説明

空間的に一定なサラウンドサウンド

【課題】空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法と、そのためのシステムとを提供すること。
【解決手段】発明は、空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法に関する。空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して空間的に一定であるとユーザーによって知覚される。入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)によって出力されるフロントオーディオ信号チャネル(10.1〜10.3)と、リアラウドスピーカーによって出力されるリアオーディオ信号チャネル(10.4、10.5)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
発明は、空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法と、そのためのシステムとに関する。発明は、方法と、方法を実施する装置または方法を実装するコンピュータプログラムとにおいて実施され得る。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
人の音量の知覚は、近年研究されてきており、より理解されてきている現象である。人の音量の知覚の1つの現象は、聴覚システムの非線形な周波数変化反応である。
【0003】
さらに、サラウンドサウンド源は、公知であり、サラウンドサウンド源において、サラウンドサウンドシステムの異なるラウドスピーカーに対して専用オーディオ信号チャネルが生成される。人の聴覚システムの非線形で、周波数変化反応に起因して、第一の音圧を有するサラウンドサウンド信号は、空間的に釣合っていると知覚され得、ユーザーは、全ての異なる方向から同じ信号レベルを受け取っているという印象を有することを意味する。同じサラウンドサウンド信号が、より低い音圧レベルで出力された場合、信号は、傾聴している人によって、サラウンドサウンド信号の知覚された空間的釣合いにおける変化としてしばしば検知される。例として、より低い信号レベルにおいて、サイドまたはリアサラウンドサウンドチャネルは、より高い信号レベルの状況と比較して、音量が小さいと知覚される。結果として、ユーザーは、空間的釣合いが失われ、サウンドがフロントラウドスピーカーに「動く」といった印象を有する。
【0004】
特許文献1および特許文献2は、オーディオ信号レベルへの空間的知覚の依存を避けるべき解決策を説明している。しかし、提供された解決策は満足いくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/123608号
【特許文献2】国際公開第2008/085330号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(概要)
そのため、サウンド信号レベルへの知覚された空間性の依存を減少させることを可能にする必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この必要性は、独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項において、発明の好ましい実施形態が説明される。
【0008】
第一の局面に従って、空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法が提供される。空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して、空間的に一定であるとユーザーによって知覚される。入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカーによって出力されるフロントオーディオ信号チャネルと、リアラウドスピーカーによって出力されるリアオーディオ信号チャネルとを含む。発明に従って、第一のオーディオ信号出力チャネルがフロントオーディオ信号チャネルの結合に基づいて生成される。第二のオーディオ信号出力チャネルは、リア出力信号チャネルの結合に基づいて生成される。加えて、第一のオーディオ信号出力チャネルおよび第二のオーディオ信号出力チャネルを含む結合されたサウンド信号に対する音量および定位は、人の聴力の心理音響モデルに基づいて決定される。音量および定位は、フロントとリアラウドスピーカーとの間に配置された仮想ユーザーに対して決定される。仮想ユーザーは、フロントラウドスピーカーからの第一のオーディオ信号出力チャネルと、リアラウドスピーカーからの第二のオーディオ信号出力チャネルとを受け取る。仮想ユーザーは、規定された頭の位置を有する。規定された頭の位置において、仮想ユーザーの片耳は、フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられる。さらに、フロントおよびリアオーディオ信号チャネルは、決定された音量および定位に基づいて、第一および第二のオーディオ信号出力チャネルが規定された頭の位置を有する仮想ユーザーに出力された場合、仮想ユーザーによって知覚されたオーディオ信号は、空間的に一定であるような態様で適合される。フロントおよびリアオーディオ信号は、結合されたサウンド信号によって生成された、受け取られたサウンドの場所は全体の音圧レベルから独立した同じ場所において知覚されるという印象を仮想ユーザーが有するような態様で適合される。人の聴力の心理音響モデルは、音量の計算のための基礎として用いられ、結合されたサウンド信号の定位をシミュレーションするために用いられる。人の聴力の心理音響モデルに基づいた音量および定位の計算に対するさらなる詳細のために、Wolfgang HessらによるAudio Engineering Society Convention Paper 5864,115th Convention of October 2003,New Yorkの「Acoustical Evaluation of Virtual Rooms by Means of Binaural Activity Patterns」に参照がなされる。信号ソースの定位のために、Journal of Acoustic Society of America, December 1986,pages 1608〜1622,Volume 80(6)のW.Lindemann「Extension of a Binaural Cross−Correlation Model by Contra−lateral Inhibition, I. Simulation of Lateralization for stationary signals」にさらに参照がなされる。サウンドの定位の知覚は、主にサウンドの側方定位に依存する。つまり、ユーザーによって知覚されるサウンドの側方の置き換えである。規定された頭の位置を有する仮想ユーザーは、ユーザーが片耳を用いて、結合されたフロント信号オーディオチャネルと、他方の耳を用いて、結合されたリア信号オーディオチャネルとを受け取ることを可能にする。仮想ユーザーによって知覚されたサウンドが中心に配置された場合、良好な空間的釣合いが達成される。ユーザーによって知覚されたサウンドがリアとフロントラウドスピーカーとの間の中心に配置されなかった場合、サウンド信号レベルが変わると、フロントおよび/またはリアラウドスピーカーのオーディオ信号チャネルは、知覚されたオーディオ信号がフロントとリアラウドスピーカーとの間の中心にいる仮想ユーザーによって再び配置されるように適合され得る。
