説明

穿孔装置

【課題】 穿孔対象物の表面に沿って設けられたガイド部材に穿孔工具を容易に固定するとともに、ガイド部材の構造の簡素化を図って装置の製作に要する費用や手間を格段に低減する。
【解決手段】 穿孔対象物Tの表面に沿って設けられるガイド部材2は、穿孔対象物Tの表面に対して垂直な方向に立設されたコンターバー3とガイドピン4とを有し、穿孔工具10にはこのガイドピン4に嵌合するドリルアダプタ20が設けられ、ドリルアダプタ20はガイドピン4を嵌合させる嵌合溝と嵌合溝の中でガイドピン4を係止させる固定手段とを有する。所定の穿孔軸に沿って穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させて、ドリルアダプタ20の嵌合溝にガイド部材2のガイドピン4を嵌合させ、さらに穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させることにより固定手段を作動させて嵌合溝の内部にガイドピン4を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔装置に関し、特に、手持タイプの穿孔工具の位置及び姿勢を固定して所定の穿孔対象物に穿孔を施す穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機部品等の穿孔対象物に穿孔を施す際に、穿孔工具を所定の位置に固定して穿孔位置や穿孔角度のずれを防止する穿孔装置が提案されている。例えば、図15〜図17に示した従来の穿孔装置100は、穿孔対象物Tに穿孔を施す穿孔工具110と、穿孔対象物Tに取り付けられて穿孔工具110の位置決めを行う穿孔板120と、を備えて構成されている。
【0003】
穿孔工具110は、図15〜図17に示すように、ドリル111、ドリル111を回転駆動するドリルモータ112、ドリル111を覆う筒体113、筒体113の先端に取り付けられた固定ブッシュ114等を備えている。また、穿孔板120は、穿孔対象物Tの表面に対して平行に配置されたガイド板121、このガイド板121に穿孔位置に対応して複数設けられ穿孔対象物Tの表面に対して垂直な貫通孔123を有するブッシュ122、各ブッシュ122の近傍においてガイド板121の表面に立設された固定ネジ124等を備えている。
【0004】
従来は、穿孔工具110を穿孔板120に固定するために以下のような手順を経ていた。まず、図15〜図17に示すように、穿孔工具110の固定ブッシュ114の先端部115をブッシュ122の貫通孔123に差し込んで穿孔工具110を穿孔板120に当接させる。次いで、筒体113を軸にして穿孔工具110を図15において反時計回りに回転させ、図16及び図17に示すように固定ブッシュ114の係止部116を固定ネジ124とガイド板121との間に形成された間隙に挿入し、固定ネジ124を締結する。
【0005】
しかし、かかる穿孔装置100を採用すると、穿孔工具110を穿孔板120に固定する際に、穿孔工具110をブッシュ122に差し込む操作と、この状態で穿孔工具110を回転させる操作と、の2段階の操作が必要となるため、穿孔作業に長い時間を要し作業効率が悪い。また、穿孔対象物Tにおける穿孔位置が穿孔板120に覆われているため、穿孔状態を視認することが困難であった。
【0006】
このような従来の穿孔装置100の問題を解決するために、穿孔対象物の表面に対して垂直に立設したコンターバーを有するガイド部材と、ガイド部材に嵌合され固定されるドリルアダプタを有する穿孔工具と、を備えた穿孔装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。かかる穿孔装置を採用すると、穿孔工具をガイド部材に対して容易にかつ効率良く固定することができ、穿孔作業の効率を向上させることが可能となる。また、ガイド部材のコンターバーは穿孔対象物の表面に対して垂直に立設しているため、穿孔作業時に穿孔対象物の表面の状態を視認し易くなる。
【特許文献1】特開2004−114233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記特許文献1に記載の穿孔装置で採用されているガイド部材は、コンターバーに加えて、このコンターバーに取り付けられる複数の部品(ガイドブロックや係止ピン)を備えた比較的複雑な構造を有しているため、製作費が嵩む上に製作に多大な労力を要してしまうという問題があった。複数の穿孔位置に対応するためにガイドブロックや係止ピンを多数調製する必要があり、さらに、これら多数の部品をコンターバーに取り付ける必要があるからである。
【0008】
