説明

空調装置

【課題】電気配線の施工性を向上させる空調装置を提供する。
【解決手段】浴室空調装置1Aは、ファンやヒータを備え、電源が供給されて駆動される空調装置本体2Aと、外部からの配線が接続される複数の接続端子30Aを有し、空調装置本体2Aからの配線31が接続端子30Aに接続されて、空調装置本体2Aから独立した中継端子台3aを備え、中継端子台3Aが、浴室101の天井パネル102に設けられた点検口105の近傍に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や洗面脱衣所に設置され、室内の暖房等を行う空調装置における配線の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に設置されて浴室の暖房や建物の換気を行う空調装置が従来より提案されている。このような空調装置は、浴室の天井に設置される構成で、電源の配線は、分電盤からの配線を、天井裏を通して空調装置に直接接続する形態である。
【0003】
また、空調装置を操作するリモートコントロール装置等の配線も、空調装置に直接接続する形態である。
【0004】
そして、空調装置の本体に備えられた配線が接続される端子に、温度上昇で切断される温度ヒューズを備え、空調装置への配線の接続が不完全な場合等に、電源を遮断できるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−106392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
浴室の天井に設置される空調装置では、浴室の天井に設けられた点検口から、天井裏の空間で装置本体への配線の結線作業を行う必要がある。しかし、装置本体の設置位置や設置の向きによって、装置本体の端子が点検口に向いていない場合、施工性が悪くなるという問題がある。
【0007】
このため、電源の配線を予め装置本体に接続しておき、分電盤からの配線と途中で結線するような工法が施工現場で採られている場合もある。しかし、このような結線の形態では、接続の不具合を発見するのが困難で、装置本体に備えた温度ヒューズも十分に機能しない。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、電気配線の施工性を向上させると共に、接続の不具合を検知可能とした空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明の空調装置は、電源が供給されて駆動される空調装置本体と、外部からの配線が接続される単数または複数の接続端子を有し、空調装置本体からの配線が接続端子に接続されて、空調装置本体から独立した中継端子台とを備え、中継端子台は、空調装置本体が設置される建築構造物に設けられた点検口の近傍に設置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の空調装置では、空調装置本体に接続される外部からの配線は、中継端子台の接続端子に接続される。中継端子台は、空調装置本体が設置される建築構造物に設けられた点検口の近傍に設置され、空調装置本体の設置位置や設置の向きによらず、配線の接続作業は点検口の近傍で行われる。
【0011】
また、本発明の空調装置は、電源が供給されて駆動される空調装置本体と、少なくとも外部からの電源の配線が接続される接続端子を有し、空調装置本体からの電源の配線が接続端子と接続されて、空調装置本体から独立した中継機器と、中継機器に設けられ、配線の状態の変化を検知する状態検知手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の空調装置では、外部からの電源配線は、中継機器の接続端子に接続され、空調装置本体からの電源の配線と中継機器で接続される。中継機器では、電源等の配線の状態の変化が状態検知手段で検知され、例えば、中継機器における配線の接続箇所の温度の上昇が検知される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空調装置によれば、電源等の外部からの配線の接続作業を点検口の近傍に設置した中継端子台で行うことができるので、点検口に対する空調装置本体の設置位置や設置の向きによらず、結線作業の作業性が向上すると共に、作業後の確認が容易かつ確実に行なえる。これにより、作業ミスを大幅に低減することができる。
