説明

立体映像観察用眼鏡

【課題】立体映像を観察できるだけでなく屈折補正の機能を併せ持つ立体映像観察用眼鏡を提供することを目的とする。
【解決手段】立体映像観察用眼鏡1は、立体映像を観察可能な立体映像観察用レンズ3L,3Rと、フレーム本体2と、使用者に応じた処方度数を有する屈折補正用レンズ4L,4Rとを備えている。屈折補正用レンズ4L,4Rは、立体映像観察用レンズ3L,3Rにおける使用者側の一面3a又は表示部側の他面3bのうち少なくともどちらか一方に設けられる。そして、屈折補正用レンズ4L,4Rにおける立体映像観察用レンズ3L,3Rの一面3a又は他面3bと対向する対向面4aは、立体映像観察用レンズ3L,3Rにおける対向する面に沿った形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置によって表示された映像を立体映像として観察する立体映像観察用眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、放送技術の進展に伴い、3D(立体)映像の放送が実用化されている。そして、3D映像は、観察者の左右の目に視差をつけた異なる画像を表示することで、観察者に立体を知覚させることができる。
【0003】
3D映像を観察する方法としては、例えば、異なる偏光方向を有する左目用映像と右目用映像を重ねて投影し、この映像を偏光フィルタからなる立体映像観察用レンズを用いて観察する方法がある。また、左右異なる角度から撮影した映像を交互に再生し、左右の視界が交互に遮蔽される液晶シャッターからなる立体映像観察用レンズを備えた立体映像観察用眼鏡で観察する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−5904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の偏光フィルタを有する立体映像観察用眼鏡や液晶シャッターを備えた立体映像観察用眼鏡は、使用者の視力を調節するための屈折補正の効果を有していなかった。そのため、視力を調節する屈折補正用の眼鏡が必要な人は、屈折補正用の眼鏡を装着した状態で、屈折補正用の眼鏡の上から立体映像観察用眼鏡を装着しなければならなかった。その結果、2つの眼鏡を装着するため、重く、互いの眼鏡がずれやすくなる、という問題を有していた。更に、立体映像観察用眼鏡の立体映像観察用レンズと屈折補正用眼鏡のレンズが接触することで双方のレンズに傷がつくおそれがある、という問題も有していた。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、立体映像を観察できるだけでなく屈折補正の機能を併せ持つ立体映像観察用眼鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の立体映像観察用眼鏡は、表示部に表示された立体映像を観察可能な立体映像観察用レンズと、立体映像観察用レンズを保持するフレーム本体と、を備えている。また、立体映像観察用レンズにおける使用者側の一面又は表示部側の他面のうち少なくともどちらか一方に設けられ、使用者に応じた処方度数を有する屈折補正用レンズと、を備えている。そして、屈折補正用レンズにおける立体映像観察用レンズの一面又は他面と対向する対向面は、立体映像観察用レンズにおける対向する面に沿った形状に形成されている。
【0008】
また、屈折補正用レンズは、立体映像観察用レンズの前記一面側に設けられており、対向面と反対側の面は、凹面状に形成されている。これにより、屈折補正用レンズにマイナスの処方度数を付与することができる。
【0009】
更に、前記屈折補正用レンズは、立体映像観察用レンズの他面側に設けられており、対向面と反対側の面は、凸面状に形成されている。なお、凸面状に形成された面を有する前記屈折補正用レンズは、累進屈折レンズ又は多焦点レンズである。これにより、遠近両用の眼鏡として用いることができる。
【0010】
また、屈折補正用レンズには、係合部が設けられており、フレーム本体には、係合部と係合する係合爪が設けられている。よって、屈折補正用レンズをフレーム本体に容易に固定することが可能となる。
【0011】
更に、屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズとの間には、屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズを密着させる充填剤が設けられている。そのため、屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズの隙間を埋めることができる。
【0012】
なお、屈折補正用レンズは、その光学中心が使用者の目の位置に合わせてその位置を調節することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の立体映像観察用眼鏡によれば、立体映像を観察可能な立体映像観察用レンズに屈折補正用レンズを近接さえて設けている。そのため、立体映像観察用眼鏡と屈折補正用の眼鏡の2つの眼鏡を装着する必要がなくなり、1つの眼鏡で立体映像を観察できると共に、使用者に応じた処方度数を有する屈折補正用レンズによって使用者に綺麗な立体映像を観察させることが可能となる。