本発明の課題は、穿孔工具とこの穿孔工具が固定されるガイド部材とを備える穿孔装置において、穿孔対象物の表面に沿って設けられたガイド部材に穿孔工具を容易に固定するとともに、ガイド部材の構造の簡素化を図ることにより装置の製作に要する費用や手間を格段に低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定の穿孔対象物の表面に沿って設けられるガイド部材と、このガイド部材に嵌合して固定される嵌合固定部及びこの嵌合固定部に対して移動するドリルを有する穿孔工具と、を備える穿孔装置において、前記ガイド部材は、前記穿孔対象物の表面に対して垂直な方向に立設される板材と、前記板材から前記穿孔対象物の表面に対して平行な方向に突出しかつ所定の穿孔軸に沿って複数配置された状態で設けられたガイドピンと、を有し、前記嵌合固定部は、前記穿孔工具を所定の穿孔軸に沿って前記穿孔対象物に向けて移動させたときに前記ガイドピンを嵌合させて前記穿孔工具の方向を固定する嵌合溝と、前記ガイドピンを前記嵌合溝に嵌合させた状態で前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させたときに作動し、前記嵌合溝の内部に前記ガイドピンを固定する固定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、穿孔装置を構成するガイド部材は、板材と、この板材に設けられたガイドピンと、を有する簡素な構造を有しているため、穿孔装置の製作に要する費用や手間を格段に低減することができる。
【0011】
また、穿孔工具を所定の穿孔軸に沿って穿孔対象物に向けて移動させたときに、穿孔工具の嵌合溝にガイド部材のガイドピンを嵌合させて穿孔工具の方向を固定することができる。そして、ガイドピンを嵌合溝に嵌合させた状態で穿孔工具を穿孔対象物に向けて移動させたときに、嵌合固定部の固定手段が作動して、嵌合溝の内部にガイドピンを固定することができる。従って、穿孔工具をガイド部材に対して容易にかつ効率良く固定することができる。
【0012】
また、ガイド部材の板材は穿孔対象物の表面に対して垂直に立設されるため、穿孔対象物の表面に対して平行に配置される板材と比較して穿孔対象物を覆う範囲が少ない。従って、穿孔作業時に穿孔対象物の表面を視認し易いため、穿孔の状態を容易に確認することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の穿孔装置において、前記穿孔工具の前記嵌合溝に前記ガイド部材の前記ガイドピンを嵌合させた状態で、前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させた場合に、前記ドリルが前記穿孔対象物の表面に対して垂直に案内されることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、穿孔工具の嵌合溝にガイド部材のガイドピンを嵌合させた状態で、穿孔工具を穿孔対象物に向けて移動させた場合に、穿孔工具のドリルが穿孔対象物の表面に対して垂直に案内されるので、穿孔対象物に対する垂直な穿孔を実現させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の穿孔装置において、前記固定手段は、前記嵌合溝の内部に突出するように設けられ、前記ガイドピンを前記嵌合溝に嵌合させた状態で前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させた場合に、前記ガイドピンの上部に当接する固定突出部と、前記ガイドピンを前記嵌合溝に嵌合させた状態で前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させた場合に、前記嵌合溝の内部に突出して前記ガイドピンの下部に当接する可動突出部と、を有し、前記固定突出部と前記可動突出部とによって前記ガイドピンを上下から挟持することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、嵌合溝の内部に突出するように設けられた固定突出部と、ガイドピンを嵌合溝に嵌合させた状態で穿孔工具を穿孔対象物に向けて移動させた場合に嵌合溝の内部に突出してガイドピンの下部に当接する可動突出部と、によってガイドピンを上下から挟持して、嵌合溝の内部にガイドピンを確実に固定することができる。従って、穿孔工具をガイド部材に対して確実に固定することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の穿孔装置において、前記穿孔工具は、その先端部に前記嵌合固定部が設けられ、前記嵌合固定部に接続されて前記ドリルを覆う筒体と、前記嵌合固定部に対する前記ドリルの軸を中心とした前記筒体の回動を許容するとともに、所定角度回動させた前記筒体を前記嵌合固定部に対して一時的に固定する回動固定手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、回動固定手段により、穿孔工具の先端に設けられた嵌合固定部に対してドリルの軸を中心に筒体を回動させることができ、さらに、所定角度回動させた筒体を嵌合固定部に対して一時的に固定することができる。従って、例えば作業者が穿孔工具の筒体に連設された把持部を把持して穿孔作業を行う場合に、ガイド部材に固定された穿孔工具の嵌合固定部に対して筒体を回動させて把持部の位置を変更することができるので、穿孔作業の効率を格段に向上させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の穿孔装置において、前記穿孔工具は、前記ガイド部材に前記穿孔工具が固定された状態で前記穿孔対象物に当接する当接部と、前記ガイド部材に前記穿孔工具が固定された状態で前記当接部を前記穿孔対象物に対して押し付けるような付勢力を作用させる弾性部材と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、穿孔工具は、ガイド部材に穿孔工具が固定された状態で穿孔対象物に当接する当接部と、ガイド部材に穿孔工具が固定された状態で当接部を穿孔対象物に対して押し付けるような付勢力を作用させる弾性部材と、を有している。