説明

空間的にずれたサブフレームを生成及び表示する方法およびシステム

表示デバイス(26)を使用して画像(12)を表示する方法が提供される。方法は、画像の第1の部分及び第2の部分を含む画像データ(28)を受け取ること、第1の部分及びシミュレーションカーネル(2502/2602)を使用して第1の複数のサブフレーム(2416)を生成すること、第1の複数のサブフレームを生成することから独立して、第2の部分及びシミュレーションカーネルを使用して第2の複数のサブフレーム(2418)を生成すること、並びに、第1の複数の更新サブフレームのうちの第1のサブフレームを第1の位置に表示すること、第1の複数の更新サブフレームのうちの第2のサブフレームを、第1の位置から空間的にずれた第2の位置に表示すること、第2の複数の更新サブフレームのうちの第1のサブフレームを、第1の位置及び第2の位置から空間的にずれた第3の位置に表示すること、及び第2の複数の更新サブフレームのうちの第2のサブフレームを、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置から空間的にずれた第4の位置に表示することを交互に行うことを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2002年8月7日出願の「IMAGE DISPLAY SYSTEM AND METHOD」と題する米国特許出願第10/213,555号、2002年9月11日出願の「IMAGE DISPLAY SYSTEM AND METHOD」と題する米国特許出願第10/242,195号、2002年9月11日出願の「IMAGE DISPLAY SYSTEM AND METHOD」と題する米国特許出願第10/242,545号、2003年7月31日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/631,681号、2003年7月31日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/632,042号、2003年9月26日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/672,845号、2003年9月26日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/672,544号、2003年10月30日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES ON A DIAMOND GRID」と題する米国特許出願第10/697,605号、2003年10月30日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES ON DIFFERENT TYPES OF GRIDS」と題する米国特許出願第10/696,888号、2003年10月30日出願の「IMAGE DISPLAY SYSTEM AND METHOD」と題する米国特許出願第10/697,830号、2003年12月31日出願の「DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES WITH A DISPLAY DEVICE HAVING A SET OF DEFECTIVE DISPLAY PIXELS」と題する米国特許出願第10/750,591号、2004年1月30日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/768,621号、2004年1月30日出願の「DISPLAYING SUB-FRAMES AT SPATIALLY OFFSET POSITIONS ON A CIRCLE」と題する米国特許出願第10/768,215号、2004年4月8日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/821,135号、2004年4月8日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/821,130号、2004年4月8日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第10/820,952号、 年 月 日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第 号(整理番号200401412−1)、 年 月 日出願の「GENERATING AND DISPLAYING SPATIALLY OFFSET SUB-FRAMES」と題する米国特許出願第 号(整理番号200402842−1)に関連する。上記米国特許出願のそれぞれは本発明の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ、プロジェクタ、又は他の画像形成システム等、画像を表示するための従来のシステム又はデバイスは、横方向の行及び縦方向の列に整列された個々の画素又はピクセルの配列をアドレス指定することにより表示画像を生成する。表示画像の解像度は、表示画像を形成する横方向の行及び縦方向の列の個々のピクセルの個数として定義される。表示画像の解像度は、表示デバイス自体の解像度、及び、表示デバイスによって処理され、表示画像を生成するために使用される画像データの解像度によって影響を受ける。
【0003】
通常、表示画像の解像度を向上させるには、表示デバイスの解像度、及び、表示画像を生成するために使用される画像データの解像度を向上させなければならない。しかしながら、表示デバイスの解像度を向上させると、表示デバイスのコスト及び複雑さが増加する。これに加えて、解像度をより高くした画像データが利用可能でないことがあり、且つ/又は、その生成が困難なことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自然画像及びビジネスグラフィックス等の高コントラスト画像を含む各種のグラフィカル画像の表示を向上させることができることが望まれる。グラフィカル画像の生成及び表示に関連する画像のちらつきの量を低減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明の一形態は、表示デバイスを使用して画像を表示する方法を提供する。方法は、画像の第1の部分及び第2の部分を含む画像データを受け取ること、第1の部分及びシミュレーションカーネルを使用して第1の複数のサブフレームを生成すること、第1の複数のサブフレームを生成することから独立して、第2の部分及びシミュレーションカーネルを使用して第2の複数の更新サブフレームを生成すること、並びに、第1の複数の更新サブフレームのうちの第1のサブフレームを第1の位置に表示すること、第1の複数の更新サブフレームのうちの第2のサブフレームを、第1の位置から空間的にずれた第2の位置に表示すること、第2の複数の更新サブフレームのうちの第1のサブフレームを、第1の位置及び第2の位置から空間的にずれた第3の位置に表示すること、及び第2の複数の更新サブフレームのうちの第2のサブフレームを、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置から空間的にずれた第4の位置に表示することを交互に行うことを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(詳細な説明)
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。添付図面は、この詳細な説明の一部を成す。添付図面には、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示す。他の実施形態を利用することもでき、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更を行うこともできることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定の意味に取られるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって画定される。
【0007】
I.サブフレームの空間シフト及び時間シフト
いくつかのデジタルライトプロジェクタ等、表示システムの中には、いくつかの高解像度の画像を表示するのに十分な解像度を有さないものがある。このようなシステムは、空間シフト及び時間シフトされた低解像度の画像を表示することにより、より高解像度の画像の外観を人間の眼に与えるように構成することができる。低解像度の画像は、サブフレームと呼ばれる。サブフレーム生成上の問題は、本発明の実施形態によって取り組まれるものであるが、表示されるサブフレームが、そのサブフレームを導出した高解像度の画像が直接表示されたならば見えるであろう程度に外観上近くなるように、サブフレームの適切な値を決定することである。
【0008】
向上した解像度の外観を、サブフレームの時間シフト及び空間シフトを通じて提供する表示システムの一実施形態は、引用した上記米国特許出願に記載されており、図1〜図4Eを参照して以下に概要を説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による画像表示システム10を示すブロック図である。この画像表示システム10は、画像12の処理を促進して、表示画像14を作成する。画像12は、あらゆる描画用文字、図形文字、及び/若しくはテキスト文字、シンボル、イラスト、並びに/又は他の情報表現を包含するように定義される。画像12は、たとえば、画像データ16によって表される。画像データ16は、画像12の個々の画素又はピクセルを含む。画像表示システム10が処理するものとして、1つの画像を例示して説明するが、画像表示システム10は、複数の画像又は一連の画像を処理して表示することができることが理解されよう。
【0010】
一実施形態では、画像表示システム10は、フレームレート変換ユニット20及び画像フレームバッファ22、画像処理ユニット24、並びに表示デバイス26を含む。後述するように、フレームレート変換ユニット20及び画像フレームバッファ22は、画像12用の画像データ16を受け取ってバッファリングし、画像12用の画像フレーム28を作成する。画像処理ユニット24は、画像フレーム28を処理して、画像フレーム28用の1つ又は複数の画像サブフレーム30を規定し、表示デバイス26は、画像サブフレーム30を時間的且つ空間的に表示して、表示画像14を生成する。
【0011】
フレームレート変換ユニット20及び/又は画像処理ユニット24を含めて、画像表示システム10は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、フレームレート変換ユニット20及び/又は画像処理ユニット24を含めて、画像表示システム10の1つ又は複数の構成要素は、コンピュータ、コンピュータサーバ、又は一続きの論理演算を実行できる他のマイクロプロセッサベースのシステムに含まれる。さらに、処理をシステム全体にわたって分散させて、個々の部分を個別のシステム構成要素で実施することもできる。
【0012】
画像データ16は、デジタル画像データ161を含むこともでき、又はアナログ画像データ162を含むこともできる。アナログ画像データ162を処理するために、画像表示システム10は、アナログ/デジタル(A/D)変換器32を含む。したがって、A/D変換器32は、アナログ画像データ162を後続の処理のためにデジタル形式に変換する。このように、画像表示システム10は、画像12用のデジタル画像データ161及び/又はアナログ画像データ162を受け取って処理することができる。
【0013】
フレームレート変換ユニット20は、画像12用の画像データ16を受け取って、画像フレームバッファ22に画像データ16をバッファリング又は記憶する。より具体的には、フレームレート変換ユニット20は、画像12の個々のライン又はフィールドを表す画像データ16を受け取って、画像フレームバッファ22に画像データ16をバッファリングし、画像12用の画像フレーム28を作成する。画像フレームバッファ22は、画像フレーム28用の画像データのすべてを受け取って記憶することにより、画像データ16をバッファリングし、フレームレート変換ユニット20は、その後、画像フレームバッファ22から画像フレーム28用の画像データのすべてを検索又は抽出することにより、画像フレーム28を作成する。したがって、画像フレーム28は、画像12の全体を表す画像データ16の複数の個々のライン又はフィールドを包含するように規定される。このように、画像フレーム28は、画像12を表す複数の列及び複数の行の個々のピクセルを含む。
【0014】
フレームレート変換ユニット20及び画像フレームバッファ22は、プログレッシブ画像データ及び/又はインターレース画像データとして画像データ16を受け取って処理することができる。プログレッシブ画像データの場合、フレームレート変換ユニット20及び画像フレームバッファ22は、画像12用の画像データ16の連続したフィールドを受け取って記憶する。したがって、フレームレート変換ユニット20は、画像12用の画像データ16の連続したフィールドを検索することにより、画像フレーム28を作成する。インターレース画像データの場合、フレームレート変換ユニット20及び画像フレームバッファ22は、画像12用の画像データ16の奇数フィールド及び偶数フィールドを受け取って記憶する。たとえば、画像データ16の奇数フィールドのすべてが受け取られて記憶され、画像データ16の偶数フィールドのすべてが受け取られて記憶される。したがって、フレームレート変換ユニット20は、画像12用の画像データ16の奇数フィールド及び偶数フィールドを検索することにより、画像データ16のインターレースを解除して、画像フレーム28を作成する。
【0015】
画像フレームバッファ22は、それぞれの画像12の1つ又は複数の画像フレーム28用の画像データ16を記憶するためのメモリを含む。したがって、画像フレームバッファ22は、1つ又は複数の画像フレーム28のデータベースを構成する。画像フレームバッファ22の例には、不揮発性メモリ(たとえば、ハードディスクドライブ又は他の永続的記憶デバイス)が含まれ、揮発性メモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM))が含まれてもよい。
【0016】
フレームレート変換ユニット20において画像データ16を受け取り、画像フレームバッファ22により画像データ16をバッファリングすることにより、画像データ16の入力タイミングを、表示デバイス26のタイミング要件から切り離すことができる。より具体的には、画像フレーム28用の画像データ16は、画像フレームバッファ22により受け取られて記憶されるので、画像データ16をあらゆるレートの入力として受け取ることができる。したがって、画像フレーム28のフレームレートを表示デバイス26のタイミング要件に変換することができる。このように、画像フレーム28用の画像データ16を、表示デバイス26のフレームレートで画像フレームバッファ22から抽出することができる。
【0017】
一実施形態では、画像処理ユニット24は、解像度調整ユニット34及びサブフレーム生成ユニット36を含む。後述するように、解像度調整ユニット34は、画像フレーム28用の画像データ16を受け取って、表示デバイス26の表示用に画像データ16の解像度を調整し、サブフレーム生成ユニット36は、画像フレーム28用の複数の画像サブフレーム30を生成する。より具体的には、画像処理ユニット24は、画像フレーム28用の画像データ16を元の解像度で受け取り、画像データ16を処理して、画像データ16の解像度を増加させる、減少させる、且つ/又は、変更せずに維持する。したがって、画像処理ユニット24により、画像表示システム10は、さまざまな解像度の画像データ16を受け取って表示することができる。
【0018】
サブフレーム生成ユニット36は、画像フレーム28用の画像データ16を受け取って処理し、画像フレーム28用の複数の画像サブフレーム30を規定する。解像度調整ユニット34が、画像データ16の解像度を調整した場合に、サブフレーム生成ユニット36は、調整された解像度の画像データ16を受け取る。画像データ16の調整された解像度は、画像フレーム28用の画像データ16の元の解像度に対して、増加される場合もあるし、減少される場合もあるし、同じ場合もある。サブフレーム生成ユニット36は、表示デバイス26の解像度と一致した解像度を有する画像サブフレーム30を生成する。画像サブフレーム30は、それぞれ、画像フレーム28と等しい領域を有する。サブフレーム30は、それぞれ、画像12の画像データ16のサブセットを表す複数の列及び複数の行の個々のピクセルを含み、表示デバイス26の解像度と一致した解像度を有する。
【0019】
各画像サブフレーム30は、画像フレーム28用のピクセルの行列又は配列を含む。画像サブフレーム30は、各画像サブフレーム30が、異なるピクセル及び/又は異なる部分のピクセルを含むように、空間的に相互にずれる。したがって、画像サブフレーム30は、後述するように、或る垂直距離及び/又は水平距離だけ、相互にずれる。
【0020】
表示デバイス26は、画像処理ユニット24から画像サブフレーム30を受け取り、画像サブフレーム30を順次表示して、表示画像14を作成する。より具体的には、画像サブフレーム30は、空間的に相互にずれているので、表示デバイス26は、後述するように、画像サブフレーム30の空間的なずれに従って異なる位置に画像サブフレーム30を表示する。したがって、表示デバイス26は、画像フレーム28用の画像サブフレーム30の表示を交互に行って、表示画像14を作成する。したがって、表示デバイス26は、画像フレーム28用の1つのサブフレーム30全体を一度に表示する。
【0021】
一実施形態では、表示デバイス26は、画像フレーム28ごとに、1サイクルの画像サブフレーム30の表示を実行する。表示デバイス26は、空間的且つ時間的に相互にずれるように、画像サブフレーム30を表示する。一実施形態では、表示デバイス26は、画像サブフレーム30を光学的に操作して、表示画像14を作成する。したがって、表示デバイス26の個々のピクセルは、複数の位置にアドレス指定される。
【0022】
一実施形態では、表示デバイス26は、画像シフト装置38を含む。この画像シフト装置38は、表示デバイス26が表示するように、画像サブフレーム30の位置を空間的に変更又はずらす。より具体的には、画像シフト装置38は、後述するように、画像サブフレーム30の表示位置を変更して、表示画像14を生成する。
【0023】
一実施形態では、表示デバイス26は、入射光の変調を行う光変調器を含む。この光変調器は、たとえば、マイクロミラーデバイスの配列を形成するように整列された複数のマイクロミラーデバイスを含む。したがって、各マイクロミラーデバイスは、表示デバイス26の1つのセル又はピクセルを構成する。表示デバイス26は、ディスプレイ、プロジェクタ、又は他の画像形成システムの一部を成すこともできる。
【0024】
一実施形態では、画像表示システム10は、タイミングジェネレータ40を含む。このタイミングジェネレータ40は、たとえば、フレームレート変換ユニット20、解像度調整ユニット34及びサブフレーム生成ユニット36を含む画像処理ユニット24、並びに画像シフト装置38を含む表示デバイス26と通信する。したがって、タイミングジェネレータ40は、画像フレーム28を作成するための画像データ16のバッファリング及び変換と、画像データ16の解像度を調整して画像サブフレーム30を生成するための画像フレーム28の処理と、表示画像14を生成するための画像サブフレーム30の配置及び表示とを同期させる。したがって、タイミングジェネレータ40は、画像12のサブフレーム全体が、表示デバイス26により表示画像14として時間的且つ空間的に表示されるように、画像表示システム10のタイミングを制御する。
【0025】
一実施形態では、図2A及び図2Bに示すように、画像処理ユニット24は、画像フレーム28用の2つの画像サブフレーム30を規定する。より具体的には、画像処理ユニット24は、画像フレーム28用の第1のサブフレーム301及び第2のサブフレーム302を規定する。したがって、第1のサブフレーム301及び第2のサブフレーム302は、それぞれ、画像データ16の複数の列及び複数の行の個々のピクセル18を含む。このように、第1のサブフレーム301及び第2のサブフレーム302は、それぞれ、画像データ16のサブセットの画像データ配列又はピクセル行列を構成する。
【0026】
一実施形態では、図2Bに示すように、第2のサブフレーム302は、垂直距離50及び水平距離52だけ、第1のサブフレーム301からずれる。したがって、第2のサブフレーム302は、所定の距離だけ、第1のサブフレーム301から空間的にずれる。例示の一実施形態では、垂直距離50及び水平距離52は、それぞれ、1ピクセルの約2分の1である。
【0027】
図2Cに示すように、表示デバイス26は、第1の位置に第1のサブフレーム301を表示すること、及び、第1の位置から空間的にずれた第2の位置に第2のサブフレーム302を表示することを交互に行う。より具体的には、表示デバイス26は、垂直距離50及び水平距離52だけ、第1のサブフレーム301の表示に対して、第2のサブフレーム302の表示をシフトさせる。したがって、第1のサブフレーム301のピクセルは、第2のサブフレーム302のピクセルと一部重なる。一実施形態では、表示デバイス26は、画像フレーム28について、第1の位置に第1のサブフレーム301を表示すること、及び、第2の位置に第2のサブフレーム302を表示することの1サイクルを実行する。このように、第2のサブフレーム302は、第1のサブフレーム301に空間的且つ時間的に関連して表示される。このような時間的且つ空間的にシフトされた2つのサブフレームの表示を、本明細書では、2位置処理(two-position processing)と呼ぶ。
【0028】
別の実施形態では、図3A〜図3Dに示すように、画像処理ユニット24は、画像フレーム28用の4つの画像サブフレーム30を規定する。より具体的には、画像処理ユニット24は、画像フレーム28用の第1のサブフレーム301、第2のサブフレーム302、第3のサブフレーム303、及び第4のサブフレーム304を規定する。したがって、第1のサブフレーム301、第2のサブフレーム302、第3のサブフレーム303、及び第4のサブフレーム304は、それぞれ、画像データ16の複数の列及び複数の行の個々のピクセル18を含む。
【0029】
一実施形態では、図3B〜図3Dに示すように、第2のサブフレーム302は、垂直距離50及び水平距離52だけ、第1のサブフレーム301からずれ、第3のサブフレーム303は、水平距離54だけ、第1のサブフレーム301からずれ、第4のサブフレーム304は、垂直距離56だけ、第1のサブフレーム301からずれる。したがって、第2のサブフレーム302、第3のサブフレーム303、及び第4のサブフレーム304は、それぞれ、所定の距離だけ、空間的に相互にずれ、且つ、所定の距離だけ、第1のサブフレーム301から空間的にずれている。例示の一実施形態では、垂直距離50、水平距離52、水平距離54、及び垂直距離56は、それぞれ、1ピクセルの約2分の1である。