【0014】
また、本発明の空調装置によれば、電源等の配線の状態の変化から、配線の接続箇所等の不具合を検知することができる。これにより、電源の遮断やユーザへの報知を行うことが可能となり、安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の浴室空調装置の実施の形態について説明する。
【0016】
<第1の実施の形態の浴室空調装置の構成例>
図1は、第1の実施の形態の浴室空調装置の一例を示す構成図で、図1(a)は、第1の実施の形態の浴室空調装置1A及び浴室空調装置1Aが設置される浴室101の構成の概要を示す断面図、図1(b)は、浴室空調装置1A及び浴室空調装置1Aが設置される浴室101の天井パネル102の構成の概要を示す平面図である。
【0017】
第1の実施の形態の浴室空調装置1Aは、空調装置本体2Aと、中継端子台3Aを備える。空調装置本体2Aは、図示しないファンと電気ヒータ等を備え、浴室101の空気を吸い込んで循環させて、温風等を吹き出す機能と、浴室101から吸い込んだ空気を屋外に排気する機能等を有する。
【0018】
建築構造物である浴室101の天井パネル102には、空調装置本体2Aが入る開口部が形成され、空調装置本体2Aは、空気が吸い込まれる吸込口グリルや空気が吹き出される吹出口グリルが形成されたフロントパネル20が露出するようにして、天井裏から吊り下げる形態、あるいは天井パネル102に固定する形態等で設置される。
【0019】
浴室101の天井パネル102に取り付けられた空調装置本体2Aは、図示しない排気口に排気ダクト21が接続される。排気ダクト21は、建物の外壁103に取り付けた屋外グリル21aに接続され、空調装置本体2Aで浴室101等から吸い込んだ空気を、排気ダクト21を介して屋外に排気できる構成となっている。
【0020】
浴室101は、天井パネル102に開閉可能な点検口105が設けられ、点検口105から、排気ダクト21の接続工事や、空調装置本体2Aの各種点検等が行われる。
【0021】
浴室空調装置1Aは、入浴者等の操作を受ける主操作部4が、浴室101に隣接した洗面脱衣所104に設置され、主操作部4で選択された運転モードが実行される。
【0022】
例えば、主操作部4の所定の操作で、浴室空調装置1Aで循環風により温風を吹き出して、浴室101の暖房を行う暖房運転モードが実行される。また、浴室空調装置1Aで浴室101内の空気を屋外に排出して、浴室101の換気を行う換気運転モード、及び、所定時間で建物の空気が入れ替えられる風量で換気を行う24時間換気運転モードが実行される。
【0023】
更に、浴室空調装置1Aで循環風により温風を吹き出しながら、浴室101内の空気を屋外に排出して、浴室101に干された衣類等の乾燥を行う乾燥運転モードと、浴室空調装置1Aで循環風により送風を吹き出す涼風運転モードが実行される。
【0024】
中継端子台3Aは、空調装置本体2Aとは独立した部品で、浴室空調装置2Aの構成に合わせて単数または複数の接続端子30Aを備える。接続端子30Aは、例えば、ケーブルの被覆が剥がされた芯線が挿入されて固定される構造のものや、着脱可能なコネクタ等が配線の種類に応じて設けられている。また、外部からの配線の接続が、矢印Aで示す1方向から行えるように、中継端子台3A上における向きが設定されている。そして、中継端子台3Aは、空調装置本体2Aの設置位置によらず、点検口105の近くで、かつ、各接続端子30Aを点検口105に向けて設置される。
【0025】
空調装置本体2Aは、例えばケースの上面に外部端子台22を備え、外部端子台22に備えられた接続端子23と中継端子台3Aの対応する接続端子30Aがそれぞれ配線31で接続されて、空調装置本体2A内の図示しない基板ボックス等に収納された基板と、中継端子台3Aの各接続端子30Aが電気的に接続される。
【0026】
浴室空調装置1Aは、主操作部4からの配線40Aが、中継端子台3Aの所定の接続端子30Aと接続される。
【0027】
また、浴室空調装置1Aは、図示しない分電盤からの電源配線40Bが、中継端子台3Aの所定の接続端子30Aと接続される。
【0028】
