説明

空調システム

【課題】VAVコントローラにおいてVAVユニットの動作状態を判定し、中央監視装置におけるVAVユニットの動作の誤認識を防止した空調システムを提供する。
【解決手段】空調システムにおけるVAVコントローラ3は、中央監視装置1から受信した発停信号に基づいてダンパの開閉指令を行うダンパ制御部33と、VAVユニット5の制御に必要な制御情報を取得する送受信部35と、開閉指令及び制御情報を用いて、VAVユニット5の動作状態の判定を行う判定部34とを備える。また、送受信部35は、この判定の結果を中央監視装置1に送信する。この構成により、VAVコントローラ3においてVAVユニット5の動作状態の判定ができると共に、中央監視装置1でのVAVユニット5の動作の誤認識を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央監視装置と接続されたVAV(Variable Air Volume:可変風量)コントローラから送信される指令信号によってVAVユニットを制御して、各空調空間への送風容量を制御する空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の空調空間毎の温度状況に応じて、空調機からの風量を各個に制御するためのVAV(可変風量)ユニットを有した空調システムが知られている。この空調システムでは、室内の温度差が大きい場合には風量を多くするなど、温度差に見合った風量を調整することで室内の温度差を小さくし、設定温度に近づくにつれて徐々に風量を小さくする。これにより、空調機の負担を軽減して、ランニングコストの低減、省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
空調システムは、例えば、中央監視装置、VAVコントローラ、及びVAVユニットなどを備え、VAVユニットは、VAVコントローラからのダンパ開閉指令信号によりダンパの開閉を行い、細やかな風量調整を行うことができる。中央監視装置は、VAVユニットの発停指令などを行い、VAVコントローラから返信される状態信号に基づいて各VAVユニットの制御状態を画面表示する。
【0004】
図13に示す空調システムのシーケンス例において、VAVコントローラ101は、中央監視装置102から発停信号を受け(S131)、当該発停指令に基づいてVAVユニット103にダンパ開閉指令信号を送信する(S132)。また、VAVコントローラ101は、CPUを介して中央監視装置102から受信した発停指令と同じ内容を現在状態信号として中央監視装置102に送信する(S133)。中央監視装置102は、この状態信号に基づいて各VAVユニット103の現在の制御状態を確認する。
【0005】
ところで、必要時に、全開指令、最大風量への設定指令などを同一指令として一括して各VAVユニットに与えることにより、個々の空調空間ごとに、空調調整を簡単に行えるようにしたVAV制御システムの調整方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−271027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の空調システムでは、VAVコントローラ101は、ハードウェアであるVAVユニット103の現在状態を実際に確認することなく、受信した発停信号に合致した状態信号を中央監視装置102に送信している。このため、中央監視装置102は、VAVユニット103に故障が発生している場合でも、VAVユニット103の故障状態を認識できず、VAVユニット103の動作状態について誤判定するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、VAVコントローラにより制御されるVAVユニットの動作状態の判定ができ、中央監視装置におけるVAVユニットの動作の誤認識を防止することができる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、中央監視装置と、前記中央監視装置と通信接続されるVAVコントローラと、前記VAVコントローラにより制御されて空調空間への風量を可変制御するVAVユニットとを備える空調システムにおいて、前記VAVコントローラは、前記中央監視装置から受信した発停信号に基づいて前記VAVユニットが備えるダンパの開閉指令を行うダンパ制御手段と、前記VAVユニットの制御に必要な制御情報を取得する取得手段と、前記開閉指令及び前記制御情報を用いて、前記VAVユニットの動作状態の判定を行う判定手段とを備える、ことを特徴とするものである。
【0010】
