説明

空間光変調器(SLM)ベースの光減衰器

【課題】 光ビームを減衰させるための方法と装置が、提供される。
【解決手段】 この方法は、光ビームに加えられる減衰のレベルを選択することを含む。パターンが光ビームを変調して選択されたレベルの減衰を与えるように、二次元空間光変調器(SLM)のオン状態およびオフ状態画素のパターンが選択される。最後に、画素が選択されたパターンで配置されると共に、光ビームがSLM上へ向けられる。このパターンは、第一軸に沿って周期的で光ビームの強度分布がそれに沿って延在する第二軸に沿って対称である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画素ベースの空間光変調器(「SLM」)が、入力光信号を変調するのに用いられることができる。空間光変調器(SLM)は、各画素が光の強度を調整するかまたは変調する光「バルブ」として独立に働く光素子(画素)のアレイから成る。SLMは、それ自体の光を作り出さないが、むしろランプまたは他の光源からの光を(反射的にまたは透過的に)変調し、動的に再構成可能なディジタル画像を作り出す。空間光変調器として使われてきた技術は、音響光変調器、液晶デバイス、ならびにディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)および回折格子光バルブ(GLV)デバイスのようなミラーアレイを含む。
【背景技術】
【0002】
SLMは、投写型ディスプレイ、印刷、電気通信、直描リソグラフィ、および、他の種類の光信号処理におけるような、多くの場面で使われることができる。たとえば、電気通信場面では、光ネットワークを通して伝播する光信号が複数の異なるチャンネルまたは搬送波波長を有することができる。SLMは、この種の光信号を平均化して、フィルタをかけて、変調して、かつ制御することが可能である。
【0003】
SLMが使用されるさまざまなデバイスとしては、ダイナミックゲインイコライザ、光スイッチ、ディスプレイデバイス、減衰器、動的回折光素子、ビームステアリングデバイス、写真平板レーザーマスクライタなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらのデバイスの機能は、互いに排他的でない。たとえば、光減衰器として使われるSLMベースのデバイスがまた、光スイッチングを実行するのに用いられることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願[案件整理番号2062/3および2062/4]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したSLMベースのデバイスが減衰を実行するのに用いられるときに、それらを改良する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従って、光ビームを減衰させるための1つの方法と装置が提供される。この方法は、光ビームに加えられるべき減衰のレベルを選択することを含む。パターンが光ビームを変調して選択されたレベルの減衰を与えるように、二次元空間光変調器(SLM)のオン状態およびオフ状態画素のパターンが選択される。最後に、画素が選択されたパターンで配置されると共に、光ビームがSLM上へ向けられる。このパターンは、第一軸に沿って周期的で光ビームの強度分布がそれに沿って延在する第二軸に沿って対称である。
【0007】
本発明の別の態様に従って、光ビームが第一軸に沿って延在する非対称強度分布を有することができる。
【0008】
本発明の別の態様に従って、光ビームがSLMの第一軸に沿って分布する複数の波長に分散されることができる。
【0009】
本発明の別の態様に従って、複数の波長がSLMによって変調された後に再び結合され、波長に従って変化されることができる選択されたレベルの減衰によって再び結合された光ビームを形成することができる。
【0010】
本発明の別の態様に従って、選択されたパターンの周期性が光ビームの直径未満でもよい。
【0011】
本発明の別の態様に従って、選択されたパターンの周期性が光ビームの直径の約1/4未満でもよい。
【0012】
本発明の別の態様に従って、第一軸に沿った選択されたパターンの周期性が、光ビームの直径の約1/10未満でもよい。
【0013】
本発明の別の態様に従って、パターンが、その中の任意のローカル強度最大値の両側の光ビームの部分に実質的に同じレベルの減衰を与える領域を有することができる。
【0014】
本発明の別の態様に従って、パターンが、強度の最大変化率がローカル強度最大値の両側にある所で、実質的に同じレベルの減衰を光ビームの部分に与える領域を有することができる。
【0015】
