説明

窒素添加サーメットなどの硬質材料の研削加工に適したレジンボンド砥石

【課題】窒素添加サーメットや超硬合金を高い研削比で加工できる砥石を提供する。
【解決手段】砥粒粉の主成分がダイヤモンドとDLCの2種からなり、ダイヤモンドを含む比率が25%〜45%(DLC比率では55%〜75%)である混合砥粒を用いて、研削時に生じる研削熱が過度にならない研削条件を設定することで、優先的に消失するDLCを最適化し、鋭い切れ刃のダイヤモンド砥粒を効率よく露出することになるようにした、ダイヤモンドレジンボンド砥石とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に窒素添加サーメットのような、一般に採用されている研削条件の下では研削比が低い被加工材を、高い研削比で研削できるレジンボンドダイヤモンド砥石に係わる。
【背景技術】
【0002】
耐摩耗工具や切削工具のうち、特に高い耐凝着摩耗性が要求される用途においては、窒素添加サーメットすなわちTi(C,N)−XC−Ni−CoやTiC−TiN−XC−Ni−Coサーメットが使用されている。ここで、C/N原子比は通常は3/7〜9/1、XはMo、W、Ta、Nb、Zr、V、Crなどの金属元素であり総量は炭化物XC換算で0〜45mass%、結合金属のNiとCoとの重量比は0/100〜100/0であり総量は0.1〜35mass%である。ここで、炭化物XCの代わりに、窒化物XNを用いても良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
窒素添加サーメット焼結体を所定寸法の耐摩耗工具や切削工具に加工するには、一般にダイヤモンド砥石による研削加工法が用いられる。従来のサーメット用砥石で、例えば、形状がφ200mm×10mmで、ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52を用いて、砥石周速度1500m/min、左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液の供給量を60L/minとして、φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体を1mm研削加工した場合の研削比すなわち(研削除去体積)/(砥石摩耗体積)は約16である。
【0004】
同条件でWC−Co系超硬合金(硬さ88. 0HRA)を切削した場合の研削比が約780であることから、窒素添加サーメットの研削比は超硬合金に比べて約1/49であり著しく低い。この結果は、砥石の砥粒層の摩耗速度が、窒素添加サーメットでは超硬合金に比べて約49倍も大きいことを示す。
【0005】
この原因は、(1)窒素添加サーメットの中の炭窒化物相(Ti(C,N)およびXCを固溶した(Ti,X)(C,N)。後記)は、超硬合金の主成分であるWCと異なり、一般に非化学量論的化合物すなわち(C+N)/Ti原子比と(C+N)/(Ti+X)原子比がいずれも1以下でありCまたはNの結晶格子点が空孔となっていることから、研削加工で生じる研削熱に基づく温度上昇により原子の拡散が活発となると、砥粒のC原子を吸収しやすい、
【0006】
(2)C原子が吸収されると、砥粒の摩擦面は摩耗し平滑となる(非特許文献1)、すなわち「平滑摩耗」が生じる、
【0007】
(3)このような砥粒の平滑化により砥粒/サーメット間の摩擦抵抗力が上昇して摩擦面の温度が一層上昇し、ますますC原子の吸収すなわち平滑摩耗が顕著となると共に、砥粒の酸化やグラファイト化が起こり、かつ摩擦抵抗力が一層上昇する、
【0008】
(4)このような過度の平滑摩耗が起こり、摩擦抵抗力がボンド材の砥粒把持力を上回ると砥粒が砥石ボンド層から脱落し、場合によってはボンド層とサーメットとの焼付きが生じたり、あるいは脱落砥粒が残留砥粒と擦過(共擦り)することにより、残留砥粒の一層の平滑摩耗・脱落が進行し損耗する、ことにあると一般に考えられている。
【0009】
これを避ける為に、従来の窒素添加サーメット用のダイヤモンド砥石は、破砕性の高いダイヤモンド砥粒粉を用いて、中程度の硬さのレジンボンド層で把持し、過度の平滑摩耗が起こる前に砥粒の早期破壊と脱落を繰り返し起こさせて常に新しい砥粒の切れ刃が生じるようにして研削加工するため、砥粒の損耗率が高い、すなわち研削比が低い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の段落0006で記した「平滑摩耗」について本発明者らも確認するために、まず、窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体を市販の窒素添加サーメット用ダイヤモンド砥石で研削加工し研削動力が初期よりもかなり増加した後の砥石の砥粒摩耗状態を調べた。その結果、各砥粒の殆どが平滑な摩耗面を呈していた。
