない。
【0005】
また、特許文献2には、一対の対向電極とこれらによって挟持された単層又は多層の有機化合物層の1層として、世代数の異なった2種以上のデンドリマーを含むデンドリマー組成物を含有する層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。そして、具体例として、末端をメチル又はベンジル化したデンドリマーを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を得た例が示されている。
【0006】
また、特許文献3には、電荷輸送性低分子化合物が成膜性デンドリマーマトリクス中に共有結合を介さず分散されているデンドリマー組成物、およびこの組成物が有機EL素子、太陽電池、電界効果トランジスターなどの有機デバイスの作製に有用であること、そして一対の対向電極とこれらによって挟持された単層又は多層の有機化合物層の1層として、前記デンドリマー組成物の膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。そして、具体例として、末端をベンジル化したデンドリマーを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を得た例が示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、第1電極と、第2電極と、これらの2つの電極の間に配置された電解質とを含む燃料電池であって、第1電極が電子伝導性材料及び触媒を含み、前記触媒が樹枝状構造体を含み、前記樹枝状構造体が金属デンドリマーであり得る燃料電池が記載されている。しかし、具体例として金属デンドリマーを用いて燃料電池を作製した例は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許公開2004−110930号公報
【特許文献2】特開2004−238407号公報
【特許文献3】特開2005−97396号公報
【特許文献4】特開2009−532828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの従来技術を適用して空気電池電極を作製しても高い放電容量を有する空気電池を得ることはできない。
従って、本発明の目的は、空気電池に用いて高い放電容量を与え得る空気電池電極を提供することである。
また、本発明の目的は、前記の空気電池電極を有する空気電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることを特徴とする、前記電極に関する。
また、本発明は、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下であることを特徴とする、前記に関する。
さらに、本発明は、前記空気電池電極を有する空気電池に関する。
本発明における分子量とは、後述の実施例の欄に詳述する測定法によって求められる分子量を示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気電池に用いて高い放電容量を与え得る空気電池電極を得ることができる。
また、本発明によれば、高い放電容量の空気電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、デンドリマーの一例の模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様の空気電池電極に含有され得るデンドリマーの一例の化学構造を示す。
【図3】図3は、本発明の実施態様の空気電池電極に含有され得る炭素材料の一例の透過電子顕微鏡写真の写しである。
【図4】図4は、図3の部分拡大模式図である。
【図5】図5は、実施例および比較例におけるデンドリマーの分子量と放電容量との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例および比較例におけるデンドリマーの官能基(アミン)数/デンドリマー分子と放電容量との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例および比較例におけるデンドリマーの世代数と放電容量との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例におけるデンドリマーの世代数と放電時および充電時の比容量との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例および比較例におけるデンドリマーの直径と放電容量との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例におけるデンドリマーの官能基の種類と放電時および充電時の比容量との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、実施例におけるデンドリマーの官能基量/炭素材料の比表面積と放電容量との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、空気電池電極を適用した評価空気電池の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に、本発明において、以下の実施態様を挙げることができる。
1)前記分子量が、500以上30000未満である前記空気電池電極。
2)前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が4以上128以下である前記空気電池電極。
3)前記デンドリマーが、末端の側鎖部1個当たり1個の官能基が結合したものである前記空気電池電極。
4)前記デンドリマーが、第0世代〜第4世代のものである前記空気電池電極。
5)前記デンドリマーが、官能基としてNH2、COOH又はOHを有するものである前記空気電池電極。
6)前記デンドリマーが、炭素骨格を有し表面に細孔を有する多孔質炭素材料からなる炭素材料の表面に担持されている前記空気電池電極。
7)前記デンドリマーの含有割合が、デンドリマーと炭素材料との合計量に対して10〜90質量%である前記空気電池電極。
8)前記炭素材料およびデンドリマーに加えて、さらにバインダーを電極中の全成分の合計量中に1〜30質量%含有する前記空気電池電極。
【0014】
本発明の第1の態様において、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることが必要であり、これによって高い放電容量を与え得る空気電池電極を得ることができる。
また、本発明の第2の態様において、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下である空気電池電極であることが必要であり、これによって高い放電容量を与え得る空気電池電極を得ることができる。
また、本発明においては、前記の空気電池電極を有する空気電池であることが必要であり、これによって高い放電容量の空気電池を得ることができる。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の実施態様の空気電池電極に含有されるデンドリマーは、図1および図2に示すように、樹状高分子と呼ばれる官能基を有するものであり、コア部と、側鎖部と、末端の側鎖部に結合した官能基(以下、末端官能基と略称することもある。)を有するものであり、コア部から末端(表面)の官能基に向って規則的な構造を有する均一な分子量を有する化合物である。
そして、前記デンドリマーは、図1に示すように、第0世代(G0)、第1世代(G1)、第2世代(G2)、第3世代(G3)、第4世代(G4)、第6世代(G5、図示せず)、第6世代(G6、図示せず)等の構造を有し得る。本発明においては、第0世代(G0)の化合物もデンドリマーとして含まれ得る。
