説明

空調装置

【課題】ケース内における複数の空気通路間で高い隔離性を有する空調装置を提供すること。
【解決手段】送風機ユニット1は、室内へ向かって空気通路10、10a、11、11aを形成する空調ケース7、8と、空調ケース7、8内を複数の空気通路10、10a、11、11aに区画形成するケース側仕切部9R、9L、22R、22Lと、空調ケース7、8内に着脱可能に設けられ、空気通路10、10a、11、11aを通過する空気を清浄する濾材16と濾材16を支持する枠部17とを有するフィルタ部材15とを備えている。枠部17には、空気通路10、10a、11、11aを区画形成する枠側仕切部22R、22Lが設けられ、ケース側仕切部9R、9L、14R、14Lおよび枠側仕切部22R、22Lのうち、空気上流側に設けられた仕切部の端部には、他方の仕切部の端部と嵌合する溝部23R、23Lが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内が複数の空気通路に区画形成される空調ケースおよびそれに用いる空気洗浄用フィルタを含む空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2001−21176号公報では、複数の空気通路が区画形成された空調装置であって、空気を清浄するフィルタ部材を外部から着脱可能とした空調装置が提案されている。この空調装置は、室内への空気通路を備える空調ケースと、空調ケース内を複数の空気通路に区画形成するケース側仕切部と、空調ケース内に着脱可能な状態にて設けられ、空気を清浄する濾材と濾材を支持する枠部とからなるフィルタ部材とを備えている。
【0003】
そして、上記フィルタ部材の枠部には、空気通路を区画形成する枠側仕切部が設けられており、この枠側仕切部は、枠部を空調ケース内に設置したときに、ケース側仕切部と対応した位置になるように形成されている。
【0004】
このような構成において、ケース側仕切部と枠側仕切部とによって空調ケース内が区画形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−21176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示されている発明では、空調ケース内にフィルタ部材を挿入して組み付ける構成なので、ケース側仕切部と枠側仕切部との間に少なからず隙間が形成される。この隙間によって、区画形成されたケース内構造の隔離性が低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明では、上記問題点を改善した空調装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、室内へ向かって空気通路を形成する空調ケースと、空調ケース内で直線状に延びて設けられ、空調ケース内を複数の空気通路に区画形成するケース側仕切部と、空調ケース内に、ケース側仕切部の伸延方向において着脱可能に設けられ、空気通路を通過する空気を清浄する濾材と濾材を支持する枠部とを有するフィルタ部材とを備え、枠部には、空気通路を区画形成する枠側仕切部が設けられ、この枠側仕切部は、枠部を空調ケース内に設置した状態においてケース側仕切部と対応して直線状に設けられた空調装置において、ケース側仕切部および枠側仕切部のうち、空気上流側に設けられた仕切部を一方の仕切部、空気下流側に設けられた仕切部を他方の仕切部としたときに、一方の仕切部の端部には、他方の仕切部の端部と嵌合する溝部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
なお、枠側仕切部とケース側仕切部とが対応して設けられるとは、枠側仕切部とケース側仕切部とを厳密に同一面上となるように配置するものだけを意味するのではなく、空気通路を区画形成できる範囲で両仕切部が多少ずれて配置されたものも含む。
【0010】
このような構成によれば、一方の仕切部の端部には他方の仕切部の端部と嵌合する溝部が形成されているため、フィルタ部材を空調ケース内に設置したときに、一方の仕切部の端部と他方の仕切部の端部との間に形成される隙間がラビリンス構造となる。これにより、空気通路を流れる空気が両仕切部の間に形成される隙間を通過しにくくなり、複数の空気通路の隔離状態を従来の構造による隔離状態よりも向上させることができる。
【0011】
また、両仕切部の端部同士を上記のように嵌合させた状態でスライドさせながらフィルタ部材を空調ケース内に設置することができるので、両仕切部の位置ずれを抑制することができ、フィルタ部材のスムーズな着脱が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の空調装置において、一方の仕切部は枠側仕切部で、他方の仕切部はケース側仕切部であり、枠側仕切部は複数設けられ、それぞれの枠側仕切部の端部に溝部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