このため、穿孔動作時に、穿孔対象物と穿孔工具との相対的な位置関係を安定させることができるので、穿孔の孔径や穿孔角度の精度を向上させることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の穿孔装置において、前記ガイド部材に前記穿孔工具が固定された状態で、前記ドリルの先端が前記当接部の近傍に配置されることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、ガイド部材に穿孔工具が固定された状態で、ドリルの先端が当接部の近傍に配置されるので、穿孔動作を開始した場合に、ドリルを穿孔対象物に速やかに到達させることができる。この結果、穿孔作業に要する時間を格段に短縮することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の穿孔装置において、前記穿孔工具は、前記ドリルによる穿孔動作時に生じる粉塵を吸引するための吸引口を前記当接部の近傍に有することを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、ドリルによる穿孔動作時に生じる粉塵を吸引するための吸引口が当接部の近傍に設けられるので、吸塵効率を向上することができ、ひいては、穿孔作業全体の作業効率を格段に向上させることができる。また、穿孔動作時に生じる粉塵が周辺に飛散するのを抑制することができるので、作業環境の美化向上を実現させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、穿孔装置を構成するガイド部材は簡素な構造を有するため、穿孔装置の製作に要する費用や手間を格段に低減することができる。また、穿孔工具の嵌合溝にガイド部材のガイドピンを嵌合させ、穿孔工具を穿孔対象物に向けて移動させて固定手段を作動させることにより、嵌合溝の内部にガイドピンを固定することができる。従って、穿孔工具をガイド部材に対して容易にかつ効率良く固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて詳細に説明する。
【0027】
まず、図1〜図9及び図12等を用いて、本発明の実施の形態に係る穿孔装置1の構成について説明する。本実施の形態に係る穿孔装置1は、図1に示すように、所定の穿孔対象物Tの表面に沿って設けられるガイド部材2と、ガイド部材2に固定される穿孔工具10と、を備えて構成されている。
【0028】
ガイド部材2は、図1に示すように、穿孔を施す穿孔対象物Tの表面に対して垂直な方向に立設する側面3aを有する板材としてのコンターバー3と、コンターバー3の側面3aから穿孔対象物Tの表面に対して平行な方向に突出しかつ所定の穿孔軸に沿って2個ずつ配置された状態で設けられたガイドピン4と、から構成されている。ここで「所定の穿孔軸」とは、穿孔対象物Tの表面に対して垂直な方向に延在する仮想軸であり、この穿孔軸に沿って穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させた場合に、穿孔工具10のドリル11が穿孔対象物Tの表面に対して垂直に案内される。ガイドピン4は、図1及び図9に示すように、根元側の小径部4aと、先端側の大径部4bと、を有している。
【0029】
穿孔工具10は、図1及び図12に示すように、ドリル11、ドリル11を回転駆動するドリルモータ12、ドリル11を覆う筒部13、筒部13に連接された把持部14、筒部13に取り付けられるとともにガイド部材2に嵌合して固定される嵌合固定部としてのドリルアダプタ20等を備えて構成されている。
【0030】
ドリルアダプタ20は、図2及び図3に示すように、筒部13に連接されるアダプタ基筒21、アダプタ基筒21を挟んで略平行に配置されボルトでアダプタ基筒21の側面に固定された第1ガイドプレート22及び第2ガイドプレート23、アダプタ基筒21にドリル11の軸方向に対して垂直な方向に形成されたスライド溝21eに案内されて移動するスライド部材24、スライド溝21eの内部でスライド部材24を所定の方向(図3における紙面左方向)に付勢するスプリング25、各々第1ガイドプレート22及び第2ガイドプレート23に揺動自在に同軸で軸支され揺動先端がレバー28を介して結合された第1トリガ26及び第2トリガ27、等を備えて構成されている。
【0031】
アダプタ基筒21は、図4に示すように、四角筒状の本体部21aと、鍔部21bを介して本体部21aに連接された大径円筒状の上端部(筒部13側に配置される端部)21cと、本体部21aに連接された小径円筒状の下端部(穿孔対象物T側に配置される端部)21dと、を有している。
【0032】
アダプタ基筒21の本体部21aの一側面には、スライド部材24を移動自在に嵌合させるためのスライド溝21eが設けられている。また、アダプタ基筒21の上端部21cの外周には、図5に示したソケット30に設けられるボールプランジャ50(図12参照)のボール51を嵌合させるための凹部21fが、上端部21cの周方向に一定間隔をおいて設けられている。また、アダプタ基筒21の上端部21cの内壁には、図6に示したプラグ40を螺入させるための雌ネジ21gが設けられている。
【0033】
