説明

窒化物ナノ粒子の製造

窒化物ナノ粒子を製造する方法は、金属、ホウ素またはケイ素を包含する材料と、窒素を包含する材料と、窒化物ナノ構造体の量子収量を増加させるための電子求引基を有するキャッピング剤とを含む構成成分から、窒化物ナノ構造体を製造する工程を含む。少なくとも1%、最大で少なくとも20%の光輝性量子収量を有する、窒化物ナノ粒子、例えば窒化物ナノ結晶体を取得し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノメートル寸法である半導体ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の製造に関し、具体的には、窒化物材料系におけるこのような材料の製造に関する。当該材料は、蛍光−変換LED、放射ELディスプレイ、太陽電池およびバイオイメージングなど、幅広い範囲の用途に用いられる。
【背景技術】
【0002】
その寸法がバルク励起子の直径に匹敵する半導体ナノ結晶体は、量子閉じ込め効果を示す。このことは、結晶体のサイズが小さくなると青色波長にシフトする光学スペクトルにおいてもっとも明瞭に見られる。
【0003】
多くのII−VI半導体およびIII−V半導体を含め、さまざまな材料から作られた半導体ナノ結晶体が、これまでに研究されている。球状ナノ結晶体に加え、ロッド状、矢状、涙滴状およびテトラポッド状のナノ結晶体(Alivisatos et. al., J. Am. Chem. Soc, 2000, 122, 12700; WO03054953)およびコア−シェル構造(Bawendi, J. Phys. Chem. B, 1997, 101, 9463; Li and Reiss, J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 11588)もまた、調製されている。このようなナノ結晶体のサイズおよび形状を制御するため、合成は、通常、1以上のキャッピング剤(サーファクタントまたは配位溶媒とも称される)の存在下で行われる。このようなキャッピング剤は、表面状態の不動態化にもかかわらず、ナノ結晶体の成長を制御するとともに、光放射の強度を増加する。さまざまなキャッピング剤が使用されてきており、ホスフィン類(Bawendi et. al., J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 8706)、ホスフィンオキシド類(Peng et. al., J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 2049)、アミン類(Peng et. al., J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 2049)、脂肪酸類(Battaglia and Peng, Nano Lett., 2002, 2, 1027; Peng et. al., J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 2049)、チオール類(Li and Reiss, J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 11588)、および、金属脂肪酸錯体等のより風変わりなキャッピング剤(Nann et. al., J. Mater. Chem., 2008, 18, 2653)が使用されてきている。
【0004】
半導体ナノ結晶体を調製する方法としては、ソルボサーマル(solvothermal)反応(Gillan et. al., J. Mater. Chem., 2006, 38, 3774)、ホットインジェクション法(Battaglia and Peng, Nano Lett., 2002, 2, 1027)、単純な加温プロセス(Van Patten et. al., Chem. Mater., 2006, 18, 3915)、連続フロー反応(US2006087048)、およびマイクロ波を使用した合成(Strouse et. al., J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 15791)が挙げられる。
【0005】
最も関心をひく半導体のクラスの一つは、III−窒化物類であり、例えば、AlN、GaN、InNおよびこれらのそれぞれの合金である。これらは、青色発光ダイオード、レーザダイオード、および電力電子素子の製造に使用される。窒化物はまた、化学的に不活性であり、放射に対して耐久性があり、そして大きな破壊場、高い熱伝導度および高い電界電子ドリフト移動度を有しており、これにより腐食性環境における強力な用途に最適なものとしている(Neumayer at. al., Chem., Mater., 1996, 8, 25)。窒化アルミニウムのバンドギャップ(6.2eV)、窒化ガリウムのバンドギャップ(3.5eV)および窒化インジウムのバンドギャップ(0.7eV)(Gillan et. al., J. Mater. Chem., 2006, 38, 3774)は、窒化物が電磁スペクトルの紫外領域、可視領域および赤外領域のほどんどに及ぶことを意味している。これら材料の合金が、この範囲にわたって直接光学バンドギャップを有しているという事実により、それらが光学装置にとって非常に有意義なものとなっている。III−窒化物半導体に基づくナノ結晶体の場合、合金化および量子閉じ込め効果を介したバンドギャップの調整により、電磁スペクトルの幅広い領域にわたる類のないナノ結晶性蛍光体を作り出すことの可能性が開かれる。しかしながら、今日まで、窒化物ナノ結晶体の製造ルートでは、発光の弱い材料のみが作られるだけであり、作られるナノ結晶体のサイズを制御することが難しかった。
【0006】
ナノ結晶性窒化インジウムおよび窒化インジウムガリウムが、金属ハロゲン化物とアジ化ナトリウムとのソルボサーマル反応によって、これまで調製されてきている(Gillan et. al., J. Mater. Chem., 2006, 38, 3774)。この材料の発光スペクトルは示されていないものの、蛍光顕微鏡によるいくつかの像が含まれている。ナノ結晶性窒化インジウムは、ヨウ化インジウムとナトリウムアミドとのソルボサーマル反応によっても調製されてきている(Xie et. al., New. J. Chem., 2005, 29, 1610)。この研究では、窒化インジウムナノ結晶体が調製されており、発光スペクトルが報告されているものの、発光強度(例えば、光輝性量子収量)を示すものは報告されていない。他の研究者らは、キャッピング剤の存在下での窒化物ナノ結晶体の調製を試みてきているが、これらの手法で調製された窒化物ナノ結晶体における強い発光は一切報告されていない(Micic et. al., Appl. Phys. Lett., 1999, 74, 478; Van Patten et. al., Chem. Mater., 2006, 18, 3915; Cole-Hamilton et. al., J. Mater. Chem., 2004, 14, 3124; Rao et. al., Small, 2005, 1, 91)。
【0007】
WO2006/027778では、コア−シェルナノ結晶体構造を開示しており、電子供与官能基を有する「外部有機配位子層」または「有機キャッピング剤」を用いてナノ結晶体がキャップされることを提案している。
【0008】
WO2005/110916では、半導体ナノ結晶体コアの周囲に金属層を設けることを教示している。一例として、半導体ナノ結晶体コアの周囲の金属亜鉛層を得るための亜鉛前駆体として、ステアリン酸亜鉛が用いられ得る。
【0009】
WO2005/001906は、リンパ系を撮像するための、放射半導体ナノ結晶体を使用する方法に関する。ここでは、その溶解性を向上させるために、ホスフィン配位子を用いてナノ結晶体を被覆することを提案している。
【0010】
US2006/0240227は、コア−シェルナノ結晶構造体の製造に関する。ここでは、得られたナノ結晶体の溶解性を促進させるために、キャッピング剤の使用を提案している。一実施例として、CdSe/ZnS構造体の調製における、キャッピング剤としてのTOPO(トリオクチルホスフォインオキシド:trioctylphosphoine oxide)またはODA(オクタデシルアミン:octadecylamine)の使用を提案している。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一の態様は、発光窒化物ナノ粒子の少なくとも一部を製造する方法であって、金属、ホウ素またはケイ素を包含する第1材料と、窒素を包含する第2材料と、窒化物ナノ粒子の量子収量を増加させるための電子求引基を有するキャッピング剤とを含む1以上の構成成分から、窒化物ナノ粒子を製造する工程を含む方法を提供することである(第1材料および第2材料は別々の構成成分である必要はなく、単一の構成成分が第1材料および第2材料の両方の役割を果たすものであってもよいことは留意すべきである。さらに、キャッピング剤は、分離した構成成分である必要はないが、第1材料または第2材料(または、第1材料および第2材料の両方の役割を果たす材料)と組み合わされ得る。一つの例として、インジウムチオレートが挙げられ、これではチオレートが第1(金属含有)材料の部分であるが、キャッピング剤としても機能する。)。電子求引基を有するキャッピング剤を付与することにより、得られる窒化物ナノ粒子の光輝性量子収量が大幅に増加することが分かっている。従来技術の窒化物ナノ粒子の光輝性量子収量は、1%をはるかに下回っているのに対し、本発明の方法により製造される窒化物ナノ粒子では、20%以上の光輝性量子収量を得ることが可能である。
【0012】
窒化物ナノ粒子の「光輝性量子収量」は、ナノ粒子に光ルミネッセンスを生じさせる励起光源によってナノ粒子を照射したときの、ナノ粒子が吸収する光子数に対するナノ粒子が放射する光子数の比である。
【0013】