空調装置の仕様によっては、ケース側仕切部の位置が異なる場合がある。そのような場合であっても、本発明のように枠側仕切部を複数設け、それぞれの枠側仕切部の端部に溝部を形成することにより、空調装置の仕様の違いによらず同一の枠部を使用して請求項1の効果を奏することができる。すなわち、空調装置の仕様の違いによらず枠部を共通化することができ、枠部の製造コストを削減することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、インストルメントパネル部を有する自動車に用いられた請求項2記載の空調装置であって、空調装置は、インストルメントパネル部の中央部から助手席側にオフセットして配置された送風機ユニットを有し、送風機ユニットは、空気流を発生させる送風機と、送風機を収納し、空気吸入口と空気吐出口とが形成されたスクロールケーシングと、スクロールケーシングを囲むようにスクロールケーシングの外側に設けられた空調ケースとしての送風機ケースと、送風機ケースの空気上流側に設けられて内外気を切り替える内外気切替手段を有する内外気ケースと、を備え、スクロールケーシングには、送風機の回転軸方向の一端側および他端側のそれぞれに空気吸入口が形成され、フィルタ部材は、内外気ケースと送風機ケースとの間に配置され、ケース側仕切部は、送風機ケースおよび内外気ケースの少なくとも一方に設けられ、内外気ケースと送風機ケースとにより形成される空気通路は、ケース側仕切部と枠側仕切部とにより、内外気ケースから回転軸の一端側の空気吸入口へ通ずる第1空気通路と、内外気ケースからスクロールケーシングと送風機ケースとの隙間を介して回転軸の他端側の空気吸入口へ通ずる第2空気通路とに区画形成され、回転軸の一端側の空気吸入口のうち、ケース側仕切部の伸延方向と直交する方向において最も隙間側の部位は、枠部の直交方向における全幅中央部よりも隙間側にずれた位置にあり、ケース側仕切部は、吸入口の部位と、スクロールケーシングのうち直交方向において最も隙間側の部位との間の範囲内に設けられていることを特徴とする。
【0015】
空調装置の仕様として、右ハンドル車仕様と左ハンドル車仕様とがある。右ハンドル車仕様の場合は、送風機ユニットはインストルメントパネル部の中央部から左側にオフセットした位置に配置され、左ハンドル車仕様の場合は、送風機ユニットはインストルメントパネル部の中央部から右側にオフセットした位置に配置される。
【0016】
ここで一般的に、右ハンドル車仕様と左ハンドル車仕様とでは、送風機ユニットの構成を左右対称の構成とする。従って、送風機ユニット内におけるスクロールケーシングと上記隙間との位置関係を、右ハンドル車仕様のときにスクロールケーシングが右、隙間が左となるように配置すれば、左ハンドル車仕様のときは、スクロールケーシングが左、隙間が右となるように配置することになる。
【0017】
インストルメントパネル部内で送風機ユニットを、上記のようにスクロールケーシングと隙間とが車両左右方向に並ぶように配置した場合、ケース側仕切部の伸延方向は車両前後方向となる。そうすると、ケース側仕切部は、右ハンドル車仕様のときは枠部中央部よりも左側にずれた位置において車両前後方向に伸びたものとなり、左ハンドル車仕様のときは枠部中央部よりも右側にずれた位置において車両前後方向に伸びたものとなる。
【0018】
このような場合であっても、本発明のように枠側仕切部をケース側仕切部と対応する位置に複数設け、それぞれの枠側仕切部の端部に溝部を形成することにより、空調装置の仕様の違いによらず同一の枠部を使用して請求項1の効果を奏することができる。すなわち、空調装置の仕様の違いによらず枠部を共通化することができ、枠部の製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の車両用空調装置であって、フィルタ部材を設置した状態における送風機ユニットの構成を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の車両用空調装置であって、フィルタ部材を設置していない状態における送風機ユニットの構成を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の空調装置であって、内外気ケース8とフィルタ部材15を示す斜視図である。
【図4】枠部17の平面図である。
【図5】枠部17の底面図である。
【図6】図1のA部の部拡大図である。
【図7】(a)は第1実施形態の車両用空調装置であって、右ハンドル車仕様の送風機ユニット1の構成を示す断面図であり、(b)は第1実施形態の車両用空調装置であって、左ハンドル車仕様の送風機ユニット1の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、本発明の空調装置を右ハンドル車仕様として適用したものである。
【0021】