本発明の別の態様に従って、選択されたパターンの周期性が、個々の波長のビーム直径より大きい距離にわたって変化し、それによって、異なる波長範囲に対して選択的に変化されることができる比較的均一のレベルの減衰を与えることができる。
【0016】
本発明の別の態様に従って、選択されたパターンの周期性が、個々の波長のビーム直径より小さい距離にわたって変化し、それによって、特定の波長範囲に対して名目上連続的な減衰レベル変化を与えることができる。
【0017】
本発明の別の態様に従って、高帯域信号の特定の波長範囲内で変化することができる連続減衰レベルが特定の波長範囲内の少なくとも1つの高強度帯域幅信号の信号完全性を向上するように選択される。
【0018】
本発明の別の態様に従って、高帯域信号の特定の波長範囲内で変化することができる選択された減衰レベルが、ほぼ線形の信号の最高強度を横切る波長の関数として減衰変化を得る。
【0019】
本発明の別の態様に従って、高帯域信号の特定の波長範囲内で変化することができる選択された減衰レベルが、ほぼ二次の信号の最高強度帯域幅を横切る波長の関数として減衰変化を得る。
【0020】
本発明の別の態様に従って、伝送路内に生じる以前の波長に依存する減衰を補足する信号の最高強度部分を横切る、減衰変化を得る高帯域信号の特定の波長内で変化することができる選択された減衰レベルによって、信号の最高強度部分の全体的な波長から独立の正味減衰が生じる。
【0021】
本発明の別の態様に従って、高帯域信号の特定の波長範囲内で変化することができる選択された減衰レベルが信号の最高強度部分の帯域幅を減少させる波長の関数として減衰変化を得る。
【0022】
本発明の別の態様に従って、伝送システムの端部の受信光検出器からのフィードバックが高帯域信号の特定の波長範囲内の減衰レベル変化を選ぶのに用いられることができる。
【0023】
本発明の別の態様に従って、光ビームを受信するための入力ポートおよび光ビームを受信するための表面を有するSLMを含む光デバイスが、提供される。光ビームが複数の画素に入射するように、この表面が画素のアレイを含み、画素の各々が、その上に入射する光エネルギーに異なる量の変調を与える個別状態の倍数の1つにある。所望の量だけ光ビームを減衰させる状態のパターンで、画素が配置される。このパターンは、第一軸に沿って周期的で光ビームの強度分布がそれに沿って延在する第二軸に沿って対称である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】光ビームまたは信号を減衰させるための空間光変調器(SLM)を使用する光デバイスの一例のブロック図である。
【図2】波長λがその上に入射する拡大部分断面図を示す。
【図3】オンまたはオフの状態で個々の画素を例示する図1の光デバイスに使用される種類のSLMの平面図である。
【図4】異なる組の画素がそれらのオフ状態にあるが同じレベルの減衰を達成する、図3内に示されるSLMの平面図を示す。
【図5】異なる組の画素がそれらのオフ状態にあるが同じレベルの減衰を達成する、図3内に示されるSLMの平面図を示す。
【図6】その上に焦点を合わせられる3つの空間的に分離された光波長を備えた図1の光デバイスに使用されるSLMの平面図を示す。
【図7】ビーム軸に沿った方向に光ビームの中心に対して対称で分光分散軸に沿って周期的である画素パターンの例を示す。
【図8】ビーム軸に沿った方向に光ビームの中心に対して対称で分光分散軸に沿って周期的である画素パターンの例を示す。
【図9】ビーム軸に沿った方向に光ビームの中心に対して対称で分光分散軸に沿って周期的である画素パターンの例を示す。
【図10】ビーム軸に沿った方向に光ビームの中心に対して対称で分光分散軸に沿って周期的である画素パターンの例を示す。
【図11】例証となる線形通信システムにおける3つのスパンを示す。
【図12】図12内に示される中間ノードに対する1つの可能な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、光ビームまたは信号を減衰させるための空間光変調器(SLM)を使用する光デバイス100の一例のブロック図である。この例において、可変光減衰器(VOA)として機能することができる光デバイス100は複数波長信号112をデバイス100にもたらすことが可能な入力光ファイバ102およびデバイス100から信号112の少なくとも一部を除去することが可能な出力光ファイバ104を含む。特に通信産業に適しているさまざまな実施態様において、複数波長光信号112は、C周波帯(約1525ないし1565nmの間の波長)またはL周波帯(約1565ないし1625nmの間の波長)の範囲内の1つ以上の波長を備えることができる。
【0026】
