説明

窒素酸化物接触還元用触媒

【目的】炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として用いる場合に、酸素の共存下においても、そして、特に、酸素及び水分の共存下においても、窒素酸化物が還元剤と選択的に反応するため、多量の還元剤を用いることなく、排ガス中の窒素酸化物を効率よく還元することができ、しかも、水分の存在下においても、耐久性にすぐれる窒素酸化物接触還元用触媒を提供するにある。
【構成】本発明による炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として用いる窒素酸化物接触還元用触媒は、固体酸担体に(a) 周期律表第Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、VIa、VIIa及びVIII族元素から選ばれる少なくとも1種の元素、及び(b) 酸化セリウムを担持させてなり、固体酸担体と酸化セリウムの合計重量において、酸化セリウムが5〜80重量%の範囲の担持率にて担持されていると共に、固体酸担体と(a) 群元素と(b) 酸化セリウムの合計重量において、上記(a) 群元素が0.01〜50重量%の範囲の担持率にて担持されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として使用する窒素酸化物接触還元用触媒に関し、詳しくは、工場、自動車等から排出される排ガスの中に含まれる有害な窒素酸化物を還元除去するのに好適である窒素酸化物接触還元用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、排ガス中に含まれる窒素酸化物は、窒素酸化物を酸化した後、アルカリに吸収させる方法や、アンモニア、水素、一酸化炭素、炭化水素等の還元剤を用いて、窒素に変換する方法等によつて除去されている。しかしながら、前者の方法によれば、生成するアルカリ廃液を処理して、公害の発生を防止する方策が必要である。他方、後者の方法によれば、還元剤としてアンモニアを用いるときは、これが排ガス中のイオウ酸化物と反応して塩類を生成し、その結果、触媒の還元活性が低下する問題がある。また、水素、一酸化炭素、炭化水素等を還元剤として用いる場合でも、これらが低濃度に存在する窒素酸化物よりも高濃度に存在する酸素と反応するため、窒素酸化物を低減するためには多量の還元剤を必要とするという問題がある。
【0003】このため、最近では、還元剤の不存在下に窒素酸化物を触媒にて直接分解する方法も提案されているが、しかし、従来知られているそのような触媒は、窒素酸化物分解活性が低いために実用に供し難いという問題がある。また、炭化水素や含酸素有機化合物を還元剤として用いる新たな窒素酸化物接触還元用触媒として、H型ゼオライトやCuイオン交換ZSM−5等が提案されている。特に、H型ZSM−5(SiO2 /Al2 3 モル比=30〜40)が最適であるとされている。しかしながら、このようなH型ZSM−5でも、未だ十分な還元活性を有するものとはいい難く、特に、ガス中に水分が含まれるとき、ゼオライト構造体中のアルミニウムが脱アルミニウムして、性能が急激に低下するので、一層高い還元活性を有し、更に、ガスが水分を含有する場合にも、すぐれた耐久性を有する窒素酸化物接触還元用触媒が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであつて、その目的とするところは、炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として用いる場合に、酸素の共存下においても、そして、特に、酸素及び水分の共存下においても、窒素酸化物が還元剤と選択的に反応するため、多量の還元剤を用いることなく、排ガス中の窒素酸化物を効率よく還元することができ、しかも、水分の存在下においても、耐久性にすぐれる窒素酸化物接触還元用触媒を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として用いる窒素酸化物接触還元用触媒は、固体酸担体に(a) 周期律表第Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、VIa、VIIa及びVIII族元素から選ばれる少なくとも1種の元素、及び(b) 酸化セリウムを担持させてなることを特徴とする。
【0006】本発明における固体酸担体とは、触媒が使用される温度領域において固体酸性を示す担体をいう。固体酸性の確認は、アンモニアを用いた昇温脱離法や、アンモニア又はピリジンを用いる in situ FTIR(フーリエ変換赤外線吸収スペクトル)法によりなされる。固体酸担体としては、次に示すゼオライト系固体酸担体や酸化物系固体酸担体等を挙げることができる。
【0007】ゼオライト系固体酸担体は、Na−モルデナイト、Na−ZSM−5、Na−USY(USY:ウルトラステイブル又は超安定Y型ゼオライト)、ゼオライト中のアルミニウムの一部又は全部を他の金属元素、特に、鉄、ガリウム、亜鉛、ランタン、銅、モリブデン、クロム、ゲルマニウム、チタン、ホウ素等にて置換されたメタロシリケート等、耐熱性にすぐれるゼオライトを硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩の水溶液又は硫酸等の酸で処理して、ゼオライト中のアルカリ金属の一部又は全部をアンモニウムイオン又は水素イオンにてイオン交換することによつて得ることができる。アンモニウムイオンでイオン交換する方法による場合は、最後に焼成処理を必要とする。
【0008】ゼオライト系固体酸担体の一例として、例えば、次式
【0009】
【化1】


【0010】で表わされるモルデナイト型ゼオライトを酸処理して得られる酸型モルデナイトであつて、SiO2 /Al2 3 モル比が13〜40であり、且つ、SiO2 /H2 Oモル比が25〜200である酸型モルデナイトを挙げることができる。但し、上式中、Mはアルカリ金属イオンを示し、rはゼオライトの合成条件により変動する値である。
【0011】また、ゼオライト系固体酸担体の他の一例として、例えば、次式
【0012】
【化2】


