説明

空調状態通知装置

【課題】空調の状態を運転者に知らせ不必要な空調装置の作動を抑制する。
【解決手段】メーター装置を制御するメーターECUとシート空調装置を制御する空調ECUとがCANバスで相互通信可能に接続されている。降車時等イグニッションスイッチをON状態からOFF状態に切り替えた際、直前の空調の状態が作動状態(S3)であった場合にはメーター装置のディスプレイに「後席のシート空調OFFにしますか?」といった提案を表示させる(S4)。運転者はステアリングホイールに設けられたスイッチ操作により空調の次回状態を作動・非作動のいずれかに設定でき、メーターECU21はその信号を空調ECU31に送信する(T7又はT8)。次回イグニッションスイッチのON状態切り替え際には、空調ECU31がシート空調装置を上記設定された次回状態とする制御を行う(T1又はT6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられて車内環境の温度調節を行う空調装置の作動状態、非作動状態を運転者に通知する空調状態通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に備えられて車内環境の温度調節を行う空調装置は、車室空間に直接温風ないし冷風を吹き出して室温調節を行う室内空調装置や、乗員が座る車両シートの温度調節を行うシート空調装置がある。これらの空調装置は、降車の際に上記空調装置を含む車両電装品のイグニッションスイッチがオフ状態とされると、その直前における作動状態が前回状態(いわゆるラストモード)として記憶され、次回乗車時にイグニッションスイッチがオン状態とされると前回状態に復帰するものが一般的である。
なお、車両用の空調装置に関連する技術は、例えば下記特許文献1に開示されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−146055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでシート空調装置は、その目的から各座席に対して個別にその作動状態を設定できるものであり、後席用のシート空調装置は後席に設けられた操作盤(センターコンソールパネル等)にて独立して管理されていた。このため運転席からは、この操作盤に配置されたスイッチ類やディスプレイを視認しにくく、シート空調装置の作動状態が確認しにくかったという事情があった。
したがって、例えば後席に座っていた乗員が後席用シート空調装置をオン状態としたまま降車し、その後運転者がイグニッションスイッチをオフ状態とした場合、次回イグニッションスイッチをオン状態にした際に後席に誰も座らない場合であっても、不必要に後席用のシート空調装置が前回状態に復帰して作動するため、運転者や他の乗員が意図せず空調装置が作動するという問題があった。なお、シート空調装置のみならず、室内空調装置についても上記と同様の問題が生じ得る。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、イグニッションスイッチのオン時に前回状態に復帰する車両用空調装置において、空調の状態を運転者に知らせ不必要な空調装置の作動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る空調状態通知装置は次の手段をとる。
本発明の第1の発明に係る空調状態通知装置は、車両に備えられて車内環境の温度調節を行う空調装置と、該空調装置を作動状態と非作動状態に切り替えることのできる切り替え機構と、前記空調装置を含む車両電装品へのバッテリからの電源供給状態を切り替えるイグニッションスイッチとを備え、前記空調装置は、前記イグニッションスイッチがオフ状態とされた後にオン状態とされたときにはオフ状態とする直前の状態に復帰する構成となっており、前記イグニッションスイッチがオフ状態とされた際、その直前に前記空調装置が作動状態であった場合に一時的に当該状態を運転席に着座した運転者に知らせる通知手段が備えられていることを特徴とする。
この構成によれば、イグニッションスイッチがオフ状態とされる直前に空調装置が作動状態であった場合、その後イグニッションスイッチがオン状態とされた際には空調装置が作動状態に復帰する。さらに、イグニッションスイッチがオフ状態とされた際には、その直前に空調が作動状態であった上記のような場合において、通知手段が一時的にこの状態を運転席に着座した乗員に知らせる。したがって、空調の状態を運転者に知らせることで、不必要な空調装置の作動を抑制することができる。
【0007】
本発明の第2の発明に係る空調状態通知装置は、第1の発明に係る空調状態通知装置であって、前記通知手段が前記状態を運転席に着座した乗員に知らせた際に一時的に操作可能であって、前記イグニッションスイッチがオン状態とされたときの前記空調装置の状態を非作動状態とすることのできる次回状態変更手段が、運転席から操作可能な位置に配設されていることを特徴とする。
