立体格納庫およびその格納庫における入出庫方法
【目的】 同一容積でより多くの自動車や物品を格納でき、しかも入出庫操作を円滑に行ないうる立体格納庫および入出庫方法を提供する。
【構成】 立体駐車場等において、各格納層とも3列以上のスペースに区画し、中央列S2がエレベータ昇降スペースに、両側列S1,S3 が駐車スペースに割当てられると共に、駐車スペースS1,S3 では各区画に横行型駐車パレットP1〜P10 を配置し、中央列S2には、横行型駐車パレットと同数(5台)のエレベータE1〜E5を長手方向に沿って配置し、それぞれの配置位置で上下に昇降させるようにし、さらに前記エレベータの配置台数より1台少ない数(4台)の前後型駐車パレットP11 〜P14 を配置した。エレベータを昇降させるときは、前後型駐車パレットP11 〜P14 を移動させてエレベータの昇降空間を作る。
【構成】 立体駐車場等において、各格納層とも3列以上のスペースに区画し、中央列S2がエレベータ昇降スペースに、両側列S1,S3 が駐車スペースに割当てられると共に、駐車スペースS1,S3 では各区画に横行型駐車パレットP1〜P10 を配置し、中央列S2には、横行型駐車パレットと同数(5台)のエレベータE1〜E5を長手方向に沿って配置し、それぞれの配置位置で上下に昇降させるようにし、さらに前記エレベータの配置台数より1台少ない数(4台)の前後型駐車パレットP11 〜P14 を配置した。エレベータを昇降させるときは、前後型駐車パレットP11 〜P14 を移動させてエレベータの昇降空間を作る。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は立体格納庫およびその格納庫における被格納物の入出庫方法に関する。さらに詳しくは、立体駐車場あるいは立体倉庫等の立体格納庫であって、容積効率が高く、自動車や物品等の被格納物を効率よく入出庫させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を立体駐車場を例にとって説明する。図17は従来のエレベータスライド式立体駐車場の平面図(A)および縦断面図(B)である。基本的な構成としては、中央にエレベータの昇降スペースESがあり、その両側に駐車室PSを多数設置した駐車スペースHSが設けられている。エレベータEは昇降動作(矢印U参照)すると共に水平移動(矢印S参照)して、各層の駐車室PSとの間で自動車の移載を行ない、入出庫させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の立体駐車場では、エレベータEの移動空間としての昇降スペースESは全くの空間のままであり、駐車スペースとしては利用されていなかった。しかるに近年は土地高騰が大きな社会問題となっており、狭い土地を極力有効に活用しようという要望が大きい。とりわけ、都市部に設置される立体駐車場ではなおさらである。にもかかわらず、従来の立体駐車場は、昇降スペースESに代表される非駐車スペースの占有容積が大きく、駐車場容積を最大限に活用しているとは言いがたい。かかる基本的な問題は立体倉庫においても同様である。
【0004】本発明はかかる事情に鑑み、同一容積でより多くの自動車や物品を格納でき、しかもそれらの入出庫操作を円滑に行ないうる立体格納庫および入出庫方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の立体格納庫は、入出庫層の上方および(または)下方に格納層を設け、各層とも少なくとも2列以上のスペースに区画され、その内の1列がエレベータ昇降スペースに、他の列が格納スペースに割当てられると共に、該格納スペースは各列の長手方向に沿って複数の格納室に区画された立体格納庫において、前記エレベータ昇降スペースには、格納スペースの格納室と同数のエレベータを該エレベータ昇降スペースの長手方向に沿って配置し、かつ夫々の配置位置で上下に昇降させるようにし、さらに前記エレベータの配置台数より1台少ない数の格納パレットを入出庫層を除く各格納層のエレベータ昇降スペースで長手方向に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0006】また、本発明の入出庫方法は、昇降させようとするエレベータの上方または下方にある格納パレットを、エレベータ昇降スペース上でその長手方向に移動させて、該エレベータの昇降を可能とする空間を作り、ついで、該エレベータを任意の格納層に昇降させて、格納スペースの格納室との間で被格納物を移載し、またエレベータ昇降スペースの格納パレットとの間で被格納物を移載することを特徴とする。
【0007】なお、本発明におけるエレベータと格納室との間の自動車や物品の移載方法およびエレベータと格納パレットとの間の移載方法には、とくに制限なく種々の方式をとることができる。また、本発明にいう立体格納庫は立体駐車場や立体倉庫を包含する概念である。
【0008】
【作用】本発明では、エレベータの昇降スペースであって従来の立体格納庫では空間としたままで利用されていなかったエレベータ昇降スペースにも格納パレットを配置しているので、同一容積内での格納スペースの利用率は極限まで高められている。したがって、大きさが同じであれば多くの自動車や物品を格納でき、格納台数を同一にすれば格納庫のサイズを小さくできる。
【0009】本発明の入出庫方法では、エレベータの台数より1台少ない格納パレットをエレベータ昇降スペースの長手方向に1台分移動させることにより、必ず1カ所エレベータの昇降空間を作り出すことができる。このため、任意の場所にエレベータ昇降空間を作り出しながらエレベータを昇降させ、格納室および格納パレットとの間で自動車や物品を移載し、入出庫させることが可能となる。
【0010】