ソケット30の下端部(アダプタ基筒21側の端部)には、図5に示すように、ボールプランジャ50を配置するための貫通孔32が穿設されており、ソケット30の内壁には、筒部13の先端を螺入させるための雌ネジ31が設けられている。また、プラグ40には、図6に示すように、ドリル11を挿通させるための挿通孔41と、アダプタ基筒21の雌ネジ21gに螺入される雄ネジ42と、が設けられている。
【0034】
ソケット30をアダプタ基筒21の上端部21cに外嵌し、ソケット30の内部にプラグ40を挿入してプラグ40の雄ネジ42をアダプタ基筒21の上端部21cの雌ネジ21gに螺入させることにより、図12に示すようにソケット30がアダプタ基筒21に装着される。この際、ソケット30とアダプタ基筒21の上端部21cとの間及びソケット30とプラグ40との間に僅かな間隙を設けることにより、ソケット30をアダプタ基筒21に対して回動自在とする。また、ソケット30の貫通孔32にボールプランジャ50を配置し、ボールプランジャ50のボール51を、アダプタ基筒21の上端部21cに設けた凹部21fに嵌合させることにより、アダプタ基筒21に対してソケット30を一時固定して回動を阻止する。
【0035】
ソケット30の雌ネジ31に筒部13の先端を螺入して固定した場合には、筒部13及び把持部14がアダプタ基筒21に対して回動自在となる。また、筒部13及び把持部14を回動させると、所定角度毎にボールプランジャ50のボール51が凹部21fに嵌合するため、所定角度毎に回動が一時的に阻止されることとなる。すなわち、ソケット30と、アダプタ基筒21の上端部21cと、凹部21fと、ボールプランジャ50と、によって本発明における回動固定手段が構成される。
【0036】
第1ガイドプレート22は、図7に示すように、比較的広い面積を有しアダプタ基筒21の一側面に当接する板状の基部22aと、ガイド部材2のガイドピン4に当接してガイドピン4を案内する案内部22bと、が段状に形成されて構成されている。案内部22bは、上側及び右側の端縁に繋げて立設され逆L字状に形成されたフランジ22cと、案内部22bの上部表面から突出して上側のフランジ22cに滑らかに連なる曲面部22dと、を有している。また、基部22aには、第1トリガ26とスライド部材24とを連結する連結部材26bを貫通させるための貫通孔22eや、ボルト軸26aやボルトを取り付けるための(図示していない)取付孔が穿設されている。
【0037】
第2ガイドプレート23は、図8に示すように、比較的広い面積を有しアダプタ基筒21の一側面に当接する板状の基部23aと、ガイド部材2のガイドピン4に当接してガイドピン4を案内する案内部23bと、が段状に形成されて構成されている。案内部23bは、上側及び右側の端縁に繋げて立設され逆L字状に形成されたフランジ23cと、案内部23bの上部表面から突出して上側のフランジ23cに滑らかに連なる曲面部23dと、を有している。また、基部23aには、ボルト軸27aやボルトを取り付けるための(図示していない)取付孔が穿設されている。
【0038】
第1・第2ガイドプレート22、23を図2に示すようにアダプタ基筒21の側面に固定すると、第1・第2ガイドプレート22、23の案内部22b、23b及びフランジ22c、23cによって嵌合溝29が形成される。嵌合溝29は、図9に示すように、フランジ22c、23cによって形成されガイド部材2のガイドピン4の小径部4aを嵌合させる狭幅溝部29aと、案内部22b、23bによって形成されガイドピン4の大径部4bを嵌合させる広幅溝部29bと、から構成されている。
【0039】
広幅溝部29bは、フランジ22c、23cに設けられた曲面部22d、23dによって上方になるに従って漸次狭幅となり、上端においては狭幅溝部29aと同一の幅となる。穿孔工具10を所定の穿孔軸に沿って穿孔対象物Tに向けて移動させたときに嵌合溝29にガイドピン4を嵌合させて、穿孔工具10の方向を固定することができる。そして、狭幅溝部29aの幅はガイドピン4の小径部4aの径と略等しくされ、狭幅溝部29aの深さ(厚さ)は小径部4aの長さと略等しくされ、がたつくことなくガイドピン4を嵌合させることができるようになっている。なお、広幅溝部29bの幅をガイドピン4の大径部4bの径と略等しくし、広幅溝部29bの深さを大径部4bの深さ(厚さ)に略等しくしてもよく、両方法を採用することもできる。
【0040】
スライド部材24は、図3に示すように、嵌合溝29の内部に進入する先端部24aを有している。先端部24aの下面(穿孔対象物T側の面)は、先端に向かって斜めに切り上げられて斜面24bとされている。スライド部材24は、スプリング25により、嵌合溝29の内部に向けて嵌合溝29の長尺方向に対して垂直な方向に突出するように付勢されている。
【0041】
ガイド部材2のガイドピン4を嵌合溝29に嵌合させた状態で穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させると、ガイドピン4による押圧力がスライド部材24の先端部24aの斜面24bに作用してスプリング25が収縮することにより、スライド部材24が嵌合溝29から一度退避する。その後、ガイドピン4がスライド部材24の側方を通過すると、スプリング25の付勢力でスライド部材24が嵌合溝29の内部に突出する。そして、嵌合溝29の内部に突出した第1・第2ガイドプレート22、23の曲面部22d、23d(固定突出部)と、スライド部材24の先端部24a(可動突出部)と、によってガイドピン4の大径部4bが上下で挟持されることにより、嵌合溝29の内部にガイドピン4が固定される。
