空調動作制御装置、空調システム
【課題】ユーザの作業や負担を可及的に低減しつつユーザにとってより快適な空気環境の生成を可能とする空調動作制御装置及び空調システムを提供する。
【解決手段】体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力するように空調動作制御装置4を構成した。
【解決手段】体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力するように空調動作制御装置4を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内又は屋内における空気環境の空調動作を行う空調技術の分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
より快適な空気環境をユーザに提供することを目的とした技術が例えば下記特許文献1,2で提案されている。
【0003】
下記特許文献1には、室内温度や着衣状態などの複数のプロセス変数から温熱感覚指標であるPMV値を算出するとともに、室内に設置された複数の個人用パソコンのうちいずれかの電源がオンになると、オンになったパソコンのIPアドレスに対応する各所有者のPMV値の平均値を目標PMV値として算出し、算出した前記2つのPMV値の偏差に基づく室温設定値を用いて空調制御を行う技術が開示されている。
【0004】
下記特許文献2には、空気調和機とリモートコントロール装置(以下、リモコンという)とが互いに通信可能に構成されたシステムにおいて、前記リモコンが体脂肪率等の情報を入力可能に構成されており、前記リモコンは、前記情報が入力されると、予め用意された複数の運転パターンの中から前記リモコンで入力された情報に基づき最適な運転パターンを選択し、選択した運転パターンで空気調和機を運転させるための制御信号を前記リモコンから空気調和機に送信するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−315631号公報(平成19年12月6日公開)
【特許文献2】特開2008−70093号公報(平成20年3月27日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、空調制御を行うに際し温熱感覚を考慮にいれてはいるものの、温熱感覚に大きな影響を与え得る体脂肪を考慮する点については記載されていない。
【0007】
また、前記特許文献2では、体脂肪を何らかの手段を使って測定する作業の他に、この測定値を前記リモコンに入力する作業がユーザに課されることとなり、面倒である。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの作業や負担を可及的に低減しつつユーザにとってより快適な空気環境の生成を可能とする空調動作制御装置及び空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、利用者が体脂肪の測定を脂肪測定部に実行させると、前記脂肪測定部が出力する前記脂肪情報が所定の通信経路を介して前記空調動作制御装置に受信される。そして、この受診した脂肪情報が示す測定値から、前記空調部が空調動作を行うための制御値が前記空調動作制御装置により算出される。すなわち、利用者からみると、脂肪測定部で体脂肪を測定すれば、自動的に空調部の空調動作に用いる制御値が設定される。
【0011】
これにより、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すのを回避することができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記制御値として、前記利用者の測定値に相応しい空調動作が行われるような制御値が算出される。これにより、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0013】
以上のことから、本発明により、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しつつ、より快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が取得する前記脂肪情報を用いて算出された、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を所定の通信経路を介して受信し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、前記脂肪情報を用いて算出された制御値を所定の通信経路を介して受信すると、該制御値が空調部に出力される。すなわち、利用者からみると、脂肪測定部で体脂肪を測定すれば、自動的に空調部の空調動作に用いる制御値が設定される。
【0016】
これにより、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すのを回避することができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記制御値として、前記利用者の測定値に相応しい空調動作が行われるような制御値が算出される。これにより、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0018】
以上のことから、本発明により、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しつつ、より快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、前記制御値として、前記空調部の空調動作時における目標温度を算出することを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、前記空調動作制御装置は、前記制御値として前記空調部の空調動作時における目標温度を算出するので、室内温度が利用者にとってより快適な環境を生成することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、予め登録されている、複数の空調部と1又は複数の測定対象者との対応関係に基づき、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部によって識別された測定対象者に対応する空調部を特定する空調部特定部と通信可能に構成されており、前記空調部特定部によって特定された空調部の制御値として、前記識別部が識別した測定対象者の測定値に対応する制御値を算出し、前記空調部特定部によって特定された空調部へ出力することを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、空調動作制御装置の制御対象である空調部が複数存在する場合に、それらの空調部の中で測定対象者に対応付けられた空調部に対してのみ、前記測定対象者の人体に含まれる体脂肪の測定値に対応した制御値が設定される。これにより、測定対象者にとって必要な空間に対してのみ、該測定対象者にとって快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値を決定することを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況が生じた場合に、同時利用している前記複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値を決定するようにしたので、各利用者に不快感や不満を感じさせるのを可及的に低減できる空気環境を生成することが可能となる。
【0025】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部により測定対象者が識別されると、予め登録されている、複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報を、前記脂肪測定部から出力される脂肪情報の中から選択することを特徴とするものである。
【0026】
この発明によれば、空調部が或る利用者の測定値に対応する制御値に基づいて空調動作を行っている状態で、該空調部を利用可能な他の利用者が体脂肪の測定を行った場合、複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報が、前記脂肪測定部から出力される脂肪情報の中から選択される。これにより、本発明によっても、各利用者に不快感や不満を感じさせるのを可及的に低減できる空気環境を生成することが可能となる。
【0027】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記測定値と前記制御値との関係を示す関係情報を記憶する記憶部に記憶された関係情報を用いて前記制御値を算出することを特徴とするものである。
【0028】
この発明によれば、前記測定値に対応する制御値を、前記記憶部に記憶されている前記関係情報から求めるだけであるから、測定値に対応する制御値を簡単に算出することができる。
【0029】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部と、前記識別部により識別された測定対象者と、予め定められた複数の空調部と測定対象者との対応関係とに基づいて上記制御値を出力する先の空調部を特定する空調部特定部とを備えることを特徴とするものである。
【0030】
この発明によれば、制御対象である空調部が複数存在する場合に、それらの空調部の中で測定対象者に対応付けられた空調部に対してのみ、前記測定対象者の人体に含まれる体脂肪の測定値に対応した制御値が設定され得る。これにより、測定対象者にとって必要な空間に対してのみ、該測定対象者にとって快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0031】
本発明に係る空調動作制御装置は、複数の利用者にそれぞれ対応した複数の制御値を上記所定の通信経路を介して受信し、同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別する識別部を備え、ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した上記識別部による識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、受信した上記複数の制御値の中から前記同一の空調部へ出力する制御値を選択することを特徴とするものである。
【0032】
本発明によれば、同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況が生じた場合に、同時利用している前記複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値が決定され得る。これにより、同一の空調部を利用する複数の利用者のうちで優先順位の高い利用者に合わせて空気環境を調節することが可能となる。
【0033】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置、及び、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とは異なる筐体内に実装されており、前記生体情報検出装置及び前記空気調和装置との間で、有線又は無線により通信可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
この発明によれば、前記生体情報検出装置及び前記空気調和装置と異なる筐体内に空調動作制御装置を実装したので、前記脂肪測定装置及び前記空気調和装置が既設であってその既設の装置を含めて空調システムを構築する場合に、前記既設の装置をほぼそのまま利用することができる。
【0035】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置と、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とのうち、何れか一方に備えられていることを特徴とするものである。
【0036】
この発明によれば、生体情報検出装置及び空気調和装置のうち何れか一方に前記空調動作制御装置を備えたので、既設の生体情報検出装置を用いて空調システムを構築する場合、当該空調動作制御装置を空気調和装置に備えることで、前記既設の生体情報検出装置をほぼそのまま利用することができ、一方、既設の空気調和装置を用いて空調システムを構築する場合、当該空調動作制御装置を生体情報検出装置に備えることで、前記既設の空気調和装置をほぼそのまま利用することができる。
【0037】
本発明に係る空調システムは、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部と、前記空調動作を行う空調部と、前記各発明に係る空調動作制御装置とを備え、前記空調部は、前記空調動作制御装置により算出された制御値に基づいて空調動作を行うことを特徴とするものである。
【0038】
この発明によれば、前記各発明による効果を奏する空調システムを構成することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力する構成である。
【0040】
本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を用いて算出された、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を所定の通信経路を介して受信し、該制御値を前記空調部に出力する構成である。
【0041】
これにより、利用者からみると、脂肪測定部で体脂肪を測定すれば自動的に空調部の空調動作に用いる制御値が設定されることとなるから、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すのを回避することができ、また、前記空調動作として、前記利用者の測定値に相応しい制御値に基づく動作が行われるため、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。その結果、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しながら、利用者にとってより快適な空気環境の生成を可能とする空調システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る空調動作制御装置(第1の実施形態)を備えた空調システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】記憶部に記憶されている測定値と目標温度との関係を規定したテーブルの一例を示す図である。
【図3】図1に示す空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る空調動作制御装置(変形形態1)を備えた空調システムの他の全体構成を示す全体構成図である。
【図5】記憶部に記憶された各利用者と各空調部との対応関係を規定したテーブルを示す図である。
【図6】記憶部に記憶された各利用者と各測定値との対応関係を規定したテーブルを示す図である。
【図7】図4に示す空調システムの操作部を用いた登録処理を示すフローチャートである。
【図8】図4に示す空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る空調動作制御装置(変形形態2)を備えた空調システムの他の全体構成を示すブロック図である。
【図10】記憶部に記憶された利用者と優先順位との関係を規定したテーブルを示す図である。
【図11】図9に示す空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】変形形態3に係る空調動作制御装置を備えた空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】皮下脂肪の厚みと体脂肪率との対応関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
人間が感じる快適な温度は、複数の要素によって影響を受け、その要素のひとつとして人体に含まれる体脂肪があることが、例えば非特許文献1「PLEA NOTE 3 THERMAL COMFORT(Andris Auliciems and Steven V.Szokolay著 第2版2007年)」に記載されている。
【0044】
本発明に係る空調動作制御装置は、この点に着眼し、空調動作を行う空調部と、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部とが建物内部などに存在する場合に、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出することにより、人体に含まれる体脂肪の量に応じて、前記空調装置の動作時における制御値を算出し、該制御値を前記空調装置に出力するように構成されたものである。以下、この空調動作制御装置の実施形態につき図面を用いて説明する。
【0045】
なお、前記空調装置の空調動作は、例えば冷房動作、暖房動作及び送風動作などであり、冷房時及び暖房時の制御値は主に目標温度や風量、送風時の制御値は主に風量である。このように、本発明に係る空調動作制御装置の制御対象である空調装置の空調動作や該空調動作に用いる制御値は複数考えられるが、以下の各実施形態では、前記空調装置の空調動作として冷房動作及び暖房動作を想定し、また、これらの空調動作に用いる前記制御値として前記目標温度を想定するものとする。
【0046】
この目標温度は、人間が快適と感じる一定の温度範囲で設定される。前記非特許文献1(第50頁)には、人間が快適と感じる温度(快適温度)にすることで、快適温度よりも温度が高かったり低かったりする場合に比して、死亡率が低くなることが記載されている。
【0047】
また、前記脂肪測定部の測定項目である体脂肪の具体例としては、例えば皮下脂肪の厚みや体脂肪率が考えられる。「British Occupational Hygiene Society」の非特許文献2「Technical・GuideNo.12(A.Youle K.J.Collins G.w.Crockford D.S.Fishman A.Mulhall K.C.Parsons著)」には、人間が着ている服によって環境からの温度を絶縁でき、その絶縁の度合いを示す指数(clo指数)は、皮下脂肪の厚みと関連する点が記載されている。
【0048】
[第1の実施形態]
(空調システム1の全体構成の説明)
図1は、本発明に係る空調動作制御装置の一実施形態を含む空調システム全体のブロック構成を示している。
【0049】
図1に示すように、空調システム1は、前記空調部及び前記脂肪測定部を実装する空調装置2及び脂肪測定装置3(生体情報検出装置の一例)と、前記脂肪情報(生体情報の一例)が示す測定値から空調装置2の空調動作に用いる目標温度を算出し、該目標温度情報を前記空調装置2に出力する、本実施形態に係る空調動作制御装置4とを備え、空調装置2は、目標温度算出部16により算出された目標温度に基づいて空調動作を行う。