【0009】
仮想ユーザーを配置させる1つの可能性は、フロントラウドスピーカーに対面しており、頭を約90°振り向け、その結果、仮想ユーザーの片耳は、第一のオーディオ信号出力チャネルをフロントラウドスピーカーから受け取り、他方の耳は、第二のオーディオ信号出力チャネルをリアラウドスピーカーから受け取るユーザーを配置することである。次いで、両耳に対して受け取られたサウンド信号の受け取りにおける差異を考慮に入れて、受け取られたオーディオ信号の側方定位が決定される。次いで、フロントおよび/リアオーディオ信号サラウンドサウンドチャネルは、側方定位が実質的に一定なままであり、入力サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して中心であり続けるような態様で適合される。
【0010】
さらに、第一および第二のオーディオ出力チャネルが生成される前に、両耳室内インパルス応答(BRIR)をフロントおよびリアオーディオ信号チャネルの各々に適用することが可能である。フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの各々に対する両耳室内インパルス応答は、仮想ユーザーに対して決定され、仮想ユーザーは、規定された頭の位置を有し、オーディオ信号を対応するラウドスピーカーから受け取る。両耳室内インパルス応答を考慮に入れることによって、フロントとリアラウドスピーカーとからのオーディオ信号の間のロバスト区別がユーザーに対して可能である。両耳室内インパルス応答は、片耳がフロントラウドスピーカーに対面し、他方の耳がリアラウドスピーカーに対面するような態様で頭を回転させる規定された頭の位置を有するユーザーをシミュレーションするためにさらに用いられる。
【0011】
さらに、両耳室内インパルス応答は、第一および第二のオーディオ信号出力チャネルが生成される前に、フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの各々に適用され得る。信号処理のために用いられる両耳室内インパルス応答は、仮想ユーザーに対して決定され、仮想ユーザーは、規定された頭の位置を有し、オーディオ信号を対応するラウドスピーカーから受け取る。結果として、各ラウドスピーカーのために、1つは、規定された頭の位置を有する仮想ユーザーの左耳、1つは右耳に対して2つのBRIRが決定される。
【0012】
加えて、サラウンドサウンド信号を異なる周波数帯に分割することと、音量および定位を異なる周波数帯に対して決定することとが可能である。次いで、平均音量および平均定位が、異なる周波数帯の音量および定位に基づいて決定される。次いで、フロントおよびリアオーディオ信号チャネルが、決定された平均音量および平均定位に基づいて適合され得る。しかし、音量および定位を完全なオーディオ信号のためにオーディオ信号を異なる周波数帯に分割せずに決定することも可能である。
【0013】
仮想ユーザーのシミュレーションをさらに改善するために、平均両耳室内インパルス応答が、第一および第二の両耳室内インパルス応答を用いて決定され得る。第一の両耳室内インパルス応答は、前記規定された頭の位置に対して決定される。第二の両耳室内インパルス応答は、頭を約180°振り向けた、反対の頭の位置に対して決定される。次いで、2つの頭の位置に対する両耳室内インパルス応答が平均化され得ることによって、平均両耳室内インパルス応答を各サラウンドサウンド信号チャネルに対して決定する。次いで、決定された平均BRIRは、フロントおよびリアオーディオ信号チャネルが第一および第二のオーディオ信号チャネルに結合される前に、フロントおよびリアオーディオ信号チャネルに適用され得る。
【0014】
フロントおよびリアオーディオ信号チャネルを適合するために、フロントおよび/またはリアオーディオ信号チャネルの利得は、結合されたサウンド信号の側方定位がサラウンドサウンドの異なるサウンド信号レベルに対してさえも実質的に一定であるような態様で適合され得る。
【0015】
発明は、空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正するシステムにさらに関する。システムは、オーディオ信号コンバイナを含む。オーディオ信号コンバイナは、第一のオーディオ信号出力チャネルをフロントオーディオ信号チャネルに基づいて生成するように構成されており、第二のオーディオ信号出力チャネルをリアオーディオ信号チャネルに基づいて生成するように構成されている。オーディオ信号処理ユニットが提供され、第一および第二のオーディオ信号チャネルを含む結合されたサウンド信号に対する音量および定位を、人の聴力の心理音響モデルに基づいて決定するように構成されている。オーディオ信号処理ユニットは、規定された頭の位置を有する仮想ユーザーを用いて、音量および定位を決定する。利得適合ユニットは、フロントまたはリアオーディオ信号チャネルの利得もしくはフロントおよびリアオーディオ信号チャネルの利得を、仮想ユーザーによって知覚されたオーディオ信号が空間的に一定であると受け取られると上で説明した、決定された音量および定位に基づいて適合する。
【0016】
オーディオ信号処理ユニットは、上で言及した音量および定位を決定し、オーディオ信号コンバイナは、フロント信号オーディオチャネルおよびリア信号オーディオチャネルを結合して、上で述べた両耳室内インパルス応答を適用する。
【0017】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法であって、該空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、該サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して空間的に一定であるとユーザーによって知覚され、該入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)によって出力されるフロントオーディオ信号チャネル(10.1〜10.3)と、リアラウドスピーカー(200−4〜200−5)によって出力されるリアオーディオ信号チャネル(10.4、10.5)とを含み、
該方法は、
第一のオーディオ信号出力チャネル(14)を該フロント信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成する工程と、
