説明

穿刺装置及び穿刺針チップ

【課題】穿刺針が退動する際の減衰振動を抑制し、操作者に安定した操作感覚を与える。
【解決手段】穿刺箇所Pの周囲の皮膚162に当接する当接部22と、血液の成分を測定する試験紙28と、試験紙28からハウジング14の内壁面に連通する血液流通路26と、血液流通路26の開口部26a近傍から内腔方向に向かって延在する血液導入ガイド24と、穿刺針34を穿刺準備位置から穿刺箇所Pに向かって進出させる駆動用コイルスプリング108と、穿刺をした穿刺針34を退動させる戻し用コイルスプリング110と、穿刺針34を規定の穿刺動作終了位置に停止させる小突出片157とを有する。小突出片157は第1ストップレバー152の先端部152aに当接し、穿刺針34及び穿刺針ユニット18を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液中のブドウ糖等の成分を測定するために皮膚に対して穿刺を行う穿刺装置及び該穿刺装置に装着される穿刺針チップに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者には、血糖値の変動を自分自身で測定することによる日常的な自己管理が推奨されている。血糖値の測定は、血液中のブドウ糖量に応じて呈色する試薬が含浸された試験紙等の測定部を設け、該試験紙に血液を供給して呈色させ、その呈色の度合いを光学的に測定することにより血糖値を求めて表示をする血液成分測定装置が実用化されている。また、電気化学センサーを用いた血液成分測定装置も実用化されている。
【0003】
患者が自分の血液を採取する際には、穿刺針又はハウジング内を進退可能な穿刺針を備える穿刺針チップを穿刺装置に装着して用い、穿刺針に対して弾性体による反発力を与えて瞬間的に突出させて該穿刺針が皮膚(例えば、指、てのひら、腕等)を穿刺し、穿刺後には血液を微量流出させ、測定に供される。また、穿刺を行った後に、穿刺感を緩和するとともに適度な流出を促進させるために穿刺針を退動させる退動機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これらの進出機構及び退動機構には、直列に対向配置されたコイルスプリング等の弾性体が用いられており、進出時にはあらかじめ圧縮された駆動用コイルスプリングの弾性力により穿刺針を突出させ、穿刺時に瞬間的に圧縮された戻し用コイルスプリングの弾性力により穿刺針を退動させている。
【0005】
なお、従来の穿刺装置で使用される穿刺針は皮膚を穿刺し測定に必要な血液を適度に流出させるという作用のみを有し、皮膚の穿刺を行った後には無用であることから当接部から十分に退動させるように設定されている。
【0006】
一方、穿刺針チップに上記の試験紙等の測定部を一体的に設けた血液成分測定チップを用いれば該チップを血液成分測定装置に装着して光学的な測定を行うことにより、穿刺工程と測定工程とを自動的、且つ連続的に行うことができる。これにより操作が簡便となり、しかも正確且つ確実な測定が可能となる。穿刺針チップに測定部を設ける場合に、穿刺により採取された血液を測定部まで導入するために、穿刺針の毛管現象等を利用することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−245717号公報
【特許文献2】特開2000−116629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の穿刺装置及び穿刺針チップでは、穿刺針の進出機構及び退動機構に駆動用コイルスプリング及び戻し用コイルスプリング等の弾性体のみを用いていることから、退動時にはこれらの弾性体の弾性力が釣り合う位置まで退動し、弾性体の伸縮が自然減衰及び一部の摺動面による摩擦により停止する。
【0009】
このような従来の退動動作では、駆動用コイルスプリング及び戻し用コイルスプリングの伸縮動作が減衰するまで穿刺針が停止しないため、減衰振動が患者の手に伝わり、違和感や不安定感を与えることがある。
【0010】
また、前記の特許文献2に記載された方法では穿刺針の適当な移動機構がなく、穿刺針を皮膚に穿刺したまま、注射器と同じ原理で血液を吸い出すため、痛みを伴う。仮に特許文献2に対して従来の穿刺針移動機構を付加した場合には、穿刺針が過度に退動し、血液塊に接触させることは困難である。
【0011】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、穿刺針が退動する際の減衰振動を抑制し、操作者に安定した操作感覚を与えることのできる穿刺装置及び穿刺針チップを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明の他の目的は、穿刺を行って退動した後に、穿刺により採取された血液を測定部まで導入するために穿刺針を有効に利用し、簡便な構成の穿刺装置及び穿刺針チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る穿刺装置は、穿刺針とともに用いる穿刺装置であって、前記穿刺針を所定の基準位置から皮膚の穿刺箇所に向かって進出させる第1付勢手段と、前記第1付勢手段によって前記皮膚を穿刺した前記穿刺針を退動させる第2付勢手段と、前記穿刺箇所の周囲の皮膚に当接する当接部と、前記穿刺針が退動する際に、前記穿刺針を規定の穿刺動作終了位置に停止させるストッパと、を有することを特徴とする。このように、ストッパにより穿刺針の退動を規制することにより、穿刺針が退動する際の減衰振動が抑制され、操作者に安定した操作感覚を与えることができる。
【0014】
この場合、前記穿刺動作終了位置は、前記第1付勢手段と前記第2付勢手段との釣り合う位置よりも先端側に設定されていると、一層安定する。
【0015】
前記穿刺動作終了位置は、前記穿刺針の先端部が前記皮膚から流出した血液塊に接触する位置に設定されていると、該血液塊は表面張力の作用によって穿刺針に沿って移動し、流出により得られる血液塊がより少量であっても確実に測定部又はそのガイド部まで導入することができる。
【0016】
前記穿刺動作終了位置にある前記穿刺針の先端に当接した皮膚との最短距離は0.1mm以上3mm以下に設定すると、穿刺針が血液塊に接触しやすい。
【0017】
また、着脱自在な穿刺針チップを備え、前記穿刺針は、前記穿刺針チップにおけるハウジング内に進退自在に保持されるとともに、前記第1付勢手段と前記第2付勢手段に当接するプランジャに係合・保持されるようにしてもよい。
【0018】
さらに、前記ストッパは、前記ハウジングの外表面に設けられた膨出部と、前記プランジャに設けられ、前進時に前記膨出部に乗り上げ、押し上げられる弾性片と、前記プランジャの退動時に、前記弾性片の一部に係合する係合部とにより構成することができる。
【0019】
また、採取された血液の成分を測定する測定部と、前記ハウジングの内壁面から内腔方向に向かって延在し、血液を前記測定部へ導入する血液導入部とを有すると、穿刺針に沿って移動した血液が血液導入部に接触しやすい。
【0020】
また、採取された血液の成分を測定する測定部を有し、前記穿刺針は中空針であり、前記測定部は前記穿刺針の後端側の開口部近傍、又は前記穿刺針の中空部に設けられていてもよい。これにより、血液は穿刺針の中空部を通って測定部まで導入することができる。
【0021】
一方、本発明に係る穿刺針チップは、ハウジング内を進退自在な穿刺針を備え、穿刺装置に装着される穿刺針チップにおいて、前記穿刺針による穿刺箇所の周囲の皮膚に当接する当接部と、前記穿刺装置の操作によって前記穿刺針が皮膚に向かって進行する際に進行動作を許容するとともに後退する際に後退動作を制限し、規定の穿刺動作終了位置に停止させるストッパとを有することを特徴とする。このように、ストッパにより穿刺針の退動を規制することにより、穿刺針が退動する際の減衰振動が抑制され、操作者に安定した操作感覚を与えることができる。
