窓
【課題】 室内側パネル保持片が室内側に変形しても、木質部材がずれたり外れたりすることのない窓の提供。
【解決手段】 窓枠1と障子2とを備え、障子は、上框3と下框4と左右の縦框5,5を四方枠組みした枠内にパネル6を保持しており、框は、室外側に配置した金属製框部材3a,4a,5aと、室内側に配置した合成樹脂製框部材3b,4b,5bと、合成樹脂製框部材の室内側に配置した木質部材3c,4c,5cとを有し、金属製框部材は、框内周側に突出する室外側パネル保持片7a,7bを有し、合成樹脂製框部材は、框内周側に突出する室内側パネル保持片8a,8bを有し、室内側パネル保持片は、室内側に木質部材との隙間9a,9b,9c,9dを有し、且つ先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部10a,10bを設けて、隙間9a,9b,9c,9dが室内側から見えないようにしている。
【解決手段】 窓枠1と障子2とを備え、障子は、上框3と下框4と左右の縦框5,5を四方枠組みした枠内にパネル6を保持しており、框は、室外側に配置した金属製框部材3a,4a,5aと、室内側に配置した合成樹脂製框部材3b,4b,5bと、合成樹脂製框部材の室内側に配置した木質部材3c,4c,5cとを有し、金属製框部材は、框内周側に突出する室外側パネル保持片7a,7bを有し、合成樹脂製框部材は、框内周側に突出する室内側パネル保持片8a,8bを有し、室内側パネル保持片は、室内側に木質部材との隙間9a,9b,9c,9dを有し、且つ先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部10a,10bを設けて、隙間9a,9b,9c,9dが室内側から見えないようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子の框が金属製框部材と合成樹脂製框部材と木質部材とからなる窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、結露の防止と室内側の装飾性の向上の観点から、障子の框を室外側のアルミ等の金属製框部材と室内側の合成樹脂製框部材を結合して構成し、さらに合成樹脂製框部材の室内側に木質部材を取付けたものがある(例えば特許文献1参照。)。かかる障子の框は、金属製框部材に形成した室外側パネル保持片と合成樹脂製框部材に形成した室内側パネル保持片との間に、ガラス等のパネルの端部をグレイジングチャンネルを介して嵌め込んでいるが、室内側パネル保持片は合成樹脂製であるために変形しやすく、パネルを嵌め込む時などに室内側パネル保持片が室内側に曲がるように変形することがあった。室内側パネル保持片が室内側に変形すると、その室内側に配置した木質部材が室内側パネル保持片に押されて浮き上がり、木質部材がずれたり外れたりする不都合があった。
【特許文献1】特開2003−148057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑みてなされたものであって、室内側パネル保持片が室内側に変形しても、木質部材がずれたり外れたりすることのない窓の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために本発明の窓は、窓枠と障子とを備え、障子は、上框と下框と左右の縦框を四方枠組みした枠内にパネルを保持しており、框は、室外側に配置した金属製框部材と、室内側に配置した合成樹脂製框部材と、合成樹脂製框部材の室内側に配置した木質部材とを有し、金属製框部材は、框内周側に突出する室外側パネル保持片を有し、合成樹脂製框部材は、框内周側に突出する室内側パネル保持片を有し、室内側パネル保持片は、室内側に木質部材との隙間を有し、且つ先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部を設けて、隙間が室内側から見えないようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の窓は、合成樹脂製框部材の室内側パネル保持片の室内側に木質部材との隙間を有しているので、室内側パネル保持片が室内側に変形したとしても木質部材が室内側パネル保持片によって室内側に押されることがなく、したがって木質部材がずれたり外れたりすることがない。