光デバイス100はさらに、第1の分散回折格子配置118aおよび第2の分散回折格子配置を含む。この例では、第1の分散回折格子配置118aは、複数波長信号112を個別波長またはチャンネル(λ−λ)に分離して、波長をSLM108に焦点を合わせるように動作する。同様に、第2の分散回折格子配置118bはSLM108から反射された波長を出力複数波長光信号114に結合して、信号114を出力光ファイバ104に焦点を合わせるように動作する。第1および第2の分散回折格子配置は、回折格子、レンズ(例えばコリメーティングレンズ)、同じく他の光素子の組合せを含むことができる。
【0027】
SLM108は、光波長を空間的に変調するように操作可能である。SLM108が光信号プロセッサとして働くように入力波長を変調すると共に、SLM108が反射によって光出力ファイバ104に光波長の1つ以上を選択的に伝達する。この光信号処理は例えば、光減衰、波長フィルタリング、光品質モニタリング、共チャンネル変調、分散補償などでありえる。本例では、SLM108は光減衰を実行するのに用いられる。
【0028】
マイクロミラーベースのSLMの1つの種類が、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。DMDは、各々がオン状態またはオフ状態で作動可能なマイクロミラーまたは画素の二次元アレイから成る。ここで使用しているように、DMDの場面で、用語「マイクロミラー」および「画素」が相互互換的に使われる。一般的に、DMDはごく小さいミラーのアレイ(一般的に、平方インチあたり数100万)から成り、各ミラー素子の角度位置は、たとえば、ほぼ10ないし20度でお互いに角度でオフセットされる少なくとも2つの位置の間で、個々に制御可能である。ミラーベースが、ミラー素子の背後に位置する。個々にアドレス可能なミラー素子が機械ヒンジに傾動自在に取り付けられ、および、一般的に、ミラー素子のアレイが、その全てが半導体チップに取り付けられる、ミラーベース内の制御回路の層を覆う。DMDのミラー表面は、矩形のまたは正方形のミラー素子の概ね矩形の格子アレイから成る。典型的ミラー素子は約16マイクロメートル平方であり、および、個々の素子は約1ミクロンの距離だけお互いに隔てられる。少なくとも1つの軸のまわりのアレイ内のミラー素子の個々に制御された傾斜によって、ミラー表面から反射されるエネルギーが所定のパターンに形成されることができる。更に、ミラー表面はディジタル信号に応答して実質的に即座に再構成され、異なるパターンを形成することができる。この種の再構成は、正確で再現可能で、一般に約25マイクロ秒以下で達成されることができる。
【0029】
図1の例では、SLM108は画素が一連のマイクロミラー(図1内に視認できない)から形成されるDMDである。一般的に、SLM108によって受信される個々の波長はいくつかのマイクロミラーにわたって広げられ、マイクロミラー110が出力ファイバ104に連結する光量を制御することを可能にする。これは、SLM108の拡大部分投影図である図2内に最も明確に見られる。明快さのために図2は、波長λが入射するマイクロミラー110だけを示す。任意の光ビームと同様に、強度分布曲線150によって示唆されるように、波長λの強度は空間的に分布する。示すように、強度分布曲線はしばしばガウス分布であるが、それに限定されない。動作中に、オン状態マイクロミラー110aは出力ファイバ104に波長λのエネルギーの少なくとも一部を選択的に反射するように動作する。加えて、オフ状態マイクロミラー110bは出力ファイバ104から離れて波長λのエネルギーの一部を選択的に反射するように動作する。この例では、オフ状態マイクロミラー110bは分岐ポート106にエネルギーを反射する。このようにして、SLM108はマイクロミラー110のいくつかの動作状態を選択的に変化させることによって出力ファイバ104に連結される波長λの光出力を変化させることができる。SLM108によって出力ポート104に向けられる波長λ−λの光出力は、減衰されることができるかまたはさもなければ類似した方法で変化されることができる。
【0030】
図1内に示されるSLMベースの光デバイスの構造は、この用途で論じられる実施態様が適用されることができる光システムのほんの一例である。例えば、一部の用途では、同じ経路に沿って戻って反射ビームを向けて、サーキュレータまたは他の手段を使用して出入ビームを分離することが、望ましい場合がある。他の実施態様において、SLM108が出力ファイバ104に反射の代わりに透過によって1つ以上の波長を選択的に伝えることができる。さらに他の実施態様において、SLMベースの光デバイスが、SLMが減衰に加えて1つ以上の機能を実行するのに用いられるデバイスであってもよい。前述のように、この種のデバイスのいくつかの例はダイナミックゲインイコライザ、光スイッチ、ディスプレイデバイス、減衰器、動的回折光素子、ビームステアリングデバイスおよび写真平板レーザーマスクライタを含む。この用途で論じられる実施態様が適用されることができる光スイッチの1つの特定の例が、(特許文献1)内に開示され、それらの全体において本願明細書に引用したものとする。