【0030】
図3Eに概略的に示すように、表示デバイス26は、第1の位置P1に第1のサブフレーム301を表示すること、第1の位置から空間的にずれた第2の位置P2に第2のサブフレーム302を表示すること、第1の位置から空間的にずれた第3の位置P3に第3のサブフレーム303を表示すること、及び、第1の位置から空間的にずれた第4の位置P4に第4のサブフレーム304を表示することを交互に行う。より具体的には、表示デバイス26は、第2のサブフレーム302、第3のサブフレーム303、及び第4のサブフレーム304の表示を、それぞれの所定の距離だけ、第1のサブフレーム301に対してシフトさせる。したがって、第1のサブフレーム301、第2のサブフレーム302、第3のサブフレーム303、及び第4のサブフレーム304のピクセルは、相互に一部重なり合う。
【0031】
一実施形態では、表示デバイス26は、画像フレーム28について、第1の位置に第1のサブフレーム301を表示すること、第2の位置に第2のサブフレーム302を表示すること、第3の位置に第3のサブフレーム303を表示すること、及び、第4の位置に第4のサブフレーム304を表示することの1サイクルを実行する。したがって、第2のサブフレーム302、第3のサブフレーム303、及び第4のサブフレーム304は、相互に且つ第1のサブフレーム301に空間的且つ時間的に関連して表示される。このような時間的且つ空間的にシフトされた4つのサブフレームの表示を、本明細書では、4位置処理(four-position processing)と呼ぶ。
【0032】
図4A〜図4Eは、第1のサブフレーム301からのピクセル181を第1の位置に表示すること、第2のサブフレーム302からのピクセル182を第2の位置に表示すること、第3のサブフレーム303からのピクセル183を第3の位置に表示すること、及び第4のサブフレーム304からのピクセル184を第4の位置に表示することの1サイクルを完了する一実施形態を示している。より具体的には、図4Aは、第1のサブフレーム301からのピクセル181を第1の位置に表示したものを示している。図4Bは、第2のサブフレーム302からのピクセル182を第2の位置(第1の位置を破線で示す)に表示したものを示している。図4Cは、第3のサブフレーム303からのピクセル183を第3の位置(第1の位置及び第2の位置を破線で示す)に表示したものを示している。図4Dは、第4のサブフレーム304からのピクセル184を第4の位置(第1の位置、第2の位置、及び第3の位置を破線で示す)に表示したものを示している。図4Eは、第1のサブフレーム301からのピクセル181を第1の位置(第2の位置、第3の位置、及び第4の位置を破線で示す)に表示したものを示している。
【0033】
サブフレーム生成ユニット36(図1)は、画像フレーム28の画像データに基づいてサブフレーム30を生成する。サブフレーム生成ユニット36が実行する機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせにより実施できることが、当業者には理解されよう。その実施は、マイクロプロセッサ、プログラマブルロジックデバイス、又は状態機械を介して行うことができる。本発明の構成要素は、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体上にソフトウェアで存在することができる。本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体という用語は、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、CD−ROM、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、及びランダムアクセスメモリ等の揮発性又は不揮発性のあらゆる種類のメモリを包含するように定義される。
【0034】
本発明の一形態では、サブフレーム30は画像フレーム28よりも低い解像度を有する。このため、サブフレーム30を本明細書では低解像度画像30とも呼び、画像フレーム28を本明細書では高解像度画像28とも呼ぶ。低解像度及び高解像度という用語が本明細書では比較で用いられ、いずれの特定の最小ピクセル数又は最大ピクセル数に限定されないことが当業者には理解されよう。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、10のアルゴリズムのうちの1つ又は複数に基づいてサブフレーム30を生成するように構成される。これら10のアルゴリズムを本明細書では以下のように呼ぶ。すなわち、(1)最近傍、(2)双一次、(3)空間領域、(4)周波数領域、(5)適応型マルチパス、(6)中心適応型マルチパス、(7)簡易中心適応型マルチパス、(8)履歴使用の(with history)適応型マルチパス、(9)履歴使用の簡易中心適応型マルチパス、及び(10)履歴使用の中心適応型マルチパスである。
【0035】
本発明の一形態による最近傍アルゴリズム及び双一次アルゴリズムは、高解像度画像28からのピクセルを組み合わせることによりサブフレーム30を生成するものである。本発明の一形態による空間領域アルゴリズム及び周波数領域アルゴリズムは、擬似(simulated:シミュレート)高解像度画像と所望の高解像度画像28との間の差を表す大域誤差メトリック(global error metric)の最小化に基づいてサブフレーム30を生成するものである。本発明のさまざまな形態による適応型マルチパスアルゴリズム、中心適応型マルチパスアルゴリズム、簡易中心適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズム、及び履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムは、局所誤差メトリック(local error metric)の最小化に基づいてサブフレーム30を生成するものである。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、サブフレームの値と高解像度画像の値との関係を記憶するためのメモリを含む。この関係は、高解像度画像の値と、サブフレームの値の関数である擬似高解像度画像との間の誤差メトリックの最小化に基づいている。これら10のアルゴリズムのそれぞれの実施形態を図5〜図32を参照して以下に説明する。
【0036】
II.最近傍
図5は、本発明の一実施形態による最近傍アルゴリズムを使用した、元の高解像度画像28からの低解像度サブフレーム30A及び30B(サブフレーム30と総称する)の生成を示す図である。この図示した実施形態では、高解像度画像28は、4列4行のピクセルで合計16個のピクセルH1〜H16を含む。最近傍アルゴリズムの一実施形態では、高解像度画像28の第1行の1つおきのピクセルを取り出し、高解像度画像28の第2行を飛ばして、高解像度画像28の第3行の1つおきのピクセルを取り出し、このプロセスを高解像度画像28の全体にわたって繰り返すことにより、第1のサブフレーム30Aが生成される。したがって、図5に示すように、サブフレーム30Aの第1行は、ピクセルH1及びH3を含み、サブフレーム30Aの第2行は、ピクセルH9及びH11を含む。本発明の一形態では、第2のサブフレーム30Bは、第1のサブフレーム30Aと同じ方法で生成されるが、プロセスは、第1のピクセルH1から1行下で、且つ、1列越えてシフトされたピクセルH6から開始する。したがって、図5に示すように、サブフレーム30Bの第1行は、ピクセルH6及びH8を含み、サブフレーム30Bの第2行は、ピクセルH14及びH16を含む。
【0037】
一実施形態では、3つのフィルタ係数「0」及び第4のフィルタ係数「1」を有し、高解像度画像からのピクセル値の加重和を生成する2×2フィルタによって、最近傍アルゴリズムは実施される。上述したような2位置処理を使用してサブフレーム30A及び30Bを表示すると、より高い解像度の画像の外観が得られる。最近傍アルゴリズムは、4位置処理にも適用可能であり、図5に示すピクセル数を有する画像に限定されるものではない。
【0038】
III.双一次
図6は、本発明の一実施形態による双一次アルゴリズムを使用した、元の高解像度画像28からの低解像度サブフレーム30C及び30D(サブフレーム30と総称する)の生成を示す図である。この図示した実施形態では、高解像度画像28は、4列4行のピクセルで合計16個のピクセルH1〜H16を含む。サブフレーム30Cは、2列2行のピクセルで合計4つのピクセルL1〜L4を含む。そして、サブフレーム30Dは、2列2行のピクセルで合計4つのピクセルL5〜L8を含む。
【0039】
一実施形態では、サブフレーム30C及び30DのピクセルL1〜L8の値は、画像28のピクセル値H1〜H16から以下の式I〜VIIIに基づいて生成される。
【0040】
<式I>
L1=(4H1+2H2+2H5)/8
<式II>
L2=(4H3+2H4+2H7)/8
<式III>
L3=(4H9+2H10+2H13)/8
<式IV>
L4=(4H11+2H12+2H15)/8
<式V>
L5=(4H6+2H2+2H5)/8
<式VI>
L6=(4H8+2H4+2H7)/8
<式VII>
L7=(4H14+2H10+2H13)/8
<式VIII>
L8=(4H16+2H12+2H15)/8
【0041】
上記式I〜VIIIから分かるように、サブフレーム30CのピクセルL1〜L4の値は、4を乗算することから、それぞれピクセルH1、H3、H9、及びH11の値によって最も影響を受ける。ただし、サブフレーム30CのピクセルL1〜L4の値は、ピクセルH1、H3、H9、及びH11の対角方向の近傍ピクセルの値によっても影響を受ける。同様に、サブフレーム30DのピクセルL5〜L8の値は、4を乗算することから、それぞれピクセルH6、H8、H14、及びH16の値によって最も影響を受ける。ただし、サブフレーム30DのピクセルL5〜L8の値は、ピクセルH6、H8、H14、及びH16の対角方向の近傍ピクセルの値によっても影響を受ける。
【0042】
一実施形態では、1つのフィルタ係数「0」及び非ゼロの値を有する3つのフィルタ係数(たとえば、4、2、及び2)を有し、高解像度画像のピクセル値の加重和を生成する2×2フィルタによって、双一次アルゴリズムは実施される。別の実施形態では、このフィルタ係数として他の値が使用される。上述したような2位置処理を使用してサブフレーム30C及び30Dを表示すると、より高い解像度の画像の外観が得られる。双一次アルゴリズムは、4位置処理にも適用可能であり、図6に示すピクセル数を有する画像に限定されるものではない。
【0043】
最近傍アルゴリズム及び双一次アルゴリズムの一形態では、上述したように、サブフレーム30は、元の高解像度画像のピクセル値の線形結合に基づいて生成される。別の実施形態では、サブフレーム30は、元の高解像度画像のピクセル値の非線形結合に基づいて生成される。たとえば、元の高解像度画像がガンマ補正を受けている場合に、一実施形態では、ガンマ曲線の効果を打ち消すのに適した非線形結合が使用される。
【0044】
IV.擬似高解像度画像を生成するシステム
図7〜図10、図20及び図22は、擬似高解像度画像を生成するシステムを示している。以下にさらに詳述するように、これらのシステムに基づいて、サブフレームを生成する空間領域アルゴリズム、周波数領域アルゴリズム、適応型マルチパスアルゴリズム、中心適応型マルチパスアルゴリズム、及び簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムが構築される。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態による、2つの4×4ピクセルの低解像度サブフレーム30Eから擬似高解像度画像412を生成するシステム400を示すブロック図である。このシステム400は、アップサンプリングステージ402、シフトステージ404、畳み込み演算ステージ406、及び総和ステージ410を含む。サブフレーム30Eは、サンプリング行列Mに基づいてアップサンプリングステージ402によりアップサンプリングされ、それによって、アップサンプリング画像が生成される。このアップサンプリング画像は、空間シフト行列Sに基づいてシフトステージ404によりシフトされ、それによって、シフトアップサンプリング画像が生成される。このシフトアップサンプリング画像は、畳み込み演算ステージ406において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって、ブロック画像(blocked image)408が生成される。この図示した実施形態では、補間フィルタは、フィルタ係数「1」を有する2×2フィルタであって、畳み込み演算の中心がこの2×2行列の左上の位置にあるフィルタである。補間フィルタは、高解像度グリッドの上に低解像度サブフレームを重ね合わせることをシミュレーションする。低解像度サブフレームのピクセルデータは、そのサブフレームを高解像度グリッド上に表すことができるように拡大される。補間フィルタは、アップサンプリングによって生成された、欠けているピクセルデータを満たす。ブロック画像408は、総和ブロック410によって加重されて総和が求められ、8×8ピクセルの擬似高解像度画像412が生成される。
【0046】
図8は、本発明の一実施形態による、2つの4×4ピクセルの低解像度サブフレーム30F及び30Gの分離可能なアップサンプリング(separable upsampling)に基づいて2位置処理用の擬似高解像度画像512を生成するシステム500を示すブロック図である。このシステム500は、アップサンプリングステージ502及び514、シフトステージ518、畳み込み演算ステージ506及び522、総和ステージ508、並びに乗算ステージ510を含む。サブフレーム30Fは、アップサンプリングステージ502によって2倍にアップサンプリングされ、それによって、8×8ピクセルのアップサンプリング画像504が生成される。アップサンプリング画像504の黒のピクセルは、サブフレーム30Fからの16個のピクセルを表し、アップサンプリング画像504の白のピクセルは、0の値を表す。サブフレーム30Gは、アップサンプリングステージ514によって2倍にアップサンプリングされ、それによって、8×8ピクセルのアップサンプリング画像516が生成される。アップサンプリング画像516の黒のピクセルは、サブフレーム30Gからの16個のピクセルを表し、アップサンプリング画像516の白のピクセルは、0の値を表す。一実施形態では、アップサンプリングステージ502及び514は、対角サンプリング行列を使用して、サブフレーム30F及び30Gをそれぞれアップサンプリングする。
【0047】
アップサンプリング画像516は、空間シフト行列Sに基づいてシフトステージ518によりシフトされ、それによって、シフトアップサンプリング画像520が生成される。この図示した実施形態では、シフトステージ518は、1ピクセルの対角方向のシフトを実行する。画像504及び520は、それぞれ畳み込み演算ステージ506及び522において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって、ブロック画像が生成される。この図示した実施形態では、畳み込み演算ステージ506及び522の補間フィルタは、フィルタ係数「1」を有する2×2フィルタであって、畳み込み演算の中心がこの2×2行列の左上の位置にあるフィルタである。畳み込み演算ステージ506及び522において生成されたブロック画像は、総和ブロック508によって総和が求められ、乗算ステージ510において0.5倍にされて、8×8ピクセルの擬似高解像度画像512が生成される。画像データが乗算ステージ510において0.5倍にされるのは、一実施形態では、サブフレーム30F及び30Gのそれぞれが、1つの色に割り当てられた期間あたりのタイムスロットの半分しか表示されないことによる。別の実施形態では、乗算ステージ510において0.5倍にするのではなく、ステージ506及び522における補間フィルタのフィルタ係数が、0.5倍に縮小される。
【0048】
一実施形態では、図8に示して上述したように、低解像度サブフレームデータは、2つの個別のサブフレーム30F及び30Gによって表され、これらのサブフレームは、対角サンプリング行列(すなわち、分離可能なアップサンプリング)に基づいて別々にアップサンプリングされる。別の実施形態では、図9を参照して後述するように、低解像度サブフレームデータは、単一のサブフレームによって表され、この単一のサブフレームは、非対角サンプリング行列(すなわち、分離不能なアップサンプリング(non-separable upsampling))に基づいてアップサンプリングされる。
【0049】
図9は、本発明の一実施形態による、8×4ピクセルの低解像度サブフレーム30Hの分離不能なアップサンプリングに基づいて2位置処理用の擬似高解像度画像610を生成するシステム600を示すブロック図である。このシステム600は、5点形アップサンプリング(quincunx upsampling)ステージ602、畳み込み演算ステージ606、及び乗算ステージ608を含む。サブフレーム30Hは、5点形サンプリング行列Qに基づいて5点形アップサンプリングステージ602によりアップサンプリングされ、それによって、アップサンプリング画像604が生成される。アップサンプリング画像604の黒のピクセルは、サブフレーム30Hからの32個のピクセルを表し、アップサンプリング画像604の白のピクセルは、0の値を表す。サブフレーム30Hは、2位置処理用の2つの4×4ピクセルサブフレームのピクセルデータを含む。アップサンプリング画像604の第1行、第3行、第5行、及び第7行の黒のピクセルは、第1の4×4ピクセルサブフレーム用のピクセルを表し、アップサンプリング画像604の第2行、第4行、第6行、及び第8行の黒のピクセルは、第2の4×4ピクセルサブフレーム用のピクセルを表す。
【0050】
アップサンプリング画像604は、畳み込み演算ステージ606において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって、ブロック画像が生成される。この図示した実施形態では、補間フィルタは、フィルタ係数「1」を有する2×2フィルタであって、畳み込み演算の中心がこの2×2行列の左上の位置にあるフィルタである。畳み込み演算ステージ606によって生成されたブロック画像は、乗算ステージ608において0.5倍にされて、8×8ピクセルの擬似高解像度画像610が生成される。
【0051】
図10は、本発明の一実施形態による、サブフレーム30Iに基づいて4位置処理用の擬似高解像度画像706を生成するシステム700を示すブロック図である。図10に示す実施形態では、サブフレーム30Iは、8×8配列のピクセルである。サブフレーム30Iは、4位置処理用の4つの4×4ピクセルサブフレームのピクセルデータを含む。ピクセルA1〜A16は、第1の4×4ピクセルサブフレーム用のピクセルを表す。ピクセルB1〜B16は、第2の4×4ピクセルサブフレーム用のピクセルを表す。ピクセルC1〜C16は、第3の4×4ピクセルサブフレーム用のピクセルを表す。ピクセルD1〜D16は、第4の4×4ピクセルサブフレーム用のピクセルを表す。
【0052】
サブフレーム30Iは、畳み込み演算ステージ702において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって、ブロック画像が生成される。この図示した実施形態では、補間フィルタは、フィルタ係数「1」を有する2×2フィルタであって、畳み込み演算の中心がこの2×2行列の左上の位置にあるフィルタである。畳み込み演算ステージ702によって生成されたブロック画像は、乗算ステージ704において0.25倍にされて、8×8ピクセルの擬似高解像度画像706が生成される。画像データが乗算ステージ704において0.25倍にされるのは、一実施形態では、サブフレーム30Iによって表される4つのサブフレームのそれぞれが、1つの色に割り当てられた期間あたりのタイムスロットの4分の1しか表示されないことによる。別の実施形態では、乗算ステージ704において0.25倍にするのではなく、補間フィルタのフィルタ係数が、それに応じて縮小される。
【0053】
V.誤差最小化に基づくサブフレームの生成
上述したように、システム400、500、600、及び700は、低解像度サブフレームに基づいて、擬似高解像度画像412、512、610、及び706をそれぞれ生成する。サブフレームが最適なものであれば、これらの擬似高解像度画像は、元の高解像度画像28に可能な限り類似することになる。平均2乗誤差、加重平均2乗誤差、及びそれ以外のものを含めて、さまざまな誤差メトリックを使用して、擬似高解像度画像が元の高解像度画像にどれだけ類似しているかを判断することができる。
【0054】
図11は、本発明の一実施形態による擬似高解像度画像412/512/610/706と所望の高解像度画像28との比較を示すブロック図である。減算ステージ802において、高解像度画像28から擬似高解像度画像412、512、610、又は706がピクセルごとに減算される。一実施形態では、その結果生成される誤差画像データが、人間視覚系(HVS(human visual system))加重フィルタ(W)804によってフィルタリングされる。本発明の一形態では、HVS加重フィルタ804は、人間視覚系の特性に基づく誤差画像データをフィルタリングする。一実施形態では、HVS加重フィルタ804は、高周波誤差の削減又は除去を行う。次いで、フィルタリングされたデータの平均2乗誤差が、ステージ806において求められ、擬似高解像度画像412、512、610、又は706が、所望の高解像度画像28にどれだけ類似しているかの尺度が提供される。
【0055】
一実施形態では、システム400、500、600、及び700は、擬似高解像度画像412、512、610、又は706と元の高解像度画像28との間の差を計測する誤差コスト式(error cost equation)により数学的に表される。最適なサブフレームが、擬似高解像度画像と所望の高解像度画像との最小誤差を提供するそのサブフレームデータの誤差コスト式を解くことにより特定される。一実施形態では、空間領域アルゴリズム及び周波数領域アルゴリズムにおいて大域的な最適解が得られ、適応型マルチパスアルゴリズムを使用して局所的な最適解が得られる。空間領域アルゴリズム、周波数領域アルゴリズム、及び適応型マルチパスアルゴリズムについては、図12〜図18を参照して以下にさらに詳述する。中心適応型マルチパスアルゴリズム及び簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムについては、図19〜図23を参照して以下にさらに詳述する。履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムについては、図24〜図32を参照して以下にさらに詳述する。
【0056】
VI.空間領域
一実施形態による最適なサブフレームを生成する空間領域解を、図9に示すシステム600との関連で説明する。図9に示すシステム600は、以下の式IXによる誤差コスト関数(error cost function)によって数学的に表すことができる。
【0057】
<式IX>
【0058】
【数1】