図1はフィルタ部材15を設置している状態における車両用空調装置の送風機ユニット1の構成を示す断面図である。図2はフィルタ部材15を設置していない状態における車両用空調装置の送風機ユニット1の構成を示す断面図である。図3は内外気ケース8とフィルタ部材15を示す斜視図である。図4は枠部17の平面図である。図5は枠部17の底面図である。図6は図1のA部拡大図である。図7は右ハンドル車仕様および左ハンドル車仕様の送風機ユニット1の構成を示す断面図である。
【0022】
自動車のインストルメントパネル部分の内部において、図示しないヒータユニットがインストルメントパネルの中央部に設けられており、このヒータユニットに内気および外気の一方あるいは両方を送風する送風機ユニット1がインストルメントパネル部の助手席側、つまり自動車の進行方向に対して左側にオフセットして配置される。
【0023】
上記ヒータユニットは、冷却用熱交換器としての、図示しないエバポレータ、加熱用熱交換器としてのヒータコア等を備えており、これらの熱交換器により空調された空気を車室内へ吹き出すように構成されている。
【0024】
送風機ユニット1は、空気流を発生させる第1ファン2、第2ファン3およびこれらのファン2、3を駆動するファンモータ4を有する。また送風機ユニット1は、第1ファン2および第2ファン3を収納するスクロールケーシング5、スクロールケーシング5を囲むようにスクロールケーシング5の外側に設けられた送風機ケース7、および送風機ケース7の空気上流側に設けられて内外気を切り替える内外気切替手段(後述する)を有する内外気ケース8と、を有する。
【0025】
内外気ケース8は、この内外気ケース8内を2つの空気通路に区画形成する内外気ケース側仕切部9Rを有している。そして、この内外気ケース側仕切部9Rによって区画形成された図1右側の第1空気通路10には、内気を導入する第1内気導入口(図示しない)、外気を導入する第1外気導入口(図示しない)、および第1内気導入口および第1外気導入口を開閉する第1内外気切替ドア(図示しない)が設けられている。また、内外気ケース側仕切部9Rによって区画形成された図1左側の第2空気通路11には、内気を導入する第2内気導入口(図示しない)、外気を導入する第2外気導入口(図示しない)、および第2内気導入口および第2外気導入口を開閉する第2内外気切替ドア(図示しない)が設けられている。
【0026】
これら第1内外気切替ドアおよび第2内外気切替ドアは、内外気切替手段として機能するものであり、それぞれが独立に駆動され、それにより、第1空気通路10に外気を導入して第2空気通路11に内気を導入する内外気2層モード、第1空気通路10および第2空気通路11に内気を導入する全内気導入モード、または第1空気通路10および第2空気通路11の空気通路に外気を導入する全外気導入モードを選択的に切り替えられるようになっている。
【0027】
第1ファン2の回転軸および第2ファン3の回転軸は同軸になっており、上下方向を向いている。また、第1ファン2および第2ファン3は1つのファンモータ4にて回転駆動される。このファンモータ4は図1に示すように、第2ファン3の下部に配置されている。
【0028】
スクロールケーシング5は、第1ファン2の上端部と対向する上側板5a、および第2ファン3の下端部と対向する下側板5bを有し、これら上側板5aおよび下側板5bにリング状のベルマウス部5c、5dが形成されている。そして、このベルマウス部5c、5dの内側端が第1空気吸入口12aおよび第2空気吸入口12bを形成している。また、スクロールケーシング5には第1ファン2および第2ファン3により送風空気をヒータユニット側(図1右側)に吹き出す第1空気吐出口13aおよび第2空気吐出口13bが形成されている。
【0029】
送風機ケース7には送風機ケース側仕切部14Rが設けられている。この送風機ケース側仕切部14Rは、上側板5aから上方に伸びる板状の部材で、車両前後方向(図1の紙面垂直方向)に直線状に延びて構成されている。この送風機ケース側仕切部14Rは、車両前後方向(図1の紙面垂直方向)における全長の中央部がベルマウス部5c上に形成され、当該中央部を除く両側部が上板部5a上に設けられている。なお、図1は送風機ケース側仕切部14Rがベルマウス5c上に設けられた部位の断面を示している。
【0030】
送風機ケース7内には、第1空気通路10を流れてきた空気を、第1空気吸入口12aに導く第1空気通路10aが形成されている。
【0031】
また、送風機ケース7とスクロールケーシング5との間には隙間が形成されている。この隙間は、第2空気通路11を流れてきた空気を、第2空気吸入口12bに導く第2空気通路11aを形成するものである。
【0032】