用語「光輝性量子収量」は、本技術分野においてしばしば使用される用語「光輝性量子効率」と混同すべきではないことを留意すべきである。「光輝性量子効率」は、物質に吸収される光子および物質から放射される光子のエネルギーを考慮にいれている。励起波長と放射波長とが類似している場合には、光輝性量子収量と光輝性量子効率とは似た値となるであろう。しかしながら、放射波長と比較し、励起波長の波長が短く、よってより高エネルギーである場合には、光輝性量子効率は、光輝性量子収量よりも低くなるであろう。
【0014】
電子供与基としては、金属、ケイ素またはホウ素が含まれ得る。このような電子供与基は、高量子収量の窒化物ナノ粒子の製造に有効であることが分かっている。
【0015】
本発明の第二の態様は、窒化物ナノ粒子の少なくとも一部を製造する方法であって、金属、ホウ素またはケイ素を包含する第1材料と、窒素を包含する第2材料と、電子求引基を有するキャッピング剤とを含む1以上の構成成分から、窒化物ナノ粒子を製造する工程を含み、上記電子求引基は、金属、ホウ素またはケイ素を包含する、方法を提供することである。
【0016】
第1材料および第2材料は、同一の金属を含んでいてもよく(またはいずれもホウ素もしくはケイ素を含んでいてもよく)、あるいは互いに同一の金属を含んでいなくてもよい(またはホウ素もしくはケイ素)。
【0017】
第1の態様の方法および第2の態様の方法は、ナノ粒子全体の製造に使用され得る。あるいは、ナノ粒子の一部分のみの製造に使用され得る。例えば、本発明の方法は、コア−シェル構造のコアの製造に使用され得る(シェルは、別の方法によって製造される)。あるいは、本発明の方法は、コア−シェル構造のシェルの製造に使用され得る(コアは、別の方法によって製造される)。
【0018】
電子求引基には、第II族金属または第III族金属が含まれ得る(本明細書において、用語「第III族」金属は、Al、Ga、InもしくはTlを表し、一方、用語「第III族」元素は、B、Al、Ga、InもしくはTlを表す)。あるいは、電子求引基には、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Ag,Mo,Ru,Pd,Cd,Ta,W,Os,Ir,Pt,AuおよびHgからなる群より選択される金属が含まれ得る。金属は、例えば、金属アミン、カルボン酸金属塩、金属アセトアセトネート、スルホン酸金属塩、ホスホン酸金属塩、チオカルバミン酸金属塩、または金属チオレートとして供与され得る。あるいは、電子求引基には、In,GaおよびAlからなる群より選択される金属が含まれ得る。
【0019】
一つまたは複数の構成成分は、さらに、電子供与基を有するキャッピング剤であってもよい。これにより、反応混合物における1以上の構成成分の溶解性を促進させ、それにより、ナノ結晶体の成長をより制御できる、より均質な溶液を提供することができる。電子供与基を有するキャッピング剤は、電子求引基を有するキャッピング剤と同一であってもよく、あるいは、異なる2つ(あるいは2以上)のキャッピング剤が使用されてもよい。
【0020】
電子供与基は、ホスフィン、ホスフィンオキシド、カルボン酸、カルボン酸塩、アミン、スルホン酸塩、エステル、チオールおよびチオレートからなる群より選択され得る。
【0021】
一つまたは複数の構成成分には、2以上の金属(またはホウ素もしくはケイ素)を含む一つまたは複数の材料であり得る。これにより、一般式M1x1M2x2M3x3...Mnxnを有する2以上の窒化物合金のナノ粒子を形成することができる。ここで、M1,M2,M3...Mnは、異なる金属、ホウ素、またはケイ素である。2以上の金属、ホウ素またはケイ素は、互いに分離した構成成分によって提供されてもよく、あるいは、単一の構成成分が、2以上の金属、ホウ素、またはケイ素を含むものであってもよい。
【0022】
本方法は、一つまたは複数の構成成分を第1の溶媒中で反応させることにより、1以上の構成成分から窒化物ナノ粒子の少なくとも一部を製造する工程を含み得る。
【0023】
第2材料(すなわち、窒素源/窒素前駆体として働く材料)は、第1の溶媒に対して溶解性であり得る。溶解性または実質的に溶解性の窒素源を使用することにより、不溶性の窒素源/窒素前駆体を使用する場合よりも、最終的なナノ構造体において、より低い半値全幅強度を有する放射ピークが導かれることが分かっている。一つの好適な溶解性窒素源は、リチウムジエチルアミドである。
【0024】
第1の溶媒は、高い沸点を有し得、例えば、少なくとも200℃の沸点を有する。上述のとおり、従来の多くの方法では、「ソルボサーマル」工程を使用するものであり、これは、溶媒の沸点よりも高い温度における(大気圧中)、溶媒中での反応成分の分解を含む。そのため、反応は、大気圧を超える高圧状態にできる閉鎖系で行われる必要がある。高い沸点(大気圧下)を有する溶媒を使用することにより、密閉容器中でプロセスを実行することの必要性が回避される。望ましい反応温度は、150℃〜300℃の範囲内のようで、場合により210℃〜250℃の範囲内である。そのため、密閉用期中でプロセスを実行することの必要性なく反応を実行するには、沸点が少なくとも200℃、またはちょうど250℃、またはそれを超える温度である溶媒が必要となる。原理上は、所望の反応温度よりも高い沸点を有する任意の溶媒が、密閉容器中でプロセスを実行することの必要性なく使用され得る。しかしながら、反応温度が溶媒の沸点に近い場合には、反応容器からの蒸気を圧縮し、反応容器中に戻すためのコンデンサが必要となり得る。
【0025】
反応は、任意の適した手法により達成され得る。例えば、全ての構成成分を溶媒中に供与し、所望の反応温度まで混合物を加熱し、所望の反応温度にて混合物を保持する方法により達成され得る。あるいは、全てではなくいくつかの構成成分を溶媒中に処理し、所望の反応温度まで混合物を加熱し、残りの構成成分を加熱混合物中に導入し、最終的な混合物を所望の反応温度にて保持する方法により達成され得る;この方法が使用される場合、残りの構成成分は、加熱混合物中に導入される前に、それ自身が(例えば溶媒中で)加熱され得る。
【0026】
少なくとも1つのキャッピング剤は、さらに、窒化物ナノ粒子の第2の溶媒への溶解性を促進させる基でもあり得る。これによりその後のナノ粒子の工程を容易にし得る。ナノ構造体の溶解性を促進させる基としては、アルキル鎖(直鎖状または分枝鎖状)があり得る。
【0027】
第2の溶媒は、極性溶媒であり得、例えば、メタノール、エタノールまたは水が挙げられる。あるいは、第2の溶媒は、非極性溶媒であり得、例えば、トルエン、ヘキサンまたはエーテルが挙げられる。
【0028】
窒化物ナノ粒子の溶解性を促進させる基としては、アルキル鎖であり得る。
【0029】
第2材料は、金属アミドであり得る。これは、本発明の方法の使用に都合のよい窒素源である。
【0030】
窒化物ナノ粒子は、第III族窒化物ナノ粒子であり得る。これは、窒化インジウムナノ粒子であり得る。窒化インジウムは、スペクトルの赤外部分にバンドギャップがある。そのため、閉じ込め効果とともに、窒化インジウムナノ粒子は、スペクトルの可視領域にバンドギャップがある。
【0031】
第1材料はヨウ化インジウムであり得、第2材料はNaNH,LiNHまたはKNHであり得、そして、電子供与基を有するキャッピング剤はカルボン酸亜鉛であり得る。
【0032】
本方法は、第1材料、第2材料およびキャッピング剤を150℃〜300℃の温度で反応させることにより、1以上の構成成分から窒化物ナノ粒子を製造する工程を含み得る。150℃より低い反応温度では得られるナノ粒子の結晶品質が低くなること、および、300℃を超える温度では得られるナノ粒子のPLQY値が低くなることが分かっている。反応温度は、210℃〜250℃であり得る。
【0033】
本方法は、第1材料、第2材料およびキャッピング剤を反応させる時間の長さを調節する工程を含み、これにより所望の寸法を有するナノ粒子を得る。反応時間が長く続くほど、得られるナノ粒子の寸法は大きくなり、ナノ粒子の光学特性および他の特性は、ナノ粒子の寸法に依存する。それゆえ、ナノ粒子のサイズおよび対応する放射特性(および他の特性)は、反応の長さによって簡単に調節され得る。
【0034】
本発明の第3の態様は、コア−シェルナノ粒子を形成する方法であって、第1または第2の態様にしたがって窒化物結晶体を形成する工程を含み、該窒化物結晶体はナノ粒子のコアを形成しており、さらに、コアの周囲にシェルを形成する工程を含む方法を提供する。
【0035】
本発明の第4の態様は、コア−シェルナノ粒子を形成する方法であって、ナノ粒子のコアの周囲にシェルを形成する工程を含み、該シェルは第1の態様または第2の態様によって形成される、方法を提供する。
【0036】
本発明の第5の態様は、第1または第2の態様の方法によって製造された発光窒化物ナノ粒子を提供する。
【0037】
本発明の第6の態様は、第3または第4の態様の方法によって製造されたコア−シェルナノ粒子を提供する。
【0038】
シェルは、ZnSシェルであり得る。シェルを形成するために好ましい材料は、コアと類似した格子定数を有する材料である。これは、コアの格子定数とシェルの格子定数との相性がよい場合には、結晶体における欠陥の量をできるだけ少なくできるためである。さらには、PLQYをできるだけ大きくするために、コアに使用した材料よりも大きなバンドギャップを有するシェル材料を使用することが望ましい。そうすることで、励起状態がナノ結晶体のコア中に封じ込められ、それゆえ、励起状態がナノ結晶体の表面および周囲から保護される。ZnSはこれらの要求に見合う。そして、ZnSの合成に使用される方法は周知である。しかしながら、シェルはZnSに限定されず、他の好適な材料を使用してもよい。
【0039】
発光窒化物ナノ粒子は、少なくとも1%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも20%の光輝性量子収量を有し得る。
【0040】
本発明は、発光が大きい発光窒化物ナノ粒子(例えばナノ結晶体)を製造する方法を提供する。従来技術の製造方法を用いて得られる窒化物ナノ結晶体は、高い放射性ではない。
【0041】