【0042】
第1トリガ26は長尺三角板状の部材であり、図2及び図9に示すように、第1の角部(一端)が第1ガイドプレート22にボルト軸26aを介して揺動自在に軸支され、第1の角部から離れた位置にある第2の角部(他端)がレバー28に接続されている。また、第1の角部の近傍に位置する第3の角部は、連結部材26bを介してスライド部材24に連結されている。また、第2トリガ27は狭幅板状の部材であり、図2に示すように、一端が第2ガイドプレート23にボルト軸27aを介して揺動自在に軸支され、他端がレバー28に接続されている。
【0043】
レバー28を上方に引き上げると、第1・第2トリガ26、27はボルト軸26a、27aを中心に回動する。そして、これら第1・第2トリガ26、27の回動に伴い、第1トリガ26の第3の角部に連結されたスライド部材24はスプリング25の方向に押し込まれ、スライド部材24の先端部24aは嵌合溝29から退避する。一方、レバー28を引き上げる力を作用させない状態においては、スプリング25の付勢力により、スライド部材24は嵌合溝29側に移動してその先端部24aが嵌合溝29の内部に進入するとともに、第1・第2トリガ26、27及びレバー28は所定の位置に支持される。
【0044】
また、ドリルアダプタ20を構成するアダプタ基筒21の下端部21dには、図2及び図3に示すように、スプリング61を介して割り座金60(当接部)が取り付けられ、穿孔部分を押圧する。割り座金60は、図12及び図13に示すような割口60aを有し、ガイド部材2に穿孔工具10が固定された状態で穿孔対象物Tに当接する。また、スプリング61(弾性部材)は、ガイド部材2に穿孔工具10が固定された状態で割り座金60を穿孔対象物Tに対して押し付けるような付勢力を作用させる。
【0045】
本実施の形態においては、図12に示すように、ドリル11の先端部11aを囲うように割り座金60及びスプリング61を設けているため、穿孔のために割り座金60を穿孔部分に当接させる際に与える衝撃が緩和されて穿孔部分の損傷が防止され、ドリル11の先端部11aが手や指に接触し難いので安全性が高い。また、ガイド部材2に穿孔工具10が固定された状態で、ドリル11の先端部11aが割り座金60の近傍に配置されるようになっている。
【0046】
また、ドリルアダプタ20を構成するアダプタ基筒21の一側面には、図2及び図3に示すようにブラケット71が取り付けられており、このブラケット71によって吸塵パイプ70が保持されている。吸塵パイプ70の一方の開口部である吸引口70aは、割り座金60の割口60aの近傍に配置されている。また、吸塵パイプ70の他方の開口部である接続口70bは、図示されていない吸引装置に繋げられた可撓性を有する吸塵ホース72(図14参照)に接続される。
【0047】
次に、図9〜図11を用いて、本実施の形態に係る穿孔装置1の穿孔工具10をガイド部材2に固定する方法について説明する。
【0048】
まず、穿孔対象物Tの上に配置されたガイド部材2のガイドピン4の上方に穿孔工具10を配置し、穿孔工具10を所定の穿孔軸に沿って穿孔対象物Tに向けて移動させることにより、図9に示すように、穿孔工具10の嵌合溝29にガイド部材2の上方のガイドピン4を嵌合させる。この際、図9(a)に示すように、嵌合溝29の狭幅溝部29aにガイドピン4の小径部4aを嵌合させ、嵌合溝29の広幅溝部29bにガイドピン4の大径部4bを嵌合させるようにする。
【0049】
次いで、穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させることにより、嵌合溝29の内部に上方のガイドピン4を徐々に進入させ、ガイドピン4の大径部4bを、嵌合溝29の内部に突出しているスライド部材24の先端部24aの斜面24bに当接させる。そして、ガイドピン4の大径部4bにより、スライド部材24の斜面24bに対して下方から押圧力を作用させると、その押圧力の成分のうち、嵌合溝29の長尺方向に対して垂直な方向の成分がスライド部材24に作用する。このため、スライド部材24は、スプリング25の付勢力に抗して図10に示すように紙面右側に移動し、スライド部材24の先端部24aは嵌合溝29から退避し、スプリング25は収縮する。また、スライド部材24の紙面右側への移動に伴って、第1・第2トリガ22、23が図10の矢印R1の方向に回動する。
【0050】
この後、さらに穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させると、上方のガイドピン4の大径部4bは、スライド部材24の先端部24aの側方を通過して嵌合溝29の上端部に到達し、嵌合溝29の内部に突出する曲面部22d、23dにガイドピン4の大径部4bの上部が当接する。また、ガイドピン4の大径部4bがスライド部材24の先端部24aの側方を通過することにより、スライド部材24の斜面24bに作用していた押圧力が消失する。このため、スプリング25の付勢力によりスライド部材24は嵌合溝29側に移動し、スライド部材24の先端部24aは、図11に示すように嵌合溝29の内部に進入して、ガイドピン4の大径部4bの下部に当接する。
【0051】