この構成によれば、通知手段が前記の状態を運転席に着座した乗員に知らせた際に、次回状態変更手段を運転席から操作することにより、次回イグニッションスイッチがオン状態とされたときの空調装置の状態を非作動状態とすることができる。したがって、次回の空調の状態を運転者が運転席から設定できるようにすることで、不必要な空調装置の作動を抑制することができる。
【0008】
本発明の第3の発明に係る空調状態通知装置は、第1又は第2のいずれかの発明に係る空調状態通知装置であって、前記空調装置は、車両シートの温度調節を行うシート空調装置であることを特徴とする。
この構成によれば、車両シートが運転席以外の場合には、その温度調節を行うシート空調装置の状態を運転者が運転席から知覚しにくいため、不必要な空調装置の作動を抑制する上記の効果が一層有効なものとなる。
【0009】
本発明の第4の発明に係る空調状態通知装置は、第1又は第2のいずれかの発明に係る空調状態通知装置であって、前記空調装置は、室温調節を行う室内空調装置であることを特徴とする。
この構成によれば、不必要な室内空調装置の作動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、空調の状態を運転者に知らせることで、不必要な空調装置の作動を抑制することができる。
第2の発明によれば、次回の空調の状態を運転者が運転席から設定できるようにすることで、不必要な空調装置の作動を抑制することができる。
第3の発明によれば、不必要な空調装置の作動を抑制する効果が一層有効なものとなる。
第4の発明によれば、不必要な室内空調装置の作動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の車両を示す図である。
【図2】運転席前部のインストルメントパネル上に配置されたマルチインフォメーションディスプレイを示す図である。
【図3】ステアリングホイール上に配置された十字キーを示す図である。
【図4】本実施形態の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本実施形態の主要な状態の遷移を示す状態遷移図である。
【図6】図2のマルチインフォメーションディスプレイの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1を概略的に示している。車室内には運転席11D、助手席11P、左右の後部座席11Rが配設されている。運転席11Dの前方には、ステアリングホイール12と、インストルメントパネル13(計器盤)とが配設されている。
車両1には座席の温度調節を個別に行うシート空調装置3(図4参照)が設けられている。図1に示されるように、各座席11D,11P,11Rには、それぞれのシート空調装置の本体ユニット14D,14P,14Rが設けられている。後部座席11Rの中央には、後部座席用の空調本体ユニット14R等の操作を行うセンターコンソールパネル15が配設されている。以下、この後部座席用シート空調装置3を単にシート空調装置3という。
【0013】
車両1は、バッテリ(図示せず)からシート空調装置3やメーター装置2を含む各種電装品への電源供給状態を切り替えるイグニッションスイッチ16を備えている(図4参照)。イグニッションスイッチ16は、前記のステアリングホイール12を支持するステアリングコラムに配設され、イグニッションキーを用いて操作される。イグニッションスイッチ16は、イグニッションキーによりOFF状態、ACC状態、ON状態に切り替え可能とされている。イグニッションスイッチ16のON状態(IG−ON状態と記す。本発明におけるオン状態に相当。)は車両1の走行時やアイドリング時等に用いられ、バッテリからシート空調装置3及びメーター装置2に給電される。イグニッションスイッチ16のOFF状態(IG−OFF状態と記す。本発明におけるオフ状態に相当。)は車両1の駐車時に用いられる。図5の状態遷移図においては、IG−OFF状態はS1,S4,S5で示される状態に対応し、IG−ON状態はS2,S3で示される状態に対応する。
【0014】
メーター装置2は、図2から図4に示されるように、メーターECU21と、ステアリングスイッチ22と、マルチインフォメーションディスプレイ23(以下、単にディスプレイ23という)と、メーター類24とを備える。
メーターECU21は、図示しないCPU、記憶装置、これらを接続するデータバス等から構成されたコンピュータ(電子制御ユニット)であり、メーター類24、ディスプレイ23、ステアリングスイッチ22と電気配線により接続されている。メーターECU21は、ステアリングスイッチ22や各種センサ類から入力された信号に基づき、記憶装置に格納されたプログラムに従って、ディスプレイ23やメーター類24の制御を行う。
