説明

空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置

【課題】高価な装置を用いることなく、制御対象の室内全体の輻射温度値に基づいて空調制御対象の室内にいる在室者の予測温熱感指標を出力することができる温熱感指標出力装置および温熱感指標出力方法提供する。
【解決手段】空調制御対象の室内Xを撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得部11と、取得された画像情報を解析して室内Xにある各物体の見た目情報を推定し、推定した各物体の見た目情報から当該各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定部12と、推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、室内Xの輻射温度値を推定して出力する輻射温度出力部22と、出力された輻射温度値に基づいて、室内Xの在室者のPMVを算出して出力するPMV算出部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の室内空間にいる在室者の温熱感指標値を提供する空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内空間においては、空調制御により適正な室内環境をできる限り少ないエネルギー消費により確保することが求められている。適正な室内温熱環境を確保するに当たって、人間の感じる暑さ、寒さの温熱感覚を考慮することが重要である。
【0003】
この温熱感覚は、人間の発熱量(対流による放射量、輻射による放熱量、人からの蒸発熱量、呼吸による放熱量および蓄熱量の合計)の熱平衡が保たれている場合には人体が熱的に中立の状態にあり、暑くも寒くもない快適な状態であるといえる。逆に、熱平衡がくずれた場合には人体が暑さや寒さを感じる。
【0004】
この熱平衡に基づく人間の温熱感覚指標としてPMV(Predicted Mean Vote:予測平均申告)を用い、空調制御の最適化を図る方法がある。このPMVの算出には、温熱感覚に影響を与える変数として、空気温度値、相対湿度値、平均輻射温度値、気流速度値、活動状態(人体の内部発熱量)値、着衣状態値の6つが用いられる。
【0005】
この6つの入力変数のうち、精度よく計測が可能なものは、空気温度値、相対湿度値、気流速度値である。活動状態値や着衣量値は直接計測することが困難なため、通常は設定値が用いられるが、部屋の用途や季節によりある程度予測することが可能である。
【0006】
一方、平均輻射温度値は、(1)固定された設定値、(2)季節や時間による太陽の高さや窓や建物の構造等、天気予報等の事前データから算出される値、または(3)壁の一箇所に設置された輻射温度計の値、等が用いられるが、実際には外光の入射状況の影響で時々刻々と大きく変動するため正確な値をリアルタイムで計測することが困難である。また輻射温度計が設置された一箇所の値のみでは制御対象の室内全体の最適化を図ることは困難である。そこで、輻射温度値を精度よく、リアルタイムに計測することが望まれている。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の空気調和機の制御装置では、赤外線センサで検出された熱画像を用いて輻射温度値を推定する技術が記載されている。この赤外線センサで検出された熱画像を用いることにより、制御対象の室内全体の輻射温度を計測することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2978374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの特許文献1で用いるよう熱画像を計測する赤外線センサは高価なため容易に利用することができないという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高価な装置を用いることなく、制御対象の室内全体の輻射温度値に基づいて空調制御対象の室内にいる在室者の予測温熱感指標を出力する空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の空調制御装置は、空調制御対象の室内を撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、前記室内にある各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定手段と、前記属性推定手段で推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する輻射温度推定手段と、前記輻射温度推定手段で推定された輻射温度値に基づいて、前記室内の在室者の温熱感指標を算出して出力する温熱感指標算出手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の空調制御方法は、空調制御対象の室内を撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップで取得された画像情報を解析して、前記室内にある各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定ステップと、前記属性推定ステップで推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する輻射温度推定ステップと、前記輻射温度推定ステップで推定された輻射温度値に基づいて、前記室内の在室者の温熱感指標を算出して出力する温熱感指標算出ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の輻射温度計測装置は、室内を撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