本発明に係る窒化物ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)を製造する方法は、好ましくは、成長中の結晶体の表面に効果的に配位することができる1以上のキャッピング剤の存在下で、金属窒化物の合成を行う工程を含む。初めて、高い放射性の窒化物ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)が、そのサイズに関し、制御よく調製された。
【0042】
このことを達成するために、第1に、高い沸点を有する溶媒中で混合物を200℃以上(例えば、225℃)まで加熱した場合に、ヨウ化インジウムとナトリウムアミドとの反応により首尾よくナノ結晶性窒化インジウムを形成できることがわかった。これは、従来技術に記載した高圧のソルボサーマル経路と対照的である。第2に、電子供与基、例えばアルキルチオール(例えば、1−ヘキサデカンチオール)を追加することにより、溶解性窒化インジウムナノ結晶体を形成できることが同定された。しかしながら、この溶解性窒化インジウムナノ結晶体は、高い放射性ではなかった。最後に、電子求引基、例えばステアリン酸亜鉛を反応に追加することにより、高放射性の窒化インジウムナノ結晶体を形成できる。この結晶体は、反応の長さによってサイズおよび対応する電子スペクトルを簡単に調節できる。反応の長さは、放射波長ピークが実質的に全可視スペクトルにわたるように、5〜60分で変化し得る。さらに、電子求引基、例えばステアリン酸亜鉛により、反応混合物中のナトリウムアミドの溶解を促進させ、これにより、ナノ結晶体の成長をよりよく制御できるようになることが期待される、より均質な溶液がもたらされることが判明した。
【0043】
ステアリン酸亜鉛中の亜鉛原子は、ナノ粒子/ナノ結晶体の表面の窒素原子に配位することができ、これにより、ナノ粒子/ナノ結晶体の成長を調節できるとともに、表面を不動態化でき、強い放射をもたらすと考えられる。これは、従来技術と比較して著しい効果をもたらす。
【0044】
ステアリン酸亜鉛がナノ粒子(例えばナノ結晶体)の製造に使用されている本発明の実施形態において、ステアリン酸亜鉛は、電子求引官能基を有するキャッピング剤として使用されていることが理解されることは重要である。電子求引官能基はナノ粒子の表面に配位することができる。これは、窒素原子が不動態化されるように、またナノ粒子の蛍光が弱まらないように、ナノ粒子の表面にある窒素原子に配位している、電子求引官能基の個々の金属(またはケイ素もしくはホウ素)原子において生じていると考えられる。電子求引官能基は金属原子を含み得るが、個々の金属原子は金属錯体中の構成成分を形成しているものであり、互いに結合して伝導に利用可能な遊離電子を有するバルク金属を形成しているものではないことに留意することは重要である。これに対し、WO2005/110916に提案されている方法では、ステアリン酸亜鉛は、半導体ナノ結晶体コアの周囲にあるバルク金属の亜鉛層を得るための亜鉛前駆体として使用されていると考えられる。
【0045】
本発明は、非発光窒化物ナノ粒子の製造にも使用され得る。
【0046】
他の半導体と比較すると、本窒化物は、電磁スペクトルがより広範な範囲に及んでおり、他のIII−V材料のように、本窒化物は、より大きな励起子直径を有している。このことは、光学スペクトルにおけるより顕著な量子寸法効果を有しているはずであることを示している(Brus, J. Chem. Phys., 1983, 33, 6976)。この特性は、図2に示される、本発明の方法に従い調製した窒化インジウムナノ結晶体の放射スペクトルに見られる。図2は、放射波長ピークが、少なくとも480nmから850nmとなる範囲の値となるように調整され得ることを示している。この範囲は、従来技術で知られている他の任意の材料から作られるナノ結晶体よりも広い範囲である。
【0047】
現在まで、放射性ナノ結晶体の大多数は、硫化カドミウム、セレン化カドミウムおよび硫化鉛などのII−VI材料によって構成されている。これらの材料中に毒性の強い重金属が含まれているということは、従来技術に比して顕著な効果が、本発明の窒化物ナノ結晶体にもたらされることにもなる。絶えず厳しくなる規制および消費者意識により、消費者製品に毒性のある材料を用いることはますます難しくなる。本明細書に記載されている窒化物ナノ結晶体の調製に使用される出発材料はすべて低価格であること、およびこれらの材料からのナノ結晶体の調製に使用されるのは簡素な1ステップ工程であることは、さらなる効果である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、単一の反応における異なる時間から得られる窒化インジウムナノ結晶体溶液の一連の吸収スペクトルを示している。
【図2】図2は、単一の反応における異なる時間から得られる窒化インジウムナノ結晶体溶液の一連の放射スペクトルを示している。
【図3】図3は、窒化インジウムナノ結晶体の原子間力顕微鏡(AFM)像を示している。
【図4】図4は、図3に示すナノ結晶体の選択物のサイズ分散を示すヒストグラムを示している。
【図5】図5は、窒化インジウムナノ結晶体の選択物を示す、透過型電子顕微鏡による像を示している。
【図6】図6は、細長い窒化インジウムナノ結晶体の選択物を示す、透過型電子顕微鏡による像を示している。
【図7】図7は、非晶質シリコン基板上に堆積させた窒化インジウムナノ結晶体の高分解能X線回折パターン像を示している。
【図8】図8(a)および図8(b)は、InNコアのみのナノ粒子のTEM顕微鏡写真であり、図8(c)は、InNコアのみのナノ粒子のサイズヒストグラムである。
【図9(a)】図9(a)は、InNコアのみのナノ粒子のHRTEM像である。
【図9(b)】図9(b)は、図9(a)のHRTEM像のフーリエ変換である。
【図10】図10は、InNコアのみのナノ粒子のEDXスペクトルである。
【図11(a)】図11(a)は、InN−ZnSコア−シェルナノ粒子のTEM電子顕微鏡写真である。
【図11(b)】図11(b)は、InN−ZnSコア−シェルナノ粒子のサイズヒストグラムである。
【図12(a)】図12(a)は、InN−ZnSコア−シェルナノ粒子のHRTEM像である。
【図12(b)】図12(b)は、図12(a)のHRTEM像のフーリエ変換である。
【図13(a)】図13(a)は、InN−ZnSコア−シェルナノ粒子のHRTEM像である。
【図13(b)】図13(b)は、図13(a)のHRTEM像のフーリエ変換である。
【図14】図14は、InN−ZnSコア−シェルナノ粒子のコアおよびシェルからのEDXスペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、半導体化合物のナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の製造に関する。より具体的には、本発明は、一般式Mである窒化物の放射性ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)に関する。ここで、Mは、金属、ケイ素またはホウ素であり、xおよびyは、化学量論の平衡を保つことが要求される整数である。本発明はまた、一般式M1x1M2x2M3x3...Mnxnである2以上の窒化物の合金の放射性ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)に関する。ここで、M1,M2,M3...Mnは、異なる金属、ホウ素またはケイ素を表しており、番号x1,x2,x3...xnは、合金中の金属の相対的な量を示しており、yは、化学量論の平衡を保つのに要求される窒素の量である。本発明は、一般式Mである窒化物の製造に関連して、以下に記載されるであろう。しかし、原理は、一般式M1x1M2x2M3x3...Mnxnである窒化物の製造にも等しく適用する。
【0050】
より具体的には、本発明は、一般式Bx1Alx2Gax3Inx4Tlx5Nである第III族元素の窒化物およびそれらの合金の放射性ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の製造に関する。ここで、番号x1,x2,x3,x4およびx5は、0から1までの範囲であり、合金中の金属の相対的な量を示しており、x1+x2+X3+X4+X5=1である(すなわち、y=1)。より具体的には、本発明は、放射性InNナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の製造に関する。
【0051】
本発明により、均一のサイズを有するナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の製造が可能になる。ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)は、それらの直径が約1nm〜約100nm、より具体的には約1nm〜約30nmとなるように製造され得る(上述のとおり、ナノ構造体の光学特性および他の特性は、そのサイズによって決定される)。本発明は、おおよそ、ワイヤ形状、血小板形状、球形状、ロッド形状、矢形状、涙滴形状およびテトラポッド形状などの形状の範囲のナノ結晶体の製造に使用され得る。
【0052】
さらに、本発明によって提供されるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)は、第2材料のシェルが窒化物ナノ粒子の表面上に直接成長した「コア−シェル」構造を有し得る。1以上のこのようなシェルが成長し得る。このシェルは、コアの製造に用いられた金属窒化物と異なる金属窒化物、あるいはIII−V半導体もしくはII−VI半導体、または他の任意の好適な材料によって作られ得る。理想的には、励起状態をナノ結晶体のコア内に制限することを助長させるために、シェル材料のバンドギャップは、コアを形成する金属窒化物のバンドギャップよりも大きい;このような材料からの放射強度がこれにより向上することが知られている。
【0053】