【0059】
上記式において、
*Q=サブフレーム30Hの最適な低解像度データである。
J=最小化されるべき誤差コスト関数である。
n及びk=画像604及び610の高解像度ピクセルの位置を特定するインデックスである。
Q(k)=位置kにおけるアップサンプリング画像604からの画像データである。
f(n−k)=位置n−kにおける補間フィルタのフィルタ係数である。
h(n)=位置nにおける所望の高解像度画像28の画像データである。
【0060】
式IXの「lQ(k)f(n−k)」の総和は、システム600のステージ606において実行される、アップサンプリング画像604と補間フィルタfとの畳み込み演算を表す。フィルタ演算は、基本的には、アップサンプリング画像604の各ピクセル上を、2×2補間フィルタの右下のピクセルをスライドさせることにより実行される。2×2補間フィルタウィンドウ内のアップサンプリング画像604の4つピクセルは、対応するフィルタ係数(すなわち、図示した実施形態では「1」)と乗算される。4つの乗算結果は、その総和が求められ、補間フィルタの右下の位置に対応するアップサンプリング画像604のピクセルの値が、4つの乗算結果の総和と取り替えられる。畳み込み演算値lQ(k)f(n−k)から高解像度画像28からの高解像度データh(n)が減算され、誤差値が提供される。高解像度ピクセルの位置の全体にわたる2乗誤差の総和は、最小化されるべき誤差の尺度を提供する。
【0061】
以下の式Xに示すように、低解像度ピクセルのそれぞれについて式IXの導関数を求め、その導関数を0に等しく設定することにより、最適な空間領域解を得ることができる。
【0062】
<式X>
【0063】
【数2】

【0064】
上記式において、Θ=5点形格子点(quincunx lattice point)の集合である。
【0065】
したがって、式Xから分かるように、この導関数は、5点形格子点の集合においてのみ求められる。この5点形格子点は、図9のアップサンプリング画像604の黒のピクセルに対応する。式IXで与えられるJについての式を式Xに代入し、式Xで指定される導関数を求めると、以下の式XIとなる。
【0066】
<式XI>
【0067】
【数3】

【0068】
式XIのシンボルCffは、以下の式XIIによって定義される、補間フィルタfの自己相関係数を表す。
【0069】
<式XII>
【0070】
【数4】

【0071】
式XIは、以下の式XIIIに示すように、ベクトル形式に変換することができる。
【0072】
<式XIII>
【0073】
【数5】

【0074】
上記式において、
ff=補間フィルタfの自己相関係数の行列である。
*Q=サブフレーム30Hの未知の画像データ及び「ドントケア」データ(すなわち、アップサンプリング画像604の白のピクセルに対応する画像データ)を表すベクトルである。
f=擬似高解像度画像610を、補間フィルタfを使用してフィルタリングしたものを表すベクトルである。
【0075】
「ドントケア」データ(すなわち、5点形格子点の集合Θに存在しないデータ)に対応する行及び列を消去すると、以下の式XIVとなる。
【0076】
<式XIV>
【0077】
【数6】

【0078】
上記式において、
【0079】
【数7】

【0080】
上記式XIVは、線形式の疎なシステムを表す疎な非テプリッツシステム(non-Toeplitz system)である。自己相関係数の行列は判明しており、擬似高解像度画像610のフィルタリングされたものを表すベクトルは判明しているので、式XIVを解いて、サブフレーム30Hの最適画像データを求めることができる。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、式XIVを解いて、サブフレーム30を生成するように構成される。
【0081】
VII.周波数領域
一実施形態による最適なサブフレーム30を生成する周波数領域解を、図8に示すシステム500との関連で説明する。周波数領域解を説明する前に、周波数領域解に適用可能な高速フーリエ変換(FFT)のいくつかの性質を、図12及び図13を参照して説明する。
【0082】
図12は、本発明の一実施形態による4×4ピクセルのサブフレーム30Jのアップサンプリングの周波数領域における効果を示す図である。図12に示すように、サブフレーム30Jは、アップサンプリングステージ902によって2倍にアップサンプリングされて、8×8ピクセルのアップサンプリング画像904が生成される。アップサンプリング画像904の黒のピクセルは、サブフレーム30Jからの16個のピクセルを表し、アップサンプリング画像904の白のピクセルは、0の値を表す。サブフレーム30JのFFTを求めると、結果は、画像(L)906になる。アップサンプリング画像904のFFTを求めると、結果は、画像(LU)908になる。画像(LU)908は、4つの4×4ピクセル部分を含む。これらの4つの4×4ピクセル部分は、画像部分(L1)910A、画像部分(L2)910B、画像部分(L3)910C、及び画像部分(L4)910Dである。図12に示すように、画像部分910A〜910Dは、それぞれ、画像906と同じである(すなわち、L1=L2=L3=L4=L)。
【0083】
図13は、本発明の一実施形態による8×8ピクセルのアップサンプリングサブフレーム904のシフトの周波数領域における効果を示す図である。図13に示すように、アップサンプリングサブフレーム904は、シフトステージ1002によってシフトされて、シフト画像1004が生成される。アップサンプリングサブフレーム904のFFTを求めると、結果は、画像(LU)1006になる。シフト画像1004のFFTを求めると、結果は、画像(LUS)1008になる。画像(LUS)1008は、4つの4×4ピクセル部分を含む。これらの4つの4×4ピクセル部分は、画像部分(LS1)1010A、画像部分(LS2)1010B、画像部分(LS3)1010C、及び画像部分(LS4)1010Dである。図13に示すように、画像1008は、複素指数Wと乗算された画像1006と同じである(すなわち、LUS=W・LU)。ここで、「・」は、点別乗算(pointwise multiplication)を示す。複素指数Wの値は、以下の式XVによって与えられる。
【0084】
<式XV>
【0085】
【数8】

【0086】
上記式において、
1=FFT領域における行の座標である。
2=FFT領域における列の座標である。
M=画像の列数である。
N=画像の行数である。
【0087】
図8に示すシステム500は、以下の式XVIによる誤差コスト関数によって数学的に表すことができる。
【0088】
<式XVI>
【0089】
【数9】

【0090】
上記式において、
(L*A,L*B)=それぞれ、図8に示すサブフレーム30F及び30Gの最適なFFTを表すベクトルである。
J=最小化されるべき誤差コスト関数である。
i=平均されるFFTブロックを特定するインデックスである(たとえば、図12の画像908の場合、i=1がブロック910Aに対応し、i=2がブロック910Bに対応し、i=3がブロック910Cに対応し、i=4がブロック910Dに対応する4つのブロックが平均される)。
F=補間フィルタfのFFTを表す行列である。
A=図8に示すサブフレーム30FのFFTを表すベクトルである。
B=図8に示すサブフレーム30GのFFTを表すベクトルである。
W=式XVによって与えられる複素係数のFFTを表す行列である。
H=所望の高解像度画像28のFFTを表すベクトルである。
【0091】
式XVIの上付き文字「H」は、エルミートを表す(すなわち、XHは、Xのエルミートである)。式XVIの文字の上にある「ハット」は、以下の式XVIIで定義されるように、それらの文字が対角行列を表すことを示している。
【0092】
<式XVII>
【0093】
【数10】

【0094】
Aの複素共役について式XVIの導関数を求め、この導関数を0に等しく設定すると、結果は、以下の式XVIIIとなる。
【0095】
<式XVIII>
【0096】
【数11】

【0097】
Bの複素共役について式XVIの導関数を求め、この導関数を0に等しく設定すると、結果は、以下の式XIXとなる。
【0098】
<式XIX>
【0099】
【数12】

【0100】
式XVIII及びXIXの文字の上にある水平バーは、それらの文字が、複素共役を表すことを示している(すなわち、
【0101】
【数13】

【0102】
は、Aの複素共役を表す)。
【0103】
式XVIII及びXIXをLA及びLBについて解くと、結果は、以下の式XX及びXXIとなる。
【0104】
<式XX>
【0105】
【数14】

【0106】
<式XXI>
【0107】
【数15】

【0108】
式XX及びXXIは、擬似逆フィルタリング(pseudo-inverse filtering)を使用して周波数領域で実施することができる。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36が、式XX及びXXIに基づいてサブフレーム30を生成するように構成される。
【0109】
VIII.適応型マルチパス
一実施形態による、サブフレーム30を生成する適応型マルチパスアルゴリズムは、過去の誤差を使用して、サブフレームデータの評価を更新し、高速な収束及び低いメモリ必要量を提供する。一実施形態による適応型マルチパスの解を、図9に示すシステム600との関連で説明する。図9に示すシステム600は、以下の式XXIIによる誤差コスト関数によって数学的に表すことができる。
【0110】
<式XXII>
【0111】
【数16】