【0013】で表わされるゼオライト中のイオンMの一部又は全部をランタンイオン(La3+)、ガリウムイオン(Ga3+)、セリウムイオン(Ce4+)、チタンイオン(Ti4+)、ジルコニウムイオン(Zr4+)、スズイオン(Sn4+)等にて交換して得られるゼオライトを挙げることができる。但し、上式中、M’はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又は水素イオンを示し、nA=p(nはイオンMの価数である。)、q/p≧5である。
【0014】酸化物系固体酸担体としては、Al2 3 、TiO2 、TiO2 /SO42- 、ZrO2 、ZrO2 /SO42- 等の単一金属酸化物や、SiO2 /Al2 3 、TiO2 /Al2 3 、TiO2 /ZrO2 等の複合酸化物等を挙げることができる。これらの中では、耐熱性の点から、Al2 3 、ZrO2 、SiO2 /Al2 3 が好ましい。
【0015】固体酸担体の他の例としては、ゼオライト類似の多孔構造又は層状構造を有する一種の結晶性リン酸アルミニウム(ALPO)や、その近縁物質である結晶性ケイ酸リン酸アルミニウム(SAPO)、ALPOのリン又はリン−アルミニウムの一部をチタン、鉄、マグネシウム、亜鉛、マンガン、コバルト等の金属で置換した結晶性リン酸金属アルミニウム(MAPO)等を挙げることができる。
【0016】ALPO型のリン酸塩は、上記のリン酸源及び金属源と、シリカ、シリカゾル、ケイ酸ナトリウム等のなかから選ばれた所望の組合せに、アミン、第四級アンモニウム等の所謂テンプレートを混合した原料から、ゼオライトを合成する場合と類似した条件下で、水熱合成法によつて調製することができる。ゼオライトを合成する場合との主な相違点は、一般に、より高温(概ね150℃以上)でpH酸性領域で合成されることである。
【0017】ALPOタイプのリン酸塩の組成は、一般に、Al2 3 ・(0.8〜1.2)・P2 5 ・nH2 Oで表わされる。また、SAPO又はMAPOの場合においては、置換するシリカ及び金属の最大量は、アルミニウム及びリンの総量の約1/10程度であるが、本発明においては、必ずしもこの組成範囲に入つていないもの、即ち、非晶質を含んでいるものを使用してもよい。
【0018】水熱合成法により得られるALPO型のリン酸塩を担体として使用する場合は、一般に、水洗、乾燥した後、空気中で焼成して、残存しているテンプレートを焼却除去したものが用いられる。本発明における酸化セリウムは、水酸化セリウム(Ce(OH)3 、硝酸セリウム(Ce(NO3 3 )、酢酸セリウム(Ce(CH3 COO)3 )等を空気中又は酸素雰囲気下で焼成することによつて得ることができる。
【0019】本発明による触媒において、前記(a) 群の元素を例示すれば、周期律表第Ib族元素としては、例えば、Cu、Ag、Au等を、第IIa族元素としては、例えば、Mg、Ca、Sr等を、第IIb族元素としては、例えば、 等を、第IIIa族元素としては、例えば、Y、La、Nd、Gd等を、第IIIb族元素としては、例えば、Al、Ga等を、第IVa族元素としては、例えば、Ti、Zr等を、第IVb族元素としては、例えば、Ge、Sn等を、第Va族元素としては、例えば、V、Nb等を、第VIa族元素としては、例えば、Cr、Mo、W等を、第VIIa族元素としては、例えば、マンガン等を、また、第VIII族元素としては、例えば、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等を、それぞれ挙げることができる。
【0020】本発明による触媒においては、上記(a) 群元素は、金属又はそのイオン又はその酸化物として含まれる。本発明による触媒は、例えば、次に示す(1)、(2)又は(3)の方法によつて調製することができる。
(1)固体酸担体を分散させたスリラー中にセリウムの硝酸塩等の水溶性塩や、これらのアルコキシドのアルコール溶液を投入し、これらを中和或いは加水分解させるか、又はスプレードライ法やフリーズドドライ法等によつて、固体酸担体にセリウムの水酸化物等の酸化セリウムの前駆体を担持させ、次いで、濾過、水洗、リパルプを繰り返し行なつた後、乾燥し、焼成して、酸化セリウムを固体酸担体に担持させる。次いで、含浸法、イオン交換法等の従来より知られている方法に従つて、前記(a) 群元素の金属、イオン又は酸化物を固体酸担体に担持させる。
(2)予め前記(a) 群元素の金属、そのイオン又はその酸化物を酸化セリウムに担持させ、これと固体酸担体とを遊星ミル等によつて十分に湿式粉砕混合する。
(3)固体酸担体の水溶性塩又は水酸化物等の前駆体とセリウムの硝酸塩等の水溶性塩やアルコキシドのアルコール溶液とを均質に混合した溶液を中和又は加水分解させる方法等によつて沈殿物を生成させ、次いで、この沈澱物を濾過、水洗、リパルプを繰り返し行なつた後、乾燥し、焼成して、酸化セリウムを固体酸担体に担持させる。次いで、含浸法、イオン交換法、沈着法等の従来より知られている方法に従つて、前記(a) 群の金属、そのイオン又はその酸化物を固体酸担体に担持させる。
【0021】しかし、本発明による触媒は、これらのなかでも、場合によつては、酸化セリウムを含浸法や沈着法によつて固体酸担体に担持させた後、イオン交換法によつて、前記(a) 群金属のイオンを高分散担持させ、次いで、必要に応じて、酸化性雰囲気下て焼成することによつて得るのが好ましい。また、このようにして得られた触媒をこの後、水素等によつて還元処理することもできる。
【0022】本発明による触媒において、酸化セリウムの好適な担持率は、酸化セリウムと固体酸担体との合計重量の5〜80重量%の範囲である。以下、本発明において、酸化セリウムの担持率とは、酸化セリウムと固体酸担体との合計重量における酸化セリウムの重量割合をいうものとする。酸化セリウムの担持率が酸化セリウムと固体酸担体との合計重量の80重量%を越えても、そのような増量に応じた添加効果が得られないばかりでなく、酸素が共存する反応系においては、酸素による炭化水素や含酸素化合物の消耗が多くなる。一方、担持率が5重量%よりも少ないときは、触媒の還元活性を十分に向上させることができない。特に、本発明においては、酸化セリウムの担持量は、酸化セリウムと固体酸担体との合計重量の20〜50重量%の範囲であることが好ましい。担持量がこの範囲にあるときは、窒素酸化物の接触還元反応のSV依存性が極めて小さいというすぐれた特性を得ることができる。
