説明

穿刺装置とこれを用いた血液検査装置

【課題】長期間の使用により吸引性能が劣化することがあった。
【解決手段】筐体22と、この筐体22の端に設けられた穿刺部25と、この穿刺部25に対向して設けられたレーザユニット26と、穿刺部25に設けられた負圧室28a、28bと、この負圧室28a、28bに負圧路20を介して連結された負圧手段28とを備え、負圧路20の途中に負圧路20の径より大きな径を有する負圧管部20aが設けられたものである。これにより、所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺装置とこれを用いた血液検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の穿刺装置について血液検査装置を用いて説明する。図18は、従来の血液検査装置1の透視配置である。
【0003】
図18において、従来の血液検査装置1は、筐体2と、この筐体2の端に設けられた血液センサ(以下センサという)3を挟む穿刺部4と、この穿刺部4に対向して設けられたレーザユニット(穿刺手段の一例)5と、穿刺部4内に設けられた負圧室4a(図19参照)と、この負圧室4aに負圧路6を介して連結された負圧手段7と、センサ3が積層収納されるとともに穿刺部4へセンサ3を搬送するカートリッジ8と、センサ3とレーザユニット5と負圧手段7に接続された電気回路部11と、これ等に電源を供給する電池12とで構成されていた。
【0004】
以上のように構成された血液検査装置1の動作について、図18及び図19を参照し以下説明する。先ず、指9(皮膚9a)を穿刺部4に当接させる。そして、負圧ボタン7aを押下する。
【0005】
負圧ボタン7aを押下すると負圧手段7が動作し、負圧室4a内に負圧が加えられる。負圧室4aに負圧が加えられると、図19に示すように、指9の皮膚9aが盛り上がってくる。皮膚9aが十分盛り上がった時点で穿刺ボタン5a(図18参照)を押下する。穿刺ボタン5aを押下するとレーザユニット5からはレーザ光5bが発射され、皮膚9aを穿刺する。穿刺された皮膚9aからは血液10が滲出する。
【0006】
滲出した血液10は、センサ3内に取り込まれる。そして、このセンサ3内に載置された試薬と化学反応する。化学反応する血液成分は試薬により決定され、血糖値、乳酸値やコレステロール等である。科学反応の結果は電気回路11により血糖値等の値が算出される。そして、計算された値は表示部(図示せず)に表示される。
【0007】
ここで、血液10が充分量採取されるまでは、穿刺部4から指9(皮膚9a)を離さないことが、効率よく血液10を採取するために重要なことである。
【0008】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2001−309905号公報
【特許文献2】特表2003−524496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながらこのような従来の血液検査装置1では、血液10の採取中に指9を穿刺部4から離すと、穿刺部4内のゴミや血液10が負圧路6を介して負圧手段7に達し、負圧手段7を故障させてしまうという問題があった。
【0010】
この様子をいま少し詳細に説明する。血液10の採取時において、充分な血液10を採取する前に指9を穿刺部4から離してしまうことも考えられる。指9を穿刺部4から離すと負圧室4aの気密性が失われて外気が流入するので、負圧室4a内の負圧が一気に負圧路6へ吸い込まれることになる。このとき、負圧室4a内にゴミや血液10等があると、このゴミや血液10等も負圧路6を介して負圧手段7へ吸い込まれてしまうことになる。この吸い込まれたゴミや血液10は負圧手段7を構成する負圧ポンプや弁を汚してしまう。負圧ポンプや弁が汚れると負圧手段7としての充分な性能が得られなくなる。即ち、負圧手段7の吸引能力が低下してしまうという問題があった。
【0011】
また、血液などの付着は、衛生面・安全面でも問題である。
【0012】
なお、吸引能力の低下を防止する方法として、負圧路6の入口にフィルタを装着して、負圧路6に入るゴミや血液10を取り除くことも考えられるが、フィルタを装着すると負圧損失が増加するので、これを補うためには負圧手段7を大型化しなければならない。
【0013】
本発明は、このような問題を解決したもので、吸引能力の低下を防止する穿刺装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明の穿刺装置は、負圧路の途中に前記負圧路の径より大きな径を有する負圧管部(拡大管部)が設けられたものである。これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明の穿刺装置は、負圧路の途中に前記負圧路の径より大きな径を有する負圧管部が設けられたものであり、この負圧管部により吸引流速が急に遅くなる。吸引流速が遅くなると、そこで負圧路に吸引されたゴミや血液等がこの負圧管部に溜まることになる。このように、負圧路に負圧管部を設けることにより、この負圧管部でゴミや血液等が除去されて、ゴミや血液の負圧手段への侵入が防止される。従って、負圧手段の吸引能力が低下することはない。
【0016】
また、負圧路の入口にフィルタを設ける必要はないので、フィルタによる負圧損失を補うべく負圧手段を大型化する必要もない。従って、消費電力が少なくなるとともに小型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態における血液検査装置21の透視配置図である。図1において、22は樹脂で形成されるとともに略直方体形状をした筐体であり、この筐体22は本体部22aと、この本体部22aと支点22cで回動自在に設けられた蓋部22bとで構成されている。この蓋部22bの開閉は開閉センサ22d(図示せず)で検知される。
【0018】