【0016】
本発明におけるデンドリマーは、前記のように分子量(世代数)によって分子の大きさを、そして表面の性質を官能基の種類によって規定し得る。
そして、本発明におけるデンドリマーは、分子量が30000未満、通常500以上30000未満、好適には500〜20000、特に500〜10000のものである。
本発明におけるデンドリマーの官能基としては、NH2、COOH又はOHが好適に挙げられる。
【0017】
本発明の実施態様におけるデンドリマーとして、例えば図2に示すように、1個のコア部(=N−CH2−CH2−N=)、4個の側鎖部(−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CCH2−)および4個の末端官能基(NH2)からなる第0世代、1個のコア部(=N−CH2−CH2−N=)、28個の側鎖部(−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CCH2−)、および16個の末端官能基(OH)からなる第2世代が挙げられる。
また、図2には示されていないが、本発明の実施態様におけるデンドリマーとして、1個のコア部(=N−CH2−CH2−N=)、12個の側鎖部(−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CCH2−および8個の末端官能基(NH2又はOH、又はCOOH)からなる第1世代のデンドリマーが好適に挙げられる。
【0018】
本発明の実施態様におけるデンドリマーとして、図2に示すデンドリマーは1個の末端側鎖部に1個の官能基が結合したものであるが、1個の末端側鎖部に2個の官能基が結合したものであってもよく、好適には1個の末端側鎖部に1個の官能基が結合したものであり得る。
前記の各世代のデンドリマーは、所定割合のコア化合物と側鎖部を与える化合物と末端官能基を与える化合物とから、側鎖部および末端官能基を付加する段階的な合成により順次に世代を大きくして合成し得る。
【0019】
また、本発明の第2の態様におけるにおけるデンドリマーは、デンドリマーの1分子当たりの官能基数が128以下、通常4以上128以下、好適には4〜16のものであり得る。
本発明の第2の実施態様におけるにおけるデンドリマーは、図2に示すように、第0世代の場合は官能基数が4であり、第2世代の場合は官能基数が16個であり得る。
【0020】
本発明の実施態様の空気電池電極に含有され得る炭素材料は、図3および図4に示すように、炭素骨格を有し表面に細孔を有する多孔質炭素材料が挙げられる。
前記の炭素材料としては、前記のデンドリマーの担体として機能し得るものであり、例えばケッチェンブラック、ブルカンブラック、プリンテックス、ブラックパール、活性炭、アセチレンブラック、デンカブラック、カーボンブラックなどが挙げられ、例えば、比表面面積が1270m2/gのケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)、800m2/gのケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)などのケッチェンブラック、比表面積が214m2/gのバルカンXC−72(キャボット社製)、スーパーP(活性炭)などが単独で又は組み合わせて用いられ得る。
【0021】
本発明の実施態様の空気電池電極は、前記の炭素材料および前記のデンドリマーを含有するものである。
本発明の第1の実施態様の空気電池電極によれば、図5に示すように、末端官能基(NH2)を有するデンドリマーの分子量が30000未満である場合に、デンドリマーの分子量が約60000である空気電池電極に比べて大きい放電容量が得られていること、そして放電容量は分子量が小さい程大きいことが理解される。
【0022】
このように、末端官能基を有するデンドリマーの分子量が小さいほど空気電池電極が大きい放電容量を与え得る理論的解明は完全にはなされていないが、末端官能基を有するデンドリマーの分子量が小さい程、樹状高分子に存在する複数の表面官能基の相互間の距離が大きくなることで反応場を確保できて電池内で生じる反応が促進されて、放電容量が向上し得ると考えられる。例えばリチウム空気電池では、電池内で生じる反応のうち下記の反応(1)が促進されて、放電容量が向上し得ると考えられる。
正極(空気極) 2Li+2e−+O2→Li2O2 (1)
負極 2Li→2Li++2e− (2)
【0023】
また、本発明の第2の実施態様の空気電池電極によれば、図6に示すように、デンドリマーの1分子当たりの官能基(NH2)数が128以下である場合に、デンドリマーの1分子当たりの官能基(NH2)数が約250である空気電池電極に比べて大きい放電容量が得られていること、そして放電容量は1分子当たりの官能基(NH2)数が小さい程大きいことが理解される。
このように、1分子当たりの官能基数が小さいほど空気電池電極が大きい放電容量を与え得る理論的解明は完全にはなされていないが、第1の実施態様と同様の理由によると考えられる。
【0024】
さらに、本発明の実施態様の空気電池電極においては、図7に示すように、デンドリマーの世代数は放電容量の大きい順に第0世代>第2世代>第4世代>第6世代であることが理解される。
このように、本発明の空気電池電極においては、末端官能基を有するデンドリマーは第0〜第4世代、特に第0〜第2世代であるものが好適である。
【0025】
本発明の空気電池電極は、前記の炭素材料とデンドリマーとを用いて、通常はさらにバインダーを加えて得られる。
前記各成分の割合は、前記デンドリマーの割合が、デンドリマーと炭素材料との合計量に対して10〜90質量%、好適には30〜90質量%、特に30〜85質量%であり得る。
また、前記炭素材料およびデンドリマーに加えて、さらにバインダーを全成分の合計量中に1〜40質量%、特に5〜30質量%含み得る。
【0026】
前記のバインダーとしては、PTFE、PVdF、SBRなどのそれ自体周知の材料を挙げることができる。
【0027】
本発明の空気電池電極は、例えば集電体、例えば多孔質構造体、例えばカーボンペーパー、カーボンクロス、金属メッシュなどや、非多孔質体、例えば金属箔に、前記の炭素性材料、デンドリマーおよびバインダーを溶媒に分散させたスラリーを塗工し、乾燥、切断することによって得ることができる。
前記のスラリーを調製する際の溶媒としては、沸点が200℃以下の有機化合物、例えばアセトン、NMPなどを用い得る。
また、前記のスラリーを塗工する際には、ドクターブレード法、インクジェット法などを用い得る。
あるいは、本発明の空気電池電極は、前記デンドリマーを炭素材料に担持させ、バインダーによってペレットとし、乾燥することによって得ることができる。
【0028】
本発明の空気電池電極を用いた空気電池は、前記の空気電池電極を正極に用いて、例えば前記正極、負極、セパレータ、酸素拡散層の各部材を複数の酸素孔がシールされた固定部材とともに積層することによって得ることができる。
【0029】
前記負極は、負極材料種として金属を含有する負極活物質を有する負極層を備えたものであり得る。
前記負極材料種としては、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Zn、Feなど、エネルギー密度の高い電池が得られることから好適にはLiが挙げられる。
そして、Liの場合、Li金属やLi炭素質物、Li酸化物、Li硫化物、Li窒化物などが挙げられる。
前記負極は、集電体、例えばSUS、Niなどの任意の金属箔を用いてそれ自体周知の技術によって調製し得る。
【0030】