この空調システムにおいて、前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わる風速センサから風速信号を取得し、前記判定手段は、前記開閉指令としてダンパ開信号を送信した後、前記取得手段が取得した風速信号が所定値以下の場合、又は前記開閉指令としてダンパ閉信号を送信した後、前記取得手段が取得する風速信号が所定値以上の場合、前記VAVユニットのダンパ故障と判定することが好ましい。
【0011】
この空調システムにおいて、前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わるダンパ開度検出部により検出されるダンパ高開度信号、ダンパ適正開度信号、及び前記風速センサからの風速信号を取得し、前記判定手段は、前記開閉指令としてダンパ開信号を送信した後、前記ダンパ高開度信号又はダンパ適正開度信号が検出され、かつ、前記風速信号が0以下の場合、又は前記開閉指令としてダンパ閉信号を送信した後、前記ダンパ高開度信号及びダンパ適正開度信号が検出されず、かつ、前記風速信号が0以上の場合、前記VAVユニットの風速センサを故障と判定することが好ましい。
【0012】
この空調システムにおいて、前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わるダンパ開度検出部により検出されるダンパ高開度信号、及び前記VAVユニットに備わるダンパを駆動するダンパモータに対するダンパ開指令時間とダンパ閉指令時間とを取得し、前記判定手段は、前記ダンパ開指令時間−前記ダンパ閉指令時間なる式で算出される差分が一定時間以上となり、かつ、前記ダンパ高開度信号が検出されない場合、前記ダンパモータを故障と判定することが好ましい。
【0013】
この空調システムにおいて、前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わるダンパ開度検出部により検出されるダンパ高開度信号、ダンパ適性開度信号、及び前記VAVユニットに備わるダンパを駆動するダンパモータに対するダンパ開指令時間とダンパ閉指令時間とを取得し、前記判定手段は、前記ダンパ閉指令時間−前記ダンパ開指令時間なる式で算出される差分が一定時間以上となり、かつ、前記ダンパ高開度信号又はダンパ適性開度信号が検出される場合、前記ダンパモータを故障と判定することが好ましい。
【0014】
この空調システムにおいて、前記取得手段は、前記制御情報として、単位時間当たりの前記ダンパ制御手段から前記VAVユニットに備わるダンパモータへの制御指令回数の総数を取得し、前記判定手段は、前記制御指令回数の総数が一定回数以上の場合、前記VAVユニットのメンテナンス時期と判定することが好ましい。
【0015】
この空調システムにおいて、前記取得手段は、前記制御情報として、単位時間当たりの前記ダンパ制御手段から前記VAVユニットに備わる前記ダンパモータへのダンパ開指令時間及びダンパ閉指令時間の積算値を取得し、前記判定手段は、前記積算値が一定時間以上となる場合、前記ダンパモータの交換時期と判定することが好ましい。
【0016】
この空調システムにおいて、前記ダンパ制御手段は、前記判定手段において前記メンテナンス時期又は前記交換時期と判定された場合、前記VAVユニットの前記ダンパモータへの制御指令出力を一定時間中止することが好ましい。
【0017】
この空調システムにおいて、前記VAVコントローラは、前記判定の結果を前記中央監視装置に送信する送信手段を備え、前記中央監視装置は、前記判定の結果を画面表示する表示手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、VAVコントローラは、ダンパ開閉指令信号及びVAVユニットから取得した制御情報を用いて、VAVユニットの状態の判定し、この判定の結果を中央監視装置に送信する。このため、VAVコントローラにおいてVAVユニットの動作状態を判定することができ、しかも、中央監視装置においてVAVユニットの状態を誤認識することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る空調システムの構成図を示す。
【図2】同上空調システムの機能図を示す。
【図3】同上空調システムに備わるVAVコントローラ及びVAVユニットの機能ブロック図を示す。
【図4】同上空調システム全体のデータの流れを示すシーケンス図である。
【図5】同上空調システムのVAVコントローラの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】同上実施の形態の変形例1に係る空調システム全体のデータの流れを示すシーケンス図である。