この発明に記載されている方法は、金属窒化物ナノ粒子を形成するための、金属源、ホウ素源またはケイ素源を必要とする。金属、ホウ素またはケイ素を含む任意の化合物が考慮され得る。好ましい具体例としては以下が挙げられる;金属、ホウ素またはケイ素の、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、カルボン酸塩、アルコキシド、水酸化物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、酸化物、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、アジド化物、アミド化物、アルキル、ホスホン酸塩およびリン化物。金属、ホウ素またはケイ素の1以上の源が、InGaNなどの窒化物合金からなるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の製造に使用され得る。好ましい実施形態において、源は、InI、GaIなどのヨウ化物である。
【0054】
この発明に記載されている方法は、窒化物ナノ粒子(例えば、窒化物ナノ結晶体)を形成するための窒素源を必要とする。任意の好適な窒素含有化合物が考慮され得る。好ましい具体例としては、アンモニア、金属アジド化物、金属窒化物、アミン類(N(SiR,NH(SiR,NH(SiR),NR,NHR,NHRなどであり、Rは、−(CH)CHなどのアルキル基(nは整数)、−C(CHまたは−COC(CHなどの任意の分枝鎖状アルキル基である。)、金属アミド(M(N(SiRおよびM(NR)yなどであり、RはHまたは−(CHCHなどのアルキル基(nは任意の整数)または−C(CHもしくは−COC(CHなどの任意の分枝鎖状アルキル基であり、Mは、好ましくはLi,Na,K,CaおよびMgなどの第1族金属または第2族金属であり、xおよびyは化学量論の平衡を保つことが要求される整数である。)が挙げられる。好ましい実施形態において、窒素源は、NaNH、LiNHまたはKNHである。
【0055】
窒化物ナノ粒子を形成するために必要な金属(またはホウ素もしくはケイ素)および窒素を提供する別々の材料を使用することに加えて、窒化物ナノ粒子を形成するために必要な金属(またはホウ素もしくはケイ素)および窒素の両方を提供する単一の材料を使用することも本発明の範疇に含まれる。任意の好適な材料を使用することができ、具体例としては、M(NR(ここで、Mは、含めるべき金属、ホウ素またはケイ素であり、xは窒化物における化学量論の平衡を保つことが要求される数であり、Rは、H、−(CHCHなどのアルキル基(nは整数)、−C(CHもしくは−COC(CHなどの任意の分枝鎖状アルキル基である)、M(N(SiR(ここで、Mは、窒化物中に含めるべき金属、ホウ素またはケイ素であり、xは化学量論の平衡を保つことが要求される数であり、Rは、−(CHCHなどのアルキル基(nは整数)、−C(CHもしくは−COC(CHなどの任意の分枝鎖状アルキル基である)、金属アミドポリマー、金属アジド錯体、および金属尿素錯体が挙げられる。
【0056】
本発明の製造方法におけるさらなる特徴は、ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の成長を制御するため、および強い放射が可能となるようにナノ粒子の表面を不動態化するために、使用するキャッピング剤を選択することである。これらキャッピング剤は、一般に、電子供与官能基または電子求引官能基の何れかによって、金属窒化物ナノ粒子の表面に配位できる官能基からなる。キャッピング剤はまた、トルエン、ヘキサンおよびジエチルエーテルなどの非極性溶媒に対して溶解性となるように、場合により、長い直鎖状または分枝鎖状のアルキル鎖を含み得る。アルキル鎖はまた、場合により、メタノール、エタノールおよび水などの極性溶媒に対してナノ粒子を溶解できるようにする、修飾または機能化がなされ得る。これは例えば、アルキル鎖に対して、−P(O)(OM),−OP(O)(OM),−C(NH)OM,−COM,−SOM,−OSOMおよび−NHXなどの極性官能基を付加することで達成し得る。ここで、Mは、金属であり、Xは対イオンである。ナノ粒子を極性溶媒に溶解できるようにする別の方策としては、多数のエーテル結合(−CH−O−CH−)を含むアルキル鎖を用いることである。極性溶媒および非極性溶媒の両方への溶解性を付与することに加えて、いくつかの利用において所望される他の種または材料にナノ結晶体を付随できるようにするように、ナノ結晶体に付随しているアルキル鎖は修飾され得る。他の種との特定の結合部位を含む誘導体もまた、本発明の一部であり、バイオイメージングおよび公害監視などの分野に利用可能である。
【0057】
さらなる実施形態において、アルキル鎖は、ナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)がポリマー、プラスチック、ガラス等の固体マトリクス内に組み込まれることができるように選択され得る。さらなる実施形態において、アルキル鎖は、ナノ粒子がポリマー化できるような修飾ができるように選択され得る。好ましい実施形態においては、5〜30のCHユニット、より理想的には、10〜20のCHユニットを有する鎖である、単純な直鎖状アルキル鎖が用いられる。
【0058】
任意の電子供与官能基が好適ではあるが、ホスフィン、ホスフィンオキシド、カルボン酸、カルボン酸塩、アミン、スルホン酸塩、エステル、チオールおよびチオレートなどの官能基が好ましい。好ましい実施形態においては、電子供与官能基として、チオレートが選択される。
【0059】
電子求引基として、好適な金属、ホウ素またはケイ素が使用され得る。任意の第II族金属もしくは第III族金属、または以下の金属(Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Ag,Mo,Ru,Pd,Ag,Cd,Ta,W,Os,Ir,Pt,Au,Hg)のうちの1つを用いることが好ましい。好ましい実施形態においてはZnが使用される。金属(またはホウ素もしくはケイ素)をアルキル鎖に結合させるために、アミン、カルボン酸塩、アセトアセトネート、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、チオカルバミン酸塩、チオレートなどの任意の成分が用いられ得る。好ましい実施形態においては、ステアリン酸亜鉛などのカルボン酸亜鉛が使用される。
【0060】
一実施形態において、電子供与基および電子求引基の両方を提供するために、単一のキャッピング剤が使用される。別の実施形態においては、異なる2以上のキャッピング剤が使用される。好ましい実施形態においては、あるキャッピング剤が電子供与体として用いられ、他のキャッピング剤が電子受容体として用いられる。
【0061】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)の一つの応用として、広範な照明用途における蛍光体としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子の使用がある。ここでは、別の光源が、窒化物ナノ結晶体の蛍光を励起するために使用される。一実施形態において、狭いスペクトル範囲で放射される窒化物ナノ結晶体の蛍光は、スペクトルの任意の領域の単一純色を発する光を作り出すために用いられ得る。さらなる実施形態においては、本発明により、異なるサイズの一連の窒化物ナノ結晶体を混合することで、任意の色(または任意の色範囲)の光を作り出すことができる。好ましい実施形態は、ナノ結晶体を照射するために用いられる光源が発光ダイオードの場合であり、これにより、蛍光−変換発光ダイオードが作り出される。本発明の方法により得られるナノ粒子は、LED本体全体に配置させられるか、LED本体中に組み込まれ得る。使用するとき、ナノ粒子はLEDからの光を吸収する。そして、出力されるものが、LED出力光とナノ粒子によって再放射された光との混合、あるいは(ナノ粒子が実質的に全てのLED出力光を吸収した場合)ナノ粒子によって再放射された光のみの何れかとなるように、ナノ粒子は再放射する。
【0062】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、コア−シェルナノ結晶体を調製するために窒化物ナノ結晶体を使用することである。ここでコア−シェルナノ結晶体は、ナノ結晶体と異なる材料の1以上のシェルが、ナノ結晶体(コア−シェル構造体のコアを形成する)の表面上に成長させられている。「コア−シェル」構造体を製造するための、1以上の異なる材料によるナノ粒子の表面被覆は、今や、研究が活発な領域である。なぜならば、このような「コア−シェル」構造体は、シェル材料に応じた一定の修飾により、コア材料の物理的および化学的特性の修飾および調整が可能となるためである。さらには、コア−シェル構造体は、コア材料およびシェル材料いずれにも見られない特性を有することが期待される。1以上のシェルがコア全体に成長させられ得る。
【0063】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、発光ダイオードまたはレーザダイオードなどの光源によって励起される大領域照明パネルを提供するための、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0064】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、蛍光ファイバー、蛍光ロッド、蛍光ワイヤ、および他の形状のものを提供するための、金属窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0065】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、発光によって減衰する、励起状態を生み出す電流を使用して、窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体に直接電気注入する発光ダイオードを作ることである。