【実施例】つぎに本発明を立体駐車場に適用した実施例に基づき説明する。本発明の立体駐車場には、入出庫層の上方に設けた格納層(地上階)および下方に設けた格納層(地下階)の両方を有するもの(中間乗入れ方式)の外、地上格納層のみ設けたもの(下部乗入れ方式)、あるいは地下格納層のみ設けたもの(上部乗入れ方式)が含まれるが、以下、地上格納層と地下格納層の両方を設けた中間乗入れ方式の立体駐車場について説明する。また、本発明の駐車場において列数と区画数には、とくに制限はないが、以下、3列5区画の例に基づき説明する。なお、以下の説明にいう駐車スペースおよび駐車室はそれぞれ実用新案登録請求の範囲にいう格納スペースおよび格納室に対応する概念である。
【0011】まず、本発明に係わる立体駐車場の基本構成を説明する。図1は上記実施例における駐車場の入出庫層1Fから2階格納層2Fに至る部分を概念的に示す斜視図であるが、3階以上の格納層および地階の格納層は2階格納層2Fと同様の構成である。入出庫層1Fおよび各格納層は、いずれも3列のスペースS1〜S3に区画され、中央列S2がエレベータ昇降スペースであり、両側列S1,S3が駐車スペースに割当てられている。
【0012】入出庫層1Fの中央列S2には自動車の出入口1が接続されており、その中央列S2部分はエレベータEが昇降するよう長方形の大きな穴に形成されている。また、その両側壁に形成されたレール2でガイドされて入出庫台車CAが中央列スペースS2の長手方向に走行するようになっている。両側列スペースS1,S3 はその長手方向に沿って、複数箇所(本実施例では)5カ所に区画され、各区画が駐車室となっており、以下の各格納層と同様に後述する駐車パレットP1〜P5およびP6〜P10が配置されるようになっている。
【0013】2階格納層2Fに代表させて示すように、各格納層の両側列S1,S3 の駐車室には、横行型の駐車パレットP1〜P5およびP6〜P10 が配置されており、中央列S2には駐車室の数より一台少ない台数の前後型駐車パレットP11 〜P14 が配置されている(図10を併せ参照のこと)。そして、入出庫層1Fおよび各格納層の中央列スペースS2を上下に昇降するエレベータE1〜E5が駐車室と同数の5台配置されている。
【0014】図2以下に基づき、さらに詳述する。図2は図1におけるII-II 線縦断面図であり、地上階格納層および地下階格納層の中央列に配置された駐車パレットP11〜P14 が示されている。同図に示すように駐車パレットP11 とP12 を片側(図中右側)に寄せ、駐車パレットP13 とP14 を反対側(図中左側)に寄せれば、中央にエレベータ昇降用の空間が現出し、エレベータE3が最下層位置(想像線図示)から最上層位置(想像線図示)の間を昇降することができる。もちろん、このようなエレベータ昇降空間の現出は他のエレベータE1,E2,E3,E4 の位置においても駐車パレットP11 〜P14 を前後方向(最上層のパレットP1について示す矢印a方向)に移動させることにより可能であり、いずれか1台のエレベータEについて任意に昇降させることができるものである。
【0015】図3は図2におけるIII-III 線矢視図であり、入出庫フロア1Fの平面形状を示している。入出庫台車CAの走行する中央列スペースS2の両側に駐車パレットP1〜P5およびP6〜P10 を配置する構成は前述のとおりである。出入口1は図3(A)に示すように1カ所のタイプのほか、図3(B)に示すような2カ所の出入口1a,1b を設けるタイプ、さらに中央列の両端にそれぞれ出入口1a,1b を設けるタイプなど、任意に採用しうる。なお、自動車を入出庫させるときは入出庫台車CAの長手方向を出入口1に向け(図3の(A) における実線図示の状態)、自動車を移載するときは駐車パレットに向け(図3R>3の(A) における想像線図示の状態)なければならないので、出入口1近辺には入出庫台車CAの旋回を許容する切り欠きを設けるか、あるいは切り欠きを設けない場合は入出庫台車CAをいったんバックさせてから旋回させるようにすればよい。
【0016】図4は前記入出庫台車CAの平面図(A)、正面図(B)および側面図(C)である。この入出庫台車CAはベースフレーム3の両側にローラ4を取付け、モータ5で駆動するようにしており、レール2に沿って走行する。また、ベースフレーム3上の旋回台6に自動車積載パレット7を搭載し、モータ8で旋回させるようにしている。前記パレット7は上部フォーク部7aと下部ベース7bとからコ字状に形成されたパレットであり、上部フォーク部7aはクシ歯状のフォーク部に形成されている。このフォーク部は後述するエレベータEのフォーク部とクシ歯が互いに入れ合わさって干渉しないようになっており、このため、同図(C)に示すように、エレベータEのフォークをパレット7の上面と下面の間に前方から入れ、次いでエレベータEを上昇させると自動車を入出庫台車CAからエレベータEに移載することができるものである。
【0017】図5は図2におけるV−V線矢視図であり、5台のエレベータE1〜E5を示している。各エレベータE1〜E5はいずれもクシ歯のフォーク部を有するもので、エレベータE1,E2 は左向きのフォーク、エレベータE3〜E5は右向きのフォークを有している。このようにフォークの向きが異なるのは、後述する前後型駐車パレットP11 〜P14 と干渉させない為である。
【0018】エレベータEの具体的構成は図6に示すように、四角形の枠体10の下枠11に自動車の前輪と後輪を積載するクシ歯状のフォーク12が固定されており、側面視でL字形に形成されている。枠体10の横枠13にはガイドローラ14が軸着されており、このローラ14は図9に示す昇降ガイド19内を転動する。また、上枠15の両端ブラケット16には昇降用のワイヤロープ17が係止されており、各エレベータEのワイヤロープ17は途中をガイドシーブ18で案内されて、ロック機構21,22 …、および巻取シーブ26を経由してカウンタウエイト27に係止されている。そして、巻取シーブ26はウインチ28で回転されるようになっている。したがって、ウインチ28を駆動するとエレベータEは任意の格納層との間で昇降する。