ステアリングスイッチ22は、前記のステアリングホイール12上に配設された十字キー17の押下によって、運転席11Dに座った運転者が操作可能とされている。十字キー17が操作されると、ステアリングスイッチ22は、その時々のディスプレイ23の表示に即して所定の制御を要求する信号をメーターECU21に送信する。ステアリングスイッチ22は、ディスプレイ23切り替えスイッチと、ENTERスイッチとを含む。ディスプレイ23切り替えスイッチは、図3に示される十字キー17の上下のボタン17a,17aに割り当てられている。ディスプレイ23切り替えスイッチは、例えば前記ディスプレイ23に表示される情報の切り替えや、ディスプレイ23に表示された処理項目(選択肢)の選択状態の切り替えを要求する。ENTERスイッチは、同図に示される十字キー17の中央のボタン17bに割り当てられている。ENTERスイッチは、例えばディスプレイ23に表示された処理確認内容の承諾や、上記ディスプレイ23切り替えスイッチにより選択された処理項目の決定等を要求する。
メーター類24とディスプレイ23とは、前記のインストルメントパネル13上に配置されており、運転席11Dに座った運転者が視認可能とされている。メーター類24は、スピードメータやタコメータ等を含む。ディスプレイ23は、シート空調装置3の状態通知や、次処理の提案等、各種の情報を表示する。
【0015】
シート空調装置3は、空調ECU31と、空調スイッチ32と、後部座席用の空調本体ユニット14Rと、空調インジケータ34とを備える。
空調ECU31は、図示しないCPU、記憶装置、これらを接続するデータバス等から構成されたコンピュータ(電子制御ユニット)であり、空調スイッチ32、空調本体ユニット14R、空調インジケータ34、室温センサ(図示せず)等と電気配線により接続されている。空調ECU31は、空調スイッチ32や室温センサ等から入力された信号に基づき、記憶装置に格納されたプログラムに従って、空調本体ユニット14Rや空調インジケータ34の制御を行う。
空調スイッチ32は前記のセンターコンソールパネル15上に配置されており、後部座席11Rに座った乗員が操作可能とされている。空調スイッチ32はモーメンタリ型(自動復帰型)の押しボタンスイッチが用いられている。空調スイッチ32は、押下している間のみ押しボタンが変位して入状態となり、押下する圧力を解放するとばね等により押しボタンが元の位置に復帰して切状態となる。空調スイッチ32は、入状態となるたびに空調ECU31に切り替え信号を送信する。押しボタンによって操作されるこの空調スイッチ32が本発明でいう「切り替え機構」に相当する。
シート空調装置3の本体ユニット14Rは後部座席11R内部に設けられており、作動状態においては適宜温風ないし冷風を発生させることにより後部座席11Rの温度調節を行う。IG−ON状態においては、空調ECU31は空調スイッチ32から切り替え信号の入力があるたびに、空調本体ユニット14Rの作動状態と非作動状態と(以下、これを単に空調の状態という)を切り替える。すなわち、空調スイッチ32の押しボタンは、押下されていない限り、空調の状態が作動、非作動のいずれであるかに関わらず常に同じ位置となるよう構成されている。図5には作動状態を符号S3、非作動状態を符号S2で示し、この間の切り替えによる遷移を符号T3,T4にて示す。
空調インジケータ34はLED等のランプであり、前記のセンターコンソールパネル15上に配置されて、後部座席11Rに座った乗員により視認可能とされている。空調ECU31は、空調本体ユニット14Rが作動状態である間、空調インジケータ34を点灯させて後部座席11Rの乗員に空調の状態が作動状態であることを通知する。
【0016】
前記のイグニッションスイッチ16の操作によりIG−ON状態からIG−OFF状態に切り替わると空調本体ユニット14Rへの給電が停止し、空調本体ユニット14Rは非作動状態となる。IG−OFF状態からIG−ON状態に切り替わると、空調本体ユニット14Rへの給電が再開されるが、原則的には、前回IG−OFF状態に切り替わった直前における空調の状態(以下、空調の前回状態という)に復帰するよう制御される。しかし、空調の状態を通知する空調インジケータ34は前述のように後部座席11R中央に設けられているため、運転席11Dに座っている運転者はこれを視認しにくく、また空調の状態を直接知覚することも困難であるため、次回IG−ON状態に切り替わった際の空調の状態(以下、空調の次回状態という)が不必要に作動状態となっても気付かないことがある。このため、上記空調ECU31とメーターECU21とを以下のように構成することで運転席11Dの運転者に空調の状態を通知可能にするとともに、上記の原則的な制御に加えて運転席11Dから次回状態を前回状態とは異なるように変更することを可能とする。
【0017】
車両1には、搭載されたECU間で双方向通信を行う車載ネットワークとして、CAN(controller area network)システムが構築されている。前記のメーターECU21と空調ECU31は、CANバス4を介して接続されており、相互に信号の送受信が可能とされている。