【0031】
図3は、個々の画素220(その内1つだけがラベルをつけられている)を例示するために図1の光デバイス内に使用される種類のSLM208の平面図である。単一の光ビーム250もまた、SLM108に入射するように示される。ビーム250のスポットサイズは一群の画素を包含し、および、それは1つの応用ともう一方を区別するこれらの群の画素およびそれらの可変パターンの編制である。光ビームが強度で分布するので、すべての画素が同じエネルギー量を受け取るというわけではない。たとえば、光ビームがガウス分布を有する場合、強度は真ん中の画素上で最大である。スポットサイズの下の領域をマイクロミラーのH(高さ)行およびW(幅)列のセグメントに編成する場合、その時オン状態画素の数を減少させることによって、画素のセグメントの反射される光の強度はそれに応じて減弱する。逆に、オン状態画素の数を連続的に増加させることによって、反射光の強度は徐々にその以前のレベルに戻る。
【0032】
議論の明快さのために、図3およびあとに続く図ではそれらのオフ状態にある画素は陰影をつけられ、および、それらのオン状態にある画素は陰影がない。上記したように、任意の所定の波長がこの所定の波長が入射するオン状態画素の数を減少させることによって減衰することができる。たとえば、図3では、光ビームは4画素に入射する光に等しい量だけ減衰している。図4は、図3におけると同じ量だけ光ビーム250を減衰させるSLM208を示す。図3および4では、しかしながら、異なる組の4画素がそれらのオフ状態にある。すなわち、オフ状態画素の異なるパターンが同じレベルの減衰を達成するために図3および4で使われる。図5は、図3および4におけると同じレベルの減衰を達成するさらに別の画素パターンを示す。
【0033】
図6は、図1の光デバイスに使用されるSLM108の平面図および第1の分散回折格子配置118aによってSLM108に焦点を合わせられる空間的に分離された光波長λ、λおよびλ(それぞれ、ビーム310、320および330によって表される)を示す。3つの波長が説明のために示されるとはいえ、さらに一般的にいえば、任意の数の波長がSLM108を横切って空間的に切り離されることができる。この例では、SLM108の分光分散軸は水平方向にあると想定され、および、個々の波長が含まれる直交軸線は垂直方向にあると想定される。この直交軸線は、本願明細書においてビーム軸と称される。しかしながら、他の向きもまた、可能である。DMDの場合には、マイクロミラーの旋回軸は分光分散軸と概ね平行して延伸する。図6が示すように、この例では各波長に対するビーム直径は約10画素にわたって延在する。
【0034】
上で議論したように、異なる画素パターンが所定の量だけ波長λ−λを減衰させるのに用いられることができるとはいえ、いくつかの画素パターンが他より使用するのにより望ましい。所定のレベルの減衰で空間的に分散された光ビームを減衰させる時に使用する適切な画素パターンを選ぶ場合、いくつかの要因が考慮に入れられなければならない。まず、理想的なパターンはSLM上の入射光の位置の小さな揺らぎに比較的非感受性でなければならない。この種の揺らぎは、ビームアライメントの不正確さ、振動、温度変動などを含む種々の要因から生じる可能性がある。第2に、多くの場合、要求される減衰のレベルは波長から独立していなければならない。すなわち、波長λ−λのいずれかがSLM108の分光分散軸に沿って走査されるにつれて、波長が経験する減衰の量は実質的に同じでなければならない。
【0035】
ビーム軸に沿った方向に光ビームの中心に対して対称である画素パターンを用いて、第1の判定基準、ビーム位置に対する非感受性が満たされることができる。
【0036】
分光分散軸に沿って周期的である画素パターンを用いて、第2の判定基準、波長から独立した減衰が満たされることができる。両方の判定基準を満たす画素パターンのさまざまな例が、図7−10内に示される。これらの図では、パターンは垂直軸に沿って対称で水平軸に沿って周期的である。光ビームは、概ねパターンの中心に入射する。一般的に、パターンの周期性は光ビームの直径未満でなければならず、場合によっては光ビーム直径の約1/4未満でなければならない。
【0037】
要求される減衰の各レベルに対して、上述した判定基準の各々を満たすSLM画素パターンが生成されることができる。たとえば、いくつかの光デバイスは0と例えば15dB減衰レベルとの間で例えば0.1dB増分で可変的程度の減衰を与える必要がある。この場合、1つ以上のパターンが各0.1dB増分の減衰に対して生成されることができる。
【0038】
