説明

立体形状の絶縁部材及びその製造方法

【課題】電気絶縁性及び熱伝導性に優れ、成形も容易な立体形状の絶縁部材を提供する。
【解決手段】熱伝導性フィラーを含有する絶縁性材料からなる平面状の絶縁部11と、これより相対的に少ない含有量の熱伝導性フィラーを含有するか又は熱伝導性フィラーを含有しない絶縁性材料からなる立体状の絶縁部12とが一体的に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールなどに用いられる、立体形状の絶縁部材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置などの電子機器を、金属製パッケージを介して金属製ヒートシンクに取り付けることがあり、この場合、金属製パッケージと金属製ヒートシンクとの間を絶縁するためにシリコーンゴム製絶縁シートが介装されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この種の絶縁シートは、金属製パッケージと金属製ヒートシンクとの間の電気絶縁性を確保することに加えて、熱伝導性に優れていることが求められる。上記特許文献1には、熱伝導性フィラーを含有するシリコーンゴムで絶縁シートを構成することで電気絶縁性と熱伝導性を両立させることが提案されている。
【0004】
ところで、電気絶縁性を高めるためには、半導体装置を組み付けたパッケージの周縁についても、沿面絶縁距離を確保すべく絶縁シートを全周にわたって折り曲げて立体形状にすることが望ましい。従来の絶縁シートは平面形状であったため、押出成形や圧延成形により製造していたが、立体形状の絶縁部材を押出成形や圧延成形で製造することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−64291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電気絶縁性及び熱伝導性に優れ、成形も容易な立体形状の絶縁部材及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱伝導性フィラーを含有する絶縁性材料からなる平面状の絶縁部と、これより相対的に少ない含有量の熱伝導性フィラーを含有するか又は熱伝導性フィラーを含有しない絶縁性材料からなる立体状の絶縁部とが一体的に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、電気絶縁性及び熱伝導性の両方の特性を必要とする部位を平面状の絶縁部とし、熱伝導性フィラーを含有する絶縁性材料から構成する。この絶縁部は平面状であるため熱伝導性フィラーの含有量を多くしても容易に成形することができる。
【0009】
一方、主として電気絶縁性の特性を必要とする部位を立体状の絶縁部とし、熱伝導性フィラーの含有量を上記絶縁部よりも少なく(ゼロを含む)した絶縁性材料から構成する。この絶縁部は熱伝導性フィラーの含有量が少ないため、立体状の成形も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
《第1実施形態》
図1は本発明の第1実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部を示す分解斜視図、図2は図1の各部品を組み立てた状態におけるII-II線に沿う断面図である。
【0012】
まず、半導体モジュールを構成する立体形状の絶縁部材1、半導体装置2及びヒートシンク3の構成を説明する。この種の半導体モジュールは、半導体装置2を、絶縁部材1を挟んでヒートシンク3に、ネジ4によってネジ止めしたものであり(なお、図1には1つのネジ4のみを図示し、その他のネジは省略する。)、たとえば電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車などのパワーモジュールとして用いられる。
【0013】
半導体装置2は、金属製のパッケージ21内に電極板22を介して半導体素子23が実装されることにより構成されている。図2の断面図に示すように、パッケージ21の半導体素子23がマウントされる部分には、半導体素子23と電気的接続をとるための電極板22が予め設けられており、半導体素子23は、この電極板22にハンダまたは導電性接着剤などの接合部材24により固着されている。
【0014】
電極板22は、電気伝導性の高い銅系金属(銅または銅合金)により構成され、パッケージ21の外側に突出したリード25U,25V,25Wのうち何れかと接続されている。本例の電極板22の下面は、図2に示すようにパッケージ21の底面と面一になるように設けられている。なお、半導体装置2の具体的構成は図示するものに限定されず、他の形態を採用することもできる。
【0015】
ヒートシンク3は、たとえばアルミニウム、銅、ステンレスなどの金属により構成されている。本例のヒートシンク3は水冷式であり、冷媒を通すための冷媒流路31が設けられている。なお、ヒートシンク3の具体的構成は図示するものに限定されず、他の形態を採用することもできる。