第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を該リア信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成する工程と、
人の聴力の心理音響モデルに基づいて、結合されたサウンド信号に対する音量および定位を決定する工程であって、該結合されたサウンド信号は、該第一のオーディオ信号出力チャネル(14)および該第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を含み、該音量および該定位は、該フロントと該リアラウドスピーカー(200)との間に配置された仮想ユーザー(30)に対して決定され、該フロントと該リアラウドスピーカー(200)は、該フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)からの該第一のオーディオ信号チャネル(14)と、該リアラウドスピーカー(200−4、200−5)からの該第二のオーディオ信号チャネル(15)とを該仮想ユーザーの規定された頭の位置で受信し、該規定された頭の位置において、該仮想ユーザーの片耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方へ方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方へ方向付けられる、工程と、
該入力サラウンドサウンド信号(10.1〜10.5)の信号チャネルを該決定された音量および定位に基づいて、第一および第二のオーディオ信号出力チャネルが該規定された頭の位置を有する該仮想ユーザーに出力された場合、該オーディオ信号が空間的に一定であると該仮想ユーザーによって知覚されるような態様で適合する工程と
を含む、方法。
(項目2)
上記音量および上記定位は、上記フロントラウドスピーカーに対面している上記仮想ユーザー(30)がその頭を約90度振り向け、その結果、該仮想ユーザーの片耳が上記第一のオーディオ信号出力チャネル(14)を上記フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)から受け取り、他方の耳は、上記第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を上記リアラウドスピーカー(200−4、200−5)から受け取る状況をシミュレーションすることと、該受け取られたオーディオ信号の側方定位を該両耳に対して該受け取られたサウンド信号の受け取りにおける差異を考慮に入れて決定することとによって決定され、該フロントおよび/またはリアオーディオ信号チャネルは、該側方定位が上記入力サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して実質的に一定なままであるような態様で適合されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目3)
上記第一および上記第二のオーディオ信号チャネル(14、15)が生成される前に両耳室内インパルス応答を上記フロントおよびリアオーディオ信号出力チャネル(10.1〜10.5)の各々に対して適用する工程であって、該フロントおよびリアオーディオ信号チャネル(10.1〜10.5)の各々に対する該両耳室内インパルス応答は、上記仮想ユーザー(30)に対して決定され、該仮想ユーザー(30)は、上記規定された頭の位置を有し、オーディオ信号を対応するラウドスピーカーから受け取る、工程をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
上記音量および上記定位は、上記サラウンドサウンド信号の異なる周波数帯に対して決定され、平均音量および平均定位は、該異なる周波数帯の音量および定位に基づいて決定され、該サラウンドサウンド信号の上記フロントおよび上記リアオーディオ信号チャネルは、該決定された平均音量および平均定位に基づいて適合されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
第一の両耳室内インパルス応答は、上記規定された頭の位置に対して決定され、該規定された頭の位置において、上記仮想ユーザーの片耳は、上記フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられ、第二の両耳室内インパルス応答は、さらなる頭の位置に対して決定され、該さらなる頭の位置において、該仮想ユーザーの頭は、該規定された頭の位置に比較して180°振り向けられ、平均両耳室内インパルス応答は、該第一および第二の両耳室内インパルス応答に基づいて決定され、上記フロントおよびリアオーディオ信号チャネルに適用される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
両耳インパルス応答は、上記サラウンドサウンド信号(10.1〜10.5)の各信号チャネルおよび上記対応するラウドスピーカーに対して決定され、上記第一のオーディオ信号出力チャネル(14)は、上記対応する両耳室内インパルス応答が各フロントオーディオ信号チャネルに適用された後に該フロントオーディオ信号チャネルを結合することによって生成され、上記第二のオーディオ信号出力チャネル(15)は、該対応する両耳室内インパルス応答が各リアオーディオ信号チャネルに適用された後に該リアオーディオ信号チャネルを結合することによって生成される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
上記フロント信号オーディオチャネルの利得および/または上記リア信号オーディオチャネルの利得は、上記結合されたサウンド信号の側方定位が実質的に一定であるような態様で調節される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正するシステムであって、該空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、該サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して空間的に一定であるとユーザーによって知覚され、該入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)によって出力されるフロントオーディオ信号チャネル(10.1〜10.3)と、リアラウドスピーカーによって出力されるリア信号オーディオチャネルとを含み、
該システムは、
オーディオ信号コンバイナ(130)であって、該オーディオ信号コンバイナ(130)は、第一のオーディオ信号出力チャネル(14)を該フロントオーディオ信号チャネルの結合に基づいて生成するように構成されており、第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を該リア信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成するように構成されている、オーディオ信号コンバイナ(130)と、