【0014】
また、屈折補正用レンズにおける立体映像観察用レンズと対向する対向面を、立体映像観察用レンズの対向する面に沿った形状に形成している。これにより、屈折補正用レンズを立体映像観察用レンズにより接近させた状態で配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡の屈折補正用レンズの固定方法を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡の立体映像観察用レンズと屈折補正用レンズを拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡の立体映像観察用レンズと屈折補正用レンズを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の立体映像観察用眼鏡の実施形態例について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態例
1−1.立体映像観察用眼鏡の構成例
2.第2の実施の形態例
3.第3の実施の形態例
4.第4の実施の形態例
【0017】
<1.第1の実施の形態例>
1−1.立体映像観察用眼鏡の構成例
まず、図1〜図2を参照して本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる立体映像観察用眼鏡について説明する。
図1は本例の立体映像観察用眼鏡を示す断面図、図2は本例の立体映像観察用眼鏡にかかる屈折補正用レンズの固定方法を示す説明図である。
【0018】
本例の立体映像観察用眼鏡1は、人間の左目と右目の両眼視差を利用して表示部に映し出された立体映像を観察することで、使用者に立体映像を体感させる眼鏡である。また、本例の立体映像観察用眼鏡1は、左右の視界が交互に遮蔽される液晶シャッター式の眼鏡である。
【0019】
図1に示すように、本例の立体映像観察用眼鏡1は、フレーム本体2と、フレーム本体2に取り付けられた一対の立体映像観察用レンズ3L,3Rと、一対の屈折補正用レンズ4L,4Rと、立体映像観察用レンズ3L,3Rを制御する制御部11とから構成されている。
【0020】
フレーム本体2は、レンズが取り付けられるリム6と、使用者の耳に掛ける耳掛部7とを有している。リム6の長手方向の両側には、2つの開口部8L,8Rが設けられており、その中心部には、使用者の鼻に掛かる鼻掛部6aが設けられている。そして、リム6の長手方向の両端には、耳掛部7が取り付けられている。
【0021】
また、図2に示すように、リム6における開口部8L,8Rの外縁部には、後述する2つの屈折補正用レンズ4L,4Rの係合部12と係合する係合爪9が設けられている。そして、リム6に形成された2つの開口部8L,8Rを閉じるように、2つの立体映像観察用レンズ3L,3Rと、2つの屈折補正用レンズ4L,4Rが取り付けられている。
【0022】
左側立体映像観察用レンズ3Lは、リム6の一側に形成された左側開口部8Lに配置されており、右側立体映像観察用レンズ3Rは、リム6の他側に形成された右側開口部8Rに配置されている。この左側立体映像観察用レンズ3Lと右側立体映像観察用レンズ3Rは、略平板状に形成されており、その両面は略平面である。そして、左側立体映像観察用レンズ3Lと右側立体映像観察用レンズ3Rは、透過型の液晶シャッターである。
【0023】
また、この左側立体映像観察用レンズ3L及び右側立体映像観察用レンズ3Rは、それぞれ制御部11と接続されている。制御部11は、フレーム本体2の2つの耳掛部7に内蔵されている。そして、制御部11は、左側立体映像観察用レンズ3L及び右側立体映像観察用レンズ3Rを交互に開閉動作している。その結果、使用者の左右の視界が2つの立体映像観察用レンズ3L、3Rによって交互に遮蔽され、使用者の左目100Lのみに光が透過されたり、右目100Rのみに光が透過されたりする。
【0024】
なお、左側立体映像観察用レンズ3L及び右側立体映像観察用レンズ3Rを交互に開閉動作するタイミングは、不図示の表示部に表示される右目用画像と左目用画像の切り替えタイミングと同期している。これにより、使用者の左目100Lのみに左目用画像が投影され、右目100Rのみに右目用画像が投影される。そのため、使用者は、立体映像を体感することができる。
【0025】
更に、左側立体映像観察用レンズ3Lにおける使用者側の一面3aには、左側屈折補正用レンズ4Lが対向して配置されており、右側立体映像観察用レンズ3Rにおける使用者側の一面3aには、右側屈折補正用レンズ4Rが対向して配置されている。
【0026】
左側屈折補正用レンズ4L及び右側屈折補正用レンズ4Rは、使用者の処方度数に応じた度数を有するレンズである。なお、本例の左側屈折補正用レンズ4L及び右側屈折補正用レンズ4Rは、処方度数がマイナス度数の屈折補正用レンズであり、凹レンズ状に形成されている。
【0027】
なお、左側屈折補正用レンズ4L及び右側屈折補正用レンズ4Rは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは左側屈折補正用レンズ4Lについて説明し、右側屈折補正用レンズ4Rの説明は省略する。