本体部22a内には、血液センサ(以下センサという)23(図6,7,8参照)が積層収納されるカートリッジ24と、このカートリッジ24の下方に設けられたセンサ出口24aと、このセンサ出口24aに連結されるとともに本体部22aの一方の辺の角に設けられた穿刺部25と、この穿刺部25に対向して設けられたレーザユニット26(穿刺手段の一例として用いた)と、このレーザユニット26と、本体部22aの他方の辺22eとの間に設けられるとともに、レーザユニット26と接続された電気回路部27と、この電気回路部27に接続されるとともに穿刺部25に形成された負圧室28a、28b(図2、4参照)に負圧を加える負圧手段28と、前記カートリッジ24内に収納された一番下のセンサ23を穿刺部25へ搬送する搬送手段30(図示せず)と、これらに電源を供給する電池29とで構成されている。また、筐体22の他方の辺22eには穿刺ボタン26jが設けられている。
【0019】
穿刺部25は、上ホルダ25aと下ホルダ25bとで構成されており、センサ出口24aに連結して一直線上に設けられている。上ホルダ25aは本体部22aに固定されており、下ホルダ25bは板バネ25cで上ホルダ25a側へ付勢されている。そして、搬送手段30で搬送されたセンサ23は、上ホルダ25aと下ホルダ25bとの間に挿入されて狭持される。
【0020】
上ホルダ25a内に形成された負圧室28a(図2参照)と負圧手段28との間は、負圧路20で連結されており、この負圧路20の途中には負圧路20の径より径が大きい第1の負圧管部20aが設けられている。
【0021】
なお、本実施の形態においては、穿刺手段としてレーザユニット26を用いたが、こればレーザユニット26に限ることはなく、穿刺針を用いた針穿刺ユニットを用いても良い。この場合、電池29の消耗は少なくなる。
【0022】
図1は、蓋部22bが開かれた状態を示している。蓋部22bは本体部22aに対して2段階の開角で停止可能に設けられている。2段階の開角による停止位置は、開角約30度で停止する第1段階の停止位置と、開角約90度で停止する第2段階の停止位置との2つの停止位置である。
【0023】
蓋部22bを開放すると、センサ出口24aが開き、カートリッジ24内の一番下のセンサ23が搬送手段30により、上ホルダ25aと下ホルダ25bとの間にセットされる。このとき、上ホルダ25aとセンサ23と下ホルダ25bは密着する。
【0024】
この血液検査装置21は、皮膚9a(図11参照)に穿刺部25を当接させて穿刺ボタン26jを押下することにより、レーザユニット26からはレーザ光26hが発射して皮膚9aを穿刺するものである。このとき蓋部22bは、開角約30度の第1段階の停止位置としておくことにより、レーザ光26hが外部へ洩れることはなく安全である。また、カートリッジ24の交換においては、蓋部22bを開角約90度の第2段階の停止位置とすることにより容易にカートリッジ24の挿抜を行うことができる。更に、蓋部22bを閉じておくことにより、血液検査装置21の不使用時において、誤って穿刺ボタン26jを押下したとしてもレーザ光26hが外部へ発射されることはなく安全である。
【0025】
以下、本実施の形態1における各部の詳細を説明する。図2は、穿刺部25を構成する上ホルダ25aの側面図であり、図3はそれを下面25e側から見た斜視図である。この上ホルダ25aには、上面25fから下面25eへ貫通する負圧室28aが設けられている。上ホルダ25aのレーザユニット26に対向する上面25fの一方には、レーザ光26hを透過するフィルム25gが交換自在に装着されている。また、この負圧室28aの上面25fの他方には負圧路20が連結する孔28gが形成されている。
【0026】
負圧室28aはレーザユニット26のレーザ光発射部に対向して設けられており、レーザ光26hが貫通する。なお、穿刺針を用いた針穿刺ユニットにおいては、この負圧室28aを穿刺針が貫通する。また、フィルム25gは装着しなくても良い。
【0027】
センサ23が穿刺部25内に装填された場合、センサ23に設けられた貯留部34(図6,7,8参照)に対応するように負圧室28aが配置される。また、この負圧室28aの他方25h側はセンサ23に形成された空気孔38に対応している。これは、センサ23に形成された供給路35の毛細管現象の効果を確実にするためである。また、この負圧室28aはセンサ23を介してホルダ25bに形成された負圧室28bに連結して負圧を供給する。
【0028】
25jは、開口部25dと負圧室28aとの間に設けられた突起であり、センサ23に設けられた位置決め孔36と嵌合して、センサ23の進行方向の位置決めをするものである。この突起25jは負圧室28a方向に向かって狭まった台形をしている。また、開口部25d方向から負圧室28aに向かって徐々に厚くなっている。従って、センサ23は容易に挿入されて固定される。
【0029】
25kは、上ホルダ25aの両横に夫々設けられた位置決め用の凸部であり、レーザ光26h通過路の真横位置に設けられている。この凸部25kはセンサ23の横方向の位置決めをするものである。また、49はコネクタであり、開口部25dの反対側に設けられている。このコネクタ49はセンサ23の接続電極41a〜45a、識別電極47aと接続されるものであり、電気回路部27に接続される。なお、突起25j、凸部25kは下ホルダ25b側に設けても良い。
【0030】
図4は、下ホルダ25bの断面図であり、舌片25pは上ホルダ25aと協働して開口部25dを形成している。下ホルダ25bの中央には、上ホルダ25aに形成された負圧室28aと連通する孔25mが設けられている。この孔25mに連結して、下側に向かって開口した負圧室28bが設けられている。また、この負圧室28bに隣接して皮膚検知センサ28cが設けられている。この皮膚検知センサ28cは、コネクタ28dを介して電気回路部27に接続されている。
【0031】
皮膚検知センサ28cは、メカ的なスイッチを用いても良いし、電気的な導通を検知するものであっても良い。また、発光ダイオードと受光トランジスタを用いた光学的なセンサであっても良く、磁気的なセンサであっても良い。本実施の形態1では、皮膚検知センサ28cは、皮膚9aの導通抵抗を検知する電気的なセンサを用いている。従って、電池29を消耗させることはない。
