説明

穿刺装置

【課題】装着された穿刺針チップのケーシングがその装着が解除される方向へ移動するのを防止または抑制することができる穿刺装置を提供すること。
【解決手段】穿刺装置1は、先端部に穿刺針チップ12を着脱自在に装着し、生体表面を穿刺するときに用いられる装置である。穿刺装置1は、穿刺針チップ12のケーシング18が着脱自在に装着される装着部150を先端部に有する中空のハウジングと、装着部150の構成材料よりもケーシング18に対する摩擦係数が高い材料で構成され、装着部150の内側に突出するように設けられ、ケーシング18が装着部150に装着された状態で、ケーシング18に当接する当接部材6と、穿刺針チップ12を穿刺装置1から取り外すイジェクト機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、糖尿病患者の増加に伴い、日常の血糖値の変動を患者自身がモニターする自己血糖測定が推奨されてきている。この血糖値の測定には、血液中のブドウ糖量を自動的に測定する血糖測定装置が用いられる。この測定に先立ち、患者は、自分の血液を採取する必要がある。
【0003】
血液を採取する方法としては、穿刺針により指先の皮膚を穿刺した後、その穿刺部周辺を指等で圧迫して血液を絞り出す。この指先の穿刺には、穿刺針と穿刺針を収納するケーシングとを有する穿刺針チップと、穿刺針チップが着脱自在に装着される装着部とその装着状態で穿刺針と連結するプランジャとを有する穿刺装置とで構成された穿刺器具セット(例えば、特許文献1参照)が用いられる。具体的には、まず、一方の手の指でキャップが装着された穿刺針チップを把持し、他方の手の指で穿刺装置を把持し、穿刺針チップを穿刺装置に挿入して装着する。そして、穿刺針チップのケーシングからキャップを取り外し、この後、その装着状態で穿刺ボタンを押下して穿刺装置を作動させることにより、穿刺針チップの穿刺針を一瞬突出させ、指先を穿刺する。そして、指先の穿刺後、すなわち、使用後には、穿刺針チップを穿刺装置から取り外す。なお、穿刺針チップの再使用を防止するため、一度穿刺操作がなされた穿刺針チップは、再度使用できないように構成されている。
【0004】
しかしながら、従来の穿刺装置では、穿刺針チップのケーシングからキャップを取り外す際、ケーシングとキャップとの嵌合力が比較的強い場合は、穿刺針チップが穿刺装置から取り外される方向に移動してしまい、これにより、穿刺する際、穿刺針チップの先端開口から針先が突出しなくなったり、突出量が減少して十分な穿刺ができなくなるというおそれが生じる。また、前記キャップを取り外す際に限らず、一度装着した穿刺針チップを誤って、取り外してしまうか、または、取り外す方向に移動させてしまうことがあり、穿刺針チップが穿刺操作がなされた場合と同じ状態、あるいは針先が突出しない状態、すなわち、その使用ができない状態になってしまうというおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/91402号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、装着された穿刺針チップのケーシングが装着部から離脱する方向へ移動するのを防止または抑制することができる穿刺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) 先端に鋭利な針先を有する針体と該針体の基端部に固定された針ハブとを有する穿刺針と、該穿刺針をその軸方向に沿って移動可能に収納し、前記針先が突出可能な開口を有する筒状のケーシングとを備える穿刺針チップを先端部に着脱自在に装着して用いられる穿刺装置であって、
前記ケーシングが着脱自在に装着される装着部を先端部に有する中空のハウジングと、
前記装着部の構成材料よりも前記ケーシングに対する摩擦係数が高い材料で構成され、前記装着部において該装着部の内側に突出するように設けられ、前記ケーシングが前記装着部に装着された状態で、前記ケーシングに当接する当接部材と、
前記ケーシングを前記ハウジングに対して先端方向に移動させ、前記穿刺針チップを当該穿刺装置から取り外すイジェクト機構とを備えることを特徴とする穿刺装置。
【0008】
(2) 前記当接部材は、前記装着部の周方向に沿って、連続的に設けられている上記(1)に記載の穿刺装置。
【0009】
(3) 前記当接部材は、前記装着部の周方向に沿って、間欠的に設けられている上記(1)に記載の穿刺装置。
【0010】
(4) 前記装着部は、内周から外周まで貫通するスリットを有し、
前記当接部材は、前記スリットに挿入された状態で前記装着部に固定されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の穿刺装置。
【0011】
(5) 前記装着部の軸方向に沿って、複数の前記当接部材が並設されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の穿刺装置。
【0012】
(6) 前記複数の当接部材は、第1の当接部材と、前記第1の当接部材よりも基端側に配置され、前記第1の当接部材よりも前記ケーシングに対する摩擦力が大きい第2の当接部材と含む上記(5)に記載の穿刺装置。
【0013】