【0028】
この左側屈折補正用レンズ4Lにおける左側立体映像観察用レンズ3Lの一面3aと対向する対向面4aは、左側立体映像観察用レンズ3Lの一面3aに沿った形状である略平面状に形成されている。これにより、左側屈折補正用レンズ4Lを左側立体映像観察用レンズ3Lに近接させて配置することができる。その結果、左側屈折補正用レンズ4Lと左側立体映像観察用レンズ3Lの隙間を小さくすることができ、左側屈折補正用レンズ4Lと左側立体映像観察用レンズ3Lとの間にゴミや埃が侵入し難くすることができる。
【0029】
また、左側屈折補正用レンズ4Lにおける対向面4aと反対側の面4b、すなわち使用者の目100Lと対向する面4bは、マイナス度数の処方度数が形成された凹面となっている。そのため、使用者のまつ毛が左側屈折補正用レンズ4Lに接触し難くすることができる。また、使用者の目100Lと対向する面4bをトロイダル面形状にすることで、乱視度数に対応した屈折補正用レンズとしての効果を得ることができる。
【0030】
なお、処方度数が形成された凹面を表示部側に形成すると、左側屈折補正用レンズ4Lと左側立体映像観察用レンズ3Lとの隙間が大きくなるだけでなく、像が外側に広がり、使用者には歪んだ像が投影されるため好ましくない。
【0031】
また、図2に示すように、左側屈折補正用レンズ4Lのコバ面である側面部4cには、係合部12が設けられている。そして、左側屈折補正用レンズ4Lの係合部12とフレーム本体2の係合爪9とを係合することで、左側屈折補正用レンズ4Lがフレーム本体2に固定される。
【0032】
このとき、左側屈折補正用レンズ4Lの光学中心Qは、使用者の目100Lの位置に合わせて設定されている。この左側屈折補正用レンズ4Lの光学中心Qを使用者の目100Lの位置に合わせるためには、例えば、使用者の左目100Lと右目100Rの距離PDを測定することで行われる。
【0033】
なお、屈折補正用レンズ4L,4Rとフレーム本体2とを係合爪9と係合部12による係合によって固定した例を説明したが、屈折補正用レンズ4L,4Rとフレーム本体2との固定方法は、これに限定されるものではない。例えば、接着材を用いた接着固定やその他各種の固定方法で屈折補正用レンズ4L,4Rをフレーム本体2に固定してもよい。
【0034】
更に、本例では、左側屈折補正用レンズ4Lの対向面4aを略平面状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、左側立体映像観察用レンズ3Lの一面3aが凹面状に形成されている場合、左側屈折補正用レンズ4Lの対向面4aは、左側立体映像観察用レンズ3Lの一面3aに沿った凸面状に形成される。すなわち、左側屈折補正用レンズ4Lの対向面4aは、左側屈折補正用レンズ4Lの対向面4aと対向する左側立体映像観察用レンズ3Lの一面3aに沿った形状に適宜設定されるものである。
【0035】
また、本例では、屈折補正用レンズ4L,4Rを立体映像観察用レンズ3L,3Rの使用者側の一面3aに配置した例を説明したが、屈折補正用レンズ4L,4Rを立体映像観察用レンズ3L,3Rの表示部側の他面3bに配置してもよい。
【0036】
しかしながら、屈折補正用レンズ4L,4Rを立体映像観察用レンズ3L,3Rの表示部側に配置すると、使用者の左右の目100L,100Rと屈折補正用レンズ4L,4Rとの距離が遠くなる。そして、使用者の左右の目100L,100Rと屈折補正用レンズ4L,4Rとの距離が遠くなると、屈折補正用レンズ4L,4Rを通して見える視界が狭くなる。また、屈折補正用レンズ4L,4Rがマイナス度数のレンズであるため、立体映像は、屈折補正用レンズ4L,4Rを使用者側に配置した時よりも、さらに縮小されて観察される。
【0037】
このとき、屈折補正用レンズ4L,4Rにおける立体映像観察用レンズ3Lと対向する対向面に処方度数を有する凹面を形成すると、屈折補正用レンズ4L,4Rと立体映像観察用レンズ3L,3Rとの隙間が大きくなり、ゴミや埃が侵入し易くなる。また、屈折補正用レンズ4L,4Rにおける表示部側の面に処方度数を有する凹面を形成すると、上述したように、像が湾曲されて観察されるようになる。
【0038】
よって、屈折補正用レンズ4L,4Rを通して見える視界を広くし、より自然な立体映像を使用者に体感させるためには、使用者の左右の目100L,100Rと屈折補正用レンズ4L,4Rとの距離を近づけることが好ましい。そのため、屈折補正用レンズ4L,4Rは、立体映像観察用レンズ3L,3Rにおける表示部側の他面3bよりも使用者側の一面3aに配置するほうが好ましい。
【0039】
上述したように、本例の立体映像観察用眼鏡1によれば、フレーム本体2に立体映像観察用レンズと、屈折補正用レンズとを一体に設けている。これにより、立体映像を観察可能な立体映像観察用眼鏡に屈折補正の機能を付与することができる。その結果、1つの眼鏡で立体映像を観察できると共に、使用者に応じた処方度数を有する屈折補正用レンズによって使用者に綺麗な立体映像を観察させることが可能となる。
【0040】