なお、中継端子台3Aには、浴室空調装置1Aと連動させる外部機器が接続される接続端子30Aが用意される。例えば、浴室空調装置1Aが図示しない他室の換気ファンと連動する構成では、換気ファンとつながる外部配線40Cが中継端子台3Aの所定の接続端子30Aと接続される。更に、浴室101を加湿する図示しないミスト発生装置と連動する構成では、ミスト発生装置とつながる外部配線40Cが中継端子台3Aの所定の接続端子30Aと接続される。
【0029】
このように、浴室空調装置1Aは、運転に必要な主操作部4や電源に加え、連動させる外部機器との電気的接続が、中継端子台3Aを介して行える構成である。
【0030】
さて、浴室空調装置1Aは、浴室101の浴槽101aや洗い場101bの配置や広さ等に応じて設置場所や設置の向きが決められ、空調装置本体2Aの外部端子台22が点検口105に向かない場合がある。浴室101の天井裏の高さ方向の寸法は、例えば250mm程度であり、空調装置本体2Aの外部端子台22が点検口105に向いていないと、天井裏での外部端子台22への結線作業は困難である。
【0031】
これに対して、空調装置本体2Aの外部端子台22と中継端子台3Aを配線31で接続し、中継端子台3Aを点検口105の近くに設置して、主操作部4や電源、連動させる外部機器との電気的接続を、中継端子台3Aを介して行うことで、空調装置本体2Aの設置位置や設置の向きによらず、点検口105の近くで結線作業が行える。
【0032】
また、中継端子台3Aの各接続端子30Aが点検口105に向けて設置されることで、結線作業及び作業後の確認が容易かつ確実に行なえる。これにより、浴室空調装置1Aの設置作業で、特に電気配線の結線作業を容易かつ確実に行なえ、作業ミスを大幅に低減することができる。
【0033】
なお、接続端子30Aに、各配線40が正常に接続されると、色分けされたピンが突出する等、視覚的に確認できる手段を備えても良い。
【0034】
ここで、空調装置本体2Aの外部端子台22に備えた接続端子23も、配線の着脱ができる構成であれば、空調装置本体2Aと中継端子台3Aとの距離に合わせて、予め適切な長さの配線31で空調装置本体2Aと中継端子台3Aとを接続して、配線31の過不足を無くすことができる。
【0035】
図2は、第1の実施の形態の浴室空調装置の変形例を示す構成図で、一方、図2に示すように、中継端子台3Aの接続端子30Aと接続される各配線31が空調装置本体2A内に導入され、図示しない基板と直接接続される形態でも良い。
【0036】
<第2の実施の形態の浴室空調装置の構成例>
従来の浴室空調装置では、電源配線は分電盤から空調装置本体の外部端子台に直接接続する構成であった。しかし、外部端子台が天井パネルの点検口に向いていない場合等は、施工性が悪く、施工性の悪さに起因して接続作業の作業ミスが発生する可能性があった。
【0037】
そこで、第1の実施の形態の浴室空調装置1Aのように、点検口105の近くに中継端子台3Aを設置し、中継端子台3Aを介して電源配線等を接続する構成とすれば、施工性が向上し、接続作業のミスを低減することが可能となる。
【0038】
一方、浴室空調装置に接続される配線の中で、電源配線は高電流が流れるので、接続作業のミスがあった場合等に、接続部分の温度が高くなってしまうことがある。
【0039】
そこで、第2の実施の形態の浴室空調装置では、空調装置本体外での配線中継箇所における温度上昇等の異常を含む状態の変化を検知する状態検知手段を備えて、安全性を向上させる。
【0040】
図3は、第2の実施の形態の浴室空調装置の一例を示す構成図である。第2の実施の形態の浴室空調装置1Bは、空調装置本体2Bと、中継機器3Bを備える。空調装置本体2Bは、図示しないファンと電気ヒータ等を備え、浴室101の空気を吸い込んで循環させて、温風等を吹き出す機能と、浴室101から吸い込んだ空気を屋外に排気する機能等を有する。
【0041】
浴室101の天井パネル102には、空調装置本体2Bが入る開口部が形成され、空調装置本体2Bは、空気が吸い込まれる吸込口グリルや空気が吹き出される吹出口グリルが形成されたフロントパネル20が露出するようにして、天井裏から吊り下げる形態、あるいは天井パネル102に固定する形態等で設置される。
【0042】
浴室101の天井パネル102に取り付けられた空調装置本体2Bは、図示しない排気口に排気ダクト21が接続される。排気ダクト21は、建物の外壁103に取り付けた屋外グリル21aに接続され、空調装置本体2Bで浴室101等から吸い込んだ空気を、排気ダクト21を介して屋外に排気できる構成となっている。