【0016】
ところで、半導体素子23が実装された金属製パッケージ21は、同じく金属製ヒートシンク3との間で電気的に絶縁しなければならない。
【0017】
また、半導体素子23は作動すると自己発熱し、この半導体素子23からの発熱は、ハンダなどの接合部材24から電極板22及びパッケージ21に伝わるが、半導体素子23を延命させるために除熱する必要もある。
【0018】
このため、パッケージ21とヒートシンク3との間で電気的絶縁をとると同時に、半導体素子23から生じた熱をヒートシンク3へ効率よく伝えて除熱するために、本実施形態に係る絶縁部材2が、パッケージ21とヒートシンク3との間に介装されている。
【0019】
本実施形態に係る絶縁部材2は、平面状の絶縁部11と、その周囲に位置する立体状の絶縁部12とから構成され、平面状の絶縁部11は電気絶縁性に優れるとともに熱伝導性にも優れる特性を有する一方、立体状の絶縁部12は電気絶縁性に優れるとともに成形性に優れる特性を有する。
【0020】
本例の平面状の絶縁部11は、半導体装置2との間で組み立てられた際に、半導体装置2の6つの電極22が少なくとも接触する大きさ、面積に形成され、より好ましくは図2に示すように電極22の端部よりも若干オーバーハングする大きさに形成されている。平面的な形状は、図1に示すように矩形であることが歩留まりの観点から好ましい。
【0021】
この平面状の絶縁部11は、絶縁性に優れた主材料に熱伝導性に優れた充填材を含有させたもので、たとえば、オルガノポリシロキサンの基材(いわゆるシリコーンゴムの基材)に、熱伝導性フィラーと加硫剤を混ぜて混合し、平面状に押出成形した後に、加熱して加硫することで製造することができる。
【0022】
このとき用いられる加硫材としては、たとえば、有機過酸化物であるベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ターシャリブチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ビス(ターシャリ)ブチルパーオキシ)ヘキサンなどを挙げることができる。本例の平面状の絶縁部11には、有機過酸化硬化型オルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。
【0023】
また、用いられる熱伝導性フィラーとしては、たとえば、ZnO、TiO、BeO、MgO、NiOVO、CuO、FeO、AgO、Al、AIN、BN、SiO、SiC、SiNなどの金属酸化物やセラミックスなどを挙げることができる。
【0024】
本例の平面状の絶縁部11において、熱伝導性フィラーの含有量は、絶縁部11の全質量に対して70〜93質量%である。熱伝導性フィラーの含有量が70質量%未満であると、熱伝導性の向上をもたらさないので好ましくない。一方、93質量%を超えると、ほとんどが熱伝導性フィラーそのものによって形成されることになり、絶縁部自体が脆くなり好ましくない。
【0025】
本例の平面状の絶縁部11は、材質的に絶縁性及び熱伝導性の両方の特性に優れ、しかも平板形状であるため、主として圧縮方向の外力が作用するだけであり、耐久性に優れたものとなる。また、平板形状であるため押出成形や圧延成形によっても容易に成形することができる。
【0026】
これに対して、平面状の絶縁部11の周囲には、平面状の絶縁部11の周縁端面と同じ厚さで突合わされて接合された平面部分121と、この平面部分121の周縁でほぼ直立するように形成された縦壁部分122とで構成される立体状の絶縁部12が一体的に形成されている。
【0027】
この立体状の絶縁部12は、絶縁性に優れた主材料を主成分とし、熱伝導性に優れた充填材を全く含有しないものである。そしてたとえば、ビニル基を有するオルガノポリシロキサンの基材(いわゆるシリコーンゴムの基材)と、架橋剤としてのハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、熱伝導性フィラーとを白金触媒などの存在下で加熱混合し、立体状に射出成形することで製造することができる。本例の立体状の絶縁部12には、付加反応型オルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。
【0028】
本例の立体状の絶縁部12に上記平面状の絶縁部11と同じ熱伝導性フィラーを用いることができるが、本例では熱伝導性フィラーは全く含有していない。
【0029】
本例の立体状の絶縁部12は、半導体装置2の電極22が直接接触する訳ではないので、成形性に悪影響を与える熱伝導性を抑え、絶縁性の特性を優先させることができる。特に、縦壁部分122を形成することで、パッケージ21又は電極22とヒートシンク3との沿面絶縁距離が長くなり、平面形状の絶縁部材に比べて格段に絶縁性を高めることができる。
【0030】