【0023】本発明による触媒において、前記(a) 群元素は、金属、そのイオン又はその酸化物の形態にて担持されているが、その担持率は、金属換算にて、0.01〜50重量%の範囲の担持率にて担持されている。以下、本発明において、(a) 群元素の担持率とは、固体酸担体と(a) 群元素の金属、そのイオン又は酸化物と(b) 酸化セリウムの合計重量における(a) 群元素の金属換算による重量割合をいうものとする。特に、本発明において、(a) 群元素の好ましい担持率は、0.02〜20重量%の範囲である。
【0024】本発明に従つて、酸化セリウムと(a) 群元素とが上述したような担持率にて担持されている触媒によれば、いずれかの成分が炭化水素の吸着活性化のサイトとして、又は窒素酸化物の活性化サイトとして機能して、反応が選択的に進行するので、炭化水素を還元剤として用いる窒素酸化物の接触還元反応において、高い活性と選択性とを有するものとみられる。
【0025】本発明による触媒は、従来、知られている成形方法によつて、それ自体にて、ハニカム状、球状等の種々の形状に成形することができる。この成形の際に、成形助剤、成形体補強体、無機繊維、有機バインダー等を適宜配合してもよい。また、本発明による触媒は、予め成形された不活性な基材上にウオツシユコート法等によつて被覆担持させることもできる。上記基材としては、例えば、コージエライトのような粘土からなるハニカム構造体に担持させることができる。更に、必要に応じて、従来、知られているその他の触媒の任意の調製法によることもできる。
【0026】本発明による触媒を用いる窒素酸化物の接触還元において、炭化水素からなる還元剤としては、例えば、気体状のものとして、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブチレン等の炭化水素ガス、液体状のものとして、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の単一成分系の炭化水素、ガソリン、灯油、軽油、重油等の鉱油系炭化水素等を用いることができる。特に、本発明によれば、上記したなかでも、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン等の低級アルキン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、2−ブテン等の低級アルケン、ブタジエン、イソプレン等の低級ジエン、プロパン、ブタン等の低級アルカン等が還元剤として好ましく用いられる。これら炭化水素は、単独で用いてもよく、又は必要に応じて二種以上併用してもよい。
【0027】また、含酸素有機化合物からなる還元剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、油脂等のカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を好ましい例として挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。このような含酸素有機化合物も、単独で用いてもよく、又は必要に応じて二種以上併用してもよい。また、前述した炭化水素と含酸素有機化合物とを併用してもよい。
【0028】上記還元剤としての炭化水素又は含酸素有機化合物は、用いる具体的な炭化水素又は含酸素有機化合物によつて異なるが、通常、窒素酸化物に対するモル比にて、0.1〜2程度の範囲にて用いられる。本発明において、還元剤の使用量が窒素酸化物に対するモル比にて、0.1未満であるときは、触媒が窒素酸化物に対して十分な還元活性を得ることができず、他方、モル比が2を越えるときは、未反応の炭化水素又は含酸素有機化合物の排出量が多くなるために、窒素酸化物の接触還元処理の後に、これを回収するための後処理が必要となる。
【0029】尚、排ガス中に存在する燃料等の未燃焼物乃至不完全燃焼生成物、即ち、炭化水素類やパテイキユレート類等も還元剤として有効であり、これらも本発明における炭化水素に含まれる。このことから、見方を変えれば、本発明による触媒は、排ガス中の炭化水素類やパテイキユレート類等の減少或いは除去触媒としても有用であるということができる。
【0030】上記還元剤が窒素酸化物に対して選択的還元反応を示す温度は、含酸素有機化合物<アルキン<アルケン<芳香族系炭化水素<アルカンの順に高くなる。また、同系の炭化水素においては、炭素数が大きくなるに従つて、その温度は低くなる。本発明による触媒が窒素酸化物に対して還元活性を示す最適な温度は、使用する還元剤や触媒種により異なるが、通常、100〜800℃である。この温度領域においては、空間速度(SV)500〜100000程度で排ガスを流通させることが好ましい。本発明において特に好適な温度領域は200〜500℃である。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(1)触媒の調製
【0032】実施例1硝酸セリウム(Ce(NO3)3 6H2 O)8.0gをイオン交換水100mlに溶解させた。これに予め120℃にて24時間乾燥させたH型モルデナイト粉末(日本化学製HM−23)60gを投入し、攪拌下、pH8に設定したpHコントローラにてpHを調節しながら、1/10規定のアンモニア水を滴下した。滴下終了後、1時間熟成して、水酸化セリウムを上記H型モルデナイト上に沈着担持させた。
【0033】このようにして得られたスラリーを濾過して、水酸化セリウムを担持させたH型モルデナイト粉末を集め、これをイオン交換水にて十分に洗浄した後、500℃で3時間焼成し、酸化セリウムを担持率5重量%にて担持させたH型モルデナイト粉末を得た。別に、硝酸銅(Cu(NO3 2 ・3H2 O)2.28gをイオン交換水50mlに溶解させて、銅イオン(Cu2+)水溶液を調製した。この水溶液に上記酸化セリウムを担持率5重量%にて担持させたH型モルデナイト粉末60gを投入し、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H型モルデナイトに酸化セリウムを担持率5重量%にて担持させると共に、酸化銅を銅換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−1を得た。