(7) 前記穿刺針チップは、前記ケーシングに嵌合したキャップを有し、
前記キャップと前記ケーシングの嵌合力よりも、前記当接部材と前記ケーシングとの間の摩擦力の方が大きい上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の穿刺装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、穿刺針チップのケーシングが装着部に装着された状態で、当接部材の摩擦力により、装着された穿刺針チップのケーシングが装着部から離脱する方向へ移動するのを防止または抑制することができる。これにより、装着された未使用の穿刺針チップが、使用前にその使用ができない状態になってしまうことや、使用時に針先が穿刺針チップの先端開口から突出しないということを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の穿刺装置の第1実施形態と、穿刺針チップとで構成された穿刺器具セットを示す斜視図である。
【図2】図1に示す穿刺針チップの断面図である。
【図3】図1に示す穿刺器具セットの分解斜視図である。
【図4】図1に示す穿刺装置の前端部材の斜視図である。
【図5】図1に示す穿刺装置の前端部材、当接部材および穿刺針チップのケーシングを示す水平断面図(図4中のA−A線での断面図に相当)である。
【図6】図1に示す穿刺器具セットの作用を説明するための縦断面図である。
【図7】図1に示す穿刺器具セットの作用を説明するための縦断面図である。
【図8】図1に示す穿刺器具セットの作用を説明するための縦断面図である。
【図9】図1に示す穿刺器具セットの作用を説明するための縦断面図である。
【図10】図1に示す穿刺器具セットの作用を説明するための縦断面図である。
【図11】本発明の穿刺装置の第2実施形態における前端部材、当接部材および穿刺針チップのケーシングを示す水平断面図(図4中のA−A線での断面図に相当)である。
【図12】本発明の穿刺装置の第3実施形態における前端部材および当接部材を示す横断面図である。
【図13】本発明の穿刺装置の第4実施形態における前端部材および当接部材を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の穿刺装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の穿刺装置の第1実施形態と、穿刺針チップとで構成された穿刺器具セットを示す斜視図、図2は、図1に示す穿刺針チップの断面図、図3は、図1に示す穿刺器具セットの分解斜視図、図4は、図1に示す穿刺装置の前端部材の斜視図、図5は、図1に示す穿刺装置の前端部材、当接部材および穿刺針チップのケーシングを示す水平断面図(図4中のA−A線での断面図に相当)、図6は、図1に示す穿刺装置の前端部材、第2接続体、移動阻止部材および穿刺針チップのケーシングを示す水平断面図、図6〜図10は、図1に示す穿刺器具セットの作用を説明するための縦断面図である。
【0017】
なお、以下では、各図において、軸方向をX方向とし、X1方向を「先端」、「前端」または前方」とし、X2方向を「基端」、「後端」または「後方」として説明を行う。
【0018】
各図に示す穿刺装置1は、先端部に穿刺針チップ12を着脱自在に装着して用いられる装置であり、穿刺針チップ12を装着した装着状態、すなわち図1に示す状態で、生体表面を穿刺するために用いられる。
【0019】
図1に示すように、穿刺器具セット10は、穿刺針チップ12と、その穿刺針チップ12が先端部に着脱自在に装着される穿刺装置1とを有している。
【0020】
まず、穿刺針チップ12について説明する。
図2及び図3に示すように、穿刺針チップ12は、チップ本体13と、チップ本体13に着脱自在に装着されるキャップ14とを有する。チップ本体13は、皮膚を穿刺する穿刺針15と、穿刺針15に係合している摺動リング(移動制限手段)16と、穿刺針15を内部に摺動可能に保持する筒状のケーシング18とを有する。
【0021】
穿刺針15は、先端の針(針体)20と、該針20の後方部と一体的に成型され、又は接着されたハブ22とを有する。ハブ(針ハブ)22は、周状に等角度間隔で並ぶ前方に突出した4本の弾性レバー24と、後方の円筒形状の摺動支持部26と、後端に突出した被把持突起28とを有する。摺動支持部26及び摺動リング16の外径は、ケーシング18の内径と略同径であって、ケーシング18内を軸方向に摺動可能である。
【0022】
4本の弾性レバー24は摺動リング16の内部に挿入され、摺動リング16に当接している。摺動リング16はその後端面が、ハブ22に設けられた微小段差24aに当接しており、穿刺針15が前進する際には、同時に押し出されることになる。また、弾性レバー24の摺動リング16との当接部には突起や段差がなく、穿刺針15が後退する際には摺動リング16は抜かれやすい。
【0023】
ケーシング18は、筒形状であって先端の縮径部32と、該縮径部32の後方に設けられた内周段差部34と、中程やや前方における内周面に僅かに突出した3つの前方膨出部36と、後方内周面に僅かに突出した後方環状膨出部40と、中程の外周に設けられたスカート41とを有する。
【0024】