オーディオ信号処理ユニット(140)であって、該オーディオ信号処理ユニット(140)は、人の聴力の心理音響モデルに基づいて、結合されたサウンド信号に対する音量および定位を決定するように構成されており、該結合されたサウンド信号は、該第一のオーディオ信号出力チャネル(14)および該第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を含み、該オーディオ信号処理ユニット(140)は、該音量および定位を該フロントと該リアラウドスピーカーとの間に配置された仮想ユーザー(30)を用いて決定し、該フロントと該リアラウドスピーカーは、該フロントラウドスピーカーからの該第一のオーディオ信号出力チャネルと、該リアラウドスピーカーからの該第二のオーディオ信号チャネルとを受け取り、該仮想ユーザーは、規定された頭の位置を有し、該規定された頭の位置において、該仮想ユーザーの片耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられる、オーディオ信号処理ユニット(140)と、
利得適合ユニット(110、120)であって、該利得適合ユニット(110、120)は、該入力サラウンドサウンドの該フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの利得を該決定された音量および定位に基づいて、該第一および第二のオーディオ信号チャネル(14、15)が該規定された頭の位置を有する該仮想ユーザーに出力された場合、該オーディオ信号は、空間的に一定であると該仮想ユーザーによって知覚されるような態様で適合する、利得適合ユニット(110、120)と
を含む、システム。
(項目9)
上記オーディオ信号処理ユニット(140)は、上記音量および上記定位を、上記フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)に対面している上記仮想ユーザーがその頭を約90度振り向け、その結果、該仮想ユーザーの片耳は、上記第一のオーディオ信号出力チャネルを該フロントラウドスピーカーから受け取り、他方の耳は、上記第二のオーディオ信号出力チャネルを上記リアラウドスピーカーから受け取る状況をシミュレーションすることと、該受け取られたオーディオ信号の側方定位を、該両耳に対して該受け取られたサウンド信号の受け取りにおける差異を考慮に入れて決定することとによって決定するように構成されており、上記利得適合ユニットは、該フロントおよび/リアオーディオ信号チャネルを、該側方定位が上記入力サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して実質的に一定なままであるような態様で適合する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
上記オーディオ信号コンバイナ(130)は、両耳室内インパルス応答を上記フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの各々に、上記第一および上記第二のオーディオ信号出力チャネルを生成する前に適用するように構成されており、該フロントおよびリア信号チャネルの各々に対する該両耳室内インパルス応答は、上記仮想ユーザーに対して決定され、該仮想ユーザーは、上記規定された頭の位置を有し、オーディオ信号を対応するラウドスピーカーから受け取る、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目11)
上記オーディオ信号コンバイナ(130)は、各ラウドスピーカーに対して決定された両耳室内インパルス応答を用い、上記対応する両耳室内インパルス応答を各フロントオーディオ信号チャネルに適用した後に該フロントオーディオ信号チャネルを上記第一のオーディオ信号出力チャネル(14)に結合するように構成されており、上記リアオーディオ信号チャネルを結合するように構成されていることによって、該対応する両耳室内インパルス応答を各リアオーディオ信号チャネルに適用した後に上記第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を生成する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
上記オーディオ信号処理ユニット(140)は、上記サラウンドサウンド信号を複数の周波数帯に分割することと、上記音量および定位を該異なる周波数帯に対して決定することとを行うように構成されており、該オーディオ信号処理ユニットは、平均音量および平均定位を該異なる周波数帯の音量および定位に基づいて決定し、上記利得適合ユニットは、上記フロントおよびリアオーディオ信号チャネルを該決定された平均音量および平均定位に基づいて適合する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
上記オーディオ信号コンバイナ(130)は、第一および第二の両耳インパルス応答に基づいて決定された平均両耳インパルス応答を用い、該第一の両耳インパルス応答は、上記規定された頭の位置に対して決定され、該規定された頭の位置において、上記仮想ユーザーの片耳は、上記フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられ、該第二の両耳インパルス応答は、さらなる頭の位置に対して決定され、該さらなる頭の位置において、該仮想ユーザーの頭は、該規定された頭の位置に比較して180°振り向けられ、上記オーディオ信号処理ユニットは、上記第一のオーディオ信号チャネルが結合され、上記第一のオーディオ信号を形成し、上記リアオーディオ信号チャネルが結合され、上記第二のオーディオ信号を形成する前に、上記オーディオ信号チャネルの各々に対して、上記対応する平均両耳インパルス応答を上記対応するオーディオ信号チャネルに適用する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
【0018】
(摘要)
発明は、空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法に関する。空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して空間的に一定であるとユーザーによって知覚される。入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)によって出力されるフロントオーディオ信号チャネル(10.1〜10.3)と、リアラウドスピーカーによって出力されるリアオーディオ信号チャネル(10.4、10.5)とを含む。
【0019】
方法は、
第一のオーディオ信号出力チャネル(14)をフロント信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成する工程と、
第二のオーディオ信号出力チャネル(15)をリア信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成する工程と、