【0022】
この場合、前記ストッパは、前記ハウジングに設けられた弾性体と、該弾性体の先端に設けられ、前記ハウジングの内周面よりも内周側に突出するフックとを有するとよい。また、前記ストッパは、前記ハウジングの内周面に設けられた螺旋溝と、該螺旋溝の先端に設けられた鉤溝とを有し、前記穿刺針を保持するハブに設けられた突起部が前記螺旋溝及び前記鉤溝に係合するようにしてもよい。さらに、前記ストッパは、断面左右非対称の弾性リングであり、前記穿刺針を保持する支持部材に挿入されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る穿刺装置及び穿刺針チップによれば、ストッパにより穿刺針の退動を規制することにより、穿刺針が退動する際の減衰振動が抑制され、操作者に対して安定した操作感覚を与えることができる。
【0024】
また、ストッパによる穿刺動作終了位置が穿刺針の先端部が前記皮膚から流出した血液塊に接触する位置に設定されていると、該血液塊は表面張力又は毛管現象の作用によって穿刺針に沿って移動し、流出により得られる血液塊がより少量であっても確実に測定部又はそのガイド部まで導入することができる。これにより、血液を測定部まで導入するために穿刺針を有効に利用することができ、血液を導入する機構を簡便に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る穿刺装置及び穿刺針チップについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図14Cを参照しながら説明する。本実施の形態に係る穿刺装置としての血液成分測定装置10及び穿刺針チップとしての血液成分測定チップ12aは、血液中のブドウ糖等の成分又はその成分量(以下、血液中のブドウ糖量を血糖値という。)を測定及び表示するものである。血液成分測定チップ12aは血液成分測定装置10に装着され、その一部として用いられる。血液成分測定装置10は、血液成分の測定に先立って穿刺を行う穿刺装置を備える。なお、以下の説明では、便宜上、図面上の左側を前方、右側を後方とし、上下方向については図面に合わせて表記する。実際の使用時には、上下方向がこれに限定されることはない。
【0026】
図1及び図2に示すように、血液成分測定チップ12aは、円筒型のハウジング14と、該ハウジング14内で軸方向に進退可能な穿刺針ユニット(穿刺針)18と、ハウジング14の外側面に設けられた試験紙ホルダー20とを有する。
【0027】
ハウジング14の端部には、測定時に測定者の皮膚における穿刺箇所P(図4参照)の周囲の皮膚に当接する環状の当接部22が設けられている。該当接部22は、正面視楕円形(図3参照)で中心に向かって緩やかに縮径するテーパ部22aが形成され、てのひらや指の側面等に当接させやすく、しかも縮径形状により皮膚の穿刺箇所付近を適度に盛り上がらせて穿刺後の血液の流出を適度に促進させることができる。ハウジング14の後方上面には、前方及び後方に向かってなだらかな傾斜を有する小膨出部23が設けられている。
【0028】
ハウジング14の内壁面14aにおける血液流通路26の開口部26a近傍からは、内腔方向に向かって第1血液導入ガイド(血液導入部)24a及び第2血液導入ガイド(血液導入部)24bが延在している。図3に示すように、穿刺針34と第1血液導入ガイド24a及び第2血液導入ガイド24bの各先端との最短の距離R1、R2は十分に小さく、1mm以下に設定されている。距離R1、R2を1mm以下に設定することにより、穿刺針34の先端部34cに捕捉され、穿刺針34に沿って移動した血液が第1血液導入ガイド24a及び第2血液導入ガイド24bに接触しやすい。また、製品のばらつきによる干渉を考慮し、距離R1、R2を0.1mm以上に設定するとよい。第1血液導入ガイド24aはハウジング14と一体成型され、ほぼ平板状であり、内腔側の先端面及び後方側の表面に親水化処理がなされている。
【0029】
また、第2血液導入ガイド24bは試験紙ホルダー20の一部であり、ほぼ円柱状であり、開口部26aに挿入され、内腔方向に向かって延在している。第2血液導入ガイド24bの表面には親水化処理がなされていることが望ましい。第1血液導入ガイド24aと第2血液導入ガイド24bは隣接配置されている。以下、第1血液導入ガイド24a及び第2血液導入ガイド24bをまとめて血液導入ガイド24ともいう。
【0030】
試験紙ホルダー20は四角板の小片であり、ハウジング14の外側面における嵌合部14bに嵌合され、融着(例えば、超音波融着)されている。試験紙ホルダー20の融着により、合わせ面に細径の血液流通路26が形成される。これらの血液流通路26は血液を毛管現象により吸い上げる程度に十分細径に設定されている。
【0031】
試験紙ホルダー20の上面には所定の試薬が含浸された試験紙(測定部)28が固定されている。試験紙28の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホンが挙げられる。試薬としては、例えば、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トイルジン等の発色剤が挙げられる。また、試薬には所定の緩衝剤が含まれていてもよい。また、測定部としては電気化学センサーを用いることもできる。
【0032】
図1に示すように、穿刺針ユニット18は、先端の穿刺針34と、該穿刺針34を保持するハブ36と、該ハブ36の中途部から拡径・突出したフランジ(拡径部)38とを有する。
【0033】
穿刺針34は、親水処理が施された先端域の親水性部34aと、後端側の疎水性部34bとを有する。なお、実際には親水性部34aと疎水性部34bは目視では識別困難であるが、図面上(図1、図4等)、疎水性部34bにはクロスハッチを付し、親水性部34aはハッチング無しで示して区別する。
【0034】
親水処理としては、表面プラズマ処理、界面活性剤塗布、あるいは親水性ポリマーコーティング(ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、親水性ポリウレタン、ポリヒドロキシアクリレート、デキストラン、キサンタン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、親水性シリコーンなど、必要に応じて穿刺針34の表面とのカップリング剤を用いることができる。)が挙げられる。好ましくは、親水性シリコーン塗布をするとよい。親水処理としては、これらを含め人体にとって安全である必要がある。
【0035】
ハブ36の外径はハウジング14の小径部16aにおける内径と略同一であって、フランジ38の外径はハウジング14の大径部16bにおける内径と略同一である。大径部16bにおける内壁面には内腔方向に僅かに突出した環状膨出部40が設けられており、フランジ38の外周面に設けられた浅い環状のアンダーカット42に係合して軽く固定され、シール作用を奏する。また、前方においても図示しない栓によりシール作用を奏する。穿刺針34はあらかじめγ線や電子線等により滅菌処理されており、使用時までこの滅菌状態が維持される。ハブ36の後方端部38aは、後述するプランジャ106に係合する。
【0036】