さらに室内側パネル保持片は、先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部を設けて、隙間が室内側から見えないようにしているので、意匠的にも良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図6は、本発明の窓の一実施形態に係るたてすべり出し窓を示している。この窓は、壁開口部11内側に窓枠1が取付けてあり、窓枠内の開口部を塞ぐように一つの障子2が窓枠1に取付けてある。障子2は、図3に示すように、上枠12と上框3の間と、下枠13と下框4の間とに設けたフリクションステー15により窓枠1に支持されており、窓を開けたときには、図6に示すように、障子2が室外側に移動するとともに一方の縦框5側を支点として90度回転する。障子2の開閉は、下枠13室内側に設けたオペレータハンドル16を操作することにより行うことができる。窓枠1内の障子2の室内側には、網戸17が取付けてある。
【0007】
障子2は、図5に示すように、上框3と下框4と左右の縦框5,5を四方枠組みし、その枠内にパネル6を保持している。
上框3は、図1に示すように、室外側にアルミニウム合金の押出形材よりなる金属製框部材3aを配置してあり、室内側に合成樹脂の押出形材よりなる合成樹脂製框部材3bを配置してあり、合成樹脂製框部材3bの室内側に帯板状の木質部材3cを配置してある。金属製框部材3aと合成樹脂製框部材3bとは、金属製框部材3aの室内側面と合成樹脂製框部材3bの室外側面とにそれぞれ形成した鉤状部18を互いに係合させることにより一体化してあり、金属製框部材3aと合成樹脂製框部材3bとで框内周側に開口するパネル取付溝37aを形成している。金属製框部材3aは、框内周側に突出する室外側パネル保持片7aを有している。
合成樹脂製框部材3bは、框内周側に突出する室内側パネル保持片8aを有すると共に、框外周側に室内側パネル保持片8aよりも室内側に突出する中空状の突出部19aを有している。パネル取付溝37aを形成する金属製框部材3aの室外側パネル保持片7aと合成樹脂製框部材3bの室内側パネル保持片8aの間には、パネル6の上端部がグレイジングチャンネル20を介して嵌め込んである。なおパネル6は、断熱性に優れた複層ガラスを使用している。さらに合成樹脂製框部材3bは、室内側パネル保持片8aの基端部に室内側に向けて突出する突条22を有すると共に、室内側パネル保持片8aの先端部に室内側に向けて階段状に折れ曲がった形状の折り曲げ部38が形成され、折り曲げ部38の先端部を室内側に突出させて木質部材3cとの重なり部10aを形成してある。突出部19aと突条22の間には凹部23が形成され、図8に示すように、凹部23内の左右二箇所に木質部材3cの係止部24を設けてある。係止部24は、図7に示すように、凹部23の室内側面に埋め込んで金属製框部材3aにビス25で固定される基部26と、基部26の室内側面の上下端部より対向して突出した鉤形の係止爪27,27を有している。
木質部材3cは、合成樹脂製框部材3bの突出部19aの框内周側に配置してあり、室外側面には合成樹脂製框部材3bの突条22と重なり部10aをそれぞれ収容する溝28a,28bが形成してあり、室外側面の左右二箇所には円い突起状の係合部29がビス30で取付けてある。係合部29は、大径部29aと小径部29bを有し、合成樹脂製框部材3bの室内側面に取付けた係止部24の上下の係止爪27,27間に、框長手方向にのみスライド可能に係合している。室内側パネル保持片8aの室内側面と木質部材3cの室外側面との間、及び室内側パネル保持片8aの重なり部10aと木質部材3cの溝28bとの間には、1〜4mm程度の隙間9a,9bが形成されている。この隙間9a,9bは、室内側パネル保持片8aの重なり部10aを木質部材3cの室外側面に形成した溝28b内に収容し、重なり部10aを木質部材3cの室外側面側で木質部材と見付方向に重ねることで、室内側から見て見えないようにしてある。
【0008】
下框4は、金属製框部材4aと合成樹脂製框部材4bと木質部材4cとで、上框3と同様に構成してある。
【0009】
左右の縦框5は、上下の框3,4と同様に、図2に示すように、室外側にアルミニウム合金の押出形材よりなる金属製框部材5aを配置してあり、室内側に合成樹脂の押出形材よりなる合成樹脂製框部材5bを配置してあり、合成樹脂製框部材5bの室内側に帯板状の木質部材5cを配置してある。金属製框部材5aと合成樹脂製框部材5bとは、金属製框部材5aの室内側面と合成樹脂製框部材5bの室外側面とにそれぞれ形成した鉤状部18を互いに係合させることにより一体化してあり、金属製框部材5aと合成樹脂製框部材5bとで框内周側に開口するパネル取付溝37bを形成している。金属製框部材5aは、框内周側に突出する室外側パネル保持片7bを有している。