【0043】
浴室101は、天井パネル102に開閉可能な点検口105が設けられ、点検口105から、排気ダクト21の接続工事や、空調装置本体2Bの各種点検等が行われる。
【0044】
浴室空調装置1Bは、入浴者等の操作を受ける主操作部4が、浴室101に隣接した洗面脱衣所104に設置される。主操作部4は、例えば、空調装置本体2Bの図示しない基板と接続された配線40Dが直接接続され、浴室空調装置1Bは、主操作部4で選択された運転モードが実行される。
【0045】
例えば、主操作部4の所定の操作で、浴室空調装置1Bで循環風により温風を吹き出して、浴室101の暖房を行う暖房運転モードが実行される。また、浴室空調装置1Bで浴室101内の空気を屋外に排出して、浴室101の換気を行う換気運転モード、及び、所定時間で建物の空気が入れ替えられる風量で換気を行う24時間換気運転モードが実行される。
【0046】
更に、浴室空調装置1Bで循環風により温風を吹き出しながら、浴室101内の空気を屋外に排出して、浴室101に干された衣類等の乾燥を行う乾燥運転モードと、浴室空調装置1Bで循環風により送風を吹き出す涼風運転モードが実行される。
【0047】
中継機器3Bは、空調装置本体2Bとは独立した部品で、天井パネル102の点検口105の近くに設置され、本例では、空調装置本体2Bと図示しない分電盤との間で電源配線41が中継される。
【0048】
図4は、中継機器の一例を示す構成図で、図4(a)は、本実施の形態の中継機器3Bの側断面図、図4(b)は、本実施の形態の中継機器3Bの平面断面図である。
【0049】
中継機器3Bは、接続端子30Bと、温度センサ32aと、温度ヒューズ32bと、接続端子30B、温度センサ32a及び温度ヒューズ32bが実装される基板33と、基板33を収容するケース34を備える。
【0050】
接続端子30Bは、例えば、ケーブルの被覆が剥がされた芯線が挿入されて固定される構造で、空調装置本体2Bからの電源配線41Aと、図示しない分電盤からの電源配線41Bが接続される。分電盤からの電源配線41Bは、施工現場(浴室)で接続されるので、接続端子30Bは、電源配線41Bの接続作業が容易に行なえるような構成を備えると良い。
【0051】
また、基板33には、接続端子30Bに接続された電源配線41Aと電源配線41Bを固定する結束部材33aが備えられ、接続端子30Bに接続された電源配線41Aと電源配線41Bが不用意に動くことを防止して、接続が外れることを防ぐ。
【0052】
温度センサ32aは状態検知手段である温度検知手段または第1の温度検知手段の一例で、例えば、電源配線41A,41B等に電流が流れることによる状態の変化を、中継機器3Bのケース34内の温度、主に、接続端子30Bの温度で検知する。
【0053】
このため、基板33は、接続端子30Bの設置箇所の裏面に開口部33bが形成され、温度センサ32aは、基板33の開口部33bに入れて例えば接続端子30Bに接触させて設置される。なお、主な温度検知対象物である接続端子30Bに対して、温度センサ32aを上側に配置して、接続端子30Bで発生して上昇する熱を温度センサ32aで検知しやすい状態にする。
【0054】
温度センサ32aは、空調装置本体2B内の図示しない基板ボックス等に収納された基板と信号配線42で接続され、温度センサ32aの出力が、浴室空調装置1Bの後述する制御手段に出力される。
【0055】
温度ヒューズ32bは電源切断手段の一例で、空調装置本体2Bからの電源配線41Aと接続端子30Bとの間を接続して導通させると共に、所定の温度で切断して、空調装置本体2Bへの電源を切断する。
【0056】
ケース34は、金属等の不燃材料で形成され、電源配線41A,41Bと、信号配線42の取り出し口以外は開口部を設けずに、内部に空気が入りにくい構成となっている。
【0057】
基板33は、脚部34aを介してケース34に取り付けられ、ケース34に直接接触しないように浮かせてある。また、図3に示すように、ケース34は、取付脚34bを介して浴室101の天井パネル102に設置され、中継機器3Bは、ケース34が天井パネル102及び天井裏の上面に直接接しないように浮かせてある。
【0058】