人の聴力の心理音響モデルに基づいて、結合されたサウンド信号に対して音量および定位を決定する工程であって、結合されたサウンド信号は、第一のオーディオ信号出力チャネル(14)および第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を含み、音量および定位は、フロントとリアラウドスピーカー(200)との間に配置された仮想ユーザー(30)に対して決定され、仮想ユーザー(30)は、規定された仮想ユーザーの頭の位置によってフロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)からの第一の信号(14)と、リアラウドスピーカー(200−4、200−5)からの第二のオーディオ信号(15)とを受け取り、規定された頭の位置において、仮想ユーザーの片耳はフロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳はフロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられる、工程と、
フロントおよび/またはリアオーディオ信号チャネル(10.1〜10.5)を、決定された音量および定位に基づいて、第一および第二のオーディオ信号出力チャネルが、規定された頭の位置を有する仮想ユーザーに出力された場合、オーディオ信号は空間的に一定であると仮想ユーザーによって知覚されるような態様で適合する工程と
を含む。
【0020】
発明は、添付の図面を参照してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、サラウンドサウンド信号の利得を適合するシステムの概略図を示す。
【図2】図2は、結合されたサウンド信号の決定された側方定位を概略的に示す。
【図3】図3は、異なる両耳室内インパルス応答の決定を説明する概略図を示す。
【図4】図4は、空間的に平衡化されたサウンド信号を出力することを可能にするオーディオ信号処理工程を含むフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
図1は、マルチチャネルオーディオ信号が異なる全体の音圧レベルで出力されることを可能にし、一定の空間的釣合いを維持する概略図を示す。
【0023】
図1において示される実施形態において、オーディオサウンド信号は、5.1サウンド信号であるが、7.1サウンド信号でもあり得る。オーディオサウンド信号の異なるチャネル10.1〜10.5は、デジタルシグナルプロセッサまたはDSP100に送信される。サウンド信号は、サラウンドサウンドシステムの異なるラウドスピーカー200に専用の異なるオーディオ信号チャネルを含む。示される実施形態において、1つのラウドスピーカー(サウンド信号がこのラウドスピーカーを介して出力される)のみが示される。しかし、各サラウンドサウンド入力信号チャネル10.1〜10.5に対して、ラウドスピーカーが提供され、このラウドスピーカーを通して、サラウンドサウンド信号の対応する信号チャネルが出力されることを理解されたい。5.1オーディオシステムにおいて、3つのオーディオチャネル(示される実施形態において、チャネル10.1〜10.3)は、図3において示されるフロントラウドスピーカーに方向付けられている。サラウンドサウンド信号のうちの1つは、フロントレフトラウドスピーカー200−1によって出力され、他のフロントオーディオ信号チャネルは、センターラウドスピーカー200−2によって出力され、第三のフロントオーディオ信号チャネルは、ライト200−3のフロントラウドスピーカーによって出力される。2つのリアオーディオ信号チャネル10.4および10.5は、レフトリアラウドスピーカー200−4およびライトリアラウドスピーカー200−5によって出力される。
【0024】
図1を参照し直すと、サラウンドサウンド信号チャネルは、利得適合ユニット110および120に送信される。利得適合ユニット110および120は、後にさらに詳細に説明され、空間的に一定で、焦点の合ったオーディオ信号知覚を得るために、サラウンドサウンド信号の利得を適合する。さらに、オーディオ信号コンバイナ130が提供される。信号コンバイナ130において、仮想ユーザーに対する方向情報がオーディオ信号チャネルに重ねられる。オーディオ信号コンバイナ130において、両耳室内インパルス応答が各信号チャネルに対して決定され、対応するラウドスピーカーがサラウンドサウンド信号の対応するオーディオ信号チャネルに適用される。
【0025】
図3に関連して、規定された頭の位置を有する仮想ユーザー30が信号を異なるラウドスピーカーから受け取るという状況が示される。図3において示されるラウドスピーカーの各々に対して、信号は、例えば、乗り物の中または他の場所(例えば、劇場の中)といった本発明が適用されるべき室内において放出され、両耳室内インパルス応答が各サラウンドサウンド信号チャネルおよび各ラウドスピーカーに対して決定される。例として、フロントレフトラウドスピーカー専用であるフロントオーディオ信号チャネルに対して、信号は、室内を通り伝搬し、ユーザー30の両耳によって検知される。インパルスオーディオ信号に対する検知されたインパルス応答は、左耳および右耳に対する両耳室内インパルス応答であり、その結果、2つのBRIRが各ラウドスピーカー(ここでは、BRIR1およびBRIR2)に対して決定される。加えて、他のラウドスピーカー200−2〜200−5に対するBRIRは、ユーザーの片耳がフロントラウドスピーカーに対面し、他方の耳がリアラウドスピーカーに対面して示される頭の位置を有する仮想ユーザーを用いて決定される。各オーディオ信号チャネルに対するこれらのBRIRおよび対応するラウドスピーカーは、例えば、マイクロフォンを耳に装着したダミーの頭を用いて決定され得る。次いで、決定されたBRIRは、図1において示される信号コンバイナ130に格納され得、ここで、各オーディオ信号チャネルに対する2つのBRIRは、利得適合ユニット110および120から受信された対応するオーディオ信号チャネルに適用される。示される実施形態において、オーディオ信号は、5つのサラウンドサウンド信号チャネルを有するので、5対のBRIRが対応するユニット131−1〜131−5において用いられる。さらに、図3において示される頭の位置(90°頭の回転)に対してBRIRを測定することと、反対の方向を見ているユーザー(270°)に対してBRIRを測定することとによって、平均BRIRが決定され得る。90°および270°に対するBRIRに基づいて、平均BRIRが各耳に対して決定され得る。
【0026】
図3において示される状況で得られたBRIRを適用することによって、ユーザーが頭を1つの側面に向けたかのように、状況がシミュレーションされる。ユニット131−1〜131−5におけるBRIRを適用した後で、異なるサラウンドサウンド信号チャネルは、各サラウンドサウンド信号チャネルに対する利得適合ユニット132−1、132−5によって適合される。フロントチャネルオーディオ信号が加算器133に加えられることによって、第一のオーディオ信号出力チャネル14に結合されるような態様で、BRIRが適用されたサウンド信号が次いで結合される。次いで、リアラウドスピーカーに対するサラウンドサウンド信号チャネルは、加算器134に加えられることによって第二のオーディオ信号出力チャネル15を生成する。