【0034】実施例2実施例1において、硝酸セリウム37.8gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担持率20重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−2という。
【0035】実施例3実施例1において、硝酸セリウム64.9gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担持率30重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−3という。
【0036】実施例4実施例1において、硝酸セリウム100.9gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担持率40重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−4という。
【0037】実施例5実施例1において、硝酸セリウム151.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担持率50重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−5という。
【0038】実施例6実施例1において、硝酸セリウム353.2gを用いた以外は、実施例1と同様にして、担持率70重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−6という。
【0039】実施例7実施例3において、H型モルデナイトに代えて、H−ZSM−5(SiO2 /Al2 3 モル比40)粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末を得た。別に、硝酸ランタン(La(NO3 2 ・6H2 O)9.35gをイオン交換水50mlに溶解させてランタンイオン(La2+)水溶液を調製した。この水溶液に上記酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを投入し、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ランタンをランタン換算にて担持率5重量%にて担持させてなる触媒A−7を得た。
【0040】実施例8硝酸ネオジム(Nd(NO3 3 ・6H2 O)9.12gをイオン交換水50mlに溶解させて、ネオジムイオン(Nd3+)水溶液を調製した。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で3時間加熱乾燥させた後、500℃で18時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ネオジムをネオジム換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−8を得た。
【0041】実施例9硝酸ガリウム(Ga(NO3 3 )11.0gを80℃に予め調節したエタノール50mlに溶解させて、ガリウムイオン(Ga3+)のエタノール溶液を調製した。このエタノール溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、エタノールを蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ガリウムをガリウム換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−9を得た。
【0042】実施例10硝酸ジルコニル(ZrO(NO3 2 ・2H2 O)8.79gをイオン交換水50mlに溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ジルコニウムをジルコニウム換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−10を得た。
【0043】実施例11四塩化チタンを中和加水分解し、得られたオルソチタン酸を500℃にて2時間焼成して、比表面積63.5m2/gの酸化チタンを得た。この酸化チタン6gをイオン交換水50mlに加えて、スラリーを得た。このスラリーに実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化チタンをチタン換算にて担持率5.7重量%にて担持させてなる触媒A−11を得た。
【0044】実施例12塩化第二スズ(SnCl4 )6.5gをイオン交換水50mlに溶解させて、スズイオン(Sn4+)水溶液を調製した。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化スズをスズ換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−12を得た。
【0045】実施例13四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )8.86gをエタノール50mlに溶解させて、ゲルマニウムイオン(Ge4+)溶液を調製した。このエタノール溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、エタノールを蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ゲルマニウムをゲルマニウム換算にて担持率5重量%にて担持させてなる触媒A−13を得た。
【0046】実施例14メタバナジン酸アンモニウム(NH4 VO3 )1.38gとシユウ酸((COOH)2 )2.06gとをイオン交換水50mlに溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に実施例3において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH型モルデナイト粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H型モルデナイトに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化バナジウムをバナジウム換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−14を得た。