【図7】同上空調システムのVAVコントローラの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】同上実施の形態の変形例2に係る空調システム全体のデータの流れを示すシーケンス図である。
【図9】同上空調システムのVAVコントローラの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】同上実施の形態の変形例3に係る空調システムのVAVコントローラの動作手順を示すフローチャートである。
【図11】同上実施の形態の変形例4に係る空調システムのVAVコントローラの動作手順を示すフローチャートである。
【図12】同上実施の形態の変形例5に係る空調システムのVAVコントローラの動作手順を示すフローチャートである。
【図13】従来の空調システム全体のデータの流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る空調システムについて図1乃至図5を参照して説明する。図1に示す空調システムSは、大規模のオフィスビルの空調設備の監視・制御などに使用され、中央監視装置1と、コアユニット2と、VAVコントローラ3と、設定器4と、VAVユニット5と、空調機6と、I/O7とを備える。なお、各機器はバス8を介して通信接続される。
【0021】
中央監視装置1は、空調システムSを集中管理するためのデスクトップ型や壁掛型のコンピュータである。この中央監視装置1は、各VAVユニット5からVAVコントローラ3に送られた室内温度、吹出温度、実風量、ダンパ開度情報等のデータを、バス8を介して取得し画面表示する。また、中央監視装置1は、各VAVユニット5に与える発停信号(ダンパのON/OFF信号)、室内温度設定値の変更、最大/最小風量設定値の変更、冷/暖切換、最大風量運転等の指令データを、バス8を介してVAVコントローラ3に送信する。
【0022】
ユーザは、中央監視装置1を操作することによって、各VAVユニット5の作動状態を、コンピュータの画面表示を介して監視でき、VAVユニット5の各種設定値を個々に又は一括して変更できる。
【0023】
コアユニット2は、制御対象に応じて任意に空調機6のI/O7を選択、拡張する。また、コアユニット2は、中央監視装置1とバス8を介して通信接続され、中央監視装置1からの制御信号を受信し、運転状況の送信を行う。さらに、コアユニット2は、VAVコントローラ3と通信接続されてVAVユニット5と連動制御される。
【0024】
VAVコントローラ3は、VAVユニット5に取り付けて使用され、風速センサの検出値や温度センサ3aで検出された室内計測温度より各空調空間に対するVAVユニット5の要求風量を演算して、VAVユニット5のダンパの開度を調整して風量制御を行う。なお、各空調空間には、温度センサが設けられ、VAVコントローラ3は、各空調空間の設定温度と、実際の温度との温度偏差を検知する。
【0025】
また、VAVコントローラ3は、バス8を介して中央監視装置1と接続され、発停信号を受信すると共に、後述する判定部で判定されたVAVユニット5の故障状態を送信するためのCPU30を備える。さらに、VAVコントローラ3は、VAVユニット5と空調機6との連動制御を実現するため、コアユニット2と通信して空調機6のファン回転数などを制御する。
【0026】
設定器4は、図2に示すようにVAVコントローラ3に信号線で接続され、VAVユニット5の制御を行う際にVAVコントローラ3と共に使用される室内用リモコンであり、例えばVAVコントローラ3の発停(入切)や温度設定の操作入力が可能である。設定器4は、液晶表示を用いてVAVユニット5の入切状態や運転表示・室内温度表示などを行う。なお、設定器4が温度センサを内蔵し、室内温度計測機能や室内温度設定機能を有している場合もある。
【0027】
VAVユニット5は、VAVコントローラ3と通信接続され、また、ダクト9を介して空調機6と接続される。このVAVユニット5は、ダクト9に取り付けられて各空調空間の風量を可変制御するためのダンパを備え、VAVコントローラ3から受信する開閉指令信号に基づいてダンパの開度を調整して各空調空間の温度を調整する。また、VAVユニット5は、ダンパの上流側に配置された風速センサを備え、この風速センサで検出される風速信号をVAVコントローラ3に送信する。
【0028】
空調機6は、モータによって回転駆動させる送風機、熱交換器やインバータなどを備え、この空調機6に接続されたダクト9を介して複数の空調空間に冷気や暖気を給気する。ダクト9と空調空間との間にはVAVユニット5が設けられ、VAVユニット5を通して調和された空気が各空調空間に吹き出される。また、空調機6は、コアユニット2とI/O7を介して通信接続され、VAVコントローラ3からファン回転数などの指令を受ける。