前記セパレータは電解質を含むものであり得る。
前記のセパレータとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PP/PE/PP製の1層〜3層構造の多孔膜、樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布が挙げられる。
前記の電解質は、負極層および正極層の間で金属イオンの伝導を行うためのものである。この電解質としては、負極金属種に応じたイオン伝導性を示す材料であれば、液体、ゲル、ポリマー、無機固体を問わず任意の材料であり得る。
特に、前記セパレータは、本発明の空気電池電極が高い放電容量を与え得るため、電解質が液体の場合は電解質としてイオン液体を含むものであり得て、通常イオン液体とともにリチウム塩を含むものであり得る。
【0031】
前記のリチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6等の無機リチウム塩;およびLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3等が挙げられる。
また、前記イオン液体としては、カチオンとアニオンとを組み合わせたイオン分子のみから成る物質であり、且つ、常温(15℃〜25℃)において液体である物質が挙げられる。
【0032】
前記イオン液体のカチオン種としては、2−エチルイミダゾリウム、3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム;ジエチルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、トリエチル(2−メトキシエトキシメチル)アンモニウム、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等のアンモニウム;その他にもアルキルピリジニウム、ジアルキルピロリジニウム、テトラアルキルフォスフォニウム、トリアルキルスルフォニウム等が挙げられる。
【0033】
前記イオン液体のアニオン種としては、Cl−、Br−、I−などのハロゲン化物アニオン;BF4−、B(CN)4−、B(C2O4)2−等のホウ素化物アニオン;(CN)2N−、[N(CF3)2]−、[N(SO2CF3)2]−等のアミドアニオン又はイミドアニオン;RSO3−(以下、Rは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を指す)、RSO4−、RfSO3−(以下、Rfは含フッ素ハロゲン化炭化水素基を指す)、RfSO4−等のスルフェートアニオン又はスルフォネートアニオン;Rf2P(O)O−、PF6−、Rf3PF3−等のリン酸アニオン;SbF6等のアンチモンアニオン;その他、ラクテート、硝酸イオン、トリフルオロアセテート等が挙げられる。
【0034】
前記酸素拡散層は、前記正極に積層されていて外部から酸素孔を通じて取り込まれた酸素を正極に拡散させる機能を有するもので、例えば酸素透過膜から構成され得る。
前記酸素透過膜として、空孔率が5%以上60%以下にするのが好ましい。空孔率が5%より小さい場合、酸素分子が拡散することができる細孔空間が不十分となり、酸素の透過速度が著しく低下してしまう。空孔率が60%より大きい場合、膜の強度が著しく低下してしまう。より最適な空孔率の範囲は、8%以上50%以下であり得る。
【0035】
前記酸素拡散層は、高分子材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン6、ナイロン66、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、酢酸セルロース、ポリイミドなど、好適にはポリテトラフルオロエチレンから形成され得る。
【0036】
前記固定部材としては、孔を備えていればその形態は特に限定されるものではなく、例えば、金属又は炭素材料によって構成される繊維状部材、不織布、及び、発泡材等の形態を採ることができる。これらの中でも、カーボンペーパーや金属メッシュによって構成される固定部材を用いることが好ましく、孔の大きさや分布等を制御しやすい形態にする等の観点からは、金属メッシュ(例えば、エキスパンドメタルやパンチングメタル等)によって構成される固定部材を用いることがより好ましい。また、本発明の空気電池電極に備えられる固定部材は、絶縁性材料によって構成されていても良い。ただし、電子伝導性を向上させることにより高性能の空気電池電極を提供可能にする等の観点からは、導電性材料によって構成される固定部材が備えられる形態としてもよい。
【0037】
前記固定部材には、正極に酸素を取り込むために複数の酸素孔(空気孔ともいう)が設けられている。
前記の酸素孔は、通常直径0.1〜3mmの範囲、好適には0.3〜1mmの範囲、例えば直径0.5mmの貫通孔を可能な限り多い複数個、例えば5〜10個程度の貫通孔を固定部材に設けられ得る。
【0038】
前記の空気電池は、前記の各部材を積層して組立てて作製し得るものであるが、さらに外部からの水分の導入を阻止するために撥水膜が積層されていてもよい。
また、前記の空気電池において、導入される酸素は乾燥された空気中の酸素であってもよいが好適には純酸素であり得る。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例を示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0040】
以下の各例において、デンドリマーの分子量、放電評価は下記の方法によって行った。 なお、測定法は下記の方法に限定されず、当業者が同等と考える方法を適用し得る。
分子量測定
測定法:SEC(GPC)に光散乱検出器を接続して求められるポリマーの分子量
カラム:TSKgel GMPWXL−CP
溶離液:nmol/L−NaNO3水溶液(n=0.05、0.1、0.2)
温度:40℃
流速:1mL/min
試料濃度:1mg/mL
注入量:100μL
【0041】
放電評価
充放電試験機:ナガノ製充放電装置(BTS2004H)
電流密度:0.05mA/cm2
放電終始電圧:2.0V
充電終始電圧:3.8V
測定温度:60℃
【0042】
用いたデンドリマー(PAMAM−NH2、−OH又は−COOH)又はデンドリマーキット(溶媒:メタノール)は下記の通りである。
デンドリマー1:世代:0、表面官能基数:4、分子式:C22H48N10O4、分子量:517、直径:1.4nm
デンドリマー2:世代:2、表面官能基数:16、分子式:C142H288N58O28、分子量:3256、直径:2.6nm
デンドリマー3:世代:4、表面官能基数:64、分子式:C622H1248N250O124、分子量:14215、直径:4.4nm
デンドリマー4:世代:6、表面官能基数:256、分子式:C2542H5088N1018O508、分子量:58048、直径:7.2nm
デンドリマーキット1:世代:0、表面官能基数:4、表面官能基:NH2(含有量:20質量%)
デンドリマーキット2:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:NH2(含有量:10質量%)
デンドリマーキット3:世代:6表面官能基数:256、表面官能基:NH2(含有量:5質量%)
デンドリマーキット4:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:OH(含有量:10質量%)
デンドリマーキット5:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:PEG−12(含有量:10質量%)