次に、図1及び図2を参照しながら、血液成分測定装置10について説明する。血液成分測定装置10は携帯に適した小型・軽量の装置であって、先端部に血液成分測定チップ12aが装着される装着穴100が設けられている。血液成分測定装置10はケース本体101をベースに構成されており、前方上部の制御部104と、それ以外の部分を占める機構部102とを有する。
【0037】
機構部102は、軸方向に進退可能なプランジャ106と、該プランジャ106の中段部に同軸配置された駆動用コイルスプリング(第1付勢手段)108と、後端部に同軸配置された戻し用コイルスプリング(第2付勢手段)110と、プランジャ106を後方に引き戻すリチャージレバー114と、ケース本体101の一部である穿刺ボタン116とを有する。
【0038】
プランジャ106は、前方に向かって延在する把持バー118と、中段部下方から前方に向けて延在する第1弾性片120と、中段部上方から前方に向けて延在する第2弾性片(ストッパ)122と、前記駆動用コイルスプリング108の一端に対して当接支持するとともに後退するリチャージレバー114に係合可能な中段フランジ124と、前記戻し用コイルスプリング110の一端に対して当接支持する後端フランジ126と、突出時の抜け止めとして作用する突出片128とを有する。
【0039】
把持バー118の先端には、血液成分測定チップ12aにおけるハブ36の後方端部38aを弾性的に把持可能な2本の挟持材130が設けられている。ケース本体101におけるやや後方部には、後方に向かって順に、内腔側に突出した第1リング部132及び第2リング部134がそれぞれプランジャ106と同軸状に設けられている。
【0040】
第1リング部132の前方面は駆動用コイルスプリング108の端部に対して当接支持し、図1に示す初期状態においては、中段フランジ124とともに駆動用コイルスプリング108をやや圧縮した状態に保つ。第1リング部132の後方面は、プランジャ106が突出する際に突出片128に当接してそれ以上の進出を制限する。この第1リング部132には、例えば、ダイヤル調整による厚さの調整機構を設け、穿刺時における穿刺針34の突き出し量を調整可能な機構としてもよい。
【0041】
第2リング部134の後方面は、戻し用コイルスプリング110の一端に当接支持可能な径に設定されている。初期状態においては、第2リング部134と後端フランジ126との距離は、戻し用コイルスプリング110の自然長より長く、該戻し用コイルスプリング110は非圧縮状態となっている。
【0042】
第1弾性片120はプランジャ106の中段部を基部として下方に向けて弾性付勢されており、先端部がケース本体101の突出部136に当接している。第1弾性片120は、略中央部から下方に向けて形成されたノブ138と、先端部から下方に向けて形成された小突出片140とを有する。小突出片140は、前方面が略垂直面であり、後方に向かってなだらかに低くなる形状となっている。
【0043】
突出部136はケース本体101の下面から上方に向かって形成されており、後方面が略垂直面であり、前方に向かってなだらかに低くなる形状となっている。初期状態においては、小突出片140が突出部136の前方傾斜面に当接している。ケース本体101における突出部136よりも後方には、軸方向に長尺な孔142が設けられており、該孔142に沿ってノブ138が移動可能である。
【0044】
ケース本体101の下面やや後方部からは、前方に向かって延在する穿刺ボタン116が設けられており、該穿刺ボタン116の略中央部上面にはプッシャ146が設けられている。プッシャ146は、プランジャ106が穿刺準備位置に設定されたときにノブ138と対向する位置に設けられている(図6参照)。
【0045】
リチャージレバー114は、レバー本体150と、該レバー本体150の下部から前方に向けて延在する第1ストップレバー(係合部)152と、該レバー本体150の側面から後方に向けて延在する第2ストップレバー153(図2参照)と、レバー本体150の前方面に設けられた係合ピン154とを有する。係合ピン154のやや前方には係合ピン156がケース本体101の天井面に固定されている。
【0046】
係合ピン154と係合ピン156との間には、引張コイルスプリング158が横架されており、両端のフックが係合ピン154と係合ピン156に係合することにより、リチャージレバー114を前方に引き寄せている。引張コイルスプリング158は強いスプリングであり、戻し用コイルスプリング110よりもばね定数が相当に大きく設定されている。ケース本体101の上面には軸方向に長尺な孔160が設けられており、レバー本体150の一部は該孔160から外部に露呈しており、孔160に沿って移動可能である。
【0047】
第1ストップレバー152は、レバー本体150を基部として下方に向けて弾性付勢されている。第1ストップレバー152の先端部152aは、斜め前方に向かって傾斜した小さい段付き部を介してやや肉厚に形成され、その先端部は略垂直面となっている。なお、第1ストップレバー152は、第2弾性片122及び小膨出部23の形状によっては必ずしも弾性材である必要はない。
【0048】
図2に示すように、第2ストップレバー153は、レバー本体150を基部として外側に向けて弾性付勢されている。また、第2ストップレバー153の先端近傍外側面には三角突起153aが設けられており、初期状態においてはケース本体101の側面に設けられた溝155aに係合している。溝155aのやや後方には、リチャージレバー114を後退させたときに三角突起153aが係合する溝155bが設けられている。
【0049】
図1に戻り、第2弾性片122は、プランジャ106の中段部を基部として上方に向けて弾性付勢されている。第2弾性片122は、先端部122aから上方に向けて形成された小突出片157を有する。先端部122aの下面は、前方に向かって薄肉となるなだらかな傾斜面となっている。小突出片157は、後方面が略垂直面であり、前方に向かってなだらかに低くなる形状となっている。初期状態においては小突出片157が先端部152aの下面に当接している。
【0050】
後述するように、穿刺後に穿刺針34が後退する際、小突出片157は先端部152aの先端面と係合し、ストッパとして作用する。すなわち、小突出片157と先端部152aの位置関係によってプランジャ106の穿刺動作終了位置が規定されることになる。従来の穿刺装置においては、穿刺針は穿刺を行って測定に必要な血液を適度に流出をさせるという作用のみを有し、穿刺を行った後には無用であることから当接部から十分に退動させるように設定されていたのであるが、本実施の形態に係る血液成分測定装置10では、小突出片157及び先端部152a等によって穿刺動作終了位置を規制し、過度に戻ることがないようにしている。
【0051】
この穿刺動作終了位置は、穿刺針34の先端部34cが皮膚162から流出した血液塊164に接触する位置となるように設定されており、駆動用コイルスプリング108と戻し用コイルスプリング110の弾性力が釣り合う位置よりも先端側である。穿刺動作終了位置にある穿刺針34の先端と当接部22先端22bとの最短距離L(図4参照)は、0.1mm以上3mm以下の値に設定することにより、先端部34cが血液塊164に接触しやすく、好適である。また、テーパ部22aの形状や、皮膚の盛り上がり等を考慮して、先端部34cが皮膚162の表面から離間して、且つ血液塊164に接触する位置に設定すると一層好適である。なお、血液塊164とは、固化していない液体状態の血液であり、血液滴と同義である。
【0052】
さらに、側面視(図4参照)における穿刺針34と血液導入ガイド24との位置関係は、穿刺針34の先端は軸方向で血液導入ガイド24よりも先端側であり、血液導入ガイド24は軸方向位置で穿刺針34の親水性部34aの範囲W内に設定されることが望ましい。