【0011】
この原因は、本発明者らは、窒素添加サーメット中のTi(C,N)炭窒化物相またはTiN窒化物相およびこれらとMoCやWCなどの添加炭化物(XC)とが反応して生じる(Ti,X)(C,N)炭窒化物固溶体相(一般に(Ti,X)(C,N)粒の周辺に存在。すなわち硬質相粒子は、その芯部が(Ti,X)(C,N)、外周部が(Ti,X)(C,N)炭窒化物固溶体相となり、いわゆるコア/リム構造を示す。)が、ダイヤモンドやDLCから直接C原子を吸収するのではなく、ダイヤモンドやDLCがグラファイト化し、主としてそのグラファイトのC原子を吸収することにあると、考えた。なお、非特許文献1では原因はダイヤモンドと炭窒化物相や窒化物相との界面反応にあるとしている。
【0012】
次に、市販のレジンボンド用ダイヤモンド砥石用砥粒粉5種(A、B、C、D、Eと呼称)の粒子の外観(コーティング層があるものについては、酸で処理してコーティング層のみを除去したもの)とダイヤモンド比率(DLC比率)を詳しく調べた。図1には例としてA、C、Eの3種類の砥粒粉の外観を示した。これらの砥粒ひとつひとつを詳細に観察すると、何れの砥粒粉でも、その砥粒表面は、必ずしもダイヤモンド特有の多面的な状態のものばかりではなく、凸凹した状態のものが多く含まれており、それらの割合は砥粒粉の種類によって異なっている。これは、砥粒の表面を凸凹にして砥石のボンド材との密着性を確保する狙いがあるされている。
【0013】
本発明者らは、このような表面形状から、砥粒は完全なダイヤモンドのみから成るのではなく、一部ダイヤモンドライクカーボン(アモルファスカーボンともいう。以下DLCと表記)も含まれ、その比率は砥粒粉の種類により異なる可能性を感じた。そこで、ナノフォトン株式会社製走査型レーザラマン顕微鏡RAMAN−11で上記の市販のレジンボンド用ダイヤモンド砥粒粉5種(コーティング層があるものについては、酸で処理してコーティング層のみを除去したもの)をラマン分析(面分析)した。
【0014】
この方法ではラマン分析で得られたラマン散乱光によって画像が得られ、ダイヤモンドのピーク(ラマンシフト1330cm−1)を緑色で、DLCのピーク(ラマンシフト1450cm−1)を黄色ないし赤色で表示すると、走査した範囲の砥粒が色分けされて表示される。そして、両種のピクセル数を測定することでそれぞれの比率が分ることを明らかにした。その結果は、表1に示す通りであり、各砥粒ともかなりの量のDLCを含むこと、そしてそのDLC含有率は砥粒の種類によって様々であることを見出した。
【0015】
【表1】

【0016】
これらのダイヤモンドとDLCの、研削時の摩擦熱による温度上昇に対する安定性を見積もるために、ダイヤモンド砥粒粉およびDLC被膜の大気中加熱(加熱温度は前者では1400℃まで、後者では600℃まで。加熱時間は30分)による変化を調べた。ここでDLCの被膜を用いたのは、DLCが100%の粉末を見出せなかったからである。
【0017】
その結果を図2および図3に示す。これより、ダイヤモンドは約810℃〜980℃で燃焼・消滅し、DLC被膜はこれよりはるかに低温の約300℃〜400℃で燃焼・消滅することが分る。これらは大気中の結果なので、酸化を示すが、研削時(湿式、すなわち冷却液を使用)の、酸素がほとんど供給されない摩擦面ではダイヤモンドとDLCはいずれも炭化(グラファイト化)すると推察される。
【0018】
このことから、本発明者らは、Ti(C,N)などの炭窒化物粒子が砥粒の炭素を吸収するのは、上記のようにTi(C,N)などの炭窒化物粒子が非化学量論的化合物すなわち(C+N)/Ti原子比および(C+N)/(Ti+X)が1以下でありCを吸収し易い化合物であること、さらに、研削時に冷却液を砥石/被削材間に掛けていても、砥粒と被研削材サーメットの摩擦面では研削熱により温度が上昇し、砥粒中の主としてDLCが炭化してグラファイトへ変化し(すなわち合成される前の状態の炭素に戻る)、その後、炭窒化物粒子が主としてDLC由来のグラファイトのC原子を優先的に吸収するためではないか、との発想を得た。
【0019】
何故なら、C原子とC原子との結合力は、グラファイト<DLC<ダイヤモンドであるからである。ここで、本発明者らは、砥粒/被削材間の摩擦面(切削面)で発生する摩擦熱は摩擦面近傍では冷却液により瞬時にして除去されないことから、摩擦面近傍ではC原子の拡散が十分に起こる温度まで上昇すると考えている。
【0020】