前方膨出部36は、穿刺針15が前進する際に摺動リング16が乗り超えられる程度の低い膨出部である。前方膨出部36は、例えば3つ程度が等間隔に設けられ、後方側がなだらかで前方が比較的急な傾斜となっており、摺動リング16が後方からは乗り越えやすく、前方からは乗り越えられない。摺動支持部26の周面30は、後方環状膨出部40と適度な強度で嵌合して固定されている。この嵌合は、いわゆる圧入状態となっている。後方環状膨出部40と周面30の嵌合により針20の後方部は気密性が保たれる。周面30と後方環状膨出部40との嵌合は、例えば周面30に適度なアンダーカットを設け該アンダーカットに後方環状膨出部40が嵌り込むような構成としてもよい。
【0025】
縮径部32は、外周面及び内周面とも先端に向かって縮径する形状であって、先端には円形の開口部42が設けられている。
【0026】
スカート41は環状体であって、断面視で(図2参照)ケーシング18の外周から突出して後端側に伸び、ケーシング18との間に嵌合隙間部41aを形成している。
【0027】
また、ケーシング18のスカート41よりも基端側の外周部には、複数のリブ44が突出形成されている。各リブ44は、軸方向に延長している。また、各リブ44は、ケーシング18の外周部の周方向に沿って、ケーシング18の中心軸回りに等角度間隔に配置されている。
【0028】
図2に示すように、キャップ14は、有底筒状をなしており、ケーシング18の縮径部32に嵌合し、開口部42を塞ぐ。すなわち、キャップ14は、縮径部32に着脱自在に装着され、開口部42を気密的に封止する。
【0029】
次に、穿刺針チップ12が装着される穿刺装置1について説明する。
図3及び図6(a)に示すように、穿刺装置1はケース本体102をベースに構成されており、穿刺深さの設定を行うダイヤル部104と、軸方向に進退可能なプランジャ106と、該プランジャ106の中段部に同軸配置された駆動用コイルスプリング108と、後端部に同軸配置された戻し用コイルスプリング110とを有する。ケース本体102は、中空、本実施形態では、筒状をなしている。
【0030】
穿刺装置1は、さらに、ダイヤル部104をケース本体102の後端側に回転自在に保持する後端部材112と、ケース本体102の先端側の側部に形成された孔114に配置される穿刺ボタン116と、ケース本体102の先端に設けられ穿刺ボタン116を内向きに変位可能に弾性的に保持する前端部材118とを有する。なお、ケース本体102、後端部材112および前端部材118により、穿刺装置1のハウジングの主要部が構成される。
【0031】
また、穿刺装置1は、後端部材112の内腔部においてその後端部材112に対して進退自在のプッシャ120と、ケース本体102内にケース本体102に対してその軸方向に移動可能に設置され、プッシャ120に接続される第1接続体122と、ケース本体102および前端部材118内にその軸方向に移動可能に設置され、第1接続体122に接続される第2接続体124とを有する。
【0032】
プランジャ106は、駆動用コイルスプリング108の一端を支持する中段部の第1ばね座130と、外向きフック形状で後端に設けられた一対の第2ばね座132と、ハブ22の被把持突起28に嵌合する把持バー134と、上方中段部から前方に向けて延在する弾性片136と、やや後方の下部に設けられた小突起138を有する。なお、把持バー134により、穿刺針15が着脱自在に装着される装着部が構成される。
【0033】
後端部材112の先端側内面には、周方向に配列され、軸方向高さの異なる複数の階段部139を有する。階段部139は、穿刺時にプランジャ106が前方に勢いよく移動するときに該プランジャ106の小突起138が当接し、針20の突出長さを調整するためのものである。つまり、ダイヤル部104を回転することにより階段部139が周方向に移動し、小突起138の当接する階段部139の高さが異なることによって針20の突出長さが調整されて、穿刺深さを調整することができる。
【0034】
後端部材112の前端面112aは、プランジャ106が後方に移動するときに第1ばね座130が当接するのに十分な面積を有し、該プランジャ106の後方への移動を規制するストッパとして作用する。
【0035】
把持バー134は、スリットにより2つに分かれた円筒形状であり、やや弾性変形しながらハブ22の被把持突起28に嵌合して適度な摩擦力により該ハブ22を保持することができる。弾性片136は先端上部の第1突起140と、やや後方の第2突起142とを有する。第1ばね座130は、第1接続体122の一部が連通する開口144が左右に設けられている。また、第1ばね座130は後方に開口するカップ形状となっている。
【0036】
前端部材118は、先端側に、穿刺針チップ12のケーシング18が着脱自在に装着される装着部150を有する。装着部150は、外面が先端に向かいやや縮径するテーパを有する筒形状であり、ケース本体102からやや突出している。
【0037】
装着部150の先端部の外径は、前記のスカート41の嵌合隙間部41a及びケース本体102の先端の筒形状部151の内径部にちょうど嵌合するように設定されている。
【0038】