図7−10内のパターンの定性的な比較は、周期的なパターンが共通して全て有する特徴を例示する。それらが全て水平軸で周期的で垂直軸で対称であるので、全てのパターンが上で特定される2つの判定基準を満たす。加えて、しかしながら、図7におそらく最もよく見られるように、パターンはより大きいおよびより小さい量の減衰を与える異なる領域に配置される。この例では、これらの領域は、ストライプ700、700および700、ならびに720および720として図7内に示される5つの異なるバンドまたはストライプに配置される。ビームの中心(すなわちピーク)が中心ストライプ700に入射するように、パターンに入射するガウスビームがストライプの上に位置合わせされ、および、(ガウスビームが強度の最大の空間変化を受けるところである)中心の両側上のビームの部分がそれぞれ、類似したストライプ710および710に入射する。最後に、強度が最も弱いガウスビームの最も外部の部分が、ストライプ720および720に入射する。図7で最も明白であるとはいえ、この同じ傾向は図7−10内に示されるパターンの全てに存在する。パターンによって呈されるこれらの特徴に対する直観的な説明は、一次に、強度のビームの最大変化率のまわりの2つのストライプ710および710が互いにオフセットするので、ビームが、それが入射する中心の位置に逐次に並進するにつれて、この種のパターンがガウスビームに対して非感受性になるということである。5つの領域がSLM上のガウスビームの垂直な動きに対する相対的な非感受性を維持すると共に、減衰レベルで微細な粒度を得るために互いに、絶対的におよび相対的に変化する(画素オン状態およびオフ状態にそれぞれ対応する)より薄いおよびより濃いサブ領域を有することが、また、図7−10内に見られることができる。直交または水平軸上でガウスビームの半値幅の約1/10未満である2列周期性(これらの例のそれは、中心ストライプ700の両側で2つのストライプ710および710の中心−中心間隔から約25画素行であると導き出されることができる)を通して、非感受性が達成される点に注意する。
【0039】
減衰パターンを最適化する追加的な考慮すべき事柄は、減衰レベルの遷移におけるそれらのパターンの管理である。これは、光スイッチングまたは動的チャンネル等化のような波長に依存する減衰用途において特に重要である。これらの用途は、個々の波長範囲内の光チャンネルに均一な、独立に設定可能な減衰を与えるために分光分散軸に沿って周期的な減衰パターンを使用することができる。これは異なるレベル間の減衰境界で異なるパターン間の遷移を必要とし、および、減衰パターンの完全な周期性が境界に存在しない場合、減衰エラーが生じる可能性がある。パターンの全周期が所望の減衰を達成するために必要であるので、エラーが生じ、および、規定されたチャンネル内のパターン列の数がパターン周期で均一に割り切れない場合、所望の平均減衰レベルを伴わない部分的なパターンから生じる減衰レベルエラーがある可能性がある。このエラーを最小にする戦略は、概ね3つのアプローチのうち少なくとも1つを使用することができる:(1)目標減衰レベルに密接に接近する個々の行を備えたパターンを選択する、(2)不完全な周期を備えた適用の列の数を最小にする、または、(3)減衰境界での途絶を最小にするために所定のパターンの配置(または周期的位相)の位置を定める。アプローチ(1)の1つの例は、全てが目標減衰レベルを有する各列のパターンを使用することである。アプローチ(2)の1つの例は、常に全周期でパターンの少なくとも片側を始め、かつ好ましくは、領域全体が(両方の境界を含んで)全周期だけを有するように、周期性および減衰レベル境界を選択することであろう。アプローチ(3)の1つの例は、任意の残りの部分的な周期が目標値の近くにある平均減衰を有するように、パターンの列順序または位相を変えることであろう。
【0040】
SLMがプロセッサから適切な制御信号を受信するときに、SLM画素パターンが生成されることができる。プロセッサと関連する記憶媒体が、プロセッサがさまざまなパターンを生成するために使用するプログラム命令を記憶することができる。この種のプロセッサは、アセンブリ、コンパイルまたは機械レベルのどれでも、命令を実行する。命令は、本願明細書に与えられる記述に従って当業者によって、計算機可読の媒体上に書かれて、記憶されるかまたは伝送されることができる。命令は、また、ソースコードまたはその他の周知のCADツールを使用して作り出されることができる。計算機可読の記憶媒体は、それらの命令を運ぶことが可能な任意の媒体であってもよく、CD−ROM、DVD、磁気または他の光ディスク、テープ、(例えば、着脱可能な、非着脱可能な、揮発性、または非揮発性の)シリコンメモリおよび/またはパケット化されたもしくは非パケット化された有線または無線伝送信号を含んでもよい。
【0041】