【0019】なお、ロック機構21,22 …はエレベータE1…の台数だけ対応させて設けられ、いずれもロックシリンダ21a …、遊動シーブ21b …とからなり、ロック機構21のように遊動シーブ21b がロックシリンダ21a から離脱しているときは、ウインチ28を駆動しても遊動シーブ21b が昇降するのみでエレベータE1は動かず、ロック機構22のように遊動シーブ22b がロックシリンダ22a に係止拘束されているときはエレベータE2が昇降することになる。このようにロック機構21,22 …のロック状態を選択することにより任意のエレベータE1,E2 …を1台のウインチ28で昇降させるようになっている。
【0020】図7は図2のVII-VII 線矢視図で、各格納層における横行型駐車パレットP1〜P10 と前後型駐車パレットP11 〜P12 の配置状態を示している。既述のごとく、中央列S2の前後型駐車パレットP11 〜12はエレベータEの台数より1台少ない台数の4台であり、両側列S1,S3 の横行型駐車パレットP1〜P5,P6 〜P10 はそれぞれ5台ずつである。なお、同図では駐車パレットP9,P10,P14を想像線で外形のみ示し、その下面にある前後ガーダ30と横行ガーダ40を明示するようにしている。
【0021】図8は図7のVIII-VIII 線矢視図で、側列スペースS1における横行型駐車パレットP6〜P10 の配置状態を示している。この配置状態は地上格納層、入出庫層および地下格納層において、いずれも同様である。またもう一方の側列スペースS3(図8では手前側)においても駐車パレットP1〜P5が同様に配置されている。
【0022】つぎに、図9に基づき前後型および横行型駐車パレットの走行機構を駐車パレットP12,P2を例にとって説明する。
【0023】前後ガーダ30は各格納層における中央列スペースS2の両側位置に配置され、その上面にはレール31が取付けられている。前後型パレットP12 はコ字形の枠体32にクシ歯状のフォーク部33を形成したもので、このフォーク部33は前記エレベータE2のフォーク部12とはクシ歯が互いに入れ合わさって干渉しないように形成されている。また枠体32の4隅には車輪34が軸着され、図示しないモータで駆動されるようになっている。なお、各隅において、車輪34は2個がタンデムに配置され、前後ガーダ30と昇降ガイド19の交差部にある切欠き部で落ち込むことなく通過できるようになっている。これにより前後型駐車パレットP12 は前後ガーダ30上を前後に、すなわち中央列スペースS2の長手方向に移動することができる。
【0024】横行ガーダ40は前記前後ガーダ30と直交するように各格納層毎に設置されており、その上面にはレール41が取付けられ、その下面はコ形のガイド部材42に形成されている。横行型駐車パレットP2は四角形の枠体43の下枠44にクシ歯状のフォーク45を固定したもので、このフオーク45も前記エレベータEのフォーク12とは干渉しないように形成されている。また下枠44には車輪46が取付けられ、図示しないモータで駆動されるようになっており、さらに上枠47にはガイドローラ48が上向きに取付けられている。このガイドローラ48は直上階格納層の横行ガーダ40の下面ガイド部42でガイドされる。これにより、横行型駐車パレットP2は中央列スペースS2に進出したり、駐車室に後退したりすることができるのである。以上の動作は、他の前後型駐車パレットP11,P13,P14 、そして横行型駐車パレットP1,P3 〜P10 も同様である。
【0025】さて次に、本実施例の立体駐車場における入出庫操作を説明する。
(1) 中央列の駐車パレットへの格納操作ここでは、図10において符号■で示す前後型パレットP12 にエレベータE2を用いて自動車を搬入する動作を例にとって説明する。まず、図2に示すように、パレットP12 がエレベータE2の上方に位置しており、エレベータ昇降空間がエレベータE3の上方にある場合、パレットP12 を図中左方(点線矢印)に移動させて、エレベータE2の上方にエレベータ昇降空間を作り出さなければならない。この場合、2階に自動車を格納する場合、2階のパレットP12 のみ移動させば足りるが、5階に格納する場合は2階から5階までのパレットP12 を全て移動させることになる。そして、図4(C)に示した要領でエレベータE2に自動車を移載する。
【0026】つぎに、上記以降の格納操作を図11に基づき説明する。同図(I)はエレベータE2に自動車の移載を完了した状態である。この状態からエレベータE2は上昇し格納すべき階層で停止する(同図(II) 参照)。このときの停止位置は隣接するパレットP12 の位置よりも少し高い位置である。つぎに、パレットP12 をエレベータE2の直下まで前進させ(同図(III) 参照)、その後、エレベータE2を降下させる(同図(IV)参照)このとき、エレベータE2とパレットP12 のフォークは干渉しないので、エレベータE2はそのまま降下し、自動車はパレットP12に移載される。この後は、パレットP12 をその位置に置いたままにしてもよく、元の位置に復帰させてもよい。エレベータE2は次の入出庫操作に備えて定位置(入出庫層1Fの天井の位置)に復帰させる。
【0027】(2) 両側列の駐車パレットへの格納操作ここでは、図10において符号■で示す横行型パレットP2に自動車を格納する場合を例にとって、図12に基づき説明する。なお図12において、(A)はパレットP2の横行方向から見た図、(B)は横行方向に直交する方向から見た図であり、同図(I)はエレベータE2に自動車の移載を完了した状態を示している。
【0028】同図(I)のごとく自動車の移載を終えると、エレベータE2は上昇し格納すべき階層で停止する(同図(II) 参照)。このときの停止位置はパレットP2よりも少し高い位置である。つぎにパレットP2を横行させてエレベータE2の直下まで移動させ(同図(III)参照)、その後エレベータE2を降下させる。この場合も、パレットP2のフォークとエレベータE2は干渉しないので、エレベータE2はそのまま降下が可能であり、自動車はパレットP2に移載される(同図(IV) 参照)。その後、パレットP2は横行して元の駐車室へ復帰する(同図(V)参照)。またエレベータE2は次の入出庫操作に備え、定位置に復帰させる。なお、入出庫層1Fの横行型パレットP1〜P10 に自動車を移載する場合も、入出庫台車CAから直接移載できないので、いったんエレベータEに乗せてから上記と同様の要領で移載することになる。