まず、運転中等IG−ON状態(図5のS2、S3)における制御について説明する。IG−ON状態の間、空調スイッチ32が操作されて空調の状態が切り替わるたびに、空調ECU31はこの空調の状態を記憶装置に記憶するとともに、この空調の状態を通知する信号をメーターECU21に送信する。メーターECU21もまた、受信した空調の状態を記憶装置に記憶する。十字キー17の操作が操作されて、ディスプレイ23切り替えスイッチがディスプレイ23への空調の状態の表示を要求すると、メーターECU21は記憶している空調の状態をディスプレイ23に送信してこれを表示させる。例えば、空調本体ユニット14Rが作動状態(図5のS3)である場合には「後席シート空調ON」と表示し、空調本体ユニット14Rが非作動状態(図5のS2)である場合には「後席シート空調OFF」と表示する。図6(A)には、この前者の場合におけるディスプレイ23の表示例が示されている。以上の構成により、運転席11Dの運転者は運転中にディスプレイ23の表示によって現在の空調の状態を知ることができる。このディスプレイ23が本発明でいう「通知手段」に相当する。
【0018】
次に、降車時等IG−ON状態からIG−OFF状態に切り替えた際の制御について説明する。IG−OFF状態に切り替わった場合、空調本体ユニット14Rは前述のように給電が停止されて非作動状態となるが、ディスプレイ23及びステアリングスイッチ22は所定時間使用可能とされ、メーターECU21と空調ECU31はそれぞれ記憶している空調の前回状態に応じて以下のように制御を行う。
まず、空調の前回状態が非作動状態(S2)である場合、メーターECU21はディスプレイ23を消灯した後に制御を終了する。また、空調ECU31は、空調の次回状態を非作動状態に設定した後に制御を終了する(S1)。図5には符号T2にてこの状態遷移を示す。
空調の前回状態が作動状態(S3)である場合、メーターECU21はディスプレイ23に、例えば「後席のシート空調OFFにしますか?」といった提案を表示させ、運転者の入力待ち状態に入る(S4)。図5には符号T5にてこの状態遷移を示す。図6(B)にはこの入力待ち状態におけるディスプレイ23の表示例が示されている。同図に示されるように、ディスプレイ23には上下に「はい」と「いいえ」の処理項目が表示されており、「はい」が選択された状態とされている。
この状態において、運転者は十字キー17を操作することにより、空調の次回状態を作動状態と非作動状態のいずれにするかを選択・決定することができる。具体的には、十字キー17の上下ボタンによって上記の「はい」と「いいえ」の処理項目を選択し、中央ボタンによって選択した処理項目を決定する。「はい」が決定された場合、メーターECU21は空調の次回状態を非作動状態に設定することを要求する信号を空調ECU31に送信する。図5にはT7でこの状態遷移を示す。「いいえ」が決定された場合は、空調の次回状態を作動状態に設定することを要求する信号を送信する。図5にはT8でこの状態遷移を示す。一方、運転者は「はい」または「いいえ」の決定を放棄することもできる。所定時間が経過する間に「はい」または「いいえ」のいずれも決定されなかった場合には、上記の「いいえ」を選択した際と同様の状態遷移(T8)となり、メーターECU21は空調の次回状態を作動状態とすることを要求する信号を空調ECU31に送信する。いずれの場合も、空調ECU31は、受信した空調の次回状態を記憶装置に記憶し、メーターECUはディスプレイを消灯して制御を終了する(S1,S5)。
以上の構成により、運転席11Dの運転者は降車時にディスプレイ23に表示される提案によって空調の前回状態が作動状態であったことを知ることができ、この提案に対して十字キー17の操作によって「はい」を選択することにより、空調の次回状態を(本来の前回状態とは異なる)非作動状態に設定変更することができる。この十字キー17によって操作されるステアリングスイッチ22が本発明でいう「次回状態変更手段」に相当する。
【0019】
次に、乗車時等IG−OFF状態からIG−ON状態(S2またはS3)に切り替えた際の制御について説明する。IG−ON状態に切り替わった場合、メーターECU21はディスプレイ23を点灯させ必要に応じて各種情報を表示させる。また空調本体ユニット14Rには給電が開始される。空調ECU31は空調の状態を、記憶していた次回状態に設定する。すなわち図5に示されるように、IG−OFF状態がS1状態であったときはT1の遷移により空調が非作動状態となり、IG−OFF状態がS5状態であったときはT6の遷移により空調が作動状態となる。
【0020】
以上のように構成される空調状態通知装置の実施形態は、以下のような作用効果を奏する。
この構成によれば、運転者がステアリングホイール12上に配置された十字キー17の操作が操作することによりディスプレイ23に空調の状態をディスプレイ23に表示させることができる。これにより、運転席11Dの運転者は運転中にディスプレイ23の表示によって現在の空調の状態を知ることができる。
【0021】