よって、従来の立体観察用眼鏡のように、屈折補正用の眼鏡と立体映像観察用眼鏡の2つの眼鏡を装着する必要がなくなり、使用者にとって軽く、互いの眼鏡がずれるおそれがない。更に、立体映像観察用レンズと屈折補正用レンズをフレーム本体2に一体に固定しているため、立体映像観察用レンズと屈折補正用レンズが互いに擦れてレンズに傷がつくことを防止することができる。
【0041】
<2.第2の実施の形態例>
次に、図3を参照して本発明の立体映像観察用眼鏡の第2の実施の形態例について説明する。
図3は、第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図である。
【0042】
この第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡21が第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と異なる点は、屈折補正用レンズの処方度数がプラス度数又は遠近両用レンズとして累進屈折レンズや多焦点レンズを用いた点である。そのため、ここでは、屈折補正用レンズについて説明し、第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、立体映像観察用眼鏡21は、フレーム本体22と、一対の立体映像観察用レンズ23L,23Rと、一対の屈折補正用レンズ群24L,24Rと、制御部11とから構成されている。
【0044】
左側屈折補正用レンズ群24Lは、左側立体映像観察用レンズ23L側に配置されており、右側屈折補正用レンズ群24Rは、右側立体映像観察用レンズ23R側に配置されている。なお、左側屈折補正用レンズ群24L及び右側屈折補正用レンズ群24Rは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは左側屈折補正用レンズ群24Lについて説明し、右側屈折補正用レンズ群24Rの説明は省略する。
【0045】
左側屈折補正用レンズ群24Lは、第1の屈折補正用レンズ24Aと、第2の屈折補正用レンズ24Bとを有している。第1の屈折補正用レンズ24Aは、左側立体映像観察用レンズ23Lにおける使用者側に配置されており、第2の屈折補正用レンズ24Bは、左側立体映像観察用レンズ23Lにおける表示部側に配置されている。
【0046】
第2の屈折補正用レンズ24Bにおける左側立体映像観察用レンズ23Lの他面23bと対向する対向面24Baは、左側立体映像観察用レンズ23Lの他面23bに沿って、略平面状に形成されている。そして、第2の屈折補正用レンズ24Bにおける表示部側の面24Bbは、凸面状に形成されており、プラスの処方度数、又は、累進屈折レンズ、多焦点レンズとなっている。なお、第2の屈折補正用レンズ24Bを累進屈折レンズ又は多焦点レンズとすることで、遠近両用の眼鏡にすることができる。
【0047】
また、第2の屈折補正用レンズ24Bは、不図示の係合爪と係合部との係合による固定、又は接着材を用いた接着固定等によってフレーム本体22に固定されている。
【0048】
第1の屈折補正用レンズ24Aは、調整用の屈折補正用レンズである。そして、この第1の屈折補正用レンズ24Aは、側面部24Acに設けた係合部27とフレーム本体2に設けた係合爪29が係合することで、フレーム本体22に取り付けられている。また、この第1の屈折補正用レンズ24Aにおけるその他の構成は、第1の実施の形態例にかかる左側屈折補正用レンズ4Lと同様であるため、その説明は省略する。
【0049】
更に、第1の屈折補正用レンズ24Aと、第2の屈折補正用レンズ24Bのどちらか一方を色収差補正レンズとしてもよい。これにより、光の波長の違いによって生じる像ずれを防止することができ、より鮮明な立体映像を体感することができる。
【0050】
なお、本例では、左側屈折補正用レンズ群24Lを、第1の屈折補正用レンズ24Aと、第2の屈折補正用レンズ24Bで構成した例を説明したが、処方度数が十分であれば、第2の屈折補正用レンズ24Bだけでもよい。
【0051】
ここで、凸レンズである第2の屈折補正用レンズ24Bを左側立体映像観察用レンズ23Lにおける使用者側に配置してもよい。しかしながら、凸面を左側立体映像観察用レンズ23Lの一面23a側に向けると、第2の屈折補正用レンズ24Bと左側立体映像観察用レンズ23Lの隙間が大きくなる。また、第2の屈折補正用レンズ24Bの凸面を使用者側に向けると、使用者のまつ毛と第2の屈折補正用レンズ24Bが接触するおそれがある。そのため、第2の屈折補正用レンズ24Bは、左側立体映像観察用レンズ23Lにおける表示部側に配置することが好ましい。
【0052】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する立体映像観察用眼鏡21によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡21と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0053】
<3.第3の実施の形態例>
次に、図4及び図5を参照して本発明の立体映像観察用眼鏡の第3の実施の形態例について説明する。