合成樹脂製框部材5bは、框内周側に突出する室内側パネル保持片8bを有すると共に、框外周側に室内側パネル保持片8bよりも室内側に突出する突出部19bを有している。パネル取付溝37bを形成する金属製框部材5aの室外側パネル保持片7bと合成樹脂製框部材5bの室内側パネル保持片8bの間には、パネル6の側端部がグレイジングチャンネル20を介して嵌め込んである。突出部19bは、框外周側面に開口部31を設けて溝状に形成してあり、開口部31は目板32を取付けて塞いである。さらに合成樹脂製框部材5bは、室内側パネル保持片8bの先端部に、室内側パネル保持片8bと直交するように室内側に向けてまっすぐに突出する木質部材5cとの重なり部10bを形成してある。
木質部材5cは、合成樹脂製框部材5bの突出部19bの框内周側に配置し、目板32を取外した状態で框外周側から挿入したネジ33により突出部19bにネジ止めしてある。木質部材5cの室外側面には、合成樹脂製框部材5bの重なり部10bを収容する溝34が形成してある。室内側パネル保持片8bの室内側面と木質部材5cの室外側面との間、及び室内側パネル保持片8bの重なり部10bと木質部材5cの溝34との間には、1〜4mm程度の隙間9c,9dが形成されている。この隙間9c,9dは、室内側パネル保持片の重なり部10bを木質部材5cの室外側面に形成した溝34内に収容し、重なり部10bを木質部材5cの室外側面側で木質部材と見付方向に重ねることで、室内側から見て見えないようにしてある。
【0010】
窓枠1を構成する上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14は、図3と図4に示すように、アルミニウム合金製の室外側部材12a,13a,14aと室内側部材12b,13b,14bを合成樹脂製の断熱部材35で連結したものとなっている。上枠12の上框3の突出部19aと対向する室外側面にはタイト材21aが取付けてあり、下枠13の下框4の突出部19aと対向する室外側面にはタイト材21aが取付けてある。縦枠14の縦框5の突出部19bと対向する室外側面には、タイト材21bが取付けてある。窓枠1の室内側には、木製の額縁36を取付けてある。
【0011】
障子2を組立てる際の手順を示すと、上框3、下框4、左右の縦框5は、それぞれ金属製框部材3a,4a,5aと合成樹脂製框部材3b,4b,5bを一体化しておき、通常の障子を組立てる場合と同様に、各框内周側のパネル取付溝37a,37bの室外側パネル保持片7a,7bと室内側パネル保持片8a,8bの間に、グレイジングチャンネル20を装着したパネル6の端部を嵌め込み、図11に示すように、框の端部同士を突き合わせてビス(図示省略)で固定して障子の枠を形成する。障子コーナー部には、合成樹脂製のコーナーピース36が取付けられ(図5参照)、各框部材の端面が塞がれている。上下框合成樹脂製框部材3b,4bの重なり部10aと、縦框合成樹脂製框部材5bの重なり部10bには、木質部材3c,4c,5cの取付けの邪魔にならないように、框長手方向の端部に切り欠き部39a,39bを設けてある。
木質部材3c,4c,5cの取付けは、図8(a)に示すように、一方の縦框5の木質部材5cのみを先に取付けてから、上框3と下框4の木質部材3c,4cを、溝28aに合成樹脂製框部材の突状22を挿通した上で、木質部材5cを取付けていない縦框5の側から横にスライドさせて係合部29を合成樹脂製框部材の係止部24に係合して取付ける。その後、図8(b)に示すように、もう一方の縦框5の木質部材5cを室内側より縦框突出部19bの框内周側に配置し、突出部19bの框外周側に形成した開口部31より突出部19bを貫通してネジ33を木質部材5cに捩じ込み、木質部材5cを突出部19bにネジ止めする。その後、突出部の開口部31に目板32を取付ければ、ネジ33が隠れる。上下框3,4の木質部材3c,4cは、框長手方向の端面が左右の縦框の木質部材5cの框内周側面と当接し、左右の縦框5,5の木質部材5c,5cの間に挟み込まれる形となり、左右方向の移動が規制される。
【0012】