【0027】
次いで、第一のオーディオ信号出力チャネル14および第二のオーディオ信号出力チャネル15は、結合されたサウンド信号を構築する。結合されたサウンド信号は、オーディオ信号処理ユニット140によって用いられ、結合されたオーディオ信号の音量および定位を人の聴力の心理音響モデルに基づいて決定する。信号の音量および定位がオーディオ信号コンバイナからどのように受け取られるか、というさらなる詳細は、W.Hess:「Time Variant Binaural Activity Characteristics as Indicator of Auditory Spatial Attributes」において説明される。図1において示される構成要素は、ハードウェアまたはソフトウェアならびにハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによって組み込まれ得る。
【0028】
決定された音量および定位に基づいて、図3において示される位置の仮想ユーザーによって知覚されたサウンド信号の側方定位を推定することが可能である。そのような計算された側方定位の例は、図2において示される。例は、信号ピークが中心(0°)のユーザーによって知覚されるか否か、もしくは右側または左側のどちらからより生じていると知覚されるかを示す。図3において示されるユーザーに適用すると、このことは、サウンド信号が右側からより生じていると知覚された場合、フロントラウドスピーカー200−1〜200−3は、リアラウドスピーカーより高いサウンド信号レベルを出力していると思われるということを意味する。信号が左側から生じていると知覚された場合、リアラウドスピーカー200−4および200−5は、フロントラウドスピーカーと比較して、より高いサウンド信号レベルを出力していると思われる。信号ピークが約0°で定位された場合、サラウンドサウンド信号は、空間的に平衡化される。
【0029】
オーディオ信号処理ユニット140によって決定された側方定位は、利得適合ユニット110および/または利得適合ユニット120にフィードされる。次いで、入力サラウンドサウンド信号の利得は、側方定位が図2に示されるような中心に動かされるような態様で適合される。このために、フロントオーディオ信号チャネルの利得またはリアオーディオ信号チャネルの利得の一方が適合され得る。別の実施形態において、フロントオーディオ信号チャネルまたはリアオーディオ信号チャネルの一方における利得が増やされ得、一方で、フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの他方において減らされる。連続したブロックに分割されるオーディオ信号が適合されるように、利得適合は行われ得る。連続したブロックに分割されるオーディオ信号は、各ブロックの利得が信号レベルを増やすか、または信号レベルを減らすように適合され得るような態様で適合される。2つの連続するブロック間で下降する音量または増える音量を説明する上昇時間定数または下降時間定数を用いて、信号レベルを増やすまたは減らす1つの可能性は、出願番号第EP 10 156 409.4号を有する欧州特許出願において説明される。
【0030】
図1において示されるオーディオ処理工程に対して、サラウンドサウンド入力信号は、異なるスペクトル成分に分割され得る。図1において示される処理工程は、各スペクトル帯に対して行なわれ得、最終的には、平均側方定位が、異なる周波数帯に対して決定された側方定位に基づいて決定され得る。
【0031】
さまざまな信号圧力を有する入力サラウンド信号が受信された場合、利得は、利得適合ユニット110または120によって、平衡化された空間性が得られるような態様で適合され得、側方定位が図2において示される中心において一定なままであることを意味する。したがって、受信された信号圧力レベルから独立して、一定な知覚されたオーディオ信号の空間的釣合いとなる。
【0032】
この空間的に釣合いのとれたオーディオ信号を得るために行われる方法は、図4において要約される。方法は、工程S1および工程S2において始まり、手より下で決定された両耳室内インパルス応答が、対応するサラウンドサウンド信号チャネルに適用される。工程S3において、BRIRの適用の後、フロントオーディオ信号チャネルが結合され、加算器133を用いて第一のオーディオ信号チャネル14を生成する。工程S4において、リアオーディオ信号チャネルが結合され、加算器134を用いて第二のオーディオ信号チャネル15を生成する。信号14および15に基づいて、音量および定位が工程S5において決定される。次いで、工程S6において、サウンドがセンターで知覚されるか否かが決定される。知覚されない場合、サラウンドサウンド信号入力チャネルの利得は、工程S7において適合され、工程S2〜S5が繰り返される。工程S6において、サウンドがセンターにあることが決定された場合、サウンドは、工程S8において出力され、方法は、工程S9において終了する。
【0033】
以下で、人の聴力の心理音響モデルに基づいた音量および定位の計算がより詳細に説明される。人の聴力の心理音響モデルは、耳の生理学的モデルを用い、サウンドソースから放出され、人によって検知されるサウンド信号に対する信号処理をシミュレーションする。この文脈において、室内、外耳および内耳を通るサウンド信号の信号経路がシミュレーションされる。信号経路は、信号処理を用いてシミュレーションされ得る。この文脈において、空間的に一定の距離を置かれて設計された2つのマイクロフォンを用いることが可能であり、結果として生理学的モデルによって処理される2つのオーディオチャネルとなる。2つのマイクロフォンが、外耳の複製を有するダミーの頭の右耳および左耳に位置決めされた場合、マイクロフォンによって受信された信号は、ダミーの頭の外耳を通過してしまっているので、外耳のシミュレーションは省略され得る。この文脈において、例えば、両耳活性パターンBAP、両耳間時間差ITDおよび両耳間レベル差ILDといった、対象となる多数の心理音響現象を予測し得るために十分正確な聴覚経路をシミュレーションすれば十分である。上の値に基づいて、両耳活性パターンが計算され得る。次いで、パターンは、位置情報、時間遅延およびサウンドレベルを決定するために用いられ得る。音量は、計算された信号レベルまたは強度に基づいて決定され得る。どのように音量が計算されるのか、および信号は、人の聴力の心理音響モデルを用いてどのように定位されるのかのさらなる詳細のために、第EP 1 522 868 A1号に対しても参照がなされ、これは、本願に全体が援用される。
【0034】