、前記室内にある各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定手段と、前記属性推定手段で推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する輻射温度推定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置によれば、高価な装置を用いることなく、制御対象の室内全体の輻射温度値に基づいて空調制御対象の室内にいる在室者の予測温熱感指標を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による空調制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による空調制御装置に接続された複数のカメラ装置でそれぞれ撮影する撮影エリアを示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による空調制御装置の属性推定部の動作を示すフローチャートである。
【図5】発明の一実施形態による空調制御装置の属性推定部に予め記憶される輻射率情報の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈一実施形態による空調制御装置の構成〉
本発明の一実施形態による空調制御装置1の構成について、図1を参照して説明する。
【0017】
空調制御装置1は、空調制御対象の室内Xを撮影する複数(n台)のカメラ装置2−1〜2−nを含むカメラ装置群2に接続され、画像情報処理部10と、輻射温度処理部20と、温熱感指標算出部としてのPMV算出部30と、制御値演算部40とを有する。この空調制御対象の室内Xには、PC、書類、プリンタや、エアコン、ストーブ、扇風機などの空調関連機器等の物体が設置されており、カメラ装置2−1〜2−nは図2に示すようにそれぞれ室内Xの異なる撮影エリアを撮影するように設置されることにより、いずれかのカメラ装置によりこれらの物体が撮影されるものとする。
【0018】
画像情報処理部10は、画像取得部11と、属性推定部12とを有する。
【0019】
画像取得部11は、カメラ装置2−1〜2−nで撮影された画像情報を取得する。
【0020】
属性推定部12は、画像取得部11で取得されたそれぞれの画像情報を解析して、撮影対象(天井、壁、床、設置された物体、人など)の輻射熱に関する属性情報を推定する。輻射熱に関する属性情報とは、例えば物体の色や材質、物体の輻射率(輻射の起こりやすさ)、熱伝導率(熱の伝わりやすさ)、発熱の度合い、物体に当たる光の波長などの情報である。
【0021】
輻射温度処理部20は、輻射温度出力部21を有する。
【0022】
輻射温度出力部21は、属性推定部12で推定された各物体の属性情報に基づいて当該室内Xの輻射温度値を予測し、予測輻射温度値として出力する。
【0023】
PMV算出部30は、輻射温度出力部21から出力された予測輻射温度値と、入力された室内の空気温度値と、相対湿度値と、気流速度値と、活動状態値と、着衣状態値とから、在室者の予測温熱感指標の一つである予測PMVを算出する。
【0024】
制御値演算部40は、PMV算出部30で算出された予測PMVと設定PMV値(例えば、快適範囲−0.5〜+0.5)に基づいて、空調設備の制御値を算出し、この制御値に基づき空調設備を制御する。
【0025】
〈一実施形態による空調制御装置の動作〉
次に、本実施形態による空調制御装置1の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
まず、空調制御対象の室内に設置されたn台のカメラ装置2−1〜2−nにより当該室内の撮影エリアが撮影され、撮影された画像情報が空調制御装置1の画像取得部11で取得される(S1)。
【0027】
ここで当該画像情報は、可視カメラ画像情報、近赤外線カメラ画像情報、赤外カメラ画像情報など、いずれの画像情報でもよく、複数のカメラ装置2−1〜2−nで撮影された画像情報がそれぞれ異なる規格の画像情報でもよい。また、当該画像情報のフォーマットとしては、NTSC、MPEG2、MPEG4、MotionJPEG、Bitmap、GPEG、またはRAWなどが用いられる。また、カメラ装置群2から空調制御装置1への伝送手段は無線でも有線でもよい。
【0028】
次に属性推定部12では、画像取得部11で取得されたそれぞれの画像情報から、撮影対象の見た目情報(色、明るさ、テクスチャなど)に基づいて、物体の属性が推定される(S2)。
【0029】
物体の属性の推定は、例えば図4のフローチャートに基づいて行われる。
【0030】
属性推定部12では、画像取得部11で取得されたそれぞれの画像情報から、撮影対象の物体、天井、壁、床の見た目に関する情報である色、明るさ、およびテクスチャなどに基づいて、属性情報である色や材質が推定される(S2−1)。
【0031】
画像情報から物体の材質を推定する際にはテクスチャ解析が有効であり、物体の表面には材質に応じた特徴が現れるため空間周波数成分の抽出や輝度ヒストグラムを用いた分析などにより物体の表面部分の画像情報が解析され、金属であれば光沢や光の反射の度合いにより、木材であれば木目模様の検出により、これらの材質が推定される。
【0032】
そして、各物体の色や材質等が推定されると、これらの推定された情報に基づいて、より各物体の輻射熱に近い属性情報として輻射率および熱伝導率が推定される(S2−2)。輻射率や熱伝導率は色や材質によって異なり、例えば色に関しては、黒色であれば輻射熱を吸収しやすいが白色であれば放出しやすい性質があることが既知であり、また材質に関しては、図5の表に示すように材質ごとの輻射率情報、熱伝導率情報が予め設定されている。そこで、この図5に示す輻射率情報、熱伝導率情報、および色ごとの既知の輻射熱の情報に基づいて各物体の輻射率および熱伝導率が推定される。
