説明

空調器具吸排気口用脱臭フィルターおよびその製造方法

【課題】 本発明は、即効性に優れた物理的吸着を行う脱臭、あるいは、抗菌剤を用いた抗菌防臭とともにエアコン、換気扇あるいはレンジフード等の各種空調器具が稼動あるいは停止に係らず、しかも室内の灯りとして利用されている蛍光灯の光エネルギーを利用することができる可視光応答型光触媒を複合的に付着させて長期間にわたって脱臭や浄化を維持することができる空調器具吸排気口用脱臭フィルターおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明に係る空調器具吸排気口用脱臭フィルターは、物理的吸着型脱臭剤2や抗菌剤3と共に可視光応答型の光触媒酸化チタン4を複合的に付着した不織布1を、エアコン5a、換気扇5bあるいはレンジフード5c等の空調器具本体5のフロント部分に形成されている吸気口6に止着手段7を介して貼着されることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭用のエアコン、換気扇あるいはレンジフード等の空調器具の吸排気口に取り付けられる、主として可視光線応答型の光触媒機能を利用した空気の脱臭や浄化を目的とする空調器具吸排気口用脱臭フィルターおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、これらの空調器具の吸排気口には、脱臭や浄化を目的とする場合には、活性炭、備長炭、竹炭あるいはゼオライト等を主成分とする溶液を各種手段により不織布等に浸漬等の手段によりそのシートの表面に塗布し乾燥させたもの、あるいは、抗菌剤を塗布したもの等が用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来用いられている活性炭等を利用した家庭用エアコンを始めとする各種空調器具用の脱臭フィルターは、物理的吸着と呼ばれる微細な細孔の表面積を利用して吸着させるものであって、即効性に優れて幅広く脱臭剤として用いられていたが、耐久性に劣るという欠点があった。
【0004】
また、従来主として台所等に用いられているレンジフードあるいは換気扇用フィルターは、油煙を除去することはできるが、そのまま悪臭を屋外に放出したり、レンジフードや換気扇の停止時にはキッチンルームに悪臭が滞留したりすることが見られた。
【0005】
さらに、抗菌剤を用いた抗菌防臭は、積極的に臭いを除去するものではなく、菌を発生させないことによって悪臭を生じさせないというもので、積極的な脱臭効果は期待できなかった。
【0006】
さらに、二酸化チタンの光触媒機能を用いた脱臭も一部行われてはいるが、紫外線に反応するタイプであるため、太陽光が当たる場所あるいは紫外線を照射しなければ十分な光触媒による脱臭や浄化作用を得られることができなかった。
【0007】
本発明は、即効性に優れた物理的吸着を行う脱臭、あるいは、抗菌剤を用いた抗菌防臭とともにエアコン等の空調器具が稼動あるいは停止に係らず、しかも室内の灯りとして利用されている蛍光灯の光エネルギーを利用することができる可視光線応答型光触媒を複合的に用いて長期間にわたって脱臭や浄化を維持することができる家庭用のエアコン、換気扇あるいはレンジフード等の空調器具吸排気口用脱臭フィルターおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空調器具吸排気口用脱臭フィルターは、物理的吸着を行う脱臭剤あるいは抗菌防臭を行う抗菌剤とともに酸素欠陥を有するアナターゼ型二酸化チタン、窒素添加型酸化チタン等の可視光応答型の光触媒酸化チタンを複合的に不織布に付着して空調器具のフロント部分に形成される吸排気口に貼着等により取付けてなることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明に係る空調器具吸排気口用脱臭フィルターの製造方法は、活性炭等の炭素系脱臭剤、ゼオライト等の多孔質脱臭剤、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤とともに酸素欠陥を有するアナターゼ型二酸化チタン、窒素添加型酸化チタン等の可視光応答型の光触媒酸化チタンおよびバインダー含む水溶液に、比重によるばらつきを防止する増粘剤および界面活性剤を含む溶液に不織布を浸漬または塗布等の手段により、前記可視光応答型の光触媒酸化チタンを含む脱臭成分を不織布の繊維に付着して製せられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空調器具吸排気口用脱臭フィルターによれば、物理的吸着および抗菌防臭とともに光触媒に優れた成分を付着させた不織布からなり、空調器具のフロント部分に形成される吸排気口に取付けてなることにより、空調器具の吸排気口を通過する臭気を効果的にかつ長期間にわたって除去することができるものである。
【0011】
さらに、不織布を用いて空調器具の吸排気口に貼着することにより、取付けや取り外しがきわめて容易であり、しかも空調器具吸排気口用脱臭フィルターの吸気効率を妨げることなく臭気を除去することができる。
【0012】
さらに、蛍光灯の光や可視光線に反応する酸素欠陥を有するアナターゼ型二酸化チタン、窒素添加型酸化チタン等の可視光応答型の光触媒酸化チタンを採用することにより、室内の灯りとして利用されている蛍光灯の光エネルギーを利用して反応させ、物理吸着型即効性脱臭剤や抗菌型防臭を単独に用いる場合に比して、様々の種類や条件に対応し、かつ、長期間室内の空気の脱臭や浄化を行うことができる。
【0013】
さらに、不織布の繊維部分に可視光応答型の光触媒酸化チタンを含む各種の脱臭剤を略均一に付着することにより、様々の形状を有する空調器具のフロント部分に形成される吸排気口に貼着され、常時効率よく室内の空気を浄化することができる。
【0014】