【0032】
図5は、負圧路20とこの負圧路20の途中に連結された第1の負圧管部20aの断面図である。負圧路20の直径20cは0.5mm〜2.0mmであり、第1の負圧管部20aの直径20dは2.0mm〜10.0mmである。また、第1の負圧管部20aの長さ20eは2.0mm〜30.0mm程度が良い。
【0033】
このように第1の負圧管部20aの直径20dを負圧路20の直径20cの約2倍〜20倍にすることにより、好ましくは約5倍〜10倍の大きさにすることにより、第1の負圧管部20a内で負圧の流速が一気に減速する。この流速の減速により、例え負圧路20にゴミや飛散物や血液10等が混入していたとしても、この第1の負圧管部20a内で減速し沈殿するので、負圧手段28を構成する負圧ポンプ28fまで到達することはない。従って、負圧効率が減少することはなく、吸引能力が低下することもない。
【0034】
また、負圧路20と第1の負圧管部20aとの連結部20gは、ゴム(弾性部材の一例)20fで覆われており、第1の負圧管部20aは負圧路20から着脱自在の構成になっている。このゴム20fを外すことにより、第1の負圧管部20aを連結部20gで容易に取り外してゴミや血液10等の異物を掃除して、清潔に保つことができる。従って、常に負圧手段28の性能を劣化させないばかりか、衛生的に使用することもできる。
【0035】
なお、第1の負圧管部20a内へ負圧路20と同じ内径の突出部20h(点線で示す)を設けても良い。更に、第1の負圧管部20aの壁面に高分子吸収体を貼り付けることにより、更にゴミ等の捕獲性能を向上させることができる。また、第1の負圧管部20aを外部から内部の状況が確認できるように透明部材で形成しても良い。
【0036】
図6は、センサ23の断面図である。このセンサ23は、基板31と、この基板31の上面に貼り合わされたスペーサ32と、このスペーサ32の上面に貼り合わされたカバー33とで構成されている。
【0037】
34は、血液10の貯留部であり、この貯留部34は、基板31の略中央に形成された基板孔31aと、この基板孔31aに対応してスペーサ32に形成されたスペーサ孔32aと、基板孔31aに対応してカバー33に形成されたカバー孔33aとが連通して形成されている。また、36は、センサ23の穿刺部25への装着位置を決める位置決め孔であり、センサ23を貫通して設けられている。
【0038】
35は、この貯留部34に一方の端が連結された血液10の供給路であり、貯留部34に溜められた血液10を毛細管現象で一気に検出部37へ導く路である。また、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。貯留部34の容積は0.904μLであり、供給路35の容積は0.144μLとしている。このように少量の血液10で検査可能とし、患者への負担を軽減している。
【0039】
40は、検出部37上に載置された試薬である。この試薬40は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板31に形成された検出電極41,43(図7参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。この試薬40は吸湿すると性能の劣化が進行する。
【0040】
ここで、基板31の上面には金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法或いは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザ加工により検出電極41〜45(図7参照)と、この検出電極41〜45から夫々導出された接続電極41a〜45aと識別電極47aが一体的に形成されている。
【0041】
また、基板31、スペーサ32、カバー33の材質は共にポリエチレンテレフタート(PET)を用いている。材料の共用化を図ることにより、管理コストの低減を図っている。
図7は、センサ23の透視平面図であり、一方の端には、接続電極41a〜45aと、識別電極47aが形成されている。接続電極43aと識別電極47aとの間に、導電体パターンで形成された識別部47が形成されている。
【0042】
34は、センサ23の略中央に設けられた血液10の貯留部であり、この貯留部34に一方の端が接続された供給路35が検出電極42に向かって設けられている。そして、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。この供給路35上には、貯留部34から順次接続電極44aに接続された検出電極44と、接続電極45aに接続された検出電極45と、再度接続電極44aに接続された検出電極44と、接続電極43aに接続された検出電極43と、接続電極41aに接続された検出電極41と、再度接続電極43aに接続された検出電極43と、接続電極42aに接続された検出電極42が設けられている。また、検出電極41,43上には、試薬40(図9参照)が載置される。
【0043】
接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通があるか無いかで、センサ23が穿刺部25に装着されたか否かを識別することができる。即ち、このセンサ23を穿刺部25に搬送したとき、接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通を検知することにより、センサ23が正しく穿刺部25に装着されたか否かを検知することができる。若し電気的な導通がなければ、センサ23が穿刺部25に装着されていない訳である。この場合は、血液検査装置21の表示部55(図12参照)へ警告表示することができる。
【0044】
また、識別部47の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることが可能となる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。