【0047】実施例15五塩化ニオブ(NbCl5 )8.72gをエタノール50mlに溶解させて、ニオブイオン(Nb5+)のエタノール溶液を調製した。このエタノール溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、エタノールを蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ニオブをニオブ換算にて担持率5重量%にて担持させてなる触媒A−15を得た。
【0048】実施例16モリブデン酸アンモニウム((NH4 6 Mo7 24・4H2 O)7.73gをイオン交換水50mlに溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化モリブデンをモリブデン換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−16を得た。
【0049】実施例17メタタングステン酸アンモニウム水溶液(新日本金属製、WO3 として50重量%)3.78gをイオン交換水50mlに加えて、水溶液とした。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化タングステンをタングステン換算にて担持率2.5重量%にて担持させてなる触媒A−17を得た。
【0050】実施例18硝酸第二鉄(Fe(NO3 3 ・9H2 O)4.34gをイオン交換水50mlに溶解させて、鉄イオン(Fe3+)水溶液を調製した。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化第二鉄を鉄換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−18を得た。
【0051】実施例19酢酸コバルト(Co(CH3 COO)2 ・4H2 O)2.54gをイオン交換水50mlに溶解させて、コバルトイオン(Co2+)水溶液を調製した。この水溶液に実施例7において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化コバルトをコバルト換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−19を得た。
【0052】実施例20実施例3において、H型モルデナイトに代えて、γ−アルミナ粉末(住友化学製A−11)を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させてγ−アルミナ粉末を得た。別に、硝酸ニツケル(Ni((NO3 2 ・6H2 O)2.97gをイオン交換水50mlに溶解させて、ニツケルイオン(Ni2+)水溶液を調製した。この水溶液に上記酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたγ−アルミナ粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、γ−アルミナに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ニツケルをニツケル換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−20を得た。
【0053】実施例21(H−Feシリケートの調製)攪拌しながら、50%シリカゾル162gと水500gとの混合物に、先ず、硝酸第二鉄9.23g(Si/Fe原子比60)を水200gに溶解させた水溶液を、次いで、水酸化カリウム22.26gを水200gに溶解させた水溶液を、それぞれ約30分かけて滴下混合した。これに臭化テトラプロピルアンモニウム35.19gを溶解混合させた。この混合物をオートクレーブに仕込み、160℃で16時間攪拌混合した。反応生成物を濾過分離後、水洗、乾燥し、更に、500℃で3時間、空気中にて焼成して、ZSM−5型のFeシリケート(K交換体)を得た。
【0054】このFeシリケート30gを濃度0.5モル/リットルの硝酸アンモニウム水溶液500mlに加え、60℃の油浴上で3時間攪拌した後、濾過分離した。この操作を3回繰り返した後、濾過分離物を水洗乾燥し、更に、500℃で3時間、空気中にて焼成して、プロトン型Feシリケート(H−Feシリケート)粉末を得た。
(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記H−Feシリケート粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−Feシリケート粉末60gを得た。
【0055】別に、γ−アルミナ粉末(住友化学製A−11)22.7gをイオン交換水50mlに分散させてスラリーとし、このスラリーに上記酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−Feシリケート粉末60gを加え、ジルコニアボールを媒体とした遊星ミルにて30分間粉砕混合した後、このスラリーを加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。
【0056】得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−Feシリケートに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、アルミナをアルミニウム換算にて担持率20重量%にて担持させてなる触媒A−21を得た。
【0057】実施例22(MAPO−5の調製)酢酸第一マンガン4.9gと酢酸第二銅4.1gとを水129gに溶解した液に、攪拌しながら細かく砕いたアルミニウムイソプロポキシド56.3gを少量ずつ加え、均一になるまで攪拌混合した。この液に、85%リン酸55.4g、ジエチルエタノールアミン56.3g及び水55.5gからなる混合物を攪拌しながら少量ずつ加え、均一になるまで攪拌混合した。この液をオートクレープに仕込み、200℃で25時間反応させた後、生成物を濾過分離し、水洗、乾燥した。この後、500℃で3時間空気で焼成してMAPO−5粉末を得た。このMAPO−5粉末は、Al、P、Mn及びCuをそれぞれ19.0重量%、19.0重量%、2.8重量%及び4.4重量%含有する組成のものであつた。