【0112】
上記式において、
n=現時点の反復を特定するインデックスである。
(n)(n)=反復nにおける誤差コスト関数である。
(n)(n)=誤差コスト関数J(n)(n)の平方根である。
n及びk=画像604及び610の高解像度ピクセルの位置を特定するインデックスである。
Q(n)(k)=位置kにおけるアップサンプリング画像604からの画像データである。
f(n−k)=位置n−kにおける補間フィルタのフィルタ係数である。
h(n)=位置nにおける所望の高解像度画像28の画像データである。
【0113】
式XXIIから分かるように、上記式IXに示すように高解像度画像全体にわたって総和を求めることにより空間領域の大域誤差を最小化するのではなく、nの関数である空間領域の局所誤差が最小化されている。
【0114】
一実施形態では、平均最小2乗(LMS)アルゴリズムを使用して、更新が求められる。この更新は、以下の式XXIIIによって表される。
【0115】
<式XXIII>
【0116】
【数17】

【0117】
上記式において、
Θ=5点形格子点(すなわち、図9のアップサンプリング画像604の黒のピクセル)の集合である。
α=鮮鋭化係数(sharpening factor)である。
【0118】
式XXIIの導関数を求めると、式XXIIIにおけるこの導関数の値が提供される。この式XXIIの導関数は、以下の式XXIVによって与えられる。
【0119】
<式XXIV>
【0120】
【数18】

【0121】
一実施形態では、以下の式XXVによって表されるように、「影響領域(region of influence)」にわたる平均勾配を使用するブロックLMSアルゴリズムを使用して、更新が実行される。
【0122】
<式XXV>
【0123】
【数19】

【0124】
上記式において、Ω=影響領域である。
【0125】
図14は、本発明の一実施形態によるアップサンプリング画像1100のピクセルの影響領域(Ω)1106及び1108を示す図である。画像1100のピクセル1102は、第1のサブフレームのピクセルに対応し、画像1100のピクセル1104は、第2のサブフレームのピクセルに対応する。領域1106は、ピクセル1102の影響領域であり、2×2配列のピクセルを含み、この2×2配列の左上隅にピクセル1102を有する。同様に、領域1108は、ピクセル1104の影響領域であり、2×2配列のピクセルを含み、この2×2配列の左上隅にピクセル1104を有する。
【0126】
図15は、本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく初期擬似高解像度画像1208の生成を示す図である。元の高解像度画像28に基づいて、初期の1組の低解像度サブフレーム30K−1及び30L−1が生成される。この図示した実施形態では、この初期の1組のサブフレーム30K−1及び30L−1は、図5を参照して上述した最近傍アルゴリズムの一実施形態を使用して生成される。サブフレーム30K−1及び30L−1は、アップサンプリングされて、アップサンプリング画像1202が生成される。このアップサンプリング画像1202は、補間フィルタ1204との畳み込み演算を受け、それによって、ブロック画像が生成される。次いで、このブロック画像は、0.5倍にされて、擬似高解像度画像1208が生成される。この図示した実施形態では、補間フィルタ1204は、フィルタ係数「1」を有する2×2フィルタであって、畳み込み演算の中心がこの2×2行列の左上の位置にあるフィルタである。補間フィルタ1204の右下のピクセル1206は、画像1202の各ピクセル上に配置されて、そのピクセル位置のブロック値(blocked value)が求められる。図15に示すように、補間フィルタ1204の右下のピクセル1206は、画像1202の第3行第4列のピクセルの上に配置され、このピクセルは、「0」の値を有する。そのピクセル位置のブロック値は、フィルタ係数をフィルタ1204のウィンドウ内のピクセル値と乗算して、その結果を加算することにより求められる。フレーム外の値は、「0」とみなされる。図示した実施形態の場合、画像1202の第3行第4列のピクセルのブロック値は、以下の式XXVIによって与えられる。
【0127】
<式XXVI>
(1×0)+(1×5)+(1×5)+(1×0)=10
【0128】
次いで、式XXVIの値は、0.5倍にされて、その結果(すなわち5)が、初期擬似高解像度画像1208の第3行第4列のピクセル1210のピクセル値とされる。
【0129】
初期擬似高解像度画像1208が生成された後、補正データが生成される。図16は、本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく補正データの生成を示す図である。図16に示すように、元の高解像度画像28から初期擬似高解像度画像1208が減算されて、誤差画像1302が生成される。この誤差画像1302の2×2ブロックのピクセルを平均することにより、補正サブフレーム1312及び1314が生成される。たとえば、誤差画像1302の第1列第1行のピクセル1308は、影響領域1304を有する。この影響領域1304内のピクセル値が平均されて、第1の補正値(すなわち0.75)が生成される。この第1の補正値は、補正サブフレーム1312の第1列第1行のピクセルとして使用される。同様に、誤差画像1302の第2列第2行のピクセル1310は、影響領域1306を有する。この影響領域1306内のピクセル値が平均されて、第2の補正値(すなわち0.75)が生成される。この第2の補正値は、補正サブフレーム1314の第1列第1行のピクセルとして使用される。
【0130】
補正サブフレーム1312の第1行第2列の補正値(すなわち1.38)は、基本的には、図示した影響領域のボックス1304を右へ2列スライドさせて、ボックス1304内の4つのピクセルを平均することにより生成される。補正サブフレーム1312の第2行第1列の補正値(すなわち0.50)は、基本的には、図示した影響領域のボックス1304を下へ2行スライドさせて、ボックス1304内の4つのピクセルを平均することにより生成される。補正サブフレーム1312の第2行第2列の補正値(すなわち0.75)は、基本的には、図示した影響領域のボックス1304を右へ2列、下へ2行スライドさせて、ボックス1304内の4つのピクセルを平均することにより生成される。
【0131】
補正サブフレーム1314の第1行第2列の補正値(すなわち0.00)は、基本的には、図示した影響領域のボックス1306を右へ2列スライドさせて、ボックス1306内のピクセルを平均することにより生成される。フレーム外の値は、「0」とみなされる。補正サブフレーム1314の第2行第1列の補正値(すなわち0.38)は、基本的には、図示した影響領域のボックス1306を下へ2行スライドさせて、ボックス1306内のピクセルを平均することにより生成される。補正サブフレーム1314の第2行第2列の補正値(すなわち0.00)は、基本的には、図示した影響領域のボックス1306を右へ2列、下へ2行スライドさせて、ボックス1306内の4つのピクセルを平均することにより生成される。
【0132】
補正サブフレーム1312及び1314を使用して、更新サブフレームが生成される。図17は、本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく更新サブフレーム30K−2及び30L−2の生成を示す図である。図17に示すように、更新サブフレーム30K−2は、補正サブフレーム1312を鮮鋭化係数αと乗算して、初期サブフレーム30K−1を加算することにより生成される。更新サブフレーム30L−2は、補正サブフレーム1314を鮮鋭化係数αと乗算して、初期サブフレーム30L−1を加算することにより生成される。この図示した実施形態では、鮮鋭化係数αは、0.8に等しい。
【0133】
一実施形態では、更新サブフレーム30K−2及び30L−2は、適応型マルチパスアルゴリズムの次の反復に使用されて、さらなる更新サブフレームが生成される。任意の所望の回数の反復を行ってもよい。何回かの反復の後、適応型マルチパスアルゴリズムを使用して生成されたサブフレームの値は、最適な値に収束する。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36が、適応型マルチパスアルゴリズムに基づいてサブフレーム30を生成するように構成される。
【0134】
図15〜図17を参照して上述した適応型マルチパスアルゴリズムの実施形態は、2位置処理用のものである。4位置処理の場合、式XXIVは、以下の式XXVIIとなる。
【0135】
<式XXVII>
【0136】
【数20】

【0137】
上記式において、l(n)=4つのサブフレーム30の低解像度データである。
【0138】
そして、式XXIIIは、以下の式XXVIIIとなる。
【0139】
<式XXVIII>
【0140】
【数21】

【0141】
4位置処理の場合、4つのサブフレームが存在する。したがって、低解像度データの量は、高解像度データの量と同じである。それぞれの高解像度グリッド点は、1つの誤差を与え、上記式XXVに表すような平均勾配の更新を行う必要はない。反対に、所与の位置の誤差が、更新を直接与える。
【0142】
上述したように、一実施形態では、適応型マルチパスアルゴリズムは、平均最小2乗(LMS)技法を使用して、補正データを生成する。別の実施形態では、適応型マルチパスアルゴリズムは、凸射影(POCS(projection on a convex set))技法を使用して、補正データを生成する。一実施形態によるPOCS技法に基づく適応型マルチパスの解を、図9に示すシステム600との関連で説明する。図9に示すシステム600は、以下の式XXIXによる誤差コスト関数により数学的に表すことができる。
【0143】
<式XXIX>
【0144】
【数22】

【0145】
上記式において、
e(n)=誤差コスト関数である。
n及びk=高解像度ピクセルの位置を特定するインデックスである。
Q(k)=位置kにおけるアップサンプリング画像604からの画像データである。
f(n−k)=位置n−kにおける補間フィルタのフィルタ係数である。
h(n)=位置nにおける所望の高解像度画像28の画像データである。
【0146】
POCS技法の制約集合(constrained set)は、以下の式XXXにより定義される。
【0147】
<式XXX>
【0148】
【数23】

【0149】
上記式において、
C(n)=パラメータηによって境界が定められるアップサンプリング画像604からのすべてのサブフレームデータを含む制約集合である。
η=誤差の大きさの境界制約である。
【0150】
現時点の反復のサブフレームピクセル値は、以下の式XXXIに基づいて求められる。
【0151】
<式XXXI>
【0152】
【数24】

【0153】
上記式において、
n=現時点の反復を特定するインデックスである。
λ=緩和パラメータである。
‖f‖=補間フィルタの係数のノルムである。
【0154】
式XXXIのシンボルn*は、誤差が最大である影響領域Ωの位置を表し、以下の式XXXIIによって定義される。
【0155】
<式XXXII>
【0156】
【数25】