【0029】
次に、本実施の形態に係る空調システムSに用いるVAVコントローラ3及びVAVユニット5の機能構成に関して図3を参照して説明する。なお、図1においては、中央監視装置1とVAVコントローラ3との間にコアユニット2が配置されているが、本発明においてコアユニット2は必須の構成ではないため図2及び図3においてはその詳細な説明を省略している。
【0030】
VAVコントローラ3は、温度検出部31、演算部32、ダンパ制御部33、判定部34、及び送受信部(取得手段)35を備える。温度検出部31は、室内温度を抵抗値の変更により検出する温度センサ3aなどである。演算部32は、温度検出部31で検出された室内温度と、設定温度とに基づいて要求風量を演算し、当該風量に基づいてVAVユニット5のダンパ開度を演算する。ダンパ制御部33は、演算部32により演算されたダンパ開度に基づきVAVユニット5のダンパ開閉指令を生成する。判定部34は、VAVユニット5の制御に必要な信号である風速信号などの制御情報を用いて、VAVユニット5の異常判定を行う。送受信部35は、中央監視装置1、コアユニット2やVAVユニット5との間で発停信号、制御情報や開閉指令信号などの送受信を行う。
【0031】
VAVユニット5は、図2及び図3に示すように、ダンパモータ51、ダンパ開度検出部52、及び風速センサ53を備える。ダンパモータ51は、電気信号によりダンパを開閉駆動する。ダンパ開度検出部52は、ダンパの回転角度に基づいてダンパ適性開度(例えば開度75%)やダンパ高開度(例えば開度90%以上)を検出するためダンパに取り付けられた機械式のリミットスイッチなどである。このダンパ開度検出部52で検出されたダンパ適性開度信号やダンパ高開度信号は、VAVコントローラ3に送信される。風速センサ53は、ダクト9内の正確な風量を検出できるセンサであり、検出された風速信号はVAVコントローラ3に送信される。
【0032】
次に、本実施の形態に係る空調システムSの動作に関して図4を参照して説明する。最初に、中央監視装置1は、VAVユニット5のダンパを開閉制御するための発停信号をVAVコントローラ3に送信する(S41)。
【0033】
そして、VAVコントローラ3は、当該発停信号に基づくダンパの開閉指令をVAVユニット5に送信し(S42)、VAVユニット5から風速信号を受信するため所定の効果待ち期間において待機する。この待ち期間において、VAVユニット5は、開閉指令に基づいてダンパの開制御又は閉制御を行うと共に、風速センサを用いて風速を検出して、VAVコントローラ3に風速信号を送信する。
【0034】
次に、VAVコントローラ3の判定部34は、VAVユニット5から受信した風速信号に基づきVAVユニット5のダンパの現在の状態を判定する(S43)。そして、VAVコントローラ3は、VAVユニット5の発停状態及びダンパ状態の判定結果を中央監視装置1に送信し、中央監視装置1は、状態を受信し画面表示する(S44)。
【0035】
次に、本実施の形態に係る空調システムSにおけるVAVコントローラ3の動作に関して図5を参照して説明する。最初に、VAVコントローラ3は、中央監視装置1から発停信号を受信したか否かを確認する(S51)。当該発停信号を受信した場合(S51でYES)、VAVコントローラは、発停信号がダンパ開指令かダンパ閉指令かを確認する(S52)。
【0036】
そして、発停信号がダンパ開指令の場合(S52でYES)、VAVコントローラ3は、所定の効果待ち期間待機した後(S53)、受信した風速信号がX(m/s)より大きいか否かを判定する(S54)。判定部34は、当該風速信号がX(m/s)より大きい場合には(S54でYES)、状態信号「ダンパ故障無し」を中央監視装置1に送信する(S55)。一方、風速信号がX(m/s)より小さい場合には(S54でNO)、状態信号「ダンパ故障」として中央監視装置1に送信する(S56)。
【0037】
また、発停信号がOFF指令の場合(S52でNO)、VAVコントローラ3は、所定の効果待ち期間待機した後(S57)、受信した風速信号がX(m/s)以下か否かを判定する(S58)。判定部34は、当該風速信号がX(m/s)以下の場合には(S58でYES)、状態信号「ダンパ故障無し」を中央監視装置1に送信する(S59)。一方、風速信号がX(m/s)以下でない場合には(S58でNO)、状態信号「ダンパ故障」を中央監視装置1に送信する(S60)。
【0038】