【0029】(3) 他の部分のパレットへの格納払出操作前記以外のパレットについては、中央列の駐車パレットへは上記(1) の操作に準じて行ない、両側列の駐車パレットへは上記 (2)の操作に準じて行えばよい。また、上記の説明は地上階格納層についてであったが、地下階格納層への入庫操作も同様に行えるものである。さらに、出庫操作は上記の逆順に動作させることで行いうること勿論である。
【0030】本実施例は以上のごとく、本来はエレベータ専用の昇降空間である中央列スペースS2に駐車パレットを数台設置し、ここを駐車スペースとして利用しているので、従来の立体駐車場と比べると同一容積であれば40%程度、収容台数を多くとれ、収容効率が高いという利点がある。すなわち、本実施例では3列5カ所の総計15カ所のうち14カ所を駐車スペースとしているが、従来例であると、同一条件では両側列の10カ所しか駐車スペースとして利用できないので、これを比較すると40%の向上となるものである。
【0031】つぎに、本発明の他の実施例を説明する。前記実施例は各列スペースS1〜S3の長手方向に自動車の長手方向を直交させて格納するタイプであったが、自動車の長手方向を各列スペースS1〜S3の長手方向に沿わせて格納するようにしてもよい。図13〜14はそのような実施例を示しており、図13(A)は入出庫層1Fの平面図、同図(B)は格納層の平面図、図14は駐車場の一部縦断面図である。これらの図において、先の実施例と同一部品には同一符号を付している。本実施例の場合、駐車場の幅が狭くなるとう利点がある。
【0032】また、前記実施例では3列のスペースを有するものであるが、2列のスペースを有するものや、4列以上のスペースを有するものであってもよく、各列スペースは4区画以下あるいは6区画以上の駐車室を設けてもよいものである。2列のスペースを設けた例としては、例えば図15に示すように、第1列スペースS1と第2列スペースS2を設け、第1列スペースS1に横行型パレットP1〜P5を配置し、第2列スペースS2にエレベータEと前後型パレットP11 〜P14 を配置したもの等を例示できる。また、4列以上のスペースを設けた例としては、例えば、図16に示すように、5列のスペースS1〜S5を備え、中央列S3をエレベータ昇降空間とし、この中央列スペースS3にn−1台、すなわち本実施例では4台の駐車パレットP16 〜P19 を設置ものなどが例示できる。かかる実施例において、例えば、P2の自動車を出庫させるばあい、図15(B)に示すように、P7とP12 を図中左側に寄せてP2上の自動車をエレベータEに移載すればよい。本実施例では、左端列S5がデッドスペースになるので、容積効率は低くなるが敷地条件によってはこのような実施例が好都合に場合もある。
【0033】さらに前記各実施例は、入出庫台車CAとエレベータE間の移載およびエレベータEと各駐車パレットP間の移載を、クシ歯フォークを用いて行なう構成としたが、これに限ることなく、移載コンベヤを用いる方法や、クシ歯フォーク型以外のパレット(これには、パレットに車輪を設けるもの、あるいは床面上に駆動輪を設けるものを含む)を用いる方法等の任意の手段を用いることができる。
【0034】そして、上記各実施例はいずれも駐車場に適用した例であったが、本発明はこれを立体倉庫にも適用しうるものである。この場合、駐車室は物品の格納室として、また駐車パレットは物品の格納パレットとして理解すれば、上記駐車場の構成はそのまま立体倉庫の構成として理解してよいものである。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、容積効率の非常に高い立体格納庫を提供できる。また、そのような立体格納庫において円滑に自動車や物品を入出庫させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る立体駐車場の一部分解斜視図である。
【図2】図1および図7のII-II 線矢視で示す駐車場の全縦断面図である。
【図3】図2のIII-III 線矢視で示す入出庫層1Fの平面図(A)および入出庫層1Fの他の例を示す平面図(B)である。
【図4】入出庫台車CAの平面図(A)、正面図(B)および側面図(C)である。
【図5】図2のV−V線矢視図である。
【図6】エレベータEとその昇降装置を示す斜視図である。
【図7】図2のVII-VII 線矢視図である。
【図8】図7のVIII-VIII 線矢視図である。
【図9】前後型パレットと横行型パレットの詳細構成を示す斜視図である。
【図10】前後型パレットと横行型パレットの配列および自動車の入出庫操作を説明するための斜視図である。
【図11】前後型パレットへの自動車格納操作の説明図である。
【図12】横行型パレットへの自動車格納操作の説明図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る立体駐車場の入出庫層の平面図(A)および格納層の平面図(B)である。
【図14】図13に示す他の実施例に係る立体駐車場の一部縦断面図である。
【図15】本発明の他の実施例に係わる立体駐車場の格納層の平面図である。
【図16】本発明の他の実施例に係わる立体駐車場の格納層の平面図である。
【図17】従来の立体駐車場の平面図(A)および縦断面図(B)である。
【符号の説明】
P1〜P10 横行型駐車パレット
P11 〜P14 前後型駐車パレット
E1〜E5 エレベータ
CA 入出庫台車 S1 側列スペース
S2 中央列スペース S3 側列スペース