以上のことから、窒素添加サーメットの研削加工では、砥粒の摩耗を抑制するために研削熱が発生し難い研削条件で加工しなければならないことが知られる。さらに研削熱が過度にならない研削条件を設定すれば、砥粒内の主としてDLCをグラファイト化し、これをサーメットのTi(C,N)などの炭窒化物粒子に吸収させることにより、(1)炭窒化物粒子の原子空孔を消滅させることが出来、これによってダイヤモンドからのC原子吸収を抑制出来ると共に、(2)砥粒のDLCが優先的に消失することから、砥粒表面に鋭い切れ刃のダイヤモンド部分を露出できるので、砥粒本来の性能を引き出せ効率良く研削出来る、という発想を得た。これが第1の知見である。
【0021】
研削熱は、砥粒と被研削材との間の摩擦による発熱と切りくずの変形による発熱とに起因する。両者の単位時間当りの発熱量は、砥石周速度を低下させれば低減されるはずである。従って、砥粒の摩耗による平滑化は、砥石周速度を低下させると減少すると推察される。
【0022】
このことを確かめる為に、砥粒粉Cを用いたレジンボンド砥石φ200mm×10mmで、ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52を用いて、左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液の供給量を60L/minとして、φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体を1mm研削した場合の砥石表面の砥粒損耗状態に及ぼす砥石周速度の影響を調べ、図4を得た(図の「平滑化率」は後記)。
【0023】
予想通り、平滑な摩耗面は砥石周速度を低下させるほど減少した。さらに、研削比は、同図に併示したように、砥石周速度を低下させるほど著しく大となった。ここで、本発明者らは、砥石表面における砥粒の拡大観察写真(250倍)上で、摩耗して平滑となった面と摩耗せず平滑でない面を色分けし、それらの各面積をピクセルで読み取って、両種の面積の和(すなわち観察面上での砥粒断面積)に対する摩耗平滑面の面積の比率を「平滑化率」と定義することとした。図5にその模式図と計算式を示した。
【0024】
研削比および平滑化率に及ぼす砥石周速度影響を図6に示す。この図より、砥石周速度を低下させると、平滑化率が低減すると共に研削比が飛躍的に改善されることが分る。すなわち、砥石周速度が従来の1500m/minの場合に比べ800m/minでは約94(図のみからでは読み取れないが、後掲の表2に示す実測値より、1509/16)倍にも達する。すなわち、本発明者らの「研削熱が過度にならない研削条件を設定することにより、砥粒本来の性能を引き出せ効率良く研削出来る」とする、上記の第1の知見が証明された。
【0025】
なお、砥石周速度を遅くした場合でも、切込み深さとテーブル送り速度を増大させた場合やサーメットの窒素含有量を増大させた場合、さらに硬質相粒径を微粒化(硬さHRAを増大)させた場合には、研削熱の発生量が上昇し、砥石の摩耗形態や平滑率が変るので、研削比は、上掲の図6に示した値よりも減少する傾向にある。しかし、研削除去体積が28.3cmの場合に、前述の砥粒の平滑率が70%未満の条件であれば、高い研削比が得られる。よって、窒素添加サーメットを研削加工した場合の砥石表面の砥粒平滑化率が70%未満の条件で研削加工すればよいことを見出した。これが第2の知見である。
【0026】
ところで、砥石周速度を低下させると砥粒の接線方向の応力が高くなり、砥粒が砥石ボンド層(レジン)から脱落しやすくなることが知られている。図7はそれを調べた結果で、砥粒粉Cより砥粒表面の凹凸が少ない砥粒粉Eを用いたレジンボンド砥石φ200mm×10mmで、ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52を用いて、砥石周速度800m/min、左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液の供給量を60L/minとして、として、φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体を1mm研削した後の砥石表面を示す。
【0027】
この場合の、研削比は72であり砥粒粉C場合の1509より著しく低い。この原因は、摩耗状態の観察により、砥粒粉Eは脱落が多いためであることが分かった。すなわち、砥粒表面の凹凸形状が重要であることが分った。
【0028】
次に、脱落を防ぐほど研削比が良くなるのかどうかを調べた。脱落を防ぐには同一ボンド材の下では砥粒表面を凹凸にすればよい。図8は、それを調べた結果で、砥粒粉Cよりも表面の凹凸が多い砥粒粉Aを用いたレジンボンド砥石φ200mm×10mmで、ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52を用いて、砥石周速度800m/min、左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液の供給量を60L/minとして、φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体を1mm研削した後の砥石表面を示す。