【0053】
次に、図1及び図2に戻り、制御部104は、光学測定部178と、電気的に統括制御を行う制御基板170と、測定された血液成分を表示する液晶モニタ172と、電源スイッチ174と、該電源スイッチ174の操作に連動して電力の供給を行う電池176とを有する。また、制御部104はスイッチ部180及び図示しない所定の外部出力部、データ記憶部等を有する。
【0054】
光学測定部178は、装着された血液成分測定チップ12aにおける試験紙28と対向する位置に設けられている。該光学測定部178は制御基板170の作用下に制御され、発光素子(発光ダイオード等)182、受光素子(フォトダイオード等)184及び増幅部186を備えている。血液成分測定チップ12aを装着穴100に装着した状態で発光素子182から照射された光は試験紙28で反射され、その反射光は受光素子184に受光されて光電変換される。受光素子184からは、受光光量に応じたアナログ信号が出力され、増幅部186において適度に増幅された後に制御基板170へ供給される。
【0055】
制御基板170は、光学測定部178と信号線を介して接続されており、発光素子182を適切なタイミングで発光させ(例えば、間欠的にパルス発光させ)、受光素子184から供給されるアナログ信号をA/D変換器によりデジタル信号に変換して取得し、データ解析を行うことができる。制御基板170では、取得したデジタル信号に基づき、受光光量及びその変化率等に基づいて所定の演算処理を行い、また、必要に応じ補正計算を行って、血液中のブドウ糖量(血糖値)を求める。求めた血糖値は液晶モニタ172に表示し、測定者に知らせる。
【0056】
次に、このように構成される血液成分測定装置10の作用について説明する。
【0057】
先ず、装着穴100に血液成分測定チップ12aを挿入し、押し込むことにより、駆動用コイルスプリング108を圧縮しながらプランジャ106が一体的に後方に移動し、同時にハブ36の後方端部38aが2本の挟持材130の間にはまり込み、把持される。図6に示すように、駆動用コイルスプリング108を十分に圧縮するまでプランジャ106が移動したとき、第1弾性片120が弾性変形することにより小突出片140が突出部136を乗り超える。これにより、小突出片140の前方面と突出部136の後方面が当接、係合することになり、プランジャ106が穿刺準備位置に固定される。
【0058】
プランジャ106が穿刺準備位置に配置され、血液成分測定チップ12aが装着されることによりノブ138はプッシャ146と対向する位置に配置され、血液成分測定チップ12aの試験紙28は光学測定部178に対向する位置に配置される。また、第2弾性片122の小突出片157は、第1ストップレバー152の先端部152aよりも後方に配置される。
【0059】
次に、電源スイッチ174をオンにする。これにより、発光素子182は制御部104の作用下にパルス的な投光を開始する。次いで、血液成分測定チップ12aの当接部22を測定者の皮膚(例えば、指、てのひら、腕等)162に押し当て、穿刺ボタン116を介してノブ138を押し下げる。これにより、小突出片140と突出部136の係合状態が解除されプランジャ106は駆動用コイルスプリング108によって弾性付勢され前方へ勢いよく駆動され、把持バー118を介して穿刺針ユニット18を押し出す。
【0060】
図7に示すように、第2弾性片122の小突出片157は、第1ストップレバー152の先端部152aに接触しながら当該箇所を通過し、さらに第2弾性片122は先端下方の傾斜面が血液成分測定チップ12aのハウジング14の小膨出部23に乗り上げ、上方に向かって押し上げられる。
【0061】
穿刺針ユニット18に設けられた穿刺針34の先端部34cは、当接部22におけるテーパ部22a付近まで押し出され、皮膚162を穿刺する。このとき、プランジャ106は勢いよく移動することから、瞬間的に戻し用コイルスプリング110を適度に圧縮している。したがって、該戻し用コイルスプリング110が元の長さに復帰する弾性力によってプランジャ106は即時に後方に押し戻され、プランジャ106及び穿刺針ユニット18は後退することになる。
【0062】
図8に示すように、第2弾性片122は小膨出部23によって押し上げられていることから、プランジャ106が後退する際、小突出片157の後面が第1ストップレバー152の先端部152aの前面に当接する。このとき、リチャージレバー114の第2ストップレバー153は先端の三角突起153aが溝155aに係合しており、小突出片157が第1ストップレバー152に当接してもリチャージレバー114は後方に移動することはなく、プランジャ106及び穿刺針ユニット18を規定の穿刺動作終了位置で確実に停止させる。仮に、衝突時の勢いによって三角突起153aが溝155aから離脱することがあっても、引張コイルスプリング158は戻し用コイルスプリング110より強いため、ほとんど引き延ばされることはなく、しかもリチャージレバー114を確実に引き戻して元の位置に復帰し、プランジャ106及び穿刺針ユニット18を穿刺動作終了位置に固定する。
【0063】
このように、血液成分測定装置10では、小突出片157、第1ストップレバー152、第2ストップレバー153等のストッパにより穿刺針ユニット18の退動を規制することにより、該穿刺針ユニット18が退動する際の駆動用コイルスプリング108及び戻し用コイルスプリング110の減衰振動が抑制され、振動が伝わることによる操作者の違和感や不安定感を払拭し、安定した操作感覚を与えることができる。また、このような機構によれば、実際上ほとんど振動は発生しない。
【0064】
一方、図4に示すように、血液塊164は、穿刺針34によって穿刺された穿刺箇所Pから流出する。血液塊164は時間にともなって次第に大きくなり、穿刺針34の先端部34cに接触する。この際、距離Lは0.1mm以上3mm以下に設定されていることから、穿刺針34が血液塊164に接触し、捕捉されやすい。また、穿刺針34の先端域は親水性部34aとなっていることから、血液は穿刺針34の表面に沿って移動しやすく、しかも、疎水性部34bでは血液が移動してくることが制限され、不必要に後端側まで達しにくくなり、親水性部34aには十分な量の血液が溜まる。なお、穿刺針34がSUS等の金属素材でできている場合、該穿刺針34の先端域が特に親水処理されていなくても、本来金属表面が有する親水性により同様の効果が得られる。さらに、穿刺針34は親水性が特に高くはない材質であっても血液塊164を捕捉する作用があり、少なくとも疎水処理されてないものが好適に用いられる。
【0065】
なお、血液塊164が血液導入ガイド24まで導入される形態としては、基本的に3つの形態があり得る。すなわち、第1に、血液塊164が穿刺針34に捕捉されたまま大きさが成長して血液導入ガイド24に接触する場合と、第2に、血液塊164が穿刺針34の先端に捕捉された後に表面に沿って流れながら導入される場合と、第3に、この2つの形態の中間的な場合とがあり得る。穿刺針34によれば、これらのいずれの場合であっても、血液塊164を血液導入ガイド24まで導入しやすい。
【0066】
さらに、穿刺針34の先端部34cは軸方向で血液導入ガイド24よりも先端側であり、且つ、血液導入ガイド24は軸方向位置で穿刺針34の親水性部34aの範囲W内に設定されていることから、血液は穿刺針34から血液導入ガイド24に移ることになる。特に、距離R1、R2は十分に小さく、0.1mm以上1mm以下の値に設定されており、穿刺針34に沿って移動した血液が血液導入ガイド24により接触しやすく導入されやすい。このように、穿刺針34は穿刺を行って測定に必要な血液を流出をさせるという作用だけではでなく、得られた血液を血液導入ガイド24まで導入させるという効果をも奏することになる。