デンドリマーキット6:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:COOH(含有量:10質量%)
[PEG−12:C(O)O(CH2CH2O)12CH3]
【0043】
実施例1〜4
上記デンドリマー(アルドリッチ社、30質量%)を活性炭(60質量%、スーパーP)に担持させ、バインダー(10質量%、PTFE)によりペレット(形状:円板、 直径18mm×厚さ150μm)化し、乾燥させて電極を作製した。
得られた電極を正極として、下記の構成からなる図12に概略図を示す評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
負極:金属リチウム(極東金属、厚み200μm、φ15mm)
電解液:PP13−TFSA(イオン液体)/0.32mol/kgLi−TFSA
セパレータ:ポリプロピレン不織布(JH1004N)
セル:F型セル(北斗電工)
容器:ガス置換コック付ガラスデシケータ(500mL)
ガス:酸素、アルゴン
得られた結果を他の結果とまとめて図5に示す。
【0044】
比較例1
デンドリマーの分子量を変えた他は実施例1と同様にして、電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図5に示す。
【0045】
実施例5〜8
デンドリマーとして、表面アミン数/分子の異なるデンドリマーを用いて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図6に示す。
【0046】
比較例2
デンドリマーの表面アミン数/分子を変えた他は実施例1と同様にして、電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例5と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図6に示す。
【0047】
実施例9〜12
デンドリマーとして、デンドリマーの世代数を変えたものを用いて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて図7に示す。
また、放電時および充電時の比容量を測定した。得られた結果を他の結果とまとめて図8に示す。
【0048】
実施例13〜16
デンドリマーの直径を変えて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図9に示す。
【0049】
比較例3
用いるデンドリマーの直径を変えた(分子量が本発明の範囲外である)デンドリマーを用いた他は実施例1と同様にして、電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図9に示す。
図9から、本発明におけるデンドリマーとして、直径が1nm<直径<5nmであるものが好適である。
【0050】
実施例17〜19
デンドリマーの表面官能基の種類を変えて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図10に示す。
図10から、本発明の実施態様の空気電池電極においては、デンドリマーの官能基がOH、COOH、NH2であるものが好適である。
【0051】
実施例20〜24
前記のデンドリマーを用いて、デンドリマー表面の官能基量/炭素材料の比表面積を変えて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
なお、デンドリマー表面の官能基量および炭素材料の比表面積は以下のようにして測定し、算出した。
【0052】
1)デンドリマー表面の官能基量の算出
X線光電子分光法により電極表面の窒素および酸素量を定量し、窒素1sピークのアミン(399.2eV)成分比率を分離し、官能基量(アミン)を算出し、官能基量(アミン)を炭素材料の比表面積で規格化した。
2)炭素材料の比表面積の測定
液体窒素を使用し、BET法による比表面積を求めた。
得られた結果をまとめて図11に示す。
図11から、本発明の空気電極において、デンドリマー表面の官能基量/炭素材料の比表面積は0.01〜0.2、特に0.01〜0.1の範囲が好適である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の空気電極によって、高い放電容量を与える空気電池を得ることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気電池電極およびそれを有する空気電池に関し、さらに詳しくは炭素材料とともに特定の化合物を含有することによって高い放電容量を与え得る空気電池電極およびそれを有する空気電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放電できる電気容量が大きく小型化や軽量化が容易であり、外部からの酸素を用いるため資源的な制約が少なく環境負荷も一般的に用いられているリチウム電池に比べて小さい空気電池が注目され、様々な研究が行われている。
この空気電池は、外部からの酸素を用いこれを正極活物質とする電池であり、主要な構成材として正極、電解質、負極および酸素拡散層を含むものである。
【0003】
そして、このような空気電池において前記の主要な構成材のうちで従来のリチウム二次電池などの二次電池と比較して機能が大きく異なるものは電極であり、空気電池電極について様々な検討がなされている。
一方、新しい機能性材料としてデンドリマーが開発され、様々な分野での応用が提案されている。
このデンドリマー(dendrimer)は、中心から規則的に分岐した構造を持つ。
【0004】
例えば、特許文献1には、触媒や電極、例えば空気電池として用い得る多孔体として、固体骨格部と細孔とを有する多孔体と、無機物質のナノ粒子とを含み、ナノ粒子は互いに凝集することなく、且つ、固体骨格に化学結合することなく担持されている、ナノ粒子含有複合多孔体、およびさらに有機凝集体、例えばデンドリマーを含むナノ粒子含有複合多孔体が記載されている。そして、具体例として、多孔体の固体骨格部としてのポリフェノール系高分子からなるカーボン前駆体ゲル、デンドリマー、例えば第4世代で、デンドリマーの大きさが1〜50nmの範囲、直径が4.5nmのポリアミドアミンデンドリマーおよび金属酸化物ナノ粒子を含むナノ粒子含有複合多孔体を得た例、およびこの複合多孔体を600℃以上の温度で熱処理してデンドリマーを除去するとともにカーボン前駆体をカーボン化してナノ粒子が分散したカーボン多孔体からなるナノ粒子含有複合多孔体を得た例が示されているが、電極を作製した例は示されていない。
【0005】
また、特許文献2には、一対の対向電極とこれらによって挟持された単層又は多層の有機化合物層の1層として、世代数の異なった2種以上のデンドリマーを含むデンドリマー組成物を含有する層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。そして、具体例として、末端をメチル又はベンジル化したデンドリマーを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を得た例が示されている。
【0006】