この結果、曲面部22d、23dと、スライド部材24の先端部24aと、によって上方のガイドピン4の大径部4bが挟持されて、嵌合溝29の内部に上方のガイドピン4が固定され、穿孔工具10がガイド部材2に固定されることとなる。また、スライド部材24の紙面左側への移動に伴って、第1・第2トリガ26、27が図11の矢印R2の方向に回動する。また、このとき下方のガイドピン4も嵌合溝29に嵌合する。上下のガイドピン4は所定の穿孔軸に沿って配置されているため、嵌合溝29にこれら上下のガイドピン4を嵌合させて穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させることにより、穿孔工具10のドリル11は穿孔対象物Tの表面に対して垂直に案内されることとなる。
【0052】
なお、ガイド部材2に固定された穿孔工具10をガイド部材2から取り外す際には、まずレバー28を上方に引き上げ、レバー28に接続された第1・第2トリガ26、27を図10の矢印R1の方向に回動させ、第1トリガ26が連結されているスライド部材24をスプリング25の付勢力に抗して移動させて、スライド部材24の先端部24aを嵌合溝29から退避させる。そして、穿孔工具10を穿孔対象物Tから離す方向に移動させることにより、穿孔工具10をガイド部材2から取り外す。
【0053】
続いて、図12〜図14を用いて、本実施の形態に係る穿孔装置1による穿孔作業の手順について説明する。
【0054】
まず、作業者は、図14に示すように、所定の回転軸を中心に回転する回転治具80の軸治具81にガイド部材2のコンターバー3を固定するとともに、図示していない仮固定手段により穿孔対象物Tを仮固定する。次いで、作業者は、穿孔工具10の吸塵パイプ70の接続口70bに吸塵ホース72を接続するとともに、穿孔工具10の把持部14にエアホース73を接続する。
【0055】
次いで、作業者は、所望の穿孔位置に最も近いガイドピン4に穿孔工具10の嵌合溝29を嵌合させ、固定手段(曲面部22d、23d及びスライド部材24の先端部24a)によってガイドピン4を上下から挟持させて、図12に示すように穿孔工具10をガイド部材2に固定する。図12に示した状態においては、穿孔工具10のドリル11の先端部11aは穿孔対象物Tの表面近傍に位置しており、直ちに穿孔対象物Tに穿孔を施すことができるようになっている。また、穿孔工具10の筒部13はドリルアダプタ20に対して回動自在とされ、凹部21f及びボールプランジャ50の機能により所定角度回動させた状態で一時固定することができるので、作業者は穿孔工具10の筒部13及び把持部14を適宜回動・一時固定させてその位置を調整する。
【0056】
次いで、作業者は、穿孔工具10のドリルモータ12を作動させて、ドリル11を回転駆動するとともに穿孔対象物Tに向けて図12の矢印Aの方向に移動させることにより、図13に示すように穿孔対象物Tの穿孔位置に穿孔を施す。この際、吸塵パイプ70の接続口70bに接続された吸塵ホース72を介して、図示されていない吸引装置が吸引動作を行うことにより、穿孔対象物Tの切削により生じた粉塵(削り屑)が割り座金60の割口60a及び吸塵パイプ70の吸引口70aを介して吸引され、粉塵は図13の矢印Bの方向で吸塵パイプ70内を移動する。
【0057】
次いで、作業者は、穿孔を終えた後レバー28を引き上げて穿孔工具10をガイド部材2から取り外し、回転治具80の回転ハンドル82を操作して軸治具81の角度を調節し、次の穿孔位置に最も近いガイドピン4に穿孔工具10の嵌合溝29を嵌合させ、固定手段を介して穿孔工具10をガイド部材2に固定し、穿孔作業を続行する。以上の手順を繰り返すことにより、穿孔対象物Tの所望の穿孔位置に穿孔を施す。
【0058】
以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、ガイド部材2が、コンターバー3とガイドピン4とを有する簡素な構造を有しているため、装置の製作に要する費用や手間を格段に低減することができる。
【0059】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、穿孔工具10を所定の穿孔軸に沿って穿孔対象物Tに向けて移動させたときに、ドリルアダプタ20の嵌合溝29にガイド部材2のガイドピン4を嵌合させて穿孔工具10の方向を固定することができる。そして、ガイドピン4を嵌合溝29に嵌合させた状態で穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させたときに、ドリルアダプタ20のスライド部材24が作動して、嵌合溝29の内部でガイドピン4を固定することができる。従って、穿孔工具10をガイド部材2に対して容易にかつ効率良く固定することができる。
【0060】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、ガイド部材2のコンターバー3は穿孔対象物Tの表面に対して垂直に立設されるため、穿孔対象物Tの表面に対して平行に配置される板材と比較して穿孔対象物Tを覆う範囲が少ない。従って、穿孔作業時に穿孔対象物Tの表面を視認し易いため、穿孔の状態を容易に確認することができる。
【0061】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、ドリルアダプタ20の嵌合溝29にガイド部材2のガイドピン4を嵌合させた状態で、穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させた場合に、穿孔工具10のドリル11が穿孔対象物Tの表面に対して垂直に案内されるので、穿孔対象物Tに対する垂直な穿孔を実現させることができる。