図9と図10に示すように、パネル6の端部を各框の室外側パネル保持片7a,7bと室内側パネル保持片8a,8bの間に嵌め込む際や、パネル6の厚みが厚かったときなどには、室内側パネル保持片8a,8bが室内側に変形することがあるが、本障子では木質部材3c,4c,5cを取付けたときに室内側パネル保持片8a,8bの室内側に木質部材3c,4c,5cとの隙間9a,9b,9c,9dが形成されるため、木質部材3c,4c,5cは浮き上がったり歪みが生じたりすることなく正確に框に取付けられ、また障子開閉時の衝撃により木質部材3c,4c,5cがずれたり外れたりすることがない。室内側パネル保持片8a,8bと木質部材3c,4c,5cとの間の隙間9a,9b,9c,9dは、室内側パネル保持片8a,8bの先端部に木質部材3c,4c,5cの室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部10a,10bを設けてあることで室内側から見えず、意匠性が良好である。
【0013】
さらに本障子は、上下框の木質部材3c,4cの框長手方向の端面が左右縦框の木質部材5c,5cの框内周側面に当接して矩形枠状に構成され、合成樹脂製框部材の突出部19a,19bにより形成される枠の内周側に隙間なく嵌め込まれており、且つ室内側面には取付用のビス等が一切露出しないことから、障子2室内側の意匠が極めて良好なものとなっている。
また、障子2を開ければ、縦框5の木質部材5cを框外周側からネジを外して取り外すことができ、そうすると上框3と下框4の木質部材3c,4cは、左右方向にスライドして着脱できるため、障子2を窓枠1に取付けたままの状態でも、障子室内側面の木質部材3c,4c,5cを取替えできる。
さらに本窓は、障子2の閉鎖時には、窓枠1の各枠材12,13,14に取付けたタイト材21a,21bが各框の突出部19a,19bの室内側面に密着するため、高い気密性、水密性を確保できる。木質部材が無くても気密性、水密性を確保できる。
【0014】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。障子の各框は、室内側パネル保持片の室内側に木質部材との隙間が形成されていればよく、木質部材の框への取付構造は任意であり、例えば木質部材を合成樹脂製框部材の室内側面や突出部の框内周側面に、マグネット、面ファスナー、接着剤等を用いて接着したものであってもよいし、突出部に框内周側からネジ止めしたものであってもよく、さらには図12に示すように、上框と下框の木質部材3c,4cを框外周側から突出部19aにネジ止めし、左右縦框の木質部材5cを係合部29と係止部24により上下方向にスライド可能に係合して取付けたものであってもよい。室内側パネル保持片の重なり部は、木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なり、室内側パネル保持片と木質部材との間の隙間が室内側から見えないようになっていればよく、その形態は特に限定されず、例えば室内側パネル保持片の先端より室内側にまっすぐのびる形状であってもよい。窓の形態は、引き違い窓、片引き窓、上げ下げ窓、回転窓等、いかなる形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】上框の縦断面図である。
【図2】縦框の横断面図である。
【図3】本発明に係る窓(たてすべり出し窓)の縦断面図である。
【図4】本発明に係る窓の横断面図である。
【図5】障子の室内側正面図である。
【図6】障子を全開したときの窓の横断面図である。
【図7】(a)は合成樹脂製框部材に取付ける係止部の平面図であり、(b)は同室内側正面図、(c)は同側面図である。
【図8】縦框と上框に木質部材を取付ける際の手順を順に示す上框内部における横断面図である。
【図9】上框にパネル上端部を嵌め込むときの状態を示す縦断面図である。
【図10】縦框にパネル側端部を嵌め込むときの状態を示す横断面図である。
【図11】上框と縦框との連結部を示す斜視図である。
【図12】障子の別の実施形態を示す室内側正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 窓枠
2 障子
3 上框
4 下框
5 縦框
6 パネル
3a,4a,5a 金属製框部材
3b,4b,5b 合成樹脂製框部材
3c,4c,5c 木質部材
7a,7b 室外側パネル保持片
8a,8b 室内側パネル保持片
9a,9b,9c,9d 隙間
10a,10b 重なり部