また、特許文献3には、電荷輸送性低分子化合物が成膜性デンドリマーマトリクス中に共有結合を介さず分散されているデンドリマー組成物、およびこの組成物が有機EL素子、太陽電池、電界効果トランジスターなどの有機デバイスの作製に有用であること、そして一対の対向電極とこれらによって挟持された単層又は多層の有機化合物層の1層として、前記デンドリマー組成物の膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。そして、具体例として、末端をベンジル化したデンドリマーを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を得た例が示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、第1電極と、第2電極と、これらの2つの電極の間に配置された電解質とを含む燃料電池であって、第1電極が電子伝導性材料及び触媒を含み、前記触媒が樹枝状構造体を含み、前記樹枝状構造体が金属デンドリマーであり得る燃料電池が記載されている。しかし、具体例として金属デンドリマーを用いて燃料電池を作製した例は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許公開2004−110930号公報
【特許文献2】特開2004−238407号公報
【特許文献3】特開2005−97396号公報
【特許文献4】特開2009−532828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの従来技術を適用して空気電池電極を作製しても高い放電容量を有する空気電池を得ることはできない。
従って、本発明の目的は、空気電池に用いて高い放電容量を与え得る空気電池電極を提供することである。
また、本発明の目的は、前記の空気電池電極を有する空気電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることを特徴とする、前記電極に関する。
また、本発明は、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下であることを特徴とする、前記に関する。
さらに、本発明は、前記空気電池電極を有する空気電池に関する。
本発明における分子量とは、後述の実施例の欄に詳述する測定法によって求められる分子量を示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気電池に用いて高い放電容量を与え得る空気電池電極を得ることができる。
また、本発明によれば、高い放電容量の空気電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、デンドリマーの一例の模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様の空気電池電極に含有され得るデンドリマーの一例の化学構造を示す。
【図3】図3は、本発明の実施態様の空気電池電極に含有され得る炭素材料の一例の透過電子顕微鏡写真の写しである。
【図4】図4は、図3の部分拡大模式図である。
【図5】図5は、実施例および比較例におけるデンドリマーの分子量と放電容量との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例および比較例におけるデンドリマーの官能基(アミン)数/デンドリマー分子と放電容量との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例および比較例におけるデンドリマーの世代数と放電容量との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例におけるデンドリマーの世代数と放電時および充電時の比容量との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例および比較例におけるデンドリマーの直径と放電容量との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例におけるデンドリマーの官能基の種類と放電時および充電時の比容量との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、実施例におけるデンドリマーの官能基量/炭素材料の比表面積と放電容量との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、空気電池電極を適用した評価空気電池の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に、本発明において、以下の実施態様を挙げることができる。
1)前記分子量が、500以上30000未満である前記空気電池電極。
2)前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が4以上128以下である前記空気電池電極。
3)前記デンドリマーが、末端の側鎖部1個当たり1個の官能基が結合したものである前記空気電池電極。
4)前記デンドリマーが、第0世代〜第4世代のものである前記空気電池電極。
5)前記デンドリマーが、官能基としてNH2、COOH又はOHを有するものである前記空気電池電極。
6)前記デンドリマーが、炭素骨格を有し表面に細孔を有する多孔質炭素材料からなる炭素材料の表面に担持されている前記空気電池電極。
7)前記デンドリマーの含有割合が、デンドリマーと炭素材料との合計量に対して10〜90質量%である前記空気電池電極。
8)前記炭素材料およびデンドリマーに加えて、さらにバインダーを電極中の全成分の合計量中に1〜30質量%含有する前記空気電池電極。
【0014】
本発明の第1の態様において、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることが必要であり、これによって高い放電容量を与え得る空気電池電極を得ることができる。
また、本発明の第2の態様において、炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下である空気電池電極であることが必要であり、これによって高い放電容量を与え得る空気電池電極を得ることができる。
また、本発明においては、前記の空気電池電極を有する空気電池であることが必要であり、これによって高い放電容量の空気電池を得ることができる。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の実施態様の空気電池電極に含有されるデンドリマーは、図1および図2に示すように、樹状高分子と呼ばれる官能基を有するものであり、コア部と、側鎖部と、末端の側鎖部に結合した官能基(以下、末端官能基と略称することもある。)を有するものであり、コア部から末端(表面)の官能基に向って規則的な構造を有する均一な分子量を有する化合物である。
そして、前記デンドリマーは、図1に示すように、第0世代(G0)、第1世代(G1)、第2世代(G2)、第3世代(G3)、第4世代(G4)、第6世代(G5、図示せず)、第6世代(G6、図示せず)等の構造を有し得る。本発明においては、第0世代(G0)の化合物もデンドリマーとして含まれ得る。
【0016】
本発明におけるデンドリマーは、前記のように分子量(世代数)によって分子の大きさを、そして表面の性質を官能基の種類によって規定し得る。
そして、本発明におけるデンドリマーは、分子量が30000未満、通常500以上30000未満、好適には500〜20000、特に500〜10000のものである。
本発明におけるデンドリマーの官能基としては、NH2、COOH又はOHが好適に挙げられる。
【0017】
本発明の実施態様におけるデンドリマーとして、例えば図2に示すように、1個のコア部(=N−CH2−CH2−N=)、4個の側鎖部(−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CCH2−)および4個の末端官能基(NH2)からなる第0世代、1個のコア部(=N−CH2−CH2−N=)、28個の側鎖部(−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CCH2−)、および16個の末端官能基(OH)からなる第2世代が挙げられる。