以上の説明のように、本実施の形態に係る空調システムSにおいては、VAVユニット5から別途の信号を取込まずにVAVコントローラ3にて簡易的に精度の高いVAVユニット5のダンパの動作判定ができる。従って、中央監視装置1は、VAVコントローラ3から受信した判定結果に基づいて、現時点でのVAVユニット5のダンパの故障判定が可能となる。
【0039】
(第1の変形例)
本実施の形態の第1の変形例について、図6及び図7を参照して説明する。本変形例において、VAVコントローラ3は、VAVユニット5から受信する風速信号と、ダンパ高開度信号又はダンパ適正開度信号とを用いて、VAVユニット5の風速センサの故障判定を行う。なお、上記実施の形態に係る空調システムSと同様の構成には同符号を付し、その詳細な説明は省略する(以下同じ)。
【0040】
本変形例1に係る空調システムSの動作手順に関して図6を参照して説明する。最初に、中央監視装置1は、VAVユニット5の発停信号をVAVコントローラ3に送信する(S61)。そして、VAVコントローラ3は、当該発停信号に基づく開閉指令信号をVAVユニット5に送信し(S62)、VAVユニット5側からの風速信号を受信するため所定の待ち期間において待機する。この間、VAVユニット5は、指令信号に基づいてダンパの開/閉制御を行い、ダンパ開度検出部52を用いてダンパ適正開度及びダンパ高開度の検出、及び風速センサ53を用いて風速を検出し、VAVコントローラ3に検出結果を送信する(S63)。
【0041】
次に、VAVコントローラ3の判定部34は、VAVユニット5から受信したダンパ開度信号、及び風速信号に基づきVAVユニット5の風速センサの現在の状態を判定する。そして、VAVコントローラ3は、VAVユニット5の発停状態及び風速センサの判定結果を状態信号として中央監視装置1に送信し(S64)、中央監視装置1は、状態を受信し画面表示する。
【0042】
次に、本変形例1に係る空調システムSにおけるVAVコントローラ3の動作に関して図7を参照して説明する。最初に、VAVコントローラ3は、中央監視装置1から発停信号を受信したか否かを確認する(S51)。当該発停信号を受信した場合(S51でYES)、VAVコントローラは、発停信号がダンパ開指令かダンパ閉指令かを確認する(S52)。
【0043】
そして、発停信号がダンパ開指令の場合(S52でYES)、判定部34は、所定の効果待ち期間待機内に(S53)、ダンパ適正開度信号又はダンパ高開度信号を受信し(S71でYES)、かつ風速信号が0(m/s)以上か否かを判定する(S72)。判定部34は、ダンパ高開度信号又はダンパ適正開度信号が受信し(ダンパ開いている状況)、風速信号が0(m/s)より大きい場合には(S72でYES)、状態信号「風速センサ故障無し」を中央監視装置1に送信する(S73)。一方、判定部34は、ダンパ適正開度信号又はダンパ高開度信号が検出され(S71でYES)、風速信号が0(m/s)以上でない場合には(S72でNO)、風速センサ53の故障とし、状態信号「風速センサ故障」を中央監視装置1に送信する(S74)。
【0044】
また、発停信号がダンパ閉指令の場合(S52でNO)、判定部34は、所定の効果待ち期間待機した後(S57)、ダンパ適正開度信号又はダンパ高開度信号を受信しない場合(S75でYES)、風速信号が0(m/s)以下か否かを判定する(S76)。判定部34は、ダンパ適正開度又はダンパ高開度信号を受信せず(S75でYES)、かつ風速信号0(m/s)以下の場合には(S76でYES)、状態信号「風速センサ故障無し」として中央監視装置1に送信する(S77)。一方、判定部34は、ダンパ高開度信号及びダンパ適正開度信号の両方を検知し(S75でYES)、かつ受信した風速信号が0(m/s)以下でない場合(S76でNO)、状態信号「風速センサ故障」を中央監視装置1に送信する(S78)。
【0045】
以上の説明のように、本変形例1に係る空調システムSおいては、VAVユニット5から別途の信号を取込まずにVAVコントローラ3にて簡易的に精度の高いVAVユニット5の風速センサの動作判定ができる。従って、中央監視装置1は、VAVコントローラ3から受信した判定結果に基づいて、現時点でのVAVユニット5の風速センサの故障判定が可能となる。
【0046】
(第2の変形例)
本実施の形態の第2の変形例に係る空調システムついて、図8及び図9を参照して説明する。本変形例2において、VAVコントローラ3は、ダンパモータに対する開閉指令時間およびダンパ高開度信号を用いて、ダンパモータの故障判定を行う。
【0047】