【0058】(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記MAPO−5粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたMAPO−5粉末60gを得た。別に、硝酸ジルコニル(ZrO(NO3 2 ・2H2 O)17.58gをイオン交換水100mlに溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に上記酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたMAPO−5粉末60gを投入し、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、MAPO−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化ジルコニウムをジルコニウム換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−22を得た。
【0059】実施例23(Zr−モルデナイトの調製)Naモルデナイト(日本化学社製NM−100P)100gを硝酸ジルコニル水溶液(ZrO2 として100g/1濃度の水溶液)に浸漬し、攪拌しながら70℃に1時間保持し、NaをZrとイオン交換させた。濾過、水洗して得たゼオライトケーキを乾燥させた後、650℃で4時間焼成した。このゼオライト(Zr−モルデナイト)のZr含有量は3.3重量%であり、また、比表面積は391m2/gであつた。
【0060】(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記Zr−モルデナイト粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたZr−モルデナイト粉末60gを得た。実施例17におけると同様のメタタングステン酸アンモニウム水溶液7.56gをイオン交換水50mlに加え、得られた水溶液に上記酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたZr−モルデナイト粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、Zr−モルデナイトに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化タングステンをタングステン換算にて担持率5重量%にて担持させてなる触媒A−23を得た。
【0061】実施例24(シリカ−ジルコニアの調製)シリカゾルO型(日産化学社製、SiO2 として20重量%濃度)100.0gと塩化ジルコニウム(ZrCl4 )97.20gを攪拌しながら、十分に混合し、水にて総量を500mlとした。この液に121g/1濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHを10とした。沈殿反応終了後、18時間攪拌を続け、その後、濾過、水洗、リパルプを繰り返して、濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを120℃で18時間乾燥し、3時間焼成した。得られたシリカ−ジルコニアの比表面積は297m2/gであつた。
【0062】(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記シリカ−ジルコニア粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたシリカ−ジルコニア粉末60gを得た。これを用いて、実施例1と同様にして、シリカ−ジルコニアに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化銅を銅換算にて担持率0.1重量%にて担持させてなる触媒A−24を得た。
【0063】実施例25(La−モルデナイトの調製)H型モルデナイト(日本化学製HM−23)100gをイオン交換水250ml中に投入し、これに(1+5)塩酸を加えて、pHを6.0とした。十分な攪拌下に、上記H型モルデナイトのスラリーに、硝酸ランタン(La(NO3 3 ・6H2 O)3.12gをイオン交換水50mlに溶解させてなるランタンイオン(La3+)水溶液を加え、ランタンイオン交換を行なつた。この間、pHの低下に伴つて、2重量%のアンモニア水を加えて、pHを6.0に維持した。このようにして、所定量のランタンイオン水溶液を上記H型モルデナイトのスラリーに加えた後、2時間攪拌を続けた。この後、得られたスラリーから固形分を濾取して、ランタンイオン担持率1重量%のランタンイオン交換モルデナイト粉末を得た。
【0064】(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記ランタンイオン交換モルデナイト粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたランタンイオン交換モルデナイト粉末60gを得た。これを用いて、実施例12と同様にして、ランタンイオン交換モルデナイトに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化スズをスズ換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−25を得た。
【0065】実施例26(SAPO−34の調製)水129.6gに攪拌しながら細かく砕いたアルミニウムイソプロポキシド90.7gを少量ずつ加え、均一になるまで攪拌混合した。この混合液に85%リン酸水溶液51.3gを滴下し、均一になるまで攪拌混合した後、更に50%シリカゾル16.0gを加え、均一になるまで十分に攪拌混合した。次いで、水酸化テトラエチルアンモニウム81.6gを加え、十分に攪拌混合した。この混合物をオートクレーブに仕込み、200℃で24時間反応させた後、生成物を濾過分離し、更に水洗、乾燥した後、500℃で3時間、空気中で焼成して、SAPO−34を得た。このSAPO−34は、Si、Al及びPをそれぞれ9.5重量%、18.0重量%及び19.0重量%含有するものであつた。