【0050】
(空調装置2の説明)
本実施形態では、空調装置2は、図1に示すように、通信部(受信部)5と、空調動作部6と、操作部7と、空調制御部8とを備える。
【0051】
通信部5は、空調動作制御装置4(後述する通信部13)との間で有線又は無線による通信を行うものである。空調動作部6は、前記目標温度等に基づいて空調動作を行うものである。具体的には、空調動作部6は、熱交換器や冷媒を用いて、空調対象空間の空気の温度が前記目標温度となるように空気を生成し、該空気を前記空調対象空間に供給するものである。操作部7は、当該空調動作部6の動作開始及び終了や、空調モード(冷房、暖房、送風、除湿などのモード)を指定する入力を行うためのものである。
【0052】
空調制御部8は、通信部5及び空調動作部6の動作の制御や各種処理演算を行うものである。具体的には、空調制御部8は、例えば、通信部5が脂肪測定装置3から受信した情報を当該空調制御部8に送信してくるように通信部5に指示したり、空調動作部6の動作の開始及び終了などの指令を出力したり、或いは、目標温度等に基づく空調動作部6の空調動作を制御したりする。
(脂肪測定装置3の説明)
脂肪測定装置3は、ユーザ(測定対象者)の体脂肪の測定を行うことにより、その測定値を示す脂肪情報を取得する。脂肪測定装置3は、例えば、体脂肪率を測定する体脂肪率測定装置や、皮下脂肪の厚みを測定する皮下脂肪厚計(キャリパー)である。脂肪測定装置3が体脂肪率測定装置の場合には、脂肪情報は体脂肪率である。脂肪測定装置3が皮下脂肪厚計の場合には、脂肪情報は皮下脂肪厚である。
【0053】
ここでは、脂肪測定装置3は、図1に示すように、体脂肪測定動作部9と、通信部(送信部)10と、操作部11と、測定制御部12とを備える。
【0054】
体脂肪測定動作部9は、人体に含まれる体脂肪の測定動作を行うものである。具体的には、体脂肪測定動作部9は、ユーザの体脂肪率や皮下脂肪厚を測定し、その測定結果(脂肪情報)を測定制御部12へ出力する。
【0055】
通信部10は、空調装置2との間で有線又は無線による通信を行うものであり、特に、体脂肪測定動作部9が取得した脂肪情報を空調装置2へ送信する。
【0056】
操作部11は、体脂肪測定動作部9の動作開始及び終了や、当該脂肪測定装置3が前記体脂肪を含む複数の測定項目について測定可能である場合に、該測定項目を指定する入力を行うためのものである。
【0057】
測定制御部12は、体脂肪測定動作部9及び通信部10の動作の制御や各種処理演算を行うものである。具体的には、測定制御部12は、例えば体脂肪測定動作部9の動作の開始及び終了などの指令を体脂肪測定動作部9に出力したり、体脂肪測定動作部9が取得した測定情報を当該測定制御部12に送ってくるように体脂肪測定動作部9に指示したり、或いは、当該測定制御部12が所持している情報を空調動作制御装置4に送信するように通信部10に指示したりする。
【0058】
(空調動作制御装置4の説明)
空調動作制御装置4は、例えば空調装置2及び脂肪測定装置3の管理を行う管理サーバであり、通信部13,14と、処理部15とを備える。
【0059】
通信部13は、空調装置2の通信部5との間で各種情報の通信を行うものであり、特に、当該空調動作制御装置4で算出した目標温度を示す目標温度情報を空調装置2の通信部5に送信する。
【0060】
通信部14は、脂肪測定装置3の通信部10との間で各種情報の通信を行うものであり、特に前記脂肪測定装置3で取得された脂肪情報を該脂肪測定装置3から受信する。
【0061】
処理部15は、目標温度算出部16と、記憶部17とを有する。
【0062】
目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9が取得した脂肪情報を前記通信部14を介して受信すると、該脂肪情報が示す測定値に対応する目標温度を算出する。具体的には、体脂肪測定動作部9により測定され得る測定値と空調装置2の空調動作時に設定され得る目標温度との関係が予め定められており、目標温度算出部16は、この関係と前記測定値とから目標温度を算出する。
【0063】
なお、目標温度算出部16は、本実施形態では空調動作制御装置4に設けられているが、空調装置や脂肪測定装置3に設けられてもよい。また、目標温度算出部16が空調装置2に設けられている場合には該空調装置2の空調制御部8に、前記脂肪測定装置3に設けられている場合には該脂肪測定装置3の測定制御部12に設けられてもよい。本実施形態では、目標温度算出部16は、空調動作制御装置4の処理部15に設けられているが、処理部15の外部に設けられてもよい。さらに、目標温度算出部16は、空調制御部8や測定制御部12に設けられる態様の他、空調制御部8又は測定制御部12に外部接続された回路等として構成されてもよい。
【0064】
記憶部17(第4記憶部)に、前記測定値と前記目標温度との関係(関係情報)が予め記憶されている。
【0065】
なお、本実施形態では、記憶部17は、空調動作制御装置4に設けられている。ただし、目標温度算出部16が空調装置2に設けられている場合には、記憶部17は、空調装置2に設けられていることが好ましい。また、本実施形態では、記憶部17は、空調動作制御装置4の処理部15に設けられているが、処理部15の外部に設けられてもよい。さらに、記憶部17は、内部記憶部として空調制御部8又は測定制御部12に設けられる態様の他、空調制御部8又は測定制御部12に外部接続された記憶回路や記憶素子等の外部記憶部として構成されている形態も採用可能である。
【0066】
目標温度算出部16を、体脂肪測定動作部9により出力される脂肪情報が示す測定値を入力とし、前記目標温度を出力とする入出力関係をもつ演算回路として構成することも考えられる。この場合、記憶部17が不要、若しくは、前記測定値と前記目標温度との関係を記憶するための容量分だけ記憶容量を節約することができる。
【0067】
(目標温度算出部16における目標温度の算出方法)
本実施形態では、前記測定値と前記目標温度との関係はテーブル形式で記憶部17に記憶されている。図2は、そのテーブルの一例を示す図である。図2に示すテーブルには、例えば測定値「F1」に目標温度「T1」が対応付けられており、測定値「F2」に目標温度「T2」が対応付けられている。
【0068】
目標温度算出部16は、脂肪情報を体脂肪測定動作部9から受け取ると、記憶部17にアクセスし、該脂肪情報が示す測定値に対応する目標温度を前記テーブルから算出する。例えば図2に示すテーブルを用いる場合、前記脂肪情報が示す測定値が例えば「F1」であったとき、目標温度算出部16は、前記目標温度として「T1」を算出する。そして、該目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する。
【0069】
空調装置2の空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度(例えば前記の例では「T1」)に基づき、空調動作部6の空調動作を制御する。
【0070】
なお、測定値と目標温度との関係はテーブル形式で示される必要はなく、両者の対応関係が示されていればよい。
【0071】
また、測定値から目標温度を算出するための数式が記憶部17に格納されており、目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9から取得した測定値を当該数式に代入することで目標温度を算出してもよい。
【0072】
(空調システムの処理手順の説明)
図3は、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システム1の処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
図3に示すように、脂肪測定装置3の測定制御部12は、測定指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯1)、前記測定指示が入力されたと判断されると(ステップ1でYES)、体脂肪測定動作部9に脂肪情報を取得する動作を行わせる(ステップ♯2)。そして、体脂肪測定動作部9から前記脂肪情報を受け取ると、該脂肪情報を空調動作制御装置4に送信する動作を前記通信部10に指示する(ステップ♯3)。
【0074】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16(処理部15)は、前記脂肪情報を脂肪測定装置3から受信すると(ステップ♯4でYES)、記憶部17に予め記憶されている前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)から、ステップ♯4で受信した前記脂肪情報が示す測定値に対応した目標温度を算出する(ステップ♯5)。
【0075】
そして、目標温度算出部16は、ステップ♯5で算出した目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信するように通信部13に指示する(ステップ♯6)。
【0076】
空調装置2の空調制御部8は、通信部5を介して空調動作制御装置4から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯7でYES)、当該空調装置2の電源がオンとなっているか否かを確認し(ステップ♯8)、当該空調装置2の電源がオンとなっていない場合には(ステップ♯8でNO)、当該空調装置2の電源がオンとなるまで待機する。
【0077】
そして、当該空調装置2の電源がオンとなると(ステップ♯8でYES)、空調制御部8は、空調動作制御装置4から受信した目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の空調動作を制御する(ステップ♯9)。すなわち、空調制御部8は、空調装置2が設けられている部屋の室温が、目標温度情報が示す目標温度となるように空調動作部6を制御する。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4においては、体脂肪測定動作部9により体脂肪が測定されると、目標温度算出部16(処理部15)が、その脂肪情報が示す測定値に対応する目標温度を算出し、該目標温度に基づく空調動作の制御が空調制御部8によってなされるように前記目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する構成とした。
【0079】
これにより、空調装置2を動作させる際に、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すことを回避することができる。また、前記空調動作として、前記測定値に相応しい目標温度に基づく空調動作が行われることとなるから、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0080】
以上のことから、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しつつ、より快適な空気環境を生成することができる。
【0081】
また、本実施形態では、前記目標温度として利用者にとって快適な温度に設定しているため、空調対象空間を利用者にとって健康的な温度に設定することができ、その結果、該利用者の健康を維持することができる、若しくは利用者の健康を損ねるのを極力回避することができる。
【0082】
[変形形態の説明]
本発明に係る空調動作制御装置は、以下のような変形形態を採り得る。
【0083】
[変形形態1]
図4は、本発明に係る空調動作制御装置4の第2の実施形態(変形形態1)を含む空調システム全体のブロック構成図である。
【0084】
図4に示すように、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、複数の空調装置2に接続されており、前記各空調装置2を制御対象としている。複数の空調装置2に対し、その利用者が対応付けられており、各空調装置2は、当該空調装置2と対応付けられた利用者の部屋にそれぞれ設置されている。また、脂肪測定装置3は、基本的に各利用者の部屋とは異なる部屋に設置されている。そして、脂肪測定装置3にて測定を行った利用者の部屋に設けられている空調装置2の目標温度が、当該利用者の脂肪情報から算出され、その目標温度を実現すべく当該利用者の部屋の空調装置2が動作する。
【0085】
なお、脂肪測定装置3は、1つでもよいし複数設けられていてもよいが、説明の便宜上、ここでは脂肪測定装置3の数は1つであるものとする。この場合、脂肪測定装置3の通信部10は、空調動作制御装置4の通信部14と有線又は無線により通信可能に接続されており、また、各空調装置2の通信部5は空調動作制御装置4の通信部13と有線又は無線により通信可能に構成されている。以下、このシステムを実現するための具体的な構成について説明する。
【0086】
なお、図4における各空調装置2及び脂肪測定装置3の内部のブロック構成は、図1に示す空調装置2及び脂肪測定装置3の内部のブロック構成と略同一のブロック構成を採っているものとする。
【0087】
本実施形態に係る空調動作制御装置4において、記憶部17は、前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)を予め記憶する前記第4記憶部として機能することに加え、前記各利用者と各空調装置2との対応関係をテーブル形式で記憶する第1記憶部として機能する。
【0088】
図5は、記憶部17(第1記憶部)に記憶された利用者「M1」〜「M4」と空調装置「EC1」〜「EC4」との対応関係を示すテーブルを示す図である。
【0089】
図5に示すテーブルにおいては、例えば利用者「M1」には空調装置「EC1」が対応付けられており、利用者「M2」には空調装置「EC2」が対応付けられている。すなわち、図5に示すテーブルは、空調装置「EC1」が利用者「M1」の部屋に設置されていることを示し、空調装置「EC2」が利用者「M2」の部屋に設置されていることを示している。
【0090】
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、各種の情報を入力するための操作部18を備えており、該操作部18は、利用者と空調装置2との対応関係(どの空調装置2をどの利用者が利用し得るかという関係)を記憶部17に登録する入力を行うためのものとして機能し得る。
【0091】
さらに、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、或る測定対象者が脂肪測定装置3により体脂肪を測定したとき若しくは測定しようとしているときに、その測定対象者を識別する第1識別部19を備える。
【0092】
(ユーザの識別方法及び空調装置の特定方法)
第1識別部19による識別方法としては、例えば次のような方法が考えられる。
【0093】
例えば、利用者と空調装置2との対応関係の登録作業が操作部18によって行われる際に、第1識別部19は、脂肪測定装置3により測定を行うように表示や音声等によって利用者に指示するよう、前記脂肪測定装置3に指令する。前記測定が行われると、記憶部17は、利用者と空調装置2との対応関係とともに、例えば図6に示すように、脂肪測定装置3で測定した該利用者と測定値との対応関係も記憶する。このとき利用者は、自身のID(名前、ニックネームなど)を入力し、測定値と自身のIDとを対応付ける。このように対応付けられた測定値及びユーザIDが記憶部17に格納される。
【0094】
その後、或る測定対象者の体脂肪が脂肪測定装置3により測定されると、第1識別部19は、該測定動作で得られた脂肪情報が示す測定値と一致又は所定の誤差範囲内にある測定値が記憶部17に登録されているかを探索し、登録されているとき、前記測定対象者はその測定値に対応する登録済みの利用者であると識別する。
【0095】
処理部15は、第1識別部19により識別された測定対象者(利用者)に対応する空調装置2を前記テーブルに基づいて特定する空調装置特定部(空調部特定部)として機能する。また、目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9により体脂肪の測定が行われて脂肪情報が取得されると、該脂肪情報が示す前記利用者の測定値に対応する目標温度を、記憶部17に記憶されている測定値と目標温度との対応関係(例えば図2に示すテーブル)を用いて算出する。
【0096】
例えば、測定値「F1」と対応付けて予め登録された利用者「M2」が、今回、測定対象者として脂肪測定装置3で体脂肪の測定を行ったものとし、該利用者「M2」の今回の測定値が略「F1」であったものとする。
【0097】
この場合、第1識別部19は、予め登録された測定値と今回の測定値とがいずれも「F1」で略一致することから、例えば図6に示すテーブルに基づいて今回の測定対象者は利用者「M2」であると識別する。そして、測定制御部12(空調装置特定部)は、前記利用者「M2」に対応する空調装置「EC2」を例えば図5に示すテーブルに基づいて特定する。
【0098】
そして、目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9により取得された脂肪情報が示す前記利用者「M2」の今回の測定値「F1」に対応する目標温度「T1」を例えば図2に示す前記テーブルを用いて算出し、該目標温度を示す目標温度情報を、特定された空調装置2に送信する。なお、目標温度算出部16は、測定制御部12により特定されていない空調装置2へは制御値を出力しない。
【0099】
測定制御部12により特定された空調装置2の空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度(例えば前記の例では「T1」)に基づき、空調動作部6の空調動作を制御する。
【0100】
なお、第1識別部19による識別方法は、上述のものに限定されず、脂肪測定装置3で測定を行う利用者の顔を撮像した画像と登録画像とを比較することで識別してもよいし、利用者の指紋や指の静脈、足の裏の模様や静脈、体重などを用いて識別してもよい。または、利用者が携帯するICチップやICカードによって識別してもよい。
【0101】
(登録処理の説明)
図7は、本実施形態に係る空調動作制御装置4の操作部18を用いた登録処理を示すフローチャートである。
【0102】
図7に示すように、処理部15は、操作部18に対して何らかの操作が行われたことを検出すると(ステップ♯101でYES)、該操作が、当該空調システム1を初めて利用する旨の操作であるか否かを判断する(ステップ♯102)。そうである場合には(ステップ♯102でYES)、ステップ♯105の処理に進む一方、そうではない場合には(ステップ♯102でNO)、前記操作が、当該空調動作制御装置4に未登録の空調装置2についての操作であるか否かを判断する(ステップ♯103)。
【0103】
そして、処理部15は、前記操作が、当該空調動作制御装置4に未登録の空調装置2についての操作である場合には(ステップ♯103でYES)、ステップ♯105の処理に進む一方、そうではない場合には(ステップ♯103でNO)、前記操作が利用者の登録操作であるか否かを判断する(ステップ♯104)。
【0104】