第1空気吸入口12aのうち、車両左右方向(図1左右方向)において最も第2空気通路11a側の部位120aは、後述する枠部17の車両左右方向(図1左右方向)における全幅中央部Bよりも第2空気通路11a側にずれた位置にある。また、送風機ケース側仕切部14Rは、上記部位120aと、スクロールケーシング5のうち車両左右方向(図1左右方向)において最も第2空気通路11a側の部位120bとの範囲C内に設けられている。従って、送風機ケース側仕切部14Rは、全幅中央部Bよりも第2空気通路11a側にずれた位置に形成されている。
【0033】
送風機ケース7は、その底面部に開口部が形成されており、当該開口部を介してファンモータ4が取り付けられている。
【0034】
フィルタ部材15は、送風機ケース7と内外気ケース8との間に配置されている。具体的には、送風機ケース側仕切部14Rと内外気ケース側仕切部9Rとは離間しており、当該離間した部位に、開口部8a(図3)を介してフィルタ部材15をケース外から挿入可能に構成されている。
【0035】
図1に示すように、フィルタ部材15は、空気中の塵埃を除去する濾材16と、濾材16を支持する枠部17とを有している。
【0036】
濾材16は、1枚の四角形の不織布をひだ折り形状としたもので、枠部17に支持されることで当該形状が保持されている。
【0037】
枠部17は、図3ないし図5に示すように、濾材16の全周を囲む枠側側面部18を有する。この枠側側面部18は、4枚の板状部材を連結して全体として四角形状となるように構成したものであり、枠側側面部18の図4紙面垂直方向の高さ、すなわち図1上下方向の高さは、送風機ケース側仕切部14Rと内外気ケース側仕切部9Rとの図1上下方向における離間距離よりも低く、枠部17を当該離間部分に挿入可能となっている。
【0038】
枠側側面部18のうち、枠部17を送風機ケース7と内外気ケース8との間に配置した状態において最も開口部8a側に位置する部位には、作業者が枠部17の脱着を容易にするための摘み部19が設けられている。
【0039】
枠部17には、互いに対向する枠側側面部18の下端部同士を連結する複数本(本実施形態では4本)の連結部材20が設けられており、この連結部材20によって濾材16を下側から支持する。また枠部17には、図4左右方向両側の枠側側面部18には、その上端部から内側に延びる複数(本実施形態では4つ)の板状の上側支持部21が設けられており、この上側支持部21によって濾材16を上側から支持する。
【0040】
また、枠部17には枠側仕切部22R、22Lが設けられている。枠側仕切部22R、22Lは上下方向(図1の上下方向、図4の紙面垂直方向)に延びる板状の部材で構成されており、本実施形態では2枚の枠側仕切部22R、22Lが互いに対向するようにして設けられている。そして、これらの枠側仕切部22R、22Lは、車両前後方向(図4上下方向)に直線状に延びている。
【0041】
枠側仕切部22Rの下端部は、枠側側面部18の下端部に比べて若干量下側(図1下側)に突出している。この枠側仕切部22Rの下端部には、図6に示すとおり、上記突出した範囲において断面矩形状の溝部23Rが形成されており、この溝部23Rに送風機ケース側仕切部14Rが嵌合され、空気を通過させにくいラビリンス構造を形成する。また、溝部23Rは、図5の上下方向全体に亘って形成されている。
【0042】
枠側仕切部22Rは、枠部17を送風機ケース7と内外気ケース8との間に設置した場合に、内外気ケース側仕切部9Rおよび送風機ケース側仕切部14Rと対応した位置に設けられている。
【0043】
ここで、枠側仕切部22Rと内外気ケース側仕切部9Rと送風機ケース側仕切部14Rとが対応した位置に設けられるとは、枠側仕切部22Rと内外気ケース側仕切部9Rと送風機ケース側仕切部14Rとが同一面上となるように配置することを意味する。
【0044】
このような構成により、フィルタ部材15は、溝部23R内に送風機ケース側仕切部14Rの端部を嵌合させた状態で、送風機ケース7と内外気ケース8との間にスライドさせながら挿入される。
【0045】
次に、本実施形態の送風機ユニット1を左ハンドル車仕様に適用した例について説明する。
【0046】
図7(a)は上述した右ハンドル車仕様の送風機ユニット1を示し、図7(b)は左ハンドル車仕様の送風機ユニット1を示す。左ハンドル車仕様の送風機ユニット1は、送風機ケース7の全幅中央部Bを通り車両の前後且つ上下方向(図1の紙面垂直且つ上下方向)に延びる面を基準として、右ハンドル車仕様の送風機ユニット1の構造と面対称な構造となる。従って、図7(a)、(b)から分かるとおり、右ハンドル車仕様の送風機ケース側仕切部14Rは、全幅中央部Bに対して左側にずれた位置に設けられるのに対し、左ハンドル車仕様の送風機ケース側仕切部14Lは、全幅中央部Bに対して右側にずれた位置に設けられる
また、枠側仕切部22Lは、枠部17を送風機ケース7と内外気ケース8との間に設置した場合に、内外気ケース側仕切部9Lおよび送風機ケース側仕切部14Lと対応した位置に設けられている。
【0047】
ここで、枠側仕切部22Lと内外気ケース側仕切部9Lと送風機ケース側仕切部14Lとが対応した位置に設けられるとは、枠側仕切部22Lと内外気ケース側仕切部9Lと送風機ケース側仕切部14Lとが同一面上となるように配置することを意味する。