熱伝導性フィラーの含有量が異なる平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とを一体的に成形するには、矩形平面状の絶縁部11を押出成形または圧延成形により予め成形し、この平面状の絶縁部11を成形型にセットしてその周囲に立体状の絶縁部12を射出成形する、いわゆるインサート成形法により製造することができる。平面状の絶縁部11は熱伝導性フィラーの含有量が相対的に多いので射出成形などの成形法では成形性が悪いが、形状が平面状であることから押出成形法や圧延成形法による成形は容易である。逆に、熱伝導性フィラーの含有量が相対的に少ない立体状の絶縁部12は射出成形法による成形性が良い。このように、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12を異なる成形法で成形することで、絶縁性と熱伝導性だけでなく成形性にも優れた立体形状の絶縁部材1を得ることができる。
【0031】
本発明の立体状の絶縁部材1は、上述した押出成形法又は圧延成形法とインサート成形法の組み合わせだけでなく、たとえば二色成形法を利用することができる。なお、上述した押出成形法または圧延成形法とインサート成形法による製造方法は後述する他の実施形態においても採用することができる。
【0032】
図3はインサート成形法による成形型の断面図であり、インサート成形法の第2工程を示す。本例は図3に示す例の平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12との製造順序を逆にした例である。
【0033】
すなわち、まず、図示しない第1工程において、押出機に注入された材料がダイとニップルの間に設けられた均一な隙間を通り、絶縁部が円筒状に成形される。これをカットして開くことで、平面状の絶縁部11を形成する。
【0034】
次いで、図3に示す第2工程において、コア型41の上面に平面状の絶縁部11を置き、成形型42Bとコア型41とを相対的に接近離反可能に設け(成形装置4B)、これらを型締めしたときに形成されるキャビティ43Bに、注入口44Bから立体状の絶縁部11を構成する材料を注入する。そして、コア型41と成形型42Bを型開きすると、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とが接合して一体となった立体形状の絶縁部材1が得られる。
【0035】
本例においても、第1工程において、熱伝導性フィラーの含有量が相対的に多い平面状の絶縁部11を押出成形するが、この絶縁部11は平板形状で単純な構造であるため熱伝導性フィラーを多く含んでいても不具合なく成形することができる。また第2工程において、立体状の絶縁部12は複雑な構造であるが、射出成形により注入される材料は熱伝導性フィラーが含有されていないので、不具合なく成形することができる。
【0036】
《第2実施形態》
図4は本発明の第2実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部断面図であって、図1の各部品を組み立てた状態におけるII-II線断面図に相当する部分の断面図である。以下の第2実施形態から第4実施形態に係る半導体モジュールにおいては、本発明に係る絶縁部材1の構造が相違するだけでその他の半導体装置2及びヒートシンク3の構成は上述した第1実施形態と同じである。
【0037】
本実施形態の立体状の絶縁部材1は、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とが一体的に成形された点で上述した第1実施形態と共通するが、これら絶縁部11,12の接合部分の構造が相違する。
【0038】
すなわち、本例の絶縁部材1では、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12との接合部分において、平面状の絶縁部11の周縁の主面に、立体状の絶縁部12の周縁が接合されている。換言すれば、平面状の絶縁部11の周縁の主面にほぼ直角に、縦壁部分122のみからなる立体状の絶縁部12が立設されている。
【0039】
この場合、平面状の絶縁部11の厚さ(板厚)と立体状の絶縁部12の厚さ(板厚)は、等しくても良いし、相違しても良い。また、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とを一体的に成形するには、上述した第1実施形態と同様に、平面状の絶縁部11を予め押出成形法または圧延成形法で成形しておき、これを成形型にセットしてその周囲に立体状の絶縁部12を射出成形するインサート成形法を用いることができる。
【0040】
本実施形態に係る立体形状の絶縁部材1においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0041】
《第3実施形態》
図5は本発明の第3実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部断面図であって、図1の各部品を組み立てた状態におけるII-II線断面図に相当する部分の断面図である。
【0042】