処理部15は、前記操作が利用者の登録操作である場合には(ステップ♯104でNO)、ステップ♯105の処理に進む一方、そうではない場合には(ステップ♯104でNO)、一連の登録処理を終了する。
【0105】
ステップ♯105において、処理部15は、登録操作が行われると(ステップ♯105でYES)、その登録された内容を記憶部17に保存する(ステップ♯106)。例えば、ステップ♯105において、前記利用者と空調装置2との対応関係を記憶部17に登録する入力が行われると、記憶部17にはその対応関係が保存される。
【0106】
(空調システムの処理手順の説明)
図8は、空調システム1の処理手順を示すフローチャートである。
【0107】
図8に示すように、脂肪測定装置3の測定制御部12は、測定指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯11)、前記測定指示が入力されたと判断されると(ステップ♯11でYES)、体脂肪測定動作部9に脂肪情報を取得する動作を行わせる。そして、体脂肪測定動作部9から前記脂肪情報を受け取ると(ステップ♯12)、該脂肪情報を空調動作制御装置4に送信する動作を前記通信部10に指示する(ステップ♯13)。
【0108】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16(処理部15)は、前記脂肪情報を脂肪測定装置3から受信すると(ステップ♯14YES)、記憶部17に記憶されている利用者と測定値との関係(例えば図6に示すテーブル)に基づいて、今回の測定対象者を識別する処理を第1識別部19に実行させる(ステップ♯15)。
【0109】
第1識別部19により利用者が識別されると、測定制御部12(空調装置特定部)は、該利用者に対応する空調装置2を、記憶部17に予め記憶されている前記利用者と空調装置2との関係(例えば図5に示すテーブル)に基づいて特定する。また、目標温度算出部16は、記憶部17に予め記憶されている前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)から、ステップ♯14で受信した前記脂肪情報が示す測定値に対応した目標温度を算出する(ステップ♯16)。
【0110】
そして、目標温度算出部16は、ステップ♯16で算出した目標温度を示す目標温度情報を、ステップ♯16で特定した空調装置2に送信するように通信部10に指示する(ステップ♯17)。
【0111】
空調装置2の空調制御部8は、通信部5を介して脂肪測定装置3から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯18でYES)、当該空調装置2の電源がオンとなっているか否かを確認し(ステップ♯19)、当該空調装置2の電源がオンとなっていない場合には(ステップ♯19でNO)、当該空調装置2の電源がオンとなるまで待機する。
【0112】
そして、当該空調装置2の電源がオンとなると(ステップ♯19でYES)、脂肪測定装置3から受信した目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の空調動作を制御する(ステップ♯20)。
【0113】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4においては、利用者ごとに異なる空調装置2を割当可能とし、且つ、利用者ごとに割り当てられた空調装置2の空調動作に用いる目標温度を、当該空調装置2の利用者の測定値に対応する目標温度に設定するように構成したので、当該利用者しか利用しない空間、又は、当該利用者が主に利用する空間の空気環境を、その利用者の人体に含まれる体脂肪に合わせて生成することが可能となり、その結果、前記利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0114】
[変形形態2]
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、複数の前記利用者が例えば同一空間(例えば同じ部屋)に同時に存在することにより、1つの空調装置2が複数の利用者によって同時に利用されるという状況が想定されている。
【0115】
ここで、前記目標温度の設定方法として、前記空間に入室する前に脂肪測定装置3によって体脂肪を測定した利用者が1人いれば、その利用者の測定値に対応する目標温度に設定するという方法が考えられる。
【0116】
しかしながら、この方法は、前記複数の利用者間で例えば健康上のハンディキャップの大小の相違や権力の大きさの相違等が存在する場合の目標温度の設定方法として、適切な設定方法とはいえない場合が生じ得る。
【0117】
そこで、本実施形態に係る空調システム1は、1つの空調装置2が複数の利用者によって同時に利用されるという状況が発生した場合を考慮し、その状況でのより適切な目標温度の設定のために、各利用者に対して優先順位が設定可能となっている。以下、これを実現するための具体的な構成について説明する。
【0118】
図9は、本発明に係る空調動作制御装置4の実施形態(変形形態2)を含む空調システム全体の構成を示すブロック図である。
【0119】
図9に示すように、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システムのブロック構成は、図1に示すブロック構成に対して第2識別部20及び撮像部21を備えている点が相違する。撮像部21は、空調装置2と同じ部屋に設置されていてもよいし、空調装置2とは別の部屋に設置されていてもよい。
【0120】
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、或る時点で同一の空調装置2を同時利用している複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調装置2を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調装置2へ出力する制御値を決定する。
【0121】
具体的には、本実施形態に係る空調動作制御装置4において、記憶部17は、前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)を予め記憶する前記第4記憶部として機能することに加え、前記各利用者と優先順位との対応関係をテーブル形式で記憶する第2記憶部として機能する。
【0122】
図10は、記憶部17に記憶された利用者と前記優先順位との関係を規定したテーブルを示す図である。図10に示すテーブルにおいては、例えば利用者「M1」には優先順位「4」が対応付けられており、利用者「M2」には優先順位「2」が対応付けられている。
【0123】
また、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図9に示すように、各種の情報を入力するための操作部18を備えており、該操作部18は、本実施形態では、利用者と前記優先順位との対応関係を記憶部17に登録する入力を行うためのものとして機能し得る。
【0124】
さらに、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、空調装置2の空調対象空間に存在する複数の利用者を識別可能な前記第2識別部20を備える。第2識別部20による識別方法としては、例えば次のような方法が考えられる。
【0125】
例えば、利用者と優先順位との対応関係の登録作業が操作部18によって行われる際に、第2識別部20は、脂肪測定装置3により測定を行うように表示や音声等によって利用者に指示するよう指令し、前記測定が行われると、記憶部17は、例えば図6に示すように、利用者と空調装置2との対応関係とともに、脂肪測定装置3で測定した該利用者と測定値との対応関係も記憶する。
【0126】
前記空調動作制御装置4には、当該空調装置2の空調対象空間を撮像する撮像部21が通信可能に接続されている。撮像部21は、前記空調動作制御装置4からの指示に基づき、前記登録作業時に利用者の認証用画像(例えば顔の画像)を撮像し、該画像を空調動作制御装置4に送信する。
【0127】
空調動作制御装置4の記憶部17は、利用者のIDと該利用者の認証用画像(例えば顔の画像)とを対応付けて予め記憶する。なお、第2識別部20が空調装置2に設けられるとともに、前記空調装置2に撮像部21が通信可能に接続され、空調装置2が備える記憶部(不図示)に利用者の認証用画像が記憶されていてもよい。
【0128】
そして、例えば空調装置2の電源がオンされると、第2識別部20は、該撮像部21から出力される画像(撮像画像)と予め記憶している利用者の画像(認証用画像)とを対比して、撮像画像と認証用用画像との類似度に基づいて前記空調対象空間に存在する利用者を識別する識別処理を行う。
【0129】
目標温度算出部16は、第2識別部20により前記複数の利用者が識別されると、記憶部17に登録された優先順位に基づいて、前記同一の空調装置2へ出力する目標温度を決定する。本実施形態では、目標温度算出部16は、前記複数の利用者の中で最も高い優先順位が対応付けられた利用者に対応する目標温度を、前記同一の空調装置2へ出力する目標温度として決定する。
【0130】
例えば、或る空調装置2が設置された空間に図10に示す前記利用者「M1」〜「M4」のうち「M1」,「M2」,「M3」が同時に存在することが第2識別部20により識別された場合を想定する。
【0131】
この場合、利用者M2の優先順位が最も高いため、目標温度算出部16は、前記利用者「M2」に対応する測定値「F1」を、記憶部17に予め記憶されている利用者と測定値との関係(例えば図6に示すテーブル)に基づいて特定する。さらに、目標温度算出部16は、測定値「F1」に対応する目標温度「T1」を記憶部17に予め記憶されている測定値と目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)に基づいて算出する。
【0132】
または、目標温度算出部16は、予め各利用者の目標温度を算出し、算出した目標温度を利用者と対応付けて記憶部17に格納しておき、第2識別部20により識別された利用者のうちで最も優先順位が高い利用者の目標温度を、前記同一の空調装置2に出力する目標温度として決定するようにしてもよい。
【0133】
このように目標温度を決定すると、前記目標温度算出部16は、前記同一の空調装置2に前記目標温度を示す目標温度情報を送信する。
【0134】
前記同一の空調装置2における空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度に基づいて、空調動作部6の動作を制御する。
【0135】
(空調システムの処理手順の説明)
図11は、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システムの処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、利用者と優先順位との対応関係、利用者と測定値との対応関係、測定値と目標温度との対応関係及び利用者の認証用画像は記憶部17に予め記憶されているものとする。
【0136】
図11に示すように、空調制御部8は、当該空調装置2の電源がオンになったか否かを判断し(ステップ♯21)、電源がオンになったと判断すると(ステップ♯21でYES)、電源がオンになった旨を空調動作制御装置4に通知する(ステップ♯22)。
【0137】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16は、前記通知を前記空調装置2から受け取ると(ステップ♯23でYES)、撮像部21に撮像動作を指示する(ステップ♯24)。
【0138】
撮像部21は、空調動作制御装置4から撮像動作の指示を受けると(ステップ♯25でYES)、撮像動作を行い、該撮像動作により得られた画像を空調動作制御装置4に送信する(ステップ♯26)。
【0139】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16は、撮像部21から画像を受信すると(ステップ♯27でYES)、この受信した画像を用いた利用者の識別処理の実施を前記第2識別部20に指示する(ステップ♯28)。
【0140】
目標温度算出部16は、ステップ♯28の識別処理で識別された利用者の中で優先順位が最も高い利用者の目標温度を算出し、該目標温度示す目標温度情報を空調装置2に送信する処理を通信部13に実行させる(ステップ♯29)。
【0141】
空調制御部8は、空調動作制御装置4から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯30)、該目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の動作を制御する(ステップ♯31)。
【0142】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4によれば、複数の利用者が例えば同一空間に存在するなどによって、1つの空調装置2が複数の利用者により同時に利用されるという状況が発生した場合に、最も優先させるべき利用者に合わせた快適な空気環境を生成することができる。
【0143】
[変形形態3]
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、前記変形形態2と同様、同一の空調装置2を複数の利用者が利用し得るように構成した場合に、前記変形形態2で述べた複数の利用者による同一空調装置2の同時利用の他、次のような状況も発生し得ることに鑑みてなされたものである。
【0144】
すなわち、或る空調装置2が或る1人の利用者(以下、先利用者という)によって利用されている状態で、空調装置2を利用する権利を有する他の利用者(以下、後利用者という)が脂肪測定装置3で測定動作を行うという状況である。
【0145】
この場合の前記目標温度の設定方法として、例えば、前記状況が生じても空調動作に係る目標温度を、引き続き先利用者の測定値に対応する目標温度に維持したり、逆に、無条件に後利用者の測定値に対応する目標温度に切り替えたりする方法が考えられる。
【0146】
しかしながら、これらの方法は、前記複数の利用者間で例えば健康上のハンディキャップの大小の相違や権力の大きさの相違等が存在することがあり得ることを考えた場合、その目標温度の設定方法として適切な設定方法とはいえない。
【0147】
そこで、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、複数の利用者に同一の空調装置2を利用する権利を与え得るように構成するだけでなく、或る空調装置2が先利用者によって利用されている状態で該空調装置2を利用する権利を有する後利用者が脂肪測定装置3で測定動作を行うという状況が発生した場合を考慮し、その状況でのより適切な目標温度の設定のために、各利用者に対して優先順位が設定可能となっている。以下、これを実現するための具体的な構成について説明する。
【0148】
なお、ここでの脂肪測定装置3及び空調装置2の内部のブロック構成は、図1に示すものと略同一のブロック構成を採っているものとする。
【0149】
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、前記脂肪測定装置3の測定対象者が識別されると、予め登録されている、複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報を、前記脂肪測定装置3から出力される脂肪情報の中から選択する。
【0150】
具体的には、本実施形態に係る空調動作制御装置4において、記憶部17は、前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)を予め記憶する前記第4記憶部として機能することに加え、前記各利用者と優先順位との対応関係をテーブル形式で記憶する第3記憶部として機能する。なお、記憶部17に記憶された利用者と前記優先順位との関係を規定したテーブルは、例えば図10に示すようなテーブルである。
【0151】
また、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、各種の情報を入力するための操作部18を備えており、該操作部18は、本実施形態では、利用者と前記優先順位との対応関係を記憶部17に登録する入力を行うためのものとして機能し得る。
【0152】
さらに、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、或る測定対象者が脂肪測定装置3により体脂肪を測定したとき若しくは測定しようとしている場合に、その測定対象者を識別する前記変形形態1と同様の第1識別部19を備える。
【0153】
そして、本実施形態においては、目標温度算出部16は、前記先利用者を示す利用者情報をその利用開始時などのタイミングで記憶部17に記憶しておき、第1識別部19により前記後利用者が識別されると、記憶部17に登録された優先順位に基づいて、前記先利用者及び前記後利用者のうちで高い方の優先順位が対応付けられた利用者に対応する目標温度を算出する。
【0154】
例えば、或る空調装置2が前記先利用者「M1」によって利用されている状態で、該空調装置2を利用する権利を有する後利用者「M2」が脂肪測定装置3で測定動作を行う又は測定動作を行おうとしている状況が発生した場合を想定する。
【0155】
この場合、目標温度算出部16は、予め前記先利用者「M1」を示す利用者情報と測定値とを記憶部17に記憶しておく。その後、前記後利用者「M2」が脂肪測定装置3で測定動作を行ったことで第1識別部19により前記後利用者「M2」が識別されると、記憶部17に登録された優先順位は、前記先利用者「M1」より前記後利用者「M2」の方が高い。したがって、目標温度算出部16は、前記先利用者「M1」の測定値と前記後利用者「M2」のうち後利用者「M2」の測定値を選択し、該測定値に対応する目標温度を、記憶部17に予め記憶されている測定値と目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)に基づいて算出する。そして、目標温度算出部16は、前記目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する。
【0156】
空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度に基づいて、空調動作部6の動作を制御する。
【0157】
(空調システムの処理手順の説明)
図12は、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システム1の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、利用者と優先順位との対応関係及び測定値と目標温度との対応関係は記憶部17に予め記憶されているものとする。また、図12に示すフローチャートの処理を実施する際し、先利用者が空調装置2を既に利用している状態であるものとする。
【0158】