空調装置本体2Bは、例えばケースの上面に外部端子台22を備え、外部端子台22に備えられた電源接続端子24と、中継機器3Bの接続端子30Bが電源配線41Aで接続される。
【0059】
浴室空調装置1Bは、外部端子台22の電源接続端子24に温度ヒューズ25を備える。温度ヒューズ25は電源切断手段を構成する第2の温度検知手段の一例で、電源接続端子24と図示しないヒータとを接続し、所定の温度で切断して、ヒータに電流が流れないようにする。
【0060】
<第2の実施の形態の浴室空調装置の制御機能例>
図5は、第2の実施の形態の浴室空調装置の機能ブロック図で、次に、第2の実施の形態の浴室空調装置1Bの制御機能の一例について説明する。
【0061】
浴室空調装置1Bは、空調装置本体2Bに備えた図示しない基板に実装されるCPUや回路構成等で制御手段である主制御部5が実現される。浴室空調装置1Bは、空気を加熱するヒータ51と、空気を送風するファンを駆動するファンモータ52を空調装置本体2Bに備え、主制御部5は、ヒータ51の通電制御及びファンモータ52の動作制御を行う。
【0062】
また、浴室空調装置1Bは、空調装置本体2Bに報知手段としてのブザー53を備え、主制御部5は、ブザー53による警報音の発生制御を行う。
【0063】
更に、主制御部5は、不揮発性の記憶手段であるEEPROM54が接続され、タイマ55を利用して時刻情報と共に異常発生のログ等をEEPROM54に記録する。
【0064】
浴室空調装置1Bは、主操作部4で操作ボタンが押されたことによる操作情報が主制御部5に入力され、主制御部5は、予め記憶されているプログラムに従ってヒータ51とファンモータ52を制御する。
【0065】
また、主操作部4には、報知手段であるブザー56と表示手段である表示部57が備えられ、主制御部5は、ブザー56による警報音の発生制御と表示部57での表示制御を行う。
【0066】
そして、主制御部5は、中継機器3Bの温度センサ32aで検知された温度情報が入力され、中継機器3B内の温度、主に、電源配線41の接続箇所の温度に応じて運転を停止する制御を実行する。
【0067】
<第2の実施の形態の浴室空調装置の動作例>
図6は、第2の実施の形態の浴室空調装置の動作の一例を示すフローチャートで、次に、各図を参照して電源配線の接続箇所での温度検知と浴室空調装置での運転停止の動作について説明する。
【0068】
ステップSA1:浴室空調装置1Bは、中継機器3Bの温度センサ32aの出力を主制御部5で随時または定期的に検知する。
【0069】
ステップSA2:主制御部5は、温度センサ32aからの出力を検知した結果に基づき、温度センサ32aが正しく接続されていない等で、温度センサ32aからの出力信号が無い場合は、浴室空調装置1Bを作動させず、温度センサ32aからの出力信号が有る場合は、温度センサ32aが正しく接続されていると判断して、浴室空調装置1Bを作動させる。
【0070】
ステップSA3:主制御部5は、温度センサ32aの出力から中継機器3B内の温度、主に、電源配線41の接続箇所の温度上昇の有無を監視する。
【0071】
ステップSA4:上述したステップSA3で温度センサ32aによる検知温度が所定の上限温度を超えると、主制御部5はヒータ51への通電を停止させると共に、ファンモータ52の動作も停止させ、浴室空調装置1Bの運転を停止する。
【0072】
すなわち、浴室空調装置1Bで暖房運転モードまたは乾燥運転モードの実行中は、ヒータ51に通電することで電源配線41に高電流が流れており、過度な温度上昇を助長させる可能性があるので、温度センサ32aでの中継機器3B内の検知温度が上限温度を超えると、ヒータ51への通電を停止して、温度上昇を抑える。
【0073】
ステップSA5:主制御部5は、温度センサ32aによる検知温度が所定の上限温度を超えて、浴室空調装置1Bの運転を停止させると、空調装置本体2Bに備えたブザー53及び主操作部4に備えたブザー56を動作させ、警報音を発生させる。
【0074】
ステップSA6:主制御部5は、温度センサ32aによる検知温度が所定の上限温度を超えて、浴室空調装置1Bの運転を停止させると、主操作部4の表示部57にエラー表示を行う。
【0075】