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子の框が金属製框部材と合成樹脂製框部材と木質部材とからなる窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、結露の防止と室内側の装飾性の向上の観点から、障子の框を室外側のアルミ等の金属製框部材と室内側の合成樹脂製框部材を結合して構成し、さらに合成樹脂製框部材の室内側に木質部材を取付けたものがある(例えば特許文献1参照。)。かかる障子の框は、金属製框部材に形成した室外側パネル保持片と合成樹脂製框部材に形成した室内側パネル保持片との間に、ガラス等のパネルの端部をグレイジングチャンネルを介して嵌め込んでいるが、室内側パネル保持片は合成樹脂製であるために変形しやすく、パネルを嵌め込む時などに室内側パネル保持片が室内側に曲がるように変形することがあった。室内側パネル保持片が室内側に変形すると、その室内側に配置した木質部材が室内側パネル保持片に押されて浮き上がり、木質部材がずれたり外れたりする不都合があった。
【特許文献1】特開2003−148057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑みてなされたものであって、室内側パネル保持片が室内側に変形しても、木質部材がずれたり外れたりすることのない窓の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために本発明の窓は、窓枠と障子とを備え、障子は、上框と下框と左右の縦框を四方枠組みした枠内にパネルを保持しており、框は、室外側に配置した金属製框部材と、室内側に配置した合成樹脂製框部材と、合成樹脂製框部材の室内側に配置した木質部材とを有し、金属製框部材は、框内周側に突出する室外側パネル保持片を有し、合成樹脂製框部材は、框内周側に突出する室内側パネル保持片を有し、室内側パネル保持片は、室内側に木質部材との隙間を有し、且つ先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部を設けて、隙間が室内側から見えないようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の窓は、合成樹脂製框部材の室内側パネル保持片の室内側に木質部材との隙間を有しているので、室内側パネル保持片が室内側に変形したとしても木質部材が室内側パネル保持片によって室内側に押されることがなく、したがって木質部材がずれたり外れたりすることがない。さらに室内側パネル保持片は、先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部を設けて、隙間が室内側から見えないようにしているので、意匠的にも良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図6は、本発明の窓の一実施形態に係るたてすべり出し窓を示している。この窓は、壁開口部11内側に窓枠1が取付けてあり、窓枠内の開口部を塞ぐように一つの障子2が窓枠1に取付けてある。障子2は、図3に示すように、上枠12と上框3の間と、下枠13と下框4の間とに設けたフリクションステー15により窓枠1に支持されており、窓を開けたときには、図6に示すように、障子2が室外側に移動するとともに一方の縦框5側を支点として90度回転する。障子2の開閉は、下枠13室内側に設けたオペレータハンドル16を操作することにより行うことができる。窓枠1内の障子2の室内側には、網戸17が取付けてある。
【0007】
障子2は、図5に示すように、上框3と下框4と左右の縦框5,5を四方枠組みし、その枠内にパネル6を保持している。
上框3は、図1に示すように、室外側にアルミニウム合金の押出形材よりなる金属製框部材3aを配置してあり、室内側に合成樹脂の押出形材よりなる合成樹脂製框部材3bを配置してあり、合成樹脂製框部材3bの室内側に帯板状の木質部材3cを配置してある。金属製框部材3aと合成樹脂製框部材3bとは、金属製框部材3aの室内側面と合成樹脂製框部材3bの室外側面とにそれぞれ形成した鉤状部18を互いに係合させることにより一体化してあり、金属製框部材3aと合成樹脂製框部材3bとで框内周側に開口するパネル取付溝37aを形成している。金属製框部材3aは、框内周側に突出する室外側パネル保持片7aを有している。