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は立体格納庫およびその格納庫における被格納物の入出庫方法に関する。さらに詳しくは、立体駐車場あるいは立体倉庫等の立体格納庫であって、容積効率が高く、自動車や物品等の被格納物を効率よく入出庫させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を立体駐車場を例にとって説明する。図17は従来のエレベータスライド式立体駐車場の平面図(A)および縦断面図(B)である。基本的な構成としては、中央にエレベータの昇降スペースESがあり、その両側に駐車室PSを多数設置した駐車スペースHSが設けられている。エレベータEは昇降動作(矢印U参照)すると共に水平移動(矢印S参照)して、各層の駐車室PSとの間で自動車の移載を行ない、入出庫させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の立体駐車場では、エレベータEの移動空間としての昇降スペースESは全くの空間のままであり、駐車スペースとしては利用されていなかった。しかるに近年は土地高騰が大きな社会問題となっており、狭い土地を極力有効に活用しようという要望が大きい。とりわけ、都市部に設置される立体駐車場ではなおさらである。にもかかわらず、従来の立体駐車場は、昇降スペースESに代表される非駐車スペースの占有容積が大きく、駐車場容積を最大限に活用しているとは言いがたい。かかる基本的な問題は立体倉庫においても同様である。
【0004】本発明はかかる事情に鑑み、同一容積でより多くの自動車や物品を格納でき、しかもそれらの入出庫操作を円滑に行ないうる立体格納庫および入出庫方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の立体格納庫は、入出庫層の上方および(または)下方に格納層を設け、各層とも少なくとも2列以上のスペースに区画され、その内の1列がエレベータ昇降スペースに、他の列が格納スペースに割当てられると共に、該格納スペースは各列の長手方向に沿って複数の格納室に区画された立体格納庫において、前記エレベータ昇降スペースには、格納スペースの格納室と同数のエレベータを該エレベータ昇降スペースの長手方向に沿って配置し、かつ夫々の配置位置で上下に昇降させるようにし、さらに前記エレベータの配置台数より1台少ない数の格納パレットを入出庫層を除く各格納層のエレベータ昇降スペースで長手方向に移動させるようにしたことを特徴とする。
【0006】また、本発明の入出庫方法は、昇降させようとするエレベータの上方または下方にある格納パレットを、エレベータ昇降スペース上でその長手方向に移動させて、該エレベータの昇降を可能とする空間を作り、ついで、該エレベータを任意の格納層に昇降させて、格納スペースの格納室との間で被格納物を移載し、またエレベータ昇降スペースの格納パレットとの間で被格納物を移載することを特徴とする。
【0007】なお、本発明におけるエレベータと格納室との間の自動車や物品の移載方法およびエレベータと格納パレットとの間の移載方法には、とくに制限なく種々の方式をとることができる。また、本発明にいう立体格納庫は立体駐車場や立体倉庫を包含する概念である。
【0008】
【作用】本発明では、エレベータの昇降スペースであって従来の立体格納庫では空間としたままで利用されていなかったエレベータ昇降スペースにも格納パレットを配置しているので、同一容積内での格納スペースの利用率は極限まで高められている。したがって、大きさが同じであれば多くの自動車や物品を格納でき、格納台数を同一にすれば格納庫のサイズを小さくできる。
【0009】本発明の入出庫方法では、エレベータの台数より1台少ない格納パレットをエレベータ昇降スペースの長手方向に1台分移動させることにより、必ず1カ所エレベータの昇降空間を作り出すことができる。このため、任意の場所にエレベータ昇降空間を作り出しながらエレベータを昇降させ、格納室および格納パレットとの間で自動車や物品を移載し、入出庫させることが可能となる。
【0010】
【実施例】つぎに本発明を立体駐車場に適用した実施例に基づき説明する。本発明の立体駐車場には、入出庫層の上方に設けた格納層(地上階)および下方に設けた格納層(地下階)の両方を有するもの(中間乗入れ方式)の外、地上格納層のみ設けたもの(下部乗入れ方式)、あるいは地下格納層のみ設けたもの(上部乗入れ方式)が含まれるが、以下、地上格納層と地下格納層の両方を設けた中間乗入れ方式の立体駐車場について説明する。また、本発明の駐車場において列数と区画数には、とくに制限はないが、以下、3列5区画の例に基づき説明する。なお、以下の説明にいう駐車スペースおよび駐車室はそれぞれ実用新案登録請求の範囲にいう格納スペースおよび格納室に対応する概念である。
【0011】まず、本発明に係わる立体駐車場の基本構成を説明する。図1は上記実施例における駐車場の入出庫層1Fから2階格納層2Fに至る部分を概念的に示す斜視図であるが、3階以上の格納層および地階の格納層は2階格納層2Fと同様の構成である。入出庫層1Fおよび各格納層は、いずれも3列のスペースS1〜S3に区画され、中央列S2がエレベータ昇降スペースであり、両側列S1,S3が駐車スペースに割当てられている。
【0012】入出庫層1Fの中央列S2には自動車の出入口1が接続されており、その中央列S2部分はエレベータEが昇降するよう長方形の大きな穴に形成されている。また、その両側壁に形成されたレール2でガイドされて入出庫台車CAが中央列スペースS2の長手方向に走行するようになっている。両側列スペースS1,S3 はその長手方向に沿って、複数箇所(本実施例では)5カ所に区画され、各区画が駐車室となっており、以下の各格納層と同様に後述する駐車パレットP1〜P5およびP6〜P10が配置されるようになっている。
【0013】2階格納層2Fに代表させて示すように、各格納層の両側列S1,S3 の駐車室には、横行型の駐車パレットP1〜P5およびP6〜P10 が配置されており、中央列S2には駐車室の数より一台少ない台数の前後型駐車パレットP11 〜P14 が配置されている(図10を併せ参照のこと)。そして、入出庫層1Fおよび各格納層の中央列スペースS2を上下に昇降するエレベータE1〜E5が駐車室と同数の5台配置されている。