光ファイバ通信システム内に使用されるときに、本願明細書に記載されているVOAがいくつかの重要な特徴を実行することができることを期待される。図11は、例証となる線形通信システム内の3つのスパン820を示す。スパン820は、中間ノード801および802を通して光学的に連結される。それらがデマルチプレクサ811に搬送されることができるように、このシステムは波長810の複数の異なる情報運搬ストリームを同時伝送するための手段を提供する。本発明は、中間ノードにおける複数目的のために都合よく使用されることができる。
【0042】
中間ノードに対する1つの可能な構成が、図12内に示される。示すように、このノードは光前置増幅器930、光プロセッサ921および光後置増幅器931を含む。光信号が光損失を備えた光ファイバの長い全長に沿って伝送されるときに、2つの光増幅器930および931がより高い信号出力を供給することで光損失を補償する。しかしながら、光プロセッサ921が後置増幅器931の後でチャンネル出力電力あたり最適量を効果的に供給するためにチャンネルあたり損失を動的に制御することが可能であることが、しばしば有益である。このチャンネルあたり出力電力制御機能はダイナミックゲイン等化と称されることができ、および、光プロセッサ921はダイナミックゲインイコライザ(DGE)と称されることができる。DGEは、光増幅器内に生じる非最適ゲインに対する補正を含む多くの目的に役立つ。あるいは、DGEはより多くの信号出力が低マージンチャンネルに対するマージンを向上させることを必要とするチャンネルを「プリエンファシスする」のに用いられることができる。代わりのまたは拡張された機能が、たとえば、図12内に示されるファイバ920を使用して各ノードでローカル使用のためのチャンネルを任意選択で経路決定する能力と減衰を制御するDGEの能力を統合することである。この統合化機能を組み込むデバイスは波長選択スイッチ(WSS)と一般的に称され、および、本発明のVOAによって実証される技術を使用すると、この種のスイッチは拡張された機能および性能を有することができる。さらに、WSSの機能が複数ファイバ間の全無閉塞クロスコネクトを実行するのに用いられることができることが、理解されるべきである。より複雑な、相互に連結したメッシュシステムに図11内に示される線形伝送システムを拡張するときに、これは役立つ。
【符号の説明】
【0043】
100 光デバイス
102 入力光ファイバ
104 出力光ファイバ
106 分岐ポート
108 SLM
110 マイクロミラー
110a オン状態マイクロミラー
110bオフ状態マイクロミラー
112 複数波長光信号
114 出力複数波長光信号
118a 第1の分散回折格子配置
118b 第2の分散回折格子配置
150 強度分布曲線
208 SLM
220 画素
250、310、320、330 ビーム
700、700、700、710、710、720、720 ストライプ
801および802 中間ノード
810 波長
811 デマルチプレクサ
820 スパン
920 ファイバ
921 光プロセッサ
930 光前置増幅器
931 光後置増幅器
λ−λ 波長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを減衰させる方法であって、
光ビームに加えられるべき減衰のレベルを選択するステップと、
前記パターンが前記光ビームを変調して前記選択されたレベルの減衰を与えるように、二次元空間光変調器(SLM)内のオン状態およびオフ状態画素のパターンを選択するステップと、
前記画素が、前記選択されたパターン内に配置されると共に、前記SLM上へ光ビームを向けるステップと、を含み、前記パターンが、第一軸に沿って周期的で、かつ前記光ビームの強度分布がそれに沿って延在する第二軸のまわりに対称である、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記光ビームが、前記第一軸に沿って延在する非対称強度分布を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、さらに、前記光ビームを、前記SLMの前記第一軸に沿って分布する複数の波長に空間的に分散させるステップを含む方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、さらに、前記SLMによって変調された後に前記複数の波長を再び結合し、波長に従って変化されることができる前記選択されたレベルの減衰によって再び結合された光ビームを形成するステップを含む方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって、前記選択されたパターンの前記周期性が前記光ビームの直径未満である、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、前記パターンが、その中の任意のローカル強度最大値の両側の前記光ビームの部分に実質的に同じレベルの減衰を与える領域を