説明

空調装置

【課題】 浴室と、同浴室に隣接する脱衣室とを同時に、且つ同等の室温に調節することができるようにし、また、その装置の設置工事に関する工数およびコストを低減することができるようにした空調装置を提供する。
【解決手段】 温度が異なる二室AおよびBを隔てた隔壁の両面に設置され、第一吸込口1と第一吹出口2とを結ぶ第一空気通路3を備えた第一ユニットと、第二吸込口4と第二吹出口5とを結ぶ第二空気通路6を備えた第二ユニットと、前記第一空気通路3に設けられた第一送風ファン7と、前記第二空気通路6に設けられた第二送風ファン8と、前記第一空気通路3および前記第二空気通路6に夫々連続する平行流を備えた熱交換素子10と、前記隔壁Cを貫通して前記第一空気通路3または前記第二空気通路6に接続する接続管とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関わり、より詳細には、二室を効率よく同時に空気調和することができるようにし、また、その装置の設置工事に関する工数およびコストを低減することができるようにした構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室と、同浴室に隣接する脱衣室とを空気調和する従来の空調装置として、浴室に隣接した脱衣室の壁面に本体を設置して省スペース化をはかり、送風ノズルを浴室の扉の開口部に挿入するときは、浴室の乾燥、暖房、衣類の乾燥を行い、収納時は脱衣室の暖房ができるようにし、また、扉の開口部を通気性のカーテン材で覆うことにより、湿気を選択的に浴室外または脱衣室を通じて室外へ排出できるようにし、また、上下左右の自動風向ルーバにより、浴室全体に温風を循環させて乾燥効率を向上することができるようにし、更に、吸気路の本体側に設けた温度センサにより異常温度上昇を防止して、湿度センサにより省エネ運転が可能となるものが開示されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これにより、例えば従来技術の第一例として図3(A)で示すように、換気孔を備えた浴室Aと、同浴室Aに隣接する脱衣室Bとに暖房乾燥装置aを夫々一台づつ設置することで、二台分のコストが掛かってしまったり、二台稼動させるための消費電力等のランニングコストが掛かってしまうということがなくなり、または、従来技術の第二例として図3(B)で示すように、大掛かりな天井埋め込み型の装置aを設置することで、ダクトbの設置や専用の配線工事にも多大なコストが掛かってしまったり、前記浴室Aから吸い込まれた空気が高湿度の状態で前記脱衣室Bに吹き出されてしまうということがなくなるといった効果を奏していた。
【0004】
しかしながら、上記構成でなる暖房乾燥装置は、浴室と、同浴室に隣接する脱衣室とを同時に空気調和することができないことから、浴室を空気調和するには、送風ノズルを浴室の扉の開口部に挿入し、浴室に隣接する脱衣室を空気調和するには、送風ノズルを脱衣室側に戻すと共に、扉の開口部を通気性のカーテン材で覆う必要があるため、浴室と、同浴室に隣接する脱衣室とを同時に、そして同等の室温に調節したいというユーザのニーズに応えるには不充分であった。
【0005】
【特許文献1】特開平6−229670公報(第1頁〜第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、浴室と、同浴室に隣接する脱衣室とを同時に、且つ同等の室温に調節することができるようにし、また、その装置の設置工事に関する工数およびコストを低減することができるようにした空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、温度が異なる二室を隔てた隔壁の両面に設置され、一方の室内に臨ませた第一吸込口と第一吹出口とを結ぶ第一空気通路を備えた第一ユニットと、他方の室内に臨ませた第二吸込口と第二吹出口とを結ぶ第二空気通路を備えた第二ユニットと、前記第一空気通路に設けられた第一送風ファンと、前記第二空気通路に設けられた第二送風ファンと、前記第一空気通路および前記第二空気通路に夫々連続する平行流を備えた熱交換素子と、前記隔壁を貫通して前記第一空気通路または前記第二空気通路に接続する接続管とからなる構成となっている。
【0008】
また、前記二室の異なる温度が、前記第一ユニットおよび、または前記第二ユニットに設けられた加熱手段によって生じるようにした構成となっている。
【0009】
また、前記加熱手段が、前記第一空気通路および、または前記第二空気通路に設けられてなる構成となっている。
【0010】
また、前記加熱手段が、電気ヒータまたは温水ヒータなどによる加熱装置からなる構成となっている。
【0011】
更に、前記接続管が、その一部が二室を隔てた前記隔壁に埋設されるように、または同隔壁に沿うように折曲されてなる構成となっている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空調装置が二室を隔てた隔壁の両面に夫々設置される構成にしたので、熱交換素子やヒータを共有した構成で二室を同時に空気調和できるようになり、また、大掛かりな天井埋め込み型の装置を用いる必要がなくなって、コスト的に有利な簡便な設置工事で済むことになり、また、送風ノズルを浴室の扉の開口部に挿入したり、脱衣室側に戻すといったわずらわしい操作を不要にして、温度が異なる二室を同時に効率よく暖房乾燥することによって空気調和できるようにした空調装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図1は本発明による空調装置の実施例1を示す説明図であり、図2は本発明による空調装置の実施例2を示す説明図で、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
【実施例1】
【0014】
本発明による空調装置は、実施例1として図1で示すように、浴槽A'および換気孔を備えた浴室Aと、同浴室Aに隣接する脱衣室Bの二室を隔てた隔壁Cの両面に、互いに背中あわせの状態で設置されている。
【0015】
前記浴室Aには、第一吸込口1および第一吹出口2を臨ませた構成になっており、これら第一吸込口1と第一吹出口2とを結ぶ第一空気通路3には、前記第一吸込口1から前記浴室Aの空気を吸い込むための第一送風ファン7と、吸い込まれた空気を加熱するための加熱手段9とが設けられている。
【0016】
前記加熱手段9は、電気ヒータまたは温水ヒータからなる構成となっており、例えば冬季に入浴する際、これら電気ヒータまたは温水ヒータからなる前記加熱手段9によって加熱され、前記第一吹出口2から吹き出された温風によって前記浴室Aが快適温度に上昇し、入浴前の所謂ヒートショックを和らげることができるようになっている。