ステップSA7:主制御部5は、温度センサ32aによる検知温度が所定の上限温度を超えて、浴室空調装置1Bの運転を停止させると、異常検知フラグと異常発生時刻をEEPROM54に記録して、後の原因究明でエラー情報を参照できるようにする。
【0076】
ステップSA8:主制御部5は、主操作部4または空調装置本体2Bに備えた図示しないリセットボタンの操作を監視する。
【0077】
ステップSA9:上述したステップSA8でリセットボタンが押されると、主制御部5は、空調装置本体2Bに備えたブザー53及び主操作部4に備えたブザー56を停止させ、警報音の発生を停止させる。一方、異常検知フラグが記録されている場合は、異常の発生原因が除去されていないので、エラー表示は継続し、浴室空調装置1Bの運転停止を継続させる。
【0078】
これにより、異常の発生原因、本例では、電源配線41の接続箇所における温度上昇の原因が除去されるまでは、主操作部4を操作しても、浴室空調装置1Bは作動せず、電源配線41の再度の温度上昇を防ぐことができる。
【0079】
ステップSA10:修理等で異常の発生原因が除去され、所定のエラー解除操作が行われると、異常検知フラグが解除され、浴室空調装置1Bは運転再開可能となる。
【0080】
ここで、温度センサ32aの異常や主制御部5の異常等で、上述した温度検知による運転停止制御が行えない場合に、電源配線41の温度が上昇すると、中継機器3Bに備えた温度ヒューズ32bが所定の温度で切断されることで、ヒータ51に電流が流れないようになる。
【0081】
更に、温度センサ32aの異常や主制御部5の異常等で、上述した温度検知による運転停止制御が行えない場合に、電源配線41の温度が上昇すると、空調装置本体2Bの外部端子台22の電源接続端子24に備えた温度ヒューズ25が所定の温度で切断して、ヒータ51に電流が流れないようになる。
【0082】
そして、通常では、温度ヒューズ32b及び温度ヒューズ25の温度上昇による切断前に、温度センサ32aでの温度検知により運転が停止するように、温度ヒューズ32b及び温度ヒューズ25の切断温度より、温度センサ32aでの検知温度の上限温度が低く設定されている。
【0083】
なお、温度ヒューズ32bまたは温度ヒューズ25が切断されたことを主制御部5に通知して、EEPROM54に異常発生箇所を特定する情報として記録できるようにしても良い。
【0084】
以上説明したように、第2の実施の形態の浴室空調装置1Bでは、中継機器3Bでの電源配線41の温度上昇を検知して、検知温度が所定の上限温度を超えた場合、ヒータ51の通電を停止するので、電源配線41の接続箇所における温度上昇時に高電流が流れないようにして、電源配線41の接続箇所での過度の温度上昇を抑えることができる。
【0085】
このように、電源配線41の接続箇所等における不具合を検知して、電源の遮断やユーザへの報知を行うことができるので、安全性を向上させることができる。
【0086】
また、中継機器3Bは不燃性のケース34で覆われ、かつ、ケース34の内部に空気が入りにくい構成となっているので、不燃性の効果を向上させることができる。
【0087】
更に、中継機器3Bにおいて、電源配線41を接続する接続端子30Bが実装された基板33は、脚部34aを介してケース34に取り付けられ、ケース34は、取付脚34bを介して浴室101の天井パネル102に設置されるので、電源配線41の接続箇所で発生した熱が、ケース34を介して天井パネル102に伝わりにくい構成となっている。
【0088】
なお、以上の例では、温度センサ32aで中継機器3Bでの電源配線41の接続箇所の温度を検知して、運転を停止する制御を行うようにしたが、煙センサを利用して運転を停止する制御を行うようにしても良い。
【0089】
第2の実施の形態の浴室空調装置1Bでも、中継機器3Bは天井パネル102の点検口105の近くに設置されるので、空調装置本体2Bの設置位置や設置の向きによらず、施工性が向上する。
【0090】
このため、第1の実施の形態の浴室空調装置1Aと同様に、中継機器3Bを介して、電源配線41だけでなく、図示しない外部機器の接続を行えるようにしても良い。
【0091】
また、中継機器3Bの接続端子30Bと接続される電源配線41Aが空調装置本体2B内に導入され、図示しない基板と直接接続される形態でも良い。更に、空調装置本体2Bと直接接続された電源配線が、第1の実施の形態で説明した中継端子台に接続され、中継端子台から中継機器3Bに接続されるような形態でも良い。