【0157】
図18は、本発明の一実施形態によるPOCS技法を使用した適応型マルチパスアルゴリズムに基づく補正データの生成を示す図である。一実施形態では、初期擬似高解像度画像1208が、図15を参照して上述したものと同じ方法で生成され、元の高解像度画像28から初期擬似高解像度画像1208が減算されて、誤差画像1302が生成される。次いで、上記式XXXIが使用されて、誤差画像1302のデータから更新サブフレーム30K−3及び30L−3が生成される。図示した実施形態の場合、式XXXIの緩和パラメータλは0.5に等しく、誤差の大きさの境界制約ηは1に等しいと仮定される。
【0158】
POCS技法によると、図16を参照して上述したように、影響領域内のピクセル値を平均して補正値を求めるのではなく、影響領域内の最大誤差e(n*)が特定される。次いで、更新ピクセル値が、式XXXIからの適切な式を使用して生成される。この適切な式は、影響領域内の最大誤差e(n*)が、(この例ではη=1であるので)1よりも大きいか、1よりも小さいか、又は1に等しいかによって決まる。
【0159】
たとえば、誤差画像1302の第1列第1行のピクセルは、影響領域1304を有する。この影響領域1304内における最大誤差は、1である(すなわち、e(n*)=1)。式XXXIを参照すると、e(n*)=1の場合には、更新ピクセル値は、このピクセルの前の値に等しい。図15を参照すると、サブフレーム30K−1の第1列第1行のピクセルの前の値は、2である。したがって、このピクセルは、更新サブフレーム30K−3において2の値を維持する。誤差画像1302の第2列第2行のピクセルは、影響領域1306を有する。この影響領域1306内における最大誤差は、1.5である(すなわち、e(n*)=1.5)。式XXXIを参照すると、e(n*)>1の場合には、更新ピクセル値は、このピクセルの前の値の2分の1に、量(e(n*)−1)の2分の1を加算したものに等しく、1.25と等しい。図15を参照すると、サブフレーム30L−1の第1列第1行のピクセルの前の値は、2である。したがって、このピクセルの更新値は、更新サブフレーム30L−3において1.25となる。
【0160】
影響領域のボックス1302及び1304は、基本的には、図16を参照して上述したものと同じ方法で誤差画像1302内を移動して回り、式XXXIに基づいて、更新サブフレーム30K−3及び30L−3の残りの更新値を生成する。
【0161】
IX.中心適応型マルチパス
一実施形態による、サブフレーム30を生成する中心適応型マルチパスアルゴリズムは、過去の誤差を使用して、サブフレームデータの評価を更新し、高速な収束及び低いメモリ必要量を提供することができる。中心適応型マルチパスアルゴリズムは、上述した4位置適応型マルチパスアルゴリズムを変更したものである。中心適応型マルチパスアルゴリズムでは、4つのサブフレーム30それぞれの中の各ピクセルが、元の高解像度画像28内のピクセルに対してセンタリングされる。4つのサブフレームは、図3A〜図3Eを参照して上述した4位置処理を使用して表示デバイス26によって表示される。
【0162】
図19A〜図19Eは、本発明の一実施形態による元の高解像度画像28に関する4つのサブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aを表示したものを示す概略図である。図19Aに示すように、画像28は8×8ピクセルを含み、ピクセル1404に例示のために陰影が付けてある。
【0163】
図19Bは画像28に関する第1のサブフレーム1412Aを示す。サブフレーム1412Aは、画像28の第1のピクセルセットに対してセンタリングされた4×4ピクセルを含む。たとえば、サブフレーム1412A内のピクセル1414は画像28からのピクセル1404に対してセンタリングされる。
【0164】
図19Cは画像28に関する第2のサブフレーム1422Aを示す。サブフレーム1422Aは画像28内の第2のピクセルセットに対してセンタリングされた4×4ピクセルを含む。たとえば、サブフレーム1422A内のピクセルは画像28からのピクセル1404の右側にあるピクセルに対してセンタリングされる。サブフレーム1422A内の2つのピクセル1424及び1426は、画像28からのピクセル1404に重なる。
【0165】
図19Dは、画像28に関する第3のサブフレーム1432Aを示す。サブフレーム1432Aは画像28内の第3のピクセルセットに対してセンタリングされた4×4ピクセルを含む。たとえば、サブフレーム1432A内のピクセルは画像28からのピクセル1404の下にあるピクセルに対してセンタリングされる。サブフレーム1432A内のピクセル1434及び1436は、画像28からのピクセル1404に重なる。
【0166】
図19Eは画像28に関する第4のサブフレーム1442Aを示す。サブフレーム1442Aは画像28内の第4のピクセルセットに対してセンタリングされた4×4ピクセルを含む。たとえば、サブフレーム1442A内のピクセルは、画像28からのピクセル1404の対角線上右下にあるピクセルに対してセンタリングされる。サブフレーム1442A内のピクセル1444、1446、1448、及び1450は、画像28からのピクセル1404に重なる。
【0167】
4つのサブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aが表示されると、9つのサブフレームピクセルが結合して、元の高解像度画像28からの各ピクセルの表示表現を形成する。たとえば、9つのサブフレームピクセル:サブフレーム1412Aからのピクセル1414、サブフレーム1422Aからのピクセル1424及び1426、サブフレーム1432Aからのピクセル1434及び1436、並びにサブフレーム1442Aからのピクセル1444、1446、1448、及び1450が結合して、元の高解像度画像28からのピクセル1404の表示表現を形成する。しかし、これら9つのサブフレームピクセルがピクセル1404の表示表現に対して与える光量は異なる。特に、サブフレーム1422A及び1432Aのそれぞれからのピクセル1424、1426、1434、及び1436はそれぞれ、図19C及び図19Dにピクセル1404に重なるピクセル1424、1426、1434、及び1436の一部のみで示すように、サブフレーム1412Aからのピクセル1414のおよそ半分の光を与える。同様に、サブフレーム1442Aからのピクセル1444、1446、1448、及び1450はそれぞれ、図19C及び図19Dにピクセル1404に重なるピクセル1444、1446、1448、及び1450の一部のみで示すように、サブフレーム1412Aからのピクセル1414のおよそ1/4の光を与える。
【0168】
サブフレーム生成ユニット36は、4つの初期サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aを高解像度画像28から生成する。一実施形態では、サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aは、図5を参照して上述した最近傍アルゴリズムの一実施形態を使用して生成することができる。他の実施形態では、サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aは他のアルゴリズムを使用して生成することができる。誤差処理のためにサブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aをアップサンプリングして、図20にサブフレーム30Mとして示すアップサンプリング画像を生成する。
【0169】
図20は、本発明の一実施形態による中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用してサブフレーム30Mに基づいて4位置処理用の擬似高解像度画像1504を生成するシステム1500を示すブロック図である。図20に示す実施形態では、サブフレーム30Mは8×8配列のピクセルである。サブフレーム30Mは、4位置処理用の4つの4×4ピクセルサブフレームのピクセルデータを含む。ピクセルA1〜A16はサブフレーム1412Aからのピクセルを表し、ピクセルB1〜B16はサブフレーム1422Aからのピクセルを表し、ピクセルC1〜C16はサブフレーム1432Aからのピクセルを表し、また、ピクセルD1〜D16はサブフレーム1442Aからのピクセルを表す。
【0170】
サブフレーム30Mは、畳み込み演算ステージ1502において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって、擬似高解像度画像1504が生成される。図示した実施形態では、補間フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「1/16」、「2/16」、「1/16」であり、第2行のフィルタ係数は「2/16」、「4/16」、「2/16」であり、また、最後の行のフィルタ係数は「1/16」、「2/16」、「1/16」である。
【0171】
フィルタ係数は、9つのサブフレームピクセルの高解像度画像28のピクセルの表示表現に対する相対比率を表す。上記図19の例を想起すると、サブフレーム1422A及び1432Aのそれぞれからのピクセル1424、1426、1434、及び1436はそれぞれ、サブフレーム1412Aからのピクセル1414のおよそ半分の光を与え、また、サブフレーム1442Aからのピクセル1444、1446、1448、及び1450はそれぞれ、サブフレーム1412Aからのピクセル1414のおよそ1/4の光を与える。サブフレームピクセル1414、1424、1426、1434、1436、1444、1446、1448、及び1450の値はそれぞれ、サブフレーム画像30M内のA6、B5、B6、C2、C6、D1、D5、D2、及びD6のピクセルに対応する。したがって、擬似画像1504のピクセルA6SIM(図19中のピクセル1404に対応する)は、サブフレーム画像30M内の値から式XXXIIIにおいて以下のように計算される。
【0172】
<式XXXIII>
A6SIM=((1×D1)+(2×C2)+(1×D2)+(2×B5)+(4×A6)+(2×B6)+(1×D5)+(2×C6)+(1×D6))/16
【0173】
画像データを16で割り、9つのサブフレームピクセルが各表示ピクセルに与える相対比率を補正する。
【0174】
擬似高解像度画像1504の生成後、補正データが生成される。図21は、本発明の一実施形態によるシステム1520において中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。減算ステージ1522において、高解像度画像28から擬似高解像度画像1504がピクセルごとに減算される。一実施形態では、その結果生成される誤差画像データが、誤差フィルタ1526によってフィルタリングされて誤差画像1530が生成される。図示した実施形態では、誤差フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「1/16」、「2/16」、「1/16」であり、第2行のフィルタ係数は「2/16」、「4/16」、「2/16」であり、最後の行のフィルタ係数は「1/16」、「2/16」、「1/16」である。フィルタ係数は、低解像度サブフレームピクセルと高解像度画像28の9つのピクセルとの相対差を表す。図19Bに示すように、低解像度サブフレームピクセル1414の誤差画像1530の誤差値は、高解像度画像28のピクセル1404及びピクセル1404に直に隣接する8つの高解像度ピクセルに対して測定される。上記フィルタ係数の場合、ピクセル1404の上下左右の高解像度ピクセルは、ピクセル1414に対応する誤差値を計算するに当たってピクセル1404の角に隣接する高解像度ピクセルの2倍に加重される。同様に、ピクセル1404は、ピクセル1414に対応する誤差値を計算するに当たってピクセル1404の上下左右の4つの高解像度ピクセルの2倍に加重される。
【0175】
初期サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aのそれぞれに関連する4つの補正サブフレーム(図示せず)が、誤差画像1530から生成される。4つの更新サブフレーム1412B、1422B、1432B、及び1442Bが、補正サブフレームに鮮鋭化係数αを乗算し、初期サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aをそれぞれ加算することによって生成される。鮮鋭化係数αは、中心適応型マルチパスアルゴリズムの反復ごとに異なってもよい。一実施形態では、鮮鋭化係数αは連続した反復ごとに低減してもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、1回目の反復では「3」であってもよく、2回目の反復では「1.8」であってもよく、また、3回目の反復では「0.5」であってもよい。
【0176】
一実施形態では、更新サブフレーム1412B、1422B、1432B、及び1442Bを中心適応型マルチパスアルゴリズムの次の反復に使用して、さらなる更新サブフレームを生成する。任意の所望の回数の反復を行ってもよい。何回かの反復後、中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して生成されるサブフレームの値は最適な値に収束する。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、中心適応型マルチパスアルゴリズムに基づいてサブフレーム30を生成するように構成される。
【0177】
上述した中心適応型マルチパスアルゴリズムの実施形態では、フィルタ係数の分子及び分母の値は2のベキ乗になるように選択された。2のベキ乗を使用することにより、デジタルシステムでの処理が早められる。中心適応型マルチパスアルゴリズムの他の実施形態では、他のフィルタ係数値を使用してもよい。
【0178】
他の実施形態では、今述べた中心適応型マルチパスアルゴリズムは、2位置処理用の2つのサブフレームを生成するように変更してもよい。2つのサブフレームは、図2A〜図2Cを参照して上述したように2位置処理を使用して表示デバイス26により表示される。2位置処理の場合、画像30M(図20に示す)内のピクセルB1〜B16及びC1〜C16はゼロであり、補間フィルタは、第1行の値が「1/8」、「2/8」、「1/8」であり、第2行の値が「2/8」、「4/8」、「2/8」であり、且つ、第3行の値が「1/8」、「2/8」、「1/8」である3×3配列を含む。2位置処理の誤差フィルタは、4位置処理の誤差フィルタと同じである。
【0179】
他の実施形態では、中心適応型マルチパスアルゴリズムは、各サブフレームピクセル値について各反復の計算を単一ステップに併合することによって任意の回数の反復をワンパスで行うことができる。このようにして、各サブフレームピクセル値が、各反復で明示的にシミュレーションサブフレーム、誤差サブフレーム、及び補正サブフレームを生成することなく生成される。むしろ、各サブフレームピクセル値は独立して、元の画像ピクセル値から計算される中間値から計算される。
【0180】
X.簡易中心適応型マルチパス
一実施形態によるサブフレーム30を生成するための簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムは、過去の誤差を用いてサブフレームデータの評価を更新し、高速な収束及び低いメモリ必要量を提供する。簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムは、上述した4位置適応型マルチパスアルゴリズムを変更する。簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムでは、4つのサブフレーム30のそれぞれの各ピクセルが、図19A〜図19Eを参照して上述したように元の高解像度画像28のピクセルに対してセンタリングされる。4つのサブフレームは、図3A〜図3Eを参照して上述したように4位置処理を用いて表示デバイス26により表示される。
【0181】
図19A〜図19Eを参照すると、サブフレーム生成ユニット36は、高解像度画像28から4つの初期サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aを生成する。一実施形態では、サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aは、図5を参照して上述した最近傍アルゴリズムの一実施形態を使用して生成されてもよい。他の実施形態では、サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aは他のアルゴリズムを使用して生成されてもよい。誤差処理のために、サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aをアップサンプリングして、図22中にサブフレーム30Mとして示すアップサンプリング画像を生成する。
【0182】
図22は、本発明の一実施形態による簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、サブフレーム30Nに基づいて4位置処理用の擬似高解像度画像1604を生成するシステム1600を示すブロック図である。図22に示す実施形態では、サブフレーム30Nは8×8配列のピクセルである。サブフレーム30Nは、4位置処理用の4つの4×4ピクセルサブフレームのピクセルデータを含む。ピクセルA1〜A16はサブフレーム1412Aからのピクセルを表し、ピクセルB1〜B16はサブフレーム1422Aからのピクセルを表し、ピクセルC1〜C16はサブフレーム1432Aからのピクセルを表し、また、ピクセルD1〜D16はサブフレーム1442Aからのピクセルを表す。
【0183】
サブフレーム30Nは、畳み込み演算ステージ1602において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって、擬似高解像度画像1604が生成される。図示した実施形態では、補間フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「0」、「1/8」、「0」であり、第2行のフィルタ係数は「1/8」、「4/8」、「1/8」であり、また、最後の行のフィルタ係数は「0」、「1/8」、「0」である。
【0184】
フィルタ係数は、5つのサブフレームピクセルの高解像度画像28のピクセルの表示表現に対する相対比率を近似する。上記図19の例を想起すると、サブフレーム1422A及び1432Aのそれぞれからのピクセル1424、1426、1434、及び1436はそれぞれ、サブフレーム1412Aからのピクセル1414のおよそ半分の光を与え、また、サブフレーム1442Aからのピクセル1444、1446、1448、及び1450はそれぞれ、サブフレーム1412Aからのピクセル1414のおよそ1/4の光を与える。簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用する場合、「角ピクセル」と呼ぶピクセル1444、1446、1448、及び1450からの寄与分は、角ピクセルに関連するフィルタ係数が0であることで示されるようにピクセル1414のピクセル値を計算するに当たって無視される。
【0185】
サブフレームピクセル1414、1424、1426、1434、1436、1444、1446、1448、及び1450の値は、サブフレーム画像30N内のA6、B5、B6、C2、C6、D1、D5、D2、及びD6のピクセルにそれぞれ対応する。したがって、擬似画像1504のピクセルA6SIM(図19中のピクセル1404に対応する)は、サブフレーム画像30N内の値から式XXXIVにおいて以下のように計算される。
【0186】
<式XXXIV>
A6SIM=((0×D1)+(1×C2)+(0×D2)+(1×B5)+(4×A6)+(1×B6)+(0×D5)+(1×C6)+(0×D6))/8
【0187】
式XXXIVを簡易化すると式XXXVになる。
【0188】
<式XXXV>
A6SIM=(C2+B5+(4×A6)+B6+C6)/8
【0189】
画像データを8で割り、5つのサブフレームピクセルが各表示ピクセルに与える相対比率を補正する。
【0190】
擬似高解像度画像1604の生成後、補正データが生成される。図23は、本発明の一実施形態によるシステム1700において中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。減算ステージ1702において、高解像度画像28から擬似高解像度画像1604がピクセルごとに減算されて、誤差画像1704を生成する。
【0191】
初期サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aのそれぞれに関連する4つの補正サブフレーム(図示せず)は、誤差画像1704から生成される。4つの更新サブフレーム1704A、1704B、1704C、及び1704Dが、補正サブフレームに鮮鋭化係数αを乗算し、初期サブフレーム1412A、1422A、1432A、及び1442Aのそれぞれを加算することによって生成される。鮮鋭化係数αは、簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムの反復ごとに異なってもよい。一実施形態では、鮮鋭化係数αは連続した反復ごとに低減してもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、1回目の反復では「3」であってもよく、2回目の反復では「1.8」であってもよく、また、3回目の反復では「0.5」であってもよい。
【0192】
一実施形態では、更新サブフレーム1704A、1704B、1704C、及び1704Dを簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムの次の反復に使用して、さらなる更新サブフレームを生成する。任意の所望の回数の反復を行ってもよい。何回かの反復後、簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して生成されるサブフレームの値は最適な値に収束する。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、中心適応型マルチパスアルゴリズムに基づいてサブフレーム30を生成するように構成される。
【0193】
上述した簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムの実施形態では、フィルタ係数の分子及び分母の値は2のベキ乗になるように選択された。2のベキ乗を使用することにより、デジタルシステムでの処理が早められる。簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムの他の実施形態では、他のフィルタ係数値を使用してもよい。
【0194】
他の実施形態では、簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムは、各サブフレームピクセル値について各反復の計算を単一ステップに併合することによって任意の回数の反復をワンパスで行うことができる。このようにして、各サブフレームピクセル値が、各反復で明示的にシミュレーションサブフレーム、誤差サブフレーム、及び補正サブフレームを生成することなく生成される。むしろ、各サブフレームピクセル値は独立して、元の画像ピクセル値から計算される中間値から計算される。
【0195】
XI.履歴使用の適応型マルチパス
一実施形態によるサブフレーム30を生成する履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムは、過去の誤差を使用して、サブフレームデータの評価を更新し、高速な収束及び低いメモリ必要量を提供することができる。履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムは、履歴値を使用してアルゴリズムのワンパスでサブフレームを生成することによって上述した4位置適応型マルチパスアルゴリズムを変更する。4つのサブフレームを、図3A〜図3Eを参照して上述した4位置処理を使用して表示デバイス26で表示する。
【0196】