図12に示すように、脂肪測定装置3の測定制御部12は、測定指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯41)、前記測定指示が入力されたと判断されると(ステップ♯41でYES)、体脂肪測定動作部9に脂肪情報を取得する動作を行わせる(ステップ♯42)。そして、体脂肪測定動作部9から前記脂肪情報を受け取ると、該脂肪情報を空調動作制御装置4に送信する動作を前記通信部10に指示する(ステップ♯43)。
【0159】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16(処理部15)は、前記脂肪情報を脂肪測定装置3から受信すると(ステップ♯44でYES)、その測定が行われた後利用者を識別する処理を第1識別部19に指示する。第1識別部19は、この指示を受信すると、測定を行った後利用者を上述の方法により識別する(ステップ♯45)。
【0160】
そして、測定制御部12は、記憶部17に記憶されている前記先利用者の優先順位とステップ♯45で第1識別部19により識別された前記後利用者の優先順位とを比較し(ステップ♯46)、優先順位が高い方の利用者の測定値に対応する目標温度を、記憶部17に記憶されている前記測定値と目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)から算出し(ステップ♯47)、該目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する処理を通信部10に実行させる(ステップ♯48)。
【0161】
空調装置2は、脂肪測定装置3から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯49)、当該空調装置2の電源がオンとなっているか否かを確認し(ステップ♯50)、当該空調装置2の電源がオンとなっていない場合には(ステップ♯50でNO)、当該空調装置2の電源がオンとなるまで待機する。
【0162】
そして、当該空調装置2の電源がオンとなると(ステップ♯50でYES)、空調制御部8は、空調動作制御装置4から受信した目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の空調動作を制御する(ステップ♯51)。すなわち、空調制御部8は、空調装置2が設けられている部屋の室温が、目標温度情報が示す目標温度となるように空調動作部6を制御する。
【0163】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4によれば、或る空調装置2が先利用者によって利用されている状態で、空調装置2を利用可能な後利用者が脂肪測定装置3で測定動作を行うという状況が発生した場合に、優先させるべき方の利用者に合わせた快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0164】
[その他の変形形態]
(1)体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定装置3が、取得した脂肪情報を用いて、空調装置2の空調動作に用いる制御値を算出し、空調動作制御装置4へ送信するとともに、空調動作制御装置4が、脂肪測定装置3から受信した制御値を空調装置2に出力する空調システム1(変形形態4)も想定可能である。
【0165】
この空調システム1において、さらに、脂肪測定装置3の測定対象者を識別する機能(識別部)と、識別された測定対象者に基づいて制御値を送信する先の空調装置2を特定する機能(空調部特定部)とを空調動作制御装置4に備えるようにしてもよい。
【0166】
この構成では、空調システム1に複数の空調装置2が設けられており、脂肪測定装置3の測定対象者(空調装置2の利用者)と空調装置2との対応関係が予め空調動作制御装置4の記憶部17に登録されている。測定対象者と空調装置2とは一対一に対応付けられていてもよいし、1人の測定対象者に対して複数の空調装置2が対応付けられていてもよい。
【0167】
上記空調部特定部は、識別部が識別した測定対象者に対応付けられた少なくとも1つの空調装置2に対して、当該測定対象者に対応する制御値を送信する。
【0168】
識別部による測定対象者の識別方法として、例えば、脂肪測定装置3から出力される制御値と、予め登録されている制御値と測定対象者との対応関係とを照合することで、測定対象者を識別する方法が挙げられる。制御値と測定対象者との対応関係は、空調動作制御装置4の記憶部17に記録されればよい。特定の測定対象者の制御値は、短期間ではそれほど変動しないため、一度、制御値と測定対象者との対応関係を登録しておけば、算出された制御値を利用して測定対象者を特定することができる。
【0169】
また、上記変形形態4において、ある時点で同一の空調装置2を複数の利用者が同時に利用している場合に、その複数の利用者を識別する識別部と、当該識別部によって識別された利用者間の優先順位に基づいて、同一の空調装置2へ出力する制御値を選択する制御値選択部とを設けてもよい。
【0170】
この構成において、脂肪測定装置3は、算出した制御値と、その制御値を算出するに至った測定対象者を特定する情報(測定対象者ID)とを対応付けて空調動作制御装置4へ送信する。空調動作制御装置4は、受信した制御値および測定対象者IDを記憶部17に格納しておく。
【0171】
また、識別部は、例えば、同一の空調装置2を利用している利用者の顔を撮影した画像を解析することにより利用者を識別する。識別するタイミングは、例えば、空調装置2の電源がONになったときである。この識別方法を実現するために、利用者の顔画像が、当該利用者のIDと対応付けられて空調動作制御装置4の記憶部17に格納されている。また、利用者間の優先順位は、予め空調動作制御装置4の記憶部17に記録されればよい。また、上述したように、利用者の顔を撮影した画像は、空調動作制御装置4と通信可能に接続された撮像部21(例えば、CCD(charge-coupled device)カメラ、C-MOS(metal-oxide semiconductor)カメラ)によって取得されればよい。
【0172】
制御値選択部は、脂肪測定装置3から送信された複数の制御値にそれぞれ対応付けられた測定対象者IDによって示される複数の測定対象者間の優先順位を互いに比較し、最も優先順位の高い測定対象者の制御値を選択し、選択した制御値を上記同一の空調装置2へ出力する。なお、制御値選択部は、上位から所定の順位に位置する測定対象者の制御値の統計値を算出し、算出した制御値を上記同一の空調装置2へ出力してもよい。
【0173】
(2)前記各実施形態においては、空調動作制御装置4を空調装置2及び脂肪測定装置3と異なる筐体の装置とした。この場合、脂肪測定装置3及び空調装置2が既設であって、その既設の装置を含めて空調システム1を構築する場合に、前記既設の装置(脂肪測定装置3及び空気調和装置2)をほぼそのまま利用することができる。
【0174】
しかしながら、本発明に係る空調動作制御装置4は、前記空調装置2及び脂肪測定装置3と異なる筐体の装置とする形態に限定されるものではなく、前記空調装置2又は脂肪測定装置3の筐体内に搭載、もしくは前記空調装置2又は脂肪測定装置3と同じ筐体として構成される装置としてもよい。
【0175】
具体的には、例えば、空調動作制御装置4の目標温度算出部16をはじめとする処理部15の機能を脂肪測定装置3に設けたり空調装置2に設けたりし得る。
【0176】
この場合、前記脂肪測定装置3に前記処理部15の機能を設けることで、既設の空調装置2を含めて当該空調システム1を構築する場合に、その既設の空調装置2をほぼそのまま利用することができる。
【0177】
一方、前記空調装置2に前記処理部15の機能を設ける既設の脂肪測定装置3を含めて当該空調システム1を構築する場合に、その既設の脂肪測定装置3をほぼそのまま利用することができる。
【0178】
なお、本発明に係る空調動作制御装置4に接続され得る脂肪測定装置とは、当該装置が前記体脂肪を測定する機能を主機能とする装置であるか、前記体脂肪を測定する機能とは別の機能(例えば体重を測定する機能など)を主機能とする装置であるかに拘らず、前記体脂肪を測定する機能を備えた装置全般を指すものとする。
【0179】
(3)前記脂肪測定部の測定項目である体脂肪には、皮下脂肪の厚みや体脂肪率などがある旨前述したが、前記皮下脂肪の厚みと体脂肪率とに着目すると、両者の間には一定の対応関係がある。その対応関係の一例を図13に示す。
【0180】
図13は、男女別に、皮下脂肪の厚みと体脂肪率との対応関係を表したテーブルを示す図である。例えば、男性においては、皮下脂肪の厚み「35(mm)」と体脂肪率「20(%)」とが対応していることを示している。
【0181】
この対応関係を用いることで、前記体脂肪率を前記皮下脂肪の厚みに変換したり、前記皮下脂肪の厚みを前記体脂肪率に変換したりすることができる。したがって、前記皮下脂肪の厚み及び前記体脂肪率のうち何れか一方のパラメータしか測定できない既設の脂肪測定部を含めて空調システムを構築する場合であって、該空調システムが他方のパラメータの測定値に基づいて空調装置2の空調動作時における制御値を算出する構成とされる場合には、前記対応関係を空調システム1に格納し、該対応関係を用いて前記一方のパラメータの値を他方のパラメータの値に変換することで、前記制御値の算出を行うことができる。
【0182】
すなわち、体脂肪測定動作部9から出力される脂肪情報が体脂肪率である場合には、目標温度算出部16は、記憶部17に格納されている、皮下脂肪の厚みと体脂肪率との対応関係を表すテーブルを参照することにより、体脂肪率から皮下脂肪の厚みを算出する。または、目標温度算出部16は、体脂肪率から皮下脂肪の厚みを算出するための所定の数式を用いて体脂肪率から皮下脂肪の厚みを算出してもよい。そして、目標温度算出部16は、記憶部17に格納された、皮下脂肪の厚みと好ましい設定温度との関係を示すテーブルを参照することで、算出した皮下脂肪の厚みに対応する目標温度を算出する。
【0183】
皮下脂肪の厚みから快適温度を算出する方法の一例を説明する。
【0184】
まず、対象地域の季節又は期間における最低温度Tminと最高温度Tmaxとによって平均温度Tm(=(Tmin+Tmax)/2)を求める。なお、前記最低温度Tmin,Tmaxは例えば過去の温度であっても良い。
【0185】
次に、外部の温度に対してストレスを最小に感じる温度(以下、中性温度という)Tnを、例えば下記演算式によって求める。
【0186】
Tn=17.8+0.31×Tm
快適温度の範囲は、容認度(快適であると容認できる度合い)が90%の場合、次のようになる。なお、この範囲に例えば湿度も考慮してもよい。
【0187】
(Tn−2.5)℃〜(Tn+2.5)℃
次に、皮下脂肪の厚さL(mm)を例えば以下の演算式によって前記clo指数の値Scloに変換する。
【0188】
Sclo=L×0.096
すなわち、皮下脂肪の厚さLは、Scloの服を着ている状態に相当する。すなわち、人間は、Sclo分の暑さを感じることになる。Sclo分相当の温度Tcloは例えば以下の演算式で算出できる。
【0189】
Tclo=Sclo×6(℃)
よって、皮下脂肪の厚さLの分を考慮すると、快適温度の範囲は
(Tn−2.5−Tclo)℃〜(Tn+2.5−Tclo)℃
となる。
【0190】
したがって、この快適温度の範囲で前記目標温度を設定すればよく、前記テーブルは、この皮下脂肪の厚さLと目標温度との関係に基づいて作成すればよい。
【0191】
(4)前記各実施形態においては、各利用者に対応する目標温度を1つの値としたが、これに限定されるものではなく、該目標温度に一定の範囲を設定し、その範囲のうちどの値を用いるかを、周辺環境或いは利用者の選択によって変更できるようにしてもよい。
【0192】
例えば、前記温度範囲のうち中央の温度を前記目標温度として設定する状態を基準の状態とした場合において、その基準の状態よりできるだけエネルギー利用量を抑えたいときには、前記目標温度を、冷房時には前記温度範囲のうち最も高い温度とし、暖房時には前記温度範囲のうち最も低い温度とする態様が考えられる。
【0193】
(5)上述した空調システム1の各ブロック、特に空調制御部8、測定制御部12及び処理装置100の制御部103は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0194】
すなわち、空調制御部8等は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(Central Processing Unit)、前記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
【0195】
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである空調システム1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、空調システム1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても達成可能である。
【0196】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0197】
また、空調システム1を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0198】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0199】
すなわち、本発明は、脂肪測定手段と、前記脂肪測定手段が測定した脂肪情報から空調温度を計算する温度計算手段と、前記計算した空調温度を設定する空調温度設定手段から構成される空調システムである。
【0200】
また、この空調システムにおいて、前記空調温度設定手段は複数あり、前記体脂肪測定手段を利用した個人を識別する個人識別手段と、複数の前記空調温度設定手段の中から、前記個人が利用できる前記空調温度設定手段と対応付けるテーブル手段をさらに備え、前記個人が前記体脂肪を測定すると、前記個人識別手段は前記テーブルに基づいて、前記個人が利用できる前記空調温度設定手段の温度を設定する。
【0201】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明は、例えば体脂肪を測定する機能を備えた体重計と住戸の各部屋に設置された空気調和装置との組み合わせに適用できる。
【符号の説明】
【0203】
1 空調システム
2 空調装置(空調部)
3 脂肪測定装置(脂肪測定部)
4 空調動作制御装置
15 処理部(空調部特定部)
17 記憶部
19 第1識別部
20 第2識別部
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内又は屋内における空気環境の空調動作を行う空調技術の分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
より快適な空気環境をユーザに提供することを目的とした技術が例えば下記特許文献1,2で提案されている。
【0003】
下記特許文献1には、室内温度や着衣状態などの複数のプロセス変数から温熱感覚指標であるPMV値を算出するとともに、室内に設置された複数の個人用パソコンのうちいずれかの電源がオンになると、オンになったパソコンのIPアドレスに対応する各所有者のPMV値の平均値を目標PMV値として算出し、算出した前記2つのPMV値の偏差に基づく室温設定値を用いて空調制御を行う技術が開示されている。
【0004】
下記特許文献2には、空気調和機とリモートコントロール装置(以下、リモコンという)とが互いに通信可能に構成されたシステムにおいて、前記リモコンが体脂肪率等の情報を入力可能に構成されており、前記リモコンは、前記情報が入力されると、予め用意された複数の運転パターンの中から前記リモコンで入力された情報に基づき最適な運転パターンを選択し、選択した運転パターンで空気調和機を運転させるための制御信号を前記リモコンから空気調和機に送信するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−315631号公報(平成19年12月6日公開)
【特許文献2】特開2008−70093号公報(平成20年3月27日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、空調制御を行うに際し温熱感覚を考慮にいれてはいるものの、温熱感覚に大きな影響を与え得る体脂肪を考慮する点については記載されていない。
【0007】
また、前記特許文献2では、体脂肪を何らかの手段を使って測定する作業の他に、この測定値を前記リモコンに入力する作業がユーザに課されることとなり、面倒である。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの作業や負担を可及的に低減しつつユーザにとってより快適な空気環境の生成を可能とする空調動作制御装置及び空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、利用者が体脂肪の測定を脂肪測定部に実行させると、前記脂肪測定部が出力する前記脂肪情報が所定の通信経路を介して前記空調動作制御装置に受信される。そして、この受診した脂肪情報が示す測定値から、前記空調部が空調動作を行うための制御値が前記空調動作制御装置により算出される。すなわち、利用者からみると、脂肪測定部で体脂肪を測定すれば、自動的に空調部の空調動作に用いる制御値が設定される。
【0011】
これにより、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すのを回避することができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記制御値として、前記利用者の測定値に相応しい空調動作が行われるような制御値が算出される。これにより、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0013】
以上のことから、本発明により、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しつつ、より快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が取得する前記脂肪情報を用いて算出された、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を所定の通信経路を介して受信し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、前記脂肪情報を用いて算出された制御値を所定の通信経路を介して受信すると、該制御値が空調部に出力される。すなわち、利用者からみると、脂肪測定部で体脂肪を測定すれば、自動的に空調部の空調動作に用いる制御値が設定される。
【0016】