さらに、空調器具の稼動時においては風速の速さに対応して物理吸着型の即効性の脱臭効果が得られ、また停止時においては可視光応答型の光触媒酸化チタンが反応して、エアコン等の空調器具の稼動、停止状態に係らず脱臭や浄化を持続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明に係る空調器具とくに家庭用エアコンへの取付け状態を示す斜視図であり、図2は、不織布からなるフィルターを示す部分拡大図であり、図3は空調器具としての換気扇への取付け状態を、また、図4は空調器具としてのレンジフードへの取付け状態をそれぞれ示す斜視図である。
【0016】
本発明に係る空調器具吸排気口用脱臭フィルターは、ポリエステル等の化学繊維又は合成繊維からなる適宜の柔軟性を有する不織布1を基材として用いるものである。
【0017】
この不織布1には、活性炭等の炭素系脱臭剤、脱臭等の機能に優れた多孔質の構造体である人工又は合成ゼオライト等の多孔質脱臭剤等の物理的吸着型脱臭剤2、無機系および有機系抗菌剤からなる抗菌防臭性の抗菌剤3、並びに、酸素欠陥を有するアナターゼ型二酸化チタン、窒素添加型酸化チタンの室内の灯りとして利用されている蛍光灯の光エネルギーを利用して反応する可視光応答型の光触媒酸化チタン4およびバインダー含む混合水溶液を形成する。
【0018】
さらに、この混合水溶液に比重によるばらつきを防止する増粘剤、および界面活性剤を加えた溶液に不織布1を浸漬または塗布等の手段により、この不織布の繊維部分に可視光応答型の光触媒酸化チタン4を始めとする物理的吸着型脱臭剤2や抗菌剤3を浸漬または塗布等の手段により付着させ、乾燥させてフィルターが得られる。
【0019】
さらに、この不織布1には、図2に示すように、物理的吸着型脱臭剤2や抗菌剤3と共に可視光応答型の光触媒酸化チタン4を複合的に付着して、この柔軟性のある不織布フィルターを様々の凹凸や角部を有する吸排気器具本体5のフロント部分に形成されている吸排気口6にマジックテープ又は両面テープ等の止着手段7を介して貼着されるものである。
【0020】
このように脱臭、抗菌等を有する不織布1を、図1に示すように、空調器具本体5であるエアコン5aのフロント部分に形成される吸気口6に適宜大きさに切断して止着手段7を介して貼着してなるものである。
【0021】
図3に示す実施形態は、空調器具本体5として換気扇5bのフロント部分に形成される吸気口6に脱臭、抗菌等を有する不織布1を貼着したもので、換気扇5bの吸排気口6の回りの埃や油をよく拭きとって、その縁面に適宜間隔で両面テープ等の止着手段7を介して換気扇5bのフロント部分の大ききに対応して切断された不織布1を隙間なく貼着して取り付けられるものである。
【0022】
さらに、図4に示す実施形態は、空調器具本体5としてレンジフード5cのフロント部分に形成される吸気口6に取り付けられる2枚の金属フィルター8、8に脱臭、抗菌等を有する不織布1を貼着したもので、この吸気口6に取り付けられる金属フィルター8を取り外して、換気扇5bと同様よく洗ってから2枚の金属フィルター8、8にそれぞれの面積に応じて不織布1を切断して止着手段7を介して金属フィルター8、8に取付けてから、レンジフード5cのフロント部分に形成される吸気口6に取り付けられるものである。
【0023】
なお、このように空調器具本体5のフロント部分に形成される吸排気口6に取り付けられる不織布1から形成される脱臭用シートは、1枚に限らずとくに汚れが集中しやすい箇所へは重ね合わせて貼着することによりその脱臭効率を高め、かつ長期間の使用に供することができるものである(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る空調器具吸排気口用脱臭フィルターのエアコンへの取付け状態を示す斜視図である。
【図2】フィルターを示す部分拡大図である。
【図3】換気扇への取付け状態を示す一部を切欠した斜視図である。
【図4】レンジフードへの取付け状態を示す一部を切欠した斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 不織布
2 物理的吸着型脱臭剤
3 抗菌防臭型抗菌剤
4 可視光応答型の光触媒酸化チタン
5 空調器具本体
5a エアコン本体
5b 換気扇本体
5c レンジフード本体
6 空調器具本体5の吸排気口
7 止着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的吸着を行う脱臭剤あるいは抗菌防臭を行う抗菌剤とともに酸素欠陥を有するアナターゼ型二酸化チタン、窒素添加型酸化チタン等の可視光応答型の光触媒酸化チタンを複合的に不織布シートに付着してエアコン、換気扇あるいはレンジフード等の空調器具のフロント部分に形成される吸排気口に貼着してなることを特徴とする空調器具吸排気口用脱臭フィルター。
【請求項2】
活性炭等の炭素系脱臭剤、ゼオライト等の多孔質脱臭剤、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤とともに酸素欠陥を有するアナターゼ型二酸化チタン、窒素添加型酸化チタン等の可視光応答型の光触媒酸化チタンおよびバインダー含む水溶液に、比重によるばらつきを防止する増粘剤および界面活性剤を含む溶液に不織布を浸漬または塗布等の手段により、前記可視光応答型の光触媒酸化チタンを含む脱臭成分を不織布の繊維に付着して製せられることを特徴とする空調器具吸排気口用脱臭フィルターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−280906(P2006−280906A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278708(P2005−278708)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(503081542)有限会社武蔵野資材 (1)
【Fターム(参考)】