本変形例2に係る空調システムSの動作手順に関して図8を参照して説明する。最初に、中央監視装置1は、VAVユニット5の発停信号をVAVコントローラ3に送信する(S81)。VAVコントローラ3は、当該発停信号に基づいて、ダンパ開閉指令信号をVAVユニット5に送信する(S82)。この間、VAVユニット5は、指令信号に基づいてダンパの開制御又は閉制御を行い、ダンパ開度検出部52を用いてダンパ高開度信号の検出を行い、VAVコントローラ3に検出されたダンパ高開度信号を送信する(S83)。
【0048】
次に、VAVコントローラ3の判定部34は、ダンパ開指令時間、ダンパ閉指令時間、及びダンパ高開度信号を用いて、VAVユニット5のダンパモータ異常を判定する。そして、VAVコントローラ3は、VAVユニット5の発停状態及びダンパモータの異常判定結果を状態信号として中央監視装置1に送信し(S84)、中央監視装置1は、状態を受信し画面表示する。
【0049】
次に、本変形例2に係る空調システムSにおけるVAVコントローラ3の動作に関して図9を参照して説明する。最初に、VAVコントローラ3の演算部32は、「ダンパ開指令時間−ダンパ閉指令時間」の差分の算出を行う(S91)。そして、判定部34は、当該差分が一定時間以上となり(S91でYES)、ダンパ高開度信号を受信しない場合には(S92でNO)、ダンパモータが故障していると考えられ、「ダンパモータ故障」を中央監視装置1に送信する(S93)。一方、判定部34は、当該差分が一定時間以上となり(S91でYES)、ダンパ高開度信号を受信した場合には(S92でYES)、ダンパモータが正常に動作しているとして、中央監視装置1に「ダンパモータ故障無し」の状態信号を送信する(S94)。
【0050】
ここで本変形例2の動作を例示すると、VAVユニット5は、ダンパ開信号100秒間継続でダンパが100%開状態に、ダンパ閉信号100秒間継続でダンパが100%開状態から閉状態になると仮定する。そして、ダンパ開度検出部52におけるダンパ高開度信号の検出がダンパ90%開いた状態で発信されるものとする。この場合、(ダンパ開信号時間−ダンパ閉信号時間)≧90秒の場合に、VAVコントローラ3は、ダンパ高開度信号を受信する。従って、VAVコントローラ3の判定部34は、差分が90秒以上となる際に、ダンパ高開度信号を受信しないと、状態信号「ダンパモータ故障」を中央監視装置1に送信する。
【0051】
以上の説明のように、本変形例2に係る空調システムSおいては、VAVユニット5から別途の信号を取込まずにVAVコントローラ3にて簡易的に精度の高いVAVユニット5のダンパモータの動作判定ができる。従って、中央監視装置1は、VAVコントローラ3から受信した判定結果に基づいて、現時点でのVAVユニット5のダンパモータの故障判定が可能となる。
【0052】
(第3の変形例)
本実施の形態の第3の変形例について、図10を参照して説明する。本変形例では、VAVコントローラ3は、ダンパモータに対する開/閉指令時間、ダンパ高開度信号、及びダンパ適正開度信号を用いて、ダンパモータの故障判定を行う。
【0053】
本変形例3に係る空調システムSにおけるVAVコントローラ3の動作に関して図10を参照して説明する。最初に、VAVコントローラ3の演算部32は、「ダンパ閉指令時間−ダンパ開指令時間」の差分の算出を行う(S101)。そして、判定部34は、当該差分が一定時間以上となり(S101でYES)、ダンパ高開度信号又はダンパ適正開度信号を受信する場合には(S102でYES)、「ダンパモータ故障」を中央監視装置1に送信する(S104)。一方、判定部34は、当該差分が一定時間以上となり(S101でYES)、ダンパ高開度信号又はダンパ適正開度信号を受信しない場合には(S102でNO)、中央監視装置1に「ダンパモータ故障無し」の状態信号を送信する(S103)。
【0054】
ここで本変形例3の動作を例示すると、VAVユニット5は、例えば、ダンパ開信号100秒間継続でダンパが100%開状態に、ダンパ閉信号100秒間継続でダンパが100%開状態から閉状態になると仮定する。そして、ダンパ開度検出部52におけるダンパ高開度信号の検出がダンパ90%開いた状態で発信、ダンパ適正開度信号の検出が75%開いた状態で発信されるものとする。この場合、(ダンパ閉信号時間−ダンパ開信号時間)≧−75秒の場合には、VAVコントローラ3は、ダンパ高開度信号及びダンパ適性開度信号か検出されない。従って、VAVコントローラ3の判定部34は、当該差分が−75秒以上で、かつ、ダンパ高開度信号又はダンパ適性開度信号を受信すると、状態信号「ダンパモータ故障」を中央監視装置1に送信する。
【0055】