【0066】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、液晶ディスプレイに用いられるバックライトの一部としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0067】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、プラズマディスプレイパネル、電界放出ディスプレイまたはブラウン管などのディスプレイにおける放射性種としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0068】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、有機発光ダイオードにおける放射性種としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0069】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、太陽集光器における放射性種としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。ここで、太陽集光器から放射される光は、回収した光を電流に変換するために使用される太陽電池に適合するものである。別々の太陽電池にそれぞれ適合する一連の波長において光を供給するように、1以上のこのような集光器が互いに積み重なっていてもよい。
【0070】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、有機太陽電池または有機光検出器における集光種としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0071】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、色素増感太陽電池または色素増感光検出器における集光種としての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0072】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、太陽電池または光検出器において多数の励起子を生み出すプロセスであるが、単一の光子の吸収から多数の励起子を生み出すための、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0073】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、戦闘中における身分照明を手助けするための、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0074】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、資産管理および資産マーキングにおいて手助けするための、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0075】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、偽造インクとしての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0076】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、インビボおよびインビトロの両方におけるバイオマーカーとしての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0077】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、光線力学療法における、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0078】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、例えば癌診断、フローサイトメトリーおよび免疫アッセイにおけるバイオマーカーとしての、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0079】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、フラッシュメモリーにおける、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0080】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、量子計算における、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0081】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、ダイナミックホログラフィーにおける、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0082】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、熱電素子における、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0083】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、遠隔通信に用いられる機器における、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【0084】
本発明により得られるナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)のさらなる用途は、任意の用途のための、金属(またはホウ素もしくはケイ素)窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の使用である。
【実施例】
【0085】
本発明に係るナノ粒子(例えば、ナノ結晶体)を製造する方法の以下に記す実施例では、ジフェニルエーテル(大気圧において沸点259℃であり、溶媒として供給される)および1−オクタデセン(大気圧において沸点316℃であり、溶媒として供給される)は、(実施例において使用される場合、)減圧下で水酸化カルシウムから蒸留して得られる。全ての操作および合成は、真空乾燥(140℃)したガラス製品および装置を用いて、グローブボックス内で行ったものの、他の全ての試薬は、(例えば、シグマ−アルドリッチ社から)受け取った状態で使用した。
【0086】
(実施例1)
ヨウ化インジウム(300mg、0.6mmol)、ナトリウムアミド(500mg、12.8mmol)、ヘキサデカンチオール(380μl、1.0mmol)、ステアリン酸亜鉛(379mg、0.6mmol)およびジフェニルエーテル(20ml)(沸点259℃、溶媒として作用)を225℃まで急速に加熱した。構成成分のうち、ヨウ化インジウムは第III族金属(インジウム)を供給し、ナトリウムアミドは窒素を供給し、ヘキサデカンチオールは電子供与基を有するキャッピング剤であり、ステアリン酸亜鉛は電子求引基を有するキャッピング剤であり、そしてジフェニルエーテルは溶媒として働く。60分の経過の間、反応混合物の一部(0.25ml)を数回取り出し、それをシクロヘキサン(3ml)に希釈し、あらゆる不溶性物質を遠心分離機を用いて取り除いた。これにより得られる澄んだ溶液について、吸光光度法および発光分光法により分析をおこなった。その結果、図1および図2に示されるように、反応が経過している間、最大発光波長が、480nmから850nmまで変化することが示された。発光スペクトルにおけるピークは、ほぼ150nm程度の半値全幅強度を有していた。
【0087】
あらゆる溶解性不純物を除去して試料をさらに精製するために、イソプロパノールとメタノールとの1:1混合物(30ml)中に試料を滴下し、遠心分離機によって回収可能なナノ結晶体を沈殿させた。結果として得られる固体は、第2の溶媒(例えば、シクロヘキサン)に再溶解できる。
【0088】
このような反応に由来する試料を354nmの光源を用いて照射すると、試料は可視領域において放射するため、照射の結果の放射は、裸眼でも容易に見ることができる。これは、本発明により得ることのできる窒化物ナノ構造体における高い量子収量を示している。従来技術における窒化物ナノ構造体の発光は、通常、レベルが低すぎて、人間の目では見ることができない。
【0089】
凡例に示す時間において反応から取った一連の試料に由来する吸収スペクトルが、図1に記録されている。これは、反応が続くにしたがってナノ結晶体のサイズが増加し、ナノ結晶体のバンドギャップの変化がもたらされる結果として、吸収スペクトルが時間とともに変化することを示している。
【0090】
これらの試料における対応する発光スペクトルを図2に示す。1時間を限度に時折取り出した試料の発光スペクトルは、実質的に、全可視領域に及んでおり、赤外領域内に広がっている。それゆえ、溶液からナノ結晶体を回収する前の反応時間を適切に選択することにより、特定の光学特性(所望の発光波長ピークなど)を有するナノ結晶体を得ることが可能となる。
【0091】
この反応から取り出した試料の光輝性量子収量を、光束計の球を用いて測定した結果、値は10%であった。従来技術における窒化物ナノ構造体における光輝性量子収量は1%をはるかに下回るため、これは、従来技術に比して著しく大きな値である。
【0092】
この光輝性量子収量(PLQY:photoluminescence quantum yield)測定、および本明細書に記載した全てのPLQY測定は、Analytical Chemistry, Vol. 81, No. 15, 2009, pp6285-6294に記載された方法を用いて実施している。測定は、吸光度が0.04〜0.1である、窒化物ナノ結晶体のシクロヘキサン希釈試料について実施している。1,4−ジオキサン中のナイルレッドを標準として使用した。これは、PLQY70%を有している(Analytical Biochemistry, Vol. 167, 1987, 228-234)。全てのナノ結晶体試料および参照に関し、励起波長を450nmに固定した。
【0093】