【0014】図2以下に基づき、さらに詳述する。図2は図1におけるII-II 線縦断面図であり、地上階格納層および地下階格納層の中央列に配置された駐車パレットP11〜P14 が示されている。同図に示すように駐車パレットP11 とP12 を片側(図中右側)に寄せ、駐車パレットP13 とP14 を反対側(図中左側)に寄せれば、中央にエレベータ昇降用の空間が現出し、エレベータE3が最下層位置(想像線図示)から最上層位置(想像線図示)の間を昇降することができる。もちろん、このようなエレベータ昇降空間の現出は他のエレベータE1,E2,E3,E4 の位置においても駐車パレットP11 〜P14 を前後方向(最上層のパレットP1について示す矢印a方向)に移動させることにより可能であり、いずれか1台のエレベータEについて任意に昇降させることができるものである。
【0015】図3は図2におけるIII-III 線矢視図であり、入出庫フロア1Fの平面形状を示している。入出庫台車CAの走行する中央列スペースS2の両側に駐車パレットP1〜P5およびP6〜P10 を配置する構成は前述のとおりである。出入口1は図3(A)に示すように1カ所のタイプのほか、図3(B)に示すような2カ所の出入口1a,1b を設けるタイプ、さらに中央列の両端にそれぞれ出入口1a,1b を設けるタイプなど、任意に採用しうる。なお、自動車を入出庫させるときは入出庫台車CAの長手方向を出入口1に向け(図3の(A) における実線図示の状態)、自動車を移載するときは駐車パレットに向け(図3R>3の(A) における想像線図示の状態)なければならないので、出入口1近辺には入出庫台車CAの旋回を許容する切り欠きを設けるか、あるいは切り欠きを設けない場合は入出庫台車CAをいったんバックさせてから旋回させるようにすればよい。
【0016】図4は前記入出庫台車CAの平面図(A)、正面図(B)および側面図(C)である。この入出庫台車CAはベースフレーム3の両側にローラ4を取付け、モータ5で駆動するようにしており、レール2に沿って走行する。また、ベースフレーム3上の旋回台6に自動車積載パレット7を搭載し、モータ8で旋回させるようにしている。前記パレット7は上部フォーク部7aと下部ベース7bとからコ字状に形成されたパレットであり、上部フォーク部7aはクシ歯状のフォーク部に形成されている。このフォーク部は後述するエレベータEのフォーク部とクシ歯が互いに入れ合わさって干渉しないようになっており、このため、同図(C)に示すように、エレベータEのフォークをパレット7の上面と下面の間に前方から入れ、次いでエレベータEを上昇させると自動車を入出庫台車CAからエレベータEに移載することができるものである。
【0017】図5は図2におけるV−V線矢視図であり、5台のエレベータE1〜E5を示している。各エレベータE1〜E5はいずれもクシ歯のフォーク部を有するもので、エレベータE1,E2 は左向きのフォーク、エレベータE3〜E5は右向きのフォークを有している。このようにフォークの向きが異なるのは、後述する前後型駐車パレットP11 〜P14 と干渉させない為である。
【0018】エレベータEの具体的構成は図6に示すように、四角形の枠体10の下枠11に自動車の前輪と後輪を積載するクシ歯状のフォーク12が固定されており、側面視でL字形に形成されている。枠体10の横枠13にはガイドローラ14が軸着されており、このローラ14は図9に示す昇降ガイド19内を転動する。また、上枠15の両端ブラケット16には昇降用のワイヤロープ17が係止されており、各エレベータEのワイヤロープ17は途中をガイドシーブ18で案内されて、ロック機構21,22 …、および巻取シーブ26を経由してカウンタウエイト27に係止されている。そして、巻取シーブ26はウインチ28で回転されるようになっている。したがって、ウインチ28を駆動するとエレベータEは任意の格納層との間で昇降する。
【0019】なお、ロック機構21,22 …はエレベータE1…の台数だけ対応させて設けられ、いずれもロックシリンダ21a …、遊動シーブ21b …とからなり、ロック機構21のように遊動シーブ21b がロックシリンダ21a から離脱しているときは、ウインチ28を駆動しても遊動シーブ21b が昇降するのみでエレベータE1は動かず、ロック機構22のように遊動シーブ22b がロックシリンダ22a に係止拘束されているときはエレベータE2が昇降することになる。このようにロック機構21,22 …のロック状態を選択することにより任意のエレベータE1,E2 …を1台のウインチ28で昇降させるようになっている。
【0020】図7は図2のVII-VII 線矢視図で、各格納層における横行型駐車パレットP1〜P10 と前後型駐車パレットP11 〜P12 の配置状態を示している。既述のごとく、中央列S2の前後型駐車パレットP11 〜12はエレベータEの台数より1台少ない台数の4台であり、両側列S1,S3 の横行型駐車パレットP1〜P5,P6 〜P10 はそれぞれ5台ずつである。なお、同図では駐車パレットP9,P10,P14を想像線で外形のみ示し、その下面にある前後ガーダ30と横行ガーダ40を明示するようにしている。
【0021】図8は図7のVIII-VIII 線矢視図で、側列スペースS1における横行型駐車パレットP6〜P10 の配置状態を示している。この配置状態は地上格納層、入出庫層および地下格納層において、いずれも同様である。またもう一方の側列スペースS3(図8では手前側)においても駐車パレットP1〜P5が同様に配置されている。
【0022】つぎに、図9に基づき前後型および横行型駐車パレットの走行機構を駐車パレットP12,P2を例にとって説明する。
【0023】前後ガーダ30は各格納層における中央列スペースS2の両側位置に配置され、その上面にはレール31が取付けられている。前後型パレットP12 はコ字形の枠体32にクシ歯状のフォーク部33を形成したもので、このフォーク部33は前記エレベータE2のフォーク部12とはクシ歯が互いに入れ合わさって干渉しないように形成されている。また枠体32の4隅には車輪34が軸着され、図示しないモータで駆動されるようになっている。なお、各隅において、車輪34は2個がタンデムに配置され、前後ガーダ30と昇降ガイド19の交差部にある切欠き部で落ち込むことなく通過できるようになっている。これにより前後型駐車パレットP12 は前後ガーダ30上を前後に、すなわち中央列スペースS2の長手方向に移動することができる。