また、図2には示されていないが、本発明の実施態様におけるデンドリマーとして、1個のコア部(=N−CH2−CH2−N=)、12個の側鎖部(−CH2−CH2−NH−CO−CH2−CCH2−および8個の末端官能基(NH2又はOH、又はCOOH)からなる第1世代のデンドリマーが好適に挙げられる。
【0018】
本発明の実施態様におけるデンドリマーとして、図2に示すデンドリマーは1個の末端側鎖部に1個の官能基が結合したものであるが、1個の末端側鎖部に2個の官能基が結合したものであってもよく、好適には1個の末端側鎖部に1個の官能基が結合したものであり得る。
前記の各世代のデンドリマーは、所定割合のコア化合物と側鎖部を与える化合物と末端官能基を与える化合物とから、側鎖部および末端官能基を付加する段階的な合成により順次に世代を大きくして合成し得る。
【0019】
また、本発明の第2の態様におけるにおけるデンドリマーは、デンドリマーの1分子当たりの官能基数が128以下、通常4以上128以下、好適には4〜16のものであり得る。
本発明の第2の実施態様におけるにおけるデンドリマーは、図2に示すように、第0世代の場合は官能基数が4であり、第2世代の場合は官能基数が16個であり得る。
【0020】
本発明の実施態様の空気電池電極に含有され得る炭素材料は、図3および図4に示すように、炭素骨格を有し表面に細孔を有する多孔質炭素材料が挙げられる。
前記の炭素材料としては、前記のデンドリマーの担体として機能し得るものであり、例えばケッチェンブラック、ブルカンブラック、プリンテックス、ブラックパール、活性炭、アセチレンブラック、デンカブラック、カーボンブラックなどが挙げられ、例えば、比表面面積が1270m2/gのケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)、800m2/gのケッチェンブラックEC300J(ライオン社製)などのケッチェンブラック、比表面積が214m2/gのバルカンXC−72(キャボット社製)、スーパーP(活性炭)などが単独で又は組み合わせて用いられ得る。
【0021】
本発明の実施態様の空気電池電極は、前記の炭素材料および前記のデンドリマーを含有するものである。
本発明の第1の実施態様の空気電池電極によれば、図5に示すように、末端官能基(NH2)を有するデンドリマーの分子量が30000未満である場合に、デンドリマーの分子量が約60000である空気電池電極に比べて大きい放電容量が得られていること、そして放電容量は分子量が小さい程大きいことが理解される。
【0022】
このように、末端官能基を有するデンドリマーの分子量が小さいほど空気電池電極が大きい放電容量を与え得る理論的解明は完全にはなされていないが、末端官能基を有するデンドリマーの分子量が小さい程、樹状高分子に存在する複数の表面官能基の相互間の距離が大きくなることで反応場を確保できて電池内で生じる反応が促進されて、放電容量が向上し得ると考えられる。例えばリチウム空気電池では、電池内で生じる反応のうち下記の反応(1)が促進されて、放電容量が向上し得ると考えられる。
正極(空気極) 2Li+2e−+O2→Li2O2 (1)
負極 2Li→2Li++2e− (2)
【0023】
また、本発明の第2の実施態様の空気電池電極によれば、図6に示すように、デンドリマーの1分子当たりの官能基(NH2)数が128以下である場合に、デンドリマーの1分子当たりの官能基(NH2)数が約250である空気電池電極に比べて大きい放電容量が得られていること、そして放電容量は1分子当たりの官能基(NH2)数が小さい程大きいことが理解される。
このように、1分子当たりの官能基数が小さいほど空気電池電極が大きい放電容量を与え得る理論的解明は完全にはなされていないが、第1の実施態様と同様の理由によると考えられる。
【0024】
さらに、本発明の実施態様の空気電池電極においては、図7に示すように、デンドリマーの世代数は放電容量の大きい順に第0世代>第2世代>第4世代>第6世代であることが理解される。
このように、本発明の空気電池電極においては、末端官能基を有するデンドリマーは第0〜第4世代、特に第0〜第2世代であるものが好適である。
【0025】
本発明の空気電池電極は、前記の炭素材料とデンドリマーとを用いて、通常はさらにバインダーを加えて得られる。
前記各成分の割合は、前記デンドリマーの割合が、デンドリマーと炭素材料との合計量に対して10〜90質量%、好適には30〜90質量%、特に30〜85質量%であり得る。
また、前記炭素材料およびデンドリマーに加えて、さらにバインダーを全成分の合計量中に1〜40質量%、特に5〜30質量%含み得る。
【0026】
前記のバインダーとしては、PTFE、PVdF、SBRなどのそれ自体周知の材料を挙げることができる。
【0027】
本発明の空気電池電極は、例えば集電体、例えば多孔質構造体、例えばカーボンペーパー、カーボンクロス、金属メッシュなどや、非多孔質体、例えば金属箔に、前記の炭素性材料、デンドリマーおよびバインダーを溶媒に分散させたスラリーを塗工し、乾燥、切断することによって得ることができる。
前記のスラリーを調製する際の溶媒としては、沸点が200℃以下の有機化合物、例えばアセトン、NMPなどを用い得る。
また、前記のスラリーを塗工する際には、ドクターブレード法、インクジェット法などを用い得る。
あるいは、本発明の空気電池電極は、前記デンドリマーを炭素材料に担持させ、バインダーによってペレットとし、乾燥することによって得ることができる。
【0028】
本発明の空気電池電極を用いた空気電池は、前記の空気電池電極を正極に用いて、例えば前記正極、負極、セパレータ、酸素拡散層の各部材を複数の酸素孔がシールされた固定部材とともに積層することによって得ることができる。
【0029】
前記負極は、負極材料種として金属を含有する負極活物質を有する負極層を備えたものであり得る。
前記負極材料種としては、Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Zn、Feなど、エネルギー密度の高い電池が得られることから好適にはLiが挙げられる。
そして、Liの場合、Li金属やLi炭素質物、Li酸化物、Li硫化物、Li窒化物などが挙げられる。
前記負極は、集電体、例えばSUS、Niなどの任意の金属箔を用いてそれ自体周知の技術によって調製し得る。
【0030】
前記セパレータは電解質を含むものであり得る。
前記のセパレータとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PP/PE/PP製の1層〜3層構造の多孔膜、樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布が挙げられる。
前記の電解質は、負極層および正極層の間で金属イオンの伝導を行うためのものである。この電解質としては、負極金属種に応じたイオン伝導性を示す材料であれば、液体、ゲル、ポリマー、無機固体を問わず任意の材料であり得る。
特に、前記セパレータは、本発明の空気電池電極が高い放電容量を与え得るため、電解質が液体の場合は電解質としてイオン液体を含むものであり得て、通常イオン液体とともにリチウム塩を含むものであり得る。
【0031】
前記のリチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6等の無機リチウム塩;およびLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3等が挙げられる。
また、前記イオン液体としては、カチオンとアニオンとを組み合わせたイオン分子のみから成る物質であり、且つ、常温(15℃〜25℃)において液体である物質が挙げられる。