これにより、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すのを回避することができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記制御値として、前記利用者の測定値に相応しい空調動作が行われるような制御値が算出される。これにより、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0018】
以上のことから、本発明により、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しつつ、より快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、前記制御値として、前記空調部の空調動作時における目標温度を算出することを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、前記空調動作制御装置は、前記制御値として前記空調部の空調動作時における目標温度を算出するので、室内温度が利用者にとってより快適な環境を生成することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、予め登録されている、複数の空調部と1又は複数の測定対象者との対応関係に基づき、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部によって識別された測定対象者に対応する空調部を特定する空調部特定部と通信可能に構成されており、前記空調部特定部によって特定された空調部の制御値として、前記識別部が識別した測定対象者の測定値に対応する制御値を算出し、前記空調部特定部によって特定された空調部へ出力することを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、空調動作制御装置の制御対象である空調部が複数存在する場合に、それらの空調部の中で測定対象者に対応付けられた空調部に対してのみ、前記測定対象者の人体に含まれる体脂肪の測定値に対応した制御値が設定される。これにより、測定対象者にとって必要な空間に対してのみ、該測定対象者にとって快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る空調動作制御装置は、ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値を決定することを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況が生じた場合に、同時利用している前記複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値を決定するようにしたので、各利用者に不快感や不満を感じさせるのを可及的に低減できる空気環境を生成することが可能となる。
【0025】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部により測定対象者が識別されると、予め登録されている、複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報を、前記脂肪測定部から出力される脂肪情報の中から選択することを特徴とするものである。
【0026】
この発明によれば、空調部が或る利用者の測定値に対応する制御値に基づいて空調動作を行っている状態で、該空調部を利用可能な他の利用者が体脂肪の測定を行った場合、複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報が、前記脂肪測定部から出力される脂肪情報の中から選択される。これにより、本発明によっても、各利用者に不快感や不満を感じさせるのを可及的に低減できる空気環境を生成することが可能となる。
【0027】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記測定値と前記制御値との関係を示す関係情報を記憶する記憶部に記憶された関係情報を用いて前記制御値を算出することを特徴とするものである。
【0028】
この発明によれば、前記測定値に対応する制御値を、前記記憶部に記憶されている前記関係情報から求めるだけであるから、測定値に対応する制御値を簡単に算出することができる。
【0029】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部と、前記識別部により識別された測定対象者と、予め定められた複数の空調部と測定対象者との対応関係とに基づいて上記制御値を出力する先の空調部を特定する空調部特定部とを備えることを特徴とするものである。
【0030】
この発明によれば、制御対象である空調部が複数存在する場合に、それらの空調部の中で測定対象者に対応付けられた空調部に対してのみ、前記測定対象者の人体に含まれる体脂肪の測定値に対応した制御値が設定され得る。これにより、測定対象者にとって必要な空間に対してのみ、該測定対象者にとって快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0031】
本発明に係る空調動作制御装置は、複数の利用者にそれぞれ対応した複数の制御値を上記所定の通信経路を介して受信し、同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別する識別部を備え、ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した上記識別部による識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、受信した上記複数の制御値の中から前記同一の空調部へ出力する制御値を選択することを特徴とするものである。
【0032】
本発明によれば、同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況が生じた場合に、同時利用している前記複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値が決定され得る。これにより、同一の空調部を利用する複数の利用者のうちで優先順位の高い利用者に合わせて空気環境を調節することが可能となる。
【0033】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置、及び、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とは異なる筐体内に実装されており、前記生体情報検出装置及び前記空気調和装置との間で、有線又は無線により通信可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
この発明によれば、前記生体情報検出装置及び前記空気調和装置と異なる筐体内に空調動作制御装置を実装したので、前記脂肪測定装置及び前記空気調和装置が既設であってその既設の装置を含めて空調システムを構築する場合に、前記既設の装置をほぼそのまま利用することができる。
【0035】
本発明に係る空調動作制御装置は、前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置と、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とのうち、何れか一方に備えられていることを特徴とするものである。
【0036】
この発明によれば、生体情報検出装置及び空気調和装置のうち何れか一方に前記空調動作制御装置を備えたので、既設の生体情報検出装置を用いて空調システムを構築する場合、当該空調動作制御装置を空気調和装置に備えることで、前記既設の生体情報検出装置をほぼそのまま利用することができ、一方、既設の空気調和装置を用いて空調システムを構築する場合、当該空調動作制御装置を生体情報検出装置に備えることで、前記既設の空気調和装置をほぼそのまま利用することができる。
【0037】
本発明に係る空調システムは、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部と、前記空調動作を行う空調部と、前記各発明に係る空調動作制御装置とを備え、前記空調部は、前記空調動作制御装置により算出された制御値に基づいて空調動作を行うことを特徴とするものである。
【0038】
この発明によれば、前記各発明による効果を奏する空調システムを構成することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力する構成である。
【0040】
本発明に係る空調動作制御装置は、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を用いて算出された、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を所定の通信経路を介して受信し、該制御値を前記空調部に出力する構成である。
【0041】
これにより、利用者からみると、脂肪測定部で体脂肪を測定すれば自動的に空調部の空調動作に用いる制御値が設定されることとなるから、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すのを回避することができ、また、前記空調動作として、前記利用者の測定値に相応しい制御値に基づく動作が行われるため、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。その結果、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しながら、利用者にとってより快適な空気環境の生成を可能とする空調システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る空調動作制御装置(第1の実施形態)を備えた空調システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】記憶部に記憶されている測定値と目標温度との関係を規定したテーブルの一例を示す図である。
【図3】図1に示す空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る空調動作制御装置(変形形態1)を備えた空調システムの他の全体構成を示す全体構成図である。
【図5】記憶部に記憶された各利用者と各空調部との対応関係を規定したテーブルを示す図である。
【図6】記憶部に記憶された各利用者と各測定値との対応関係を規定したテーブルを示す図である。
【図7】図4に示す空調システムの操作部を用いた登録処理を示すフローチャートである。
【図8】図4に示す空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る空調動作制御装置(変形形態2)を備えた空調システムの他の全体構成を示すブロック図である。
【図10】記憶部に記憶された利用者と優先順位との関係を規定したテーブルを示す図である。
【図11】図9に示す空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】変形形態3に係る空調動作制御装置を備えた空調システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】皮下脂肪の厚みと体脂肪率との対応関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
人間が感じる快適な温度は、複数の要素によって影響を受け、その要素のひとつとして人体に含まれる体脂肪があることが、例えば非特許文献1「PLEA NOTE 3 THERMAL COMFORT(Andris Auliciems and Steven V.Szokolay著 第2版2007年)」に記載されている。
【0044】
本発明に係る空調動作制御装置は、この点に着眼し、空調動作を行う空調部と、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部とが建物内部などに存在する場合に、体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出することにより、人体に含まれる体脂肪の量に応じて、前記空調装置の動作時における制御値を算出し、該制御値を前記空調装置に出力するように構成されたものである。以下、この空調動作制御装置の実施形態につき図面を用いて説明する。
【0045】
なお、前記空調装置の空調動作は、例えば冷房動作、暖房動作及び送風動作などであり、冷房時及び暖房時の制御値は主に目標温度や風量、送風時の制御値は主に風量である。このように、本発明に係る空調動作制御装置の制御対象である空調装置の空調動作や該空調動作に用いる制御値は複数考えられるが、以下の各実施形態では、前記空調装置の空調動作として冷房動作及び暖房動作を想定し、また、これらの空調動作に用いる前記制御値として前記目標温度を想定するものとする。
【0046】
この目標温度は、人間が快適と感じる一定の温度範囲で設定される。前記非特許文献1(第50頁)には、人間が快適と感じる温度(快適温度)にすることで、快適温度よりも温度が高かったり低かったりする場合に比して、死亡率が低くなることが記載されている。
【0047】
また、前記脂肪測定部の測定項目である体脂肪の具体例としては、例えば皮下脂肪の厚みや体脂肪率が考えられる。「British Occupational Hygiene Society」の非特許文献2「Technical・GuideNo.12(A.Youle K.J.Collins G.w.Crockford D.S.Fishman A.Mulhall K.C.Parsons著)」には、人間が着ている服によって環境からの温度を絶縁でき、その絶縁の度合いを示す指数(clo指数)は、皮下脂肪の厚みと関連する点が記載されている。
【0048】
[第1の実施形態]
(空調システム1の全体構成の説明)
図1は、本発明に係る空調動作制御装置の一実施形態を含む空調システム全体のブロック構成を示している。
【0049】
図1に示すように、空調システム1は、前記空調部及び前記脂肪測定部を実装する空調装置2及び脂肪測定装置3(生体情報検出装置の一例)と、前記脂肪情報(生体情報の一例)が示す測定値から空調装置2の空調動作に用いる目標温度を算出し、該目標温度情報を前記空調装置2に出力する、本実施形態に係る空調動作制御装置4とを備え、空調装置2は、目標温度算出部16により算出された目標温度に基づいて空調動作を行う。
【0050】
(空調装置2の説明)
本実施形態では、空調装置2は、図1に示すように、通信部(受信部)5と、空調動作部6と、操作部7と、空調制御部8とを備える。
【0051】
通信部5は、空調動作制御装置4(後述する通信部13)との間で有線又は無線による通信を行うものである。空調動作部6は、前記目標温度等に基づいて空調動作を行うものである。具体的には、空調動作部6は、熱交換器や冷媒を用いて、空調対象空間の空気の温度が前記目標温度となるように空気を生成し、該空気を前記空調対象空間に供給するものである。操作部7は、当該空調動作部6の動作開始及び終了や、空調モード(冷房、暖房、送風、除湿などのモード)を指定する入力を行うためのものである。
【0052】
空調制御部8は、通信部5及び空調動作部6の動作の制御や各種処理演算を行うものである。具体的には、空調制御部8は、例えば、通信部5が脂肪測定装置3から受信した情報を当該空調制御部8に送信してくるように通信部5に指示したり、空調動作部6の動作の開始及び終了などの指令を出力したり、或いは、目標温度等に基づく空調動作部6の空調動作を制御したりする。
(脂肪測定装置3の説明)
脂肪測定装置3は、ユーザ(測定対象者)の体脂肪の測定を行うことにより、その測定値を示す脂肪情報を取得する。脂肪測定装置3は、例えば、体脂肪率を測定する体脂肪率測定装置や、皮下脂肪の厚みを測定する皮下脂肪厚計(キャリパー)である。脂肪測定装置3が体脂肪率測定装置の場合には、脂肪情報は体脂肪率である。脂肪測定装置3が皮下脂肪厚計の場合には、脂肪情報は皮下脂肪厚である。
【0053】
ここでは、脂肪測定装置3は、図1に示すように、体脂肪測定動作部9と、通信部(送信部)10と、操作部11と、測定制御部12とを備える。
【0054】
体脂肪測定動作部9は、人体に含まれる体脂肪の測定動作を行うものである。具体的には、体脂肪測定動作部9は、ユーザの体脂肪率や皮下脂肪厚を測定し、その測定結果(脂肪情報)を測定制御部12へ出力する。
【0055】
通信部10は、空調装置2との間で有線又は無線による通信を行うものであり、特に、体脂肪測定動作部9が取得した脂肪情報を空調装置2へ送信する。
【0056】
操作部11は、体脂肪測定動作部9の動作開始及び終了や、当該脂肪測定装置3が前記体脂肪を含む複数の測定項目について測定可能である場合に、該測定項目を指定する入力を行うためのものである。
【0057】
測定制御部12は、体脂肪測定動作部9及び通信部10の動作の制御や各種処理演算を行うものである。具体的には、測定制御部12は、例えば体脂肪測定動作部9の動作の開始及び終了などの指令を体脂肪測定動作部9に出力したり、体脂肪測定動作部9が取得した測定情報を当該測定制御部12に送ってくるように体脂肪測定動作部9に指示したり、或いは、当該測定制御部12が所持している情報を空調動作制御装置4に送信するように通信部10に指示したりする。
【0058】
(空調動作制御装置4の説明)
空調動作制御装置4は、例えば空調装置2及び脂肪測定装置3の管理を行う管理サーバであり、通信部13,14と、処理部15とを備える。
【0059】
通信部13は、空調装置2の通信部5との間で各種情報の通信を行うものであり、特に、当該空調動作制御装置4で算出した目標温度を示す目標温度情報を空調装置2の通信部5に送信する。
【0060】
通信部14は、脂肪測定装置3の通信部10との間で各種情報の通信を行うものであり、特に前記脂肪測定装置3で取得された脂肪情報を該脂肪測定装置3から受信する。
【0061】
処理部15は、目標温度算出部16と、記憶部17とを有する。
【0062】
目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9が取得した脂肪情報を前記通信部14を介して受信すると、該脂肪情報が示す測定値に対応する目標温度を算出する。具体的には、体脂肪測定動作部9により測定され得る測定値と空調装置2の空調動作時に設定され得る目標温度との関係が予め定められており、目標温度算出部16は、この関係と前記測定値とから目標温度を算出する。
【0063】
なお、目標温度算出部16は、本実施形態では空調動作制御装置4に設けられているが、空調装置や脂肪測定装置3に設けられてもよい。また、目標温度算出部16が空調装置2に設けられている場合には該空調装置2の空調制御部8に、前記脂肪測定装置3に設けられている場合には該脂肪測定装置3の測定制御部12に設けられてもよい。本実施形態では、目標温度算出部16は、空調動作制御装置4の処理部15に設けられているが、処理部15の外部に設けられてもよい。さらに、目標温度算出部16は、空調制御部8や測定制御部12に設けられる態様の他、空調制御部8又は測定制御部12に外部接続された回路等として構成されてもよい。
【0064】