【0066】(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記SAPO−34粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたSAPO−34粉末60gを得た。これを用いて、実施例18と同様にして、SAPO−34に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化第二鉄を鉄換算にて担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−26を得た。
【0067】実施例27実施例1において、硝酸セリウム3.0g用いた以外は、実施例1と同様にして、担持率2.0重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−26という。
【0068】実施例28実施例1において、硝酸セリウム605.5gをイオン交換水300mlに溶解させた以外は、実施例1と同様にして、担持率80重量%にて酸化セリウムを担持させると共に、銅換算にて担持率1重量%にて酸化銅を担持させてなるH型モルデナイト粉末を得た。この触媒をA−28という。
【0069】実施例29(Ce−モルデナイトの調製)H型モルデナイト(日本化学製HM−23)100gをイオン交換水250ml中に投入し、これに(1+5)塩酸を加えて、pHを6.0とした。十分な攪拌下に、上記H型モルデナイトのスラリーに、硝酸セリウム(Ce(NO3 3 ・6H2 O)3.1gをイオン交換水50mlに溶解させてなるセリウムイオン(Ce3+)水溶液を加え、セリウムイオン交換を行なつた。この間、pHの低下に伴つて、2重量%のアンモニア水を加えて、pHを6.0に維持した。このようにして、所定量のセリウムイオン水溶液を上記H型モルデナイトのスラリーに加えた後、2時間攪拌を続けた。この後、得られたスラリーから固形分を濾取して、セリウムイオン担持率1重量%のセリウムイオン交換モルデナイト粉末を得た。
【0070】(触媒の調製)実施例3において、H型モルデナイトに代えて、上記セリウムイオン交換モルデナイト粉末を用いた以外は、実施例3と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたセリウムイオン交換モルデナイト粉末60gを得た。実施例11におけると同じ酸化チタン6gをイオン交換水50mlに分散させ、得られたスラリーに上記酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたセリウムイオン交換モルデナイト粉末60gを加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、セリウムイオン交換モルデナイトに酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、酸化チタンをチタン換算にて担持率5.7重量%にて担持させてなる触媒A−29を得た。
【0071】実施例30硝酸セリウム(Ce(NO3)3 6H2 O)64.9gをイオン交換水100mlに溶解させた。これに予め120℃にて24時間乾燥させたH型モルデナイト粉末(日本化学製HM−23)60gを投入し、攪拌下、pH8に設定したpHコントローラにてpHを調節しながら、1/10規定のアンモニア水を滴下した。滴下終了後、1時間熟成して、水酸化セリウムを上記H型モルデナイト上に沈着担持させた。
【0072】このようにして得られたスラリーを濾過して、水酸化セリウムを担持させたH型モルデナイト粉末を集め、これをイオン交換水にて十分に洗浄した後、500℃で3時間焼成し、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH型モルデナイト粉末を得た。この酸化セリウムを担持させたH型モルデナイトのペレツトをイオン交換水250ml中に投入した。このときのpHは7.1であつた。これに1/10Nの硝酸を加えて、pHを5.5とした。
【0073】別に、塩化テトラアンミン白金(II)(〔Pt(NH3)4 〕Cl2 2 O)0.11gをイオン交換水50mlに溶解させて、〔Pt(NH3)4 2+イオン交換水溶液を調製し、これを上記酸化セリウムを担持させたH型モルデナイトのペレツトを含む水溶液に十分な攪拌下に加えて、〔Pt(NH3)4 2+とH型モルデナイト又は酸化セリウムにおける水素イオンとを交換させた。この間、pHの低下に伴つて、2重量%のアンモニア水を加え、pHを5.5に維持した。このようにして、所定量の塩化テトラアンミン白金(II)水溶液を加えた後、70℃にて2時間攪拌した。
【0074】次いで、このようにしてイオン交換させた酸化セリウム担持H型モルデナイトのペレツトを濾過し、pH5.5の硝酸水溶液にて水洗し、120℃で18時間乾燥させた後、500℃で4時間焼成し、更に、窒素/水素(4/1)混合気流中、400℃で1時間還元処理した。このようにして得られた触媒は、H型モルデナイトに酸化セリウム30重量%及び白金0.1重量%が担持されてなるものであつた。以下、この触媒をA−30という。
【0075】実施例31実施例30において、H型モルデナイトに代えて、H−ZSM−5(SiO2/Al2 3 モル比40)粉末を用いた以外は、実施例30と同様にして、酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末を得た。別に、塩化ルテニウム(RuCl3 )1.23gをイオン交換水100mlに溶解させてルテニウムイオン(Ru3+)水溶液を調製した。この水溶液に上記酸化セリウムを担持させたH−ZSM−5粉末を投入し、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、ルテニウムを担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−31を得た。
【0076】実施例32塩化ロジウム(RhCl3 ・nH2 O、Rh37.24重量%を含む。)2.68gをイオン交換水50mlに溶解させて、ロジウムイオン(Rh3+)水溶液を調製した。この水溶液に実施例31において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末を加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で3時間加熱乾燥させた後、500℃で18時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、ロジウムを担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−32を得た。