【0045】
図9は、センサ23を積層収納するカートリッジ24の透視平面図であり、24bは樹脂で形成されたケースである。このケース24b内には、センサ室24cが設けられており、このセンサ室24cにはセンサ23が積層収納されている。このセンサ室24cと並行に乾燥室24dが設けられており、上方に設けられた通路24eを介してセンサ室24cと連通している。この乾燥室24dを設けることにより、乾燥気体の収納容積が大きくなり、センサ23を長時間劣化から保護することができる。また、この乾燥室24d内に乾燥剤50を収納しても良い。
【0046】
24fは、センサ室24cの上方に形成された負圧路であり、負圧手段28からこの負圧路24fを介して負圧が供給される。そしてセンサ室24c内を湿気から保護する。24gは、積層収納されたセンサ23を下方へ押圧する押さえ板であり、この押さえ板24gの略中央には孔24hが設けられている。この孔24hはセンサ23に形成された貯留部34(図6,7,8参照)に対応している。従って、負圧路24fから導入された負圧は、この孔24hを介して各センサ23の貯留部34内を乾燥させ、この貯留部34に連通して設けられた試薬40(図6参照)を劣化から保護する。
【0047】
また、乾燥室24dに乾燥剤50を収納した場合、乾燥室24dから供給される乾燥空気も同様に、通路24eを介して各センサ23の貯留部34内を乾燥させ、試薬40を劣化から保護する。この場合、負圧路24fを介して負圧が供給されているので、乾燥剤50は小さなもので良い。24jは、押さえ板24gを下方へ付勢するバネである。
【0048】
24kはセンサ室24cの下方を摺動するスライダプレートであり、このスライダプレート24kは一番下のセンサ23をセンサ出口24a外へ搬送するものである。このスライダプレート24kは図示していない搬送手段30によって搬送される。この搬送手段30は、プーリ間に懸架された搬送ベルトを用いても良いし、円筒体に螺旋状の溝を形成して実現しても良い。
【0049】
センサ出口24aは、可動自在なシャッタ24nによって開閉される。そして、このシャッタ24nは蓋部22bの開閉と連動して開閉される。即ち、蓋部22bの開放によりシャッタ24nは「開」となり、蓋部22bの閉によりシャッタ24nは「閉」となる。シャッタ24nが「閉」となると、ケース24b内は密閉されることになり、センサ23内の試薬40は湿気から保護される。
【0050】
24tは、ケース24bの側面に設けられた位置決め凹部であり、この位置決め凹部24tは本体部22aに挿入されたとき、本体部22aに設けられるとともに板バネで形成された位置決め凸部22h(図1参照)と嵌合して位置決めされるものである。
【0051】
図10は、レーザユニット26の断面図である。レーザユニット26は、発振チューブ26aと、この発振チューブ26aに連結された筒体26bとで構成されている。発振チューブ26a内には、Er:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ結晶26cとフラッシュ光源26d(光源の一例)が格納されている。発振チューブ26aの一方の端には透過率約1%の部分透過鏡26eが装着されており、他方の端には全反射鏡26fが装着されている。部分透過鏡26eの前方の筒体26b内には凸レンズ26gが装着されており、レーザ光26hで患者の皮膚下に焦点を結ぶように設定されている。
【0052】
以上のように構成されたレーザユニット26について、以下にその動作を説明する。穿刺ボタン26j(図1、12参照)を押下する。そうするとフラッシュ光源26dが発光する。このフラッシュ光源26dから放射された光は、Er:YAGレーザ結晶26c内に入り、ここで、全反射鏡26fとYAGレーザ結晶26cと部分透過鏡26eの間を反射して共振するとともに増幅される。この増幅されたレーザ光の一部は誘導放出により部分透過鏡26eを通過する。この部分透過鏡26eを通過したレーザ光26hはレンズ26gを透過して放射され、皮膚9a下で焦点を結ぶ。穿刺する際の焦点の深さは、皮膚9aから0.1mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態1では0.5mmとしている。
【0053】
本実施の形態では、患者の皮膚9aへ非接触で穿刺できるレーザユニット26を用いているので、衛生的である。また、可動部品は無く故障は少なくなる。なお、このレーザ光26hでの穿刺電圧は、約300Vとしている。従って、患者に与える苦痛は少ない。
【0054】
次に、負圧手段28について説明する。負圧手段28(図1参照)は、負圧モータ28e(図示せず)と、この負圧モータ28eに連結された負圧ポンプ28f(図示せず)で構成されている。負圧ポンプ28fで生成された負圧は、カートリッジ24に設けられた負圧路24f(図9参照)と上下ホルダ25a、25bに形成された負圧室28a、28b(図2,4及び図11参照)に供給される。負圧路24fと負圧室28a、28bへ供給される負圧は弁で切り替えられる。従って、一つの負圧手段28で負圧路24fと負圧室28a、28bの夫々へ負圧を供給することができる。
【0055】
図11は、血液検査装置21を用いた測定動作実施時の要部断面図である。図11において、下ホルダ25bの下面には負圧室28bが形成されており、この負圧室28bは負圧路20を介して負圧手段28に連結されている。負圧室28bの近傍には皮膚検知センサ28cが設けられている。49(49a〜49f)は、上ホルダ25aに設けられたコネクタであり、センサ23に形成された接続電極41a〜45a、識別電極47a(図7参照)対応して設けられている。そして、接続電極41a〜45a、識別電極47aの信号はコネクタ49を介して電気回路部27へ導かれる。
【0056】