【0048】
このような構成により、フィルタ部材15は、溝部23L(図5)内に送風機ケース側仕切部14Lの端部を嵌合させた状態で、送風機ケース7と内外気ケース8との間にスライドさせながら挿入される。
【0049】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0050】
乗員により内外気2層モードが指示されると、第1内外気切替ドアが第1内気導入口を閉口して第1外気導入口を開口し、第2内外気切替ドアが第2内気導入口を開口して第2外気導入口を閉口する。従って、ファンモータ4が第1ファン2および第2ファン3を回転駆動することによって、外気が第1外気導入口、第1空気通路10、フィルタ部材15、第1空気通路10a、第1空気吸入口12a、第1ファン2および第1空気吐出口13aの順で流れる空気通路と、内気が第2外気導入口、第2空気通路11、フィルタ部材15、第2空気通路11a、第2空気吸入口12b、第2ファン3および第2空気吐出口13bの順で流れる空気通路とに区画形成される。
【0051】
また、乗員により全内気導入モードが指示されると、第1内外気切替ドアおよび第2内外気切替ドアが第1内気導入口および第2内気導入口を開口し、第1外気導入口および第2外気導入口を閉口する。従って、ファンモータ4が第1ファン2および第2ファン3を回転駆動することによって、内気が第1内気導入口、第1空気通路10、フィルタ部材15、第1空気通路10a、第1空気吸入口12a、第1ファン2および第1空気吐出口13aの順で流れる空気通路と、第2内気導入口、第2空気通路11、フィルタ部材15、第2空気通路11a、第2空気吸入口12b、第2ファン3および第2空気吐出口13bの順で流れる空気通路とに区画形成される。
【0052】
さらに、乗員により全外気導入モードが指示されると、第1内外気切替ドアおよび第2内外気切替ドアが第1内気導入口および第2内気導入口を閉口し、第1外気導入口および第2外気導入口を開口する。従って、ファンモータ4が第1ファン2および第2ファン3を回転駆動することによって、外気が第1外気導入口、第1空気通路10、フィルタ部材15、第1空気通路10a、第1空気吸入口12a、第1ファン2および第1空気吐出口13aの順で流れる空気通路と、第2外気導入口、第2空気通路11、フィルタ部材15、第2空気通路11a、第2空気吸入口12b、第2ファン3および第2空気吐出口13bの順で流れる空気通路とに区画形成される。
【0053】
以上の作用により、複数の空気通路構造を有する送風機ユニット1において、第1空気通路10と第2空気通路11との隔離状態を従来の構造による隔離状態よりも向上させることができる。
【0054】
また、フィルタ部材15は、溝部23R、23L内に送風機ケース側仕切部14R、14Lの端部を嵌合させた状態で、送風機ケース7と内外気ケース8との間にスライドさせながら挿入される。これにより、送風機ケース側仕切部14R、14Lと枠側仕切部22R、22Lとの間における位置ずれを抑制することができ、フィルタ部材15のスムーズな着脱が可能となる。
【0055】
さらに、右ハンドル車仕様および左ハンドル車仕様のように空調装置の仕様の違いによらず枠部17を共通化することができ、枠部17の製造コストを削減することができる。
【0056】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々変形可能である。
【0057】
上記実施形態では、空調ケース内を外気が流れる空気通路と内気が流れる空気通路とに区画形成する空調装置について説明したが、例えば空調ケース内を運転席側に流れる空気通路と助手席側に流れる空気通路とに区画形成する空調装置に適用しても良い。
【0058】
また上記実施形態では、溝部23R、23Lの断面形状を矩形状としたが、V字形状やU字形状などでも良く、要は送風機ケース側仕切部14R、14Lとラビリンス構造を形成するような形状であればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 送風機ユニット
2 第1ファン(送風機)
3 第2ファン(送風機)
5 スクロールケーシング
7 送風機ケース(空調ケース)
8 内外気ケース(空調ケース)
9R、9L 内外気ケース側仕切部(ケース側仕切部)
10、10a 第1空気通路
11、11a 第2空気通路
12a 第1空気吸入口
12b 第2空気吸入口
13a 第1空気吐出口
13b 第2空気吐出口
14R、14L 送風機ケース側仕切部(ケース側仕切部)
15 フィルタ部材
16 濾材
17 枠部
22R、22L 枠側仕切部
23R、23L 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内へ向かって空気通路(10、10a、11、11a)を形成する空調ケース(7、8)と、