適応型マルチパスアルゴリズムを実施するための少なくとも2つの方法を使用することができる。第1に、適応型マルチパスアルゴリズムを、適応型マルチパスアルゴリズム、中心適応型マルチパスアルゴリズム、及び簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムについて上述したように複数回反復して行うことができる。複数回の反復に伴い、(1)初期サブフレームが生成され、(2)擬似画像が生成され、(3)擬似画像を元の画像と比較することによって補正データが計算され、(4)補正データを使用して更新サブフレームが生成される。次いで、ステップ(2)〜(4)が各反復ごとに繰り返される。
【0197】
適応型マルチパスアルゴリズムは、各最終サブフレームピクセル値の影響領域を使用してワンパスで各最終サブフレームピクセル値を計算することによって実施することもできる。この方法では、影響領域のサイズは、図24A〜図24Cに示すように行われる反復回数に対応する。後述するように、影響領域は図27及び図31に示すように簡易化することができる。
【0198】
図24A〜図24Cは、適応型マルチパスアルゴリズムの異なる反復回数の場合のピクセル1802の影響領域を示すブロック図である。図24Aは、適応型マルチパスアルゴリズムを1回反復した場合の画像1800のピクセル1802の影響領域1804を示す。図24Aに示すように、影響領域1804は4×4配列のピクセルを含み、ピクセル1802が図示のように影響領域1804の中心にある。影響領域1804は、適応型マルチパスアルゴリズムの1回の反復を使用してピクセル1802の初期値、擬似値、及び補正値を生成するために使用されるピクセル値を含む。
【0199】
適応型マルチパスアルゴリズムを2回反復する場合、影響領域1806は6×6配列に広がり、図24Bに示すようにピクセル1802が影響領域1806の中心にある。ピクセル1802の影響領域1806は6×6配列のピクセルを含み、適応型マルチパスアルゴリズムの2回の反復を使用してピクセル1802の初期値、擬似値、及び補正値を生成するために使用されるピクセル値を含む。
【0200】
図24Cに示すように、影響領域1808は適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合、8×8配列にさらに広がる。ピクセル1802の影響領域1808は8×8配列のピクセルを含み、ピクセル1802が図示のように影響領域1808の中心にあり、適応型マルチパスアルゴリズムの3回の反復を使用してピクセル1802の初期値、擬似値、及び補正値を生成するために使用されるピクセル値を含む。特に、影響領域1808は画像1800の8行を含む。
【0201】
影響領域のサイズは、n回の反復の場合、影響領域が(2n+2)×(2n+2)配列を含むことに留意することによって一般化することができる。
【0202】
適応型マルチパスアルゴリズムを実施するためのワンパス方法では、各最終サブフレームピクセル値は、最終サブフレームピクセル値に対応するピクセル値に対して影響領域をシフトすることによって計算される。図25は、適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合の画像1900に対するピクセル1902の影響領域1904を示すブロック図である。図25中、ピクセル1902に対応する最終サブフレームピクセル値は、影響領域1904が含むピクセル値を使用して計算される。ピクセル1906に対応する最終サブフレームピクセル値を計算するために、矢印1908で示すように影響領域1904を右に1ピクセル分(図示せず)にシフトさせる。同様に、矢印1912で示すように影響領域1904を下に1ピクセル分(図示せず)シフトさせて、ピクセル1910に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する。
【0203】
一実施形態では、画像1900の最終サブフレームピクセル値は、値が行ごとに左から右、上から下に計算されて最上行から始まって最下行で終わるラスタパターンで計算することができる。他の実施形態では、最終サブフレームピクセル値は他のパターン又は他の順序に従って計算することができる。
【0204】
図26は、最終サブフレームピクセル値がラスタパターンで計算される適応マルチパルスアルゴリズムを3回反復する場合のピクセル2002の影響領域2004内の計算済み履歴値を示すブロック図である。影響領域2004内の陰影付きピクセルは、履歴値、すなわちピクセル2002の最終サブフレームピクセル値を計算する前に計算される最終サブフレームピクセル値を含む。ラスタパターンを使用する場合、最終サブフレームピクセル値は、ピクセル2002より上の各行ごとに、またピクセル2002と同じ行でピクセル2002の左側にある各ピクセルごとに計算される。
【0205】
履歴値を使用し、初期値の最後の行を無視することにより、ピクセル2002の図26に示す影響領域2004を簡易化することができる。図27は、最終サブフレームピクセル値がラスタパターンで計算される履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合のピクセル2002の簡易影響領域2006内の計算済み履歴値を示すブロック図である。簡易影響領域2006は5行、すなわち履歴値に1行2008、履歴値及び初期値の両方に1行2010、及び初期値に3行2012を含む。簡易影響領域2006は、影響領域2004からの最初の2行の履歴値及び最後の1行の初期値を含まない。
【0206】
初期履歴値2008は、元の画像の第1行からの対応するピクセル値に等しくセットしてもよく、又はゼロにセットしてもよい。行2010及び行2012中の初期値は最初にゼロにセットしてもよく、又は列2016からの計算済み初期値に等しくセットしてもよい。ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値は、以下のアルゴリズムを使用して簡易影響領域2006からの履歴値及び初期値を使用して計算することができる。
【0207】
まず、影響領域2006の列2016中のピクセルの初期ピクセル値が、元の画像ピクセル値を使用して計算される。一実施形態では、初期ピクセル値は、各ピクセル値を他の3つのピクセル値と平均することによって計算される。他の実施形態では他のアルゴリズムを使用してもよい。次に、列2016中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。シミュレーションカーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「1/4」、「1/4」、及び「0」であり、第2行の値は「1/4」、「1/4」、及び「0」であり、第3行の値は「0」、「0」、及び「0」である。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2016中の各ピクセルごとに生成される。
【0208】
列2016の誤差値を計算した後、列2018中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2018中の各ピクセルごとに生成される。列2018中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差カーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「0」、「0」、及び「0」であり、第2行の値は「0」、「1/4」、及び「1/4」であり、第3行の値は「0」、「1/4」、及び「1/4」である。列2018中のピクセルの適応ピクセル値が、補正値を鮮鋭化係数αと乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0209】
列2018の適応ピクセル値を計算した後、列2020中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2020中の各ピクセルごとに生成される。列2020中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。列2020中のピクセルの適応ピクセル値が、補正値を鮮鋭化係数αと乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0210】
列2020の適応ピクセル値を計算した後、列2022中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2022中の各ピクセルごとに生成される。列2022中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。
【0211】
ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値は、上記アルゴリズムによって生成される値、履歴値、及び鮮鋭化係数αを使用して計算される。
【0212】
所与のピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、所与のピクセルに隣接するピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。たとえば、ピクセル2002の最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、ピクセル2002の右側にあるピクセルの最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。その結果、特定の冗長計算を省くことができる。
【0213】
上記アルゴリズムでの鮮鋭化係数αは、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを使用して異なる列の値を計算するに際して異なってもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、列2018の適応ピクセル値を計算する場合には「3」であってもよく、列2020の適応ピクセル値を計算する場合には「1.8」であってもよく、ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する場合には「0.5」であってもよい。
【0214】
上記アルゴリズムについて適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合に関して説明したが、このアルゴリズムは、反復回数の影響領域に従って上記アルゴリズムで使用される列数及び/又は各列中のピクセル数を増減することにより、拡大又は縮小して任意の回数の反復に適用することができる。
【0215】
図28は、最終サブフレームピクセル値がラスタパターンで計算される、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合の画像1900に対するピクセル2002の簡易影響領域2006を示すブロック図である。図28では、ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値が、上記アルゴリズムにおいて今述べたように影響領域2006に含まれるピクセル値を使用して計算される。ピクセル2028に対応する最終サブフレームピクセル値を計算するために、矢印1908で示すように影響領域2006を右に1ピクセル分(図示せず)シフトさせる。同様に、矢印1912で示すように影響領域2006を下に1ピクセル分(図示せず)シフトさせて、ピクセル2030に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する。
【0216】
図29は、一実施形態によるサブフレーム生成ユニット36の部分を示すブロック図である。この実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、プロセッサ2100、メインメモリ2102、コントローラ2104、及びメモリ2106を備える。コントローラ2104は、プロセッサ2100、メインメモリ2102、及びメモリ2106に接続される。メモリ2106は、元の画像28及びサブフレーム画像30Pを含む比較的大きなメモリを含む。メインメモリ2102は、サブフレーム生成モジュール2110、一時変数2112、元の画像28からの元の画像行28A、及びサブフレーム画像30Pからのサブフレーム画像行30P−1を含む比較的高速のメモリを含む。
【0217】
プロセッサ2100は、コントローラ2104を使用してメインメモリ2102及びメモリ2106からの命令及びデータにアクセスする。プロセッサ2100は、コントローラ2104を使用して命令を実行し、データをメインメモリ2102及びメモリ2106に記憶する。
【0218】
サブフレーム生成モジュール2110は、プロセッサ2100により実行可能であり、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを実施するための命令を含む。プロセッサ2100により実行されていることに応答して、サブフレーム生成モジュール2110は、元の画像行28A及びサブフレーム画像行30P−1の組をメインメモリ2102にコピーさせる。サブフレーム生成モジュール2110は、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムに従って元の画像行28A及びサブフレーム画像行30P−1内のピクセル値を使用して、各行ごとに最終サブフレームピクセル値を生成させる。最終サブフレームピクセル値を生成するに当たり、サブフレーム生成モジュール2110は、一時的な値を一時変数2112として記憶させる。サブフレーム画像行の最終サブフレームピクセル値を生成した後、サブフレーム生成モジュール2110はその行をサブフレーム画像30Pとして記憶させ、次の行のピクセル値を元の画像28から読み出させて元の画像行28Aに記憶させる。
【0219】
サブフレーム生成モジュール2110が履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムの3回の反復を実施する一実施形態では、元の画像行28Aは元の画像28からの4行を含む。他の実施形態では、元の画像行28Aは元の画像28からの他の行数分の行を含む。
【0220】
一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36はサブフレーム画像30Pから4つのサブフレームを生成する。4つのサブフレームは、図3A〜図3Eを参照して上述した4位置処理を使用して表示デバイス26で表示される。
【0221】
他の実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、図29に示す構成要素の機能を集積回路に組み込んだ特定用途向け集積回路(ASIC)を備える。こういった実施形態では、メインメモリ2102をASICに含めてもよく、メモリ2106はASIC内に含まれてもよく、又はASIC外にあってもよい。ASICは、ハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素又はファームウェア構成要素との任意の組み合わせを含み得る。
【0222】
他の実施形態では、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、2位置処理の場合に2つのサブフレームを生成することができる。2つのサブフレームは、図2A〜図2Cを参照して上述したように2位置処理を使用して表示デバイス26で表示される。2位置処理の場合、シミュレーションカーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「1/2」、「1/2」、「0」であり、第2行の値は「1/2」、「1/2」、「0」であり、第3行の値は「0」、「0」、「0」である。
【0223】
XII.履歴使用の簡易中心適応型マルチパス
一実施形態によるサブフレーム30を生成するための履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムは、過去の誤差を使用してサブフレームデータの評価を更新し、高速な収束及び低メモリ必要量を提供することができる。履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムは、アルゴリズムのワンパスで4つのサブフレームを生成する際にシミュレーションカーネル内の値を変更し、誤差カーネルを省くことによって履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを変更する。4つのサブフレームは、図3A〜図3Eを参照して上述したように4位置処理を使用して表示デバイス26で表示される。
【0224】
図27を参照すると、初期履歴値2008は、元の画像の第1行からの対応するピクセル値に等しくセットしてもよく、又はゼロにセットしてもよい。行2010及び行2012中の初期値は最初にゼロにセットしてもよく、又は列2016からの計算済み初期値に等しくセットしてもよい。ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値は、以下のアルゴリズムを使用して簡易影響領域2006からの履歴値及び初期値を使用して計算することができる。履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムは以下のように実施することができる。
【0225】
第1に、列2016中のピクセルの初期ピクセル値が計算される。初期ピクセル値は、最近傍アルゴリズム又は他の任意の適したアルゴリズムを使用して計算してもよい。
【0226】
列2016の初期ピクセル値を計算した後、列2018中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。シミュレーションカーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「0」、「1/8」、及び「0」であり、第2行の値は「1/8」、「4/8」、及び「1/8」であり、第3行の値は「0」、「1/8」、及び「0」である。列2018中のピクセルの補正値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって計算される。列2018中のピクセルの適応ピクセル値が、鮮鋭化係数αで補正値を乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0227】
列2018の擬似値を計算した後、列2020中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。列2020中のピクセルの補正値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって計算される。列2020中のピクセルの適応ピクセル値が、鮮鋭化係数αで補正値を乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0228】
列2020の擬似値を計算した後、列2022中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。列2022中のピクセルの補正値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって計算される。
【0229】
ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値が、上記アルゴリズムにより生成される値、履歴値、及び鮮鋭化係数αを使用して計算される。
【0230】
所与のピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、所与のピクセルに隣接するピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。たとえば、ピクセル2002の最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、ピクセル2002の右側にあるピクセルの最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。その結果、特定の冗長計算を省くことができる。
【0231】
上記アルゴリズムでの鮮鋭化係数αは、履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して異なる列の値を計算するに際して異なってもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、列2018の適応ピクセル値を計算する場合には「3」であり、列2020の適応ピクセル値を計算する場合には「1.8」であり、ピクセル2002に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する場合には「0.5」であってもよい。
【0232】
上記アルゴリズムについて簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合に関して説明したが、このアルゴリズムは、反復回数の影響領域に従って上記アルゴリズムで使用される列数及び各列中のピクセル数を増減することにより、拡大又は縮小して任意の回数の反復に適用することができる。
【0233】
サブフレーム生成ユニット36の一実施形態では(図29に示す)、サブフレーム生成モジュール2110が履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを実施する。別の実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを実施するASICを備える。
【0234】
XIII.履歴使用の中心適応型カーネル
一実施形態によるサブフレーム30を生成するための履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムは、過去の誤差を使用してサブフレームデータの評価を更新し、高速な収束及び低メモリ必要量を提供することができる。履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムはアルゴリズムのワンパスで2つのサブフレームを生成し、シミュレーションカーネル及び誤差カーネルを変更することによって履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを変更する。履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムも、簡易影響領域に使用される履歴値行に関連する誤差値を生成し、これらの値を履歴値行と共に記憶する。2つのサブフレームは、図2A〜図2Cを参照して上述した2位置処理を使用して表示デバイス26で表示される。
【0235】
2位置処理の場合、図30に示すように2つのサブフレームを絡み合わせて単一のサブフレーム画像2200にすることができる。画像2200内では、第1の種類の陰影付きで示されるピクセルセット2202は第1のサブフレームを含み、第2の種類の陰影付きで示されるピクセルセット2204は第2のサブフレームを含む。陰影の付いていない残りのピクセルセット2206は、使用されないサブフレームを表すゼロ値を含む。
【0236】
図31は、最終サブフレームピクセル値がラスタパターンで計算される履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合のピクセル2212の簡易影響領域2210内のピクセル2202、ピクセル2204、履歴値2222(第3の種類の陰影付きで示される)、及び誤差値2224(第4の種類の陰影付きで示される)を示すブロック図である。簡易影響領域2210は5行、すなわち履歴値及び誤差値に1行2214、履歴値及び初期値に1行2216、並びに初期値に3行2218を含む。簡易影響領域2210は行2214より上の2行の履歴値及び誤差値、並びに行2218よりも下の行の初期値を含まない。
【0237】
誤差値2224はそれぞれ式XXXVIを使用して計算される。
【0238】
<式XXXVI>
誤差=((1×誤差左ヒ゜クセル)+(2×誤差)+(1×誤差右ヒ゜クセル))/4