【0067】
なお、仮に、穿刺針34が皮膚162の近傍にない場合には、図4の一点鎖線部で示すように、血液塊164’は下方に流れてしまい、血液導入ガイド24に導入されにくくなる。これに対して、本実施の形態によれば、皮膚162から流出した血液塊164は、穿刺針34によって捕捉されながら大きくなり、又は穿刺針34の表面に沿って移動することから、自重等によって皮膚162上を無関係な方向に流れてしまうことが抑制され、血液導入ガイド24まで導入されやすくなる。
【0068】
また、図5に示すように、穿刺針の中途部、具体的には親水性部34aと疎水性部34bとの境界部に小さい環状突起部35を設けてもよい。該環状突起部35により、血液はせき止められ、それ以上後端側まで移動することが一層抑制される。これにより、親水性部34aにはより十分な量の血液が溜まる。
【0069】
この後、血液は血液導入ガイド24の先端に付着し、第1血液導入ガイド24aの後方面と第2血液導入ガイド24bとの間を毛管現象又は表面張力の効果によって拡がる。やがて、その一部は第2血液導入ガイド24bの外表面を伝って血液流通路26へと導かれる。
【0070】
次に、血液は血液流通路26内を毛管現象によって吸い上げられ、試験紙28まで導入される。血液は試験紙28に含浸し、試薬に反応して血中のブドウ糖量(血糖値)に応じて呈色する。
【0071】
この間、光学測定部178はパルス的な投光及び受光量の測定を継続しており、制御基板170では試験紙28の変色に基づく受光量の変化により血液が含浸されたことを自動認識し、所定の演算処理により血液の血糖値を求め、液晶モニタ172に表示するとともに、データ記憶部に記憶し測定を終了する。また、スイッチ部180の操作に基づいて、データ記憶部に記録された過去のデータの再表示又は消去が可能であり、さらに外部出力部によりこれらのデータ等を外部コンピュータとの間で授受するようにしてもよい。測定が終了した後には、電源スイッチ174をオフにして制御部104の動作を停止させる。使用済みの血液成分測定チップ12aは医療廃棄物として所定の方法により廃棄する。
【0072】
また、穿刺準備状態で誤って穿刺ボタン116を押してしまった場合を含め、再度穿刺準備状態とすることが必要なときには、リチャージレバー114を利用することができる。すなわち、リチャージレバー114を後方に引くことにより(図6の二点鎖線部参照)、三角突起153aは溝155aから離脱し、駆動用コイルスプリング108を圧縮しながらプランジャ106が一体的に後方に移動する。駆動用コイルスプリング108を十分に圧縮する位置までプランジャ106が移動したとき、小突出片140と突出部136が当接、係合し、プランジャ106が穿刺準備位置に固定される。この際、三角突起153a(図2参照)は溝155bに係合し、操作者は軽いクリック感により、駆動用コイルスプリング108のチャージが適切になされたことを確認できる。この後手を離すと、引張コイルスプリング158は比較的強いスプリングであることから、三角突起153aは溝155bから離脱し、リチャージレバー114は元の位置に復帰する。
【0073】
なお、穿刺針34は中実針であることが望ましいが、中空針でも後方端を閉塞していれば使用に差し支えない。
【0074】
次に、本実施の形態に係る血液成分測定装置10(又はそれに相当する装置)で用いられる血液成分測定チップの第1〜第4の変形例に係る血液成分測定チップ12b〜12eについて説明する。なお、これらの血液成分測定チップ12b〜12eの説明上、前記血液成分測定チップ12aと同じ箇所については同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0075】
図9に示すように、第1の変形例に係る血液成分測定チップ12bは、穿刺針ユニット18と、ハウジング200と、試験紙ホルダー202とを有する。ハウジング200は前記ハウジング14に相当し、穿刺針ユニット18を保持している。試験紙ホルダー202は前記試験紙ホルダー20に相当し、ハウジング200の上面先端部の嵌合部200aに嵌合されており、上面には試験紙28が設けられている。
【0076】
嵌合部200aは先端側に向かって45°上昇する傾斜を有し、試験紙ホルダー202及び試験紙28もこの傾斜に応じて45°傾斜している。試験紙ホルダー202の下面中央部には血液流通路204aを有するチューブ204が設けられている。このチューブ204は前記血液導入ガイド24に相当する。なお、試験紙ホルダー202及びチューブ204の傾斜は45°に限らず、設計条件に応じて適度な傾斜角度に設定することができる。
【0077】
血液流通路204aはチューブ204の先端部で開口するとともに、他方が試験紙28まで連通しており、毛管現象により血液を導入することができる程度に細径に設定されている。チューブ204は、嵌合部200aの中央部に設けられた孔200bに挿入され、嵌合部200aの傾斜に応じて斜め下方45°の傾斜で延在している。穿刺針ユニット18が穿刺動作終了位置にあるとき、チューブ204の先端部と穿刺針34の親水性部34aとの距離は0.1mm以上1mm以下に設定されている。
【0078】
血液成分測定チップ12bに対応する光学測定部206は、前記の光学測定部178と同様に、試験紙28の面に合わせて、発光素子182及び受光素子184の向きが設定されている。
【0079】
このような血液成分測定チップ12bによれば、穿刺針34によって穿刺を行った後、図9に示すように、穿刺針ユニット18は前記と同様の穿刺動作終了位置で停止することになり、穿刺針34の先端部34cは穿刺箇所Pの近傍に配置される。従って、穿刺によって流出した血液塊164は時間にともなって次第に大きくなり、穿刺針34の先端に接触する。この後、血液は穿刺針34の親水性部34aに保持され、さらにチューブ204の先端に接触して表面張力、毛管現象の作用によって血液流通路204aを通って試験紙28まで導入される。
【0080】
次に、図10に示すように、第2の変形例に係る血液成分測定チップ12cは、穿刺針ユニット220と、ハウジング222とを有する。ハウジング222は前記ハウジング14に相当し、穿刺針ユニット220を保持している。ハウジング222には、前記血液成分測定チップ12aにおける試験紙ホルダー20や、該試験紙ホルダー20を装着する嵌合部14b、血液流通路26及び血液導入ガイド24がない点でハウジング14と相違する。ハウジング222の後方上面には小膨出部23が設けられている。
【0081】
穿刺針ユニット220は、先端の穿刺針224と、該穿刺針224を保持するハブ226と、後端の被把持部230と、一対の電線232とを有する。
【0082】
穿刺針224は中空針であって、ハブ226に支持されている部分がやや大径となっている。この大径部よりも先端側は毛管現象により血液を導入することができる程度に細径に設定されており、大径部も十分に狭く設定されている。穿刺針224の中空部224aの後端は、被把持部230に設けられた通気孔236及び中心孔238を介して後方に連通している。中空部224aの内表面は、先端部224bから電極242まで親水性処理がなされており、他方、穿刺針224の外面には親水性処理がなされず、疎水性である。
【0083】
電線232は、被把持部230の後方端上下両端面から該被把持部230の外表面を通り途中で壁を貫いて通気孔236を通って穿刺針224の中空部224aに亘って設けられている。各電線232の先端部には、それぞれ電極(測定部)242が設けられ、僅かに離間している。電極242は、穿刺針224における大径部のほぼ先端部に配置されている。設計条件により、電極242は、穿刺針224の後端側の開口部近傍に設けられていてもよい。