【0032】
前記イオン液体のカチオン種としては、2−エチルイミダゾリウム、3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム;ジエチルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、トリエチル(2−メトキシエトキシメチル)アンモニウム、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等のアンモニウム;その他にもアルキルピリジニウム、ジアルキルピロリジニウム、テトラアルキルフォスフォニウム、トリアルキルスルフォニウム等が挙げられる。
【0033】
前記イオン液体のアニオン種としては、Cl−、Br−、I−などのハロゲン化物アニオン;BF4−、B(CN)4−、B(C2O4)2−等のホウ素化物アニオン;(CN)2N−、[N(CF3)2]−、[N(SO2CF3)2]−等のアミドアニオン又はイミドアニオン;RSO3−(以下、Rは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を指す)、RSO4−、RfSO3−(以下、Rfは含フッ素ハロゲン化炭化水素基を指す)、RfSO4−等のスルフェートアニオン又はスルフォネートアニオン;Rf2P(O)O−、PF6−、Rf3PF3−等のリン酸アニオン;SbF6等のアンチモンアニオン;その他、ラクテート、硝酸イオン、トリフルオロアセテート等が挙げられる。
【0034】
前記酸素拡散層は、前記正極に積層されていて外部から酸素孔を通じて取り込まれた酸素を正極に拡散させる機能を有するもので、例えば酸素透過膜から構成され得る。
前記酸素透過膜として、空孔率が5%以上60%以下にするのが好ましい。空孔率が5%より小さい場合、酸素分子が拡散することができる細孔空間が不十分となり、酸素の透過速度が著しく低下してしまう。空孔率が60%より大きい場合、膜の強度が著しく低下してしまう。より最適な空孔率の範囲は、8%以上50%以下であり得る。
【0035】
前記酸素拡散層は、高分子材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン6、ナイロン66、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、酢酸セルロース、ポリイミドなど、好適にはポリテトラフルオロエチレンから形成され得る。
【0036】
前記固定部材としては、孔を備えていればその形態は特に限定されるものではなく、例えば、金属又は炭素材料によって構成される繊維状部材、不織布、及び、発泡材等の形態を採ることができる。これらの中でも、カーボンペーパーや金属メッシュによって構成される固定部材を用いることが好ましく、孔の大きさや分布等を制御しやすい形態にする等の観点からは、金属メッシュ(例えば、エキスパンドメタルやパンチングメタル等)によって構成される固定部材を用いることがより好ましい。また、本発明の空気電池電極に備えられる固定部材は、絶縁性材料によって構成されていても良い。ただし、電子伝導性を向上させることにより高性能の空気電池電極を提供可能にする等の観点からは、導電性材料によって構成される固定部材が備えられる形態としてもよい。
【0037】
前記固定部材には、正極に酸素を取り込むために複数の酸素孔(空気孔ともいう)が設けられている。
前記の酸素孔は、通常直径0.1〜3mmの範囲、好適には0.3〜1mmの範囲、例えば直径0.5mmの貫通孔を可能な限り多い複数個、例えば5〜10個程度の貫通孔を固定部材に設けられ得る。
【0038】
前記の空気電池は、前記の各部材を積層して組立てて作製し得るものであるが、さらに外部からの水分の導入を阻止するために撥水膜が積層されていてもよい。
また、前記の空気電池において、導入される酸素は乾燥された空気中の酸素であってもよいが好適には純酸素であり得る。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例を示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0040】
以下の各例において、デンドリマーの分子量、放電評価は下記の方法によって行った。 なお、測定法は下記の方法に限定されず、当業者が同等と考える方法を適用し得る。
分子量測定
測定法:SEC(GPC)に光散乱検出器を接続して求められるポリマーの分子量
カラム:TSKgel GMPWXL−CP
溶離液:nmol/L−NaNO3水溶液(n=0.05、0.1、0.2)
温度:40℃
流速:1mL/min
試料濃度:1mg/mL
注入量:100μL
【0041】
放電評価
充放電試験機:ナガノ製充放電装置(BTS2004H)
電流密度:0.05mA/cm2
放電終始電圧:2.0V
充電終始電圧:3.8V
測定温度:60℃
【0042】
用いたデンドリマー(PAMAM−NH2、−OH又は−COOH)又はデンドリマーキット(溶媒:メタノール)は下記の通りである。
デンドリマー1:世代:0、表面官能基数:4、分子式:C22H48N10O4、分子量:517、直径:1.4nm
デンドリマー2:世代:2、表面官能基数:16、分子式:C142H288N58O28、分子量:3256、直径:2.6nm
デンドリマー3:世代:4、表面官能基数:64、分子式:C622H1248N250O124、分子量:14215、直径:4.4nm
デンドリマー4:世代:6、表面官能基数:256、分子式:C2542H5088N1018O508、分子量:58048、直径:7.2nm
デンドリマーキット1:世代:0、表面官能基数:4、表面官能基:NH2(含有量:20質量%)
デンドリマーキット2:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:NH2(含有量:10質量%)
デンドリマーキット3:世代:6表面官能基数:256、表面官能基:NH2(含有量:5質量%)
デンドリマーキット4:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:OH(含有量:10質量%)
デンドリマーキット5:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:PEG−12(含有量:10質量%)
デンドリマーキット6:世代:4、表面官能基数:64、表面官能基:COOH(含有量:10質量%)
[PEG−12:C(O)O(CH2CH2O)12CH3]
【0043】
実施例1〜4
上記デンドリマー(アルドリッチ社、30質量%)を活性炭(60質量%、スーパーP)に担持させ、バインダー(10質量%、PTFE)によりペレット(形状:円板、 直径18mm×厚さ150μm)化し、乾燥させて電極を作製した。
得られた電極を正極として、下記の構成からなる図12に概略図を示す評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
負極:金属リチウム(極東金属、厚み200μm、φ15mm)
電解液:PP13−TFSA(イオン液体)/0.32mol/kgLi−TFSA
セパレータ:ポリプロピレン不織布(JH1004N)
セル:F型セル(北斗電工)
容器:ガス置換コック付ガラスデシケータ(500mL)
ガス:酸素、アルゴン
得られた結果を他の結果とまとめて図5に示す。
【0044】
比較例1
デンドリマーの分子量を変えた他は実施例1と同様にして、電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図5に示す。
【0045】
実施例5〜8