以上のように構成された血液検査装置21の下ホルダ25bを皮膚9aに当接させて穿刺ボタン26jを押下すると、レーザユニット26からはレーザ光26hが発射される。このレーザ光26hは、負圧室28aと前記下ホルダ25bにセットされた1つのセンサ23の貯留部34と前記センサ23の孔25mを一直線上に貫通して皮膚9aを穿刺する。皮膚9aが穿刺されると、この皮膚9aからは血液10が滲出し貯留部34内には血液滴10aが形成される。この血液滴10aは検出部37(図7参照)に取り込まれ、試薬40と化学反応する。試薬40と反応した信号はコネクタ49を介して電気回路部27で測定される。
【0057】
図12は、電気回路部27とその近傍のブロック図である。図12において、センサ23の接続電極41a〜45a、(図8参照)は、コネクタ49a〜49eを介して切換回路27aに接続されている。この切換回路27aの出力は、電流/電圧変換器27bの入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)27cを介して演算部27dの入力に接続されている。この演算部27dの出力は、液晶で形成された表示部55と送信部27eに接続されている。また、切換回路27aには基準電圧源27fが接続されている。なお、この基準電圧源27fはグランド電位であっても良い。
【0058】
27gは制御部であり、この制御部27gの出力は、レーザユニット26に接続された高電圧発生回路27hと、切換回路27aの制御端子と、演算部27dと、送信部27eと、負圧手段28と、搬送手段30に接続されている。また、制御部27gの入力には、開閉センサ22dと、穿刺ボタン26jと、皮膚検知センサ28cと、タイマ27kと、コネクタ49fが接続されている。
【0059】
以下、電気回路部27の動作を説明する。先ず、穿刺ボタン26jを押下して、レーザユニット26で皮膚9aを穿刺する。そして、穿刺により滲出した血液10の性質を測定する。測定動作では、切換回路27aを切換えて、検出電極41(図7参照)を電流/電圧変換器27bに接続する。また、血液10流入を検知するための検知極となる検出電極42を基準電圧源27fに接続する。そして、検出電極41及び検出電極42間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液10が流入すると、検出電極41,42間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして、演算部27dに向かって出力される。演算部27dはそのデジタル値に基づいて血液10が十分に流入したことを検出する。なお、この時点で負圧手段28の動作をオフにする。
【0060】
次に、血液成分であるグルコースの測定が行なわれる。グルコース成分量の測定は、先ず、制御部27gの指令により、切換回路27aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極41を電流/電圧変換器27bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極43を基準電圧源27fに接続する。
【0061】
なお、血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器27b及び基準電圧源27fをオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部27gの指令により、検出電極41と43間に一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そうすると、検出電極41,43間に電流が流れる。この電流は電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして、演算部27dに向かって出力される。演算部27dではそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
【0062】
グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行なわれる。Hct値の測定は次のように行なわれる。先ず、制御部27gからの指令により切換回路27aを切換える。そして、Hct値の測定のための作用極となる検出電極45を電流/電圧変換器27bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極41を基準電圧源27fに接続する。
【0063】
次に、制御部27gの指令により、電流/電圧変換器27b及び基準電圧源27fから検出電極45と41間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。検出電極45と41間に流れる電流は、電流/電圧変換器27bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器27cによってデジタル値に変換される。そして演算部27dに向かって出力される。演算部27dはそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
【0064】
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線または検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部55に表示する。何れの検量線または検量線テーブルを用いるかは、センサ23内の識別部47に基づいて決定する。また、検量線または検量線テーブルで補正された結果を通信部27eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。この送信は電波を用いることもできるが、医療器具への妨害のない光通信で送信することが好ましい。
【0065】
以上、グルコースの測定を例に説明したが、センサ23の試薬40を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
【0066】
次に、図13を用いて血液検査装置21を用いた検査方法を説明する。先ずステップ61では、血液検査装置21の蓋部22bを開ける。蓋部22bの開は開閉センサ22dで検知する。この開閉センサ22dの出力を検知した時点で高電圧発生回路27hを動作させて、コンデンサに高電圧チャージを開始させる。