発明は、信号圧力レベルが変わった場合でも、空間的に一定であるとユーザーによって知覚される空間的に平衡化されたサウンド信号を生成することを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正する方法であって、該空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、該サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して空間的に一定であるとユーザーによって知覚され、該入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)によって出力されるフロントオーディオ信号チャネル(10.1〜10.3)と、リアラウドスピーカー(200−4〜200−5)によって出力されるリアオーディオ信号チャネル(10.4、10.5)とを含み、
該方法は、
第一のオーディオ信号出力チャネル(14)を該フロント信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成する工程と、
第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を該リア信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成する工程と、
人の聴力の心理音響モデルに基づいて、結合されたサウンド信号に対する音量および定位を決定する工程であって、該結合されたサウンド信号は、該第一のオーディオ信号出力チャネル(14)および該第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を含み、該音量および該定位は、該フロントと該リアラウドスピーカー(200)との間に配置された仮想ユーザー(30)に対して決定され、該フロントと該リアラウドスピーカー(200)は、該フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)からの該第一のオーディオ信号チャネル(14)と、該リアラウドスピーカー(200−4、200−5)からの該第二のオーディオ信号チャネル(15)とを該仮想ユーザーの規定された頭の位置で受信し、該規定された頭の位置において、該仮想ユーザーの片耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方へ方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方へ方向付けられる、工程と、
該入力サラウンドサウンド信号(10.1〜10.5)の信号チャネルを該決定された音量および定位に基づいて、第一および第二のオーディオ信号出力チャネルが該規定された頭の位置を有する該仮想ユーザーに出力された場合、該オーディオ信号が空間的に一定であると該仮想ユーザーによって知覚されるような態様で適合する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記音量および前記定位は、前記フロントラウドスピーカーに対面している前記仮想ユーザー(30)がその頭を約90度振り向け、その結果、該仮想ユーザーの片耳が前記第一のオーディオ信号出力チャネル(14)を前記フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)から受け取り、他方の耳は、前記第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を前記リアラウドスピーカー(200−4、200−5)から受け取る状況をシミュレーションすることと、該受け取られたオーディオ信号の側方定位を該両耳に対して該受け取られたサウンド信号の受け取りにおける差異を考慮に入れて決定することとによって決定され、該フロントおよび/またはリアオーディオ信号チャネルは、該側方定位が前記入力サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して実質的に一定なままであるような態様で適合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一および前記第二のオーディオ信号チャネル(14、15)が生成される前に両耳室内インパルス応答を前記フロントおよびリアオーディオ信号出力チャネル(10.1〜10.5)の各々に対して適用する工程であって、該フロントおよびリアオーディオ信号チャネル(10.1〜10.5)の各々に対する該両耳室内インパルス応答は、前記仮想ユーザー(30)に対して決定され、該仮想ユーザー(30)は、前記規定された頭の位置を有し、オーディオ信号を対応するラウドスピーカーから受け取る、工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記音量および前記定位は、前記サラウンドサウンド信号の異なる周波数帯に対して決定され、平均音量および平均定位は、該異なる周波数帯の音量および定位に基づいて決定され、該サラウンドサウンド信号の前記フロントおよび前記リアオーディオ信号チャネルは、該決定された平均音量および平均定位に基づいて適合されている、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第一の両耳室内インパルス応答は、前記規定された頭の位置に対して決定され、該規定された頭の位置において、前記仮想ユーザーの片耳は、前記フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられ、第二の両耳室内インパルス応答は、さらなる頭の位置に対して決定され、該さらなる頭の位置において、該仮想ユーザーの頭は、該規定された頭の位置に比較して180°振り向けられ、平均両耳室内インパルス応答は、該第一および第二の両耳室内インパルス応答に基づいて決定され、前記フロントおよびリアオーディオ信号チャネルに適用される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
両耳インパルス応答は、前記サラウンドサウンド信号(10.1〜10.5)の各信号チャネルおよび前記対応するラウドスピーカーに対して決定され、前記第一のオーディオ信号出力チャネル(14)は、前記対応する両耳室内インパルス応答が各フロントオーディオ信号チャネルに適用された後に該フロントオーディオ信号チャネルを結合することによって生成され、前記第二のオーディオ信号出力チャネル(15)は、該対応する両耳室内インパルス応答が各リアオーディオ信号チャネルに適用された後に該リアオーディオ信号チャネルを結合することによって生成される、請求項3〜5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記フロント信号オーディオチャネルの利得および/または前記リア信号オーディオチャネルの利得は、前記結合されたサウンド信号の側方定位が実質的に一定であるような態様で調節される、請求項1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号を生成するために、入力サラウンドサウンド信号を修正するシステムであって、該空間的に平衡化された出力サラウンドサウンド信号は、該サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して空間的に一定であるとユーザーによって知覚され、該入力サラウンドサウンド信号は、フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)によって出力されるフロントオーディオ信号チャネル(10.1〜10.3)と、リアラウドスピーカーによって出力されるリア信号オーディオチャネルとを含み、