【0077】実施例33塩化イリジウム(IrCl4 、塩化イリジウムとして98.9重量%を含む。)2.66gを80℃に予め調節したイオン交換水100mlに溶解させて、イリジウムイオン(Ir4+)水溶液を調製した。この水溶液に実施例31において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末を加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、イリジウムを担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−33を得た。
【0078】実施例34塩化金酸水溶液(金として0.126g/l)4.76mlをイオン交換水50mlに溶解させ、この水溶液に実施例31において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末を加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、金を担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−34を得た。
【0079】実施例35硝酸銀(AgNO3 )0.95gをイオン交換水50mlに溶解させて、銀イオン(Ag+ )水溶液を調製した。この水溶液に実施例31において得た酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させたH−ZSM−5粉末を加え、加温しつつ混合して、水分を蒸発させた。得られた乾固物を120℃で18時間加熱乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、H−ZSM−5に酸化セリウムを担持率30重量%にて担持させると共に、銀を担持率1重量%にて担持させてなる触媒A−35を得た。
【0080】比較例1硝酸セリウム(Ce(NO3)3 6H2 O)151.4gをイオン交換水200mlに溶解させた。この水溶液に、攪拌下、pH8に設定したpHコントローラにてpHを調節しながら、1/10規定のアンモニア水を滴下し、滴下終了後、1時間熟成して、水酸化セリウムを生成させた。このようにして得られたスラリーを濾過して、水酸化セリウムを濾取し、これをイオン交換水にて十分に洗浄した後、500℃で3時間焼成して、比表面積47m2/gを有する酸化セリウム粉末を得た。この触媒をB−1という。
【0081】比較例2H型モルデナイト(日本化学製HM−23)自体を触媒B−2とする。
【0082】(2)触媒構造体の製作上記実施例1〜35の触媒粉末、比較例B−1、2の触媒粉末のそれぞれ60gにシリカゾル60mlを加え、遊星ミルにて30分間粉砕混合した後、イオン交換水にて粘度を調整して、ウオツシユコート用スラリーとした。このスラリーをピツチ1.25mmのコージエライト製ハニカムにハニカム1ml当たりに0.9〜1.0gの割合にて塗布し、乾燥させて、ハニカム触媒構造体を製作した。
【0083】(3)評価試験上記した本発明による触媒(A−1〜35)及び比較例の触媒(B−1及び2)を担持させたハニカム触媒構造体を用いて、下記の試験条件にて、窒素酸化物含有ガスの窒素酸化物接触還元を行ない、窒素酸化物の除去率をケミカルルミネツセンス法にて求めた。
(試験条件)
(1)ガス組成 NO 500 ppmO2 10容量%還元剤 500 ppm水 6容量%窒素 残部(2)空間速度 10000、20000又は30000(Hr-1
(3)反応温度 250℃、300℃、350℃、400℃又は450℃結果を表1、表2及び表3に示す。
【0084】
【表1】


【0085】
【表2】


【0086】
【表3】


【0087】表1から表3に示す結果から明らかなように、本発明による触媒は、いずれも窒素酸化物の窒素の除去率が高いのに対して、比較例による触媒は、総じて、除去率が低い。
【0088】
【発明の効果】以上のように、本発明による窒素酸化物接触還元用触媒は、炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として用いて、酸素及び水分の共存下においても、排ガス中の窒素酸化物を効率よく接触還元することができ、更に、耐久性にすぐれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】固体酸担体に(a) 周期律表第Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、VIa、VIIa及びVIII族元素から選ばれる少なくとも1種の元素、及び(b) 酸化セリウムを担持させてなることを特徴とする炭化水素又は含酸素有機化合物を還元剤として用いる窒素酸化物接触還元用触媒。
【請求項2】固体酸担体と酸化セリウムの合計重量において、酸化セリウムが5〜80重量%の範囲の担持率にて担持されていることを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物接触還元用触媒。
【請求項3】固体酸担体と(a) 群元素と(b) 酸化セリウムの合計重量において、上記(a) 群元素が0.01〜50重量%の範囲の担持率にて担持されていることを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物接触還元用触媒。
【請求項4】(a) 群元素が金属、そのイオン又はその酸化物として担持されていることを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物接触還元用触媒。

【公開番号】特開平6−320008
【公開日】平成6年(1994)11月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−108119
【出願日】平成5年(1993)5月10日
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)