ケース本体102の先端の筒形状部151の板厚は適度に厚く、スカート41の後端部41bが当接する受け座として作用する。以下、筒形状部151を受け座151とも呼ぶ。装着部150の内腔部は、穿刺針チップ12が装着される装着穴153となっている。初期状態では、装着穴153にはプランジャ106の把持バー134が配置されている。
【0039】
また、装着部150の内周部には、複数のリブ162が突出形成されている。各リブ162は、軸方向に延長している。また、各リブ162は、装着部150の内周部の周方向に沿って、装着部150の中心軸回りに等角度間隔に配置されている。なお、図示の構成では、装着部150に穿刺針チップ12のケーシング18を装着する際、ケーシング18の隣り合う2つのリブ44の間に装着部150のリブ162が位置し、同様に、隣り合う2つのリブ162の間にリブ44が位置するように構成されている。このようなリブ162および44を設けることにより、穿刺針チップ12のその径方向への移動が規制され、穿刺針15をプランジャ106に確実に装着することができる。
【0040】
前端部材118における装着部150以外の箇所はケース本体102内に挿入されており、穿刺ボタン116を保持する保持部152と、プランジャ106が駆動用コイルスプリング108を圧縮して後端側に移動したときに該プランジャ106の第1突起140に係合するトリガストッパ154とを有する。
【0041】
第1接続体122は、後方が筒体で、前方に2本のアーム156を有する。2本のアーム156は、プランジャ106の各開口144に挿通している。第2接続体124は上面が開口した筒体であり、後端に各アーム156のスリットに係合する係合片158を有する。つまり、第1接続体122と第2接続体124とは係合片158を介して一体的に接続されており、プッシャ120を押し込むことにより第1接続体122と第2接続体124は一体的に移動する。なお、添付の縦断面図、例えば、図6(a)、図6(b)等では、その断面位置により、第1接続体122と第2接続体124は一部しか表れていないが、該第1接続体122及び第2接続体124がプッシャ120と一体的な構成となっていることは図3から容易に理解されよう。
【0042】
第1接続体122の後方の筒状部はプランジャ106の後方側を覆うように配置され、第2接続体124はプランジャ106の前方側を覆うように配置され、プランジャ106は、第1接続体122及び第2接続体124の内側で軸方向に進退可能である。
【0043】
なお、プッシャ120、第1接続体122および第2接続体124により、穿刺針チップ12のケーシング18をケース本体102および前端部材118に対して先端方向に移動させて穿刺針チップ12を穿刺装置1から取り外すイジェクト機構の主要部が構成される。また、第2接続体124により、ケーシング18の基端部を押圧してそのケーシング18を先端方向に移動させるイジェクト部材が構成される。
【0044】
また、軸方向に移動可能に設置され、穿刺針15が着脱自在に装着される装着部である把持バー134を有するプランジャ106と、プランジャ106を先端方向に付勢する付勢部材である駆動用コイルスプリング108と、駆動用コイルスプリング108により先端方向に付勢されたプランジャ106の係合部である第1突起140に係合し、プランジャ106の移動を阻止するトリガストッパ154とにより、穿刺針15を少なくとも発射準備位置から穿刺位置まで移動させる穿刺動作を行う穿刺機構の主要部が構成される。
【0045】
また、穿刺ボタン116は、前記穿刺機構を発動させ、前記穿刺動作を開始させる操作を行うものである。すなわち、穿刺ボタン116を押下することにより、プランジャ106の第1突起140とトリガストッパ154との係合状態が解除され、穿刺動作が開始される。
【0046】
さて、この穿刺装置1では、図4および図5に示すように、前端部材118の装着部150に、装着部150の構成材料よりもケーシング18に対する摩擦係数が高い材料で構成された当接部材6が設置されている。
【0047】
この当接部材6は、装着部150の内側に突出するように設けられ、穿刺針チップ12のケーシング18が装着部150に装着された状態(以下、単に「装着状態」とも言う)で、ケーシング18に当接し、ケーシング18が装着部150から離脱する方向(ケーシング18の装着が解除される方向)、すなわち先端方向への前端部材118に対するケーシング18の移動を阻止するものである。以下、当接部材6について説明する。
【0048】
まず、前端部材118の装着部150は、その内周から外周まで貫通するスリット164を有している。このスリット164は、装着部150の周方向に沿って、全周に満たない範囲に設けられている。すなわち、図示の構成では、スリット164は、C字状をなしている。
【0049】
当接部材6は、スリット164に挿入された状態で装着部150に固定されている。この固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接着、熱融着、超音波融着等の融着等が挙げられる。また、2色成形等により、装着部150と当接部材6とを一体的に形成してもよい。
【0050】
また、当接部材6は、装着部150の周方向に沿って、連続的に設けられている。すなわち、図示の構成では、当接部材6は、スリット164の形状と同様、C字状をなしている。