記憶部17(第4記憶部)に、前記測定値と前記目標温度との関係(関係情報)が予め記憶されている。
【0065】
なお、本実施形態では、記憶部17は、空調動作制御装置4に設けられている。ただし、目標温度算出部16が空調装置2に設けられている場合には、記憶部17は、空調装置2に設けられていることが好ましい。また、本実施形態では、記憶部17は、空調動作制御装置4の処理部15に設けられているが、処理部15の外部に設けられてもよい。さらに、記憶部17は、内部記憶部として空調制御部8又は測定制御部12に設けられる態様の他、空調制御部8又は測定制御部12に外部接続された記憶回路や記憶素子等の外部記憶部として構成されている形態も採用可能である。
【0066】
目標温度算出部16を、体脂肪測定動作部9により出力される脂肪情報が示す測定値を入力とし、前記目標温度を出力とする入出力関係をもつ演算回路として構成することも考えられる。この場合、記憶部17が不要、若しくは、前記測定値と前記目標温度との関係を記憶するための容量分だけ記憶容量を節約することができる。
【0067】
(目標温度算出部16における目標温度の算出方法)
本実施形態では、前記測定値と前記目標温度との関係はテーブル形式で記憶部17に記憶されている。図2は、そのテーブルの一例を示す図である。図2に示すテーブルには、例えば測定値「F1」に目標温度「T1」が対応付けられており、測定値「F2」に目標温度「T2」が対応付けられている。
【0068】
目標温度算出部16は、脂肪情報を体脂肪測定動作部9から受け取ると、記憶部17にアクセスし、該脂肪情報が示す測定値に対応する目標温度を前記テーブルから算出する。例えば図2に示すテーブルを用いる場合、前記脂肪情報が示す測定値が例えば「F1」であったとき、目標温度算出部16は、前記目標温度として「T1」を算出する。そして、該目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する。
【0069】
空調装置2の空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度(例えば前記の例では「T1」)に基づき、空調動作部6の空調動作を制御する。
【0070】
なお、測定値と目標温度との関係はテーブル形式で示される必要はなく、両者の対応関係が示されていればよい。
【0071】
また、測定値から目標温度を算出するための数式が記憶部17に格納されており、目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9から取得した測定値を当該数式に代入することで目標温度を算出してもよい。
【0072】
(空調システムの処理手順の説明)
図3は、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システム1の処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
図3に示すように、脂肪測定装置3の測定制御部12は、測定指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯1)、前記測定指示が入力されたと判断されると(ステップ1でYES)、体脂肪測定動作部9に脂肪情報を取得する動作を行わせる(ステップ♯2)。そして、体脂肪測定動作部9から前記脂肪情報を受け取ると、該脂肪情報を空調動作制御装置4に送信する動作を前記通信部10に指示する(ステップ♯3)。
【0074】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16(処理部15)は、前記脂肪情報を脂肪測定装置3から受信すると(ステップ♯4でYES)、記憶部17に予め記憶されている前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)から、ステップ♯4で受信した前記脂肪情報が示す測定値に対応した目標温度を算出する(ステップ♯5)。
【0075】
そして、目標温度算出部16は、ステップ♯5で算出した目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信するように通信部13に指示する(ステップ♯6)。
【0076】
空調装置2の空調制御部8は、通信部5を介して空調動作制御装置4から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯7でYES)、当該空調装置2の電源がオンとなっているか否かを確認し(ステップ♯8)、当該空調装置2の電源がオンとなっていない場合には(ステップ♯8でNO)、当該空調装置2の電源がオンとなるまで待機する。
【0077】
そして、当該空調装置2の電源がオンとなると(ステップ♯8でYES)、空調制御部8は、空調動作制御装置4から受信した目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の空調動作を制御する(ステップ♯9)。すなわち、空調制御部8は、空調装置2が設けられている部屋の室温が、目標温度情報が示す目標温度となるように空調動作部6を制御する。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4においては、体脂肪測定動作部9により体脂肪が測定されると、目標温度算出部16(処理部15)が、その脂肪情報が示す測定値に対応する目標温度を算出し、該目標温度に基づく空調動作の制御が空調制御部8によってなされるように前記目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する構成とした。
【0079】
これにより、空調装置2を動作させる際に、前記従来技術のように測定値を装置に入力する作業を利用者に課すことを回避することができる。また、前記空調動作として、前記測定値に相応しい目標温度に基づく空調動作が行われることとなるから、利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0080】
以上のことから、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、前記従来技術のような装置への測定値の入力作業による利用者の負担を可及的に低減しつつ、より快適な空気環境を生成することができる。
【0081】
また、本実施形態では、前記目標温度として利用者にとって快適な温度に設定しているため、空調対象空間を利用者にとって健康的な温度に設定することができ、その結果、該利用者の健康を維持することができる、若しくは利用者の健康を損ねるのを極力回避することができる。
【0082】
[変形形態の説明]
本発明に係る空調動作制御装置は、以下のような変形形態を採り得る。
【0083】
[変形形態1]
図4は、本発明に係る空調動作制御装置4の第2の実施形態(変形形態1)を含む空調システム全体のブロック構成図である。
【0084】
図4に示すように、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、複数の空調装置2に接続されており、前記各空調装置2を制御対象としている。複数の空調装置2に対し、その利用者が対応付けられており、各空調装置2は、当該空調装置2と対応付けられた利用者の部屋にそれぞれ設置されている。また、脂肪測定装置3は、基本的に各利用者の部屋とは異なる部屋に設置されている。そして、脂肪測定装置3にて測定を行った利用者の部屋に設けられている空調装置2の目標温度が、当該利用者の脂肪情報から算出され、その目標温度を実現すべく当該利用者の部屋の空調装置2が動作する。
【0085】
なお、脂肪測定装置3は、1つでもよいし複数設けられていてもよいが、説明の便宜上、ここでは脂肪測定装置3の数は1つであるものとする。この場合、脂肪測定装置3の通信部10は、空調動作制御装置4の通信部14と有線又は無線により通信可能に接続されており、また、各空調装置2の通信部5は空調動作制御装置4の通信部13と有線又は無線により通信可能に構成されている。以下、このシステムを実現するための具体的な構成について説明する。
【0086】
なお、図4における各空調装置2及び脂肪測定装置3の内部のブロック構成は、図1に示す空調装置2及び脂肪測定装置3の内部のブロック構成と略同一のブロック構成を採っているものとする。
【0087】
本実施形態に係る空調動作制御装置4において、記憶部17は、前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)を予め記憶する前記第4記憶部として機能することに加え、前記各利用者と各空調装置2との対応関係をテーブル形式で記憶する第1記憶部として機能する。
【0088】
図5は、記憶部17(第1記憶部)に記憶された利用者「M1」〜「M4」と空調装置「EC1」〜「EC4」との対応関係を示すテーブルを示す図である。
【0089】
図5に示すテーブルにおいては、例えば利用者「M1」には空調装置「EC1」が対応付けられており、利用者「M2」には空調装置「EC2」が対応付けられている。すなわち、図5に示すテーブルは、空調装置「EC1」が利用者「M1」の部屋に設置されていることを示し、空調装置「EC2」が利用者「M2」の部屋に設置されていることを示している。
【0090】
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、各種の情報を入力するための操作部18を備えており、該操作部18は、利用者と空調装置2との対応関係(どの空調装置2をどの利用者が利用し得るかという関係)を記憶部17に登録する入力を行うためのものとして機能し得る。
【0091】
さらに、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、或る測定対象者が脂肪測定装置3により体脂肪を測定したとき若しくは測定しようとしているときに、その測定対象者を識別する第1識別部19を備える。
【0092】
(ユーザの識別方法及び空調装置の特定方法)
第1識別部19による識別方法としては、例えば次のような方法が考えられる。
【0093】
例えば、利用者と空調装置2との対応関係の登録作業が操作部18によって行われる際に、第1識別部19は、脂肪測定装置3により測定を行うように表示や音声等によって利用者に指示するよう、前記脂肪測定装置3に指令する。前記測定が行われると、記憶部17は、利用者と空調装置2との対応関係とともに、例えば図6に示すように、脂肪測定装置3で測定した該利用者と測定値との対応関係も記憶する。このとき利用者は、自身のID(名前、ニックネームなど)を入力し、測定値と自身のIDとを対応付ける。このように対応付けられた測定値及びユーザIDが記憶部17に格納される。
【0094】
その後、或る測定対象者の体脂肪が脂肪測定装置3により測定されると、第1識別部19は、該測定動作で得られた脂肪情報が示す測定値と一致又は所定の誤差範囲内にある測定値が記憶部17に登録されているかを探索し、登録されているとき、前記測定対象者はその測定値に対応する登録済みの利用者であると識別する。
【0095】
処理部15は、第1識別部19により識別された測定対象者(利用者)に対応する空調装置2を前記テーブルに基づいて特定する空調装置特定部(空調部特定部)として機能する。また、目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9により体脂肪の測定が行われて脂肪情報が取得されると、該脂肪情報が示す前記利用者の測定値に対応する目標温度を、記憶部17に記憶されている測定値と目標温度との対応関係(例えば図2に示すテーブル)を用いて算出する。
【0096】
例えば、測定値「F1」と対応付けて予め登録された利用者「M2」が、今回、測定対象者として脂肪測定装置3で体脂肪の測定を行ったものとし、該利用者「M2」の今回の測定値が略「F1」であったものとする。
【0097】
この場合、第1識別部19は、予め登録された測定値と今回の測定値とがいずれも「F1」で略一致することから、例えば図6に示すテーブルに基づいて今回の測定対象者は利用者「M2」であると識別する。そして、測定制御部12(空調装置特定部)は、前記利用者「M2」に対応する空調装置「EC2」を例えば図5に示すテーブルに基づいて特定する。
【0098】
そして、目標温度算出部16は、体脂肪測定動作部9により取得された脂肪情報が示す前記利用者「M2」の今回の測定値「F1」に対応する目標温度「T1」を例えば図2に示す前記テーブルを用いて算出し、該目標温度を示す目標温度情報を、特定された空調装置2に送信する。なお、目標温度算出部16は、測定制御部12により特定されていない空調装置2へは制御値を出力しない。
【0099】
測定制御部12により特定された空調装置2の空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度(例えば前記の例では「T1」)に基づき、空調動作部6の空調動作を制御する。
【0100】
なお、第1識別部19による識別方法は、上述のものに限定されず、脂肪測定装置3で測定を行う利用者の顔を撮像した画像と登録画像とを比較することで識別してもよいし、利用者の指紋や指の静脈、足の裏の模様や静脈、体重などを用いて識別してもよい。または、利用者が携帯するICチップやICカードによって識別してもよい。
【0101】
(登録処理の説明)
図7は、本実施形態に係る空調動作制御装置4の操作部18を用いた登録処理を示すフローチャートである。
【0102】
図7に示すように、処理部15は、操作部18に対して何らかの操作が行われたことを検出すると(ステップ♯101でYES)、該操作が、当該空調システム1を初めて利用する旨の操作であるか否かを判断する(ステップ♯102)。そうである場合には(ステップ♯102でYES)、ステップ♯105の処理に進む一方、そうではない場合には(ステップ♯102でNO)、前記操作が、当該空調動作制御装置4に未登録の空調装置2についての操作であるか否かを判断する(ステップ♯103)。
【0103】
そして、処理部15は、前記操作が、当該空調動作制御装置4に未登録の空調装置2についての操作である場合には(ステップ♯103でYES)、ステップ♯105の処理に進む一方、そうではない場合には(ステップ♯103でNO)、前記操作が利用者の登録操作であるか否かを判断する(ステップ♯104)。
【0104】
処理部15は、前記操作が利用者の登録操作である場合には(ステップ♯104でNO)、ステップ♯105の処理に進む一方、そうではない場合には(ステップ♯104でNO)、一連の登録処理を終了する。
【0105】
ステップ♯105において、処理部15は、登録操作が行われると(ステップ♯105でYES)、その登録された内容を記憶部17に保存する(ステップ♯106)。例えば、ステップ♯105において、前記利用者と空調装置2との対応関係を記憶部17に登録する入力が行われると、記憶部17にはその対応関係が保存される。
【0106】
(空調システムの処理手順の説明)
図8は、空調システム1の処理手順を示すフローチャートである。
【0107】
図8に示すように、脂肪測定装置3の測定制御部12は、測定指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯11)、前記測定指示が入力されたと判断されると(ステップ♯11でYES)、体脂肪測定動作部9に脂肪情報を取得する動作を行わせる。そして、体脂肪測定動作部9から前記脂肪情報を受け取ると(ステップ♯12)、該脂肪情報を空調動作制御装置4に送信する動作を前記通信部10に指示する(ステップ♯13)。
【0108】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16(処理部15)は、前記脂肪情報を脂肪測定装置3から受信すると(ステップ♯14YES)、記憶部17に記憶されている利用者と測定値との関係(例えば図6に示すテーブル)に基づいて、今回の測定対象者を識別する処理を第1識別部19に実行させる(ステップ♯15)。
【0109】
第1識別部19により利用者が識別されると、測定制御部12(空調装置特定部)は、該利用者に対応する空調装置2を、記憶部17に予め記憶されている前記利用者と空調装置2との関係(例えば図5に示すテーブル)に基づいて特定する。また、目標温度算出部16は、記憶部17に予め記憶されている前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)から、ステップ♯14で受信した前記脂肪情報が示す測定値に対応した目標温度を算出する(ステップ♯16)。
【0110】
そして、目標温度算出部16は、ステップ♯16で算出した目標温度を示す目標温度情報を、ステップ♯16で特定した空調装置2に送信するように通信部10に指示する(ステップ♯17)。
【0111】
空調装置2の空調制御部8は、通信部5を介して脂肪測定装置3から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯18でYES)、当該空調装置2の電源がオンとなっているか否かを確認し(ステップ♯19)、当該空調装置2の電源がオンとなっていない場合には(ステップ♯19でNO)、当該空調装置2の電源がオンとなるまで待機する。
【0112】
そして、当該空調装置2の電源がオンとなると(ステップ♯19でYES)、脂肪測定装置3から受信した目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の空調動作を制御する(ステップ♯20)。
【0113】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4においては、利用者ごとに異なる空調装置2を割当可能とし、且つ、利用者ごとに割り当てられた空調装置2の空調動作に用いる目標温度を、当該空調装置2の利用者の測定値に対応する目標温度に設定するように構成したので、当該利用者しか利用しない空間、又は、当該利用者が主に利用する空間の空気環境を、その利用者の人体に含まれる体脂肪に合わせて生成することが可能となり、その結果、前記利用者にとってより快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0114】
[変形形態2]
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、複数の前記利用者が例えば同一空間(例えば同じ部屋)に同時に存在することにより、1つの空調装置2が複数の利用者によって同時に利用されるという状況が想定されている。
【0115】
ここで、前記目標温度の設定方法として、前記空間に入室する前に脂肪測定装置3によって体脂肪を測定した利用者が1人いれば、その利用者の測定値に対応する目標温度に設定するという方法が考えられる。
【0116】
しかしながら、この方法は、前記複数の利用者間で例えば健康上のハンディキャップの大小の相違や権力の大きさの相違等が存在する場合の目標温度の設定方法として、適切な設定方法とはいえない場合が生じ得る。
【0117】