【0029】
この場合の、研削比は98であり、砥粒粉Cの場合の1509より著しく低い。上掲の図7と図8における砥粒状態を比較すると明らかなように、砥粒粉Eでは砥粒粉Aに比べると砥粒の脱落は少ないが、摩耗が激しい。これは、砥粒粉Aは凹凸が多い、すなわち余りにもDLCが多いため、切れ刃となるべきダイヤモンドも少なくなり過ぎると共に、砥粒の強度と硬さも著しく低下すると看做せる。これらの両者が相乗的に作用して砥粒の耐摩耗性が不足した為と判断された。
【0030】
これらのことから、砥粒表面の凹凸形状すなわちDLC比率またはダイヤモンド比率が、きわめて重要となるが、砥粒粉A〜Eのそれらの比率は、既掲の表1のようになっている。両比率と研削比との関係を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
これより、砥粒粉Cでは、砥石周速度が従来の1500m/minの場合に比べ800m/minでは約94(1509/16)倍にも達することは図6で既に述べた通りであるが、砥粒粉B、C、Dを用い、砥石周速度を900と800m/minとした場合は、研削比は910〜1700であり、砥粒粉A、Eの場合は砥石周速度が800m/minで研削比はそれぞれ98と72であり著しく小さい。同一の800m/minの砥石周速度の下で、砥粒粉Cの砥石は砥粒粉AとEの砥石に比べてそれぞれ約15倍(1509/98)と約21(1509/72)倍となる。
【0033】
これより、砥粒粉B、C、Dでは、砥粒粉AとEに比べて、研削比が著しく高いことが明らかである。従って、研削比を高くするためには、砥粒のダイヤモンドの比率は25%〜45%範囲(DLC比率75%〜55%範囲)が適切であることが分った。超硬合金(硬さ88.0HRA)の研削でも、砥石周速度が800m/minの場合砥粒粉がEに対してCでは約29倍(3938/136)である。なお、超硬合金では同一の砥粒粉Cの場合、砥石周速度が従来の1500m/minに対して800m/minでは約5倍(3938/780)へ増大しており、サーメットばかりでなく超硬合金でも砥石周速度を減少させると研削比が増大することが明らかである。
【0034】
すなわち、砥粒のダイヤモンド比率が25%より少ない場合は、過度の研削熱が生じにくいような砥石周速度が小さい条件でも砥粒損耗量が多くなりすぎて、研削比が劣化する。逆にダイヤモンド比率が55%以上の場合は、過度の研削熱が生じにくいような砥石周速度が小さい条件では砥粒がボンド層から脱落してしまい研削比が劣化する。よって、砥粒のダイヤモンドの比率は25%〜45%範囲が適当である。これが第3の知見である。すなわち、砥粒粉の選定を行い砥石周速度の減少させることよって研削比を増大させることが出来る。
【0035】
上記の砥粒を保持するレジンボンドは、請求項1を満たす砥粒を把持出来るレジン主体の硬いボンドであればよい。また、上記の砥粒寸法は#140(平均直径が約108μm)での結果であるが、研削力を有する寸法範囲の砥粒粉であれば、同様の原理で、研削能力の優れる砥石の開発と研削条件の探索が可能である。
【0036】
なお、砥粒にはNi、Ti、Cu、Alなどをコーティングしたものがあるが、これらを用いる場合も実際の研削での砥粒の摩耗面はコーティングが剥がれているので、コーティング物質の種類を問わず本発明が適用される(有用である)ことを確認した。
【発明の効果】
【0037】
ボンド材がレジン主体の研削加工用ダイヤモンド砥石において、ダイヤモンドの占める割合がナノフォトン株式会社製走査型レーザラマン顕微鏡RAMAN−11による面分析で25%〜45%(DLCの占める割合は55%〜75%)の砥粒粉を用いるレジンボンド砥石を使用して、窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)を28.3cm研削加工した場合の砥石表面の平滑化率が70%未満の条件で研削加工することで、研削比を従来値(16)の約94倍(1509)とすることができる。さらに、WC−Co系超硬合金(硬さ88.0HRA)では従来の研削比(136)の約29倍(3938)で研削加工することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】鈴木壽、松原秀影、林宏爾、辻郷康生:粉体および粉末冶金、30(1983)、p.235.