図4は第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図、図5は第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用レンズと屈折補正用レンズを拡大して示す断面図である。
【0054】
この第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡31が第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と異なる点は、屈折補正用レンズの固定方法である。そのため、ここでは、屈折補正用レンズの固定方法について説明し、第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0055】
図4及び図5に示すように、一対の屈折補正用レンズ34L,34Rは、フレーム本体32ではなく、一対の立体映像観察用レンズ33L,33Rに接着剤37を介して接着固定されている。具体的には、左側屈折補正用レンズ34Lの対向面34aは、左側立体映像観察用レンズ33Lにおける使用者側の一面33aに接着されている。同様に、右側屈折補正用レンズ34Rの対向面34aは、右側立体映像観察用レンズ33Rにおける使用者側の一面33aに接着されている。
【0056】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する立体映像観察用眼鏡31によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0057】
なお、この第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡31によれば、充填剤の一例を示す接着剤37によって屈折補正用レンズ34L,34Rの対向面34aと立体映像観察用レンズ33L,33Rの一面33aを密着させている。すなわち、屈折補正用レンズ34L,34Rと立体映像観察用レンズ33L,33Rの隙間が接着剤37によって埋められている。これにより、屈折補正用レンズ34L,34Rと立体映像観察用レンズ33L,33Rの隙間にゴミや埃が侵入することを効果的に防止することができる。
【0058】
また、屈折補正用レンズ34L,34Rと立体映像観察用レンズ33L,33Rを密着させることで、屈折補正用レンズ34L,34Rの対向面34aで反射する光を軽減させることができる。その結果、屈折補正用レンズ34L,34Rを透過して使用者の両目100L,100Rに到達する光の量を増やすことができ、明るい立体映像を使用者に知覚させることが可能となる。
【0059】
<4.第4の実施の形態例>
次に、図6及び図7を参照して本発明の立体映像観察用眼鏡の第4の実施の形態例について説明する。
図6は、第4の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡を示す断面図、図7は、第4の実施の形態例にかかる立体映像観察用レンズと屈折補正用レンズを拡大して示す断面図である。
【0060】
この第4の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡41は、上述した第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡21の屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズを、第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡31と同様に、接着固定したものである。そのため、ここでは、屈折補正用レンズの固定方法について説明し、第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡21及び第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡31と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0061】
図6に示すように、立体映像観察用眼鏡41は、一対の立体映像観察用レンズ43L,43Rと、一対の屈折補正用レンズ群44L,44Rを有している。なお、左側屈折補正用レンズ群44L及び右側屈折補正用レンズ群44Rは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは左側屈折補正用レンズ群44Lについて説明し、右側屈折補正用レンズ群44Rの説明は省略する。
【0062】
左側屈折補正用レンズ群44Lは、凹面を有する第1の屈折補正用レンズ44Aと、凸面を有する第2の屈折補正用レンズ44Bとから構成されている。第1の屈折補正用レンズ44Aは、左側立体映像観察用レンズ43Lにおける使用者側に配置されており、第2の屈折補正用レンズ44Bは、左側立体映像観察用レンズ43Lにおける表示部側に配置されている。
【0063】