【0051】
この場合、当接部材6およびスリット164は、装着部150の中心軸を中心とする中心角θで、例えば、180°以上の範囲に設けられていることが好ましく、210°〜270°程度の範囲に設けられていることがより好ましい。
【0052】
また、当接部材6は、装着部150のリブ162のない部位の内周面よりも内側(中心軸側)に突出し、リブ162よりは突出していない。すなわち、当接部材6の装着部150の内周面から突出する高さは、リブ162の高さよりも低く設定されている。これにより、後述するように、ケーシング18が装着部150に装着される際、ケーシング18の各リブ44が当接部材6を確実に乗り越えることができる。また、装着状態で、当接部材6が、ケーシング18の各リブ44に確実に当接することができる。
【0053】
また、当接部材6の装着部150のリブ162のない内周面からの突出長Lは、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるが、0.3mm〜1.2mm程度であることが好ましく、0.5mm〜0.8mm程度であることがより好ましい。
【0054】
なお、当接部材6は、装着部150のリブ162よりも中心軸側に突出していてもよい。すなわち、突出高さは、リブ162の高さよりも高く設定されていてもよい。また、当接部材6の突出高さは、リブ162の高さと同一に設定されていてもよい。
【0055】
また、装着部150の外周面と、当接部材6の外周面とは、同一面上に位置している。すなわち、装着部150の外周面と、当接部材6の外周面とが、段差のない連続面を形成している。これにより、当接部材6の外周側の部位が邪魔になることを防止することができる。また、当接部材6のケーシング18に当接する部分は、丸みを帯びている。
【0056】
このような当接部材6の構成材料としては、装着部150の構成材料よりもケーシング18に対する摩擦係数が高いものであれば、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが好ましい。なお、これらのうちの2種以上を混合して用いることもできる。
【0057】
ここで、図5に示すように、穿刺針チップ12のケーシング18が装着部150に装着された状態では、当接部材6が、装着された穿刺針チップ12のケーシング18の各リブ44の表面に圧接する。これにより、当接部材6とケーシング18との間に大きな摩擦力が生じ、前端部材118に対してケーシング18が先端方向へ移動することが確実に阻止される。なお、キャップ14とケーシング18の嵌合力よりも、当接部材6とケーシング18との間の摩擦力の方が大きい。これにより、キャップ14をケーシング18から取り外す際、前端部材118に対してケーシング18が先端方向へ移動することがなく、装着された未使用の穿刺針チップ12が、使用前にその使用ができない状態や、針先が十分突出しない状態になってしまうことを防止することができる。
【0058】
また、当接部材6とケーシング18との間の摩擦力は、穿刺針チップ12を手指で把持してその穿刺針チップ12を先端方向に引っ張ってもケーシング18が容易に移動しない程度に設定することが好ましい。これにより、イジェクト機構で穿刺針チップ12を穿刺装置1から取り外す場合を除いて、装着された穿刺針チップ12のケーシング18が装着部150から離脱する方向へ移動することを確実に防止することができる。
【0059】
次に、このように構成される穿刺器具セット10及び穿刺装置1の作用について説明する。
【0060】
図6(a)および図6(b)に示すように、先ず、使用者は、穿刺装置1およびキャップ14が装着された未使用の穿刺針チップ12を把持し、その穿刺針チップ12を穿刺装置1の装着穴153に差し込んで後端側に向かって押し込む。このとき、ハブ22の被把持突起28に対してプランジャ106の把持バー134が係合する。すなわち、穿刺針15がプランジャ106に装着される。
【0061】
図7(a)に示すように、穿刺針チップ12をさらに後端側に向かって押し込むと、ケーシング18からハブ22及びプランジャ106を介して駆動用コイルスプリング108を圧縮し、やがてプランジャ106における第1ばね座130のカップ状の後端部が後端部材112の前端面112aに当接する。これによりプランジャ106の後端側への移動が規制される。また、弾性片136が一旦弾性変形した後に第1突起140がトリガストッパ154に係合しプランジャ106が駆動用コイルスプリング108を圧縮した状態で固定される。
【0062】
なお、ハブ22の周面30とケーシング18の後方環状膨出部40との嵌合力は、駆動用コイルスプリング108の弾性力よりも強く、ハブ22とケーシング18との嵌合が解除されることはない。
【0063】
この段階では、プランジャ106は穿刺をする準備位置まで達してトリガストッパ154によって固定されているが、ハブ22とケーシング18との係合は解除されていないため、穿刺の準備として不十分である。なお、この段階では、スカート41は装着部150を覆っていない。また、このときの穿刺針15の位置は発射準備位置に達している。
【0064】