【0024】横行ガーダ40は前記前後ガーダ30と直交するように各格納層毎に設置されており、その上面にはレール41が取付けられ、その下面はコ形のガイド部材42に形成されている。横行型駐車パレットP2は四角形の枠体43の下枠44にクシ歯状のフォーク45を固定したもので、このフオーク45も前記エレベータEのフォーク12とは干渉しないように形成されている。また下枠44には車輪46が取付けられ、図示しないモータで駆動されるようになっており、さらに上枠47にはガイドローラ48が上向きに取付けられている。このガイドローラ48は直上階格納層の横行ガーダ40の下面ガイド部42でガイドされる。これにより、横行型駐車パレットP2は中央列スペースS2に進出したり、駐車室に後退したりすることができるのである。以上の動作は、他の前後型駐車パレットP11,P13,P14 、そして横行型駐車パレットP1,P3 〜P10 も同様である。
【0025】さて次に、本実施例の立体駐車場における入出庫操作を説明する。
(1) 中央列の駐車パレットへの格納操作ここでは、図10において符号
【0026】つぎに、上記以降の格納操作を図11に基づき説明する。同図(I)はエレベータE2に自動車の移載を完了した状態である。この状態からエレベータE2は上昇し格納すべき階層で停止する(同図(II) 参照)。このときの停止位置は隣接するパレットP12 の位置よりも少し高い位置である。つぎに、パレットP12 をエレベータE2の直下まで前進させ(同図(III) 参照)、その後、エレベータE2を降下させる(同図(IV)参照)このとき、エレベータE2とパレットP12 のフォークは干渉しないので、エレベータE2はそのまま降下し、自動車はパレットP12に移載される。この後は、パレットP12 をその位置に置いたままにしてもよく、元の位置に復帰させてもよい。エレベータE2は次の入出庫操作に備えて定位置(入出庫層1Fの天井の位置)に復帰させる。
【0027】(2) 両側列の駐車パレットへの格納操作ここでは、図10において符号
【0028】同図(I)のごとく自動車の移載を終えると、エレベータE2は上昇し格納すべき階層で停止する(同図(II) 参照)。このときの停止位置はパレットP2よりも少し高い位置である。つぎにパレットP2を横行させてエレベータE2の直下まで移動させ(同図(III)参照)、その後エレベータE2を降下させる。この場合も、パレットP2のフォークとエレベータE2は干渉しないので、エレベータE2はそのまま降下が可能であり、自動車はパレットP2に移載される(同図(IV) 参照)。その後、パレットP2は横行して元の駐車室へ復帰する(同図(V)参照)。またエレベータE2は次の入出庫操作に備え、定位置に復帰させる。なお、入出庫層1Fの横行型パレットP1〜P10 に自動車を移載する場合も、入出庫台車CAから直接移載できないので、いったんエレベータEに乗せてから上記と同様の要領で移載することになる。
【0029】(3) 他の部分のパレットへの格納払出操作前記以外のパレットについては、中央列の駐車パレットへは上記(1) の操作に準じて行ない、両側列の駐車パレットへは上記 (2)の操作に準じて行えばよい。また、上記の説明は地上階格納層についてであったが、地下階格納層への入庫操作も同様に行えるものである。さらに、出庫操作は上記の逆順に動作させることで行いうること勿論である。
【0030】本実施例は以上のごとく、本来はエレベータ専用の昇降空間である中央列スペースS2に駐車パレットを数台設置し、ここを駐車スペースとして利用しているので、従来の立体駐車場と比べると同一容積であれば40%程度、収容台数を多くとれ、収容効率が高いという利点がある。すなわち、本実施例では3列5カ所の総計15カ所のうち14カ所を駐車スペースとしているが、従来例であると、同一条件では両側列の10カ所しか駐車スペースとして利用できないので、これを比較すると40%の向上となるものである。
【0031】つぎに、本発明の他の実施例を説明する。前記実施例は各列スペースS1〜S3の長手方向に自動車の長手方向を直交させて格納するタイプであったが、自動車の長手方向を各列スペースS1〜S3の長手方向に沿わせて格納するようにしてもよい。図13〜14はそのような実施例を示しており、図13(A)は入出庫層1Fの平面図、同図(B)は格納層の平面図、図14は駐車場の一部縦断面図である。これらの図において、先の実施例と同一部品には同一符号を付している。本実施例の場合、駐車場の幅が狭くなるとう利点がある。
【0032】また、前記実施例では3列のスペースを有するものであるが、2列のスペースを有するものや、4列以上のスペースを有するものであってもよく、各列スペースは4区画以下あるいは6区画以上の駐車室を設けてもよいものである。2列のスペースを設けた例としては、例えば図15に示すように、第1列スペースS1と第2列スペースS2を設け、第1列スペースS1に横行型パレットP1〜P5を配置し、第2列スペースS2にエレベータEと前後型パレットP11 〜P14 を配置したもの等を例示できる。また、4列以上のスペースを設けた例としては、例えば、図16に示すように、5列のスペースS1〜S5を備え、中央列S3をエレベータ昇降空間とし、この中央列スペースS3にn−1台、すなわち本実施例では4台の駐車パレットP16 〜P19 を設置ものなどが例示できる。かかる実施例において、例えば、P2の自動車を出庫させるばあい、図15(B)に示すように、P7とP12 を図中左側に寄せてP2上の自動車をエレベータEに移載すればよい。本実施例では、左端列S5がデッドスペースになるので、容積効率は低くなるが敷地条件によってはこのような実施例が好都合に場合もある。