以上の説明のように、本変形例3に係る空調システムでは、上記変形例2と同様、VAVユニット5から別途の信号を取込まずにVAVコントローラ3にて簡易的に精度の高いダンパモータの動作判定ができる。従って、中央監視装置1は、VAVコントローラ3から受信した判定結果に基づいて、現時点でのダンパモータの故障判定が可能となる。
【0056】
(第4の変形例)
本実施の形態の第4の変形例について、図11を参照して説明する。本変形例4において、VAVコントローラ3は、単位時間当たりのVAVユニット5のダンパモータへの開閉指令信号の回数を用いて、VAVユニット5のメンテナンス(調整不良)の判定を行う。
【0057】
本変形例4に係る空調システムSにおけるVAVコントローラ3の動作に関して図11を参照して説明する。最初に、VAVコントローラ3の判定部34は、単位時間当たりのダンパ開指令及びダンパ閉指令の出力の総数が一定回数以上か否かを判定する(S111)。次に、判定部34は、単位時間当たりのダンパ開閉指令回数の総数が一定回数以上の場合(S111でYES)、VAVユニット5が制御調整不良のためハンチング動作しているとして、メンテナンス信号「ON」を中央監視装置1に送信する(S112)。そして、VAVコントローラ3は、一定時間、VAVユニット5へのダンパ閉指令又はダンパ開指令信号の出力を中止する(S114)。なお、この場合のハンチング動作とは、ダンパが開閉を所定期間内に繰り返す動作などである。一方、判定部34は、単位時間当たりのダンパモータ制御指令回数が一定回数以下の場合(S111でNO)、メンテナンス信号「OFF」を中央監視装置1に送信する(S113)。
【0058】
以上の説明のように、本変形例4に係る空調システムでは、VAVユニット5から別途信号を取込まずにVAVコントローラ3にて簡易的にVAVユニット5のメンテナンス判定ができる。また、VAVコントローラ3は、メンテナンス判定された場合、ダンパの開閉指令信号の出力を一定時間中止することで、当該メンテナンス信号に基づいてVAVユニット5のハンチング動作を抑制することが可能となる。
【0059】
(第5の変形例)
本実施の形態の第5の変形例について、図12を参照して説明する。本変形例5において、VAVコントローラ3は、ダンパモータに対する開閉指令時間(内部情報)を用いて、ダンパモータの運転時間を簡易積算し、VAVユニット5のダンパモータ寿命時期の判定を行う。
【0060】
本変形例5に係る空調システムSにおけるVAVコントローラ3の動作に関して図12を参照して説明する。最初に、VAVコントローラ3の判定部34は、単位時間当たりのダンパ開指令時間及びダンパ閉指令時間の出力時間の積算値が一定時間以上となるか否かを判定する(S121)。そして、判定部34は、単位時間当たりの当該積算値が一定時間以上の場合(S121でYES)、ダンパモータ寿命のため交換時期に達したと判定し、メンテナンス信号「ON」を中央監視装置1に送信する(S122)。そして、VAVコントローラ3からダンパ閉指令信号又はダンパ開指令信号の出力を行わないようにする(S124)。一方、判定部34は、当該積算値が一定時間以下の場合(S121でNO)、メンテナンス信号「OFF」を中央監視装置1に送信する(S123)。
【0061】
以上の説明のように、本変形例5に係る空調システムでは、VAVユニット5から別途信号を取込まずにVAVコントローラ3にて簡易的にVAVユニット5のダンパモータの寿命判定ができる。また、VAVコントローラ3は、ダンパモータ寿命と判定された場合、寿命を超過したダンパモータ動作を抑制し、VAVユニット5の安全性を高めることができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、VAVユニット3は、VAVユニット5が故障状態である場合にのみ故障信号を中央監視装置1に送信し、VAVユニット5が故障状態でない場合には状態信号を中央監視装置1に送信しなくてもよい。また、本発明においてコアユニット2の構成は必須ではない。
【符号の説明】
【0063】
1 中央監視装置
3 VAVコントローラ
31 温度検出部
32 演算部
33 ダンパ制御部(ダンパ制御手段)
34 判定部(判定手段)
35 送受信部(取得手段)
4 設定器
5 VAVユニット
51 ダンパモータ
52 ダンパ開度検出部
53 風速センサ
6 空調機
7 I/O
8 バス
9 ダクト
S 空調システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央監視装置と、前記中央監視装置と通信接続されるVAVコントローラと、前記VAVコントローラにより制御されて空調空間への風量を可変制御するVAVユニットとを備える空調システムにおいて、