【0092】
更に、主操作部4と空調装置本体2Bは、図3に示すように中継機器3Bを介さずに直接接続しても良いし、中継機器3Bを介して行っても良いし、無線接続でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、浴室暖房機や洗面所暖房機等の電気ヒータを内蔵した空調装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施の形態の浴室空調装置の一例を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態の浴室空調装置の変形例を示す構成図である。
【図3】第2の実施の形態の浴室空調装置の一例を示す構成図である。
【図4】中継機器の一例を示す構成図である。
【図5】第2の実施の形態の浴室空調装置の機能ブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の浴室空調装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1A,1B・・・浴室空調装置、2A,2B・・・空調装置本体、22・・・外部端子台、23・・・接続端子、24・・・電源接続端子、25・・・温度ヒューズ、3A・・・中継端子台、3B・・・中継機器、30A,30B・・・接続端子、31・・・配線、32a・・・温度センサ、32b・・・温度ヒューズ、33・・・基板、34・・・ケース、4・・・主操作部、5・・・主制御部、101・・・浴室、102・・・天井パネル、105・・・点検口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源が供給されて駆動される空調装置本体と、
外部からの配線が接続される単数または複数の接続端子を有し、前記空調装置本体からの配線が前記接続端子に接続されて、前記空調装置本体から独立した中継端子台とを備え、
前記中継端子台は、前記空調装置本体が設置される建築構造物に設けられた点検口の近傍に設置される
ことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
電源が供給されて駆動される空調装置本体と、
少なくとも外部からの電源の配線が接続される接続端子を有し、前記空調装置本体からの電源の配線が前記接続端子と接続されて、前記空調装置本体から独立した中継機器と、
前記中継機器に設けられ、前記配線の状態の変化を検知する状態検知手段とを備えた
ことを特徴とする空調装置。
【請求項3】
前記状態検知手段は、温度を検知する温度検知手段である
ことを特徴とする請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
前記状態検知手段として、前記中継機器で温度を検知する温度検知手段と、所定の温度上昇で前記空調装置本体への電源を切断する電源切断手段とを備えた
ことを特徴とする請求項2記載の空調装置。
【請求項5】
前記状態検知手段として、前記中継機器で温度を検知する第1の温度検知手段を備えると共に、
前記空調装置本体に設けられ、前記空調装置本体に対する前記配線の接続箇所の温度を検知する第2の温度検知手段を備えた
ことを特徴とする請求項2記載の空調装置。
【請求項6】
前記状態検知手段で所定の状態の変化を検知すると、前記空調装置本体の運転を停止する制御手段を備えた
ことを特徴とする請求項2記載の空調装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記状態検知手段の検知結果に基づいて、前記空調装置本体の運転を開始するようにした
ことを特徴とする請求項6記載の空調装置。
【請求項8】
前記中継機器は、金属ケースで覆われ、取付脚を介して浮かせて設置される
ことを特徴とする請求項2〜7に何れか記載の空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−241206(P2008−241206A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85553(P2007−85553)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】