該システムは、
オーディオ信号コンバイナ(130)であって、該オーディオ信号コンバイナ(130)は、第一のオーディオ信号出力チャネル(14)を該フロントオーディオ信号チャネルの結合に基づいて生成するように構成されており、第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を該リア信号オーディオチャネルの結合に基づいて生成するように構成されている、オーディオ信号コンバイナ(130)と、
オーディオ信号処理ユニット(140)であって、該オーディオ信号処理ユニット(140)は、人の聴力の心理音響モデルに基づいて、結合されたサウンド信号に対する音量および定位を決定するように構成されており、該結合されたサウンド信号は、該第一のオーディオ信号出力チャネル(14)および該第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を含み、該オーディオ信号処理ユニット(140)は、該音量および定位を該フロントと該リアラウドスピーカーとの間に配置された仮想ユーザー(30)を用いて決定し、該フロントと該リアラウドスピーカーは、該フロントラウドスピーカーからの該第一のオーディオ信号出力チャネルと、該リアラウドスピーカーからの該第二のオーディオ信号チャネルとを受け取り、該仮想ユーザーは、規定された頭の位置を有し、該規定された頭の位置において、該仮想ユーザーの片耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられる、オーディオ信号処理ユニット(140)と、
利得適合ユニット(110、120)であって、該利得適合ユニット(110、120)は、該入力サラウンドサウンドの該フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの利得を該決定された音量および定位に基づいて、該第一および第二のオーディオ信号チャネル(14、15)が該規定された頭の位置を有する該仮想ユーザーに出力された場合、該オーディオ信号は、空間的に一定であると該仮想ユーザーによって知覚されるような態様で適合する、利得適合ユニット(110、120)と
を含む、システム。
【請求項9】
前記オーディオ信号処理ユニット(140)は、前記音量および前記定位を、前記フロントラウドスピーカー(200−1〜200−3)に対面している前記仮想ユーザーがその頭を約90度振り向け、その結果、該仮想ユーザーの片耳は、前記第一のオーディオ信号出力チャネルを該フロントラウドスピーカーから受け取り、他方の耳は、前記第二のオーディオ信号出力チャネルを前記リアラウドスピーカーから受け取る状況をシミュレーションすることと、該受け取られたオーディオ信号の側方定位を、該両耳に対して該受け取られたサウンド信号の受け取りにおける差異を考慮に入れて決定することとによって決定するように構成されており、前記利得適合ユニットは、該フロントおよび/リアオーディオ信号チャネルを、該側方定位が前記入力サラウンドサウンド信号の異なる音圧に対して実質的に一定なままであるような態様で適合する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記オーディオ信号コンバイナ(130)は、両耳室内インパルス応答を前記フロントおよびリアオーディオ信号チャネルの各々に、前記第一および前記第二のオーディオ信号出力チャネルを生成する前に適用するように構成されており、該フロントおよびリア信号チャネルの各々に対する該両耳室内インパルス応答は、前記仮想ユーザーに対して決定され、該仮想ユーザーは、前記規定された頭の位置を有し、オーディオ信号を対応するラウドスピーカーから受け取る、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記オーディオ信号コンバイナ(130)は、各ラウドスピーカーに対して決定された両耳室内インパルス応答を用い、前記対応する両耳室内インパルス応答を各フロントオーディオ信号チャネルに適用した後に該フロントオーディオ信号チャネルを前記第一のオーディオ信号出力チャネル(14)に結合するように構成されており、前記リアオーディオ信号チャネルを結合するように構成されていることによって、該対応する両耳室内インパルス応答を各リアオーディオ信号チャネルに適用した後に前記第二のオーディオ信号出力チャネル(15)を生成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記オーディオ信号処理ユニット(140)は、前記サラウンドサウンド信号を複数の周波数帯に分割することと、前記音量および定位を該異なる周波数帯に対して決定することとを行うように構成されており、該オーディオ信号処理ユニットは、平均音量および平均定位を該異なる周波数帯の音量および定位に基づいて決定し、前記利得適合ユニットは、前記フロントおよびリアオーディオ信号チャネルを該決定された平均音量および平均定位に基づいて適合する、請求項8〜11のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記オーディオ信号コンバイナ(130)は、第一および第二の両耳インパルス応答に基づいて決定された平均両耳インパルス応答を用い、該第一の両耳インパルス応答は、前記規定された頭の位置に対して決定され、該規定された頭の位置において、前記仮想ユーザーの片耳は、前記フロントまたはリアラウドスピーカーのうちの1つの方に方向付けられ、他方の耳は、該フロントまたはリアラウドスピーカーの他方の方に方向付けられ、該第二の両耳インパルス応答は、さらなる頭の位置に対して決定され、該さらなる頭の位置において、該仮想ユーザーの頭は、該規定された頭の位置に比較して180°振り向けられ、前記オーディオ信号処理ユニットは、前記第一のオーディオ信号チャネルが結合され、前記第一のオーディオ信号を形成し、前記リアオーディオ信号チャネルが結合され、前記第二のオーディオ信号を形成する前に、前記オーディオ信号チャネルの各々に対して、前記対応する平均両耳インパルス応答を前記対応するオーディオ信号チャネルに適用する、請求項8〜12のうちのいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205302(P2012−205302A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41613(P2012−41613)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】