そこで、本実施形態に係る空調システム1は、1つの空調装置2が複数の利用者によって同時に利用されるという状況が発生した場合を考慮し、その状況でのより適切な目標温度の設定のために、各利用者に対して優先順位が設定可能となっている。以下、これを実現するための具体的な構成について説明する。
【0118】
図9は、本発明に係る空調動作制御装置4の実施形態(変形形態2)を含む空調システム全体の構成を示すブロック図である。
【0119】
図9に示すように、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システムのブロック構成は、図1に示すブロック構成に対して第2識別部20及び撮像部21を備えている点が相違する。撮像部21は、空調装置2と同じ部屋に設置されていてもよいし、空調装置2とは別の部屋に設置されていてもよい。
【0120】
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、或る時点で同一の空調装置2を同時利用している複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調装置2を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調装置2へ出力する制御値を決定する。
【0121】
具体的には、本実施形態に係る空調動作制御装置4において、記憶部17は、前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)を予め記憶する前記第4記憶部として機能することに加え、前記各利用者と優先順位との対応関係をテーブル形式で記憶する第2記憶部として機能する。
【0122】
図10は、記憶部17に記憶された利用者と前記優先順位との関係を規定したテーブルを示す図である。図10に示すテーブルにおいては、例えば利用者「M1」には優先順位「4」が対応付けられており、利用者「M2」には優先順位「2」が対応付けられている。
【0123】
また、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図9に示すように、各種の情報を入力するための操作部18を備えており、該操作部18は、本実施形態では、利用者と前記優先順位との対応関係を記憶部17に登録する入力を行うためのものとして機能し得る。
【0124】
さらに、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、空調装置2の空調対象空間に存在する複数の利用者を識別可能な前記第2識別部20を備える。第2識別部20による識別方法としては、例えば次のような方法が考えられる。
【0125】
例えば、利用者と優先順位との対応関係の登録作業が操作部18によって行われる際に、第2識別部20は、脂肪測定装置3により測定を行うように表示や音声等によって利用者に指示するよう指令し、前記測定が行われると、記憶部17は、例えば図6に示すように、利用者と空調装置2との対応関係とともに、脂肪測定装置3で測定した該利用者と測定値との対応関係も記憶する。
【0126】
前記空調動作制御装置4には、当該空調装置2の空調対象空間を撮像する撮像部21が通信可能に接続されている。撮像部21は、前記空調動作制御装置4からの指示に基づき、前記登録作業時に利用者の認証用画像(例えば顔の画像)を撮像し、該画像を空調動作制御装置4に送信する。
【0127】
空調動作制御装置4の記憶部17は、利用者のIDと該利用者の認証用画像(例えば顔の画像)とを対応付けて予め記憶する。なお、第2識別部20が空調装置2に設けられるとともに、前記空調装置2に撮像部21が通信可能に接続され、空調装置2が備える記憶部(不図示)に利用者の認証用画像が記憶されていてもよい。
【0128】
そして、例えば空調装置2の電源がオンされると、第2識別部20は、該撮像部21から出力される画像(撮像画像)と予め記憶している利用者の画像(認証用画像)とを対比して、撮像画像と認証用用画像との類似度に基づいて前記空調対象空間に存在する利用者を識別する識別処理を行う。
【0129】
目標温度算出部16は、第2識別部20により前記複数の利用者が識別されると、記憶部17に登録された優先順位に基づいて、前記同一の空調装置2へ出力する目標温度を決定する。本実施形態では、目標温度算出部16は、前記複数の利用者の中で最も高い優先順位が対応付けられた利用者に対応する目標温度を、前記同一の空調装置2へ出力する目標温度として決定する。
【0130】
例えば、或る空調装置2が設置された空間に図10に示す前記利用者「M1」〜「M4」のうち「M1」,「M2」,「M3」が同時に存在することが第2識別部20により識別された場合を想定する。
【0131】
この場合、利用者M2の優先順位が最も高いため、目標温度算出部16は、前記利用者「M2」に対応する測定値「F1」を、記憶部17に予め記憶されている利用者と測定値との関係(例えば図6に示すテーブル)に基づいて特定する。さらに、目標温度算出部16は、測定値「F1」に対応する目標温度「T1」を記憶部17に予め記憶されている測定値と目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)に基づいて算出する。
【0132】
または、目標温度算出部16は、予め各利用者の目標温度を算出し、算出した目標温度を利用者と対応付けて記憶部17に格納しておき、第2識別部20により識別された利用者のうちで最も優先順位が高い利用者の目標温度を、前記同一の空調装置2に出力する目標温度として決定するようにしてもよい。
【0133】
このように目標温度を決定すると、前記目標温度算出部16は、前記同一の空調装置2に前記目標温度を示す目標温度情報を送信する。
【0134】
前記同一の空調装置2における空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度に基づいて、空調動作部6の動作を制御する。
【0135】
(空調システムの処理手順の説明)
図11は、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システムの処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、利用者と優先順位との対応関係、利用者と測定値との対応関係、測定値と目標温度との対応関係及び利用者の認証用画像は記憶部17に予め記憶されているものとする。
【0136】
図11に示すように、空調制御部8は、当該空調装置2の電源がオンになったか否かを判断し(ステップ♯21)、電源がオンになったと判断すると(ステップ♯21でYES)、電源がオンになった旨を空調動作制御装置4に通知する(ステップ♯22)。
【0137】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16は、前記通知を前記空調装置2から受け取ると(ステップ♯23でYES)、撮像部21に撮像動作を指示する(ステップ♯24)。
【0138】
撮像部21は、空調動作制御装置4から撮像動作の指示を受けると(ステップ♯25でYES)、撮像動作を行い、該撮像動作により得られた画像を空調動作制御装置4に送信する(ステップ♯26)。
【0139】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16は、撮像部21から画像を受信すると(ステップ♯27でYES)、この受信した画像を用いた利用者の識別処理の実施を前記第2識別部20に指示する(ステップ♯28)。
【0140】
目標温度算出部16は、ステップ♯28の識別処理で識別された利用者の中で優先順位が最も高い利用者の目標温度を算出し、該目標温度示す目標温度情報を空調装置2に送信する処理を通信部13に実行させる(ステップ♯29)。
【0141】
空調制御部8は、空調動作制御装置4から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯30)、該目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の動作を制御する(ステップ♯31)。
【0142】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4によれば、複数の利用者が例えば同一空間に存在するなどによって、1つの空調装置2が複数の利用者により同時に利用されるという状況が発生した場合に、最も優先させるべき利用者に合わせた快適な空気環境を生成することができる。
【0143】
[変形形態3]
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、前記変形形態2と同様、同一の空調装置2を複数の利用者が利用し得るように構成した場合に、前記変形形態2で述べた複数の利用者による同一空調装置2の同時利用の他、次のような状況も発生し得ることに鑑みてなされたものである。
【0144】
すなわち、或る空調装置2が或る1人の利用者(以下、先利用者という)によって利用されている状態で、空調装置2を利用する権利を有する他の利用者(以下、後利用者という)が脂肪測定装置3で測定動作を行うという状況である。
【0145】
この場合の前記目標温度の設定方法として、例えば、前記状況が生じても空調動作に係る目標温度を、引き続き先利用者の測定値に対応する目標温度に維持したり、逆に、無条件に後利用者の測定値に対応する目標温度に切り替えたりする方法が考えられる。
【0146】
しかしながら、これらの方法は、前記複数の利用者間で例えば健康上のハンディキャップの大小の相違や権力の大きさの相違等が存在することがあり得ることを考えた場合、その目標温度の設定方法として適切な設定方法とはいえない。
【0147】
そこで、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、複数の利用者に同一の空調装置2を利用する権利を与え得るように構成するだけでなく、或る空調装置2が先利用者によって利用されている状態で該空調装置2を利用する権利を有する後利用者が脂肪測定装置3で測定動作を行うという状況が発生した場合を考慮し、その状況でのより適切な目標温度の設定のために、各利用者に対して優先順位が設定可能となっている。以下、これを実現するための具体的な構成について説明する。
【0148】
なお、ここでの脂肪測定装置3及び空調装置2の内部のブロック構成は、図1に示すものと略同一のブロック構成を採っているものとする。
【0149】
本実施形態に係る空調動作制御装置4は、前記脂肪測定装置3の測定対象者が識別されると、予め登録されている、複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報を、前記脂肪測定装置3から出力される脂肪情報の中から選択する。
【0150】
具体的には、本実施形態に係る空調動作制御装置4において、記憶部17は、前記測定値と前記目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)を予め記憶する前記第4記憶部として機能することに加え、前記各利用者と優先順位との対応関係をテーブル形式で記憶する第3記憶部として機能する。なお、記憶部17に記憶された利用者と前記優先順位との関係を規定したテーブルは、例えば図10に示すようなテーブルである。
【0151】
また、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、各種の情報を入力するための操作部18を備えており、該操作部18は、本実施形態では、利用者と前記優先順位との対応関係を記憶部17に登録する入力を行うためのものとして機能し得る。
【0152】
さらに、本実施形態に係る空調動作制御装置4は、図1に示すように、或る測定対象者が脂肪測定装置3により体脂肪を測定したとき若しくは測定しようとしている場合に、その測定対象者を識別する前記変形形態1と同様の第1識別部19を備える。
【0153】
そして、本実施形態においては、目標温度算出部16は、前記先利用者を示す利用者情報をその利用開始時などのタイミングで記憶部17に記憶しておき、第1識別部19により前記後利用者が識別されると、記憶部17に登録された優先順位に基づいて、前記先利用者及び前記後利用者のうちで高い方の優先順位が対応付けられた利用者に対応する目標温度を算出する。
【0154】
例えば、或る空調装置2が前記先利用者「M1」によって利用されている状態で、該空調装置2を利用する権利を有する後利用者「M2」が脂肪測定装置3で測定動作を行う又は測定動作を行おうとしている状況が発生した場合を想定する。
【0155】
この場合、目標温度算出部16は、予め前記先利用者「M1」を示す利用者情報と測定値とを記憶部17に記憶しておく。その後、前記後利用者「M2」が脂肪測定装置3で測定動作を行ったことで第1識別部19により前記後利用者「M2」が識別されると、記憶部17に登録された優先順位は、前記先利用者「M1」より前記後利用者「M2」の方が高い。したがって、目標温度算出部16は、前記先利用者「M1」の測定値と前記後利用者「M2」のうち後利用者「M2」の測定値を選択し、該測定値に対応する目標温度を、記憶部17に予め記憶されている測定値と目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)に基づいて算出する。そして、目標温度算出部16は、前記目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する。
【0156】
空調制御部8は、目標温度算出部16により算出された目標温度に基づいて、空調動作部6の動作を制御する。
【0157】
(空調システムの処理手順の説明)
図12は、本実施形態に係る空調動作制御装置4を含む空調システム1の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、利用者と優先順位との対応関係及び測定値と目標温度との対応関係は記憶部17に予め記憶されているものとする。また、図12に示すフローチャートの処理を実施する際し、先利用者が空調装置2を既に利用している状態であるものとする。
【0158】
図12に示すように、脂肪測定装置3の測定制御部12は、測定指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯41)、前記測定指示が入力されたと判断されると(ステップ♯41でYES)、体脂肪測定動作部9に脂肪情報を取得する動作を行わせる(ステップ♯42)。そして、体脂肪測定動作部9から前記脂肪情報を受け取ると、該脂肪情報を空調動作制御装置4に送信する動作を前記通信部10に指示する(ステップ♯43)。
【0159】
空調動作制御装置4の目標温度算出部16(処理部15)は、前記脂肪情報を脂肪測定装置3から受信すると(ステップ♯44でYES)、その測定が行われた後利用者を識別する処理を第1識別部19に指示する。第1識別部19は、この指示を受信すると、測定を行った後利用者を上述の方法により識別する(ステップ♯45)。
【0160】
そして、測定制御部12は、記憶部17に記憶されている前記先利用者の優先順位とステップ♯45で第1識別部19により識別された前記後利用者の優先順位とを比較し(ステップ♯46)、優先順位が高い方の利用者の測定値に対応する目標温度を、記憶部17に記憶されている前記測定値と目標温度との関係(例えば図2に示すテーブル)から算出し(ステップ♯47)、該目標温度を示す目標温度情報を空調装置2に送信する処理を通信部10に実行させる(ステップ♯48)。
【0161】
空調装置2は、脂肪測定装置3から前記目標温度情報を受信すると(ステップ♯49)、当該空調装置2の電源がオンとなっているか否かを確認し(ステップ♯50)、当該空調装置2の電源がオンとなっていない場合には(ステップ♯50でNO)、当該空調装置2の電源がオンとなるまで待機する。
【0162】
そして、当該空調装置2の電源がオンとなると(ステップ♯50でYES)、空調制御部8は、空調動作制御装置4から受信した目標温度情報が示す目標温度に基づいて空調動作部6の空調動作を制御する(ステップ♯51)。すなわち、空調制御部8は、空調装置2が設けられている部屋の室温が、目標温度情報が示す目標温度となるように空調動作部6を制御する。
【0163】
以上のように、本実施形態に係る空調動作制御装置4によれば、或る空調装置2が先利用者によって利用されている状態で、空調装置2を利用可能な後利用者が脂肪測定装置3で測定動作を行うという状況が発生した場合に、優先させるべき方の利用者に合わせた快適な空気環境を生成することが可能となる。
【0164】
[その他の変形形態]
(1)体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定装置3が、取得した脂肪情報を用いて、空調装置2の空調動作に用いる制御値を算出し、空調動作制御装置4へ送信するとともに、空調動作制御装置4が、脂肪測定装置3から受信した制御値を空調装置2に出力する空調システム1(変形形態4)も想定可能である。
【0165】
この空調システム1において、さらに、脂肪測定装置3の測定対象者を識別する機能(識別部)と、識別された測定対象者に基づいて制御値を送信する先の空調装置2を特定する機能(空調部特定部)とを空調動作制御装置4に備えるようにしてもよい。
【0166】
この構成では、空調システム1に複数の空調装置2が設けられており、脂肪測定装置3の測定対象者(空調装置2の利用者)と空調装置2との対応関係が予め空調動作制御装置4の記憶部17に登録されている。測定対象者と空調装置2とは一対一に対応付けられていてもよいし、1人の測定対象者に対して複数の空調装置2が対応付けられていてもよい。
【0167】
上記空調部特定部は、識別部が識別した測定対象者に対応付けられた少なくとも1つの空調装置2に対して、当該測定対象者に対応する制御値を送信する。
【0168】
識別部による測定対象者の識別方法として、例えば、脂肪測定装置3から出力される制御値と、予め登録されている制御値と測定対象者との対応関係とを照合することで、測定対象者を識別する方法が挙げられる。制御値と測定対象者との対応関係は、空調動作制御装置4の記憶部17に記録されればよい。特定の測定対象者の制御値は、短期間ではそれほど変動しないため、一度、制御値と測定対象者との対応関係を登録しておけば、算出された制御値を利用して測定対象者を特定することができる。
【0169】
また、上記変形形態4において、ある時点で同一の空調装置2を複数の利用者が同時に利用している場合に、その複数の利用者を識別する識別部と、当該識別部によって識別された利用者間の優先順位に基づいて、同一の空調装置2へ出力する制御値を選択する制御値選択部とを設けてもよい。
【0170】
この構成において、脂肪測定装置3は、算出した制御値と、その制御値を算出するに至った測定対象者を特定する情報(測定対象者ID)とを対応付けて空調動作制御装置4へ送信する。空調動作制御装置4は、受信した制御値および測定対象者IDを記憶部17に格納しておく。
【0171】