デンドリマーとして、表面アミン数/分子の異なるデンドリマーを用いて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図6に示す。
【0046】
比較例2
デンドリマーの表面アミン数/分子を変えた他は実施例1と同様にして、電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例5と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図6に示す。
【0047】
実施例9〜12
デンドリマーとして、デンドリマーの世代数を変えたものを用いて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて図7に示す。
また、放電時および充電時の比容量を測定した。得られた結果を他の結果とまとめて図8に示す。
【0048】
実施例13〜16
デンドリマーの直径を変えて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図9に示す。
【0049】
比較例3
用いるデンドリマーの直径を変えた(分子量が本発明の範囲外である)デンドリマーを用いた他は実施例1と同様にして、電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図9に示す。
図9から、本発明におけるデンドリマーとして、直径が1nm<直径<5nmであるものが好適である。
【0050】
実施例17〜19
デンドリマーの表面官能基の種類を変えて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
得られた結果を他の結果とまとめて図10に示す。
図10から、本発明の実施態様の空気電池電極においては、デンドリマーの官能基がOH、COOH、NH2であるものが好適である。
【0051】
実施例20〜24
前記のデンドリマーを用いて、デンドリマー表面の官能基量/炭素材料の比表面積を変えて、実施例1と同様にして電極を作製した。
得られた電極を正極として、実施例1と同様にして評価セルを作製し、放電容量の評価を行った。
なお、デンドリマー表面の官能基量および炭素材料の比表面積は以下のようにして測定し、算出した。
【0052】
1)デンドリマー表面の官能基量の算出
X線光電子分光法により電極表面の窒素および酸素量を定量し、窒素1sピークのアミン(399.2eV)成分比率を分離し、官能基量(アミン)を算出し、官能基量(アミン)を炭素材料の比表面積で規格化した。
2)炭素材料の比表面積の測定
液体窒素を使用し、BET法による比表面積を求めた。
得られた結果をまとめて図11に示す。
図11から、本発明の空気電極において、デンドリマー表面の官能基量/炭素材料の比表面積は0.01〜0.2、特に0.01〜0.1の範囲が好適である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の空気電極によって、高い放電容量を与える空気電池を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることを特徴とする、前記電極。
【請求項2】
前記分子量が、500以上30000未満である請求項1に記載の空気電池電極。
【請求項3】
炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下であることを特徴とする、前記電極。
【請求項4】
前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が4以上128以下である請求項3に記載の空気電池電極。
【請求項5】
前記デンドリマーが、末端の側鎖部1個当たり1個の官能基が結合したものである請求項請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項6】
前記デンドリマーが、第0世代〜第4世代のものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項7】
前記デンドリマーが、官能基としてNH2、COOH又はOHを有するものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項8】
前記デンドリマーが、炭素骨格を有し表面に細孔を有する多孔質炭素材料からなる炭素材料の表面に担持されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項9】
前記デンドリマーの含有割合が、デンドリマーと炭素材料との合計量に対して10〜90質量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項10】
前記炭素材料およびデンドリマーに加えて、さらにバインダーを電極中の全成分の合計量中に1〜30質量%含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項の空気電池電極を有し、電解質としてイオン液体を含む空気電池。
【請求項1】
炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマーが官能基を有し分子量が30000未満であることを特徴とする、前記電極。
【請求項2】
前記分子量が、500以上30000未満である請求項1に記載の空気電池電極。
【請求項3】
炭素材料およびデンドリマーを含有する空気電池電極であって、前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が128以下であることを特徴とする、前記電極。
【請求項4】
前記デンドリマー1分子当たりの官能基数が4以上128以下である請求項3に記載の空気電池電極。
【請求項5】
前記デンドリマーが、末端の側鎖部1個当たり1個の官能基が結合したものである請求項請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項6】
前記デンドリマーが、第0世代〜第4世代のものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項7】
前記デンドリマーが、官能基としてNH2、COOH又はOHを有するものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項8】
前記デンドリマーが、炭素骨格を有し表面に細孔を有する多孔質炭素材料からなる炭素材料の表面に担持されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項9】
前記デンドリマーの含有割合が、デンドリマーと炭素材料との合計量に対して10〜90質量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項10】
前記炭素材料およびデンドリマーに加えて、さらにバインダーを電極中の全成分の合計量中に1〜30質量%含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気電池電極。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項の空気電池電極を有し、電解質としてイオン液体を含む空気電池。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【公開番号】特開2013−16323(P2013−16323A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147537(P2011−147537)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]