合成樹脂製框部材3bは、框内周側に突出する室内側パネル保持片8aを有すると共に、框外周側に室内側パネル保持片8aよりも室内側に突出する中空状の突出部19aを有している。パネル取付溝37aを形成する金属製框部材3aの室外側パネル保持片7aと合成樹脂製框部材3bの室内側パネル保持片8aの間には、パネル6の上端部がグレイジングチャンネル20を介して嵌め込んである。なおパネル6は、断熱性に優れた複層ガラスを使用している。さらに合成樹脂製框部材3bは、室内側パネル保持片8aの基端部に室内側に向けて突出する突条22を有すると共に、室内側パネル保持片8aの先端部に室内側に向けて階段状に折れ曲がった形状の折り曲げ部38が形成され、折り曲げ部38の先端部を室内側に突出させて木質部材3cとの重なり部10aを形成してある。突出部19aと突条22の間には凹部23が形成され、図8に示すように、凹部23内の左右二箇所に木質部材3cの係止部24を設けてある。係止部24は、図7に示すように、凹部23の室内側面に埋め込んで金属製框部材3aにビス25で固定される基部26と、基部26の室内側面の上下端部より対向して突出した鉤形の係止爪27,27を有している。
木質部材3cは、合成樹脂製框部材3bの突出部19aの框内周側に配置してあり、室外側面には合成樹脂製框部材3bの突条22と重なり部10aをそれぞれ収容する溝28a,28bが形成してあり、室外側面の左右二箇所には円い突起状の係合部29がビス30で取付けてある。係合部29は、大径部29aと小径部29bを有し、合成樹脂製框部材3bの室内側面に取付けた係止部24の上下の係止爪27,27間に、框長手方向にのみスライド可能に係合している。室内側パネル保持片8aの室内側面と木質部材3cの室外側面との間、及び室内側パネル保持片8aの重なり部10aと木質部材3cの溝28bとの間には、1〜4mm程度の隙間9a,9bが形成されている。この隙間9a,9bは、室内側パネル保持片8aの重なり部10aを木質部材3cの室外側面に形成した溝28b内に収容し、重なり部10aを木質部材3cの室外側面側で木質部材と見付方向に重ねることで、室内側から見て見えないようにしてある。
【0008】
下框4は、金属製框部材4aと合成樹脂製框部材4bと木質部材4cとで、上框3と同様に構成してある。
【0009】
左右の縦框5は、上下の框3,4と同様に、図2に示すように、室外側にアルミニウム合金の押出形材よりなる金属製框部材5aを配置してあり、室内側に合成樹脂の押出形材よりなる合成樹脂製框部材5bを配置してあり、合成樹脂製框部材5bの室内側に帯板状の木質部材5cを配置してある。金属製框部材5aと合成樹脂製框部材5bとは、金属製框部材5aの室内側面と合成樹脂製框部材5bの室外側面とにそれぞれ形成した鉤状部18を互いに係合させることにより一体化してあり、金属製框部材5aと合成樹脂製框部材5bとで框内周側に開口するパネル取付溝37bを形成している。金属製框部材5aは、框内周側に突出する室外側パネル保持片7bを有している。
合成樹脂製框部材5bは、框内周側に突出する室内側パネル保持片8bを有すると共に、框外周側に室内側パネル保持片8bよりも室内側に突出する突出部19bを有している。パネル取付溝37bを形成する金属製框部材5aの室外側パネル保持片7bと合成樹脂製框部材5bの室内側パネル保持片8bの間には、パネル6の側端部がグレイジングチャンネル20を介して嵌め込んである。突出部19bは、框外周側面に開口部31を設けて溝状に形成してあり、開口部31は目板32を取付けて塞いである。さらに合成樹脂製框部材5bは、室内側パネル保持片8bの先端部に、室内側パネル保持片8bと直交するように室内側に向けてまっすぐに突出する木質部材5cとの重なり部10bを形成してある。
木質部材5cは、合成樹脂製框部材5bの突出部19bの框内周側に配置し、目板32を取外した状態で框外周側から挿入したネジ33により突出部19bにネジ止めしてある。木質部材5cの室外側面には、合成樹脂製框部材5bの重なり部10bを収容する溝34が形成してある。室内側パネル保持片8bの室内側面と木質部材5cの室外側面との間、及び室内側パネル保持片8bの重なり部10bと木質部材5cの溝34との間には、1〜4mm程度の隙間9c,9dが形成されている。この隙間9c,9dは、室内側パネル保持片の重なり部10bを木質部材5cの室外側面に形成した溝34内に収容し、重なり部10bを木質部材5cの室外側面側で木質部材と見付方向に重ねることで、室内側から見て見えないようにしてある。
【0010】