【0084】
電線232における被把持部230に配設された箇所と電極242以外の部分については絶縁被膜が設けられていることが好ましい。
【0085】
一方、血液成分測定装置10における被把持部230を把持する挟持材244(前記挟持材130に相当する。)の内腔側には、電線232に接触する一対の端子246が設けられている。端子246は前記制御基板170に接続されており、両電極242の周辺には反応試薬が塗布されている。この反応試薬により、血液成分が酵素反応によって変換され所定のメディエータを介した電子の授受によって電流値の計測が可能である。
【0086】
このような、血液成分測定チップ12cによれば、穿刺後、穿刺針ユニット220は前記と同位置の穿刺動作終了位置で停止し、穿刺針224の先端部224bは、穿刺箇所Pの近傍で血液塊164に接触する位置となる。先端部224bに接触した血液塊164は毛管現象によって中空部224aに沿って移動し、やがて一対の電極242を浸す。中空部224aの後端は通気孔236を介して後方に連通していることから、毛管現象が発生しやすく、血液を電極242まで導入しやすい。また、中空部224aは親水性であって、しかも穿刺針224の外面には親水性処理がなさていないことから、血液は親水性の高い中空部224aに集中的に流れ込み、血液が導入されやすい。一方、制御基板170では、端子246及び電線232を介して両電極242間の酵素反応に基づく電流値を計測し、これらの計測値から血糖値を求めて液晶モニタ172に表示することができる。
【0087】
次に、図11に示すように、第3の変形例に係る血液成分測定チップ12dは、穿刺針ユニット250と、ハウジング222とを有する。ハウジング222は前記ハウジング14に相当し、穿刺針ユニット250を保持している。
【0088】
穿刺針ユニット250は、先端の穿刺針252と、該穿刺針252を保持するハブ254と、中途部から拡径・突出したフランジ256と、後端の被把持部258と、フランジ256内に設けられた試験紙(測定部)260とを有する。試験紙260は前記試験紙28と同じ材質で、同じ試薬が含浸されたものであり、フランジ256内に装着可能な面積に裁断されている。
【0089】
穿刺針252は中空針であって、毛管現象により血液を導入することができる程度に細径に設定されている。中空部252aの内表面は、親水性処理がなされており、穿刺針252の外面には親水性処理がなさていない。被把持部258は中空部264を有する円筒形状であって、先端側がフランジ256の穴に嵌合しており、その先端面が試験紙260の一方の面で覆われている。試験紙260の他方の面は穿刺針252後端面に接触している。
【0090】
一方、血液成分測定装置10における把持バー266(前記把持バー118に相当する。)の先端中心部からは挟持材130と平行に延在するバー268が設けられており、中空部264に挿入されている。バー268の先端には発光素子182及び受光素子184が設けられ、試験紙260の近傍に配置されている。発光素子182及び受光素子184は前記の光学測定部178におけるものと同じであり、制御基板170の作用下に発光及び受光を行う。
【0091】
このような、血液成分測定チップ12dによれば、穿刺後、穿刺針ユニット250は前記と同位置の穿刺動作終了位置で停止し、穿刺針252の先端部252bは、穿刺箇所Pの近傍で血液塊164に接触する位置となる。先端部252bに接触した血液塊164は毛管現象によって中空部252aに沿って移動し、やがて試験紙260に含浸される。穿刺針252は、中空部252aの内表面は親水性であり、外面には親水性処理がなされていないことから、前記穿刺針224と同様に、毛管現象が発生しやすく、血液を試験紙260まで導入しやすい。一方、制御基板170では、前記と同様に、受光素子184から得られる受光光量及びその変化率等に基づいて血糖値を求め、液晶モニタ172に表示する。
【0092】
次に、図12Aに示すように、第4の変形例に係る血液成分測定チップ12eは、円筒型のハウジング300と、該ハウジング300内で軸方向に進退可能な穿刺針ユニット18と、ハウジング300の外側面に設けられた試験紙ホルダー20とを有する。ハウジング300は前記のハウジング14に相当するものであり、2つの弾性ストッパ302を有する点、及び小膨出部23がない点で相違する。また、血液成分測定チップ12e(及び血液成分測定チップ12f、12g)は、前記血液成分測定チップ12aと同様に、当接部22、試験紙28、血液流通路26、血液導入ガイド24を有する。
【0093】
弾性ストッパ302は、ハウジング300の上面及び下面の長孔300a内にそれぞれ設けられており、軸方向端部が長孔300aの端面と接続され、接続部を基準に外径方向に向かって弾性的に変形可能である。弾性ストッパ302の自由端には、ハウジング300の内腔方向に向かって一部分がやや突出するフック306が設けられている。フック306は、軸方向先端側(図12Aの左側)が略垂直面で、後端側は後方に向かってなだらかな傾斜面となっている。フック306における傾斜面の端部は、ハウジング300の内周面よりも外径方向に奥まった位置にある。図12Aにおいては弾性ストッパ302は軸方向前方でハウジング300と接続されているが、フック306の垂直面及び傾斜面の向きが変わらなければ、軸方向後方でハウジング300と接続されていてもよい。
【0094】
このような、血液成分測定チップ12eによれば、図12Bに示すように、穿刺針ユニット18が前進する際には、ハブ36のフランジ38の外周面がフック306の傾斜面に対して摺動、押圧し、弾性ストッパ302を弾性的に外径方向に向かって押し出しながら当該箇所を通過することになる。弾性ストッパ302は柔らかいため、穿刺針ユニット18が通過する際に接触してもほとんど制動させることがなく進行動作を許容し、穿刺針34は勢いよく突出して穿刺を行うことができる。
【0095】
図12Cに示すように、穿刺を行う際にはフランジ38はフック306を通過しており、弾性ストッパ302は元の位置に復帰する。この後、図12Dに示すように、穿刺針ユニット18が後退する際には、フランジ38の後端面は略垂直面であることからフック306の垂直面に当接する。この場合、弾性ストッパ302には軸方向の力のみが作用し、外径方向に向かう力は受けないため弾性変形することがない。したがって、穿刺針ユニット18はその位置、つまり前記の穿刺動作終了位置と同じ位置で停止し、穿刺針34は穿刺箇所の近傍に配置される。
【0096】
従来のチップにおいては、穿刺針は穿刺を行って測定用に適度に流出をさせるという作用のみを有し、穿刺を行った後には無用であることから当接部から十分に退動させるように設定されていたのであるが、血液成分測定チップ12e(及び血液成分測定チップ12f、12g)では、その穿刺動作終了位置を規制し、過度に戻ることがないようにしている。したがって、血液塊164は、穿刺針34の先端部34cに接触し、表面張力によって穿刺針34の表面から血液導入ガイド24、血液流通路26を通って試験紙28まで導入されやすい。また、弾性ストッパ302を有することから、血液成分測定装置10には第2弾性片122、小突出片157、第1ストップレバー152、第2ストップレバー153等のストッパが不要であり、これらのストッパのない従来の血液成分測定装置に適用することも可能である。
【0097】