シクロヘキサンに含まれるInNナノ結晶体試料を、雲母基板上にスピンコートし、原子間力顕微鏡による分析を行った。図3は、試料の位相画像を示しており、個々のナノ結晶体をはっきりと観察することができる。図4に示すヒストグラムは、ナノ結晶体のサイズを示すものであるが、ナノ結晶体の実寸は、ここで報告している形態よりも小さいようである(原子力間顕微鏡の先端が有限サイズであるため)。図5は、穴あき炭素膜上に堆積させた試料のTEM像を示している。図6は、ある試料において見られた3つのナノロッドのTEM像を示している。図7は、非晶質シリコン基板上に堆積させた窒化インジウムナノ結晶体試料の高分解能X線回折パターンを示している。このパターンは、ナノ結晶体のサイズが小さいため幅広になっているが、六方晶系の窒化インジウムから予想されるピーク位置に追随している。
【0094】
(実施例2)
ヨウ化インジウム(300mg、0.6mmol)、ナトリウムアミド(500mg、12.8mmol)、ヘキサデカンチオール(380μl、1.0mmol)、ステアリン酸亜鉛(379mg、0.6mmol)およびジフェニルエーテル(20ml)を250℃まで急速に加熱した。40分の経過の間、反応混合物の一部(0.25ml)を数回取り出し、それをシクロヘキサン(3ml)を用いて希釈し、あらゆる不溶性物質を遠心分離機を用いて取り除いた。これにより、放射性の窒化インジウムナノ結晶体の澄んだ溶液が得られる。実施例1と同様に、得られたナノ結晶体の吸収/放射特性は反応に依存しており、図1および図2に類似した時間依存性を示した。
【0095】
(実施例3)
ヨウ化インジウム(300mg、0.6mmol)、ナトリウムアミド(500mg、12.8mmol)、パルミチン酸(256.4、1.0mmol)、ステアリン酸亜鉛(379mg、0.6mmol)およびジフェニルエーテル(20ml)を225℃まで急速に加熱した。本実施例において、ヘキサデカンチオールではなく、パルミチン酸が、電子供与基を有するキャッピング剤として用いられている。
【0096】
40分の経過の間、反応混合物の一部(0.25ml)を数回取り出し、それをシクロヘキサン(3ml)に希釈し、あらゆる不溶性物質を遠心分離機を用いて取り除いた。これにより、窒化インジウムナノ結晶体の澄んだ溶液が得られる。実施例1と同様に、得られたナノ結晶体の吸収/放射特性は反応に依存しており、図1および図2に類似した時間依存性を示した。
【0097】
(実施例4)
ナトリウムアミド(100mg、2.56mmol)、ステアリン酸亜鉛(76mg、0.12mmol)およびジフェニルエーテル(3ml)の混合物を、250℃に加熱した、ヨウ化インジウム(60mg、0.12mmol)とヘキサデカンチオール(62μl、0.2mmol)とを含むジフェニルエーテル(20ml)溶液中に、素早く添加した。試料(0.5ml)を、6〜20分の規則的な間隔で取り出し、トルエン(3ml)を用いて希釈した。結果として得られた試料の発光スペクトルは、試料を取り出した時間に応じて、最大値が420nm〜670nmに及ぶピークを示し、半値全幅は140〜200nmに広がっていた。
【0098】
(実施例5)
ヨウ化インジウム(InI)(300mg、0.6mmol)を含むジフェニルエーテル(3ml)の高温溶液を、225℃に加熱した、ナトリウムアミド(500mg、12.8mmol)、ヘキサデカンチオール(612μl、2.0mmol)、ステアリン酸亜鉛(760mg、1.2mmol)およびジフェニルエーテル(20ml)を含む溶液に添加した。試料(0.5ml)を、1〜15分の規則的な間隔で取り出し、ヘキサン(3ml)を用いて希釈した。結果として得られた試料の発光スペクトルは、試料を取り出した時間に応じて、最大値が610nm〜810nmに及ぶピークを示し、半値全幅は152〜230nmに広がっていた。
【0099】
実施例2〜5において、ナノ結晶体は、上述の実施例1に記載のとおり、溶液から回収され得る。
【0100】
(実施例6)
窒素源としてナトリウムアミドを使用した場合と比較して、溶解性の窒素源を使用することにより、発光ピークの半値全幅強度が低減することが示されている。好適な溶解性窒素源の一つは、(CHCHNLi−ジエチルアミドリチウムである。用語「溶解性の」は、窒素源が反応混合物中に溶解できることを意味している。このことは、通常、反応が行われる溶媒に対して窒素源が溶解できることを要することと同等である。なぜなら、溶媒は、反応混合物の大部分(体積換算)を構成するであろうためである。窒素源は、完全に溶解できることを必要としないが、向上した溶解性は有益である。他の好適な溶解性の窒素源は、他の金属アミドであり、ジメチルアミドリチウム[(CHNLi]、ジプロピルアミドリチウム[CH(CHNLi]、ジブチルアミドリチウム[CH(CHNLi]および一般式RNMを有する他の金属アミドなどである。ここで、Mは、金属であり、Rは直鎖状または分枝鎖状のアルキル鎖である。発光ピークのピーク幅の減少は、窒素源の溶解性が増加することによって、より均質な反応混合物が得られ、これにより、個々のナノ結晶体の成長が互いに同じ時間に開始でき、それゆえ、反応の間、個々のナノ結晶体は、互いに、より類似したサイズとなり、これにより、結果物であるナノ結晶体における発光スペクトルの幅がより狭くなったことによるものと考えられる。
【0101】
ヨウ化インジウム(300mg、0.6mmol)、ジエチルアミドリチウム(1g、12.6mmol)、ヘキサデカンチオール(308μl、1.0mmol)、ステアリン酸亜鉛(379mg、0.6mmol)および1−オクタデセン(20ml)を、225℃まで急速に加熱した。ジエチルアミドリチウムは、溶解性の窒素源を構成している。120分の経過の間、反応混合物の一部(0.25ml)を数回取り出し、それをシクロヘキサン(3ml)を用いて希釈し、あらゆる不溶性物質を遠心分離機を用いて取り除いた。結果として得られた澄んだ溶液について、吸光光度法および発光分光法により分析をおこなった。その結果、反応の経過している間、最大発光波長が、ほぼ500nmからほぼ600nmまで変化することが示された。発光スペクトルにおけるピークは、110〜150nmに広がっている半値全幅強度を有していた。これは、窒素源としてナトリウムアミドを使用した場合に観察されるよりも小さい値である。
【0102】
(実施例7−InN−ZnS コア−シェルナノ結晶体)
ヨウ化インジウム(600mg、1.2mmol)、ナトリウムアミド(1g、15.6mmol)、ヘキサデカンチオール(600μl、1.0mmol)、ステアリン酸亜鉛(760mg、1.2mmol)および1−オクタデセン(40ml)を250℃まで急速に加熱した。混合物を250℃で30分間保持した後、室温まで冷却し、遠心分離によりあらゆる不溶性物質を取り除いた。暗い色の溶液を、デカントで固体から移しとり、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(1g、2.7mmol)とともに、175℃で60分間、さらに処理した。混合物を室温まで冷却し、あらゆる不溶性物質を遠心分離により取り除き、InN−ZnSコア−シェルナノ結晶体の溶液を残した。ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛は、シェルのZnSの前駆物質である。ナノ結晶体は、シクロヘキサンにすぐに溶解する暗い固体を残すような、200mlの無水エタノールを用いた沈殿により、単離された。コア−シェルナノ結晶体は、対応するコアのみのナノ結晶体と比較して、向上したPLQYを示している。
【0103】
コア−シェルナノ結晶体は、コアのみの材料と比較して、長期にわたる向上した安定性を示している。コアのみの材料においては、空気にさらすことにより、材料の放射特性が低下し、最終的には消失してしまうことが分かっている。コア−シェル構造体を得るために硫化亜鉛でもって被覆することにより、放射特性は、空気に対する感度が低くなり、それゆえ、ナノ結晶体は長期にわたりより安定したものとなる。
【0104】
実施例7に記載した方法と同様の方法(ただし、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛との処理は省略)により調製したコアのみのInNナノ結晶体を、エタノールを用いた沈殿により単離し、トルエンに再溶解した。このトルエン溶液を、穴のある炭素TEM格子上に滴下して投じた。図8(a)および図8(b)のTEM像は、いくつかの個々のInNコアのみのナノ結晶体を示している。100を超えるこのようなナノ結晶体を測定し、図8(c)に図示されるサイズヒストグラムが得られた。ナノ結晶体のサイズは、6nm〜34nmに及び、平均直径は12.7nmであった。図9(a)の高分解能TEM(HRTEM:high resolution TEM)像は、ひとつのこのようなナノ結晶体を示している。図9(a)は、粒子直径が11nmであるInNコアのみのナノ粒子のHRTEM像である。このHRTEM像は、ナノ結晶体がより高い結晶性を有しており、立方晶系結晶構造を有していることを示している。ナノ粒子は、立方晶系結晶構造を見せている。観察された格子面間隔は、立方晶系窒化インジウムから予想されるものと一致している。図9(a)のフーリエ変換により構造をさらに確認した。図9(b)に示されるように、ナノ結晶体が立方晶系窒化インジウムの構成を有していることと再び一致した。
【0105】
図10は、コアのみのInNナノ結晶体のEDX(エネルギー−分散X線分光学)スペクトルを示しており、キャッピング剤由来の亜鉛および硫黄とともに、インジウムおよび窒素が存在することを確実にしている。観察された他の元素は、機器またはTEM格子の何れかに由来するものである。
【0106】
実施例7に記載のとおり調製したコア−シェルInN−硫化亜鉛ナノ結晶体をエタノールを用いた沈殿により単離し、トルエンに再溶解した。このトルエン溶液を、穴のある炭素TEM格子上に滴下して投じた。図11(a)のTEM像は、いくつかの個々のInN−ZnSコア−シェルナノ結晶体を示している。100を超えるこのようなナノ結晶体を測定し、図11(b)に図示されるサイズヒストグラムが得られた。ナノ結晶体のサイズは、6nm〜42nmに及び、平均直径は19.4nmであった。比較すると、コアのみのInNコアのみの材料は、6〜34nmのサイズ分布であって、平均が12.7nmである。これは、予想通りに、ZnSシェルの成長によって、ナノ結晶体の平均サイズが増加することとなったことを示している。
【0107】