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、前記パターンが、強度の最大変化率がローカル強度最大値の両側にある所で、実質的に同じレベルの減衰を前記光ビームの部分に与える領域を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項3の方法であって、前記選択されたパターンの前記周期性が、個々の波長のビーム直径より大きい距離にわたって変化し、それによって、異なる波長範囲に対して選択的に変化されることができる比較的均一のレベルの減衰を与える、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項3の方法であって、前記選択されたパターンの前記周期性が、個々の波長のビーム直径より小さい距離にわたって変化し、それによって、特定の波長範囲に対して名目上連続的な減衰レベル変化を与える、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9の方法であって、高帯域信号の特定の波長範囲内の前記連続減衰レベル変化が、前記特定の波長範囲内の少なくとも1つの高帯域信号の信号完全性を向上させるように選ばれる、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10の方法であって、高帯域信号の前記特定の波長範囲内の前記選択された減衰レベル変化が、ほぼ線形の前記信号の最高強度を横切る、波長の関数として減衰変化を得る、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10の方法であって、高帯域信号の前記特定の波長範囲内の前記選択された減衰レベル変化が、ほぼ二次の前記信号の最高強度帯域幅を横切る、波長の関数として減衰変化を得る、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10の方法であって、前記伝送路内に生じる以前の波長に依存する減衰を補足する前記信号の前記最高強度部分を横切る、減衰変化を得る高帯域信号の前記特定の波長内の前記選択された減衰レベル変化によって、前記信号の最高強度部分の全体的な波長から独立の正味減衰が生じる、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10の方法であって、伝送システムの端部の受信光検出器からのフィードバックが、高帯域信号の特定の波長範囲内の前記減衰レベル変化を選ぶのに用いられる、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項3の方法であって、前記パターンが、異なる減衰レベルのパターン間の遷移における強度擾乱を最小にするために配置される複数の周期的減衰パターンを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15の方法であって、前記周期的減衰パターンが、前記周期的パターン全体の平均減衰に密接に接近する前記パターンの各列にわたって、平均減衰レベルを有するように選ばれる、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15の方法であって、部分的周期的パターンが前記周期的パターン全体の平均減衰に密接に接近する平均減衰レベルを有することを確実にするように、前記周期的減衰パターンが選ばれることを特徴とする方法。
【請求項18】
光デバイスであって、
光ビームを受信するための入力ポートと、
前記光ビームを受信するための表面を有するSLMと、を備え、前記光ビームが複数の画素に入射するように、前記表面が前記画素のアレイを含み、前記画素の各々が、その上に入射する光エネルギーに異なる量の変調を与える個別状態の倍数の1つにあり、所望の量だけ前記光ビームを減衰させる状態のパターンで、前記画素が配置され、前記パターンが、第一軸に沿って周期的で、かつ前記光ビームの強度分布がそれに沿って延在する第二軸に沿って対称である、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項19】
請求項18の光デバイスであって、さらに、前記光ビームを複数の波長に空間的に分散させるための分散光素子を備え、それらが前記第一軸に沿って延在するように、前記SLMの前記表面が、前記空間的に分散される波長を受け取る、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項20】
請求項18の光デバイスであって、前記SLMが、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項21】