窓枠1を構成する上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14は、図3と図4に示すように、アルミニウム合金製の室外側部材12a,13a,14aと室内側部材12b,13b,14bを合成樹脂製の断熱部材35で連結したものとなっている。上枠12の上框3の突出部19aと対向する室外側面にはタイト材21aが取付けてあり、下枠13の下框4の突出部19aと対向する室外側面にはタイト材21aが取付けてある。縦枠14の縦框5の突出部19bと対向する室外側面には、タイト材21bが取付けてある。窓枠1の室内側には、木製の額縁36を取付けてある。
【0011】
障子2を組立てる際の手順を示すと、上框3、下框4、左右の縦框5は、それぞれ金属製框部材3a,4a,5aと合成樹脂製框部材3b,4b,5bを一体化しておき、通常の障子を組立てる場合と同様に、各框内周側のパネル取付溝37a,37bの室外側パネル保持片7a,7bと室内側パネル保持片8a,8bの間に、グレイジングチャンネル20を装着したパネル6の端部を嵌め込み、図11に示すように、框の端部同士を突き合わせてビス(図示省略)で固定して障子の枠を形成する。障子コーナー部には、合成樹脂製のコーナーピース36が取付けられ(図5参照)、各框部材の端面が塞がれている。上下框合成樹脂製框部材3b,4bの重なり部10aと、縦框合成樹脂製框部材5bの重なり部10bには、木質部材3c,4c,5cの取付けの邪魔にならないように、框長手方向の端部に切り欠き部39a,39bを設けてある。
木質部材3c,4c,5cの取付けは、図8(a)に示すように、一方の縦框5の木質部材5cのみを先に取付けてから、上框3と下框4の木質部材3c,4cを、溝28aに合成樹脂製框部材の突状22を挿通した上で、木質部材5cを取付けていない縦框5の側から横にスライドさせて係合部29を合成樹脂製框部材の係止部24に係合して取付ける。その後、図8(b)に示すように、もう一方の縦框5の木質部材5cを室内側より縦框突出部19bの框内周側に配置し、突出部19bの框外周側に形成した開口部31より突出部19bを貫通してネジ33を木質部材5cに捩じ込み、木質部材5cを突出部19bにネジ止めする。その後、突出部の開口部31に目板32を取付ければ、ネジ33が隠れる。上下框3,4の木質部材3c,4cは、框長手方向の端面が左右の縦框の木質部材5cの框内周側面と当接し、左右の縦框5,5の木質部材5c,5cの間に挟み込まれる形となり、左右方向の移動が規制される。
【0012】
図9と図10に示すように、パネル6の端部を各框の室外側パネル保持片7a,7bと室内側パネル保持片8a,8bの間に嵌め込む際や、パネル6の厚みが厚かったときなどには、室内側パネル保持片8a,8bが室内側に変形することがあるが、本障子では木質部材3c,4c,5cを取付けたときに室内側パネル保持片8a,8bの室内側に木質部材3c,4c,5cとの隙間9a,9b,9c,9dが形成されるため、木質部材3c,4c,5cは浮き上がったり歪みが生じたりすることなく正確に框に取付けられ、また障子開閉時の衝撃により木質部材3c,4c,5cがずれたり外れたりすることがない。室内側パネル保持片8a,8bと木質部材3c,4c,5cとの間の隙間9a,9b,9c,9dは、室内側パネル保持片8a,8bの先端部に木質部材3c,4c,5cの室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部10a,10bを設けてあることで室内側から見えず、意匠性が良好である。
【0013】
さらに本障子は、上下框の木質部材3c,4cの框長手方向の端面が左右縦框の木質部材5c,5cの框内周側面に当接して矩形枠状に構成され、合成樹脂製框部材の突出部19a,19bにより形成される枠の内周側に隙間なく嵌め込まれており、且つ室内側面には取付用のビス等が一切露出しないことから、障子2室内側の意匠が極めて良好なものとなっている。
また、障子2を開ければ、縦框5の木質部材5cを框外周側からネジを外して取り外すことができ、そうすると上框3と下框4の木質部材3c,4cは、左右方向にスライドして着脱できるため、障子2を窓枠1に取付けたままの状態でも、障子室内側面の木質部材3c,4c,5cを取替えできる。
さらに本窓は、障子2の閉鎖時には、窓枠1の各枠材12,13,14に取付けたタイト材21a,21bが各框の突出部19a,19bの室内側面に密着するため、高い気密性、水密性を確保できる。木質部材が無くても気密性、水密性を確保できる。