【0062】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、嵌合溝29の内部に突出するように設けられた曲面部22d、23d(固定突出部)と、ガイドピン4を嵌合溝29に嵌合させた状態で穿孔工具10を穿孔対象物Tに向けて移動させた場合に嵌合溝29の内部に突出するスライド部材24の先端部24a(可動突出部)と、によってガイドピン4の大径部4bを上下から挟持して、嵌合溝29の内部にガイドピン4を確実に固定することができる。従って、穿孔工具10をガイド部材2に対して確実に固定することができる。
【0063】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、回動固定手段(ソケット30、アダプタ基筒21の上端部21c、凹部21f及びボールプランジャ50)により、ドリル11を覆う筒体13をドリルアダプタ20に対して回動させるとともに、所定角度回動させた筒体13をドリルアダプタ20に対して一時固定することができる。従って、作業者が穿孔工具10の筒体13に連設された把持部14を把持して穿孔作業を行う際に、ガイド部材2に固定されたドリルアダプタ20に対して筒体13及び把持部14を回動させて把持部14の位置を変更することができるので、穿孔作業の効率を格段に向上させることができる。
【0064】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、ガイド部材2に穿孔工具10が固定された状態で穿孔対象物Tに当接する割り座金60と、ガイド部材2に穿孔工具10が固定された状態で割り座金60を穿孔対象物Tに対して押し付けるような付勢力を作用させるスプリング61と、が設けられている。このため、穿孔動作時に、穿孔対象物Tと穿孔工具10との相対的な位置関係を安定させることができるので、穿孔の孔径や穿孔角度の精度を向上させることができる。
【0065】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、ガイド部材2に穿孔工具10が固定された状態で、ドリル11の先端部11aが割り座金60の近傍に配置されるので、穿孔動作を開始した場合に、ドリル11を穿孔対象物Tに速やかに到達させることができる。この結果、穿孔作業に要する時間を格段に短縮することができる。
【0066】
また、以上説明した実施の形態に係る穿孔装置1においては、ドリル11による穿孔動作時に生じる粉塵を吸引するための吸引口70aが割り座金60の近傍に設けられるので、吸塵効率を向上することができ、ひいては、穿孔作業全体の作業効率を格段に向上させることができる。また、穿孔動作時に生じる粉塵が周辺に飛散するのを抑制することができるので、作業環境の美化向上を実現させることができる。
【0067】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、具体的な細部構造等については適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態に係る穿孔装置を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1に示した穿孔装置の穿孔工具を構成するドリルアダプタ及び周辺部品を矢印IIAの方向から見た場合の拡大斜視図であり、(b)は図1に示した穿孔装置の穿孔工具を構成するドリルアダプタ及び周辺部品を矢印IIBの方向から見た場合の拡大斜視図である。
【図3】図2(a)に示したドリルアダプタの構成部材を一部取り除いた状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示したドリルアダプタを構成するアダプタ基筒を示すものであり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面断面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。
【図5】図2に示したドリルアダプタに装着されるソケットを示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図6】図2に示したドリルアダプタに装着されるプラグを示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図7】図2に示したドリルアダプタを構成する第1ガイドプレートを示すものであり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図である。
【図8】図2に示したドリルアダプタを構成する第2ガイドプレートを示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図9】(a)は図1に示した穿孔装置の穿孔工具の嵌合溝にガイド部材のガイドピンを嵌合させた状態におけるIXA−IXA部分の断面図であり、(b)は(a)のIXB−IXB部分の矢視図である。
【図10】図9に示した状態から穿孔工具を穿孔対象物へ向けて移動させた状態を示す図である。
【図11】(a)は図10に示した状態から穿孔工具を穿孔対象物へ向けてさらに移動させてガイド部材に穿孔工具を固定した状態を示す図であり、(b)は(a)のXIB−XIB部分の断面図である。