図7(b)に示すように、穿刺針チップ12をさらに後端側に向かって押し込むと、プランジャ106は前端面112aによって後端側への移動が規制されていることから、使用者の加える力はハブ22における摺動支持部26の周面30とケーシング18の後方環状膨出部40との係合部に直接的に加えられることになり、係合部の係合が解除される。つまり、ハブ22及びプランジャ106の位置は変わらないが、ケーシング18は相対的に後方に移動する。装着部150はスカート41の嵌合隙間部41a(図2参照)に嵌合し、スカート41の後端部41bが受け座151に当接して止まる。装着部150の先端部と嵌合隙間部41aの先端底面とは僅かに隙間があり(図8(b)参照)、後端部41bは受け座151に確実に当接する。このようにして、ケーシング18は、装着部150に装着される。すなわち、穿刺針チップ12は、規定の位置に確実に装着される。
【0065】
ケーシング18の後端が第2接続体124の前端面を押圧することにより、該第2接続体124及び第1接続体122を介してプッシャ120は後方に押し出され、後端から突出する。
【0066】
また、この際、ケーシング18の隣り合う2つのリブ44の間に装着部150のリブ162が位置し、同様に、隣り合う2つのリブ162の間にリブ44が位置し、その状態で、ケーシング18が移動し、各リブ44が当接部材6を乗り越える。そして、図5に示すように、当接部材6は、ケーシング18の各リブ44に圧接(当接)する。
【0067】
このとき、装着部150はスカート41によって完全に覆われ、外からは視認できなくなる。
【0068】
次いで、穿刺針チップ12のチップ本体13からキャップ14を先端方向に抜き取る。この際、当接部材6により、装着部150から離脱する方向へのケーシング18の移動が阻止されている。これにより、未使用の穿刺針チップ12が、使用前にその使用ができない状態や針先が十分突出しない状態になってしまうことを防止することができる。
【0069】
次いで、チップ本体13の先端部を測定者の皮膚、例えば、指、手のひら、腕等に押し当て、穿刺ボタン116を押下する。これにより、図8(a)に示すように、穿刺ボタン116により第1突起140が押し下げられ、トリガストッパ154と第1突起140の係合状態が解除され、プランジャ106は弾性付勢された駆動用コイルスプリング108によって前方へ駆動され、把持バー134を介して穿刺針15を押し出す。
【0070】
このとき、摺動リング16は、微小段差24aに当接したまま穿刺針15と同時に押し出され、内周段差部34により過度の前進が制限される。
【0071】
穿刺針15の先端に設けられた針20は、開口部42から突出して皮膚を穿刺する。なお、このときの穿刺針15の位置が穿刺位置である(図8(a))。また、このとき、プランジャ106は戻し用コイルスプリング110を適度に圧縮している。したがって、該戻し用コイルスプリング110が元の長さに復帰する弾性力によってプランジャ106は即時に後方に押し戻される。このような穿刺機構により、穿刺針15を発射準備位置から穿刺位置まで移動させ、その後、基端側に移動させる穿刺動作がなされる。
【0072】
また、プランジャ106に接続された針20の瞬間的な突出長さは、該プランジャ106の小突起138が階段部139に当接することにより制限及び調整される。
【0073】
プランジャ106が後退する際、摺動リング16は4本の弾性レバー24に係合していることから一体的に後退するが、図8(b)に示すように、前方膨出部36の前端部で停止し、弾性レバー24から外れて残される。これにより、再使用を試みても摺動リング16がじゃまになり、針先が開口部42から突出することがなくなる。穿刺した皮膚から流出した血液を用いて、所定の血糖装置により血糖値の測定を行なってから、穿刺針チップ12を穿刺装置1から取り外す。
【0074】
図9(a)に示すように、プッシャ120を押し込むことによって、第1接続体122及び第2接続体124を介してケーシング18の後端面を押圧して、使用後の穿刺針チップ12を取り外すことができる。取り外した穿刺針チップ12は所定の方法により破棄される。
【0075】
また、図9(b)に示すように、プッシャ120を先端側に向かって押し込むとき、ハブ22は当初、把持バー134によって保持されていることから動かない。一方、摺動リング16は前方膨出部36に係合してケーシング18とともに前方に移動することから弾性レバー24から外れ、係合が解除される。弾性レバー24は摺動リング16から抜けるとき、一旦弾性的に縮径し、抜けた後に元の径に戻る。この後、ハブ22も後方環状膨出部40に係合してケーシング18と一体的に前方に移動し、穿刺針チップ12が穿刺装置1から取り外される。
【0076】
図10(a)に示すように、取り外された穿刺針チップ12では、弾性レバー24は摺動リング16から抜けて拡径していることから、該摺動リング16が弾性レバー24の前方への移動を規制する。つまり、摺動リング16は、ケーシング18に対するハブ22の前方への相対的な移動を所定位置で制限する移動制限手段となり、針20が先端面から突出することはない。これにより、穿刺針チップ12の廃棄に際しても、針20で皮膚等を傷つけることが防止され、従って、感染も防止することができる。なお、後方には後方環状膨出部40がハブ22の移動を規制し、穿刺針15が後端側から抜けることがない。