【0033】
また、属性推定部12では、画像取得部11で取得されたそれぞれの画像情報から物体の種別(事務機器、空調機、人等)が判定される(S2−3)。
【0034】
この物体の種別の判定は、予め記憶された物体識別モデルが参照されることにより行われる。この物体識別モデルは、CoHoG(Co-occurrence Histograms of Oriented Gradients、輝度勾配方向共起ヒストグラム)などの物体ごとの画像特徴量を画像情報から取得することで統計的学習手法により作成されたものを利用することができる。この場合、画像特徴量によって物体の種別の判定精度が異なるが、異なる画像特徴量で生成した識別モデルを複数組み合わせることにより様々な物体の識別を可能にすることができる。
【0035】
また、物体の種別の判定の他の手法として、在室者が似た姿勢で長時間座っているような場合は人の前にPCがあると予測するなど、在室者の動き情報(滞在時間、移動経路、姿勢、挙動)から周囲の物体の種別を判定することも可能である。
【0036】
次に、判定された物体の種別により、各物体の輻射熱に関する属性情報として、物体ごとの発熱量の度合いが推定される(S2−4)。この発熱量の度合いは、予め物体ごとに設定された発熱量の度合いの情報に基づいて推定される。この物体ごとの発熱量の度合いの情報では、物体の種別がPCやプリンタなどの機器、人、ヒーターなどのときは熱を放出(発熱)する物体として発熱量の度合いが高く設定され、エアコンの送風口、水があるところなどのときは熱を吸収する物体として発熱量の度合いが低く設定されている。
【0037】
またこの物体の種別ごとの発熱量の度合いは、事前の学習機能により蓄積された情報に基づいて推定されるようにしたり、あるいは処理対象の室内のレイアウト情報(壁沿いには窓や棚、空間の中央部分には机などが配置されることが多い等の情報)が考慮されて推定されるようにしてもよい。
【0038】
また、属性推定部12では、画像取得部11で取得されたそれぞれの画像情報から物体に対する光の当たっている場所が特定され、それらの場所の光の色味が推定される(S2−5)。
【0039】
このとき、予め事前に外光や照明があたっていないときの各撮影エリアの画像情報を取得しておき、この画像情報と処理対象の画像情報とが比較されることにより、外光や照明が当たっている場所が特定され、特定された場所に当たっている光の色味が推定される。
【0040】
そして推定された光の色味から、各物体の輻射熱に関する属性情報として、物体に入射する光および物体から放出される光の波長が推定される(S2−6)。光の波長が推定されることにより、熱エネルギーが推定される。
【0041】
尚、この例では、画像情報の解析結果である色や材質から輻射熱に関する属性情報として輻射率及び熱伝導率を推定し、画像情報の解析結果である物体の種別から輻射熱に関する属性情報として発熱量の度合いを推定し、画像情報の解析結果である光の色味から輻射熱に関する属性情報として光の波長を推定するとしたが、各画像情報の解析結果から他の輻射熱に関する属性情報を推定しても良い。
【0042】
そして輻射温度出力部21において、各物体の輻射熱に関する属性情報としてステップS2−2で推定された各物体の輻射率および熱伝導率と、ステップS2−4で推定された物体の種別ごとの発熱の度合いと、ステップS2−6で推定された各物体の光の波長とから、各物体の表面温度が予測され、この各物体の表面温度から、輻射温度値が推定され予測輻射温度値として出力される(S3)。
【0043】
そしてPMV算出部30において、輻射温度出力部21から出力された予測輻射温度値と、センサの計測値等に基づいて入力された室内の空気温度値と、相対湿度値と、気流速度値と、活動状態値と、着衣状態値とから、在室者の予測PMVが算出される(S4)。
【0044】
さらに制御値演算部40において、ステップS7で算出された予測PMVと予め設定された設定PMVに基づいて空調設備の制御値が算出され、この制御値に基づいて空調設備が制御される。
【0045】
以上の本実施形態によれば、空調制御対象の室内に設置されたカメラ装置で撮影された画像情報から室内にある物体の属性情報を推定して輻射温度を推定することで、高価な装置を用いることなく、制御対象の室内の輻射温度値に基づいて空調制御対象の室内にいる在室者の予測温熱感指標を出力することができ、より細やかで快適な空調制御が実現できる。
【0046】
また本実施形態の空調制御システム1の輻射温度出力部22において、カメラ装置2−1〜2−nが設置された位置情報(天井、床、壁までの距離や角度)を利用して、画像情報上の物体や光の当たっている場所の大きさからこれらの実際の面積を算出し、この算出した面積を考慮して平均輻射温度値を算出し、これを予測輻射温度値として出力するようにしてもよい。
【0047】
また本実施形態において室内X内の物体として空調機が含まれ、空調制御装置1に当該空調機から給気の風向きの情報を輻射温度出力部22で取得し、この情報により変動する対流熱の影響を考慮して部屋内の物体の表面温度を推定するようにしてもよい。またこの給気の風向きの情報は、空調機部分の画像情報を解析することにより推定するようにしてもよい。
【0048】
また本実施形態の空調制御装置1をビル監視システムやビルの監視員が携帯する携帯端末に送信可能に設定することにより、空調制御装置1で算出された予測輻射温度や予測PMVなどの値をこれらのビル監視システムや携帯端末に送信して監視員に通知して空調制御操作を支援することも可能である。また、カメラ装置群2により撮影された制御対象の室内の映像は、セキュリティ用途に適用することも可能である。
【0049】
また室内に複数の空調機が存在するときには、空調機の空調エリアの予測輻射温度値を用いて該空調機を制御することにより、エリア単位で快適な空調制御が実現できる。
【0050】