【図12】(a)は図1に示した穿孔装置の断面図であり、(b)は(a)のXIIB−XIIB部分の断面図である。
【図13】(a)は図12に示した状態から穿孔装置のドリルを駆動させて穿孔対象物に穿孔を施した状態を示す図であり、(b)は(a)のXIIIB−XIIIB部分の断面図であり、(c)は(a)のXIIIC−XIIIC部分の断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る穿孔装置の使用状態を示す説明図である。
【図15】従来の穿孔装置を示す斜視図である。
【図16】図15に示した穿孔装置の穿孔工具を穿孔板に固定した状態を示す拡大側面図である。
【図17】図16に示した穿孔装置の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 穿孔装置
2 ガイド部材
3 コンターバー(板材)
4 ガイドピン
10 穿孔工具
11 ドリル
13 筒体
20 ドリルアダプタ(嵌合固定部)
21c アダプタ基筒の上端部(回動固定手段)
21f 凹部(回動固定手段)
22d 曲面部(固定突出部、固定手段)
23d 曲面部(固定突出部、固定手段)
24a スライド部材の先端部(可動突出部、固定手段)
29 嵌合溝
30 ソケット(回動固定手段)
50 ボールプランジャ(回動固定手段)
60 割り座金(当接部)
61 スプリング(弾性部材)
70a 吸引口
T 穿孔対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の穿孔対象物の表面に沿って設けられるガイド部材と、このガイド部材に嵌合して固定される嵌合固定部及びこの嵌合固定部に対して移動するドリルを有する穿孔工具と、を備える穿孔装置において、
前記ガイド部材は、
前記穿孔対象物の表面に対して垂直な方向に立設される板材と、
前記板材から前記穿孔対象物の表面に対して平行な方向に突出しかつ所定の穿孔軸に沿って複数配置された状態で設けられたガイドピンと、
を有し、
前記嵌合固定部は、
前記穿孔工具を所定の穿孔軸に沿って前記穿孔対象物に向けて移動させたときに前記ガイドピンを嵌合させて前記穿孔工具の方向を固定する嵌合溝と、
前記ガイドピンを前記嵌合溝に嵌合させた状態で前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させたときに作動し、前記嵌合溝の内部に前記ガイドピンを固定する固定手段と、
を有することを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記穿孔工具の前記嵌合溝に前記ガイド部材の前記ガイドピンを嵌合させた状態で、前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させた場合に、前記ドリルが前記穿孔対象物の表面に対して垂直に案内されることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記嵌合溝の内部に突出するように設けられ、前記ガイドピンを前記嵌合溝に嵌合させた状態で前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させた場合に、前記ガイドピンの上部に当接する固定突出部と、
前記ガイドピンを前記嵌合溝に嵌合させた状態で前記穿孔工具を前記穿孔対象物に向けて移動させた場合に、前記嵌合溝の内部に突出して前記ガイドピンの下部に当接する可動突出部と、
を有し、前記固定突出部と前記可動突出部とによって前記ガイドピンを上下から挟持することを特徴とする請求項1又は2に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記穿孔工具は、
その先端部に前記嵌合固定部が設けられ、
前記嵌合固定部に接続されて前記ドリルを覆う筒体と、
前記嵌合固定部に対する前記ドリルの軸を中心とした前記筒体の回動を許容するとともに、所定角度回動させた前記筒体を前記嵌合固定部に対して一時的に固定する回動固定手段と、
を有することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記穿孔工具は、
前記ガイド部材に前記穿孔工具が固定された状態で前記穿孔対象物に当接する当接部と、
前記ガイド部材に前記穿孔工具が固定された状態で前記当接部を前記穿孔対象物に対して押し付けるような付勢力を作用させる弾性部材と、
を有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の穿孔装置。
【請求項6】
前記ガイド部材に前記穿孔工具が固定された状態で、前記ドリルの先端が前記当接部の近傍に配置されることを特徴とする請求項5に記載の穿孔装置。
【請求項7】
前記穿孔工具は、
前記ドリルによる穿孔動作時に生じる粉塵を吸引するための吸引口を前記当接部の近傍に有することを特徴とする請求項5又は6に記載の穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−123111(P2006−123111A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316135(P2004−316135)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】