図12(a)に示される高分解能TEM像は、一つのこのようなナノ結晶体を示している。図12(a)は、粒子直径が17nm(コアの直径は10nm)であるInN−ZnSコア−シェルナノ粒子のコア領域のHRTEM像である。このHRTEM像は、ナノ結晶体コアが高い結晶性を有しており、立方晶系結晶構造を有していることを示している。観察された格子間隔は、立方晶系窒化インジウムから予想されるものと一致している。非晶質ZnSシェルもまた観察することができる。図12(a)のフーリエ変換によって構造をさらに確認した。図12(b)に示されるように、ナノ結晶体コアが立方晶系窒化インジウムの構成を有していることと再び一致した。
【0108】
図13(a)は、より小さなナノ結晶体の高分解能TEM像を示しており、これは六方晶系構造を有している(この粒子上にあるZnSシェルまで分解することは不可能である)。図13(a)は、粒子直径が6nm(シェルは解像できていない)であるInN−ZnSコア−シェルナノ粒子のコア領域のHRTEM像である。図13(b)に示されるように、図13(a)のフーリエ変換は、コアが六方晶系窒化インジウムを構成していることと一致している。
【0109】
図14は、コアの直径が7nmであり、全体の直径(粒子直径)が15nmであるコア−シェルInN−ZnSナノ結晶体に関する、細い、集束プローブビームを用いて得られたEDXスペクトルを示している。上段のスペクトルにおいては、ちょうどナノ結晶体のシェルではあるがビームが通過しており、予想通り、主として亜鉛および硫黄を含んでいることを示している。中段のスペクトルにおいては、ナノ結晶体のコアおよびシェルではあるがビームが通過しており、予想されたように、上側の記録線(シェルのもの)と比較し、より多くのインジウムが観察されている。下側の記録線は、粒子ではあるがビームが通過していない場合に得られるバックグラウンドスペクトルを示している。
【0110】
(実施例8−InGaNナノ結晶体)
ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)、ヨウ化インジウム(124mg、0.25mmol)、ナトリウムアミド(390 mg、10mmol)、ヘキサデカンチオール(153μl、0.5mmol)、ステアリン酸亜鉛(316mg、0.5mmol)および1−オクタデセン(40ml)を225℃まで急速に加熱し、225℃で保持した。20分、40分、および60分後に試料(0.25ml)を取り出し、シクロヘキサンを用いて希釈し、PLQYを測定した。結果、20分、40分、および60分の試料における値は、それぞれ14%、11%、および10.5%であった。反応混合物中にヨウ化ガリウムを追加することにより、結果として得られるナノ結晶体のPLQYが増加することが見られた。これはおそらくは、ガリウムがナノ結晶体中に組み込まれたためである。
【0111】
(実施例9−InGaN−ZnSコア−シェルナノ結晶体)
ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)、ヨウ化インジウム(124mg、0.25mmol)、ナトリウムアミド(390 mg、10mmol)、ヘキサデカンチオール(153μl、0.5mmol)、ステアリン酸亜鉛(316mg、0.5mmol)および1−オクタデセン(40ml)を225℃まで急速に加熱した。混合物を225℃で60分間保持した後、混合物を室温まで冷却し、遠心分離してあらゆる不溶性物質を取り除いた。結果として得られる暗い色の溶液を、デカントで固体から移しとり、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(1g、2.7mmol)とともに、175℃で60分間、さらに処理した。混合物を室温まで冷却し、あらゆる不溶性物質を遠心分離により取り除き、InGaN−ZnSコア−シェルナノ結晶体の溶液を残した。ナノ結晶体のPLQYを測定した結果、18%であった。このことは、InGaNナノ結晶体上にZnSシェルを成長させることによりPLQYが向上し、ナノ結晶体の長期にわたる安定性が向上したことを示している。
【0112】
(実施例10−InGaN−ZnSコア−シェルナノ結晶体)
ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)、ヨウ化インジウム(124mg、0.25mmol)、ナトリウムアミド(390 mg、10mmol)、ヘキサデカンチオール(153μl、0.5mmol)、ステアリン酸亜鉛(316mg、0.5mmol)および1−オクタデセン(40ml)を225℃まで急速に加熱した。混合物を225℃で20分間保持した後、混合物を室温まで冷却し、遠心分離してあらゆる不溶性物質を取り除いた。結果として得られる濃い色つきの溶液を、デカントで固体から移しとり、試料4mlをジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(100mg、0.27mmol)とともに、175℃で40分間、処理した。結果として得られたナノ結晶体は、PLQYが23%であった。このことは、InGaNナノ結晶体上にZnSシェルを成長させることによりPLQYおよび安定性が向上することを再び示している。
【0113】
(実施例11−InGaN−GaNコア−シェルナノ結晶体)
ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)、ヨウ化インジウム(124mg、0.25mmol)、ナトリウムアミド(390 mg、10mmol)、ヘキサデカンチオール(153μl、0.5mmol)、ステアリン酸亜鉛(316mg、0.5mmol)および1−オクタデセン(40ml)を225℃まで急速に加熱した。混合物を225℃で20分間保持した後、混合物を室温まで冷却し、遠心分離してあらゆる不溶性物質を取り除いた。結果として得られる溶液20mlを、ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)およびナトリウムアミド(185mg、5mmol)とともにさらに処理して、225℃まで加熱し、225℃で20分間保持した。得られたナノ結晶体を測定した結果、PLQYは28%であった。このことは、InGaNナノ結晶体上に窒化ガリウムシェルを成長させることによって、硫化亜鉛のシェルの場合よりもPLQYが大幅に向上することを示している。
【0114】
(実施例12−InGaN−GaN−ZnSコア−シェル−シェルナノ結晶体)
ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)、ヨウ化インジウム(124mg、0.25mmol)、ナトリウムアミド(390 mg、10mmol)、ヘキサデカンチオール(153μl、0.5mmol)、ステアリン酸亜鉛(316mg、0.5mmol)および1−オクタデセン(40ml)を225℃まで急速に加熱した。混合物を225℃で20分間保持した後、混合物を室温まで冷却し、遠心分離してあらゆる不溶性物質を取り除いた。結果として得られる溶液20mlを、ヨウ化ガリウム(113mg、0.25mmol)およびナトリウムアミド(185mg、5mmol)とともにさらに処理して、225℃まで20分間加熱した。得られた溶液を遠心分離してあらゆる不溶性物質を取り除き、次いで、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(500mg、1.35mmol)とともに処理し、175℃まで加熱して、175℃で60分間保持した。得られたナノ結晶体を測定した結果、PLQYは21.5%であった。これは、GaNによって被覆されているInGaNナノ結晶体上にZnSシェルを成長させることにより、コア−シェル−シェル構造体となる一つの例である。他のコア−シェル構造体と同様に、シェルがナノ結晶体の長期にわたる安定性を向上させる。
【0115】
上述の例においては、反応温度は225℃または250℃である。しかしながら、本発明の製造方法は、これらの特定の反応温度を要求するものではない。しかしながら通常は、反応温度が少なくとも150℃であることが好ましい。一般的に、反応温度が高くなるほど、結果として得られる窒化物ナノ結晶体の結晶品質が優れたものとなる。そのため、反応温度は少なくとも150℃であることがおおむね好ましい。さらには一方で、構成成分のいくつかの組み合わせにおいては、150℃よりも低い反応温度、場合によっては室温ほどの低い反応温度であっても、品質が許容範囲にある結晶体を得ることができるが、温度が150℃よりも低い場合には、反応は非常に遅くなる。そのため、たとえ150℃よりも低い反応温度で、許容範囲にある結晶品質となる場合でも、通常は、長い反応時間を要しないようにするために、150℃以上の反応温度とすることが好ましい。
【0116】
さらには、実験により、250℃〜300℃を超える反応温度により、材料のPLQYを低下させ得ることが示されている。異なる反応温度についてのPLQYを測定した結果の例を下記表1に示す。表1に示す結果は、表1に記した反応温度で窒化物コアを成長させ、175℃でZnSシェルを成長させた、InN−ZnSコア−シェルナノ結晶体の成長に関連している。InNコアを成長させたときの反応温度を除き、他のパラメータは変化させていない。
【0117】
【表1】

【0118】
表1から見られるように、InNコアを220℃または227℃で成長させた場合には、PLQYが12%であるナノ構造体が得られた。そして、InNコアを233℃で成長させた場合には、PLQYが11%であるナノ構造体が得られた。しかしながら、InNコアを240℃で成長させた場合には、得られたナノ構造体のPLQYは8%まで低下した。
【0119】
反応温度が上昇すると反応速度および結晶品質が増加すること、ならびに表1に示されるように成長温度が高くなるとPLQYが減少することを考慮すると、成長温度は少なくとも150℃であり300℃を超えないことが通常は好ましい。さらには、優れた結晶品質および高いPLQYとなることから、成長温度は210℃以上であり、ほぼ250℃よりも低い場合が特に好ましい。
【0120】