本実施形態の立体状の絶縁部材1は、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とが一体的に成形された点で上述した第1実施形態と共通するが、これら絶縁部11,12の接合部分の構造が相違する。また、半導体装置1において、電極22の底面がパッケージ21の底面から僅かに突出して装着されている点が相違する。
【0043】
すなわち、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12との接合部分において、平面状の絶縁部11の周縁が、立体状の絶縁部12の周縁(平面部分121の周縁)に覆われている。換言すれば、立体状の絶縁部12の平面部分121の厚さ(板厚)が平面状の絶縁部11の厚さ(板厚)よりも厚く形成され、平面状の絶縁部11の周縁が立体状の絶縁部12の周縁に埋め込まれたかたちとされている。
【0044】
これにより、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12の平面部分121との接合部分に、立体状の絶縁部12の方が高くなる段部13が形成されることになる。この段部13の高さは、たとえばパッケージ21からの電極22の突出寸法とすることが好ましい。
【0045】
上述したとおり、本例の半導体装置2ではパッケージ21の底面から電極22が突出した構造とされているが、図5に示すように立体状の絶縁部12の平面部分121の板厚を、平面状の絶縁部11の板厚より厚くして段部13を形成することで、パッケージ21の底面が立体状の絶縁部12に接触する一方で、電極22の底面が平面状の絶縁部11に接触するので、このような構造の半導体装置2であっても良好に放熱することができる。
【0046】
《第4実施形態》
図6は本発明の第4実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部断面図であって、図1の各部品を組み立てた状態におけるII-II線断面図に相当する部分の断面図である。
【0047】
本実施形態の立体状の絶縁部材1は、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とが一体的に成形された点で上述した第1実施形態と共通するが、これら絶縁部11,12の接合部分の構造が相違する。また、半導体装置1において、電極22の底面がパッケージ21の底面から僅かに突出して装着されている点が相違する。
【0048】
すなわち、本例の絶縁部材1では、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12との接合部分において、平面状の絶縁部11の周縁の主面に、立体状の絶縁部12の編面部分121が接合されている。換言すれば、平面状の絶縁部11の周縁の主面に、断面がL字状の立体状の絶縁部12が立設されている。このとき、平面部分121は平面状の絶縁部11の主面に沿って延在して接合されているので、その板厚ぶんだけ立体状の絶縁部12の方が高くなる段部13が形成されることになる。この段部13の高さは、たとえばパッケージ21からの電極22の突出寸法とすることが好ましい。
【0049】
上述した第3実施形態と同様に、本例の半導体装置2ではパッケージ21の底面から電極22が突出した構造とされているが、図6に示すように立体状の絶縁部12の平面部分121を平面状の絶縁部11の主面に接合して段部13を形成することで、パッケージ21の底面が立体状の絶縁部12に接触する一方で、電極22の底面が平面状の絶縁部11に接触する。これにより、このような構造の半導体装置2であっても良好に放熱することができる。
【0050】
《第5実施形態》
図7は本発明の第5実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部を示す分解斜視図、図8は図7のIX-IX線に沿う断面図である。
【0051】
本実施形態の立体状の絶縁部材1は、平面状の絶縁部11と立体状の絶縁部12とが一体的に成形された点で上述した第1実施形態と共通するが、平面状の絶縁部11が複数に分割されて構成されている構造が相違する。
【0052】
すなわち、図7及び図8に示すように、本例の平面状の絶縁部11は、半導体装置2の電極22が設けられた位置に対応して、また電極22の大きさと同じかそれより僅かに大きい矩形形状で構成され、6つの電極22に対応して6つの絶縁部11から構成されている。
【0053】
平面状の絶縁部11は熱伝導性フィラーの含有量が多く、この種の熱伝導性フィラーは高価であることから、最も熱伝導性が必要とされる部分にのみ平面状の絶縁部11を配置することで、安価な絶縁部材1を提供することができる。
【0054】
また、熱伝導性フィラーの含有量が多い平面状の絶縁部11はシリコーンゴムなどの絶縁性材料の含有量が相対的に少なくなるので、引張強度や伸び率が低下する。一方、半導体モジュールでは、半導体装置2の発熱やヒートシンク3の冷却などの温度変化が大きいので、その間に挟んで設けられる絶縁部材1は引張強度が高く、伸び率が大きい特性を有することが望ましい。
【0055】