誤差値2224は、ピクセル値よりも多くのビットを含み得る符号付きの値であるため、式XXXVIを使用して計算される誤差値2224は、図31に示すように行2214に記憶される前にマッピング又はルックアップテーブルを用いて調整される。以下の擬似コードを使用して、一実施形態により誤差値2224をマッピングすることができる。
temp=誤差_左+2*誤差+誤差_右;//1× 2× 1×
temp=temp/4;//4で割る
if(temp<−127)temp=−127;//値のクリッピング
if(temp>127)temp=127;//値のクリッピング
temp+=127;//シフトして非ゼロにする
【0239】
初期履歴値2222は、元の画像の第1行からの対応するピクセル値に等しくセットしてもよく、又はゼロにセットしてもよい。初期誤差値2224はゼロにセットしてもよい。行2216及び行2218中の初期値は最初にゼロにセットしてもよく、又は列2226からの計算済み初期値に等しくセットしてもよい。ピクセル2212に対応する最終サブフレームピクセル値は、以下のアルゴリズムを使用して簡易影響領域2210からの履歴値、誤差値、及び初期値を使用して計算することができる。
【0240】
第1に、影響領域2210の列2226中のピクセルの初期ピクセル値が、元の画像ピクセル値を使用して計算される。一実施形態では、初期ピクセル値は最近傍アルゴリズムを使用して計算される。他のアルゴリズムを他の実施形態で使用してもよい。次に、列2226中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値の、2つのシミュレーションカーネルのうちの一方との畳み込み演算によって計算される。第1のシミュレーションカーネルは、ピクセル2212が非ゼロ値を含む場合に使用され、3×3配列を含み、第1行の値は「1/8」、「0」、及び「1/8」であり、第2行の値は「0」、「4/8」、及び「0」であり、第3行の値は「1/8」、「0」、及び「1/8」である。第2のシミュレーションカーネルは、ピクセル2212がゼロ値を含む場合に使用され、3×3配列を含み、第1行の値は「0」、「2/8」、及び「0」であり、第2行の値は「2/8」、「0」、及び「2/8」であり、第3行の値は「0」、「2/8」、及び「0」である。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2226中の各ピクセルごとに生成される。
【0241】
列2226の誤差値を計算した後、列2228中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値の適切なシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値は、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2228中の各ピクセルごとに生成される。列2228中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差カーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「1/16」、「2/16」、及び「1/16」であり、第2行の値は「2/16」、「4/16」、及び「2/16」であり、第3行の値は「1/16」、「2/16」、及び「1/16」である。列2228中のピクセルの適応ピクセル値は、鮮鋭化係数αで補正値を乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0242】
列2228の適応ピクセル値を計算した後、列2230中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値の適切なシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2230中の各ピクセルごとに生成される。列2230中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。列2230中のピクセルの適応ピクセル値が、鮮鋭化係数αで補正値を乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0243】
列2230の適応ピクセル値を計算した後、列2232中のピクセルの擬似ピクセル値が、初期ピクセル値の適切なシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から擬似ピクセル値を減算することによって列2232中の各ピクセルごとに生成される。列2232中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。
【0244】
ピクセル2212に対応する最終サブフレームピクセル値が、上記アルゴリズムにより生成される値、履歴値2222、誤差値2224、及び鮮鋭化係数αを使用して計算される。
【0245】
所与のピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、所与のピクセルに隣接するピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。たとえば、ピクセル2002の最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、ピクセル2002の右側にあるピクセルの最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。その結果、特定の冗長計算を省くことができる。
【0246】
上記アルゴリズムでの鮮鋭化係数αは、履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して異なる列の値を計算するに際して異なってもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、列2228の適応ピクセル値を計算する場合には「3」であり、列2230の適応ピクセル値を計算する場合には「1.8」であり、ピクセル2212に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する場合には「0.5」であってもよい。
【0247】
上記アルゴリズムについて中心適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合に関して説明したが、このアルゴリズムは、反復回数の影響領域に従って上記アルゴリズムで使用される列数及び各列中のピクセル数を増減することにより、拡大又は縮小して任意の回数の反復に適用することができる。
【0248】
図32は、最終サブフレームピクセル値がラスタパターンで計算される履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復した場合の画像2300に対するピクセル2212の簡易影響領域2210を示すブロック図である。図32では、ピクセル2212に対応する最終サブフレームピクセル値が、上記アルゴリズムにおいて今述べたように影響領域2210が含むピクセル値を使用して計算される。ピクセル2302に対応する最終サブフレームピクセル値を計算するために、矢印2304で示すように影響領域2210を右に1ピクセル分(図示せず)シフトする。同様に、矢印2308で示すように影響領域2210を下に1ピクセル分(図示せず)シフトして、ピクセル2306に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する。
【0249】
他の実施形態では、履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、4位置処理で4つのサブフレームを生成することができる。4つのサブフレームは、図3A〜図3Eを参照して上述した4位置処理を使用して表示デバイス26で表示される。4位置処理の場合、シミュレーションカーネル及び誤差カーネルはそれぞれ3×3配列を含み、第1行の値は「1/16」、「2/16」、「1/16」であり、第2行の値は「2/16」、「4/16」、「2/16」であり、第3行の値は「1/16」、「2/16」「1/16」である。さらに、履歴値行とは別個の誤差値行が上述したアルゴリズムにおいて使用される。
【0250】
他の実施形態では、履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムの誤差カーネルを省いてもよい。こういった実施形態では、誤差値行は図31に示すように記憶されず、シミュレーションカーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「1/16」、「2/16」、「1/16」であり、第2行の値は「2/16」、「4/16」、「2/16」であり、第3行の値は「1/16」、「2/16」、「1/16」である。こういった変更を用いて、履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを、履歴使用の簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムについて上述した様式と同様に実施することができる。
【0251】
サブフレーム生成ユニット36の一実施形態(図29に示す)では、サブフレーム生成モジュール2110が履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを実施する。別の実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、履歴使用の中心適応型マルチパスアルゴリズムを実施するASICを備える。
【0252】
XIV.ちらつきを低減した4位置処理
上述したようにサブフレーム30を連続して表示するに際して、異なるサブフレームのサブフレームピクセル値間のばらつきは、表示画像に関連するちらつきに繋がる恐れがある。表示画像に関連するちらつきを低減するために、サブフレーム生成ユニット36は、画像12のサブフレームを2つ1組で2組、互いに独立して生成することにより4位置処理を実施する。表示デバイス26は、図3A〜図3E及び図4A〜図4Eに示し上述した例に示すように2組からのサブフレームを4つの位置に表示する。
【0253】
図33は、2つ1組のサブフレームを2組生成することにより4位置処理を行う方法を示すブロック図であり、図34は、本発明の一実施形態により4位置処理を行う方法を示すフローチャートである。図33及び図34を参照すると、画像フレーム28はピクセルA1〜A4、B1〜B4、C1〜C4、及びD1〜D4を含む。画像フレーム28を受け取ったことに応答して、サブフレーム生成ユニット36は、矢印2402及びブロック2452で示すように、画像フレーム28からの画像データの第1の部分及び第2の部分をそれぞれ使用して2つ1組で2組の初期サブフレーム2406及び2408を生成する。第1の組2406の2つの初期サブフレームは、画像フレーム28からのピクセルA1〜A4及びD1〜D4に関連するサブフレームピクセル値、並びにピクセルB1〜B4及びC1〜C4に関連する値にゼロ値を含む。第1の組2406の2つの初期サブフレームのうちの第1のサブフレームは、ピクセルA1〜A4に関連するサブフレームピクセル値を含み、第1の組2406の2つの初期サブフレームのうちの第2のサブフレームは、ピクセルD1〜D4に関連するサブフレームピクセル値を含む。第2の組2408の2つの初期サブフレームは、画像フレーム28からのピクセルB1〜B4及びC1〜C4に関連するサブフレームピクセル値、並びにピクセルA1〜A4及びD1〜D4に関連する値にゼロ値を含む。第2の組2408の2つの初期サブフレームのうちの第1のサブフレームは、ピクセルB1〜B4に関連するサブフレームピクセル値を含み、第2の組2408の2つの初期サブフレームのうちの第2のサブフレームは、ピクセルC1〜C4に関連するサブフレームピクセル値を含む。
【0254】
サブフレーム生成ユニット36は、ブロック2454に示すように、2つの初期サブフレームの組2406及び2408それぞれに、2つ1組のサブフレームを2組2416及び2428を生成する。特に、サブフレーム生成ユニット36は、1組の2つの初期サブフレーム2406に対して処理を行い、矢印2412で示すように、A1’〜A4’に関連するサブフレームピクセル値を有するサブフレーム及びピクセルD1’〜D4’に関連するサブフレームピクセル値を有するサブフレームを含む第1の組の2つのサブフレーム2416を生成する。サブフレーム生成ユニット36はまた、2つの初期サブフレームの組2408に対して処理を行い、矢印2414で示すように、B1’〜B4’に関連するサブフレームピクセル値を有するサブフレーム及びピクセルC1’〜C4’に関連するサブフレームピクセル値を有するサブフレームを含む第2の組の2つのサブフレーム2418を生成する。第1の組の2つのサブフレーム2416及び第2の組の2つのサブフレーム2418を生成するために、サブフレーム生成ユニット36は、2位置適応型マルチパスアルゴリズム、2位置中心適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の2位置適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の2位置中心適応型マルチパスアルゴリズム、又は本明細書においてさらに詳細に後述する他の任意の2位置適応型マルチパスアルゴリズムを使用する。
【0255】
サブフレーム生成ユニット36は、第1の組の2つのサブフレーム2416及び第2の組の2つのサブフレーム2418を、矢印2422で示すようにピクセルA1’〜A4’、B1’〜B4’、C1’〜C4’、及びD1’〜D4’に関連するサブフレームピクセル値を含むサブフレーム30Qに併合することができる。表示デバイス26は、矢印2432及びブロック2456に示すように、ピクセルA1’〜A4’に関連するサブフレームピクセル値を含むサブフレーム30Q−1を第1の位置に表示し、ピクセルB1’〜B4’に関連するサブフレームピクセル値を含むサブフレーム30Q−2を第2の位置に表示し、ピクセルC1’〜C4’に関連するサブフレームピクセル値を含むサブフレーム30Q−3を第3の位置に表示し、ピクセルD1’〜D4’に関連するサブフレームピクセル値を含むサブフレーム30Q−4を第4の位置に表示することによってサブフレーム30Qを表示する。表示デバイス26は、第1の位置が第4の位置から垂直及び水平にずれ、第2の位置が第3の位置から垂直及び水平にずれるようにサブフレーム30Q−1、30Q−2、30Q−3、及び30Q−4を表示する。
【0256】
2位置適応型マルチパスアルゴリズム、2位置中心適応型マルチパスアルゴリズム、履歴使用の2位置適応型マルチパスアルゴリズム、及び履歴使用の2位置中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して第1の組の2つのサブフレーム2416及び第2の組の2つのサブフレーム2418を生成することのさらなる詳細についてこれより説明する。
【0257】
2位置適応マルチパスアルゴリズムを使用して、第1の組の2つのサブフレーム2416及び第2の組の2つのサブフレーム2418を生成することができる。図35は、本発明の一実施形態による、適応型マルチパスアルゴリズムを使用して2つの初期サブフレームの組2406及び2408に基づいて2位置処理する場合の疑似高解像度画像2504及び2506を生成するシステム2500を示すブロック図である。
【0258】
2つの初期サブフレームの組2406及び2408はそれぞれ畳み込み演算ステージ2502において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって疑似高解像度画像2504及び2506のそれぞれを生成する。図示した実施形態では、補間フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「1/2」、「1/2」、「0」であり、第2行のフィルタ係数は「1/2」、「1/2」、「0」であり、また最後の行のフィルタ係数は「0」、「0」、「0」である。
【0259】
疑似高解像度画像2504及び2506の生成後、補正データが生成される。図36は、本発明の一実施形態によるシステム2520において適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。減算ステージ2522において、高解像度画像28から疑似高解像度画像2504及び2506はそれぞれ、ピクセルごとに減算される。一実施形態では、その結果生成される誤差画像データセットが誤差フィルタ2526によってフィルタリングされて誤差画像2530及び2532が生成される。図示した実施形態では、誤差フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「0」、「0」、「0」であり、第2行のフィルタ係数は「0」、「1/4」、「1/4」であり、また最後の行のフィルタ係数は「0」、「1/4」、「1/4」である。
【0260】
各組2406及び2408の2つの初期サブフレームの2つの補正サブフレーム(図示せず)組が、各誤差画像2530及び2532から生成される。2つの更新サブフレームの2組2416及び2418が、補正サブフレームの組を鮮鋭化係数αで乗算し、各組の初期サブフレームを加算することにより生成される。鮮鋭化係数αは、中心適応型マルチパスアルゴリズムの反復ごとに異なってもよい。一実施形態では、鮮鋭化係数αは連続した反復ごとに低減してもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、1回目の反復では「3」であってもよく、2回目の反復では「1.8」であってもよく、また、3回目の反復では「0.5」であってもよい。
【0261】
一実施形態では、更新サブフレームの組2416及び2418を適応型マルチパスアルゴリズムの次の反復に使用して、さらなる更新サブフレームを生成する。任意の所望の回数の反復を行ってもよい。何回かの反復後、適応型マルチパスアルゴリズムを使用して生成されるサブフレームの値は最適な値に収束する。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、適応型マルチパスアルゴリズムに基づいてサブフレームの組2416及び2418を生成するように構成される。
【0262】
他の実施形態では、適応型マルチパスアルゴリズムは、各サブフレームピクセル値について各反復の計算を単一ステップに併合することによって任意の回数の反復をワンパスで行うことができる。このようにして、各サブフレームピクセル値が、各反復で明示的にシミュレーションサブフレーム、誤差サブフレーム、及び補正サブフレームを生成することなく生成される。むしろ、各サブフレームピクセル値は独立して、元の画像ピクセル値から計算される中間値から計算される。
【0263】
2位置中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、2つのサブフレームの第1の組2416及び第2の組2418を生成することができる。図37は、本発明の一実施形態による、中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての2つの初期サブフレームの組2406及び2408に基づく2位置処理のための疑似高解像度画像2604及び2606を生成するシステム2600を示すブロック図である。
【0264】
2つの初期サブフレームの組2406及び2408はそれぞれ、畳み込みステージ2602において補間フィルタとの畳み込み演算を受け、それによって疑似高解像度画像2604及び2606をそれぞれ生成する。図示した実施形態では、補間フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「1/8」、「2/8」、「1/8」であり、第2行のフィルタ係数は「2/8」、「4/8」、「2/8」であり、また最後の行のフィルタ係数は「1/8」、「2/8」、「1/8」である。
【0265】
疑似高解像度画像2604及び2606の生成後、補正データが生成される。図38は、本発明の一実施形態により、システム2620において適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。減算ステージ2622において、高解像度画像28から疑似高解像度画像2604及び2606がピクセルごとに減算される。一実施形態では、その結果生成される誤差画像データセットが、誤差フィルタ2626によってフィルタリングされて誤差画像2630及び2632が生成される。図示した実施形態では、誤差フィルタは、畳み込み演算の中心が3×3行列の中心位置である3×3フィルタである。第1行のフィルタ係数は「1/16」、「2/16」、「1/16」であり、第2行のフィルタ係数は「2/16」、「4/16」、「2/16」であり、また最後の行のフィルタ係数は「1/16」、「2/16」、「1/16」である。
【0266】
2つの初期サブフレームの各組2406及び2408の2つ1組の補正サブフレーム(図示せず)が、各誤差画像2630及び2632から生成される。2つ1組の更新サブフレームの2組2416及び2418が、補正サブフレームの組を鮮鋭化係数αで乗算し、初期サブフレームの各組を加算することにより生成される。鮮鋭化係数αは、中心適応型マルチパスアルゴリズムの反復ごとに異なってもよい。一実施形態では、鮮鋭化係数αは連続した反復ごとに低減してもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、1回目の反復では「3」であってもよく、2回目の反復では「1.8」であってもよく、また、3回目の反復では「0.5」であってもよい。
【0267】
一実施形態では、更新サブフレームの組2416及び2418を中心適応型マルチパスアルゴリズムの次の反復に使用して、さらなる更新サブフレームの組を生成する。任意の所望の回数の反復を行ってもよい。何回かの反復後、中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して生成されるサブフレームの値は最適な値に収束する。一実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、適応型マルチパスアルゴリズムに基づいてサブフレームの組2416及び2418を生成するように構成される。
【0268】
他の実施形態では、中心適応型マルチパスアルゴリズムは、各サブフレームピクセル値について各反復の計算を単一ステップに併合することによって任意の回数の反復をワンパスで行うことができる。このようにして、各サブフレームピクセル値が、各反復で明示的にシミュレーションサブフレーム、誤差サブフレーム、及び補正サブフレームを生成することなく生成される。むしろ、各サブフレームピクセル値は独立して、元の画像ピクセル値から計算される中間値から計算される。
【0269】
2位置履歴使用適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、2つのサブフレームの第1の組2416及び第2の組2418を生成することができる。2位置履歴使用適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、サブフレーム生成ユニット36は、履歴値及び各サブフレームピクセル値の影響領域中の初期値を使用して非ゼロの各初期サブフレームピクセル値に2つ1組のサブフレームの組2416及び2418のサブフレームピクセル値を計算する。
【0270】
4位置処理に関連してセクションXIに上述したように、サブフレームピクセル値を計算するための影響領域は、履歴値を使用し、最後の行の初期値を無視することによって簡易化することができる。図39は、最終サブフレームピクセル値がラスタパターンで計算される、2位置履歴使用適応型マルチパスアルゴリズムを3回繰り返した場合の、ピクセル2702の簡易影響領域2700中の計算済み履歴値を示すブロック図である。2位置処理の場合、ピクセル2702の簡易影響領域2700は、暗い陰影で識別されるゼロ値2704を含む。簡易影響領域2700は5行、すなわち履歴値及びゼロ値に1行2708、履歴値、初期値、及びゼロ値に1行2710、並びに初期値及びゼロ値に3行2712を含む。