【0014】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。障子の各框は、室内側パネル保持片の室内側に木質部材との隙間が形成されていればよく、木質部材の框への取付構造は任意であり、例えば木質部材を合成樹脂製框部材の室内側面や突出部の框内周側面に、マグネット、面ファスナー、接着剤等を用いて接着したものであってもよいし、突出部に框内周側からネジ止めしたものであってもよく、さらには図12に示すように、上框と下框の木質部材3c,4cを框外周側から突出部19aにネジ止めし、左右縦框の木質部材5cを係合部29と係止部24により上下方向にスライド可能に係合して取付けたものであってもよい。室内側パネル保持片の重なり部は、木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なり、室内側パネル保持片と木質部材との間の隙間が室内側から見えないようになっていればよく、その形態は特に限定されず、例えば室内側パネル保持片の先端より室内側にまっすぐのびる形状であってもよい。窓の形態は、引き違い窓、片引き窓、上げ下げ窓、回転窓等、いかなる形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】上框の縦断面図である。
【図2】縦框の横断面図である。
【図3】本発明に係る窓(たてすべり出し窓)の縦断面図である。
【図4】本発明に係る窓の横断面図である。
【図5】障子の室内側正面図である。
【図6】障子を全開したときの窓の横断面図である。
【図7】(a)は合成樹脂製框部材に取付ける係止部の平面図であり、(b)は同室内側正面図、(c)は同側面図である。
【図8】縦框と上框に木質部材を取付ける際の手順を順に示す上框内部における横断面図である。
【図9】上框にパネル上端部を嵌め込むときの状態を示す縦断面図である。
【図10】縦框にパネル側端部を嵌め込むときの状態を示す横断面図である。
【図11】上框と縦框との連結部を示す斜視図である。
【図12】障子の別の実施形態を示す室内側正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 窓枠
2 障子
3 上框
4 下框
5 縦框
6 パネル
3a,4a,5a 金属製框部材
3b,4b,5b 合成樹脂製框部材
3c,4c,5c 木質部材
7a,7b 室外側パネル保持片
8a,8b 室内側パネル保持片
9a,9b,9c,9d 隙間
10a,10b 重なり部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠と障子とを備え、障子は、上框と下框と左右の縦框を四方枠組みした枠内にパネルを保持しており、框は、室外側に配置した金属製框部材と、室内側に配置した合成樹脂製框部材と、合成樹脂製框部材の室内側に配置した木質部材とを有し、金属製框部材は、框内周側に突出する室外側パネル保持片を有し、合成樹脂製框部材は、框内周側に突出する室内側パネル保持片を有し、室内側パネル保持片は、室内側に木質部材との隙間を有し、且つ先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部を設けて、隙間が室内側から見えないようにしていることを特徴とする窓。
【請求項1】
窓枠と障子とを備え、障子は、上框と下框と左右の縦框を四方枠組みした枠内にパネルを保持しており、框は、室外側に配置した金属製框部材と、室内側に配置した合成樹脂製框部材と、合成樹脂製框部材の室内側に配置した木質部材とを有し、金属製框部材は、框内周側に突出する室外側パネル保持片を有し、合成樹脂製框部材は、框内周側に突出する室内側パネル保持片を有し、室内側パネル保持片は、室内側に木質部材との隙間を有し、且つ先端部に木質部材の室外側面側で木質部材と見付方向に重なる重なり部を設けて、隙間が室内側から見えないようにしていることを特徴とする窓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−2510(P2007−2510A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183350(P2005−183350)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
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