また本実施形態の空調制御装置1の画像取得部11から得られた画像情報に基づき、在室者の有無または分布を判定し、在室者がいると判定されたときにはその在室者の周辺環境が快適になるように快適制御を行い、在室者がいないと判定されたときにはそのエリアは快適制御の対象外とするように設定してもよい。このように設定することにより、省エネ効果の高い空調制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1…空調制御装置
2…カメラ装置群
2−1〜2−n…カメラ装置
10…画像情報処理部
11…画像取得部
12…属性推定部
20…輻射温度処理部
21…輻射温度出力部
22…輻射温度出力部
30…PMV算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調制御対象の室内を撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、前記室内にある各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定手段と、
前記属性推定手段で推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する輻射温度推定手段と、
前記輻射温度推定手段で推定された輻射温度値に基づいて、前記室内の在室者の温熱感指標を算出して出力する温熱感指標算出手段と、
を備えることを特徴とする空調制御装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、前記空調制御対象の室内を撮影する複数の前記カメラ装置で撮影された画像情報を取得し、
前記輻射温度推定手段は、前記複数のカメラ装置で撮影された画像情報の解析により推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記属性推定手段で推定する属性情報は、物体の色及び材質、物体の輻射率、物体の熱伝導率、物体に当たる光の波長、物体の発熱度合い、または物体の表面温度の輻射温度に関連する情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記属性推定手段は、前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、物体の色及び材質を推定し、物体の輻射率または熱伝導率を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の空調制御装置。
【請求項5】
前記属性推定手段は、前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、予め記憶された物体識別モデル、在室者の動き情報、または前記室内のレイアウト情報を利用して各物体の種別を判定し、
予め設定された物体ごとの発熱量の度合い情報、または事前の学習機能により蓄積された情報を利用して、判定された各物体の種別ごとの前記発熱の度合いを推定する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の空調制御装置。
【請求項6】
前記輻射温度推定手段では、前記カメラ装置が設置された位置情報を利用して、前記画像情報上の各物体の面積を算出し、この算出した各物体の面積と前記各物体の輻射熱に関する属性情報とに基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の空調制御装置。
【請求項7】
前記物体には空調機が含まれ、
前記輻射温度推定手段は、前記空調機の給気の風向き情報を取得し、この風向き情報により変動する対流熱に基づいて輻射温度値を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の空調制御装置。
【請求項8】
前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、当該室内の在室者の有無を判定する在室者判定手段と、
前記在室者判定手段において在室者がいないと判定されたときには当該エリアは空調制御の対象外とする制御エリア選択手段とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の空調制御装置。
【請求項9】
空調制御装置が、
空調制御対象の室内を撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得された画像情報を解析して、前記室内にある各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定ステップと、
前記属性推定ステップで推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する輻射温度推定ステップと、
前記輻射温度推定ステップで推定された輻射温度値に基づいて、前記室内の在室者の温熱感指標を算出して出力する温熱感指標算出ステップと、
を有することを特徴とする空調制御方法。
【請求項10】
室内を撮影するカメラ装置で撮影された画像情報を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段で取得された画像情報を解析して、前記室内にある各物体の輻射熱に関する属性情報を推定する属性推定手段と、
前記属性推定手段で推定された各物体の輻射熱に関する属性情報に基づいて、前記室内の輻射温度値を推定する輻射温度推定手段と、
を備えることを特徴とする輻射温度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−127782(P2011−127782A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283903(P2009−283903)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】