またこの構成によれば、運転者が降車時等にイグニッションスイッチ16をIG−ON状態からIG−OFF状態に切り替えた際、その直前に空調の状態が作動状態であった場合には、ディスプレイ23に「後席のシート空調OFFにしますか?」といった提案が表示され、運転者の入力待ち状態に入る。したがって、このディスプレイ23に表示される提案によって、運転者は空調の前回状態が作動状態であったことを知ることができる。運転者は、この提案に対してステアリングホイール12上に配置された十字キー17の操作によって「はい」を選択・決定することにより、運転席11Dに居ながらにして空調の次回状態を非作動状態に設定変更することができる。したがって、次回運転時に後部座席11Rに乗員が座らない場合であっても不必要に空調本体ユニット14Rが作動することを抑制し、ひいては車両1の燃費の低下を抑制することができる。
【0022】
また、後部座席11Rの温度調節を行う後席用シート空調装置3は、車室空間の室温を調節する室内空調装置とは異なり、その状態は運転者が運転席11Dから知覚しにくいものであるため、上記のように不必要な空調本体ユニット14Rの作動を抑制できる効果は一層有効なものとなる。
【0023】
なお、本発明に係る空調状態通知装置は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施できるものである。
本実施形態は、ディスプレイ23に表示された提案に対して運転者はステアリングホイール12上に配置された十字キー17の操作により空調の次回状態を設定変更するものであったが、例えば後部座席11Rの中央に配設された空調スイッチ32を運転席11Dから手を伸ばして操作することにより直接的に空調の次回状態を設定変更できるものとしてもよい。
また、空調の前回状態や次回状態は空調ECU31とメーターECU21のいずれに記憶してもよく、空調ECU31とメーターECU21間で必要な通信は、制御が有効に機能する限りにおいてIG−OFF状態、IG−ON状態のいずれに切り替えるタイミングにて行ってもよいものである。
また、本実施形態においては、空調ECU31とメーターECU21はCANシステムのCANバス4によって接続されていたが、直線(じかせん)によって一対一に接続されてもよい。
また、本実施形態は、シート空調装置3が後部座席11R用の空調本体ユニット14Rを制御する場合であったが、助手席11P等、前席11D,11P用の空調本体ユニット14D,14Pを制御する実施形態としても良く、また、各座席用に風の吹き出し口が設けられた室内空調装置に適用する実施形態としても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 車両
11D 運転席
11P 助手席
11R 後部座席
12 ステアリングホイール
13 インストルメントパネル
14D,14P,14R 空調本体ユニット
15 センターコンソールパネル
16 イグニッションスイッチ
17a 上下のボタン
17b 中央のボタン
17 十字キー
2 メーター装置
21 メーターECU
22 ステアリングスイッチ
23 マルチインフォメーションディスプレイ
24 メーター類
3 シート空調装置
31 空調ECU
32 空調スイッチ
34 空調インジケータ
4 CANバス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられて車内環境の温度調節を行う空調装置と、
該空調装置を作動状態と非作動状態に切り替えることのできる切り替え機構と、
前記空調装置を含む車両電装品へのバッテリからの電源供給状態を切り替えるイグニッションスイッチとを備え、
前記空調装置は、前記イグニッションスイッチがオフ状態とされた後にオン状態とされたときにはオフ状態とする直前の状態に復帰する構成となっており、
前記イグニッションスイッチがオフ状態とされた際、その直前に前記空調装置が作動状態であった場合に一時的に当該状態を運転席に着座した運転者に知らせる通知手段が備えられていることを特徴とする空調状態通知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調状態通知装置であって、
前記通知手段が前記状態を運転席に着座した乗員に知らせた際に一時的に操作可能であって、前記イグニッションスイッチがオン状態とされたときの前記空調装置の状態を非作動状態とすることのできる次回状態変更手段が、運転席から操作可能な位置に配設されていることを特徴とする空調状態通知装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の空調状態通知装置であって、
前記空調装置は、車両シートの温度調節を行うシート空調装置であることを特徴とする空調状態通知装置。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれかに記載の空調状態通知装置であって、
前記空調装置は、室温調節を行う室内空調装置であることを特徴とする空調状態通知装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−82330(P2013−82330A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223748(P2011−223748)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】