【0017】
なお、前記加熱手段9は、前記浴室A内の空気を直接に暖めるように設けられることにより、暖められた空気が前記第一吸込口1から吸い込まれるようにしてもよい。
【0018】
また、前記脱衣室Bには、第二吸込口4および第二吹出口5を臨ませた構成になっており、これら第二吸込口4と第二吹出口5とを結ぶ第二空気通路6には、前記第二吸込口4から前記脱衣室Bの空気を吸い込むための第二送風ファン8が設けられた構成になっている。
【0019】
前記第一空気通路3には、前記第一吸込口1から吸い込まれ、前記加熱手段9によって加熱され乾燥された空気と、前記第二吸込口4から吸い込まれた空気とを熱交換するための熱交換素子10が、前記第一空気通路3および前記第二空気通路6の一部を夫々構成するように設けられている。
【0020】
そのため、前記第二空気通路6には、往路側接続管12と復路側接続管13とが前記第一空気通路3側に突出するように夫々接続されており、これにより、前記加熱手段9によって加熱され乾燥された空気が前記第一吹出口2から前記浴室Aに送出され、また図示しない前記浴室Aの排気口を通じて湿気が室外へ排出される一方、前記第二空気通路6から前記往路側接続管12および前記復路側接続管13を流通した空気が、前記熱交換素子10によって熱交換されたのち、前記第二吹出口5から前記脱衣室Bに送出されるようになっている。
【0021】
前記加熱手段9および前記熱交換素子10は、前記第一空気通路3の空気および前記第二空気通路6の空気を互いに熱交換するために共有される構成になっていることから、例えば図3(A)で示すように、暖房乾燥の機能を夫々備えた装置を前記浴室Aと前記脱衣室Bとに設置する必要がないのでコスト的に有利になり、または図3(B)で示すように、大掛かりな天井埋め込み型の装置を設置して、ダクトの設置や専用の配線工事にも多大なコストが掛かってしまったり、前記浴室Aから吸い込まれた空気が高湿度の状態で前記脱衣室Bに吹き出されてしまうということがない。
【実施例2】
【0022】
次に、図2(A)および図2(B)に基づいた実施例2について説明する。
なお、上述した実施例1と共通している点については、重複を避けるために詳細な説明を省略する。
【0023】
本発明による実施例2の空調装置は、図で示すように、浴槽A'および換気孔を備えた浴室Aと、同浴室Aに隣接する脱衣室Bとの二室を隔てた隔壁Cの両面に、両本体aの位置を互いにずらせた状態で設置され、同両本体a内の前記第二空気通路6には、折曲された接続管14が前記第一空気通路3内に突出するように接続された構成になっている。
【0024】
これにより、前記両本体aの位置を互いにずらせた状態にして前記隔壁Cの両面に設置できるようになることから、前記浴室Aおよび前記脱衣室Bにおいて、とくに重点的に空気調和を行ないたい範囲に対応した設置ができるようになって便利である。
【0025】
前記接続管14は、図2(A)で示すように、区画用内壁15によって内部が往路側と復路側とに区画された一本の管として構成されており、往路側および復路側の二本の管を用いて接続される場合よりも構造が簡単であって、作業性を良好にすると共にコスト的にも有利である。
【0026】
また、前記接続管14は、図2(B)で示すように同接続管14の一部が二室を隔てた隔壁Cに埋設されるように、または同隔壁Cに沿うように折曲されてなる構成となっており、これによって、互いの位置をずらせた状態で設置した前記両本体a内の前記第一空気通路3と、前記第二空気通路6とを最短距離で接続できるようになって、効率よく空気を流通させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による空調装置の実施例1を示す説明図である。
【図2】本発明による空調装置の実施例2を示す説明図で、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
【図3】従来技術による空調装置の説明図で、(A)は第一例の設置状態を示す断面図であり、(B)は第二例の設置状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
A 浴室
A' 浴槽
B 脱衣室
C 隔壁
a 空調装置本体
1 第一吸込口
2 第一吹出口
3 第一空気通路
4 第二吸込口
5 第二吹出口
6 第二空気通路
7 第一送風ファン
8 第二送風ファン
9 ヒータ
10 熱交換素子
11 駆動モータ
12 往路側接続管
13 復路側接続管
14 接続管
15 区画壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度が異なる二室を隔てた隔壁の両面に設置され、一方の室内に臨ませた第一吸込口と第一吹出口とを結ぶ第一空気通路を備えた第一ユニットと、他方の室内に臨ませた第二吸込口と第二吹出口とを結ぶ第二空気通路を備えた第二ユニットと、前記第一空気通路に設けられた第一送風ファンと、前記第二空気通路に設けられた第二送風ファンと、前記第一空気通路および前記第二空気通路に夫々連続する平行流を備えた熱交換素子と、前記隔壁を貫通して前記第一空気通路または前記第二空気通路に接続する接続管とからなることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記二室の異なる温度が、前記第一ユニットおよび、または前記第二ユニットに設けられた加熱手段によって生じるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記加熱手段が、前記第一空気通路および、または前記第二空気通路に設けられてなることを特徴とする請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記加熱手段が、電気ヒータまたは温水ヒータなどによる加熱装置からなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記接続管が、その一部が二室を隔てた前記隔壁に埋設されるように、または同隔壁に沿うように折曲されてなることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−98012(P2006−98012A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286928(P2004−286928)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】