請求項18の光デバイスであって、前記パターンが、その中の任意のローカル強度最大値の両側の前記光ビームの部分に実質的に同じレベルの減衰を与える領域を有する、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項22】
請求項18の光デバイスであって、前記パターンが、強度の最大変化率がある所で、そのローカル強度最大値の両側で実質的に同じレベルの減衰を前記光ビームの部分に与える領域を有する、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項23】
請求項19の光デバイスであって、前記選択されたパターンの前記周期性が、個々の波長のビーム直径より大きい距離にわたって変化し、それによって、異なる波長範囲に対して選択的に変化されることができる比較的均一のレベルの減衰を与える、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項24】
請求項19の光デバイスであって、前記選択されたパターンの前記周期性が、個々の波長のビーム直径より小さい距離にわたって変化し、それによって、特定の波長範囲に対する名目上連続的な減衰レベル変化を与える、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項25】
請求項19の光デバイスであって、前記パターンが、異なる減衰レベルのパターン間の遷移における強度擾乱を最小にするために配置される複数の周期的減衰パターンを含む、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項26】
請求項25の光デバイスであって、前記周期的減衰パターンが、前記周期的パターン全体の平均減衰に密接に接近する前記パターンの各列にわたって、平均減衰レベルを有するように選ばれる、ことを特徴とする光デバイス。
【請求項27】
請求項25の光デバイスであって、部分的周期的パターンが前記周期的パターン全体の平均減衰に密接に接近する平均減衰レベルを有することを確実にするように、前記周期的減衰パターンが選ばれることを特徴とする光デバイス。
【請求項28】
光通信システムであって、
情報を有する光ビームを受信するための入力ポートと、
前記光ビームを送信するための出力ポートと、
前記情報を有する光ビーム内に運ばれる前記情報を活用するためのプロセッサと、
前記光ビームを受信するための表面を有する少なくとも1つのSLMと、を備え、前記光ビームが複数の前記画素に入射するように、前記表面が画素のアレイを含み、前記画素の各々が、その上に入射する光エネルギーに異なる量の変調を与える個別状態の倍数の1つにあり、所望の量だけ前記光ビームを減衰させる状態のパターンで、前記画素が配置され、前記パターンが、第一軸に沿って周期的で、かつ前記光ビームの強度分布がそれに沿って延在する第二軸に関して対称である、ことを特徴とする光通信システム。
【請求項29】
請求項28の光通信システムであって、前記選択されたパターンの前記周期性が、個々の波長のビーム直径より大きい距離にわたって変化し、それによって、異なる波長範囲に対して選択的に変化されることができる比較的均一のレベルの減衰を与える、ことを特徴とする光通信システム。
【請求項30】
請求項28の光通信システムであって、前記選択されたパターンの前記周期性が、個々の波長のビーム直径より小さい距離にわたって変化し、それによって、特定の波長範囲に対して名目上連続的な減衰レベル変化を与える、ことを特徴とする光通信システム。
【請求項31】
請求項30の光通信システムであって、高帯域信号の特定の波長範囲内の前記連続減衰レベル変化が、前記特定の波長範囲内の少なくとも1つの高帯域信号の信号完全性を向上させるように選ばれる、ことを特徴とする光通信システム。
【請求項32】
請求項31の光通信システムであって、さらに、前記出力ポートに光学的に連結される受信光検出器、を備え、前記受信光検出器からのフィードバックが、少なくとも1つの高帯域信号の前記特定の波長範囲内の前記減衰レベル変化を最適化するのに用いられる、ことを特徴とする光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−500412(P2012−500412A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523194(P2011−523194)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/053890
【国際公開番号】WO2010/019885
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(510021199)ニスティカ,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】