【0077】
ところで、使用者によっては、使用後の穿刺針チップ12を間違って穿刺装置1に装着してしまうことも考えられる。
【0078】
この場合、図10(b)に示すように、ハブ22の被把持突起28に把持バー134が係合してプランジャ106を後方に押し込むが、ハブ22は後方環状膨出部40との係合が解除されてやや前方に配置されていることからプランジャ106を十分後方まで移動することができない。したがって、第1突起140はトリガストッパ154に係合することがなく、駆動用コイルスプリング108は付勢状態とはならず、穿刺ボタン116を押しても穿刺作業はなされない。
【0079】
また、弾性レバー24の先端が摺動リング16の後端に当接し、ハブ22に対してケーシング18が相対的に後方に移動することを制限することになり、これ以上ケーシング18を後方に向かって押し込んでも駆動用コイルスプリング108を少し圧縮するだけであり、手を離すと該駆動用コイルスプリング108の弾性力により前方に押し返されてしまう。これにより、ケーシング18は十分後方まで移動することができず、スカート41の後端部41bは受け座151に当接することがなくわずかな隙間が発生し、装着部150が側方から視認される。これにより、使用者は、装着されている穿刺針チップ12が使用済みであることを容易に認識することができる。
【0080】
以上説明したように、この穿刺装置1によれば、イジェクト機構により穿刺針チップ12を穿刺装置1から取り外す場合を除いて、装着された穿刺針チップ12が装着部150から離脱する方向へ移動するのを防止または抑制することができる。これにより、装着された未使用の穿刺針チップ12が、使用前にその使用ができない状態や針先が先端開口から十分突出しない状態になってしまうことを防止することができる。
【0081】
また、穿刺装置1は、小型軽量で簡便な構成であり扱いが容易である。また、穿刺装置1は、滑らかな棒状であり、携帯及び格納に好適である。
【0082】
なお、本発明では、スリット164に代えて、例えば、装着部150の内面に中心軸側に開放する凹部を設け、その凹部内に当接部材6を設置してもよい。また、本発明では、スリット164を設けずに、装着部150の内周面に当接部材6を設置してもよい。
【0083】
また、本発明では、当接部材6は、装着部150の全周に亘って設けられていてもよい。すなわち、当接部材6は、環状をなしていてもよい。
【0084】
また、本発明では、当接部材6は、その内周面が周方向に沿って、凹凸状になっていてもよい。
【0085】
<第2実施形態>
図11は、本発明の穿刺装置の第2実施形態における前端部材、当接部材および穿刺針チップのケーシングを示す水平断面図(図4中のA−A線での断面図に相当)である。
【0086】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0087】
図11に示すように、第2実施形態の穿刺装置1では、前端部材118の装着部150の軸方向に沿って、第1の当接部材6aと第2の当接部材6bとが並設されている。第2の当接部材6bは、第1の当接部材6aの基端側に配置されている。
【0088】
第1の当接部材6aおよび第2の当接部材6bを設けることにより、ケーシング18との間の摩擦力を大きくすることができ、前端部材118に対するケーシング18の先端方向への移動を確実に阻止することができる。
【0089】
また、第2の当接部材6bのケーシング18に対する摩擦力は、第1の当接部材6aのケーシング18に対する摩擦力よりも大きく設定されている。これにより、装着部150にケーシング18を装着する際、ケーシング18は、初めに、摩擦力が小さい方の第1の当接部材6aに当接し、後から、摩擦力が大きい方の第2の当接部材6bに当接する。すなわち、第1の当接部材6aは、より長くリブ44に当接するが摩擦力が小さいので、スムーズにケーシング18を装着することができる。
【0090】
前記摩擦力の設定は、例えば、第1の当接部材6a、第2の当接部材6bの突出長Lの設定、構成材料の選択等により、行うことができる。
【0091】
なお、本発明では、第1の当接部材6aのケーシング18に対する摩擦力と、第2の当接部材6bのケーシング18に対する摩擦力とが同一であってもよく、また、第1の当接部材6aのケーシング18に対する摩擦力が、第2の当接部材6bのケーシング18に対する摩擦力よりも大きくてもよい。
【0092】
また、本発明では、並設される当接部材の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0093】
<第3実施形態>
図12は、本発明の穿刺装置の第3実施形態における前端部材および当接部材を示す横断面図である。
【0094】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0095】
図12に示すように、当接部材6は、前端部材118の装着部150の周方向に沿って、間欠的に設けられている。すなわち、当接部材6は、装着部150の周方向に沿って間欠的に設けられた3つの単位当接部材60で構成されている。
【0096】
また、各単位当接部材60は、装着部150の周方向に沿って、装着部150の中心軸回りに等角度間隔に配置されている。