また、識別部は、例えば、同一の空調装置2を利用している利用者の顔を撮影した画像を解析することにより利用者を識別する。識別するタイミングは、例えば、空調装置2の電源がONになったときである。この識別方法を実現するために、利用者の顔画像が、当該利用者のIDと対応付けられて空調動作制御装置4の記憶部17に格納されている。また、利用者間の優先順位は、予め空調動作制御装置4の記憶部17に記録されればよい。また、上述したように、利用者の顔を撮影した画像は、空調動作制御装置4と通信可能に接続された撮像部21(例えば、CCD(charge-coupled device)カメラ、C-MOS(metal-oxide semiconductor)カメラ)によって取得されればよい。
【0172】
制御値選択部は、脂肪測定装置3から送信された複数の制御値にそれぞれ対応付けられた測定対象者IDによって示される複数の測定対象者間の優先順位を互いに比較し、最も優先順位の高い測定対象者の制御値を選択し、選択した制御値を上記同一の空調装置2へ出力する。なお、制御値選択部は、上位から所定の順位に位置する測定対象者の制御値の統計値を算出し、算出した制御値を上記同一の空調装置2へ出力してもよい。
【0173】
(2)前記各実施形態においては、空調動作制御装置4を空調装置2及び脂肪測定装置3と異なる筐体の装置とした。この場合、脂肪測定装置3及び空調装置2が既設であって、その既設の装置を含めて空調システム1を構築する場合に、前記既設の装置(脂肪測定装置3及び空気調和装置2)をほぼそのまま利用することができる。
【0174】
しかしながら、本発明に係る空調動作制御装置4は、前記空調装置2及び脂肪測定装置3と異なる筐体の装置とする形態に限定されるものではなく、前記空調装置2又は脂肪測定装置3の筐体内に搭載、もしくは前記空調装置2又は脂肪測定装置3と同じ筐体として構成される装置としてもよい。
【0175】
具体的には、例えば、空調動作制御装置4の目標温度算出部16をはじめとする処理部15の機能を脂肪測定装置3に設けたり空調装置2に設けたりし得る。
【0176】
この場合、前記脂肪測定装置3に前記処理部15の機能を設けることで、既設の空調装置2を含めて当該空調システム1を構築する場合に、その既設の空調装置2をほぼそのまま利用することができる。
【0177】
一方、前記空調装置2に前記処理部15の機能を設ける既設の脂肪測定装置3を含めて当該空調システム1を構築する場合に、その既設の脂肪測定装置3をほぼそのまま利用することができる。
【0178】
なお、本発明に係る空調動作制御装置4に接続され得る脂肪測定装置とは、当該装置が前記体脂肪を測定する機能を主機能とする装置であるか、前記体脂肪を測定する機能とは別の機能(例えば体重を測定する機能など)を主機能とする装置であるかに拘らず、前記体脂肪を測定する機能を備えた装置全般を指すものとする。
【0179】
(3)前記脂肪測定部の測定項目である体脂肪には、皮下脂肪の厚みや体脂肪率などがある旨前述したが、前記皮下脂肪の厚みと体脂肪率とに着目すると、両者の間には一定の対応関係がある。その対応関係の一例を図13に示す。
【0180】
図13は、男女別に、皮下脂肪の厚みと体脂肪率との対応関係を表したテーブルを示す図である。例えば、男性においては、皮下脂肪の厚み「35(mm)」と体脂肪率「20(%)」とが対応していることを示している。
【0181】
この対応関係を用いることで、前記体脂肪率を前記皮下脂肪の厚みに変換したり、前記皮下脂肪の厚みを前記体脂肪率に変換したりすることができる。したがって、前記皮下脂肪の厚み及び前記体脂肪率のうち何れか一方のパラメータしか測定できない既設の脂肪測定部を含めて空調システムを構築する場合であって、該空調システムが他方のパラメータの測定値に基づいて空調装置2の空調動作時における制御値を算出する構成とされる場合には、前記対応関係を空調システム1に格納し、該対応関係を用いて前記一方のパラメータの値を他方のパラメータの値に変換することで、前記制御値の算出を行うことができる。
【0182】
すなわち、体脂肪測定動作部9から出力される脂肪情報が体脂肪率である場合には、目標温度算出部16は、記憶部17に格納されている、皮下脂肪の厚みと体脂肪率との対応関係を表すテーブルを参照することにより、体脂肪率から皮下脂肪の厚みを算出する。または、目標温度算出部16は、体脂肪率から皮下脂肪の厚みを算出するための所定の数式を用いて体脂肪率から皮下脂肪の厚みを算出してもよい。そして、目標温度算出部16は、記憶部17に格納された、皮下脂肪の厚みと好ましい設定温度との関係を示すテーブルを参照することで、算出した皮下脂肪の厚みに対応する目標温度を算出する。
【0183】
皮下脂肪の厚みから快適温度を算出する方法の一例を説明する。
【0184】
まず、対象地域の季節又は期間における最低温度Tminと最高温度Tmaxとによって平均温度Tm(=(Tmin+Tmax)/2)を求める。なお、前記最低温度Tmin,Tmaxは例えば過去の温度であっても良い。
【0185】
次に、外部の温度に対してストレスを最小に感じる温度(以下、中性温度という)Tnを、例えば下記演算式によって求める。
【0186】
Tn=17.8+0.31×Tm
快適温度の範囲は、容認度(快適であると容認できる度合い)が90%の場合、次のようになる。なお、この範囲に例えば湿度も考慮してもよい。
【0187】
(Tn−2.5)℃〜(Tn+2.5)℃
次に、皮下脂肪の厚さL(mm)を例えば以下の演算式によって前記clo指数の値Scloに変換する。
【0188】
Sclo=L×0.096
すなわち、皮下脂肪の厚さLは、Scloの服を着ている状態に相当する。すなわち、人間は、Sclo分の暑さを感じることになる。Sclo分相当の温度Tcloは例えば以下の演算式で算出できる。
【0189】
Tclo=Sclo×6(℃)
よって、皮下脂肪の厚さLの分を考慮すると、快適温度の範囲は
(Tn−2.5−Tclo)℃〜(Tn+2.5−Tclo)℃
となる。
【0190】
したがって、この快適温度の範囲で前記目標温度を設定すればよく、前記テーブルは、この皮下脂肪の厚さLと目標温度との関係に基づいて作成すればよい。
【0191】
(4)前記各実施形態においては、各利用者に対応する目標温度を1つの値としたが、これに限定されるものではなく、該目標温度に一定の範囲を設定し、その範囲のうちどの値を用いるかを、周辺環境或いは利用者の選択によって変更できるようにしてもよい。
【0192】
例えば、前記温度範囲のうち中央の温度を前記目標温度として設定する状態を基準の状態とした場合において、その基準の状態よりできるだけエネルギー利用量を抑えたいときには、前記目標温度を、冷房時には前記温度範囲のうち最も高い温度とし、暖房時には前記温度範囲のうち最も低い温度とする態様が考えられる。
【0193】
(5)上述した空調システム1の各ブロック、特に空調制御部8、測定制御部12及び処理装置100の制御部103は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0194】
すなわち、空調制御部8等は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(Central Processing Unit)、前記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
【0195】
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである空調システム1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、空調システム1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても達成可能である。
【0196】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0197】
また、空調システム1を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0198】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0199】
すなわち、本発明は、脂肪測定手段と、前記脂肪測定手段が測定した脂肪情報から空調温度を計算する温度計算手段と、前記計算した空調温度を設定する空調温度設定手段から構成される空調システムである。
【0200】
また、この空調システムにおいて、前記空調温度設定手段は複数あり、前記体脂肪測定手段を利用した個人を識別する個人識別手段と、複数の前記空調温度設定手段の中から、前記個人が利用できる前記空調温度設定手段と対応付けるテーブル手段をさらに備え、前記個人が前記体脂肪を測定すると、前記個人識別手段は前記テーブルに基づいて、前記個人が利用できる前記空調温度設定手段の温度を設定する。
【0201】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明は、例えば体脂肪を測定する機能を備えた体重計と住戸の各部屋に設置された空気調和装置との組み合わせに適用できる。
【符号の説明】
【0203】
1 空調システム
2 空調装置(空調部)
3 脂肪測定装置(脂肪測定部)
4 空調動作制御装置
15 処理部(空調部特定部)
17 記憶部
19 第1識別部
20 第2識別部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とする空調動作制御装置。
【請求項2】
体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が取得する前記脂肪情報を用いて算出された、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を所定の通信経路を介して受信し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とする空調動作制御装置。
【請求項3】
前記制御値として、前記空調部の空調動作時における目標温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の空調動作制御装置。
【請求項4】
予め登録されている、複数の空調部と1又は複数の測定対象者との対応関係に基づき、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部によって識別された測定対象者に対応する空調部を特定する空調部特定部と通信可能に構成されており、
前記空調部特定部によって特定された空調部の制御値として、前記識別部が識別した測定対象者の測定値に対応する制御値を算出し、前記空調部特定部によって特定された空調部へ出力することを特徴とする請求項1又は3に記載の空調動作制御装置。
【請求項5】
ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値を決定することを特徴とする請求項1又は3に記載の空調動作制御装置。
【請求項6】
前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部により測定対象者が識別されると、予め登録されている複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報を、前記脂肪測定部から出力される脂肪情報の中から選択することを特徴とする請求項1又は3に記載の空調動作制御装置。
【請求項7】
前記測定値と前記制御値との関係を示す関係情報を記憶する記憶部の前記関係情報を用いて前記制御値を算出することを特徴とする請求項1,3〜6の何れか一項に記載の空調動作制御装置。
【請求項8】
前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部と、
前記識別部により識別された測定対象者と、予め定められた複数の空調部と測定対象者との対応関係とに基づいて上記制御値を出力する先の空調部を特定する空調部特定部と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の空調動作制御装置。
【請求項9】
複数の利用者にそれぞれ対応した複数の制御値を上記所定の通信経路を介して受信し、
同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別する識別部を備え、
ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した上記識別部による識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、受信した上記複数の制御値の中から前記同一の空調部へ出力する制御値を選択することを特徴とする請求項2に記載の空調動作制御装置。
【請求項10】
前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置、及び、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とは異なる筐体内に実装されており、
前記生体情報検出装置及び前記空気調和装置との間で、有線又は無線により通信可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の空調動作制御装置。
【請求項11】
前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置と、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とのうち、何れか一方に備えられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の空調動作制御装置。
【請求項12】
体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部と、
前記空調動作を行う空調部と、
請求項1〜11の何れか一項に記載の空調動作制御装置と
を備え、
前記空調部は、前記空調動作制御装置から取得した制御値に基づいて空調動作を行うことを特徴とする空調システム。
【請求項1】
体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が出力する前記脂肪情報を所定の通信経路を介して受信し、受信した脂肪情報が示す測定値から、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を算出し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とする空調動作制御装置。
【請求項2】
体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部が取得する前記脂肪情報を用いて算出された、空調動作を行う空調部の空調動作に用いる制御値を所定の通信経路を介して受信し、該制御値を前記空調部に出力することを特徴とする空調動作制御装置。
【請求項3】
前記制御値として、前記空調部の空調動作時における目標温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の空調動作制御装置。
【請求項4】
予め登録されている、複数の空調部と1又は複数の測定対象者との対応関係に基づき、前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部によって識別された測定対象者に対応する空調部を特定する空調部特定部と通信可能に構成されており、
前記空調部特定部によって特定された空調部の制御値として、前記識別部が識別した測定対象者の測定値に対応する制御値を算出し、前記空調部特定部によって特定された空調部へ出力することを特徴とする請求項1又は3に記載の空調動作制御装置。
【請求項5】
ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、前記同一の空調部へ出力する制御値を決定することを特徴とする請求項1又は3に記載の空調動作制御装置。
【請求項6】
前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部により測定対象者が識別されると、予め登録されている複数の測定対象者間の優先順位に基づいて、前記制御値を算出するために用いる脂肪情報を、前記脂肪測定部から出力される脂肪情報の中から選択することを特徴とする請求項1又は3に記載の空調動作制御装置。
【請求項7】
前記測定値と前記制御値との関係を示す関係情報を記憶する記憶部の前記関係情報を用いて前記制御値を算出することを特徴とする請求項1,3〜6の何れか一項に記載の空調動作制御装置。
【請求項8】
前記脂肪測定部の測定対象者を識別する識別部と、
前記識別部により識別された測定対象者と、予め定められた複数の空調部と測定対象者との対応関係とに基づいて上記制御値を出力する先の空調部を特定する空調部特定部と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の空調動作制御装置。
【請求項9】
複数の利用者にそれぞれ対応した複数の制御値を上記所定の通信経路を介して受信し、
同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別する識別部を備え、
ある時点で同一の空調部を同時利用している複数の利用者を識別した上記識別部による識別結果と、前記同一の空調部を複数の利用者が同時に利用する状況における利用者間の優先順位とに基づいて、受信した上記複数の制御値の中から前記同一の空調部へ出力する制御値を選択することを特徴とする請求項2に記載の空調動作制御装置。
【請求項10】
前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置、及び、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とは異なる筐体内に実装されており、
前記生体情報検出装置及び前記空気調和装置との間で、有線又は無線により通信可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の空調動作制御装置。
【請求項11】
前記体脂肪の情報を含む生体情報を検出する、前記脂肪測定部を備えた生体情報検出装置と、前記制御値に基づいて空調対象空間における空気環境の空調動作を行う、前記空調部を備えた空気調和装置とのうち、何れか一方に備えられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の空調動作制御装置。
【請求項12】
体脂肪の測定値を示す脂肪情報を取得する脂肪測定部と、
前記空調動作を行う空調部と、
請求項1〜11の何れか一項に記載の空調動作制御装置と
を備え、
前記空調部は、前記空調動作制御装置から取得した制御値に基づいて空調動作を行うことを特徴とする空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−163277(P2012−163277A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24928(P2011−24928)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]