図7に示すように、第1の屈折補正用レンズ44Aと第2の屈折補正用レンズ44Bは、接着材47を用いて左側立体映像観察用レンズ43Lに接着固定されている。すなわち、第1の屈折補正用レンズ44Aの対向面44Aaが、左側立体映像観察用レンズ43Lにおける使用者側の一面43aに接着されている。そして、第2の屈折補正用レンズ44Bの対向面44Baが、左側立体映像観察用レンズ43Lにおける使用者側の他面43bに接着されている。
【0064】
その他の構成は、上述した第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡21と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する立体映像観察用眼鏡41によっても、上述した第1〜第3の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0065】
なお、上述した第1の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡1及び第2の実施の形態例にかかる立体映像観察用眼鏡21においても、屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズとの隙間に、例えばシリコンオイルからなる充填剤を注入しもよい。これにより、屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズとの隙間を無くし、屈折補正用レンズと立体映像観察用レンズを密着させることができる。
【0066】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、立体映像観察用レンズとして液晶シャッターを用いた例を説明したが、立体映像観察用レンズとして偏光板を用いてもよい。なお、立体映像観察用レンズとして偏光板を用いる場合、表示部に表示される立体映像は、異なる偏光方向を有する左目用映像と右目用映像が重ね合わさったものである。
【符号の説明】
【0067】
1,21,31,41…立体映像観察用眼鏡、 2,22,32,42…フレーム本体、 3L,23L,33L,43L…左側立体映像観察用レンズ(立体映像観察用レンズ)、 3R,23R,33R,43R…右側立体観察用レンズ(立体映像観察用レンズ)、 3a,23a,33a,43a…一面、 3b,23b,43b…他面、 4L,34L…左側屈折補正用レンズ(屈折補正用レンズ)、 4R,34R…右側屈折補正用レンズ(屈折補正用レンズ)、 4a,24Aa,24Ba,34a,44Aa,44Ba…対向面、 4b…面、 4c…側面部、 6…リム、 8L…左側開口部、 8R…右側開口部、 9,29…係合爪、 12,27…係合部、 24L,44L…左側屈折補正用レンズ群、 24R,44R…右側屈折補正用レンズ群、 24A,44A…第1の屈折補正用レンズ、 24B,44B…第2の屈折補正用レンズ、 37,47…接着剤(充填剤)、 100L…左目、 100R…右目、 Q…光学中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示された立体映像を観察可能な立体映像観察用レンズと、
前記立体映像観察用レンズを保持するフレーム本体と、
前記立体映像観察用レンズにおける使用者側の一面又は表示部側の他面のうち少なくともどちらか一方に設けられ、前記使用者に応じた処方度数を有する屈折補正用レンズと、を備え、
前記屈折補正用レンズにおける前記立体映像観察用レンズと対向する対向面は、前記立体映像観察用レンズにおける対向する面に沿った形状に形成されている
立体映像観察用眼鏡。
【請求項2】
前記屈折補正用レンズは、前記立体映像観察用レンズの前記一面側に設けられ、
前記対向面と反対側の面は、凹面状に形成されている
請求項1に記載の立体映像観察用眼鏡。
【請求項3】
前記屈折補正用レンズは、前記立体映像観察用レンズの前記他面側に設けられ
前記対向面と反対側の面は、凸面状に形成されている
請求項1又は2に記載の立体映像観察用眼鏡。
【請求項4】
凸面状に形成された面を有する前記屈折補正用レンズは、累進屈折レンズ又は多焦点レンズである
請求項3に記載の立体映像観察用眼鏡。
【請求項5】
前記屈折補正用レンズには、係合部が設けられており、
前記フレーム本体には、前記係合部と係合する係合爪が設けられている
請求項1〜4のいずれかに記載の立体映像観察用眼鏡。
【請求項6】
前記屈折補正用レンズと前記立体映像観察用レンズとの間には、前記屈折補正用レンズと前記立体映像観察用レンズを密着させる充填剤が設けられている
請求項1〜5のいずれかに記載の立体映像観察用眼鏡。
【請求項7】
前記屈折補正用レンズの光学中心は、使用者の目の位置に合わせて調節されている
請求項1〜6のいずれかに記載の立体映像観察用眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78670(P2012−78670A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225193(P2010−225193)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】