【0271】
行2708中の初期履歴値は、元の画像の第1行からの対応するピクセル値に等しくセットしてもよく、又はゼロにセットしてもよい。行2710及び2712中の初期値は最初にゼロにセットしてもよく、又は列2716からの計算済み初期値に等しくセットしてもよい。ピクセル2702に対応する最終サブフレームピクセル値は、以下のように簡易影響領域2700からの履歴値及び初期値を使用して計算することができる。
【0272】
まず、影響領域2700の列2716中のピクセルの初期ピクセル値が、元の画像のピクセル値を使用して計算される。一実施形態では、初期ピクセル値は、各ピクセル値を他の3つのピクセル値と平均化することにより計算される。他の実施形態では他のアルゴリズムを使用してもよい。次に、列2716中のピクセルの疑似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算により計算される。シミュレーションカーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「1/2」、「1/2」、及び「0」であり、第2行の値は「1/2」、「1/2」、及び「0」であり、3行目の値は「0」、「0」、及び「0」である。誤差値が、元の画像のピクセル値から疑似ピクセル値を減算することによって列2716中の各ピクセルごとに生成される。
【0273】
列2716の誤差値を計算した後、列2718中のピクセルの疑似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値は、元の画像のピクセル値から疑似ピクセル値を減算することによって列2718中の各ピクセルごとに生成される。列2718中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差カーネルは3×3配列を含み、第1行の値は「0」、「0」、及び「0」であり、第2行の値は「0」、「1/4」、及び「1/4」であり、3行目の値は「0」、「1/4」、及び「1/4」である。列2718中のピクセルの適応ピクセル値は、鮮鋭化係数αで補正値を乗算し、その積を初期値に加算することによって計算される。
【0274】
列2718の適応ピクセル値を計算した後、列2720中のピクセルの疑似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から疑似ピクセル値を減算することによって列2720中の各ピクセルごとに生成される。列2720中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。列2720中のピクセルの適応ピクセル値が、鮮鋭化係数αで補正値を乗算し、その積を初期値に換算することによって計算される。
【0275】
列2720の適応ピクセル値を計算した後、列2722中のピクセルの疑似ピクセル値が、初期ピクセル値のシミュレーションカーネルとの畳み込み演算によって計算される。誤差値が、元の画像ピクセル値から疑似ピクセル値を減算することによって列2722中の各ピクセルごとに生成される。列2722中のピクセルの補正値が、誤差値の誤差カーネルとの畳み込み演算によって計算される。
【0276】
ピクセル2702に対応する最終サブフレームピクセル値が、上記アルゴリズムにより生成される値、履歴値、及び鮮鋭化係数αを使用して計算される。
【0277】
所与のピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、所与のピクセルに隣接するピクセルに対応する最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。たとえば、ピクセル2702の最終サブフレームピクセル値を計算する際に使用される中間計算を、ピクセル2702の右側にあるピクセルの最終サブフレームピクセル値を計算する際に再利用することができる。その結果、特定の冗長計算を省くことができる。
【0278】
上記アルゴリズムでの、鮮鋭化係数αは、履歴使用の適応型マルチパスアルゴリズムを使用して異なる列の値を計算するに際して異なってもよい。たとえば、鮮鋭化係数αは、列2718の適応ピクセル値を計算する場合には「3」であり、列2720の適応ピクセル値を計算する場合には「1.8」であり、ピクセル2702に対応する最終サブフレームピクセル値を計算する場合には「0.5」であってもよい。
【0279】
上記アルゴリズムについて適応型マルチパスアルゴリズムを3回反復する場合に関して説明したが、このアルゴリズムは、反復回数の影響領域に従って上記アルゴリズムで使用される列数及び/又は各列中のピクセル数を増減することにより、拡大又は縮小して任意の回数の反復に適用することができる。
【0280】
2位置履歴使用中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、2つのサブフレームの第1の組2416及び第2の組2418を生成することができる。2位置中心適応型マルチパスアルゴリズムについてはセクションXIIIにおいて上述した。2位置履歴使用中心適応型マルチパスアルゴリズムが使用される実施形態では、サブフレーム生成ユニット36は、2つ1組の初期サブフレーム2406及び2つ1組のサブフレーム2416から前に計算されたサブフレームピクセル値(すなわち、履歴値)を使用して2つ1組のサブフレーム2416のサブフレームピクセル値を計算する。サブフレーム生成ユニット36はまた、2つ1組の初期サブフレーム2408及び2つ1組のサブフレーム2418から前に計算されたサブフレームピクセル値(すなわち、履歴値)を使用して2つ1組のサブフレーム2418のサブフレームピクセル値も計算する。誤差値は、2つ1組のサブフレームの各組2416及び2418のサブフレームピクセル値を計算する際に2つ1組のサブフレームの各組2406及び2408のゼロ値に代えて一時的に記憶することができる。
【0281】
本明細書において述べた実施形態は従来の解決策に勝る利点を提供することができる。たとえば、自然画像及びビジネスグラフィックス等の高コントラスト画像を含む各種のグラフィカル画像の表示を向上させることができる。
【0282】
本明細書では、好ましい実施形態を説明する目的で、特定の実施形態を図示して説明してきたが、図示して説明したこれらの特定の実施形態の代わりに、多種多様の代替的な実施態様及び/又は均等な実施態様を、本発明の範囲から逸脱することなく使用できることが当業者には理解されよう。機械技術、電気機械技術、電気技術、及びコンピュータ技術の熟練者には、本発明を非常に多種多様な実施形態で実施できることが容易に理解されよう。本出願は、本明細書で解説した好ましい実施形態のあらゆる適応又は変形を網羅することを意図している。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されていることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0283】
【図1】本発明の一実施形態による画像表示システムを示すブロック図である。
【図2A】本発明の一実施形態による2つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図2B】本発明の一実施形態による2つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図2C】本発明の一実施形態による2つのサブフレームを表示したものを示す概略図である。
【図3A】本発明の一実施形態による4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図3B】本発明の一実施形態による4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図3C】本発明の一実施形態による4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図3D】本発明の一実施形態による4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図3E】本発明の一実施形態による4つのサブフレームを表示したものを示す概略図である。
【図4A】本発明の一実施形態による画像表示システムによりピクセルを表示したものを示す概略図である。
【図4B】本発明の一実施形態による画像表示システムによりピクセルを表示したものを示す概略図である。
【図4C】本発明の一実施形態による画像表示システムによりピクセルを表示したものを示す概略図である。
【図4D】本発明の一実施形態による画像表示システムによりピクセルを表示したものを示す概略図である。
【図4E】本発明の一実施形態による画像表示システムによりピクセルを表示したものを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による最近傍アルゴリズムを使用した、元の高解像度画像からの低解像度サブフレームの生成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による双一次アルゴリズムを使用した、元の高解像度画像からの低解像度サブフレームの生成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による、擬似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態による、分離可能なアップサンプリングに基づいて2位置処理用の擬似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態による、分離不能なアップサンプリングに基づいて2位置処理用の擬似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態による、4位置処理用の擬似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図11】本発明の一実施形態による擬似高解像度画像と所望の高解像度画像との比較を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態によるサブフレームのアップサンプリングの周波数領域における効果を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態によるアップサンプリングサブフレームのシフトの周波数領域における効果を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態によるアップサンプリング画像のピクセルの影響領域を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく初期擬似高解像度画像の生成を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく補正データの生成を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく更新サブフレームの生成を示す図である。
【図18】本発明の別の実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムに基づく補正データの生成を示す図である。
【図19A】本発明の一実施形態による元の高解像度画像に関する4つのサブフレームを表示したものを示す概略図である。
【図19B】本発明の一実施形態による元の高解像度画像に関する4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図19C】本発明の一実施形態による元の高解像度画像に関する4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図19D】本発明の一実施形態による元の高解像度画像に関する4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図19E】本発明の一実施形態による元の高解像度画像に関する4つのサブフレームのうちの1つを表示したものを示す概略図である。
【図20】本発明の一実施形態による中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、4位置処理用の擬似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図21】本発明の一実施形態による中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。
【図22】本発明の一実施形態による簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用して、4位置処理用の擬似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図23】本発明の一実施形態による簡易中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。
【図24A】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムの異なる反復回数の場合のピクセルの影響領域を示すブロック図である。
【図24B】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムの異なる反復回数の場合のピクセルの影響領域を示すブロック図である。
【図24C】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムの異なる反復回数の場合のピクセルの影響領域を示すブロック図である。
【図25】本発明の一実施形態による画像に対するピクセルの影響領域を示すブロック図である。
【図26】本発明の一実施形態によるピクセルの影響領域の計算済み履歴値を示すブロック図である。
【図27】本発明の一実施形態によるピクセルの簡易影響領域の計算済み履歴値を示すブロック図である。
【図28】本発明の一実施形態による画像に対するピクセルの簡易影響領域を示すブロック図である。
【図29】本発明の一実施形態によるサブフレーム生成ユニットの部分を示すブロック図である。
【図30】2位置処理の場合の絡み合わせたサブフレームを示すブロック図である。
【図31】本発明の一実施形態によるピクセルの簡易影響領域の計算済み履歴値及び誤差値を示すブロック図である。
【図32】本発明の一実施形態による画像に対するピクセルの簡易影響領域を示すブロック図である。
【図33】本発明の一実施形態による4位置処理を行う方法を示すブロック図である。
【図34】本発明の一実施形態による4位置処理を行う方法を示すフローチャートである。
【図35】本発明の一実施形態による、適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての2位置処理のための疑似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図36】本発明の一実施形態による適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。
【図37】本発明の一実施形態による、中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての2位置処理のための疑似高解像度画像を生成するシステムを示すブロック図である。
【図38】本発明の一実施形態による中心適応型マルチパスアルゴリズムを使用しての補正データの生成を示すブロック図である。
【図39】本発明の一実施形態によるピクセルの簡易影響領域中の計算済み履歴値を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0284】
10:画像表示システム
12:画像
14:表示画像
16:画像データ
20:フレームレート変換ユニット
22:画像フレームバッファ
24:画像処理ユニット
26:表示デバイス
28:画像フレーム
30:画像サブフレーム
32:アナログ/デジタル変換器
34:解像度調整ユニット
36:サブフレーム生成ユニット
38:画像シフト装置
40:タイミングジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイス(26)を使用して画像(12)を表示する方法であって、
前記画像の、第1の部分及び第2の部分を含む画像データ(28)を受け取るステップと、
前記第1の部分及び第1のシミュレーションカーネル(2502/2602)を使用して第1の複数のサブフレーム(2416)を生成するステップと、
前記第1の複数のサブフレームを生成することから独立して、前記第2の部分及び前記第1のシミュレーションカーネルを使用して第2の複数のサブフレーム(2418)を生成するステップと、
前記第1の複数のサブフレームのうちの第1のサブフレームを第1の位置に表示すること、前記第1の複数のサブフレームのうちの第2のサブフレームを、前記第1の位置から空間的にずれた第2の位置に表示すること、前記第2の複数のサブフレームのうちの第1のサブフレームを、前記第1の位置及び前記第2の位置から空間的にずれた第3の位置に表示すること、及び前記第2の複数のサブフレームのうちの第2のサブフレームを、前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記第3の位置から空間的にずれた第4の位置に表示すること、を交互に行うステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のシミュレーションカーネルは、3つの係数をそれぞれ含む第1の行、第2の行、及び第3の行を含み、該第1の行の3つの係数はそれぞれ1/2、1/2、及び0の値を有し、前記第2の行の3つの係数はそれぞれ1/2、1/2、及び0の値を有し、前記第3の行の3つの係数はそれぞれ0、0、及び0の値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数のサブフレームは第1の複数のサブフレームピクセル値を含み、前記第2の複数のサブフレームは第2の複数のサブフレームピクセル値を含み、前記方法は、
前記第1の複数のサブフレームピクセル値のうちの少なくとも1つを使用して該第1の複数のサブフレームピクセル値のそれぞれを生成するステップと、
前記第2の複数のサブフレームピクセル値のうちの少なくとも1つを使用して該第2の複数のサブフレームピクセル値のそれぞれを生成するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のシミュレーションカーネルは、3つの係数をそれぞれ含む第1の行、第2の行、及び第3の行を含み、該第1の行の3つの係数はそれぞれ1/8、2/8、及び1/8の値を有し、前記第2の行の3つの係数はそれぞれ2/8、4/8、及び2/8の値を有し、前記第3の行の3つの係数はそれぞれ1/8、2/8、及び1/8の値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の部分、前記第1のシミュレーションカーネル、及び第2のシミュレーションカーネルを使用して前記第1の複数のサブフレームを生成するステップと、
前記第2の部分、前記第1のシミュレーションカーネル、及び前記第2のシミュレーションカーネルを使用して前記第2の複数のサブフレームを生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシミュレーションカーネルは、3つの係数をそれぞれ含む第1の行、第2の行、及び第3の行を含み、該第1の行の3つの係数はそれぞれ1/8、0、及び1/8の値を有し、前記第2の行の3つの係数はそれぞれ0、4/8、及び0の値を有し、前記第3の行の3つの係数はそれぞれ1/8、0、及び1/8の値を有し、前記第2のシミュレーションカーネルは、3つの係数をそれぞれ含む第4の行、第5の行、及び第6の行を含み、該第4の行の3つの係数はそれぞれ0、2/8、及び0の値を有し、前記第5の行の3つの係数はそれぞれ2/8、0、及び2/8の値を有し、前記第6の行の3つの係数はそれぞれ0、2/8、及び0の値を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の複数のサブフレームは第1の複数の誤差値を含み、前記第2の複数のサブフレームは第2の複数の誤差値を含み、前記方法は、
前記第1の部分、前記第1のシミュレーションカーネル、前記第2のシミュレーションカーネル、及び前記第1の複数の誤差値を使用して前記第1の複数のサブフレームを生成するステップと、
前記第2の部分、前記第1のシミュレーションカーネル、前記第2のシミュレーションカーネル、及び前記第2の複数の誤差値を使用して前記第2の複数のサブフレームを生成するステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の部分、前記第1のシミュレーションカーネル、及び誤差カーネル(2526/2626)を使用して前記第1の複数のサブフレームを生成するステップと、
前記第2の部分、前記第1のシミュレーションカーネル、及び前記誤差カーネルを使用して前記第2の複数のサブフレームを生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記誤差カーネルは、3つの係数をそれぞれ含む第1の行、第2の行、及び第3の行を含み、該第1の行の3つの係数はそれぞれ0、0、及び0の値を有し、前記第2の行の3つの係数はそれぞれ0、1/4、及び1/4の値を有し、前記第3の行の3つの係数はそれぞれ0、1/4、及び1/4の値を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記誤差カーネルは、3つの係数をそれぞれ含む第1の行、第2の行、及び第3の行を含み、該第1の行の3つの係数はそれぞれ1/16、2/16、及び1/16の値を有し、前記第2の行の3つの係数はそれぞれ2/16、4/16、及び2/16の値を有し、前記第3の行の3つの係数はそれぞれ1/16、2/16、及び1/16の値を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の位置は前記第1の位置から垂直且つ水平にずれ、前記第4の位置は前記第3の位置から垂直且つ水平にずれている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
画像(12)を表示するシステム(10)であって、
前記画像の、第1の部分及び第2の部分を含む画像データ(28)を受け取るようになっているバッファ(22)と、
前記第1の部分を使用して第1の複数の初期サブフレーム(2406)を生成し、前記第2の部分を使用して第2の複数の初期サブフレーム(2408)を生成し、前記第1の複数の初期サブフレームを使用して第1の複数の更新サブフレーム(2416)を生成し、前記第2の複数の初期サブフレームを使用して第2の複数の更新サブフレーム(2418)を生成するように構成された画像処理ユニット(24)と、
前記第1の複数の更新サブフレームのうちの第1の更新サブフレームを第1の位置に表示し、前記第1の複数の更新サブフレームのうちの第2の更新サブフレームを、前記第1の位置から空間的にずれた第2の位置に表示し、前記第2の複数の更新サブフレームのうちの第1の更新サブフレームを、前記第1の位置及び前記第2の位置から空間的にずれた第3の位置に表示し、前記第2の複数の更新サブフレームのうちの第2の更新サブフレームを、前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記第3の位置から空間的にずれた第4の位置に表示するようになっている表示デバイス(26)と、
を備えている、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2008−502944(P2008−502944A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516857(P2007−516857)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/022999
【国際公開番号】WO2005/124684
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】