前記VAVコントローラは、
前記中央監視装置から受信した発停信号に基づいて前記VAVユニットが備えるダンパの開閉指令を行うダンパ制御手段と、
前記VAVユニットの制御に必要な制御情報を取得する取得手段と、
前記開閉指令及び前記制御情報を用いて、前記VAVユニットの動作状態の判定を行う判定手段とを備える、ことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わる風速センサから風速信号を取得し、
前記判定手段は、前記開閉指令としてダンパ開信号を送信した後、前記取得手段が取得した風速信号が所定値以下の場合、又は前記開閉指令としてダンパ閉信号を送信した後、前記取得手段が取得する風速信号が所定値以上の場合、前記VAVユニットのダンパ故障と判定する、ことを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わるダンパ開度検出部により検出されるダンパ高開度信号、ダンパ適正開度信号、及び前記風速センサからの風速信号を取得し、
前記判定手段は、前記開閉指令としてダンパ開信号を送信した後、前記ダンパ高開度信号又はダンパ適正開度信号が検出され、かつ、前記風速信号が0以下の場合、又は前記開閉指令としてダンパ閉信号を送信した後、前記ダンパ高開度信号及びダンパ適正開度信号が検出されず、かつ、前記風速信号が0以上の場合、前記VAVユニットの風速センサを故障と判定する、ことを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項4】
前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わるダンパ開度検出部により検出されるダンパ高開度信号、及び前記VAVユニットに備わるダンパを駆動するダンパモータに対するダンパ開指令時間とダンパ閉指令時間とを取得し、
前記判定手段は、
前記ダンパ開指令時間−前記ダンパ閉指令時間
なる式で算出される差分が一定時間以上となり、かつ、前記ダンパ高開度信号が検出されない場合、前記ダンパモータを故障と判定する、ことを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項5】
前記取得手段は、前記制御情報として、前記VAVユニットに備わるダンパ開度検出部により検出されるダンパ高開度信号、ダンパ適性開度信号、及び前記VAVユニットに備わるダンパを駆動するダンパモータに対するダンパ開指令時間とダンパ閉指令時間とを取得し、
前記判定手段は、
前記ダンパ閉指令時間−前記ダンパ開指令時間
なる式で算出される差分が一定時間以上となり、かつ、前記ダンパ高開度信号又はダンパ適性開度信号が検出される場合、前記ダンパモータを故障と判定する、ことを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項6】
前記取得手段は、前記制御情報として、単位時間当たりの前記ダンパ制御手段から前記VAVユニットに備わるダンパモータへの制御指令回数の総数を取得し、
前記判定手段は、前記制御指令回数の総数が一定回数以上の場合、前記VAVユニットのメンテナンス時期と判定する、ことを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項7】
前記取得手段は、前記制御情報として、単位時間当たりの前記ダンパ制御手段から前記VAVユニットに備わる前記ダンパモータへのダンパ開指令時間及びダンパ閉指令時間の積算値を取得し、
前記判定手段は、前記積算値が一定時間以上となる場合、前記ダンパモータの交換時期と判定する、ことを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項8】
前記ダンパ制御手段は、前記判定手段において前記メンテナンス時期又は前記交換時期と判定された場合、前記VAVユニットの前記ダンパモータへの制御指令出力を一定時間中止する、ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の空調システム。
【請求項9】
前記VAVコントローラは、
前記判定の結果を前記中央監視装置に送信する送信手段を備え、
前記中央監視装置は、
前記判定の結果を画面表示する表示手段を備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の空調システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図2】
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