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】レジンボンド用ダイヤモンド砥粒粉の外観である。
【図2】ダイヤモンドの重量に及ぼす加熱温度の影響(雰囲気:大気、時間:30min)。最も結晶性の高いとされるダイヤモンド砥粒について測定した結果である。
【図3】ダイヤモンドライクカーボン(DLC) 被膜厚さに及ぼす加熱温度の影響(雰囲気:大気、時間:30min)である。
【図4】窒素添加サーメットをレジンボンド砥石で研削した後の砥粒の損耗状態に及ぼす砥石周速度の影響である。砥石:レジンボンド砥石φ200mm×10mm、砥粒粉Cを使用加工装置:ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52加工条件:左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液供給量60L/min、総切り込み量1mm被加工材:φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体
【図5】平滑化率の計算式である。SFnは砥粒のうちの平滑な摩耗面SNFnは砥粒のうち平滑でない面積S0nはSFn+SNFn
【図6】研削比および砥粒の平滑化率に及ぼす砥石周速度の影響である。砥石:レジンボンド砥石φ200mm×10mm、砥粒粉Cを使用加工装置:ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52加工条件:左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液供給量60L/min、総切り込み量1mm被加工材:φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体
【図7】窒素添加サーメットをレジンボンド砥石で研削した後の砥粒の損耗状態である。砥石:レジンボンド砥石φ200mm×10mm、砥粒粉Eを使用加工装置:ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52加工条件:砥石周速度800m/min、左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液供給量60L/min、総切り込み量1mm被加工材:φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体
【図8】窒素添加サーメットをレジンボンド砥石で研削した後の砥粒の損耗状態である。砥石:レジンボンド砥石φ200mm×10mm、砥粒粉Aを使用加工装置:ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52加工条件:砥石周速度800m/min、左右送り速度12m/min、前後送り速度150mm/min、切込み10μm、冷却液供給量60L/min、総切り込み量1mm被加工材:φ60mmの円板状窒素添加サーメット(硬さ91.0HRA)焼結体
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0040】
以下の条件1〜6で研削加工した結果、表2が得られた。
1.研削装置関係
ナガセインテグレックス株式会社製平面研削盤EPG52
砥石寸法φ200mm×10mm
テーブル左右速度12m/min
テーブル前後速度150mm/min
切り込み量10μm/pass
冷却液供給量60L/min
総切り込み量1mm
2.平滑化率
砥石表面の砥粒を拡大観察し、摩耗して平滑となった面と摩耗せず平滑でない面を色分けし、それらの各面積をピクセルで読み取って、両種の面積の和(すなわち観察面上での砥粒断面積)に対する摩耗平滑面の面積の比率を平滑化率とする。
3.被研削材寸法 φ60×10mm
4.被研削材 Ti(C,N)−MoC−WC−Niサーメット 硬さ91.0HRA
5.被研削材 WC−Co超硬合金 硬さ88.0HRA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒粉の主成分がダイヤモンドとダイヤモンドライクカーボン(DLC)の2種から成り、その比率が、ナノフォトン株式会社製走査型レーザラマン顕微鏡RAMAN−11による面分析(Niなどのコーティング層があるものについては、酸などで処理してコーティング層のみを除去したものについて面分析)において、ダイヤモンドが25%〜45%(従って、DLCは75%〜55%)であり、研削時に生じる研削熱が過度にならない研削条件を設定することで、優先的に消失するDLCを最適化し、鋭い切れ刃のダイヤモンドを効率よく露出することになるようにした、ダイヤモンドレジンボンド砥石。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−46960(P2013−46960A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229352(P2012−229352)
【出願日】平成24年10月16日(2012.10.16)
【分割の表示】特願2008−336260(P2008−336260)の分割
【原出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【出願人】(000238016)冨士ダイス株式会社 (14)
【Fターム(参考)】