次に、図13Aに示すように、第5の変形例に係る血液成分測定チップ12fは、円筒型のハウジング308と、該ハウジング308内で軸方向に進退可能な穿刺針ユニット310と、ハウジング308の外側面に設けられた試験紙ホルダー20とを有する。ハウジング308は前記のハウジング14に相当するものであり、内周面に螺旋溝312及び導入溝314を有する点、及び小膨出部23がない点で相違する。また、穿刺針ユニット310は、螺旋溝312に係合する突起316をフランジ38の側面に有する点で前記の穿刺針ユニット18と相違する。
【0098】
螺旋溝312は、穿刺針ユニット310の進出距離に対応して略90°旋回する螺旋形状であり、血液成分測定装置10において調整される穿刺深さ以上の余裕ある長さに設定されている。螺旋溝312の先端部には、螺旋の旋回方向(図13Aにおける上方)にやや幅の広くなった鉤溝部(ストッパ)318が設けられている。鉤溝部318の旋回方向端部と螺旋溝312の前端部は軸方向直線状に接続されており、鉤溝部318は略三角形状をなしている。
【0099】
導入溝314はハウジング308の後端部から直線状に設けられ、螺旋溝312の後端部に連通している。穿刺針ユニット310は、突起316を導入溝314に係合させながらハウジング308の後方から挿入し、突起316が導入溝314と螺旋溝312との連結部に達したときに位置が固定される(図13B参照)。導入溝314と螺旋溝312との連結部の溝幅をやや狭く設定し、突起316の側面と軽く接触させ、シール作用を奏するようにしてもよい。
【0100】
このような、血液成分測定チップ12fによれば、図13Cに示すように、穿刺針ユニット310が前進し穿刺する際には、突起316が螺旋溝312に沿って移動するため、穿刺針ユニット310は図13Cの矢印の向きに旋回しながら前進することになる。
【0101】
図13Dに示すように、穿刺針ユニット310が後退する際、穿刺針ユニット310には回転力がある程度残存していることから、突起316は鉤溝部318における旋回方向側面の直線状部分に沿って摺動しながら後退し、鉤溝部318の後方端面に当接して停止することになる。この停止位置は、前記の穿刺動作終了位置と同じ位置であり、穿刺針34は穿刺箇所の近傍に配置される。なお、この血液成分測定チップ12fを用いる場合には、フランジ38を把持する血液成分測定装置10における把持バー118を回転可能な構成にしておくとよい。
【0102】
次に、図14Aに示すように、第6の変形例に係る血液成分測定チップ12gは、ハウジング320と、該穿刺針ユニット18と、試験紙ホルダー20と、ゴムリング(ストッパ、弾性リング)322とを有する。ハウジング320は前記のハウジング14に相当するものであり、小膨出部23がない点で相違する。
【0103】
ゴムリング322は、穿刺針ユニット18のハブ36の周上でフランジ38に接する位置まで挿入されている。ゴムリング322は、断面が左右(図14Aの上下)非対称である。具体的には、ゴムリング322の後端面においては、外周はハブ36と同心であってハウジング320の内周面と軽く当接している一方、内周は偏心しており下方に断面三角状の隙間324aが生じている。フランジ38の前端における周端部はゴムリング322の後端面と当接している。ゴムリング322の前端面においては、内周はハブ36に当接している一方、外周は偏心しており上方に断面三角状の隙間324bが生じている。
【0104】
このような、血液成分測定チップ12gによれば、図14Bに示すように、穿刺針ユニット18が前進し穿刺する際、ゴムリング322の後端面はフランジ38の前端から均等に力を受け、穿刺針ユニット18と一体的に前進する。
【0105】
図14Cに示すように、穿刺針ユニット18が後退する際、ゴムリング322はハブ36との当接部の摩擦力により、穿刺針ユニット18とともに後退しようとするが、断面が非対称であり、しかもハブ36との当接面積が異なることから摩擦力の差を生じ、バランスがくずれて、ゴムリング322は弾性的にねじれる。これにより、穿刺針ユニット18の後退にともなって、ゴムリング322の一部がハブ36の表面を強く押圧することになり、穿刺針ユニット18はやがて停止する。この停止位置は、前記の穿刺動作終了位置と同じ位置であり、穿刺針34は穿刺箇所の近傍に配置される。この際、ゴムリング322は適度な弾性と表面の摩擦力により停止時の振動及び衝撃を抑制し、好適な制動性能が得られる。穿刺針ユニット18の停止位置が規定の穿刺動作終了位置となるためには、ゴムリング322の形状や材質等を計算又は実験等に基づいて設定するとよい。なお、図10〜図14Cにおいては、理解を容易にするため、装着される血液成分測定装置10の図示を省略している。
【0106】
上述したように、本実施の形態に係る血液成分測定装置10及び血液成分測定チップ12a〜12gによれば、ストッパにより穿刺針ユニット18、220、250、310の退動を規制することにより、退動する際の減衰振動が抑制され、振動が伝わることによる操作者の違和感や不安定感を払拭し、安定した操作感覚を与えることができる。また、これらの機構によれば実際上ほとんど振動は発生しない。
【0107】
さらに、穿刺針34、224、252の先端部が皮膚162から流出した血液塊164に接触する位置に設定されていると、該血液塊164は各先端部に捕捉され、表面張力又は毛管現象の作用によって穿刺針34、224、252に沿って大きくなり、又は移動し、流出により得られる血液塊164がより少量であっても測定部又はそのガイド部まで導入することができる。これにより、血液を測定部又はそのガイド部まで導入するために穿刺針34、224、252を有効に利用することができ、血液を導入する機構を簡便に構成することができる。また、血液はより確実に測定部まで導入される。
【0108】
また、血液導入ガイド24a及び24bは、穿刺針34から血液が導入されることから、穿刺箇所Pを囲むような複雑な形状である必要はなく、例えば単純な円柱形状とすることができ、設計及び製作が容易である。
【0109】
さらに、穿刺を行った後には、穿刺針は皮膚から抜かれるため、痛みが継続することがない。さらにまた、血液塊164は少量で足りるため穿刺深さを浅く設定することができ、痛みが軽減する。実際上、痛みを感じるのは穿刺を行う一瞬のみであり、穿刺感と呼ぶべきものである。
【0110】
上記の各実施例では、穿刺装置を兼ねる血液成分測定装置10及び血液成分測定チップ12a〜12gについて説明したが、本発明は血液成分測定機能のない穿刺専用の装置やチップに適用可能であることはもちろんである。
【0111】
本発明に係る穿刺装置装置及び穿刺針チップは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施の形態に係る血液成分測定装置及び血液成分測定チップを示す断面側面図である。
【図2】本実施の形態に係る血液成分測定装置の一部断面平面図である。
【図3】血液成分測定チップを装着した血液成分測定装置の正面図である。
【図4】穿刺針ユニットがが穿刺動作終了位置で停止した状態の血液成分測定装置の一部拡大断面側面図である。
【図5】穿刺針の中途部に環状突起部を有する血液成分測定チップ及び血液成分測定装置の先端部の拡大断面側面図である。
【図6】穿刺針ユニットが穿刺準備位置にある状態の血液成分測定装置の断面側面図である。
【図7】穿刺針が突出した状態の血液成分測定装置の断面側面図である。
【図8】穿刺針ユニットが穿刺動作終了位置で停止した状態の血液成分測定装置の断面側面図である。
【図9】第1の変形例に係る血液成分測定チップ及び血液成分測定装置の先端部の断面側面図である。
【図10】第2の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図である。