【0097】
なお、この第3実施形態は、第2実施形態にも適用することができる。
また、本発明では、当接部材6の単位当接部材60の数は、3つに限らず、2つでもよく、また、4つ以上でもよい。
【0098】
<第4実施形態>
図13は、本発明の穿刺装置の第4実施形態における前端部材および当接部材を示す縦断面図である。
【0099】
以下、第4実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0100】
図13に示すように、当接部材6は、本体部61と、本体部61の外周部に設けられ、位置決め部としての機能を有する頭部62を有している。頭部62は、本体部61よりも幅広に形成されている。
【0101】
また、装着部150のスリット164においては、その外周側は、頭部62に対応した形状に形成され、内周側は、本体部61に対応した形状に形成されている。
【0102】
これにより、当接部材6を装着部150に固定する際、当接部材6をスリット164に挿入すると、当接部材6が、正確に位置決めされ、適正な位置に、適正な姿勢で固定することができる。
【0103】
なお、この第4実施形態は、第2実施形態および第3実施形態にも適用することができる。
【0104】
以上、本発明の穿刺装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0105】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 穿刺装置
10 穿刺器具セット
12 穿刺針チップ
13 チップ本体
14 キャップ
15 穿刺針
16 摺動リング
18 ケーシング
20 針
22 ハブ
24 弾性レバー
24a 微小段差
26 摺動支持部
28 被把持突起
30 周面
32 縮径部
34 内周段差部
36 前方膨出部
40 後方環状膨出部
41 スカート
41a 嵌合隙間部
41b 後端部
42 開口部
44 リブ
6 当接部材
6a 第1の当接部材
6b 第2の当接部材
60 単位当接部材
61 本体部
62 頭部
102 ケース本体
104 ダイヤル部
106 プランジャ
108 駆動用コイルスプリング
110 戻し用コイルスプリング
112 後端部材
112a 前端面
114 孔
116 穿刺ボタン
118 前端部材
120 プッシャ
122 第1接続体
124 第2接続体
130 第1ばね座
132 第2ばね座
134 把持バー
136 弾性片
138 小突起
139 階段部
140 第1突起
142 第2突起
144 開口
150 装着部
151 筒形状部(受け座)
152 保持部
153 装着穴
154 トリガストッパ
156 アーム
158 係合片
162 リブ
164 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に鋭利な針先を有する針体と該針体の基端部に固定された針ハブとを有する穿刺針と、該穿刺針をその軸方向に沿って移動可能に収納し、前記針先が突出可能な開口を有する筒状のケーシングとを備える穿刺針チップを先端部に着脱自在に装着して用いられる穿刺装置であって、
前記ケーシングが着脱自在に装着される装着部を先端部に有する中空のハウジングと、
前記装着部の構成材料よりも前記ケーシングに対する摩擦係数が高い材料で構成され、前記装着部において該装着部の内側に突出するように設けられ、前記ケーシングが前記装着部に装着された状態で、前記ケーシングに当接する当接部材と、
前記ケーシングを前記ハウジングに対して先端方向に移動させ、前記穿刺針チップを当該穿刺装置から取り外すイジェクト機構とを備えることを特徴とする穿刺装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記装着部の周方向に沿って、連続的に設けられている請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項3】
前記当接部材は、前記装着部の周方向に沿って、間欠的に設けられている請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項4】
前記装着部は、内周から外周まで貫通するスリットを有し、
前記当接部材は、前記スリットに挿入された状態で前記装着部に固定されている請求項1ないし3のいずれかに記載の穿刺装置。
【請求項5】
前記装着部の軸方向に沿って、複数の前記当接部材が並設されている請求項1ないし6のいずれかに記載の穿刺装置。
【請求項6】
前記複数の当接部材は、第1の当接部材と、前記第1の当接部材よりも基端側に配置され、前記第1の当接部材よりも前記ケーシングに対する摩擦力が大きい第2の当接部材と含む請求項5に記載の穿刺装置。
【請求項7】
前記穿刺針チップは、前記ケーシングに嵌合したキャップを有し、
前記キャップと前記ケーシングの嵌合力よりも、前記当接部材と前記ケーシングとの間の摩擦力の方が大きい請求項1ないし6のいずれかに記載の穿刺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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