【0067】
この蓋部22bの開になると次のステップ62に移る。次に、ステップ62では、搬送手段30により、積層収納されたセンサ23の内、一番下のセンサ23を穿刺部25へ搬送する。この搬送の確認は、センサ23の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行う。
【0068】
次に、ステップ63に移行する。ステップ63では、表示部55に皮膚9aへの当接を促す表示を行う。患者はこの表示に従って、血液検査装置21を患者の皮膚9aに当接させる。この皮膚9aへの当接は皮膚検知センサ28cの出力で行う。
【0069】
皮膚9aへの当接が確認されたらステップ64に移行し、負圧手段28を動作させて穿刺部25に設けられた負圧室28a、28b内に負圧を加える。負圧を加えることにより皮膚9aは盛り上がる。また、皮膚検知センサ28cの出力を検知した時点で高電圧発生回路27hを動作させて、コンデンサに高電圧チャージを開始させても良い。
【0070】
負圧手段28の動作に伴う電流の変化と高電圧発生回路27hによる高電圧チャージの完了、或いはタイマ27kにより予め定められた時間が経過すると、穿刺に充分な高電圧のチャージと貯留部34内の皮膚9aが十分盛り上がったと判断し、ステップ65に移行する。
【0071】
ステップ65では、表示部55に穿刺可である旨の表示をする。そして、ステップ66に移行し、穿刺ボタン26jの押下を待つ。穿刺ボタン26jが押下されるとステップ67に移行する。なお、このステップ66における穿刺ボタン26jの押下操作を自動化することもできる。
【0072】
ステップ67では、ステップ65で行った表示をオフする。そして、ステップ68へ移行する。ステップ68では皮膚9aの穿刺により、滲出した血液10がセンサ23の貯留部34に取り込まれる。この貯留部34に取り込まれた血液10は、供給路35による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部37に取り込まれる。そして、血液10の血糖値が測定される。
【0073】
ステップ68で血糖値が測定されたら、ステップ69に移行し、負圧手段28をオフする。
【0074】
そして、ステップ70に移行する。ステップ70では、測定した血糖値を表示部55に表示する。なお、負圧手段28のオフは、血液10が検出電極42へ到達した時点でオフにしても良い。
【0075】
これで、血液10の測定は終了し、ステップ71へ移行する。ステップ71では、血液検査装置21の蓋部22bを閉じる。この蓋部22bの閉塞は開閉センサ22dで検出される。蓋部22bの閉塞動作に伴って、カートリッジ24のシャッタ24nが連動して閉じ、センサ出口24aは閉じられる。
【0076】
次に、ステップ72へ移行する。ステップ72では、蓋部22bが閉じられることにより、蓋部22bの閉塞が検知されると、再び負圧手段28を予め定められた時間動作させて、カートリッジ24内を予め定められた負圧にする。
【0077】
また、ステップ62によるセンサ23の搬送の後で、ステップ66における穿刺は貯留部34を貫通(図11参照)して行われるので、滲出した血液10は全て貯留部34に溜まり血液検査に用いられる。従って、滲出した血液10が無駄なく用いられ患者にかける負担は最小のものとなる。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1の負圧路20と通路が異なるのみで、他の部分に付いては実施の形態1と同様である。従って、ここでは実施の形態1と異なる負圧路80に付いてのみ説明し、実施の形態1と同じものに付いては同符号を付して説明を簡略化している。
【0079】
図14は、負圧路80とこの負圧路80の途中に連結された第1の負圧管部80aの断面図である。負圧路80の直径80cは0.5mm〜2.0mmであり、第1の負圧管部80aの直径80dは2.0mm〜10.0mmである。また、第1の負圧管部80aの長さ80eは5.0mm〜30.0mm程度が良い。
【0080】
このように第1の負圧管部80aの直径80dを負圧路80の直径80cより大きくすることにより、第1の負圧管部80a内で負圧の流速が一気に減速する。この流速の減速により、例え負圧路80にゴミや飛散物や血液10等が混入していたとしても、この第1の負圧管部80a内で除去さるので、負圧手段28を構成する負圧ポンプ28f(図示せず)まで到達することはない。従って、負圧効率が減少することはなく、吸引能力が低下することもない。
【0081】
また、第1の負圧管部80a内には、負圧の流れ28gと直角方向にフィルタ81を設けている。このフィルタ81と第1の負圧管部80aの壁面との間には0.1〜2.0mmの隙間81aを設けている。従って、ゴミ等はこのフィルタ81に付着させて除去することができるので、実施の形態1と比べて更にゴミ等の除去能力が更に向上する。また、隙間81aを有しているので、負圧の流れ28gが受ける抵抗は少なく、負圧手段28への負担も軽減することができる。
【0082】
更に、図示していないが負圧路80と第1の負圧管部80aとの連結部80g(図示せず)は、実施の形態1と同様に、ゴム(弾性部材の一例)80fで覆われており、負圧路80から着脱自在の構成になっている。このゴム80fを外すことにより、第1の負圧管部80aを連結部80gで容易に外してゴミ等の掃除をすることができる。従って、常に負圧手段28の性能を劣化させないように使用することができる。更に衛生的に使用することもできる。また、実施の形態1で説明したように、第1の負圧管部80a内へ負圧路80と同じ内径の突出部80h(図示せず、図5参照)を設けても良い。
【0083】
(実施の形態3)
実施の形態3も実施の形態2と同様であって、実施の形態2で説明した第1の負圧管部80a及び内部の構造が異なるのみで、他の部分に付いては実施の形態1及び実施の形態2と同様である。従って、ここでは実施の形態2と異なる負圧路82に付いてのみ説明し、実施の形態1及び実施の形態2と同じものに付いては同符号を付して説明を簡略化している。