反応が溶媒中で行われる場合、加圧下で反応を行う必要性を避けるために、所望の反応温度よりも高い沸点を有する溶媒が当然に望ましい。したがって、沸点が200℃を超える溶媒、さらには250℃を超える溶媒を用いることが好ましい。好適な溶媒の一つはジフェニルエーテルである。なぜならば、これは大気圧下での沸点が259℃であり、それゆえ、ほぼ230℃までの反応温度に適しているからである。しかし本発明はこの溶媒に限定されない。他の好適な溶媒は、1−オクタデセンであり、これは大気圧下での沸点が316℃である。上述のとおり、使用した溶媒の沸点と反応温度が近い場合には、反応容器からの気体を圧縮して反応容器に戻すために、コンデンサが必要となり得る。
【0121】
それゆえ、本発明によれば、優れた発光特性を有する窒化物ナノ粒子、とりわけ第III族金属窒化物ナノ結晶体を製造することが可能となることが理解される。ナノ結晶体を溶液から回収する前の反応時間を適切に選択することにより、特定の光学特性(所望の放射波長ピークなど)を有するナノ粒子/ナノ結晶体を得ることができる。
【0122】
本発明の方法により得られたナノ粒子/ナノ結晶体は、その後、例えば上述した任意の用途に使用できるように、さらなる処理が行われるものであってもよい。例としては、本発明の方法により得られたナノ結晶体は、光源(例えば、励起光源からの光によりナノ結晶体が照射されている、光源)内にそれらを組み込むためのさらなる処理が行われてもよい。あるいは、コア−シェル構造体(ここではナノ結晶体がコアとなっている)を提供するために、異なる一つまたは複数の材料の1以上のシェルをナノ結晶体の周囲に供給するためのさらなる処理が行われてもよい。任意の好適な処理ステップが、本発明の方法により得られたナノ結晶体に適用され得、これらのさらなる処理ステップは、おそらくは詳細には記載されない。
【0123】
本発明の方法は、コア−シェル構造体を形成するために、コアの周囲に窒化物層を成長させることにも使用され得る。コアは、任意の好適なプロセスによって製造することができ、コアは窒化物材料に限定されない。
【0124】
本発明の好ましい実施形態は、ナノ結晶体に関して記載されている。しかしながら本発明のナノ粒子はナノ結晶体に限定されるものではなく、非晶質構造のナノ粒子でもあり得る。
【0125】
本発明は、発光窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の製造に関して記載されている。しかしながら本発明はこれに限定されるものではなく、発光性ではない窒化物ナノ粒子/ナノ結晶体の製造にもまた適用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光窒化物ナノ粒子の少なくとも一部を製造する方法であって、
金属、ホウ素またはケイ素を包含する第1材料と、窒素を包含する第2材料と、窒化物ナノ粒子の光輝性量子収量を増加させるための電子求引基を有するキャッピング剤とを含む1以上の構成成分から、窒化物ナノ粒子を製造する工程を含む、方法。
【請求項2】
上記電子求引基は、金属、ホウ素またはケイ素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
窒化物ナノ粒子の少なくとも一部を製造する方法であって、
金属、ホウ素またはケイ素を包含する第1材料と、窒素を包含する第2材料と、電子求引基を有するキャッピング剤とを含む1以上の構成成分から、窒化物ナノ粒子を製造する工程を含み、上記電子求引基は、金属、ホウ素またはケイ素を包含する、方法。
【請求項4】
上記電子求引基は、第II族金属または第III族金属である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
上記電子求引基は、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,Ag,Mo,Ru,Pd,Cd,Ta,W,Os,Ir,Pt,AuおよびHgからなる群より選択される金属である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
上記電子求引基は、In,GaおよびAlからなる群より選択される金属である、請求項2、3、4または5に記載の方法。
【請求項7】
一つまたは複数の上記構成成分は、さらに、電子供与基を有するキャッピング剤である、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記電子供与基は、ホスフィン、ホスフィンオキシド、カルボン酸、カルボン酸塩、アミン、スルホン酸塩、エステル、チオールおよびチオレートからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
一つまたは複数の上記構成成分は、2以上の金属、ホウ素またはケイ素を含む一つまたは複数の材料である、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の方法であって、
一つまたは複数の上記構成成分を第1の溶媒中で反応させることにより、上記1以上の構成成分から上記窒化物ナノ粒子を製造する工程を含む、方法。
【請求項11】
上記第2材料は、上記第1の溶媒に対して溶解性である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記第1の溶媒は、沸点が少なくとも200℃である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの上記キャッピング剤は、上記窒化物ナノ粒子の第2の溶媒への溶解性を促進させる基である、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
上記第2の溶媒は、極性溶媒である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記第2の溶媒は、メタノール、エタノールまたは水である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記第2の溶媒は、非極性溶媒である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
上記第2の溶媒は、トルエン、ヘキサンまたはエーテルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記窒化物ナノ粒子の溶解性を促進させる上記基は、アルキル鎖である、請求項13〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
上記第2材料は、金属アミドである、請求項1〜18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
上記窒化物ナノ粒子は、第III族窒化物ナノ粒子である、請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
上記窒化物ナノ粒子は、窒化インジウムナノ粒子である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記第1材料は、ヨウ化インジウムであり、上記第2材料は、NaNH、LiNHまたはKNHであり、電子求引基を有する上記キャッピング剤は、カルボン酸亜鉛である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記第1材料、上記第2材料および上記キャッピング剤を150℃〜300℃の温度で反応させることにより、上記1以上の構成成分から上記窒化物ナノ粒子を製造する工程を含む、請求項1〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
上記第1材料、上記第2材料および上記キャッピング剤を210℃〜250℃の温度で反応させることにより、上記1以上の構成成分から上記窒化物ナノ粒子を製造する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
所望の寸法を有するナノ粒子を得るために、上記第1材料、上記第2材料および上記キャッピング剤を反応させる時間の長さを調節する工程を含む、請求項1〜24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
コア−シェルナノ粒子を形成する方法であって、
請求項1〜25の何れか1項に記載の方法にしたがって窒化物結晶体を形成する工程を含み、該窒化物結晶体はナノ粒子のコアを形成しており、
さらに、上記コアの周囲にシェルを形成する工程を含む、方法。
【請求項27】
コア−シェルナノ粒子を形成する方法であって、
上記ナノ粒子のコアの周囲にシェルを形成する工程を含み、該シェルは、請求項1〜25の何れか1項に記載の方法によって形成される、方法。
【請求項28】
請求項1〜25の何れか1項に記載の方法によって製造された、発光窒化物ナノ粒子。
【請求項29】
請求項26または27に記載の方法によって製造された、コア−シェルナノ粒子。
【請求項30】
上記シェルは、ZnSを含む、請求項29に記載のコア−シェルナノ粒子。
【請求項31】
少なくとも1%の光輝性量子収量を有する、請求項28、29または30に記載の発光性窒化物ナノ粒子。
【請求項32】
少なくとも5%の光輝性量子収量を有する、請求項28、29または30に記載の発光性窒化物ナノ粒子。
【請求項33】
少なくとも10%の光輝性量子収量を有する、請求項28、29または30に記載の発光性窒化物ナノ粒子。
【請求項34】
少なくとも20%の光輝性量子収量を有する、請求項28、29または30に記載の発光性窒化物ナノ粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−515802(P2012−515802A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531074(P2011−531074)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/JP2010/051315
【国際公開番号】WO2010/085001
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】