前記空調ケース(7、8)内で直線状に延びて設けられ、前記空調ケース(7、8)内を複数の空気通路(10、10a、11、11a)に区画形成するケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)と、
前記空調ケース(7、8)内に、前記ケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)の伸延方向において着脱可能に設けられ、前記空気通路(10、10a、11、11a)を通過する空気を清浄する濾材(16)と前記濾材(16)を支持する枠部(17)とを有するフィルタ部材(15)とを備え、
前記枠部(17)には、前記空気通路(10、10a、11、11a)を区画形成する枠側仕切部(22R、22L)が設けられ、この枠側仕切部(22R、22L)は、前記枠部(17)を前記空調ケース(7、8)内に設置した状態において前記ケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)と対応して直線状に設けられた空調装置において、
前記ケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)および前記枠側仕切部(22R、22L)のうち、空気上流側に設けられた仕切部を一方の仕切部、空気下流側に設けられた仕切部を他方の仕切部としたときに、前記一方の仕切部の端部には、前記他方の仕切部の端部と嵌合する溝部(23R、23L)が形成されていることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記一方の仕切部は前記枠側仕切部(22R、22L)で、前記他方の仕切部は前記ケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)であり、
前記枠側仕切部(9R、9L、14R、14L)は複数設けられ、
それぞれの前記枠側仕切部(22R、22L)の端部に前記溝部(23R、23L)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
インストルメントパネル部を有する自動車に用いられた請求項2に記載の空調装置であって、
前記空調装置は、前記インストルメントパネル部の中央部から助手席側にオフセットして配置された送風機ユニット(1)を有し、
前記送風機ユニット(1)は、空気流を発生させる送風機(2、3)と、前記送風機(2、3)を収納し、空気吸入口(12a、12b)と空気吐出口(13a、13b)とが形成されたスクロールケーシング(5)と、前記スクロールケーシング(5)を囲むように前記スクロールケーシング(5)の外側に設けられた前記空調ケース(7、8)としての送風機ケース(7)と、前記送風機ケース(7)の空気上流側に設けられて内外気を切り替える内外気切替手段を有する内外気ケース(8)と、を備え、
前記スクロールケーシング(5)には、前記送風機(2、3)の回転軸方向の一端側および他端側のそれぞれに前記空気吸入口(12a、12b)が形成され、
前記フィルタ部材(15)は、前記内外気ケース(8)と前記送風機ケース(7)との間に配置され、
前記ケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)は、前記送風機ケース(7)および前記内外気ケース(8)の少なくとも一方に設けられ、
前記内外気ケース(8)と前記送風機ケース(7)とにより形成される前記空気通路(10、10a、11、11a)は、前記ケース側仕切部(9R、9L、14R、14L)と前記枠側仕切部(22R、22L)とにより、前記内外気ケース(8)から前記回転軸の一端側の空気吸入口(12a)へ通ずる第1空気通路(10、10a)と、前記内外気ケース(8)から前記スクロールケーシング(5)と前記送風機ケース(7)との隙間を介して前記回転軸の他端側の空気吸入口(12b)へ通ずる第2空気通路(11、11a)とに区画形成され、
前記回転軸の一端側の空気吸入口(12a)のうち、前記ケース側仕切部(14R、14L)の伸延方向と直交する方向において最も前記隙間側の部位は、前記枠部(17)の前記直交方向における全幅中央部よりも前記隙間側にずれた位置にあり、
前記ケース側仕切部(14R、14L)は、前記吸入口(12a)の前記部位と、前記スクロールケーシング(5)のうち前記直交方向において最も前記隙間側の部位との間の範囲内に設けられていることを特徴とする自動車用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−187969(P2012−187969A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51697(P2011−51697)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】