【0084】
図15は、負圧路82とこの負圧路82の途中に連結された第1の負圧管部82aの断面図である。負圧路82の直径82cは0.5mm〜2.0mmであり、第1の負圧管部82aの直径82dは2.0mm〜10.0mmである。また、第1の負圧管部82aの長さ82eは5.0mm〜30.0mm程度が良い。
【0085】
このように第1の負圧管部82aの直径82dを負圧路82の直径82cより大きくすることにより、第1の負圧管部82a内で負圧の流速が一気に減速する。この流速の減速により、例え負圧路82にゴミや飛散物や血液10等が混入していたとしても、この第1の負圧管部82a内で除去されるので、負圧手段28を構成する負圧ポンプ28fまで到達することはない。従って、負圧効率が減少することはなく、吸引能力が低下することはない。
【0086】
また、第1の負圧管部82a内には、負圧の流れ28gと直角方向に2個の異物収集体83を設けている。この異物収集体83と第1の負圧管部82aの壁面との間には約0.1〜2.0mmの隙間83aを設けている。また、異物収集体83の形状は、負圧路82の第1の負圧管部82aへの入口と出口に向かって夫々凹形状の返しを設けたものである。
【0087】
従って、ゴミ等はこの異物収集体83に付着させて除去することができるので、実施の形態1と比べて更にゴミ等の除去能力が向上している。また、隙間83aを有しているので、負圧の流れ28gが受ける抵抗は少なく、負圧手段28への負担も軽減することができる。
【0088】
更に、図示していないが負圧路82と第1の負圧管部82aとの連結部82g(図示せず)は、実施の形態1と同様に、ゴム(弾性部材の一例)82fで覆われており、負圧路82から着脱自在の構成になっている。このゴム82fを外すことにより、第1の負圧管部82aを連結部82gで容易に外してゴミ等の掃除や血液10の除去をすることができる。従って、常に負圧手段28の性能を劣化させないように使用することができるとともに、衛生的に使用することができる。
【0089】
なお、実施の形態1で説明したように、第1の負圧管部82a内へ負圧路82と同じ内径の突出部82h(図示せず)を設け、この突出部82hの先端は異物収集体83の凹部内へ侵入させた位置にすることもできる。このことにより、ゴミや血液10等の異物除去性能は更に向上する。
【0090】
(実施の形態4)
実施の形態4も実施の形態1と同様であって、実施の形態1で説明した負圧路20と前記負圧路の途中の通路が分岐されて複数の負圧路を有する構造をとる点で相違するのみで、他の部分に付いては実施の形態1と同様である。従って、ここでは実施の形態1と異なる負圧路86に付いてのみ説明し、実施の形態1と同じものについては同符号を付して説明を簡略化している。
【0091】
図16は、負圧路86とこの負圧路86の途中に連結された第2の負圧管部86aが分岐された複数の負圧路(並列)に接続された負圧路の断面図である。前記第2の負圧管部86aには、複数の分岐されて分路87aが形成されている。前記分路87aの断面積87cの総和は、負圧路86の断面積86c以上に構成されている。
【0092】
図16では、分路87aは9つ設けられており、また分路87aの断面積87cは全て同一に形成されている。
【0093】
しかしながら、分路87aの数はこれに限らないし、前記断面積87cはそれぞれ異なっていても良い。
【0094】
負圧路86の直径86cは0.5mm〜2.0mmであり、第2の負圧管部86aの直径86dは2.0mm〜10.0mmである。また、第2の負圧管部86aの長さ86eは5.0mm〜30.0mm程度が良い。
【0095】
このように第2の負圧管部86aの断面積86dは分路87aの断面積87cの合計であり、負圧路86の断面積86cより大きくすることにより、第3の負圧管部86a内で負圧の流速が一気に減速する。この流速の減速により、例え負圧路86にゴミや飛散物や血液10等が混入していたとしても、この第2の負圧管部86a内で減速し、停滞・沈殿されるため、負圧手段28(図1参照)を構成する負圧ポンプ28fまで到達することはない。従って、負圧効率が減少することはなく、吸引能力が低下することもない。
【0096】
また、第2の負圧管部86a内の分路87aには、空気を通過させる高分子吸収体88が装着されている。従って、血液などの液状物はこの高分子吸収体88付着させて除去することができるので、実施の形態1と比べて更に血液などの液状物の除去能力が向上する。また、前記高分子吸収体88は、分路87aの内、最外部に配置されている分路87aには設けられていないため、負圧の流れ86b、86fが受ける抵抗が大きく増えることは少なく、負圧手段28への負担も軽減することができる。
【0097】
更に、図示していないが負圧路86と第2の負圧管部86aとの連結部86g(図示せず、図5の連結部20gに相当)は、実施の形態1と同様に、ゴム(弾性部材の一例)86h(図示せず、図5のゴム20fに相当)で覆われており、負圧路86から着脱自在の構成になっている。このゴム86hを外すことにより、第2の負圧管部86aを連結部86gで容易に外してゴミ等の掃除をすることができる。従って、負圧手段28の性能を劣化させないように使用することができるとともに、衛生的に使用することができる。
【0098】
(実施の形態5)
実施の形態5も実施の形態1と同様であって、実施の形態1で説明した負圧路20と通路がラビリンス構造をとる点で相違するのみで、他の部分に付いては実施の形態1と同様である。従って、ここでは実施の形態1と異なる負圧路84に付いてのみ説明し、実施の形態1と同じものに付いては同符号を付して説明を簡略化している。
【0099】