【図11】第3の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図である。
【図12】図12Aは、穿刺針ユニットが初期位置にある状態の第4の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図12Bは、穿刺針ユニットが前進している状態の第4の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図12Cは、穿刺針ユニットが穿刺状態の第4の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図12Dは、穿刺針ユニットが穿刺動作終了位置にある状態の第4の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図である。
【図13】図13Aは、穿刺針ユニットが初期位置にある状態の第5の変形例に係る血液成分測定チップの分解側面図であり、図13Bは、穿刺針ユニットが初期位置にある状態の第5の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図13Cは、穿刺針ユニットが穿刺状態の第5の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図13Dは、穿刺針ユニットが穿刺動作終了位置にある状態の第5の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図である。
【図14】図14Aは、穿刺針ユニットが初期位置にある状態の第6の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図14Bは、穿刺針ユニットが穿刺状態の第6の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図であり、図14Cは、穿刺針ユニットが穿刺動作終了位置にある状態の第6の変形例に係る血液成分測定チップの断面側面図である。
【符号の説明】
【0113】
10…血液成分測定装置 12a〜12g…血液成分測定チップ
14、200、222、300、308、320…ハウジング
18、310…穿刺針ユニット 20、202…試験紙ホルダー
22…当接部 24、24a、24b…血液導入ガイド
26、204a…血液流通路 28、260…試験紙
34、224、252…穿刺針 34a…親水性部
34c、224b、252b…先端部 106…プランジャ
108…駆動用コイルスプリング(第1付勢手段)
110…戻し用コイルスプリング(第2付勢手段)
122…第二弾性片(ストッパ) 152、153…ストップレバー
158…引張コイルスプリング 162…皮膚
164…血液塊 302…弾性ストッパ
306…フック 312…螺旋溝
314…導入溝 318…鉤溝部
322…ゴムリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺針とともに用いる穿刺装置であって、
前記穿刺針を所定の基準位置から皮膚の穿刺箇所に向かって進出させる第1付勢手段と、
前記第1付勢手段によって前記皮膚を穿刺した前記穿刺針を退動させる第2付勢手段と、
前記穿刺箇所の周囲の皮膚に当接する当接部と、
前記穿刺針が退動する際に、前記穿刺針を規定の穿刺動作終了位置に停止させるストッパと、
を有することを特徴とする穿刺装置。
【請求項2】
請求項1記載の穿刺装置において、
前記穿刺動作終了位置は、前記第1付勢手段と前記第2付勢手段との釣り合う位置よりも先端側に設定されていることを特徴とする穿刺装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の穿刺装置において、
前記穿刺動作終了位置は、前記穿刺針の先端部が前記皮膚から流出した血液塊に接触する位置に設定されていることを特徴とする穿刺装置。
【請求項4】
請求項3記載の穿刺装置において、
前記穿刺動作終了位置にある前記穿刺針の先端に当接した皮膚との最短距離は0.1mm以上3mm以下であることを特徴とする穿刺装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の穿刺装置において、
着脱自在な穿刺針チップを備え、
前記穿刺針は、前記穿刺針チップにおけるハウジング内に進退自在に保持されるとともに、前記第1付勢手段と前記第2付勢手段に当接するプランジャに係合・保持されることを特徴とする穿刺装置。
【請求項6】
請求項5記載の穿刺装置において、
前記ストッパは、前記ハウジングの外表面に設けられた膨出部と、
前記プランジャに設けられ、前進時に前記膨出部に乗り上げ、押し上げられる弾性片と、
前記プランジャの退動時に、前記弾性片の一部に係合する係合部と、
を有することを特徴とする穿刺装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の穿刺装置において、
採取された血液の成分を測定する測定部と、
前記ハウジングの内壁面から内腔方向に向かって延在し、血液を前記測定部へ導入する血液導入部と、
を有することを特徴とする穿刺装置。
【請求項8】
請求項5又は6記載の穿刺装置において、
採取された血液の成分を測定する測定部を有し、
前記穿刺針は中空針であり、前記測定部は前記穿刺針の後端側の開口部近傍、又は前記穿刺針の中空部に設けられていることを特徴とする穿刺装置。
【請求項9】
ハウジング内を進退自在な穿刺針を備え、穿刺装置に装着される穿刺針チップにおいて、
前記穿刺針による穿刺箇所の周囲の皮膚に当接する当接部と、
前記穿刺装置の操作によって前記穿刺針が皮膚に向かって進行する際に進行動作を許容するとともに後退する際に後退動作を制限し、規定の穿刺動作終了位置に停止させるストッパと、
を有することを特徴とする穿刺針チップ。
【請求項10】
請求項9記載の穿刺針チップにおいて、
前記穿刺動作終了位置は、前記穿刺針の先端部が前記皮膚から流出した血液塊に接触する位置に設定されていることを特徴とする穿刺針チップ。
【請求項11】
請求項10に記載の穿刺針チップにおいて、
前記穿刺動作終了位置にある前記穿刺針の先端に当接した皮膚との最短距離は0.1mm以上3mm以下であることを特徴とする穿刺針チップ。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の穿刺針チップにおいて、
前記ストッパは、前記ハウジングに設けられた弾性体と、該弾性体の先端に設けられ、前記ハウジングの内周面よりも内周側に突出するフックとを有することを特徴とする穿刺針チップ。
【請求項13】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の穿刺針チップにおいて、
前記ストッパは、前記ハウジングの内周面に設けられた螺旋溝と、該螺旋溝の先端に設けられた鉤溝とを有し、
前記穿刺針を保持するハブに設けられた突起部が前記螺旋溝及び前記鉤溝に係合することを特徴とする穿刺針チップ。
【請求項14】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の穿刺針チップにおいて、
前記ストッパは、断面左右非対称の弾性リングであり、前記穿刺針を保持する支持部材に挿入されていることを特徴とする穿刺針チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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