そこで、本例のように最も温度変化が大きい、パッケージ21とヒートシンク3との当接面に相当する絶縁部材の主面を、熱伝導性フィラーの含有量が大きい平面状の絶縁部11と、熱伝導性フィラーの含有量がゼロか相対的に少ない立体状の絶縁部12とで構成することにより、温度変化に対する引張強度や伸び率は立体状の絶縁部12で吸収することができ、耐温度サイクル性などの信頼性も向上させることができる。
【0056】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部を示す分解斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る絶縁部材を製造する例を示す成形型の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部断面図(図1のII-II線断面に相当する図)である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部断面図(図1のII-II線断面に相当する図)である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部断面図(図1のII-II線断面に相当する図)である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る絶縁部材を用いた半導体モジュールの要部を示す分解斜視図である。
【図8】図7のIX-IX線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1…立体形状の絶縁部材
11…平面状の絶縁部
12…立体状の絶縁部
2…半導体装置
21…パッケージ
22…電極
23…半導体素子
3…ヒートシンク
31…冷媒流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性フィラーを含有する絶縁性材料からなる平面状の絶縁部と、これより相対的に少ない含有量の熱伝導性フィラーを含有するか又は熱伝導性フィラーを含有しない絶縁性材料からなる立体状の絶縁部とが一体的に形成されていることを特徴とする立体形状の絶縁部材。
【請求項2】
前記平面状の絶縁部の、前記熱伝導性フィラーの含有量が70〜93質量%であることを特徴とする請求項1記載の立体形状の絶縁部材。
【請求項3】
前記平面状の絶縁部と前記立体状の絶縁部との接合部分において、前記平面状の絶縁部の周縁端面と前記立体状の絶縁部の周縁端面とが同じ厚さで突合わされていることを特徴とする請求項1または2記載の立体形状の絶縁部材。
【請求項4】
前記平面状の絶縁部と前記立体状の絶縁部との接合部分において、前記平面状の絶縁部周縁の少なくとも一部が、前記立体状の絶縁部周縁に覆われていることを特徴とする請求項1または2記載の立体形状の絶縁部材。
【請求項5】
前記平面状の絶縁部と前記立体状の絶縁部との接合部分において、前記平面状の絶縁部周縁の主面に、前記立体状の絶縁部周縁が接合されていることを特徴とする請求項1または2記載の立体形状の絶縁部材。
【請求項6】
前記平面状の絶縁部と前記立体状の絶縁部との接合部分において、前記平面状の絶縁部の主面と前記立体状の絶縁部の主面との間に、前記立体状の絶縁部の主面の方が高くなる段部が形成されていることを特徴とする請求項4または5記載の立体形状の絶縁部材。
【請求項7】
半導体装置と、ヒートシンクと、前記半導体装置と前記ヒートシンクとの間に設けられた請求項1〜6の何れかに記載の立体形状の絶縁部材とを有する半導体モジュール。
【請求項8】
熱伝導性フィラーを含有する絶縁性材料からなる平面状の絶縁部と、これより相対的に少ない含有量の熱伝導性フィラーを含有するか又は熱伝導性フィラーを含有しない絶縁性材料からなる立体状の絶縁部とを一体的に成形することを特徴とする立体形状の絶縁部材の製造方法。
【請求項9】
前記平面状の絶縁部を成形する第1工程と、
前記平面状の絶縁部に前記立体状の絶縁部を一体的に成形する第2工程とを有することを特徴とする請求項8記載の絶縁部材の製造方法。
【請求項10】
前記平面状の絶縁部は、熱伝導性フィラーを含有する絶縁材料を押出成形または圧延成形することにより成形することを特徴とする請求項8または9記載の立体形状の絶縁部材の製造方法。
【請求項11】
前記立体状の絶縁部は、前記平面状の絶縁部を成形型にセットし、インサート成形することにより成形することを特徴とする請求項10記載の立体形状の絶縁部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−124129(P2008−124129A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303962(P2006−303962)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000237422)富士高分子工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】