図17は、負圧路84とこの負圧路84の途中に連結された第3の負圧管部84aが2個(複数個)直列に接続された負圧路の断面図である。この負圧路84の第3の負圧管部84aへの入口と出口は同一方向に形成されている。また、これ等は全体としてジグザグ形状に連結されている。そして夫々の負圧路84と第3の負圧管部84aの寸法は全て等しく形成されている。即ち、負圧路84の直径84cは0.5mm〜2.0mmであり、第3の負圧管部84aの直径84dは2.0mm〜10.0mmである。また、第3の負圧管部84aの長さ84eは5.0mm〜30.0mm程度が良い。
【0100】
このように第3の負圧管部84aの直径84dを負圧路84の直径84cより大きくすることにより、第3の負圧管部84a内で負圧の流速が一気に減速する。この流速の減速により、例え負圧路84にゴミや飛散物や血液10等が混入していたとしても、この第3の負圧管部84a内で除去されるので、負圧手段28を構成する負圧ポンプ28fまで到達することはない。従って、負圧効率が減少することはなく、吸引能力が低下することもない。しかも、この第3の負圧管部84aは複数個設けられているので、実施の形態1に比べて更にその効果は増す。
【0101】
また、第3の負圧管部84a内には、負圧路84の出入口と反対側に高分子吸収体85が装着されている。従って、血液などの液状物はこの高分子吸収体85付着させて除去することができるので、実施の形態1と比べて更に血液などの液状物の除去能力が向上する。また、高分子吸収体85と負圧路84の出入口との間には大隙間85aを有しているので、負圧の流れ28gが受ける抵抗は少なく、負圧手段28への負担も軽減することができる。
【0102】
更に、図示していないが負圧路84と第3の負圧管部84aとの連結部84g(図示せず)は、実施の形態1と同様に、ゴム(弾性部材の一例)84fで覆われており、負圧路84から着脱自在の構成になっている。このゴム84fを外すことにより、第3の負圧管部84aを連結部84gで容易に外してゴミ等の掃除をすることができる。従って、常に負圧手段28の性能を劣化させないように使用することができるとともに、衛生的に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかる穿刺装置は、吸引能力の低下を防止することができるので、血液検査装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態1における血液検査装置の透視配置図
【図2】同、穿刺部を構成する上ホルダの側面図
【図3】同、下面側から見た斜視図
【図4】同、下ホルダの断面図
【図5】同、負圧路の断面図
【図6】同、穿刺部へ挿入されるセンサの断面図
【図7】同、センサの透視平面図
【図8】同、センサの外観斜視図
【図9】同、血液検査装置に装着されるカートリッジの透視平面図
【図10】同、レーザユニットの断面図
【図11】同、測定動作実施時の要部断面図
【図12】同、電気回路部とその近傍のブロック図
【図13】同、検査方法のフローチャート
【図14】同、実施の形態2における負圧路の断面図
【図15】同、実施の形態3における負圧路の断面図
【図16】同、実施の形態4における負圧路の断面図
【図17】同、実施の形態5における負圧路の断面図
【図18】従来の血液検査装置の透視配置図
【図19】同、穿刺部とその近傍の断面図
【符号の説明】
【0105】
20 負圧路
20a 負圧管部
21 血液検査装置
22 筐体
25 穿刺部
26 レーザユニット
28 負圧手段
28a 負圧室
28b 負圧室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、この筐体の一端に設けられた穿刺部と、この穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、前記穿刺部に設けられた負圧室と、この負圧室に負圧路を介して連結された負圧手段とを備え、前記負圧路の途中に前記負圧路の断面積より大きな断面積を有する第1の負圧管部が設けられた穿刺装置。
【請求項2】
前記負圧管部の中には、複数に分岐した第2の負圧管部が設けられた請求項1記載の穿刺装置。
【請求項3】
前記第2の負圧管部の断面積の合計は、前記負圧路の断面積以上であることを特徴とする請求項2記載の穿刺装置。
【請求項4】
前記第1の負圧管部は交換可能とした請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項5】
前記第1の負圧管部または第2の負圧管部内にフィルタを設けた請求項1または2に記載の穿刺装置。
【請求項6】
前記第1の負圧管部または第2の負圧管部内の通路の入口近傍に異物収集体が設けられた請求項1または2に記載の穿刺装置。
【請求項7】
前記異物収集体は前記通路に向かって凹形状である請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項8】
前記第1の負圧管部または第2の負圧管部内の通路の出口近傍に異物収集体が設けられた請求項1または2に記載の穿刺装置。
【請求項9】
前記異物収集体は前記通路に向かって凹形状である請求項8に記載の穿刺装置。
【請求項10】
負圧路をラビリンス構造とするとともに、このラビリンス構造の経路の途中に、前記負圧路の断面積より大きな断面積を有する第3の負圧管部を設けた請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項11】
前記第1の負圧管部、第2の負圧管部または第3の負圧管部内に高分子吸収体を装着した請求項1、2または10に記載の穿刺装置。
【請求項12】
穿刺手段には、レーザユニットを用いた請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項13】
請求項1に記載の穿刺装置を備え、さらにその穿刺部が、血液成分を分析する血液センサと、前記血液センサを規制するホルダとで形成されており、前記血液センサと接続された電気回路部をさらに備えてなる血液検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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