【0033】さらに前記各実施例は、入出庫台車CAとエレベータE間の移載およびエレベータEと各駐車パレットP間の移載を、クシ歯フォークを用いて行なう構成としたが、これに限ることなく、移載コンベヤを用いる方法や、クシ歯フォーク型以外のパレット(これには、パレットに車輪を設けるもの、あるいは床面上に駆動輪を設けるものを含む)を用いる方法等の任意の手段を用いることができる。
【0034】そして、上記各実施例はいずれも駐車場に適用した例であったが、本発明はこれを立体倉庫にも適用しうるものである。この場合、駐車室は物品の格納室として、また駐車パレットは物品の格納パレットとして理解すれば、上記駐車場の構成はそのまま立体倉庫の構成として理解してよいものである。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、容積効率の非常に高い立体格納庫を提供できる。また、そのような立体格納庫において円滑に自動車や物品を入出庫させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る立体駐車場の一部分解斜視図である。
【図2】図1および図7のII-II 線矢視で示す駐車場の全縦断面図である。
【図3】図2のIII-III 線矢視で示す入出庫層1Fの平面図(A)および入出庫層1Fの他の例を示す平面図(B)である。
【図4】入出庫台車CAの平面図(A)、正面図(B)および側面図(C)である。
【図5】図2のV−V線矢視図である。
【図6】エレベータEとその昇降装置を示す斜視図である。
【図7】図2のVII-VII 線矢視図である。
【図8】図7のVIII-VIII 線矢視図である。
【図9】前後型パレットと横行型パレットの詳細構成を示す斜視図である。
【図10】前後型パレットと横行型パレットの配列および自動車の入出庫操作を説明するための斜視図である。
【図11】前後型パレットへの自動車格納操作の説明図である。
【図12】横行型パレットへの自動車格納操作の説明図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る立体駐車場の入出庫層の平面図(A)および格納層の平面図(B)である。
【図14】図13に示す他の実施例に係る立体駐車場の一部縦断面図である。
【図15】本発明の他の実施例に係わる立体駐車場の格納層の平面図である。
【図16】本発明の他の実施例に係わる立体駐車場の格納層の平面図である。
【図17】従来の立体駐車場の平面図(A)および縦断面図(B)である。
【符号の説明】
P1〜P10 横行型駐車パレット
P11 〜P14 前後型駐車パレット
E1〜E5 エレベータ
CA 入出庫台車 S1 側列スペース
S2 中央列スペース S3 側列スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】入出庫層の上方および(または)下方に格納層を設け、各層とも少なくとも2列以上のスペースに区画され、その内の1列がエレベータ昇降スペースに、他の列が格納スペースに割当てられると共に、該格納スペースは各列の長手方向に沿って複数の格納室に区画された立体格納庫において、前記エレベータ昇降スペースには、格納スペースの格納室と同数のエレベータを該エレベータ昇降スペースの長手方向に沿って配置し、かつ夫々の配置位置で上下に昇降させるようにし、さらに前記エレベータの配置台数より1台少ない数の格納パレットを入出庫層を除く各格納層のエレベータ昇降スペースで長手方向に移動させるようにしたことを特徴とする立体格納庫。
【請求項2】昇降させようとするエレベータの上方または下方にある格納パレットを、エレベータ昇降スペース上でその長手方向に移動させて、該エレベータの昇降を可能とする空間を作り、ついで、該エレベータを任意の格納層に昇降させて、格納スペースの格納室との間で被格納物を移載し、またエレベータ昇降スペースの格納パレットとの間で被格納物を移載することを特徴とする請求項1記載の立体格納庫における入出庫方法。
【請求項1】入出庫層の上方および(または)下方に格納層を設け、各層とも少なくとも2列以上のスペースに区画され、その内の1列がエレベータ昇降スペースに、他の列が格納スペースに割当てられると共に、該格納スペースは各列の長手方向に沿って複数の格納室に区画された立体格納庫において、前記エレベータ昇降スペースには、格納スペースの格納室と同数のエレベータを該エレベータ昇降スペースの長手方向に沿って配置し、かつ夫々の配置位置で上下に昇降させるようにし、さらに前記エレベータの配置台数より1台少ない数の格納パレットを入出庫層を除く各格納層のエレベータ昇降スペースで長手方向に移動させるようにしたことを特徴とする立体格納庫。
【請求項2】昇降させようとするエレベータの上方または下方にある格納パレットを、エレベータ昇降スペース上でその長手方向に移動させて、該エレベータの昇降を可能とする空間を作り、ついで、該エレベータを任意の格納層に昇降させて、格納スペースの格納室との間で被格納物を移載し、またエレベータ昇降スペースの格納パレットとの間で被格納物を移載することを特徴とする請求項1記載の立体格納庫における入出庫方法。
【図1】
【図2】
【図15】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図2】
【図15】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開平6−156616
【公開日】平成6年(1994)6月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−328654
【出願日】平成4年(1992)11月13日
【出願人】(000121899)横井鋼業株式会社 (2)
【公開日】平成6年(1994)6月3日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)11月13日
【出願人】(000121899)横井鋼業株式会社 (2)
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